satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

未熟な新芽が華開くとき

~前回までのあらすじ~
平和に終わりましたね。この話の時間軸は連載している空と海から近くなったのではないかと。いや、舞台ははじソラの方が近いかも? その間なのかなぁ……
まあ、ここから本格的に入っていくであろうと予想しています。はい。
もえぎ「あ、はい……」
ヴァルツ「……」
入るだろうとか言いましたが、もう少し、ほのぼとしたシーンが続くのではないかと思われます。続いたら嬉しいよね!?(願望)
もえぎ「で、でも、私達にとっては……その、過去の話ですし……続いても……」
ヴァルツ「希望を壊すことを言ってやるな」
もえぎ「は、はい……」
うぅぅぅ……!!


自分自身では手早く終わらせたつもりですが、それなりに時間はかかってしまいました。手際のよさはヴァルさんが一番です。どんなことをやっても、そつなくこなしてしまうのですから、羨ましいです。本人いわく、一人の時間が多すぎただけと言いますが。
「ヴァルさん、準備出来ました……」
「あぁ」
読み物がいつの間にか、本から何十枚もの紙とファイルの山に変わっていました。その紙の束を適当に整理して立ち上がると、お夕飯の席に着きます。二人で声をそろえて「いただきます」と言うと、各々好きな物に手を伸ばし始めました。
「あの、さっきの……えと、お仕事……ですか?」
「ん? あぁ、あの紙? いや……全く。個人的に請け負ったことだ」
それをお仕事って言うのではないのでしょうか……? えっと、きっと、ギルドで頼まれたものじゃないってことですね……
「そう。頼まれたからやってるだけ。特に期限も言われていないから、適当にのんびりやっている」
ヴァルさんは、熱くて食べられないらしいお豆腐をつつきながら話してくれました。

しばらくは時々、談笑しつつも淡々とご飯を食べ進めていました。それががらりと変わったのは、いきなりトリスさんが現れたからでした。楽しそうで気になったのか、何か思うことがあって出てきたのかは分かりませんが、とにかく、出てきたのです。
トリスさんを見たヴァルさんは「また、コイツは」みたいな嫌な顔していて、トリスさんは「いつものことでしょ」みたいにニコニコしています。
「なーんか、楽しそうだよぉ~? ねえねえ、最近、出番なくてつまんないよぉ~!」
「いいことじゃないか。お前を使う機会がないなら、俺の周りは平和ってことだ」
「面白おかしく生きたいのー! ヴァルツ、面白くなきゃ、存在意義ゼロだからね!?」
「俺の存在意義がそんな薄っぺらいものになってたまるか。少なくともお前のために生きてはない」
ヴァルさんは何を思ったのか、席を立つと冷蔵庫の中を物色し始めます。何か探し物でしょうか? トリスさんはそんなヴァルさんを見て、次は私に目線を合わせます。
「もえぎちゃぁん! ヴァルツがいじめるよぉ~」
はにゃっ!? え、えぇっと、そん、そんなことはないと……はい。ないと、思います」
「むぅ……はっ! ねえ、僕のことを雇ってみない!? 今なら大サービスで無料だよ!?」
ずいずい寄ってきて、アピールしてきました。トリスさんは武器で、私の知らない何かなのは知っています。……えと、神器って言うんでしたっけ? 使ったことないし、調べたこともないので、知識がないのですけれど。雇うとは、またどういうことなんでしょうか。
えぇっと、トリスさんを使うのって、お金を取るシステム……なんでしたっけ? なんだか、違う気もします……?
「ふぃーに近づくな。この変態」
「あう」
ヴァルさんがこつんと軽くトリスさんの頭を叩きました。あるものでトリスさんを叩いたのですが、なぜそれを持っているのかは謎でした。
「ヴァルさん、それって……」
持っている理由を知りたくて、続きを言おうとすると、ヴァルさんに言うなとジェスチャーされました。なので、聞くことは出来ず、再び席について、食事が再開されます。
「お前はそれを言うために出てきたのか? 出てくる必要ないだろう」
「あるよぉ~? お楽しみの二人を茶化すっていう大事な任務でしょ! 男女が一つ屋根の下! ヴァルツが変な気を起こして、もえぎちゃんを狙うことだってあるでしょ!? 男は皆、ケダモノだよ!」
ヴァルさんが……私を……? 狙うって……え。
ふ、ふえぇぇぇっ!? ケダモノォォ!? みゃあぁぁぁっ!!!
「? それを言うなら、お前もマリーと同じ状況と言えるだろう」
「やめて。それ以上言うと、ヴァルツのこと、殺しちゃいそう」
「やれるなら、どうぞ」
「……ううっー! マリーが邪魔するぅぅ!」
「トリス」
「何さ!」
「こっち来い」
「えぇ……んぐっ!? んんんんー!!??」
いきなり、トリスさんが叫び始めました。それを聞いて、私もやっと正気に戻り、トリスさんの方を見てみると、床をごろごろしていて……
「あの、ヴァル、さん?」
「まろから貰った自作の激辛デスソース。それ使った」
激辛マニアのまろさんから、いつだったか大量に作ったからと貰ったことがありました。仕事上、色んな薬品なんかを調合するので、こういった配分はとても上手なんだそうです。まあ、私もヴァルさんも試しに使ってみましたが、食べられたものじゃないと判断でした。そのため、あれは冷蔵庫の奥底に眠らせていました。
あのソースを食べた数日は辛いものなんて目にしたくないくらい、嫌になりましたもん。
「……ご愁傷さま、です。トリスさん」
「トリス、うるさい。戻れ」
未だに叫び続けるトリスさんを消すと、ヴァルさんは疲れたようにため息をしました。
「こっちでもうるさいな……頭に響く。もう少し静かに叫べ」
それはもう叫びではないと思いますが……
「あの、実体化させても大丈夫ですよ。私、気にしませんし」
「お前がしなくても、近所迷惑だろう。それに元々は俺がしたことだから」
近所迷惑なのは……同意ですね。はい。
少しだけハプニングのあったお夕飯でしたが、その後は平和に終わり、お片付けをしました。このお片付けはヴァルさんがやってくれましたが。その間に私は、お風呂の準備もして、ついでに寝る準備もしてっと……
もう一度、リビングに戻ってきたときには、キッチンはきれいに整頓されていて、部屋も書類は全てテーブルに置かれていました。この短時間にささっと片付けられるヴァルさん、すごいです。
「あれ……?」
そんなヴァルさんの姿がなくって、何かあったら嫌だからと、一通りの部屋を見て回ります。大きな物音は聞こえていないので、大丈夫だとは思うんですれけど、敏感になってしまうのも、ヴァルさんが前科持ちだから。……本当に、あの人は自分のことは二の次で、私には何も言わないのです。
「ん……んん? そう、だな。……はぁ?」
ヴァルさんは自分の部屋にいるみたいで、そこで誰かとお話し中みたいです。邪魔にならないように、リビングへと戻りました。
ところで、誰と連絡を取っているんだろう?
聞いたら、教えてくれるでしょうか。けれど、ヴァルさんのお仕事なら、首を突っ込むのも変な話です。私が入ってしまったら、ややこしいことになるかも……本当に力を貸してほしいときは、ちゃんと教えてくれるはずなので、そのときまでは待っていた方がよさそうですね。
リビングで座って、何をするわけでもないけれど、なんとなく、近くにあった本を開いてみました。私の知っている言語ではなく、見てもピンときません。ヴァルさん、本当に何でも出来ちゃう人なので、ファン……と言いますか、そういう方々はたくさんいるらしいです。ギルドの中でも、カリスマ……? みたいな立ち位置で、ヴァルさんのクールな性格も相まって一層、男子だけでなく女子にも人気があります。尊敬している人も多いし、パートナーになってからも影で告白されてるのを見かけました。……それをOKしたという話は聞かないので、全部、断っているみたいですけれど。
そんな人を寄せ付けないような雰囲気のあるヴァルさんが、私をパートナーに指名したのはなんでなんでしょう? こればっかりは考えてもさっぱりですし、聞いても理由はないなんて言うので、見当のつけようがありません。
「ふぃー? どうかした?」
お話が終わったヴァルさんが私のいるリビングへ顔を覗かせました。わたしはヴァルさんを見上げながら、口を開きます。
「あ、ヴァルさん……あの、お風呂の準備、しました。……いつでも、大丈夫です」
「ん。ありがとう」
「ヴァルさん、お薬は?」
「飲んだ。が、もうそろそろ次の休みに貰いに行かないとかもしれない。……じゃ、先に入るぞ」
「はい。いってらっしゃい」
こんなお仕事なので、行けるときに行っておかないとです。近いうちにお休みをしっかり取らないとですね。



~あとがき~
ほのぼのっていいね。
まあ、本題には入れなかったわけなんですけど。

次回、ようやく本題に……入る。はず、です。はい。

トリスには場を掻き乱す嫌な人(?)であってほしい。っていう、願望ですね。いやもう、嫌なやつかもですが。でも、心の奥底ではヴァルツを認めて、指示に従うので、最初から真っ黒な嫌なやつではないんだよなぁ……(多分)

本編やここまでを読めばわかるかと思いますが、ヴァルツに恋愛感情はないです。もえぎは意識してませんが、どうなんでしょうね?
そもそも、二人が一緒に住んでいる理由も、こっちの方が経費削減出来るだろみたいな感じです。もえぎに物欲はありませんが、まだまだ新人なので、大きな仕事も数えるくらいしかやってません。そのため、安定した収入はないです。反対に、ヴァルツは多くの仕事を引き受けて一定の収入を得てますが、病院行ったり検査したりを定期的にしちゃってますんで、そこにお金がいっちゃうわけです。じゃあ、もう二人で住んで、お金節約しようぜ的な考えですよ。はい。本当にそれで節約になるのかはしりませんが。そんな理由ですね。裏がないわけではないけど、悪いことは全く考えてないです。はい。

ではでは。