satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第152話

~前回までのあらすじ~
レンを無力化して、うん……全体的にフォースが優勢に立っているところです。
なんか、あれだね。フォースが無双してるのか?
調子上がってきたの?
フォース「おれはいつも通りだけどね」
そろそろ終わらせたいんだけどね。一回戦。
まだ続きそうです……!
そして、ここで語るような内容もない。
さっさと始めますね!!
フォース「流れの変え方無理矢理だぁ」
う、うるしゃい……


少しだけ離れたところで、ナイトが着地をしているところを見る。流石に地面に叩きつけるまではいかなかったようだが、よろけているようにも見えた。それならば、とりあえずはダメージを負わせられたのだろう。それだけでも、儲けものである。
「ホノオのパートナーってだけあって、なかなかやるってことか。……ま、おれの敵ではないけど。普段ならいいが、今は駄目だ」
適度に手は抜いておかねば、目立ちすぎて後々面倒なことになる。しかし、そんなことも手遅れのような気もしていた。子供の姿で大人達を圧倒しているのだ。すでに目立ちまくっていることだろう。ある意味、こんな展開もピカにはお見通しで、だからこそ、普段とは違う姿にさせたのかもしれない。そうだとすれば、フォースに対する気遣い、なのかもしれない。が、全くそんなことはなくて、単なる嫌がらせかもしれないが。答えは分からないが、今は目の前のことに集中するべきだ。
「おじさんはもう少し放っておいても大丈夫か。オニーサンは……向かってくる元気はあるだろうから、このまま対応すればいい。……問題はオネーサンだけど」
フォースが現時点で使える技の中に状態異常を回復する技はあるにはあるが、今の状態では使うことは出来ない。放っておいても構わないが、せっかくここまでフォースの言う通りに動き、協力してくれたのだ。その借りは返したかった。
「と、なれば……一瞬の隙にやるしかない。一か八か、それに賭けるかぁ……やだなぁ」
考えをまとめると、濡れた体を乾かすようにふるふるっと全身を震わせた。ぴょこぴょこ耳を動かして気持ちを入れ換え、ナイトの相手をすべく、体勢を整える。ちらっとピカ達のいる方を見てみると、ホノオとピカが何やら話をしているらしい。
「あ……もしかして、もーそろそろ時間?」
「余所見はよくないんじゃない」
「あはは~♪ 来ると思ってたよ」
音もなく気配もなく、ナイトが忍の如く襲ってきた。しかし、それは初めから予測していたこと。大して驚きもせず、バックステップで避ける。
気配を感じなかったのは、フォースが別の方角に意識を向けていたせいだ。その隙をついてくるとはよく相手を見ているんだな、と客観的に分析をする。
「ちょこまかとウザいな」
「えへっ。ちっちゃくてごめんね」
「お前、本当に子供なのか……よっ!」
フォースが避けた先に、回転で勢いをつけたナイトの尻尾が迫っていた。避けることも出来なくはなかったが、その必要も感じず、甘んじて受けることにした。当然、勢いよく飛ばされ、地面をごろごろと蹴飛ばされたボールのように転がる羽目になった。よくよく考えると、しっかりダメージを負ったのはこれが初めてかもしれない。
「いったいなぁ~」
「痛そうにしてないだろ」
「そんなことないよ? すっごく痛い」
……なんてのは、嘘である。
こんなのどうってことないし、こんなので痛いなどと言えば、過去に何度も経験した死闘はなんだったのだ、と突っ込まれるのがオチである。
「へぇ? わざと当たったくせに?」
「……あは。オニーサン、そーゆー風に疑ってばっかりだと疲れちゃうよ? 無垢な子供の言うことくらい、信じても損はしないよ?」
「自分で無垢とか言っちゃう辺り、信じられるわけないってことだ」
「疑り深いんだねぇ……あ、オニーサン、友達いないでしょ!」
「ちゃんといるわ!」
「ほんとにぃ~? 実はオニーサンだけがそう思ってるだけだったりして」
「エグいとこついてくんなよ」
ナイトと他愛ない話をしつつ体勢を整え、改めて状況を整理した。四人中二人は現時点で戦闘不可能。目の前のナイトは勝つ気はないが、負ける気もない、といったところか。要するに程々にやるということなのだろう。
「……めんどくさい」
誰に言うわけでもなく、ただそう呟いた。ぽろりと本音が漏れたとも言えるし、無意識に出たとも言えた。まあどちらにせよ、そろそろ決着をつける必要がある。
「時間来るし、さっさと終わらせよう」
素早く地面を蹴ると、うずくまったまま動かないもえぎの近くまで移動をした。フォースのこの行動でナイトは少しだけ構える姿勢を見せるものの、今のもえぎに何か出来るわけがない、と思ったらしい。すぐに警戒を解いた。
「やあ、オネーサン。まだ元気?」
「……」
ちらりとフォースのことを見上げるが、何か返答が返ってくるわけでもなかった。見るからに元気ではないし、答えを聞くまでもないことに質問をし終わった後でフォースは今更ながらに気づく。
「あぁ、ごめんね。この質問は意地悪だった。……質問内容を変えようか。その毒がなくなったとして、まだ戦う元気ある?」
「……?」
フォースの質問の意味が分からない様子だ。いや、もえぎだけではない。話が聞こえていたナイトにも理解出来なかった。
「首突っ込むようで悪いんだけど、お前さん、どーやってその子の毒を治すつもり?」
「んー……治すかどうかは、オネーサンの返答次第だよぉ?……さあ、どうする」
ナイトにはにこっと可愛らしい笑顔を向けたが、もえぎの方に向き合うときには、真剣な顔つきになっていた。そして、いつもの口調で問いかけた。
「おれのために、戦えるって誓えるか。おれの敵ではないと、はっきりと言えるのか」
「……少なくとも、フォースくんの、敵、には……ならない、よ」
重い体を持ち上げ、しっかりとフォースのことを見据える。じっと目を見て、答えた。フォースももえぎの心を探るかのようにじっと見つめていた。それらの時間はたった数秒にすぎず、パッとフォースの表情が明るくなった。
「……よかった! オネーサンが敵じゃないって言ってくれて。その言葉に嘘はないみたいだねっ♪ それなら、おれも信じてあげられる」
「あげられ……?」
「おれ、もうそろそろ退場しなきゃなんだよねぇ……ほら、リーダー命令ってやつだよ」
「リーダー」
「そ。ピカの命令。大体さ、おれの役目も終わったし……あとはタイミングだけだったんだよ。それが、きっと今」
もえぎから目をそらすと、ナイトの方を見た。今のフォースの発言について考えているようであったが、大した問題ではないとも思っているかもしれない。真剣に考えているようには見えなかった。暇だから、考える。彼にとってそれくらいの意味合いなのだろう。まあ、律儀に待つ必要もないとは思うのだが。
「じゃあ、そーゆーことだから」
「え、あ……どういう……こと」
全く状況が読み込めないもえぎはいつも以上にしどろもどろになる。訳がわからなくなり、フォースのことを見つめても、黙ったままで何も答えない。何がフォースによかったのか、あの質問の意図はなんだったのか、そもそもフォースの役目とはなんなのか……疑問は山ほどあるが、あいにくそれらの説明はしてくれないらしい。
「色々助かった。ありがとな、もえぎ」
「……え、あ……う、ん……?」
幼い見た目からは釣り合わないくらい、落ち着いた声だった。始めから落ち着いてはいたが、声は幼く高かったし、言動だって時折、難しいことは言っていたとはいえ、まあまあ年相応であった。しかし、今のフォースは違った。大人の声。低くて、優しい、そんな声。そちらの方が、本当のフォースなのかもしれない、なんて思ってしまうくらい、しっくり来ていた。
そんなことをもえぎが考えていると、どこからともなく、ちりん、と鈴の音が響き渡った。



~あとがき~
つ、辛い……! バトル辛い!!
でも、頑張りますよ~♪

次回、フォースの質問の意味とか、そこら辺がわかればいいかな、と。
この予告も大してあてになりませんけどねぇ……

この夏祭りの話、本来ならこのあと(トーナメント戦後)にまたどんぱちするつもりでした。が、終わりが見えないのと、これ以上バトルが続くと身が持たないことを悟ったので、やめることにしました。ずっと悩んでたんですよね。やるかやらないか、みたいな。
考えたネタはもったいないんで、他の小説のネタにするつもりです。はい。
大丈夫。大切なことはやるつもりです。はい。

子どもver.フォース、挙動はもちろんですが、声の高さも変えてました。演技+声も変化させていたってことですね。字だとわからないですけども。でも、大人のひっくい声で子どもっぽいことを言われても説得力ないし、なにより気持ち悪いよね(笑)

ではでは!