satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第128話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
朝御飯を準備するラルとフォースでした。
あと、狐のぽんた。ごくごく普通のどこにでもいる狐だと思ってください。あの、イメージ通りのあれね。それで大丈夫!
あとあと! そろそろ! 終われ!!!


身をほぐしてもらった焼き魚を美味しそうに頬張るぽんたの横で、私とフォース君は気の遠くなりそうなくらいの量の魚を調理していた。
まあ、串に刺すってだけのお仕事ではあるが。
「ぽんたは気楽だなぁ……美味しいかい、ぽんた」
ぽんたはきゃん、と一言。
「こんなの食べたことないぞ……だって」
気楽の部分は無視か。ぽんた。
「……アリアちゃん、狐も食べるとか言わないよね」
「流石にそれは……それに、昨日狩ってきてたの、全部モンスターだったぞ。自然界だと、必然とそっちの方がいいもん獲れるからなぁ」
強い魔物程、いい素材を落とす。つまり、美味しいお肉をいただきたければ、ランクの高い魔物を狙う方がいい。しかし、普通の獣と違い、知性が高いことが多いため、慣れないうちは手を出さないのが鉄則。それに、これは獣も同様だが、素材として落とすのは生肉だから、調理も視野に入れる必要がある。だから、普通は携帯食ですませたり、出来合いの物をあらかじめ用意する方が楽だ。
私も長期調査や遠征とかじゃないと、狩りなんてしない。そこら辺の探検なら携帯食で十分なのだ。
リアさんはそこら辺、拘りがあったみたいだけれど……まあ、それはレアケースだろう。
「つーか、こんだけあればいらんだろ。昨日のやつもないわけじゃないし」
……そうだねぇ。そうだといいねぇ。
「やめろ。匂わせるような受け答えすんな」
真面目な話、アリアちゃんの底が知れないため、限界値なんて存在しないと思っている。撤収作業中にお腹空いたと言われることも考慮すべきではなかろうか。そのための保存食のはずだったのだが。
しかし、お腹空いたら勝手に何かしら調達してくるか。アリアちゃんだもん。実際、昨日も何かしら食べていたんだし。
うん! 考えるのやーめた!
私はアリアちゃんの満腹メーター問題は頭から追い出して、串に刺した魚の丸焼きを四分の一くらいを焼き終えた頃。女子テントからバッと誰かが勢いよく飛び出してきた。
「あさごはん!!!!」
「お、おはよう……アリアちゃん」
「あさごはん!」
「あさごはん」を「おはよう!」みたいなテンションで言わないで……? 挨拶違うからね?
キラッキラでおめめぱっちりなアリアちゃんは、風の速さで席につき、うずうずし始める。これ、このままお預けしてしまうと、何が起こるかわからないので、焼き上がった分をお皿に積み上げてアリアちゃんに差し出す。
「朝ごはんね。今は支給されたパンと焼いた魚だけなんだけど、いいかな……? あ、おかわりはまだあるけど」
「うんっ! 食べていいの……?」
「いいよ。お腹空いたでしょ?」
私の言葉にこくこくっと勢いよく頷くと、焼き魚を食べ始める。そして、人とは思えないスピードで平らげていく。瞬き一つでいくつもの魚がなくなっていく。
えーっと……早すぎません?
いや、これでいいんだ。いい加減、慣れよう。

朝ごはんの準備を終わらせたあと、こんなときでも寝坊助ティールをフォース君が無慈悲に叩き起こし─その頃にはアリアちゃんの食事はほぼ終わっていた─、魚と有り合わせの山菜を挟んだサンドイッチを食べさせた。
「ねっむ……なんでこんなに眠いんだろ……?」
「んなこたぁいい。はよ食え。片付かねぇだろ」
「ふぁい……あ、いや、はい! すみません!」
という、フォース君の愛の鞭でいつもより早く食べ終えたティール。ちなみに、この間、アリアちゃんはどこからゲットしてきたのか、食後のデザートと言わんばかりにきのみを堪能していた。
「……ん。狐?」
今更ながらにぽんたの存在に気づいたらしいアリアちゃんは、小さく首を傾げる。食事を終えたぽんただったけれど、この場から離れるつもりはないらしく、私達の邪魔にならないところで、のんきに体を伸ばしたり、木陰で丸くなったりとのんびりしていた。
「フォース君が連れてきたんだよ、その子」
なんでいるのか一から説明してもいいんだけれど、面倒くさいので、一言で済ませた。間違ってはいない。方法とか、関係性とか話していないけれど。
「……ふぅん?」
じぃっとぽんたを見つめるアリアちゃん。
一応だけれど、釘指しておくか。
「あの子は食べないからね」
「…………うん」
えっと……? その間は……食べたかった、の……?
この合宿でアリア・ディーネという人物について少しは理解できたかと思ったけれど、そんなことはなかったらしい。ツバサちゃんやアラシ君達のことを話していたときは年相応だったのに……なんでかなぁ?

ここからはある意味蛇足になる。
これは合宿を終えて、数日後の話だ。
例のごとく、幻のジャムパン争奪戦に参戦し、ボロ負けしたティールを慰めるため……なのは、ついでで、本題は少し前に賑わっていた学食が気になったから、ついてきたのだ。今日はお弁当持参しているため、買い物はしていない。
「……で? 学食がやけに騒がしい理由を知りたいの?」
ティールはジャムパン戦争で乱れた制服を整えながら、首を傾げた。
「うん。合宿ですっかり忘れてたんだけど、そういえばなぁって……気になってさ」
「なるほど。覗くだけだし、ぼくも付き合うけど……と、確かに、どこぞの大会かってくらいの歓声が聞こえるね?」
大いに盛り上がる一角を覗いてみると、その中心にいたのは、何を隠そう、アリアちゃんであった。彼女の目の前には、これでもかってくらい大きな丼があり、それの中身を一心不乱に掻き込んでいた。中身は周りの会話から天丼らしいというのが窺えた。いや、中身はどうでもいいんだが。
「……原因はアリアみたいだね」
「そう、みたいね。アリアちゃんか……」
米粒一つ残さず綺麗に平らげたアリアちゃん。完食したことにより、周りから「おおっ!」という、関心なのか驚きなのかよく分からない声が響いた。そして、アリアちゃんは歓声に反応することもなく、その場から立ち上がると、傍でじっと険しい表情で見ていた学食の料理長、ゴンツさんと向き合う。
両者がじっと見つめあったかと思うと、何か意思疏通でもしたのか、がしっと熱い握手を交わす。
「……今日も……美味しかった……!」
「いい……食べっぷりだったぜ……!」
……私は今、何を見ているんだろうか?
「ねえ、ラル。これ、この前の大会のやつなんじゃない……?」
あぁ……特典の。なるほどね。なるほど……つまり、毎回毎回、この賑わいを見せているのは、アリアちゃんの見事な食べっぷりを見に来た生徒達。元から事件だとかトラブルとかを危惧していなかったが、単純に見世物ショーと化しただけだったということか。本人達は全く気にしていないらしいが。
「……ティール」
「なぁに?」
「今日も、学園は平和だね」
「ははっ……うん。そだね」
「……戻ろっか」
「了解」
決して、思考放棄しているわけではない。
ただ、空が青いなー的な感じの気持ちになっただけだ。現実逃避したいわけではない。
……本当だからね!?



~あとがき~
アリアちゃんの凄さを伝えられる合宿編だったと思います。

次回、アリアちゃんのお休み風景をお送りします。
アリアちゃんとラル&雫という珍しいトリオでお送りします。相方が手掛ける初休日回! お楽しみくださいませ!

語りたいことはないな。
あ、ぽんたはあのまま帰ったと思います。たまーに学園うろうろするかもですが。別に人馴れしてるわけじゃないんでね!

ではでは。