satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第198話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話しする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ブライトの不得意が息子にばれたって話です。まあ、ブライトも隠してた訳じゃないと思うけど。開き直って見せていた訳でもないと思います。
今回はまた別の話を聞かせてくれるそうな。
ティールの母、セイラも犠牲にな。
セイラ「あらら?」
ティール「……悪い顔してるなぁ、作者」


《Te side》
「……もう一つ、やつの恥ずかしい話を教えてやろう♪」
「……え?」
にやりととても楽しそうな笑顔─ラルもよくやる例のやつ─を見せるルーメンさん。
「一度だけ、血相を変えて、うちに来たことがあっての?」
うちってことは、このギルドに?
「うむ。その頃、ライトは修行期間を終えて、セイラさんを連れ、国に帰っておったんじゃよ。そして、お主が産まれる前の話じゃが、セイラさんがライトに対し、怒ったそうでの」
母が父に……?
ほんわかして、いつも明るい母だ。「怒りますよ!」なんて言っていても、どこか楽しそうにしているような人で。さっきも言ったけど、母が父に対する小言も、最終的には「ブライトったらしょうがないですね♪」と笑って許しているくらいなのに。
「喧嘩の詳しい内容はワシは知らないんじゃがの。大方、ライトがセイラさんに何かしたんじゃろうなぁ~……そこでセイラさんが耐えきれんで、大喧嘩。『実家に帰らせていただきます』という置き手紙を残して、うちに来たんじゃ」
「なっ……!? え、母上の実家、ここじゃないですよね……? 確か、陸の国の……北の方だったはず。……ぼくは数えるくらいしか行ったことないですが」
それとも、ぼくが知らないだけで実はここの生まれなの……?
なんて、心配は無用だったらしい。ルーメンさんは大きく頷いたからだ。
「ワシもそう聞いておる。じゃが、セイラさんは嬉しいことに、ここを第二の故郷だと言ってくれとっての。それに、海の国からセイラさんの実家はかなりの距離がある。そちらよりも、こちらの方が何かと楽じゃ。ここにはセラもおったし」
あ、理事長……ね。確か、母を慕っていたとか?
「うむ。お姉様と呼んでおって、セイラさんを実の姉のように慕っておったわい。セイラさんも可愛がってくれておった。だからまあ、セラに癒されに来たのも一つの理由かもしれんの?」
ラルがツバサをもふもふするとの同じ理由だろうか。母上も可愛いもの好きだし、一回、ラルと会わせたときも、彼女に抱きついていた。何かに癒されたいという気持ちを持つのは何ら不思議なことではない。
ま、ラルみたいに可愛い子を可愛がりたい! なんていう、人種が近場にいるとは。……灯台もと暗し……恐るべし。
「そして、ライトはライトで、セイラさんの置き手紙を見つけて、慌ててこちらに来た……というわけじゃな♪ あいつの第一声が、『うちのセイラはどこですか!?』と、珍しく声を上げておったわい。なかなかに焦っておったぞ♪」
「父は父でルーメンさんのところだとすぐに判断できたんですね」
「いんや? 何年か後に聞いたときは、実際、迷ったらしい。二つあるし、と」
できてなかったんかい。
「しかし、ワシがセイラさんにうちに気軽に来れるようにと、選別に渡しておいた転移用魔道具の存在を思い出して、こちらに来たと言っておった。一応の、冷静さはあったんじゃな」
「……なるほど。しかし、信じられません。温厚な母が父に怒鳴るなんて。結婚したてで、不満溜まってたんでしょうか?」
「む? ライトとセイラさんの付き合いは友人関係も合わせると長い。今更、ライトの駄目な部分に目くじら立てんじゃろうな~♪ セイラさんはそこまで器小さくないのは、ティールも知っておろう?」
ん~……そうですよね。
でも、そのときの母はらしくもなく、感情爆発させてるんだよな。……うーん、なんだろ。分かんないや。
「……実はな、ライトが迎えに来て、さっさと仲直りしておったんじゃよ。セイラさんも好きで喧嘩した訳じゃないからの。……じゃが、セラがセイラさんの体調の変化や感情の起伏の変化に気付いておって、二人が帰る前に医者を呼んでの。……あとは、言わんでも分かるかの?」
……もしかして。
「ぼく、ですか?」
「正解じゃ。妊娠の初期症状で、普段なら流してしまえるような些細なことでも喧嘩に繋がったんじゃよ」
なるほどね……
「いやぁ、喧嘩を引き起こした原因が、『おめでた』じゃろ? 二人の喧嘩騒ぎを聞き付けて集まっておったギルド連中も散々、茶化しておったわ! 当然じゃな。ライトとセイラさんは、子を成すほど、愛し合っていたんじゃからな~♪」
それを二人の子の目の前で言いますか。滅茶苦茶、恥ずかしくなってきたんですけど。
「当人からすれば、もっと恥ずかしいと思うがの~♪ 今でもこの話をしようとすると、ライトからもセイラさんからも全力で止められる」
「そ、そうなんですね。ルーメンさん相手にそれだと、ぼくに教えるわけないですよね。……父と母に、そんな出来事があったなんて知りませんでしたから」
「二人が赤面した話じゃから、例え息子相手でも、言うに言えんだろうて。いやはや、あのときの二人は面白かったぞ? メンバー総出でいじり倒してやったわい♪ ライトは相変わらず、堅い表情じゃったが、顔は赤くしておった」
と、とても楽しい一日だったんでしょうね……
「セイラさんの変化に気付けんライトをセラが叱ったり、二人の熱愛っぷりを茶化したり、楽しかったぞい?」
う、うわぁ……
……でも、そうか。そうだよね。父上も王である前に一人の男……ぼくの父であり、母、セイラの夫。どこにでもいる、普通の一面だってある。
それを知っていたはずなのに……どこかでそのことを蔑ろにしていた。王である父親しか、見てこなかったから、自然と抜け落ちてしまっていたのかもしれない。
そんな、当然なことも。
「……さて、そろそろ終わりにするかの」
不意にルーメンさんが壁にかけられた時計を見上げて、そんな提案をしてきた。気づいたら、とっくに九時を回っていて、あと十数分で十時になりそうである。
「あ……え? あ、もうそんな時間……でも、まだ、どちらもチェックしてませんよ? となると、お互いに引き分けせんげ……ん?」
意味深な笑みを浮かべるルーメンさんの視線の先には、二人で対戦していたチェス盤がある。ぼくも、そちらに目線を移した。
あ……待て。これは……?
ぼくの手番だけど、動かせる駒がない。相手はキングだけだが、このキングをチェックできる駒がぼくにはないから。
この場合、チェスは引き分けとなる。
「……ステイルメイト」
「うむ。『ステイルメイト』じゃな、ティール?」
たまたまか? チェスは引き分けが比較的起こりやすいゲームではあるため、意識して引き分けを引き起こすテクニックは必要だ。それがステイルメイトなのだが……でも、それをする意味が分からないけれど。実力はルーメンさんの方が上だろうに。それに、ぼくもそこまで考えて駒は動かしていなかったから、たまたま……なのか?
「む? どうかしたかの? ティール?」
「……いえ」
チェス盤とルーメンさんを交互に見ていたからか、不思議そうにしていた。しかし、すぐに楽しげに笑い始めた。
「今宵はこんな年寄りの相手をしてくれて、ありがとうの、ティールや。楽しかったわい♪ 今晩は、部屋にてゆっくり休むがよかろ」
「あ……はい。こちらこそ、遅い時間までありがとうございます。……それに、両親……いや。父の、話も。ありがとうございます」
「気にせんでよい。昔話に花を咲かせるは年寄りの特権じゃからな」
昔話、か。
「……あの、ルーメンさん」
チェス盤を片付け、再びデスクの引き出しに仕舞おうとしていたルーメンさんがこちらを振り返る。
「その、時間があればでいいんですが。……また、明日、来てもいいですか? その、父の話、もう少し聞きたいので」
敵を倒すための情報を、だよね。ラル?
ぼくの言葉にルーメンさんは少し驚いたように目を瞬かせる。その視線に耐えきれなくて、ぼくは慌てて付け加えた。
「あ、そ、それに、チェスも! ステイルメイトで終わってしまいましたし! 本来であれば、仕切り直しの場面ですから。……きちんと、勝敗つけたいです」
「……そうかそうか。もちろん、よいぞ。この時間ならば、仕事は終わっておるからの。いつでも来なさい」
快く承諾してくれたルーメンさんにぺこりと頭を下げた。
「ありがとうございます。……では、また明日。今日と同じ時間に伺います」
「うむ。では、気をつけて部屋に戻るんじゃぞ~♪」
フレンドリーに手を振るルーメンさんに、手は振れないので、もう一度軽く頭を下げ、忘れないようにスイとセツを持って部屋を出た。
ここに初めて来たときのぼくとは、ほんと少しだけ変われたような、そんな気がした。



~あとがき~
200話手前で一日目は終われそう。

次回、部屋に戻ったティールと部屋で待つ仲間達の話。
一日目、締め括ります。

ティール誕生秘話(?)でした。誕生というか、できたというか。
喧嘩した結果、おめでた発覚というルートです。ある意味、大勢の前でおめっとさーんと言われるのはいいことです。仲良しですね。愛されてますね、ブライトとセイラは。
喧嘩のきっかけはほんの些細なことだと思います。ブライトが構ってくれんとか、ブライトが仕事ばっかだとか、ブライトが~……みたいな。そんなんだと思います。はい。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第197話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお喋り会をする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、チェス勝負を持ち出されたティール君。意味もわからず、受けてしまいました。
おじいちゃんと王子のお話は続くぜ。


《Te side》
駒を並べ終え、チェス勝負が開始される。ぼくは駒を動かしつつ、何でこんなことになっているのかを考えてみる。……けれど、その答えはどこにも存在しない。きっと、ルーメンさんの頭の中にしかないのだろう。
本当に他愛ない話─学校がどうとか、仲間のこととか。本当に何でもない話ばかり─をのんびりしながら、ゲームは進んでいた。不意にルーメンさんが誇らしげに笑う。
「いや~♪ まさか、アズの孫とチェスをする日がくるとはの~♪ 長生きはするもんじゃな!」
「お、大袈裟では?」
「いやいや。あの頃はワシもアズも若かったからの。こうなるとは予測せんじゃろ? 人生、何が起こるか分からん」
そういう話なんだろうか……?
「お祖父様とも、チェス、するんですか?」
「んお? おぉ♪ するぞ~♪ 意外やも知れんが、アズはこういう頭脳戦は得意な方での。熱い勝負を交わしたもんじゃよ」
どこかへふらっと出掛けては、女性の話しかしないあのお祖父様が。
「政治的手腕はピカイチじゃぞ?」
「……へえ?」
それは知らなかった。ぼくが物心ついた頃には父上が政治をしていたし、お祖父様は自由にしていた気がする。だから、本気で仕事をするお祖父様は記憶にない。たまに、手伝っていたような気もするけれど。
「昔の内政を整えようと奮起したのもアズじゃったからの。いやはや、長年染み付いた制度を短期間で変えておるあやつは、革命家と呼称すべきだの」
「女性好きなあのお祖父様が?」
「女ったらしなあのアズがじゃ♪」
酷い言われようだ。ぼくもだけど。
ティールはアズをどう思うとるんじゃ?」
それは難しい質問だな。どう答えよう。
「うぅん……女性好きは昔からっぽいんで、なんとも。けど、一つ一つの行動にはきちんとした芯のある人だと思いますよ」
かたん、とナイトの駒を動かし、ルーメンさんは楽しそうに笑った。
「それはアズ本人に言ってやるとよいぞ♪」
「しばらく会ってないんですよね。家にいないんで」
「あいつ、ふらふらしとるからの~」
それも昔からだとお祖母様から聞いた記憶がある。だから、自分も好き勝手するのだと。
「話は変わるんじゃが」
……?
「お主らはなぜ、探検隊を? プリンの話では二人が中学生かららしいの?」
「あぁ……成り行きです。本当に。……探検ってものには憧れはあったので、高校生になってから、ギルドに入ってみてもいいかなって思っていました。……蓋を開けてみれば、二年も早くに始めてましたね」
ラルと出会ったのも、偶然だ。たまたま公園を歩いていたら、彼女を見つけただけ。ぼくは、ぼんやりしていて、浮き世場馴れしている彼女が放っておけなかった。そこで、あれこれ話していたら、とある事件に巻き込まれ、その犯人を追いかけて。その場の勢いで、ラルと一緒にダンジョンに挑むことになって……気がついたら、ギルドに入門させられていて。
……いやぁ、あの怒濤の一日は今でも忘れられない。まあ、彼女の生い立ちなんて、ルーメンさんには言えないから言わないけど。
「ふらふらしていた彼女と、こうして五年も探検隊続けられるのはありがたい話です」
「そうかそうか……信頼しとるんじゃの」
「はい。一番の友達でパートナーなので……けど、あっちはぼくの気持ちなんて知らないんですよ。基本、無茶しかしないって言うか」
いつもとまでは言わないけれど。
「ふむ? そういえば、この前の大会でも随分と無茶をしていたように思うの」
ルーメンさんも大会に来ていたのだろうか。ギルドの親方だし、セラ理事長やツバサもいるから、いてもおかしくはないか。
ルーメンさんはそのときの場面を思い出すように、目を瞑る。
「あの雷の龍は随分、体に負担のかかる技じゃったな? とはいえ、あの若さであれだけの威力を引き出すのはそうはいないがの」
「ぼくと二人のときは、まだ控えめにしてるんです。それでも咄嗟に動くときとか、ぼくのいないところでは、当然のようにとんでも行動するから、気が気じゃないっていうか。……その大会のときだって、裏に引っ込んだ途端、エネルギー切れで倒れて」
雷姫さんが補助しているとはいえ、何もないなんて保証はない。それを彼女は分かっているんだろうか。
いや、分かっててやってるんだろうな。だからこそ、厄介なんだ。ラルの無茶行動は。
彼女を注意したところで、「大丈夫だよ」と笑うばかりだ。確かに、死にそうな場面はないけれど、ヒヤッとする場面は多い。
「自分をもっと大切にしろって言ってるのにな……イグさんやリアさんにも散々言われてるし、親方やギルドのメンバーにも……って、すみません。こんな話ばかり」
いつの間にかぼくの愚痴大会になってしまっている。主にラルのことだけれど。
もちろん、ラルや雫達……仲間や友人の秘密は言っていない。けれど、それ以外の世間話程度のものは適当に話していた。
そもそも、いつの間にかぼくが話すばっかになっていた。初めはルーメンさんの話を聞いていたつもりなのに。
「ん? ワシは構わんぞ♪ ティールのような不満を持つ探検隊や冒険家達の愚痴を聞くことは珍しくない。それに比べれば、ティールの話は若いもんよ」
わ、若い……?
ぼくが不思議そうにしていると、ルーメンさんは声をあげて笑う。
「ワシは二人のバトルや連携なんかを見とらんから、詳しいことは分からんが……ラルの無茶に関しては、なんとなく、理由は分かっとるんじゃないか?」
「ま、まあ、ラルは自分本意じゃなく、他人本意……それは、分かってますけれど」
大会のときも、アリアを勝たせるため、見ている観客を楽しませるための行動だったと推測している。
普段の無茶だって、ぼくを守るためだとか、仲間のためにする。昔から、出会った頃からそうだ。ずぅっと、ラルの根っこは変わらない。
「それをフォローしてやるのが、お主の役割ではないかの」
「……できますかね、ぼくに」
「むしろ、今まで共にいたのは、ティールじゃ。ラルを理解してやれるのは、お主だけだと思うぞい」
難しいことを簡単に言ってくれるなぁ。けど、ぼくは彼女の相棒だもん。やるしかないよね。
「努力してみます」
「うむ♪ まだお主らは発展途上。まだ伸びるチームじゃから、成長した姿が楽しみじゃの~♪」
「あはは。……伝説の冒険家にそこまで言われるのは、光栄ですね」
随分と駒が少なくなった盤上を見て、ルーメンさんは一つ駒を進め、ぼくのナイトを取っていく。
「……ライトはな、王としては優秀なやつじゃ。生真面目で礼儀正しい。民のことも大切に思えるやつで、国民にもそれは伝わっておる。だから、愛されておる……違うかの?」
「それは……その通りだと、思います」
その問いにぼくは声が若干、固くなったと感じつつも、できる限りはっきりと答えた。
高校に上がる少し前、父上と母上と共に社交パーティーに出向いたことがある。そのときの周りの反応や言動からも、父上が王としての信頼と人望が窺えた。だから、ルーメンさんの言っていることは正しいと思う。
「じゃがなぁ……何度も言うたが、ライトは不器用なんじゃよ。父親としてはホ~ント、どうしようもなく、ダメダメな父親じゃよ~」
……ん? あれ。風向きがおかしくなってきたぞ。
「自己主張が低いんじゃよ。ライトのやつめ……全く」
と、大きなため息をついて、お茶を啜る。ぼくの驚きと戸惑いは全く意に介していない様子で話を続ける。
「昔、ここでライトが修行しておったのは昼に話した通りじゃ。そこでの働きぶりも優秀じゃった。腕も立つし、冒険家としても大いに活躍しておったが……如何せん、柔軟性がなくての~? あ、頭の方の柔軟さじゃよ」
「……は、はあ」
「商人というのはな、如何に相手を満足させ、こちらの利益を出せるかどうかを瞬時に判断し、それを行動に移せる人が望ましい……んじゃがの。ライトにはそれができんくての~……よくハルやカズキに怒られておったわい」
ハルさんやカズキさん……? あ、アップルパイの人か。夕飯の前に会った……人族と犬族の二人組かな。
「む? アップルパイ?」
「あ、いえ。こちらの話です。……ですが、あの父が怒られていたんですね。ちょっと、信じられません」
「まあ、カズキの場合、説得力に欠ける。ワシからするとどっこいどっこいじゃよ。……して、ライトが怒られておるのは、意外かの?」
ルーメンさんの問いかけに、ぼくは小さく頷いた。
「ふむ。セイラさんによく叱られとるような気もするがの?」
「確かに母が父に何か言うのは珍しくないですが、叱られているというよりは、注意しているように思います」
「うーむ……言われてみると、そうかもしれんなぁ」
考えるように片手で髭を撫でる。
正直、あの父上が説教されるところなんて想像できない。だって、いつだってきちんとしている人だから。
しかし、ルーメンさんの言っていることも納得はする。父はきっちりしすぎて、融通が利かないのは、母上がよく愚痴っているから。そんな人が商売の交渉なんて向くはずもない。
……誰にでも、得意不得意があるように、父も完璧じゃない……んだろうな。



~あとがき~
もうすぐ200話やん。
けど、まだまだ話しますよ。

次回、ルーメンさんが話す、ブライトの話。
ティールの知る、完璧で優秀な王様の話ではないです。

スカイの結成秘話(?)を軽く載っけました。少し空海とは違う展開となってます。
とはいえ、ティールがラルと出会い、その場で事件に巻き込まれて、ダンジョンに行く……そして、ギルド入門という流れは一緒です。ただ、ティールが冒険バカを表に出してないだけで。すぐに明らかになりますんで、誤差です!
あと、この世界では住み込みしていたわけではなく、最初から通いですね。ティールが一人で住んでいた豪邸(?)にラルを住まわせてます。中学生二人で一軒家住むのヤバイね。まあ、ファンタジーだから許したってーな!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第196話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で暮らしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、白雪を呼び出し、ルーメンおじいちゃんと楽しく話が進みました。
今回もその続きですね。


《Te side》
ルーメンさんと白雪の昔話が続いていた──ぼくは完全に蚊帳の外だけれど。そんな中、楽しそうだったルーメンさんの声が、ふと落ち着いたものに変わる。
「……のう、白雪や」
『なぁに?』
「こんなこと、ワシに言われんでも分かっておるだろうが……お主から見て、ライトはどうじゃろうか?」
と、ちらりとぼくを見てきた……気がする。ぼく自身、少し冷めてしまったハーブティーを飲んでいて、ルーメンさんをちゃんと見ていなかった。もしかしたら、気のせいかもしれない。今までの話も、ぼくは全く関係のないものばかりだったし。
そう結論付けて、白雪の父上評価(?)に耳を傾ける。
『……あら。そういう話ね。いいわ。教えてあげる。貴方も時折、王とは会っているでしょう? 答えは、相変わらず、よ』
「ふむ……」
『もちろん、貴方のところにいたことで多少は柔らかくなったけれど。……でも、そっちは不器用なまんま。あれ、死ぬまで治らないわよ』
よく、分かんないけど、父上。白雪にダメ出しされてます……よく、分かんないけど。
「そうか。……白雪」
『今度はなぁに』
「今まで、ワシは部外者じゃった。少しくらいは言ってきたが、深く突っ込んではおらん。じゃがなぁ、ここまで拗れているのではあれば、もう、ワシも介入してもよいかの?」
『……ふぅん。それを私に聞くのはなぜ?』
「お主が王を加護し、守る女神じゃからな。ワシは昔からの知り合いじゃ。アズやライトとは親しくしておるが、他人からすれば第三者。部外者に過ぎん。……それに、これは家族の問題じゃ」
……何の話だろう。とりあえず、ぼくの家族の話っぽいけれど。
ルーメンさんの言葉に白雪はおかしそうに、小さく笑う。
『未来の王を育てるのは歴代の王の役目。……流石の貴方でも、弁えていた、と? 貴方にしては珍しいと思っていたのだけれど、なるほどねぇ……ふふ。ルーメン、遠慮って言葉、知っていたのね?』
「当たり前じゃよ。まあ、さっきもった通り、軽く諭してきたつもりだがの~? して、女神よ。先程の申し出の返答を聞こうかの? お主のことじゃ、また今度返事する、などとは言わんよな?」
『ええ。言わないわよ。答えはお好きにどうぞ、ね。……ふふ。本当に貴方、面白いわよ。貴方、王を導こうとしているんだもの。……まあ、ここでは、単なる世話好きおじいちゃんだから、としておくけれど』
話を聞いたルーメンさんがにっこりと微笑む。少し、意外そうにしながら。
「ほほ~♪ 女神に褒められるとはな♪」
『誇りなさい。私は王以外の人の子を滅多に褒めたりなんてしないわよ? さあ、ルーメン。未来の王を導きなさい? 私が許したのだから、これくらいはやってもらわないと困るわ』
「分かっておるわい♪ 水氷の女神の許可もあるしの。もう今度のワシは自重せんぞ! 任せておれ♪」
……未来の王ってぼくのこと? な、何されるんだ。ぼく……?
混乱してきたぼくをよそに、白雪はくすっと小さく笑った。
『さて。話はおしまい。私の出番も終わりでしょう? ティール。今度こそ、またね?』
「……!? 待て、白雪! 説明……!」
ぼくの制止も無視し、白雪の依り代である大剣は煙のように消えてしまい、手元に残ったのは、スイとセツだけだった。
『ほわ! たーいま!』
『じっちゃ、おはなし、でけた?』
ずいぶん久しぶりに感じる二人の声にどこかほっとしつつ、今聞いていた話をどうにか考えてみる。……けれど、こんなのもやっぱり、ラルの得意分野で、ぼくの出る幕はなさそうで。
全く分からない。……家族の問題、か。それで言えば、ぼくと父上の関係の悪さが一番に思い付くけれど……あれはもう、他人が割り込む余地なんてあるのか。
そもそも、当人のぼくですら、あれはどうにもできる気がしないのに。
「うむっ! バッチリじゃ♪ 水泉と雪花もありがとうの。助かったわい♪」
『にししー!』
『むふー!』
「……あの、ルーメンさん? さっきの白雪との会話って」
ぼく達のことですか、とは聞けなかった。聞くのが怖くて、喉から先まで出てくれなかった。
「なあに、簡単じゃ。ワシはただ、お主ら家族の間にある溝を埋めてもよいかと女神に聞いたんじゃ」
安心させるような笑顔を浮かべ、はっきりと答えた。それに対して、ぼくは触れられたくないところを撫でられたような気がした。実際、今の今まで、誰にも触らせないようにしてきたところで。ラルにすら、ついさっき、話したばかりなのに。
「……そ、れは」
「今までのライトとセイラさんの様子から、なんとなく察してはおったんじゃよ? しかし、これはあくまで家族の問題じゃったからな。深くは突っ込まんかった。軽く聞くことは何度かしてきたがの~……?」
そこで一旦、言葉を切り、やれやれと首を振る。そして、呆れたようにため息一つついた。
「まあ、あの不器用男にどうにかできるとも思うとらんかったがの」
「は……ぶ、不器用、おと、こ?」
「む? 決まっておるじゃろ。ライトのことじゃ。ライト! まーったく、あいつはなんも分かっとらんの~?」
……父上、白雪だけじゃなく、ルーメンさんにもダメ出しされています。いいんですか、それで……?
いきなり始まった父上のダメ出しにぼくは感じていた不安感も、焦燥感もなくなっていた。
だって、にっこにこ笑顔で他人の父親のダメ出ししてるんだもん。ぽかんとしてしまうでしょ……これは。
「水氷の女神である白雪は、主であるお主らを大切にしておる。万が一、女神の許可なしにクランド家の問題に踏みいってしまえば、女神の怒りすら買いかねんからの。だから、ティールに頼んで白雪と話す機会を貰い、許可を貰った……というわけじゃな♪」
ん~……つまり、今からルーメンさんがぼくと父上の仲をどうこうしてやるぜ宣言……聞いてるの、ぼく? それを聞かされたぼくは、どういった反応をするべきなのか。
なんてことを考えていると、ルーメンさんはぼくの名前を呼ぶ。その声にぼくの思考は中断された。そして、間髪入れず、笑顔を絶やさぬまま──
「お主、父親であるブライトのこと、嫌いか? 必要以上に避けとるじゃろう?」
と、問いかけてきた。
「…………っ!? それは、あの……ですね」
本当に心から嫌いかと問われれば、それはNOだけれど、避けているのは事実だ。会いたくもなければ、話だってしたくはない。父上を目の前にするとすごく、苦しくなるから。
だから、毛嫌いしているのは……本当、なんだろう。父上のことは複雑に絡まってて、どれが本当の気持ちかなんて、ぼく自身にも分かっていないのだ。
ぎゅっと心が締め付けられ、ルーメンさんの方も見れなくなった。つい目線を逸らし、じっと足元を見つめる。
落ち着け……ぼくは、一人じゃない。ラルが、雫がいる。大丈夫。
「あ~……よい。無理して言わなくても大丈夫じゃ。むしろ、少しの会話とその反応でよく分かったわい。……お主のその分かりやすさはセイラさん譲りじゃの~?」
ぼくが改めて何かを言う前に、ルーメンさんが苦笑ぎみに話を止める。気遣ったのか、本当に分かってしまったのか……はたまたその両方なのか。
そんなことよりも、母譲りと言われてしまったのがちょっと……そんなに分かりやすいか? ぼくと母は。
不意にルーメンさんはソファから立ち上がり、自身のデスクへと向かい、引き出しを漁り始めた。
「その様子じゃと……結構な重症みたいじゃの? パートナーであるラルにも心配さとらんか?」
「た、たま……に」
そ、そういえば、ここに来てから結構、気を遣われているような……?
『いっぱい、きにしてたよ』
『いっぱい、しんぱいしてたよ』
で、ですよね……
「ほっほ♪ 二人の話を信じるならば、たまに、というのも、怪しいところじゃの?」
ぼくが気づけていないだけで、ラルの中には常にあったんだろうか。いいや、ラルのことだ。なかった、なんてあり得ない。彼女はいつでも仲間優先だから。
「おぉ。あった♪ ティールや」
「は、はい?」
お目当てのものを引き出しから見つけたルーメンさんは再び、ぼくの正面に座る。
「お主、チェスはできるかの?」
「チェス? 一応は。……ですが、そこまでやりませんから、あまり強くないですよ」
そういうの、ラルやフォースがよくやってるけど、ぼくはあんまりなんだよね。
「なるほどの。……それじゃあ、今から一戦、相手してもらおうかの?」
「……は、はい?」
親の話から、なぜ……チェス……?
しかし、ぼくの戸惑いなんてどこ吹く風。ぼくができると分かると、楽しそうに場を整え始める。なぜですかと聞ける雰囲気でもなく、頭にはてなを浮かべながら、ルーメンさんの相手をすることとなった。



~あとがき~
チェスって言葉だけでかっけーって思うくらい、単純な私です。響きがいいよね←

次回、ティールとおじいちゃんのお喋り会は続く。

ティールとブライトの仲をどうしていくのか、ルーメンおじいちゃんの手腕に期待。
そして、場面の転換もないので、話したいこともないです。
ん~……ラルとフォースの戦略系ゲーム対戦、終わらなそうっすよね。んで、どっちかが盤を投げそうです。やってられっか、こんなゲーム! みたいな。
どうでもいい話でした。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第195話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、紆余曲折ありましたが、ティールはルーメンおじいちゃんの部屋に来ました。がっちがちやけど。
今回もルーメンおじいちゃんの部屋でのお話です。


《Te side》
わいわい騒ぐスイとセツがいるから、まだ沈黙にならずにすんでいるが、正直な話、その二人の声もあまり入ってこないくらい緊張している。
はぁ……さっきまでの威勢はどこにいったんでしょ、ぼく……
ぼくの緊張を感じ取って、アルフォースさんもハーブティー淹れてくれたんだろう。カモミールの香りがふわりと漂ってきて、半ば無意識に一口飲み、そっと息を吐く。
気持ち、落ち着いてきた……気がする。いやこれ、気がするだけだ。絶対。
『てぃー、かちんこちーん』
『せっちゃ、なーんもしてないのにねー』
お前の冷気でやられるようなぼくではない。お前の冷気に耐えられるように日々、鍛えてますんで……
「ふむぅ……そこまで緊張せんでもいいんじゃがの~? 取って食うわけでもないぞい」
「う、す、すみません」
気軽に話しかけつつ、ぼくの正面に腰を下ろす。更に緊張が増した気がする。
考えてほしい。この世界に存在する探検隊をまとめる組織のトップだ。父親の件がなくても緊張しない方がおかしい。あのラルですら、会う前はなんかおかしくなるくらいだった。そんな人と一対一で話すなんて……や、やっぱり、来るんじゃなかった。
この部屋に来た後悔を感じつつも、ルーメンさんの様子を窺う。
ルーメンさんはのんびりした様子でアルフォースさんが淹れてくれたお茶を飲んでいた。
「ここでは『親方』だの、『連盟のトップ』だの、偉い肩書きのワシではなく、『ただのおじいちゃん』と思ってくれてよいんじゃが……すぐには難しいかの?」
すぐにって言うか、無理だと思います。……恐れ知らずなフォースじゃないんだから。彼なら、ルーメンさんすらも呼び捨てしそうだもの……ぼくもそれくらいの度胸があればな。
……恐ろしくてできない。
『けーあいしらないもーん』
『ねー?』
フォースだとしても、敬愛は知ってると思う。するかは別として。
ティールや」
「あ、はい……なんですか?」
「勝手なジジィのお願いなんじゃが、ちぃっと女神に会わせてくれんかの?」
話が百八十度くらい変わってないか……?
女神。ぼくに言うってことは、白雪のことだろう。お祖父様や父上と交流があるなら、女神の話も、王家との繋がりすらも、知っていてもおかしくはない。
白雪と会うには、聖剣であるスイとセツを使い、呼び出す必要がある。白雪の依り代は聖剣二つを使って呼び出す大剣なのだ。
剣を呼び出すだけならまだいい。ぼくもごく稀に大剣の白雪を使うから。なんなら、仲間にも見せたこともあるくらいだ。けど、会わせろって言うのは、ちょっと。
白雪も雷姫さんみたいに人の姿になる。しかし、それは、ぼくの家のとある部屋でしかやってはいけないと言われている。
「水氷の女神様にちょっとした確認をしたくての。……確認というよりも、許可かの~」
そんなことを言われても。ルーメンさんとはいえ、初対面だしな。……何かあっても、ぼくだけじゃ対応しきれない。
「まあ、当然の反応じゃのぅ……今日知り合ったばかりのジジィが一国の女神を呼んどくれと言っておるしの」
うっ……信用してない訳じゃないんですけど。
「よいよい……そうじゃな。それ」
ルーメンさんが軽く片手をあげると、部屋の空気が変わった。何かの魔法か術を使われたのは分かる。しかし、それが何なのかまでは分からなかった。状況から推測するのはぼくは苦手なのだ。それは、ラルの専門分野。
「部屋全体に防音魔法をかけたんじゃよ。ついでに部屋にも誰も入れんようにした」
な、なるほど?
「ワシは人の姿をした女神と会いたいわけではない。声だけでよいんじゃ」
『てぃー! じっちゃのまほー、つよいんら! だからね、しらゆきとおはなししてもだいじょーぶ!』
『あとね、しらゆきもじっちゃのはなし、きょーみあるって! あいたいいってる! だからね、おはなし、いいよーって!』
「えぇ!? 白雪がぁ!? 嘘!」
「ほほう?」
ルーメンさんは少し驚いたように反応をする。本人からのアプローチまでは予想外だったのかもしれない。
ぼくはルーメンさんに気づかれないように意識を集中させ、白雪に問いかける。さっき話をしたばかりだ。すぐに答えてくれるだろう。
本当か、白雪?
『嘘なんて言ってないわぁ』
……いいんだな。ここで呼んでも。
『えぇ。よろしく』
そう……分かった。女神様の仰せのままに。
「……女神がそう仰るのなら、ぼくはその意思に従います。来い、スイ、セツ」
ソファから立ち上がり、昼にツバサ達が駆け回っていた少し広いところに立つ。
呼び掛けに応じ、スイとセツは元の剣の姿に戻る。その剣を軽く振り、決まり文句を紡ぐ。
「重なれ、水泉。雪花」
その言葉を合図にスイとセツは水と冷気になり、螺旋を描いて連なるように合わさる。
水と冷気が弾け、その中から、部屋の明かりを反射し、宝石のようにきらびやかな光を帯びる大剣が姿を現した。
ぼくが白雪を手に、再びソファに戻ると、ルーメンさんが懐かしそうに目を細めた。
「久しいな、水氷の女神よ」
『ふふ。えぇ、久し振りね、ルーメン? いつ振りかしら』
「確か、ライトとセイラさんがくっついた頃が最後じゃ。じゃから、二十年以上前か。しかし、ワシのことを覚えとったんじゃの」
白雪の声、聞こえているんだ。
スイとセツの声を聞く人はいるが、女神の声は女神と波長が合い、且つ、許した相手でないと届かない。そこは雷姫さんと似ている。
『貴方みたいな面白い人、忘れる方が難しいわ。アルドアーズとの旅も、ブライトとセイラが一緒になったときも……ルーメン。貴方が率先して面倒を見ていたわ』
と、そこで言葉を切り、くすくすと笑ってから、再び話を進めた。
『人の子は自分より立場が上……というよりは、王は敬うものと認識しているわぁ。それが他国の者でも、ね? 正体を知れば、出過ぎた真似は慎むものよ。けれど、貴方は違う。我が王達を一人の男として対等……いいえ。振り回している』
「お気に召さんかの?」
『いいえ? 話は最後まで聞きなさい。……貴方が振り回してくれるおかげで、アルドアーズもブライトも、王としての立場を忘れられる。私、楽しそうな王達を見るのは好きなの』
「ほう~♪ それはそれは嬉しいことを言ってくれるの」
楽しそうっていうか、振り回されてるお祖父様が面白いだけなんじゃ。というか、楽しそうに話しているな、この二人。
ぼくのことは完全に放置し、二人で楽しそうに話し始めた。中身はほとんどがお祖父様とルーメンさんの旅について。
色々話していたが、基本的にはお祖父様がルーメンさんの魔法の巻き添えだとか、モンスターと一緒に吹き飛ばしちゃったとか、お祖父様のかわいそうな話ばかりである。
「──そういえば、暴走したドラゴンの討伐依頼。あれもアズと一緒に行ったんだったか。いや~……あれもなかなかに傑作じゃったの~♪」
『ふふ。あれは貴方の魔法に踏ん張れなくて、吹き飛ばされたアルドアーズが砂の山に突っ込んだのよ』
「ほっほっほ♪ あれくらい、避けてもらわねば困るわい! それに白雪だって、愉快そうに笑っておったろう?」
『ええ。あんな簡単に人が飛ばされるのはおかしくってよ?』
お祖父様の味方はどこにもいないらしい。
久しく会ってないけれど、今度会ったら、少し優しくしよう。いつも、お祖父様の言葉に突っ込んでばっかだから。



~あとがき~
一国をまとめる一人と一国の王子のお喋り会(?)、スタート。

次回、お喋り会続きます。

こちらでもちゃんと出てきました白雪。
空海よりも、絡みは多そう。少なくとも、ここではですが。
そして、全く姿が見えないアルドアーズのかわいそうな話がてんこ盛り。
一言も喋ってねぇのにな……(笑)
アルドアーズはレイ学オリジナルキャラです。ティールのお祖父ちゃんなんだけど、空海には出てくる予定もないので、設定すらありません。なのに、こんなキャラの濃い子になっちゃって……!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第194話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどぎまぎしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、わいわいしてました。(適当)
今回はあれっすね。ティール君頑張るの回で。
ティール「適当!?」
ラル「うける」


《Te side》
写真を撮ったあともわいわい騒ぐスイとセツだった─その間にぼくはさっと入浴をすませておいた─が、突然、ふにゃふにゃっとベッドに座りこんだ。
「うにゅ……」
「うみゅ~」
「なんだ。ようやくエネルギー切れ?」
「みたいなのら~……ぽわぽわ、なくなってきた~」
「せっちゃも~」
アルフォースさんが長くても夜までしか持たないだろうって言っていた。部屋に戻ってきて騒ぎまくってたから時間経過なんて忘れていたけれど、外はとっくに夜だ。
「あわわー!」
「ほわー!」
二人の体が淡く発光し、その光が強くなったと思ったら、「ポンッ」と軽い音が二つ聞こえる。スイとセツが剣から妖精へと変化したときと同じ音だ。
光が消えると、見慣れた二つの青い剣が並んでいた。
「……おかえり、スイ。セツ」
『うー……なんか、てぃー、うれしそー』
『ひろいのらー……せっちゃたち、おちこんでるのにー』
嬉しくはないけど。ま、元に戻ってよかったとは思っている。ぼくの大切な相棒とも呼べる剣達だからね。
スイとセツを手に取ると妖精のときにはなかった、ずっしりとした重さが手のひらに伝わってくる。いつもの重さに安心した。
「で、ティール。ルーメンさんのところはどうするの? もう約束の時間になってるけど」
げっ。もう?
時計を確認すると、確かにその時間になっている。ルーメンさんのお願いを聞くなら、早く向かわないと。
「で、でも、今日じゃなくても……」
ティール。時間は有限」
うぐっ。そうだけど。
きちんと向き合うべきなのは分かるんだけれど、今じゃなくてもいいかなって思ってまして……?
『てぃー! すいちゃたち、もとにもどったーって、いいたい!』
『じっちゃにごほーく!』
それ、する必要あるか……?
「どうするの? ティール」
「……うぅ。どうしても、行った方が、いいですかね」
「敵を知る絶好のチャンスを逃すのか、お前はー! ここで逃げると、明日も明後日も逃げ癖つくぞー!」
あう!? それは否定できない!!
ラルの喝にぼくは泣く泣く頷いた。残念だけど、正論です。
ラルの言葉にぐうの音も出なかったらぼくは、Tシャツにスウェットというラフな格好から、再びYシャツにベストという外出スタイルに着替える。そして、ルーメンさんに会いたいというスイとセツも装備して。
なんのためにお風呂入ったのか謎だけれど。
「いってらっしゃい」
扉の前までラルと雫が見送ってくれる。ラルは笑顔だけど、雫は少し不安……いや、心配そうで。
「い、いってき……ね、ほんとに行くの。ぼくは」
「着替えたんだし、うだうだせずに行け! あ、ルーメンさんからもらったブレスレットつけた?」
は、はい……つけてます。ここの鍵は空けられます。だいじょぶっす……
ぼくがかなり不安そうにしていたのか、頼りない表情だったのだろう。ラルが小さくため息をつき、左手を突き出してきた。パーカーの袖からちらりと覗くのは空色のバンド。
ティールはチームの名前……スカイの由来、覚えてる?」
「え……?」
突然、なんだろう。
ぼくがそれを答える前に、ラルはにこっと笑う。
ティールはね、一人じゃないってことよ」
そう言うと、ラルが普段つけている黒いリボンの一本を、ネクタイの代わりとでも言うのか、ぼくの首元でリボン結びをする。
「貸したげる。なんか寂しいみたいだし~? それを私だと思え」
無理がないかな。けど、お借りします……一応。
「ボクも! ボクも! でも、ティールにかせるものがない……はっ! ティール、ちっちゃくなって!」
あ、え、こう?
雫と同じ目線になると、雫の小さな手がぼくの頭をぽんぽんっと優しく撫でていく。
ティールにげんき! あげるの! ボク、まだまだげんきなので!」
マ、マジか……元気なのか。
「さいごのしあげ! ぎゅーっ!」
力一杯抱きついてくる雫に、ぼくも同じように優しく、それでもありがとうって伝わるように強く抱き締めた。
「あはは。……元気出たよ。雫は凄いね。魔法使いさんだ」
「んふー! パパ、いってらっしゃーい!」
誇らしげな我が子と離れ、そっと立ち上がる。そして、ラルと目があった。
「行ってくる。もし遅くなるようなら先に寝てて」
「分かった。まあ、私は起きてるけど。夜行性なんじゃよ~♪」
いや、君。結構朝早くに起きる……いや、なんでもないですね。はい。
「ボクも! おきてるもん!」
うん。無理しないでね。
「……よし。いってきます」

……とは、家族には言ったけどね?
「目の前にすると勇気って出ないもんだね」
『てぃー、かっこわるい』
『そーだ。かっこわるいぞー』
うるせぇ。
自分達が借りている部屋から、ルーメンさんの部屋まではすんなり来れた。が、しかし、ルーメンさんの部屋の扉をノックしようと意識した途端、情けない話だが、体が動かなくなった。
そして、今、人様の部屋の前でしゃがんで、落ち込んでいるところだ。今が夜でよかった。人通りなんてないから、こんなことしていても、邪魔だと怒られることもない。
「ぼくって、ここまで意気地無しっすか……」
『ゆーじゅーふだーん』
『てぃー、いしけってーひくーい』
難しい言葉、よく知ってますね!! スイとセツのくせに!
くそ。……苦しい。逃げてしまいたいくらいだ。一人で来るんじゃなかったよ。
部屋の前までラルと来ればよかったな。……あの子なら、彼女なら、何て言うかな。今のぼくを見て。
情けないと怒って、代わりに扉を開けてくれた?
大丈夫だと励まして、一緒に開けてくれた?
それとも、静かに見ているだけだろうか。
どれもあり得そうだな。
ここで、ふと自分のバンドが目に入って、ラルが見送り間際に言った言葉を思い出した。
「……スカイの由来、か」
ぼくらのチーム名はラルがつけた。理由は「空はどこに行っても空だから」だ。これを最初に聞いたとき、意味が分からなかったんだけど。そのあとにラルが「空はどこで見上げても一つしかない。どこまでも繋がっている。だから、空の名前を持つ私達も、離れたって一緒なの」ってふわっと笑って教えてくれた。
「離れてても一つ。傍にいる、か」
ラルらしい励ましだよね。そんな君がぼくは好きだよ。
黒いリボンが揺れるのが目についた。ぼくはそっと端を持ち上げ、軽くキスをする。
「……うん。もう、大丈夫」
『なんでちゅーしたんら』
『てぃー、なんでー?』
「え。なんとなく……手のひらにする感覚だった。うちじゃ挨拶代わりでよくしてたから……あれ。変?」
『いまのはへん』
『るーのこと、あーいらーぶなの?』
それはないと思うけど。……ない、よな?
……? まあ、いいか。
ぼくは立ち上がり、再び扉の前に立つ。
うるさいくらいに鳴り続けてる心臓に抗うように、ぼくは意を決して、手を伸ばした。
その瞬間、触れてもいない扉が独りでに開いた。
……!? お化け的な某様!?
「うわぁぁぁ!?」
「わぁっ! あ、ティールくん……?」
叫びながら後退し、スイを抜剣手前まで構えたところで、びっくりしているアルフォースさんと目があった。
……ま、まあ、普通に考えれば、そうですよ。あっちから開けたんだよ。そりゃそうだわ!! 恥ずかしい!
「あぁぁぁ!!! 心臓に悪いー! お化け嫌いー! この前のやつ! あれがよぎった!!」
『おばけじゃなかったね』
『あるるだねー』
あるる……アルフォースさんのことか。
「お化け……?」
「いえ!! こ、こっちの話です。大袈裟に反応してすみませんでした」
「いえいえ……親方に会いに来たんですか?」
「うっく……え、と。は、はい。……ご、ご迷惑で、なければ……はい」
しどろもどろに答えてしまい、かなり動揺……色んな意味で動揺しているとバレバレである。そんなぼくにアルフォースさんはにっこりと笑うと、部屋の扉を開けてくれる。
「どうぞ。お入りください♪……親方、ティールくんが来ましたよ」
『いっちばんのりー!』
『じっちゃー! きたよー!』
なっ!? お前らぁぁ!!??
アルフォースさんが開けたのをいいことに、スイとセツは水と冷気に姿を変えて、勝手に入っていく。
「ん? おお! 早速来てくれたのか♪ 水泉と雪花もか~♪」
部屋の中からはルーメンさんの声が聞こえる。アルフォースさんが立っているからぼくには見えないけれど。
でも、スイもセツも入っちゃったし、アルフォースさんにもどうぞされたからには、やっぱやめます。なんて言える状況ではない。
さっき、心を決めたはずだ。今更、逃げるなんて、ラルや雫に顔向けできないよ。
「……失礼します」
お昼ぶりにルーメンさんの部屋に入ると、ルーメンさんは眼鏡をかけて、書類仕事をしていたらしい。とはいえ、その眼鏡はデスクの上に置かれているし、周りの片付き具合からもう終わった後みたいだけれど。
「よく来たな♪ さあ、そこのソファに座っとくれ」
「は、はあ……失礼します」
アルフォースさんも一緒に入ったらしく、手早くお茶の準備をしている。
昼はラルも雫も……それに、ツバサやアラシ、リランもいたから、明るくて賑やかだったけれど、今はぼくら三人しかいない。時間帯もあるのか、部屋はしんとしていて緊張感が……
『じっちゃー! もとにもどったのー!』
『てぃー、なんかうれしそーなの! ひろいよねー!!』
……緊張感ってなんだっけ。
「どうぞ、ティールくん」
「あ、ありがとうございます……」
香りからして、ハーブティーだろう。お茶を淹れてくれたアルフォースさんは、ぼくらに向かって小さく微笑んだ。
「それでは、お義父さん。僕はこれで」
「うむ。アルフォースよ、手伝ってくれてありがとの。また明日、頼むぞ?」
「はい。それじゃあ、ティールくん。おやすみなさい」
「あ、おやすみなさい」
静かに扉を閉め、残されたのはぼくとルーメンさん……あと、スイとセツだけ。
あぁ……ついに来ちゃったなぁ。



~あとがき~
ここまで来るのに何話かけたよ。

次回、ティールとルーメンおじいちゃんのお話。
しばらく続きます。

優柔不断なティール、まあ、彼っぽいっすよね。今まで、そういうところありませんでしたが。どちらかといえば、ラルや周りに引っ張られるタイプというか、後ろをついて回るタイプなので、自分自身のことはこれだ! と、決められない感じです。特に自分が苦手なことになるとな。

そして、スカイの名前の由来。これは原作通りです。公開してたか覚えてませんが。
遠い昔にしたような気がするんですよね~
どうだったかな?

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第193話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールのどたばたな夜がスタートしました。スイセツとひと悶着あったり、ラルとひと悶着(?)あったり?
今回もその続きですね。


《Te side》
ラルはむすっとしているスイとセツをドレッサーのテーブル部分に座らせると、旅行鞄から化粧ポーチを取り出す。
「ちょいちょいっと綺麗にしたげる~♪ 女の子は可愛くないとね! こっち向いて?」
「むー!」
「おやおや? 膨れっ面では可愛くできませんな~? それっ」
ニヤリと笑って、メイクブラシ(二刀流)で二人の顔をくすぐっていく。むくれていた二人も無反応とはいかず、肩を震わせて、声をあげた。
「んー!! くしゅぐったい!」
「やぁぁー! るー! だめー!!」
「よぉし! お澄まし顔できるんなら、やめてあげよう! あ、そだ。ティール」
スイとセツは任せて、ぼくもお風呂入ろうかなと思っていたところに、ラルが話しかけてきた。
「家に電話するって話、どうするの? 今ならセイラさんに繋がるんじゃない?」
あっと。忘れてた。
この時間にかけないと、タイミングを見失いそうだ。せっかくだ。色々聞きたい。
「じゃあ、ちょっとかけてみる……でも、家に直接かけると、父上出そうでやだな」
「個人番号にかけなよ」
個人? でも、母上に直接繋がる番号なんてあったっけ? そもそも、私的の端末なんて持っていた?
スイに化粧をし始めたラルは、ぼくの方を見ずに答える。
「つい最近、私が調整したやつ送った~」
「……親友の母親と何してるの?」
「ガールズトーク
電話の内容の話じゃないよ。というか、ガールって年じゃなくない……? というか、初耳なんだけれど? 父上、知ってるんだろうか。
ティールには折を見て教えるって話だったけどね。ブライトさんはどうだろ。知らなそう」
「……ぼくもそう思うよ。あ、じゃあ、ラルの端末貸して。そっちで電話する」
「ええよん。ベッドの上に放り投げてる上着ん中」
はーい。じゃ、失礼しますっと。
ラルのポケットから端末を見つけ、慣れた手つきで操作していく。親切に『セイラさん』と登録されたその連絡先は、ぼくの知る番号ではなかった。
「……こっちから電話するの、いつぶりだろ」
ずっとあちらからの電話に応えるばかりで、ぼくからってのが本当にない。仕事以外でこちらからかけるのは、初めてなのではなかろうか。
ティール、おでんわ、しないの?」
濡れた髪をタオルで拭いていた雫がぼくを見上げる。そんな雫を見て、持っていた端末をベッドに置き、髪の毛を拭いてやる。
「電話するよ。……ちょっと、緊張するけどね」
「ふにゅう~……だいじょーぶ! だって、ティールのママだもん。ティールがやさしーから、ティールのママもやさしーもん。だってね、このまえ、おはなししたときもね、やさしかったよ?」
「……そうだね。ぼくの母さんは優しいよ。いっつも。ほら、できたよ」
「ほわ! ありがとー!」
大体、拭き終わったところで、ぼくは決心が鈍らない内にコールボタンを押した。
これで出なかったら、徒労に終わるけれど。その心配はなさそうだ。数回のコールで相手が出る音がした。
『は~い♪』
「……もしもし。ティールだけど」
『あら? ラルちゃんの番号なのに……?』
「ラルの端末からかけてる。これの存在、初耳なんですけれど、お母様?」
『私もプライベートがほしかったってこと♪ 今度、ティールにも教えてあげるっ』
プライベートねぇ? まあ、いいけれど。王族としてプライベートなんてないに等しい気もするし。少しくらいは息抜きできる手段があってもいいだろう。……と、思う。
『何かご用ですか~?』
「母上……母さんに聞きたいこと、あって……あ。父上、そこにいる?」
『ん? 自室でまだお仕事中。休むって言葉、知らないのかしら。……ティールは、お父さんに用だった?』
「いや。いない方がいい」
『あら、やだ♪ 正直ですね』
くすくすと小さく笑う母に、なんか恥ずかしくなってきたぼく。もう少し繕うべきだったんだろうか。……いや、無理だな。
「この前の連絡で仕事あるって話。覚えてる?」
『ええ。夏休み入ってすぐにあるって話でしょう?』
「そう。その仕事で今、明けの明星に来てる。……母さん達がお世話になってたとこ、だよね。そう親方さんから聞いた」
『あぁ~♪ ルーメンお爺様♪』
お爺様ねぇ……ルーメンさんの言ってたことは本当だったんだな。疑ってはなかったけれど、家族から聞いた訳じゃなかったから、本当に仲良しなのかもピンと来てなかった。けど、この反応は本物だな。
「こんなところと縁があったなんて知らなかったよ。なんで教えてくれないの?」
『タイミングがなかったのが一つ、かしら? それにティールがこちらにいたとき、ルーメンお爺様と会わせるタイミングもなかったんですよ』
それを言われるとなぁ……そうだよねと思うしかない。だって、親と距離取っていた頃だ。周りの人間関係なんて知る機会、なかった。
「……じゃあ、ルーメンさんのところで修行してたって話とか、お祖父様とルーメンさんが旅してたってのも本当?」
『ぜーんぶ、本当♪』
うぅ……ま、そうなるか。
『ルーメンお爺様とアルド様が仲良しになってから、うち……海の国と陸の国とも交流が多くなったと聞きます。きっと、あの二人が気の合うやんちゃさんだからね♪』
や、やんちゃ……?
『ん~……もし、私達の話が気になるのなら、ルーメンお爺様にお聞きするといいわ。きっと、面白おかしく教えてくれますよ? 正直、ティールには恥ずかしくて言えないようなことも、ころっと言うんじゃないかしら? ふふ。ブライトなら、ぜぇったいに教えてくれないようなこともね? お父さん、あなたにはカッコ悪いところ、見せたくない見栄っ張りですから』
えぇ? 父上がそんなタイプには見えない。失敗とか、そういうのもあるような人には見えないけどな。常に完璧で、真面目で、厳しくて。
『あら。あの人はそこまで機械じみてないわよ。なんて、信じられないか。それこそ、ルーメンお爺様がよく知っています。機会があるなら、持ちかけてみてね』
う、うん……
ぼくは母さんの言う、機械じみたところしか見てないんだけれど……本当なんだろうか。申し訳ないけれど、全く信じられない。
「でーきた! ほれー!」
「せっちゃー! かわわー!」
「すいちゃー! かわわー!」
「ふたりともー! ほんもののよーせーさんみたい!」
ん? あぁ、ラルのスイとセツのご機嫌取りが終わったのか。
電話越しでもラル達の声が聞こえていたのか、母さんの笑い声が聞こえてきた。
「ごめん。うるさくて」
『いいの。元気な声が聞こえてきて、こっちまで楽しくなっちゃったわ。ティール、お仕事頑張ってね。また何かあれば連絡してください。あなたは私の……私達の大切な息子なんだもの』
「うん。……ありがとう、母さん。じゃあ、近いうちにそっち行く」
『えぇ。楽しみにしています』
母さんとの通話を終わらせ、ぼくは皆のところへと近づく。
「みてー! てぃー! るーね、すごいの!」
「かぁいくなったー!」
ラルが器用に二人のことをメイクアップしたようだ。メイクを軽くしただけではあるが、髪の毛も三つ編みを使ってアレンジしてある。スイもセツもお揃いのヘアスタイルだ。
「似合ってるよ、スイ、セツ」
「よかったね、スイちゃん、セツちゃん。ティールに褒められちゃったよ~♪」
「んふふー!」
「るー! しゃしーん!」
「まっかせろー! ティールと撮ったげる」
え。ぼくはいいよ……
遠慮したかったのだが、二人は撮る気満々で、ぼくにぴたっとくっついてきた。ここで逃げるのはかわいそうすぎるよな。写真だけだし、いいか。
「……雫もおいで。というか、写真、タイマーにして皆で撮ろうよ。できない?」
「え、できるけど。……じゃ、そうするか。ほれ、皆並べ!」
「わー! みんなでおしゃしーん! かぞくしゃしんみたいだ!」
家族写真ね。それにしては、半分が風呂上がりだし、お家感満載だけれど。それはそれで楽しいか。
ラルがセットしたカメラでパシャリと一枚の写真を撮った。
いつの間にか、二人のご飯の恨みはどこかへいってしまっている。ラルさん様々である。本当に、頼りになる相棒だな。



~あとがき~
ようやく、わやわやっとしたのが終わった。

次回、ティールはルーメンおじいちゃんのところへ出向くか否か……?

今回、ガッツリセイラが出てきました。
ティールのマッマですね。セイラ・クランドさんです。ご本人登場はまだまだ先になるかと思いますが、出てくる機会はございます。
夫のブライト差し置いて、セイラが先に出てくるとは思いませんでした。出るなら同時かなと思ってたので(笑)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第192話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどたばたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、夕食が終わり、今回は再びスカイの面々のお話です。
ぎゃーぎゃーしてる感じをお楽しみください。
今回はちょっとアレなところもありますので、苦手な方はご注意を。ま、フレーバー程度しかないし、描写もあんまないけど。
具体的にはラッキースケベ的なアレです。高校生っぽ~い←?


《Te side》
ラルと雫と共に豪華なお部屋に戻ってくると、ラルはハルさんからお詫びとしてもらったアップルパイを冷蔵庫にしまう。
「えー? アップルパイ食べたい」
「あとでな。あとで」
え。アップルパイは別腹じゃん……?
「アホか! もろもろ落ち着いてから食べるから待て! さあ、しーくん、お風呂入るよ~? 準備して~」
「はーいっ!」
む。厳しいお母さんだなぁ。つまみ食いしたら、これでもかと怒られるし、大人しく待つか。
ベストを脱いで、近くにあった椅子の背もたれにかける。そういえば、外したネクタイはどこへやったんだったか。
ぼくがネクタイを探していると、お風呂の準備をしていたラルがその手をとめ、首を傾げつつこちらを見た。
「あ、先入る? 私はどっちでもいいんだけど」
「いや、いいよ。ラル達で入ってきて」
「OK」
「いーよ! ラルー!」
「よぉし! おっきいお風呂にいっくぞー!」
「とつげきー!」
お、お風呂は戦場だったのか……知らなかったよ。……さて、ネクタイは~?
「てぃーのネクタイはあずかったー!」
「あずかったぞぉ!」
「……何してるの、お前ら」
ふよふよ浮いているスイとセツが、膨れっ面でぼくのネクタイを持ち上げていた。先程の夕食でご飯あげなかったことを相当根に持っているようだ。
「くれなかったうらみー!」
「うらみー!!」
「食べたら、今後もあれがなんだ。これが食べたいだと騒ぎ続けるだろ。食べれもしないのに」
「むむうー!」
「でもでも、こんかいだけなら、おためししたかった!」
まあ、その気持ちは分からなくはない。
滅多にできないことなら、やらせてあげたいけれど、この姿は今回限り(の予定)だ。つまり、後にも先にもこれ一度きり。
「食欲は恐ろしいんだよ。お前らには分からない……いや、今、その欲に飲まれているけれども。よぉく考えろ? もう二度と食べられないんたぞ? でも、お前らの主は……ぼくも含めて、未来の主様達は美味しそうにあれこれ食べるんだ。耐えられる?」
「うにゅっ」
「知らない方が幸せって言葉もある」
「にゅにゅっ!」
「今後の聖剣としての生活の中で、何十年、何百年、何千年とその拷問に耐えられると断言するなら、何か食べさせてもいい。けれど、おすすめはしない。人の三大欲求の一つだぞ? 食欲って」
この前のサバイバルでアリアのやつ見たろ。怖いんだって。
「うみゅうぅぅ!! てぃーのいじわるー!!」
「いじわる! いじわる!!」
お前達の今後のためだよ。許せ。
……なんて。ぼくがスイとセツの我儘、聞きたくないだけってのが大きいけどね。完全に私情なんだけど。
観念したのか、スイとセツはネクタイをぽいっと投げ捨てた。そして、ぴゅーっとお風呂場へと飛んでいく。
あ。あれは全く観念してないやつだ。
「あ、そっちは……っ!? 駄目だって! こら!!」
「るー! しー! てぃーがいじめりゅうっ!!!」
「せっちゃ、すいちゃもかなしーの!!」
まてまてまて!! それは駄目だって! 開けんなっ!
スイとセツが器用に浴室の扉を開け、風呂場へと乱入。二人を追いかけたぼくも、浴室を……彼女らを目の当たりにするわけで。そうなれば、当然、ラルの悲鳴が聞こえてくるわけで。
「きゃあぁぁぁ!? スイちゃんにセツちゃ…………ちょ、ティール!?」
彼女の悲鳴と同時にぼくは背を向けた。そして、なんの主張になるのか分からないけれど、両手をあげた。完全にパニック状態だ。
「み、見てない!! 大丈夫! 湯気で何も見えてないです! 隊長!!」
「そこじゃねぇわ! バァァカ!!!」
「ですよね!? すみません!!」
うわあぁぁ!! 家では気を付けているのに! 一回やらかしてからは! 気を付けていたんですけど……で、でも、これは不可抗力だよね!? スイとセツが乱入して……たまたまだし。
「ほわあー! スイもセツもおふろ、いっしょするー? ティールもいっしょ?」
「この二人はともかく、ティールは駄目! ティール! そのまま後ろ向いたまんまで! 扉を閉めろ!!」
「さーいえっさ!」
え……返事したはいいけど、む、難しくない? いや、やり遂げます。任せてください。だって君の相棒なので。君の命令には従うよ。だって、ぼくらのリーダーだもの……! リーダー命令、絶対……!
なんとかして、扉を閉め、ぼくは部屋の隅っこへと即座に移動。爆発しそうな心臓を鎮めるため、何度も深呼吸をする。
ようやく落ち着いてきた頃、ぼくはソファに倒れこんだ。
「ら、雷姫さんやラルの電撃が飛んでこないだけまだ、優しい対応……くそ。あいつらめ」
『あのまま、ラルのことを自分だけのものにしてしまえばいいのに』
この一連の出来事を見て、面白かったのだろう。すくすく愉快そうに笑う女神の声が心に響く。
彼女の加護を持つからか、武器を持っていなくても、姿を現さなくても、会話だけなら可能だ。それでも、ほぼ干渉してこないんだけれど。
「やめて。ラルは親友だ。そんなこと、ぼくは望んでない。……ねえ、白雪?」
『なあに?』
「あの聖剣達がまた人になる……あの姿になることはあり得るのかい?」
『ラルも言っていた通り。聖剣は人の形を知らない。今回は膨大な魔力を持つ白狐ちゃんの魔力を、たまたま吸った眷属に作用しただけのこと。……偶然の産物。二度はないわ。だって、眷属達は元から剣だもの。元々の姿を持つ、あの白竜ちゃんや人の魂を知る雷の姫、女神としての私とは違う』
「……そっか。ツバサがやろうと思っても?」
『魔法を一から作り出す白狐ちゃんなら、あり得なくはない。この世界には奇跡という言葉があるから。でも、その奇跡くらいのことを起こさないと駄目。希望は捨て置くのが一番ね』
……そうだよな。
もし、そんな魔法ができたとして、ぼくは魔法を使えないし、ツバサ以外にできないのなら、意味はない。スイやセツの望むときに変えてあげられないのだ。
『ふふ。主は優しいわ。自分は嫌でも、もう一度があるなら、望みを叶えてくれるのね?』
「ほんとは嫌だけどね。うるさいし」
『そういうところ、好きよ。我が主様』
うっさいな。
「突っぱねたけど、正解かい?」
ティールの言っていることは正しいわ。聖剣はこのあと、長い時間、存在し続ける。だから、一時の儚い夢は見ない方が幸せ』
……そう言われると、間違っていたような気もするな。一生に一度なら、やらない後悔よりも、やったあとの後悔……って言うし。
『甘えさせなくていいわよ。眷属も何も分からない子供ではないもの。私からの命令。いいこと?』
つ、冷たい……けど、二人の上に立つ白雪がそう言うなら。
『ふふ。……あら、愛しの彼女が帰ってくるわ。またね、我らの未来の王よ』
あーはいはい……しばらくないよ、白雪との会話なんて。
……ん? 愛しの彼女?
「んふふ~♪ ティールくん? さっきはなぁにしてたのかなぁ?」
「きーもちよかったー!」
お風呂から出てきた雫とラル……いえ、ラル様は家から持ってきた自前のルームウェア姿。薄手のパーカーの上着に、シンプルなシャツ。そしてホットパンツからはすらりと伸びる白い足がとてもお綺麗です。
外では素肌を見せないラル様ですが、完全に家でのリラックスモードですね。
ちなみに、雫はマリン柄のパジャマ。これも家でよく着るやつだ。
あ、あー……ラル様も女の子ですね~……ご自分で美少女宣言されますが、それも間違いじゃないなーなんて……あ、あはは。
「世辞はいらん」
すみません。黙ります。
「貴様に裸見られるのは、一緒に暮らしている仲だ。寛大に許してやろう。だがな、突然扉開けて見るのは、なしじゃないかい? 見る宣言してくれ」
「え? み、見る宣言とは……?」
「あぁ!?」
「な、なんでもないです!! 次から宣言します!!」
……待て。何、言わされてるんだ。え? 見てもいいですかと言えば、見せるの? 嘘だろ? え、駄目だよ。他の男にそんなこと言っちゃ駄目だからね!?
ラルのゴミを見るような冷ややかな目線から、ころっといつものくりくりっとした愛らしい目に戻る。そして、ぺろっと舌を出した。
「……ま、あれが事故ってのは分かってたんだけど☆」
「わ、悪ノリが過ぎます、ラル様ぁぁ!!!」
「ごめんごめん! ちょっと楽しくなってきちゃってさ。それに、スイちゃんとセツちゃんをいじめた罰として許してね♪」
「そーだそーだ!」
「てぃーのばかー!」
ラルのフードからひょこひょこっと現れた、今回の原因達。くっそ。被害者面しやがって。
ティールは二人のことを考えて言ってくれてんだよー? できないって分かってて見てるの、辛いからさ」
「むにゅう~……」
「るーまでいじわゆ~」
「食べるのはあれだけど、他の今しかできないこと、してあげる! ちょっと待っててね~?」
? 何するんだろう?



~あとがき~
学生と言えば、ラッキースケベやで( ^ω^ )

次回、ラルのスイセツ説得とティールのお電話回。
全く本題にいかないです。

前の休日回でも言ってましたが、ラルはティールに対するハードルというか、されてもいいやって思う壁が低いです。何年も同棲してるからってのと、信頼しているから。あとは、ティールが好きなので、何かされてもそれはそれ、と思っているところがあります。
まあ、ティールは紳士(?)なので、危ない場面なんて一切ないんすけど……(笑)

ではでは。