satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第81話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわやわやっと過ごす話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回は本当にただの繋ぎでした。ひとっつも進んでませんが、レイ学世界でのスカイの紹介的な何かを突っ込みました。有名な探検隊の一つやでってのを知ってくれればええで!
さてさて、今回はメインシナリオ進めようね……(笑)
今回はこちらの都合により、ラル視点に戻します。こっちの方が分かりやすいと思いますので!


《L side》
お昼時で一層、賑わいを見せる屋台から全員が好きなものを手にし、そろそろ会場付近に戻るか、と話をしていた頃。つけっぱなしにしていたインカム……ではなく、制服のポケットに入れていた個人的の持ち物である端末に着信が入った。これで話してもいいのだが、周りが騒がしいために、予め端末と同期させていたインカムで通話を繋げる。この方法だと、誰から来たのか、声を聞くまで分からないのが難点ではあるが。
「もしもし? どちら様です~?」
歩きながら、呼びかけてみると、あちら側から落ち着いた声が聞こえてきた。
『会長、ユーリです』
「およ。どうしたん? こっちで連絡して……あ、通信機持たせてないな。ごめん」
『はい。予選勝ってしまったので。生徒会の仕事ができずに申し訳ありません』
大会出場中のユーリ君とキーくんは仕事免除中だった。そんな彼がインカムも通信機も持っているわけがないな。
「いいよ。トーナメント戦も頑張ってね。……それで? 要件は?」
『簡潔に述べますと、噴水広場に設置してある休憩スペース付近にて、事故……といいますか、トラブルが発生しています。原因は探検隊同士のいざこざですね』
「はあ!? 馬鹿じゃないの?」
『それを僕に言われましても……』
そうだね! ごめんね!?
思わず叫んでしまい、一緒に歩いていたアラシ君達が私の方を振り返る。全員不思議そうにしていたり、怪訝な表情を浮かべていたりだ。
「ラルさん?」
「んっと、ツバサちゃん、ごめんね。ちょっと待って。……状況は?」
『たまたま近くにいた、イグニース先生とリア先生が対処に当たってくれています。現場に居合わせた生徒会役員は、先生の指示でお客様の整理等しています。そのお陰でお客様から怪我等の被害報告はないですが……何と言うか、問題が』
「問題? イグさ……先生がどうにかしてくれているなら、それも直に収まるでしょ。私が出向く必要ある?」
『あぁっと……少しややこしくて。できれば、会長には現場に来ていただけると助かるのです。僕達じゃどうしようもなくて』
うぅん? 話が読めないけれど、いざこざのせいで別問題が発生しているという認識でいいんだろうか。それをどうにかするためには、イグさんじゃ駄目……なのか? あの人で駄目ってもう無理なんじゃね? 理事長とか呼べ。何とかしてくれるよ。多分。
しかし、戸惑いの混じるユーリ君の声を聞いていると、大丈夫なんて笑い飛ばせる状況でもないのは明白だ。それに、自分で見た方が言葉で聞くより分かりやすいだろう。
「……今から向かう。ユーリ君は私が行くまで先生達から指示を仰いで」
『了解です』
ユーリ君からの通信を切ると、今まで黙っていた皆を見据える。
私の発言だけを聞いて、状況を察しているのは、相棒達だけだ。
「ぼくら、どうすればいい?」
「昼にやめろよ~……トラブル嫌いで~す」
「私と噴水広場の休憩スペースに直行しろ。……ツバサちゃん達はどうする? イグさん達の手伝いすることになったんだけど、来なくてもいいよ。危ないかもだし」
危ないというフレーズに引いてくれるかと思ったけれど、先に手を挙げたのは真剣な表情のツバサちゃんだ。
「私も行きます! イグ兄がいるなら、師匠もいると思いますし、お手伝いできることもあるかもしれませんから。それに、私も生徒会の一人です!」
その言葉は、私に訴える……というよりは、アラシ君に向けたもののように聞こえた。危険なところに行くのは、アラシ君的になしだろうが、返した言葉は意外なものだった。
「……ま、兄貴がいるなら、多分大丈夫だろ」
「面白そうだし、俺らもついてくけどな! いいだろ? ラル」
アラシ君と肩を組むような形で、レオン君が申し出る。ツバサを連れていきたいなら、俺達も連れてけ! 的な感じだ。ユーリ君の話から、怪我人は今のところいないらしいが、収まるまで一人も出ないとは言い切れない。そのため、貴重な回復要員のツバサちゃんの申し出は正直なところ、ありがたい。
……現場にはイグさんとリアさんもいる。大丈夫か。
「分かった。一緒に行こうか。ツバサちゃんは生徒会だから、まだ言い訳が立つけど、アラシ君とレオン君は変に手を出さないでね?」
「分かってるって! サンキューな!」
噴水広場方面に向かって歩を進める。人の多いこの状況で全力疾走はできないものの、できる限りのスピードで現場に向かう。私の隣にいたティールが少しだけ、心配そうにしていた。
「いいの? ラル」
「多人数まとめるのが私だしねぇ……問題ない。それに、私達のお兄ちゃんが対処してるなら、出番はないよ」
「確かに。……了解だよ。会長」

そこまで離れていないため、連絡を貰って数分と経たずに休憩スペースへと到着した。アラシ君達には、『探検隊同士のトラブルをイグさんがいさめているらしい』という、簡単な説明だけをしてある。
そして、休憩スペースには本来なかったものがそこにはあった。ドーム状にスペースの一部を覆う結界が存在しているのだ。
「多分、師匠の張った“シールド”ですね」
と、ツバサちゃんが一言。
リアさんの魔法で作られた結界は、恐らく、周りに人を入れないようにするための物だ。結界に近付かないようにと、何人かの生徒会の子達が人の整理をしているのが分かる。これも、二人の先生の指示だろう。結界の外には野次馬と思われる人々が多くいるが、その人々の隙間から結界内の様子も、遠目ながら窺えた。中には、得意武器である大剣を携えるイグさんと、見知らぬ男性一人。こちらは片手剣だ。
「何してんの、兄貴。……え、武器持ってるんだけど」
単純な話し合いでその場を収めていると考えていたらしいアラシ君から、驚きと戸惑いの混じった呟きが漏れる。私もアラシ君と同じ考え……というか、可能性を願っていたけれど、それは叶わなかったようだ。
「イグさんはいいけど……リアさんはどこだ。フォース、探せ」
「もう終わってる。人が多すぎて気持ち悪いけど。……こっち」
人の探知能力を持つフォース君の先導で、リアさんと合流を計る。野次馬を掻き分け、─体の小さいツバサちゃんは、アラシ君がどうにか、かばいつつの移動となってしまったが─なんとか全員、たどり着いた。そこにはリアさんの他に、連絡をくれたユーリ君とキーくん、リリちゃんがいる。そして、二人の男性の姿も。この二人は、話に合った探検隊のいざこざに巻き込まれた人だろう。
色々気になる点はあるが、とりあえずやることは一つだ。
「リアさん! それに、ユーリ君も! 詳しい説明求むですよ!!」
「ラルちゃん!……あら。皆も、来てくれたのね」
リアさんの周りに人が近づかないようにしているのか、ユーリ君とキーくんが人払いをしているようだ。理由は巻き込まれたと思われる二人の治療をしているリアさんとリリちゃんのためだろう。彼らは意識があるのか、時折、呻き声が聞こえてくる。命に別状はないだろうが、軽傷とは言えないくらいの怪我だ。
「すみません、会長。説明はリア先生から伺ってください。僕とイツキは野次馬整理に向かいますので。……イツキ」
「おけ! じゃ、先輩方、後はお任せしま~す♪」
私達が来たから、この場は任せるのだろう。ユーリ君とキーくんは人払いに四苦八苦しているところへと向かうために、この場を離れてしまう。元々、昼休憩で警備の人数もギリギリまで減らしてしまっている。こちらに連絡が回らなかったのも、イグさんやリアさんがいたから、後回しにしていたのだろうか。それとも、私達が昼休憩するからとか言ってしまったのが仇に……いや、今考えることではないか。
「オレ、赤髪が勝つに百賭けるわ~」
「あ!? ずっりぃー! 俺も赤髪に賭けるつもりだったのに!」
周りからは目の前で起こっているものが、何かのイベントか何かに見えているらしい。まあ、イグさん達がそうなるように気を回したんだろうが、これはこれで面倒臭い。いやまあ、本気の喧嘩をされるよりはましなのかもしれないけれどもだ。
「なんか、すっごいことになってんなぁ~♪ こういうのも祭りって感じするけどさ」
「呑気なこと言うなよ、レオンのアホ」
「んだよー! つれないなぁ、アラシは!」
「うっさいなぁ……つか、うちの兄貴は探検隊相手に何してんだ、マジで」
ほんとにな。
イグさんは自分に突っ込んでくる男を適当にあしらいつつ、適度な距離を保っていた。完全に手加減している図だ。
「邪魔すんな、炎鬼!」
結界内での会話も聞き取りにくいものの、全く聞こえない訳でもないらしい。片手剣持ちの男がイグさんに向かって叫ぶ。それにイグさんは笑って答えた。
「べっつにいいんだけどさー……そろそろやめにしない? 時間は有限って言葉もあるしさ」
「うるせえぇぇ!! ここで終わらせてたまるか! 俺の気がすまねぇんだよ!」
相手は随分とお怒りのようで。そうなった理由は、ここにいる二人が噛んでいそうだ。その二人は今は大人しく、リアさんとリリちゃん、そしてそこに加わったツバサちゃんの手当てを受けている。一人は紺色の髪に、額には角が一本生えており、もう一人は藍色の髪に角が二本。二人とも、鬼族の特徴に一致する。
「イグニースが仲裁に入ったんだろうが……元々はあの結界内の男とこいつらの喧嘩だったのか?」
状況的には、そう判断するのが普通。いや、いい年した大人が学園内で喧嘩とは、示しもつかないが。
「……あっ! どこかで見た気がすると思ったら、ゲストの二人か! イグ先生達の知り合いの」
ここに来てからずっと黙って考え込んでいたティールが、ようやくその内容を引っ張り出せたらしい。そのゲストという言葉と姿を見て、私も思い出す。
トーナメント戦で、あるゲストを招いていると聞かされていた。それがここにいる二人なのだろう。確か、名前はチーム『ヒナギク』。紺色髪のピースさんと藍色髪のスペラさんによるコンビの探検隊だったはずだ。直接の面識はないが、名前くらいは聞いた気がする。
「えぇ、そうなの。……そっか。ティールくんは資料を見たのね?」
「事前に誰が来るかは一応、知らされましたので。で、あそこにいるの……は、あれもどっかで見たことある気が……あ。タイガ、か?」
「タイガ? あー……適度に絡んでくるウザい人? 記憶から抹消してたわ。会わないし」
「前に中身のない暴言を吐き捨てた人でしょ。あはは♪ なっつかしいねぇ」
あ、ヤバイ。ティール様、ご立腹気味だぞ。
ティールさん、お、怒ってます……?」
「はわ! 会長様のお怒りモードは見るけど、ティールさんはなかなか見ないですよ!! レアですの!」
「そ、そうなんですね!」
ツバサちゃん、そこに感心しなくていいぞ。
このまま放置していると、装備していない愛剣呼び出して、飛び込みそうなティールを落ち着かせるために、私は彼の腕に自分の腕を回す。
「まーまー、前だから。何年か前の話だから。落ち着けー? ねー? 結界張ってあるし、私達に手出しはできないよ~」
「分かってる。……それで、あのタイガさんが何を? あの人、沸点低いし、プライドも馬鹿みたいにあるので、予想はつきますけれど」
「刺々しいティールも珍しいな~♪」
「レオン、ちょっと黙ってろ。……リアさん、一から説明お願いできますかね?」
「えぇっと……何から話そうかしら。私とイグはお昼ご飯を一緒に取っていたのよね。……それで、そうね」
少しだけ考え、リアさんは口を開いた。
「まず、ネタバレみたいになるんだけれど、今回の大会ではあるゲストを招いてて、それが、ここにいる二人。ピースくんとスペラくん」
ある程度、手当ての終わった二人が私達に向かって気まずそうに会釈した。
「それで……ティールくんも似たようなこと言っていたけれど……彼、二人がゲストに選ばれたことをよく思っていなかったみたいなの。それで、二人に怪我をさせて……それを止めに入ったイグにも八つ当たりを。『ヒナギク』を推薦したのもイグだったから、かもしれないわ」
心狭すぎか。
しかし、状況は把握した。ヒナギクの二人を怪我させたのはあのタイガという探検家で、半分逆恨みにイグさんにも喧嘩を吹っ掛けたということだ。推薦者がイグさんだったという情報を、彼が知っていたかはともかくとして、大会中にこのような事件を起こすとは、とんだ迷惑者である。



~あとがき~
長いから切りました。
そして、思った以上にぐっちゃぐちゃですね。いつか書き直そう……

次回、暴れているタイガをイグさんはいかがいたすのか……!

新キャラです。ヒナギクのピース、スペラとイグさんと戦ってるタイガ! ヒナギクはともかく、タイガの描写をほぼしていないという状況です。次回、やりましょうかね。忘れてなければ。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第80話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で平和に過ごす話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回は、アリアちゃんの真骨頂を見てしまったラル達でした。そして、まだまだ続きます。昼休み。
ラル「残り二十話で百話に達するんですが、お気持ちを~」
いやぁ……定期的に出しているとはいえ、早いっすね。今だけだろうけど。
ラル「それな」
レイ学世界では夏にもなってませんが、お付き合いくださいませよ~♪
今回は久しぶりのアラシ君視点です。


《A side》
男子二人を連れ、屋台の広がる方面へとラルは消えていった。屋台会場は広いし、アリアと出くわすかは分からないが、そこら辺はあの三人は気にしないだろう。仮に見かけても話しかけない……と思う。さっきの話を聞いたしな。
「そいやぁ、アラシ、ご飯買いに行く? だったら、俺の分もよろしく~」
「はあ? ふっざけんな。自分で行け」
「ちぇ……優しくねぇなぁ」
うるせぇ! 集るつもりの癖に。騙されてたまるか。
ぶーぶーと文句を言うレオンを適当にあしらっていると、ツバサが俺の制服の裾を軽く引っ張ってきた。
「アラシ~……」
少し甘えるように俺を見上げる。それだけで何が言いたいのか予想がついた。
「はいはい。ラル達と行きたいんだろ? なら、早く行かないとな。外に出られると見失うかもだし」
「! うんっ! 行こ、アラシ!」
ツバサはパッと顔を輝かせ、アリア、ラル達が先に歩いていった通路を走る。あいつがスピード出すと、とてもじゃないが追い付けなくなる。急がなくてはと言ったが、そこまでダッシュする必要もないだろうに。俺も走るのか。
「レオンはどうするんだ? ここにいても飯は買ってこないけど」
「買ってきてくれないんなら、一緒に行くしかないだろ~? アラシ君ってば、優しくないんだからぁ」
わざとらしい。むっかつくわ。こいつ。
部屋に残るらしいミユルとシエルに、外に出てくると伝え、俺とレオンで先を走るツバサを追いかけた。こうなる前にラル達に一緒に行こうと提案すればよかったのではと、今更ながらに思いながら。

先を行くツバサには途中で追い付き、三人で会場外出口を目指した。会場外に出ていたらどうしようかと思ったのだが、三人は案外近くにいた。
通行の邪魔にならないところに三人で固まっていたのだ。どこへ行くのか相談していたのかもしれないし、全く別の理由かもしれないが。とりあえず、俺達はラル達に追い付けたようでホッとした。
「みなさーん!!」
ツバサの目一杯の叫びに、三人がこちらを振り向いた。
「お~……お揃いで。どうしたの?」
「ツバサがお前らと一緒に行きたいって言うから、走ってきたんだよ。先に行かれたら面倒だろ?」
「あーそういうこと? それならツバサちゃんに渡した通信機で呼んでくれてもよかったのに」
「……あっ! そっか!」
ラルに言われて思い出したらしく、制服のポケットから通信機が出てくる。恐らく、生徒会メンバー全員に渡されているもののようで、ツバサも例外ではないようだ。ツバサの通信機を見て、ラルは苦笑する。
ティールはインカム外してるけど、私とフォース君はつけっぱなしだったから。ツバサちゃんに渡したやつだと、ここにいる三人には繋がるようになってると思うよ」
確かにラルとフォースは片耳にインカムをつけていて、ティールは外しているみたいだ。恐らく、ティールは完全に休憩時間で、ラルは司令塔だから常時つけていなくてはならないのだろう。フォースは……なんだろう。外すのが面倒なのか、担当時間だけど、こっちにいるのか。
……うん。両方あり得そうだ。
「まあ、いいや。今度から何かあるなら、それで呼んでくれていいからね」
「は、はい。すみません」
「ラル達はここで何してたんだー?」
レオンの質問にティールが困ったように笑う。
「んと……ステラとリーフと待ち合わせしてたんだ。せっかくのお昼だから一緒にって……思ったんだけど」
「待てど暮らせど、そのお二人が現れないってわけ。この混雑だし、仕方ない気もするがな。すぅ達も子供じゃないから放置でもいい」
流石、フォース。冷たい言葉をずばっと言うなぁ……
それに賛同するわけではなさそうだが、ラルも少し唸りながら話し始める。
「このまま時間を浪費するのもあれだよね~……先にある程度買い出しに行くか。そっから合流しよ。お昼は一時間だけだもん。フォース君はよくても、私とティールは食べなきゃ死んじゃいます~」
「これくらい我慢できるよ。ダンジョン潜りっぱなしでも問題ないだろ?」
「それと比べる? ダンジョン内はあれよ。アドレナリン出まくりだから、気にならないんだよ」
「あー……一理ある」
ダンジョンあるあるを聞かされても、探検隊でもない俺達に伝わるわけではない。黙っているしかないのだが、レオンがうんうんと頷いていた。
「俺も遺跡調査とかでずっと作業してたら、時間忘れるし、飯食わないな~♪ それとおんなじってことだろ?」
「そゆこと~♪」
ちょっと、同調できない。
「さて、ツバサちゃん達も私達と一緒に行くんだよね? 早速、行きますか。目的地はある? ないなら適当にご飯屋台巡るけど」
「特にはないです。でも、何か美味しそうなの食べたいです! せっかくの屋台ですもん♪」
「OK! じゃ、歩こっか♪」
ステラとリーフと回っていたときに、買い食いしていた気がするが……そこを突っ込むのは野暮なんだろう。恐らくだが。
六人と少し大人数だが、たくさんの人が行き交う道を歩きながら、進んでいく。屋台を見ながらだから、ややゆっくりとした足取りである。
周りに全く興味がないらしいフォースが、全員の足取りに合わせて歩いている中、思い出したように口を開いた。
「あー……レオンとアラシは勝ち上がったんだよな。おれは見てなかったけど。……今年の一年は豊作なんかねぇ?」
確かに。勝ち上がった八人の中で、三年は二人だけ。残りは二年と一年。普通に考えれば、三年が多くなると予測しているものだろう。俺もその考えは一応は、あった。
フォースの言葉に答えたのは、ティールだった。
「それもあるかもしれないけど、Bブロックに三年が固まってみたい。こればっかりは時の運だよ。偉い人達のアピールの場なのに、三年があまり残っていないのもどうかと思うけれど……後輩も今のうちに存在感見せつけておいて損はないだろうね」
後輩と先輩の親睦を深めるという目的と、大型ギルドや研究施設、有名教育機関等へとアピール……先輩方の将来ががらっと変わる……かもしれない、この行事は、一大イベントなんだろう。一年の俺には遠い話のように思える。
「……仕事する気があるなら、か」
「そうだね。ギルドに所属したければ、こんなチャンスないから。ぼくらにはあまり関係ないかな」
「私とティールは卒業しちゃったもんね。今更、入り直す気もないし」
「ふーん? そうなんだな。じゃあ、ラル達はフリーってことか?」
「そそ。一通り、中等部卒業と一緒に終わらせたからさ。とはいえ、これ以上、隊員を増やすつもりはさらさらないよ。私ら含めて、もう七人抱えてますもの~」
「ほえ? それ、多いんですかね?」
「探検隊としてなら多いかな。本来、ソロか……多くても、一度に編成組めるのが四人だから、三、四人ってところだね。私の率いる探検隊は、私とティールがメインで、言ってしまえば、残りはサブ扱いなのよ。別動隊って言った方がいいか」
つまり、メインどころの依頼なんかはラルとティールがやるけど、同時進行で別依頼も請け負う人がいる……ってことか?
俺の呟きに、ラルが嬉しそうに笑って頷いた。
「そうだね。チーム内でも得意な分野で仕事してもらう! みたいな。仮にツバサちゃんが私のチームにいたら、魔法関連のお仕事担当……とか。そういう分け方をするの。もちろん、仲間を信頼しているからこんなやり方をしてるんだけどね。メンバーがリーダーの目の届かないところに行くってのは、リスクもあるから」
何かあったら駆けつけられない……とか、かな。
「はわわ……ラルさんって、すごいんですね! そんなチームのリーダーさんってことですよね?」
「一応はね~……ひっそりとやってるだけだよ」
なんて言うラルを横目に、チームの一員でもあるティールとフォースがぼそっと呟いた。
「ひっそり? ひっそりしたか? おれら」
「ここ一、二年はひっそりもしてない」
チームメンバーである二人はラルの言葉に納得していないようだ。
俺は探検隊に詳しくないが、それでも、ラルの率いる探検隊『スカイ』は、この辺じゃよく聞く名前だ。その理由の一つに、ここに冒険科があるからだろう。学生と平行して活動している人は少なくないと聞くが、大きく名を挙げるのは簡単ではない。実績を得るには、現場に出て成果を挙げなければならないのだ。そのために、技術を身につけ、知識をつけ、力をつけなければならない。
そんな世界で、現役学生且つ、確実な実績を残すスカイは探検隊を目指す生徒達の憧れの存在だろう。それに、生徒会で役職持ちと来れば……ひっそりとなんて難しい話だ。
「私は適度な休みと探検しか望んでないよ!」
「探検ってところには同調する。……ぼくらの場合、環境や仲間にも恵まれたと思うよ。運も実力のうち、だね」
「そうだろうけど……ティールに運もとか聞きたくなかったなぁ。一番、運がないじゃない?」
「うっ……そんなことは……」
言葉に詰まるってことは、自覚があるか、心当たりがあるんだろうな。認めるかどうかは、また別の話だ。



~あとがき~
単なる繋ぎ回。

次回、事件でも起きます(適当)

スカイはこちらの世界線でも有名です。
とはいえ、空海みたいな爆発的な権力は持っていないとは思いますが、知名度、実力も兼ね備えているのは変わりません。皆に通り名があるのもお決まりです(笑)
空海と違うのは、フォースが探検隊として二年活躍しているってところですかね。空海では考えてなかったけれど、ここでは通り名とかついてるんだろうな。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第79話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で平和に過ごす話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から、剣技大会~お昼休み編~がスタートしているところです。ラル達三年生徒会組+ツバサちゃんの話でした。今回もそんな感じで進めていきまっしょい。


《L side》
……もう一度、確認しておくか? もしかしたら、見間違いかもしれない。
「ラル? なんで今、閉めたの?」
ティール、フォース君、お願いだから、何も聞かずに部屋をちらっと確認しよう。私と」
「は? なんで」
「聞くな! 見ろ!」
自分でも強引なことを言っているのは理解している。私もティール達の側だったら、変な目で見ているに違いないからだ。それでも、ここは一人で見るよりも何人かで見るべきだと判断した。一人だと見間違いの線が捨てきれない。
二人に目配せをし、そっと扉を開ける。怪訝な顔をしつつも、ティールもフォース君も私の言う通りに部屋を覗いてくれた。
そこにあるのは、初めに見えた部屋の備品等々。そして、一つの机に大量の食べ物に囲まれ、それを美味しそうに食べる人魚族の女の子……同じクラスのアリアちゃんがいた。それをしっかりと捉え、見間違いではないと確認したところで、再び扉を閉めた。
「皆さん? どうかしましたか?」
私達三人が邪魔して、ツバサちゃんには部屋の様子が見えていないんだろう。上級生三人の奇行を見せるのは恥ずかしい限りなのだが、生憎、彼女の質問に答えてあげられる程の余裕はなかった。二人の手を引いて、扉から離れ、こそこそと内緒話をするように小声でなんちゃって会議を始める。
「え、あれ何? 夢か。私は夢を見てるのか」
「リアルだろ」
「すっごい食べてたね。幸せそうに。あれ、お好み焼きとか焼きそばとか……他にもあったよね? なんかたっくさんあったけど……同じお店のかな」
「いんやぁ……少しずつ量も材料も違ったと思うぞ。別のところだろ」
なんで分かるんだ、このお兄さんは。
「ってことは、屋台制覇でも目指してるの? 何も与えられないよ? 景品もないよ? え、私らで用意すべきなの?」
「いらないんじゃないかなぁ……流石に」
「つーか、あいつ誰だっけ」
はあぁぁ!? そこからぁぁ!?
彼女が食べていたご飯の判別はつく癖に、人の顔は覚える気のないフォース君を軽く殴る。全く痛そうにしていないところが腹立つ。
「アリアちゃん……アリア・ディーネ! 同じクラスでツバサちゃんのお知り合い! Bブロック残り組で、氷山作った張本人。覚えろ!」
「氷山見てねぇし、おれ。……で、そのディーネさんがありとあらゆる食べ物に囲まれてるって事実を確認したわけだ。……なあ、ツバサ」
「? はい」
「ディーネとやらは、食いしん坊キャラなのか?」
「ほえ? くいしんぼう?」
こてんと首を傾げるツバサちゃん。アリアちゃんとも親しいツバサちゃんなら、答えを知っているだろうけれど、その前に一つ。
「あれは食いしん坊の領域越えているよ。多分」
「直すとこそこ? 冷静に言うことでもないよね」
「冷静にならないとやってらんないんだよ!! 察しろ!」
「何してんだ、こんなところで」
いきなり背後から話しかけられ、私は思わず、フォース君の後ろに隠れる。ほぼ条件反射だ。手が出なかっただけ、感謝して欲しいくらいである。
「わっ! アラシ! びっくりした~」
「え、ごめん……?」
びっくりしたと言う割には、そこまで驚きが伝わらないティールに、これはこれで反射的に答えたのだろう。平謝りのアラシ君だ。彼は扉近くの壁に寄りかかる体勢でこちらに話しかけてきたらしい。つまり、控え室からわざわざ出てきてくれたことになる。話しかけてきたのが知り合いであると確認をすると、私はフォース君の後ろから出る。そんな私に大して興味もなさそうなフォース君から、質問が飛んできた。
「なんでおれの後ろなの」
「近かったからが一番の理由だけど、実用的な理由にするなら、一番の盾じゃん。簡単には倒れないし、最悪見捨ててもどうとでもなる相手だから」
「ははっ……殺すぞ、貴様」
「おー? やってみろや~」
……とまあ、茶番は置いといて、だ。
「お~♪ ツバサを送ってきてくれたのか? サンキューな!」
部屋の状況をアラシ君に質問しようとしたところで、レオン君がひょこっと扉の隙間から顔を出した。そして、アラシ君の隣に立つと、レオン君は話を続ける。
「んでも、なんで扉を開け閉めしてたんだ?」
「……大方、アリアだろ?」
「えへ。アラシ君の仰る通りです」
それだけで何が言いたいのか、レオン君も察したようで、ばつの悪そうに「あ~……」と呟いた。
「ま、最初はびっくりするよな♪ なんつーか、その、アリアの食いっぷりには……色んな意味でため息が尽きないからなぁ……」
きっと、幼い頃からの付き合いで、この二人にも絶え間ない苦労があったのだろう。同情する。
「あ、そっか! だから、フォースさん、食いしん坊って言ったんですね? あーちゃんの食べてるところが見えたから」
ツバサちゃんは、ぽんっと手を合わせて、合点が言ったというように明るい笑顔を向ける。
「食いしん坊っつーか、ブラックホールだけどな。アリアの胃袋の場合♪」
胃袋の表現にブラックホールとは……
「ラル達も中入るか? 今、俺らしかしないし」
「ん? そうなの? ユーリ君達は?」
「イツキ先輩、Dブロックだったユーリ先輩を迎えに行くって飛び出してたんだよ。で、そのまま外で飯行ってくる! とかなんとか。まだ帰ってきてないから、外にいると思うぞ」
アラシ君の説明に妙に納得してしまった。なんか、キーくんらしいや。リリちゃんも約束していると言っていたから、三人でご飯を食べる約束でもしていたのだろう。とことん仲のいい三人だ。よきかなよきかな。
さて、中に入ってもいいけれど、私達もすぐに外回るし、ここはさっさと退散してしまおう。元々の役割はツバサちゃんを送り届ける、だ。それは終わったわけで、ここに居座る理由はない。
「じゃ、私達はこれで行くわ。ツバサちゃんを届けたことだし。……あれ、アリアちゃん」
「……ん。ラル。……と、皆も」
え、あれだけ大量にあった食べ物、食べ終わったの? 嘘だろ。
ここを立ち去ろうとした瞬間、アリアちゃんが扉を開けて、私達と出会した。話し声は聞こえていただろうが、彼女の性格からして、スルーしそうなところだ。しかし、私が呼び止めたから、アリアちゃんも素通りせずに立ち止まってくれたらしい。
「あーちゃん、どこか行くの?」
「……ご飯、買いに行く」
「よく食べるね、アリア。……さっき、ちらっと見えたけど、食べ物、たくさんあったよね?」
ティールの問いに、アリアちゃんはこくんと小さく頷く。
「けど、足りない……それに、あれ、お昼じゃなくて、間食……まだ、いける……」
どこか誇らしげなアリアちゃん。彼女と私達とで、かなりの温度差があるけれど、彼女は全く気にしていない。
「んーと、間食ってなんだっけ。ぼくの記憶と違う意味合いな気がしてきた」
「間に食べる何かだろ」
そのまんまだな……間違ってはないだろうけども。食べている本人が間食だと言うのなら、間食なのだろう。この問題に深く突っ込むと、自分の常識が崩れそうなので、これ以上はやめておくのが吉だ。
「行くのはいいが、トーナメント始まるまでには帰ってこいよ? 賞品もらえなくなるぞ」
「……ん」
アラシ君の忠告に短い返事で答える。そして、そのまま外の屋台方面へと歩いていってしまった。
残されたのは私とティール、フォース君にアラシ君、ツバサちゃん、レオン君の六人だ。
「アリアちゃ……というか、ディーネ家の一ヶ月の食費気になるけど……きっと聞かない方が平和なんだろうね」
「にゃはは~♪ それが懸命だと思うぜ。ま、ディーネ家のつっても、アリアだけだな。親元離れて暮らしてるから」
あー……え? じゃあ、あれ、一人で賄って……仕事か。稼ぎのいいお仕事、ね。こちらも深く突っ込まない方がよさそうだ。
「さて、私達もそろそろ行こうか。いっくぞー、ティールにフォース君。ご飯の時間だー!」
貴重な一時間をお喋りに費やすわけにもいかない。フォース君は食べなくても平気だろうけれど、私とティールはそんな風にはできていないのだ。
アラシ君達に軽く手を振り、アリアちゃんが向かった方向へと歩き出す。
「おれも行くの? 部屋にいたいんですけど」
「荷物持ち」
「自分で持てや」
「まあまあ。せっかくだし、三人で行こうよ」
ティールに言われ、─相棒が間に入っていなくても、大丈夫だったと思うけれど─ため息混じりながらも、フォース君も後ろをついてきてくれていた。



~あとがき~
ネタを押し込んだ感が凄い。

次回、まだまだ続く! お昼休み!

このアリアちゃんの大食いネタで一話使えるとは思いませんでしたね。ここまでにちょいちょい見え隠れはしてましたけれど。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第78話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で学園生活を謳歌する話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサちゃんの魔法すごい! って感じでした。それくらいっすね。
今回からは一時休戦……というか、お休みして、ご飯ですよ。お昼休憩! 飛ばせよって?? 飛ばさない時点で察して!!←
そろそろ、ラル視点以外もやりたいです。(願望)


《L side》
ツバサちゃんのお陰で、救護室の地獄絵図から解放され、ようやく静けさを取り戻した。ここで人がいなくなることはないが、それぞれが交代で昼休みを取ってもらう……そんなシフトになっているはずだ。とはいえ、状況整理は必要なので、一部のリーダー達を集めた打ち合わせをしなければならない。
私は包帯や薬等の整理中のリリちゃんの肩をそっと叩いた。
「リリちゃん、お昼前にいいかな」
「はい! 軽い打ち合わせですね~♪ 無線を聞く限り、変なことはなかったみたいですし、落ち着いてますね。今年の大会」
「開会式の理事長のお言葉の賜物でしょ」
「やっぱり、あれなんでしょーか」
だろう。多分。少なくとも、ドキッとした人はいただろうな。
「ここも落ち着いてきたし……僕はそろそろお義父さんのところへ戻ります」
結局、ポーション作りだけでなく、救護室の片付けまで手伝ってくれていたアルフォースさんが口を開いた。そんなアルフォースさんに向かって、私はペコッと頭を下げた。
「アルフォースさん。お客様なのに、こんなどたばたに巻き込んでしまって申し訳ありませんでした! 代表して、謝ります」
「いえいえ! そんな! 僕なんかが力になれたなら、よかったです。ラルさんにはツバサがお世話になってますし、そのお礼になればと」
そんなことは……! って、これ、終わらないやつか。私が引き下がろう……貴重な時間を奪うのは忍びない。
「本当にありがとうございました。……イグさんに連絡するのでもう少し待っててくださいね」
「はい。ありがとうございます♪ ツバサもこのあとのお仕事、頑張るんだよ? でも、魔力の使いすぎには注意してね」
「はーい! お父さん!」
私がイグさんに連絡している間、ツバサちゃんとアルフォースさんは少しの親子の時間を過ごしていた。そして、数分後、昼休憩中で暇してたのか、イグさんは思ったよりも早くにすぐに救護室へ顔を出した。
「よっ♪ 怪我人の治療お疲れさん」
「ほんとですよ。裏切り者めー」
軽く頬を膨らませ、どこからどう見ても不機嫌な女の子を演じる。悪ふざけなのを悟っていると思うが、イグさんは苦笑した。
「そんな顔するなよ。ラルと違って、俺がここにいたって手伝えないしな~? それに、他に仕事もあったんだって」
知ってて言ってるんだよ、オニーチャン?
「お前なぁ……つーか、全体の統括が仕事だろ? これも仕事の内なんじゃないか、生徒会長さん」
知ってて言ってるんだよ!
「あー……分かった。後で労ってやるって。……おじさんも手伝ってくれてありがとうございました」
「微力ながら、ね。それでは、ラルさん。僕はもう行きますね。これからもツバサをよろしくお願いします」
「もちろんです。こちらこそ、これからも仲良くさせてもらいますね」
「ぜひ、そうしてやってください。……そうだ。夏休み辺り、うちのギルドにも遊びに来てくださいね。きっと、いい刺激になりますから」
うちのギルドにも……?
どこか確信めいたような口振りに私は首を傾げる。いつか遊びにというよりは、すでに私がアルさん達のギルド方面へ行くと決まっているような、そんな口振りだ。今のところ、そんな予定はないし、そもそも『明けの明星』がどこにあるかなど、明確には知らない。それなのに、どうしてアルフォースさんはそんなことを言ったのだろう。
「ごめんなさい。あなたの能力の話はツバサから聞いていまして」
うん? 『時空の叫び』のことか。しかし、それとアルフォースさんの態度と何が……
アルフォースさんはイグさんの横を離れ、私に近づく。そして、私にしか聞こえない程度の音量でそっとささやいた。
「実は僕も……ラルさんと似たような能力を持っているんです。……『夢』という条件下のみで発動するですけどね」
「……!」
驚きを隠せず、アルフォースさんの顔をまじまじと見つめる。しかし、彼は微笑みかけるのみで、それ以上を語らなかった。リアさんに挨拶をし、ツバサちゃんに手を振って、そのまま出ていってしまった。
「……会長様?」
「ラルさん、どうかしましたか?」
「あ、いや……なんでも……」
私と似たような能力……何らかを見通す……夢を見る? そんな能力、なんだろうか。条件下が夢。それを根底に考えてみるならば……
「あ、ここにいた! ラル! 打ち合わせ開始時間、過ぎてるよ」
「……どうした? ぼけっとして」
ティール……フォース君も」
アルフォースさん達と入れ違いに入ってきたのは、時間になっても来ない私を探しに来たらしい、ティールとフォース君だった。思考をぷつりと切られたせいか、上手く切り替えができていないらしい。曖昧な返事をする私にティールは首を傾げる。
「ラル? 大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫。救護班が忙しそうだったから手伝ってた。ごめん。今、行くよ。……ツバサちゃんはどうする? あ、アラシ君達のところに先に送ろうか?」
ツバサちゃんがお昼はアラシ君達、昔からの友達と食べる約束をしていると聞いていたので、ここで拘束するのは申し訳ないと思ったのだ。しかし、ツバサちゃんはにこっと愛らしい笑顔を向けてきた。
「いえ! 控え室は生徒会の使っている部屋の先にありますし、打ち合わせ終わってからで大丈夫です」
「ごめんね。じゃあ、ついてきてもらっていいかな?」
「はいっ! ラルさん!」
「リリちゃんも。……リアさん、お二人借りていきますね」
「ええ♪ 私も交代してくれる生徒が来たら、このあと休憩だけれどね。行ってらっしゃい、二人とも」
まだ少し残るらしいリアさんに見送られ、私達は救護室を後にした。

簡単な打ち合わせの後、今後の方針─とはいえ、午前とほぼ変わらないが─の確認、予選落ちした生徒会メンバーの割り振り等を各班のリーダーに伝え、解散となった。リリちゃんもユーリ君やキーくんと約束があるらしく、ぴゅーっと飛んでいってしまった。
「ラル、ツバサのあれ、どういうこと?」
ティールの言う「あれ」とは、ツバサちゃんの衣装のことだろう。フォース君は開会式のときに一度見ているが、ティールはここでお初である。
そんな会話をしている私とティール、フォース君は、打ち合わせが終わった後、ツバサちゃんのお着替え待ち中だった。ツバサちゃんは、打ち合わせ前に着替えてきます! と言って、そのまま帰ってきていない。打ち合わせ自体、大して時間をかけていないので、特に何かあった訳でもないだろう。
ということで、他愛ない話を続けていこう。
「え、可愛いでしょ。可愛いは正義でしょ。そういうことだよ」
「どういうことだよ」
「やめろ。不毛な会話だ。似たようなことおれも言った」
「あぁ……開会式中のあの連絡って、そういうこと?」
「そういうことだ」
男子二人には分からないかなぁ……? ツバサちゃんの天使級の可愛さ!
「だからって、あんな服着せなくってもいいよね。暇なの? ラル」
「暇じゃないけど、ツバサちゃんのためなら、何だってできるよぉ?」
「こっわ。新手のストーカーじゃね?」
節度はわきまえてます。大丈夫です。
可愛い女の子を、更に可愛くする行為の何がいけないのだろう。本人もノリノリだし、問題ないと思うのだけれど。
「別に私はツバサちゃんと特別仲良くやりたいと思ってやってる訳じゃないからね。可愛いから! それだけだよ。理由としては。仲良くなるのは、二の次的な? そんな感じ?」
「それが怖いっつってんの! あのモフモフファンクラブ? とかとそう変わらねぇって」
「せめてもの救いはツバサ本人にちゃんと許可取ってるってことだけだよね。それもツバサの優しさというか……気を使ってるとかだと、アウトだけど」
「あー……それはねぇな。ツバサのやつ、本心だから。ラルに撫でられんのも、ブラッシングされんのも、全部、喜んでやってもらってる」
心が読めるフォース君が言うんだから間違いないよね。えへへ。愛の勝利だね!
「ほんっとうにわきまえて欲しいんだけど。君、ここでは生徒会の会長で、外では探検隊のリーダーなんだよ? ぼくらのリーダー!」
びしっと指を指して、念を押してきた。ティールと一緒に過ごして、生徒会に入ってから、何度、似たような台詞、同じ台詞を聞いたんだろう。
「学園内では単なる生徒ですので~♪」
「生徒会長だって言ってるだろ。ぼくは!」
「なぁんでこんなやつがトップ張ってるんだか」
「私が望んでこの地位にいる訳じゃない。前会長に言え。むしろ、私が聞きたいわ。あの人から」
とっくに卒業してしまった前会長。あの人はあの人で物好きな人ではあったと思う。今思い返しても、振り回された記憶しかない。……なんだろう。私の過去は思い返したくもない思い出ばかりだ。悲しいくらいに。
あの人との過去を振り返ると、色んな意味で涙が出てきそうなので、無理矢理、記憶に蓋をする。そして、強引に締め括った。
「とにかく。ツバサちゃんは可愛いから、もっと可愛くあるべきなの! 以上!」
「あれ? そんな話だったっけ?」
「いや? 違うと思うがな。……んでも、いつも通りじゃん。さっきはぼーっとしてたくせに」
「あれは考え事してたんだよ。大したことじゃないんだけど……」
フォース君なら何か知っているかもと思い、話を続けようかとした矢先、部屋の扉を開ける音で中断される。三人とも音に釣られて、そちらを振り返ったのだ。
そこには水色のエプロンドレス……ではなく、魔術科女子制服姿のツバサちゃんだった。
「お待たせしました♪」
「よし。じゃあ、行きますか~♪ アラシ君達のところ!」
「はい♪」
私達三人は椅子から立ち上がり、出入口へと向かう。今、アルフォースさんのあの言葉の真意を考えて、答えを出したところで、何かになるわけではない。それに、この大会の対応に追われてしまえば、きっと、すぐに忘れるだろう。
「あ、そういえば。ツバサのパフォーマンス、凄かったね。上から見てたけど」
今、思い出したようで、ティールが突然話し始めた。それでもツバサちゃんは何の話なのか理解しているため、しっかりと受け答えする。
「ありがとうございます! あ、ちゃんと届きましたか?」
「うん。氷の花だよね。ぼくのとこまで来るとは思わなかったけど」
「えへへ。ステラちゃんとリーフちゃんのところ最優先だったので……できればって感じでした」
「そっか。それでも、嬉しかったよ」
ステラちゃんとリーフちゃんも、会場で見学するという話だったから、ツバサちゃんのショーも間近で楽しめたはずだ。そんな二人のためにプレゼントしたいという、ツバサちゃんの思いはきっとステラちゃん達にも届いているだろう。
「そのティールが貰ったっていう花は溶けちゃわないの?」
「あーちゃんの魔法でできてますから……常温でも一週間くらいは……多分、大丈夫かと」
わお。魔法って怖いわ。
「……にしては、手元にないけどな。花」
そういえば、そうだな。
ティールが貰ったらしい花は、彼の制服のポケットにあるわけでも、手元にあるわけでもない。誰かにあげてしまったのだろうか。
「ん~……セツがね」
言いづらそうにして出てきた名前は、ティールの愛剣、セツちゃんこと、雪花だ。氷を司る聖剣でティールを主として慕っている。このセツちゃんと水の聖剣、スイちゃんは何というか、やんちゃなのだ。剣にやんちゃっていうのもおかしな話なのだけれど。
「セツちゃんか。盗られた?」
「あー……まあ、そんな感じ。『きれー! てぃー、ちょーだい!!』 とかなんとか言って、吸い盗りました」
冷気、氷なら意のままに操るセツちゃんらしい。きっと、彼女に言えば、ぽいっと出してくれそうではあるけれど、多分、一生返ってこない。
「固形物のあれを持っていかれるとは、思わなかったよ。きっと、氷の花が発している冷気を一気に吸収したんだろうけど。まあ、セツの中……というか、セツの一部になったんなら、一生残ると思うから、それはそれでありなのかなって」
セツちゃんを知らないツバサちゃんは終始不思議そうにしていたけれど、きっと、ティールが教える気がないので、私も黙っておく。勝手に話しでもすれば、ティールに何をされるか分かったものではないからだ。
「おっと。そんなこんなでつきましたな。控え室」
「あ、そうですね♪ ありがとうございます。ここまで送ってくれて」
「ううん。せっかくだし、皆に一言言っておこっか。特に何も考えてないけど!」
「無計画な奴だ」
「ラルだからね……」
止めもしない男子二人は放置で、私は目の前のノックもせず、ゆっくりと扉を開けた。そして、開けきらないうちにすぐに閉めた。勢いよく。
この控え室にはトーナメントへ駒を進めた八人が共同で使っている部屋。もちろん、今は昼休み中だから、全員いるわけではないが、少なくとも、ツバサちゃんを待つ、アラシ君達は全員いた。
部屋のレイアウトは簡素なもので、試合を中継するためのモニターと机と椅子あった。簡単な軽食と飲み物が常備されているだけで、単純に選手達が出番を待つための部屋。……それのはずなのだけれど。
……一瞬見えた、あの大量の食べ物はなんだったんだ?



~あとがき~
途中、ごちゃっとしているのは、適当につらつら書いたせいです。

次回、ツバサちゃんを送り届けたラルが見たものとは……?
いやもう、予想つくわ!!

アルフォースさんの言う能力やら、彼の言葉とか、色々ありますけれど、これだけ言いたい!
ラルとティール、フォース三人のくっそ下らない会話! 久し振りですね!! どうでもいい話しかしませんね!!
三人でっていうと、開会式始まる前の屋台飯の話が最後でしたね。いやぁ……久しぶり。
それだけ。以上。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第77話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で色んなことに巻き込まれる話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、魔術科でもないのにポーション作りしているラルさんや、地獄絵図な救護室を助けるためにツバサちゃんが新たな魔法を作ってきました。今回はそんな魔法の披露からです。……この一方その頃で三話目になるとは思ってなかった。


《L side》
ツバサちゃんが作ってきたという魔法を発動するため、救護班員全員でその準備に取り掛かる。その指示をするのは先生であるリアさん……ではなく、魔法をかけるツバサちゃん本人だ。
「まず、今できているポーションを円形に並べてもらってもいいですか? そして、氷漬けの人達はその外側に円になるようにぐるっと……」
という、十二歳とは思えないしっかりとした指示の下、年上の高校生達は真面目にツバサちゃんの言う通り動いている。私が手伝う必要はなさそうなので、部屋の隅に放置していた上着とカバンを回収し、そのまま端でじっとしていた。
「ラルさん、大丈夫ですか?」
「……へぁ? あ、あぁ……大丈夫です?」
何をどう捉えたのか分からないが、アルフォースさんが話しかけてきた。
「なんか、ずっと難しい顔しているので。ラルさんが魔法式に疎いのはツバサから聞いています。今、ツバサがしているのもあんまり分からない……ですよね?」
「……そうですね。何なのか予測はできても、可能性の一つとしか考えられない。理解できないです。どうしても」
まあ、魔法式に限りませんけどね。魔法全般苦手なんで。
……とは言わず。にこっと笑って誤魔化した。
「そういえば、以前はツルギの件でご迷惑をおかけしてすみません」
今から行われる魔法の話をしても、つまらないと思ったのだろうか。気を使って、完全に関係ない話を振ってくれた。そもそも私とアルフォースさんの共通点なんて、双子の話くらいだ。
「迷惑なんて。学園内のトラブルを解決するのは生徒会の仕事で、ツルギ君のだってその一環です。それに、ツルギ君のあれなんて可愛い方ですよ」
生徒会室に殴り込みとか、生徒同士のいざこざとか、それに比べれば、ツルギ君の落書きなんて笑って許せるレベルだ。いやまあ、周囲の迷惑を考えてしまうと笑えないけど。トラブルなんて周りに迷惑をかけない方があり得ないのだから、そこはまあ、目を瞑っていただこう。
「今でもたまに、ツルギ君の話はツバサちゃんから聞きますけれど、その後は大丈夫ですか?」
私が聞くのはツバサちゃんから、休日にあれした、これしたの中に「ツルギと~」みたいな感じだ。兄妹仲良しなのは伝わってくるが、ツルギ君があれ以来、私をどう思っているのはまでは分からなかった。ツバサちゃんが意図的に伝えてないのか、ツルギ君が表に出していないかの二択だが、ツルギ君の性格を考えるに、恐らく、後者だろう。
「以前よりはラルさんに嫉妬していない様子ですね。けど、完全に対象外……というわけでもないようで、今度また、ラルさんにご迷惑かけてしまうかもしれません」
「いいですよ。私一人に来るなら、問題ありません。……ツルギ君は妹のツバサちゃんが大好きなんですね」
「はい。本当に仲がよくって」
二人の話をしているアルフォースさんはとても優しそうに笑う。子供の成長を嬉しく思う……そんな感じか。よく、分からないけど。私がしーくんに向ける思いと似たようなものだろうか。
「これで準備できたわね♪ それじゃあ、ツバサちゃん以外は部屋の隅に移動しましょう。……ツバサちゃん、お願いね?」
私とアルフォースさんが話している間に準備が終わったらしい。救護班の人達が部屋の端へと移動をする。
部屋は極力物がどかされ、広く開けた床に大きな魔法陣が描かれていた。そして、ツバサちゃんを中心にポーションが内側、凍結状態の生徒達外側の円を作り出している。要するに、ポーションと生徒で二重の円を作っているわけだ。
「魔法陣……もう書いてあるんだ」
「あれは魔力消費を抑えるために、ツバサが予め書いたんだよ。マジックスペルって道具……ツバサが持っていた羽ペンだね」
あ、あれか。
魔法発動にも段階が存在する。まずは魔法式を組み立て、それに倣って魔法陣を作り出し、魔法が発動する。この魔法陣を作るのにも魔力消費は伴うのだ。今回の場合、術者のツバサちゃんの魔力を極力抑えたものをってお題だったから、代用の利くものはそれに置き換えているんだろう。
本来の戦いの場で、悠長にペンを使って魔法陣なんて書いている暇はないけれど、サポートや回復なんかは、時間に迫られていない限りはこうした手も使えるということか。そういえば、フォース君も似たような羽ペンを持っていた気がする。今更だが。
「はふー……これでどうにかなってほしいです~」
「ツバサちゃんの魔法は完璧だもの。大丈夫よ♪」
リリちゃんとリアさんが私達の方へ近寄ってきた。これで、部屋に展開された魔法陣の近くにはツバサちゃんと凍ってしまった生徒達しかいない。
ツバサちゃんは周りに人がいないことを確認すると、魔法陣の中央で膝立ちになり、祈るように両手を組んで目を閉じる。すると、ツバサちゃんの周りから淡い光が漏れだし、それに合わせてポーションが減っていく。ポーションの減りと共に、生徒達の氷も少しずつ溶けていった。
「……綺麗」
昔に見た、ある泉の光景が脳裏を掠める。そこは月明かりと、そこに住む妖精達が放つ光が水面に映し出されていて、夢の中にいるような不思議な感覚を味わったのを覚えている。それは何年か前の話だけれど、今、私の目の前の光景もそれと似たようなものを感じた。
「はいっ! とっても幻想的です♪」
「これは光魔法の一種だね。回復魔法も似たような光が出るけど、回復魔法じゃ、こんなに光は漏れ出ないから」
「ほへっ!? これが光魔法? 初めて見ました」
「あまり使い手がいませんからね。光魔法は」
「私も使ったことないのですよ~……今度、ツバサちゃんに教わろうかなぁ……?」
アルフォースさんの言う通り、光魔法は使い手が少ない。高度な魔法で、適正者も色で言えば、白に当たるからだ。白でなくとも光魔法は使えるらしいけれど、初歩的なものでも相当な鍛練が必要になるだろう。
ツバサちゃんの魔法が終わるのに数分かかったものの、全員の氷を溶かし終える。彼女はパッと立ち上がり、こちらを振り返る。
「ほぇ~……うん。終わりました! でも、皆さん氷漬けでしたので、体を暖めた方がいいと思います」
「そうだね。えっと……会長様、毛布ってどこにありましたっけ?」
「え?……いくつかに保管してるけど……ここから一番近い倉庫に予備の毛布あるはず。……そうだね。男子で人数分取りに行って、残った人達で飲み物とか用意してあげたらいいんじゃないかな」
「了解ですっ!」
リリちゃんは、ピシッと敬礼ポーズをしたあとに、生徒のまとめ役として、救護班の子達に指示を出し始めた。リリちゃんと入れ違いになるようにツバサちゃんがアルフォースさんの元へ駆け寄る。
「ツバサ、よく頑張ったね。偉い♪ 偉い♪」
「えへへ~♪」
「さっき、リリちゃんが光魔法使ってみたいって言ってたよ」
「そうなんですか? それじゃあ、後で初歩的な光魔法のお話ししてみますっ」
……光魔法自体が高度なんじゃなかった? まあ、いいや。魔法の難易度とかよく知らないし。
『トーナメント進出を決めたのは、魔術科二年のシエル・シルフ先輩と……同じく、魔術科二年のユーリ・ケイン先輩……ですっ!』
ずっとつけっぱなしにしてあったモニターから、Dブロック終了の合図である、勝ち残った二人の名前が聞こえてきた。どうやら、私の知る後輩達が残ったらしい。
『これで午後から始まるトーナメントに進む八名が決定! 一時間の昼休憩後に開始するトーナメントでの対戦決めはシャッフルで決定されるぜ!』
『トーナメント出場者は、お昼休憩終了前には……ええっと、シャッフル開始前に会場までお戻りくだしゃいっ!』
キャス君、ここら辺で慣れてくるかと思っていたけれど、未だに噛んでるなぁ。大丈夫かな。
『さぁ~らぁ~にぃ~? トーナメント戦では、とあるゲストが出場するらしいぜ? とまあ、詳しいことはまた後で! それでは、一時間後に! See you again! よぉし! 昼飯だー!』
『せ、先輩! スイッチ切ってから喋ってくださいよー!!』
……欲の塊か。あいつは。
しかし、ゲスト……? 誰だっけ。貰った書類に書いてあった気もするが、全く覚えていない。しかし、人選は理事長や上の人達がしているはずだし、変な人がやるなんてことはないだろう。気にする必要はないか。



~あとがき~
とりあえず……Dブロックの一方その頃が終わったので、ここで一区切りです。

次回、昼休みだー! ご飯だー!
久し振りなキャラもいるかもですね。

いつもよりは短い気がします。まあ、通常運転。……他に特筆したいこともないでふ((

ではでは!!

学びや!レイディアント学園 第76話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で好き勝手する話です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバックです!
前回はアリアちゃんの二次被害を受けてしまっている救護室を見てもらいました。今、Bブロックの子達を対応しているけれど、これ、並行してCブロックの子達(眠り状態)も手当てしてんだろうな~とか考えたら、めっさ忙しいやん。まあ、放置でも起きるんだろうけど。ベッド放置?
まあ、いいや。出てこないんで。きっと、ベッド放置か、簡易的な処置として別室で雑魚寝だろ←


《L side》
薬草をすり潰すための乳鉢。成分抽出のための専用器具。魔素が溶け込んだ水。数々の薬草やら木の実等々……これら全て、組み合わせ次第で様々なポーション……つまり、回復系アイテムへと変化させることが可能だ。しかし、どこかの配分を間違えたり、入れるもの一つ違うと効果もがらりと変わってくる。そのため、ポーション作りはレシピを見ながら逐一確認を取りつつ、制作するのが基本だ。手慣れている人や、これが専門という人はテキパキと作れるだろうが、学生でそんな人は稀であろう。なんせ、一日中ポーション作りの授業をする……なんてあるわけがなく、主に魔術科のたくさんある授業の一つでしかない。冒険科も選択式で学ぶことは可能ではあるが、『作る』という知識は探検に必ず必要ではないため、人気のある授業とは言えない。
とまあ、何が言いたいかって、レシピがあるからと言って一人で黙々と作れる人はこの場にはほぼいないし、材料がたくさんあるからと言って、すぐさま「はい! 全員分出来上がり!」ともならない。要は、圧倒的に時間と人が足りない。それは理解しているのだけれど……
「…………なんで私が作ってるん!?」
魔術科でも、ヒーラーでもない私が!? なんで!!
作業に邪魔だったという理由で髪をポニーテールにまとめ、制服の上着も私物であるカバンと共に隅っこへと放置中だ。白いワンピースの下に七分丈のインナー姿という、校内ではほぼしない服装スタイルの私は、なぜかポーション作りのお手伝いをしている。
「ラルさん、すみません。まさかここまで人手が足りないなんて僕も思いませんで」
私の隣では薬草をすり潰しながら、申し訳なさそうにするアルフォースさんがいた。困り顔ではあるが、にこっと笑う。
「いや~……ラルさんがポーション作りの心得があって助かりましたよ」
「ものづくりが趣味なので」
と、これも嘘ではないが、一番は経費削減が大きな理由である。買うよりも自分で作った方が安く済む。なんなら、薬草はダンジョン内で回収可能で、実質、材料費は魔素が溶け込んだエール水のみ。こりゃ、手を出さない理由がない、というやつだ。そこまでお金に困っているチームじゃないけども。
なぜできるかという質問に関しては、そこのリア先生の賜物だとでも言っておこう。過去に色々あったんだよ。うん。
そんなことを考えつつ、エール水を適量取り分けた瓶を並べる。エール水の配分を確認しながら、事前にすり潰しておいた薬草を瓶の中に入れた。そして、マドラーでぐるぐるっとかき混ぜていく。
すでに出来上がっているポーションをまとめていたリリちゃんが、誇らしげに口を開いた。
「会長様がいれば、百人力です!」
なんて言う彼女は、私をポーション製作チームに引き込んだ張本人だ。
彼女からの要請前は、凍結状態以外の人達を救護班の子と一緒に診ていた。Bブロックの子達ばかりを診ているわけにもいかないからだ。他の要因でここを訪れる人もいるし、なんなら、救護室以外の仕事で通信も入る。手当てと指示出しを並行して行う私を、誰か褒めて欲しいくらいである。
ある程度混ぜた薬草+エール水をろ過し、別の容器へと移す。不純物を取り除いた水色の液体をぺろりと舐めてみれば、薬草特有の苦い味が口に広がる。まあ、魔素が溶け込んだ水なんて味的にはほぼ水だ。それに凍結解除効果を持つ、アシン草とヒス草の二種類突っ込んだだけで、あ~ら不思議! 美味しく飲める飲料水の完成!……となるわけがない。魔法じゃあるまいし。
「リアさん、これ、全身氷の人達って……」
ポーションを直接かけないと解除できないわ。頭さえ出ていれば、飲めば解決なんだけれどねぇ」
あー……まあ、そうか。飲む口がないもんな。
効果だけを求めるなら、これだけでも問題はない。しっかりとエール水に薬草の効果は抽出されているから、ポーションとしての役割は果たしてくれる。しかし、私はそこに置いてあった木の実数種類を適当に手繰り寄せて、小さなナイフを使って手際よくカットし、その木の実を絞って果汁だけを取り分けた。そしてその果汁を先程作ったポーションへと混ぜる。
「会長様?」
「こうした方が飲みやすいんだよね~? ま、今回は飲むだけじゃないみたいだから、する必要はないかもだけど」
木の実の果汁を加えたのは、苦味で飲みにくいポーションの味を変えるためだ。その他にも混ぜる理由はあるのだけれど……この際、どうでもいいか。
「被害者の半分は全身凍結だから、氷にかける分、多くのポーションを使って氷を溶かさなきゃいけないんだけどね。……とりあえず、今、作っているポーションで終わりにしちゃって大丈夫よ♪」
「でも、リア先生、作っていただいた数じゃ、とても足りないですよ?」
リリちゃんの疑問にリアさんは答えず、微笑みを返すのみだ。現場監督教員のリアさんがそう言うのだから、何か考えがあるのだろう。ツバサちゃんに何か頼んでいたし、それと関係があるのかもしれない。しかしまあ、終わりにしていいらしいので、すり潰していない薬草やエール水の片付けでもしてもらおうかな。
頭にはてなのリリちゃんに指示して、使わなかった材料達を片付けもらい、私とアルフォースさんとで、すり潰した薬草をポーションにしてしまう。ポーションに関しては多くて困ることはないはずだ。
きっと、これからも必要になる。うん。多分。
ある程度、作り終えた頃。ツバサちゃんが救護室へと戻ってきた。私服からエプロンドレス型のナース服に着替えたまではいいが、彼女の手には、一枚の紙とシンプルな羽ペンが握られていた。
「お待たせしました! 師匠♪ “範囲型特定状態異常回復魔法”の魔法式と魔法陣が完成しましたよ」
「ありがとう、ツバサちゃん♪ 思っていたよりも断然早いわ♪」
聞き慣れない魔法名が聞こえてきた気がする。なんだって? 名前と状況から察するに、この惨劇……大量凍結状態被害者のための魔法……なんだろう。
この場にフォース君やティールがいれば、説明してくれるんだろうけども、生憎、二人とも傍にいない。……いや、教える以前に勉強しろよと怒られるな。
理解していないのは私だけらしく、アルフォースさんも、リリちゃんすらもどこか納得したようだ。
「なるほどね~♪ だから、ツバサは準備にし行ったんだね。それは分かったけど、その服は?」
「! これはね、ラルさんにもらったのっ♪」
と、言いながら自慢げにくるっと回る。そんなツバサちゃんの頭をアルフォースさんは、そっと撫でた。
「そっか。とっても似合ってるよ♪」
「えへへ……ありがと、お父さん!」
父親と子供のあるべき姿って感じだな。はー……うちの相棒にもあんな時期……は、なさそうですね。こんなの考えてるのバレたら、別の意味で怒られる……しまっとこ。
「ともかく……解決するためのものだとして、なんでそれをツバサちゃんが?」
「ラルちゃん、もしかして知らなかった?」
私の呟きが聞こえたらしいリアさんが少し驚いた色を含ませた表情を浮かべる。馬鹿にするでも、皮肉でもなんでもなく、単純に知らないから驚いた……そんな感じだ。
「ケアル家が魔力の質や扱いに長けた一族だっていうのは知ってる?」
「……え、えぇ、まあ。さっきイグさんが言ってましたし」
「それの延長線上として、魔法のエキスパートでもあるの。魔法に必要な魔法式や魔法陣……魔法そのものの分野において、右に出るものはいないってくらいにね」
魔力については大して詳しくないが、言いたいことは分かる。魔法という分野の中にも色々あるけど、ケアル家は全体的に優秀な家系であると。もちろん、個人的に得意分野はあるだろうが、共通点として、魔法分野が秀でている……そういうことだろう。
「その中でもツバサちゃんが得意なのは、新たな魔法の創造……って言えば、伝わるかしら? 元々ある魔法を応用して、別の魔法にしたり、反対に簡略化させたりって感じね」
創造、か。……フォース君みたいだな。
「そんなツバサちゃんに私がお願いしたのは、術者の魔力消費を抑え、ポーションを媒体とした特定状態異常を回復させる魔法式と魔法陣の作成♪」
うぅ……頭が痛くなってきた。つまり、あれか。術者……この場合はツバサちゃんの魔力を限りなく消費しないための新たな回復魔法……? て、認識でいいんだろうか。いや、しかし、そんなことが短時間でできるものなのか。
ケアル親子に目を向けると、ほわほわした空気を漂わせる二人。さも、当たり前かのような反応で。
「ツバサは新しく魔法式考えるの、好きだもんね」
「うんっ! 楽しかったよ~♪」
何でもないように答えるツバサちゃん。その笑顔は偽りも気遣いもない、無垢なものだった。
……えーっと……こんな可愛らしくて、性格もよくて、その上魔法にすこぶる適性を示す少女、か。すみません。世の中、不平等過ぎない?
「生きるの……しんどくなってきた」
「えっ? ラルちゃん!? どうしてそうなったの?」
「いや、ちょっと前から荒んでましたよ……すぐ戻るで大丈夫ですけど」
「そ、それって大丈夫って言うのかしら……?」
「大丈夫。ダイジョーブ……今更ですって」
適当な返事しか返さない私に、真意が見えてこなかったのだろう。リアさんは心配そうな表情を浮かべるものの、これ以上は踏み込んでこなかった。
ふむう……これぞ、世に聞くチートキャラ……なんだろうか?



~あとがき~
ラルの自問自答というか、精神的な不安定さは今更です。

次回、ツバサちゃんの更なる凄さをご覧にいれましょう!!
なんかめっちゃ目立ってるな!! 流石、主人公(その1)!! 

ツバサちゃんが天才の才女様なのは今更ですが、その内容がより詳しく見えてきた、と言えばいいでしょうか? ラルも言ってましたが、ツバサちゃんはチートちゃんですよ。
私のキャラでチートさんはフォースですが、相方キャラのチートさんはツバサちゃんってなるんでしょうかね。あ、メインでって話ね。
メイン抜かすとチートレベルの強さなんて大量にいるんでね。うん。ここで出てくるかはまた別の話だけども!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第75話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃする話です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバックです!
前回でようやく予選終了! トーナメントへ進む八名が決定しました。やったね。
今回は救護室へ戻るラル達の話ですので、時間がDブロック開始直前になります。


《L side》
私達四人が救護室へと到着すると、私らが出ていく前と今では部屋の雰囲気ががらっと変わっていた。
「おい! 追加の薬草どこだ!?」
「追加ぁ? そんなのそこにまとめて置いて……って、もうない!」
「はあ!? ちょ、誰か園芸部の許可貰って、分けてもらって!!」
なんていう救護班のやり取りと、その近くで寒そうに震えている男子生徒二名。それもそのはず、なんせ二人とも氷漬けの状態のまま、ここに運ばれているのだ。
「さ、さむ……しぬ……」
「なんか、俺……寒い通り越して……ね、ねむ……」
「「「寝るなぁぁぁぁぁあ!!!!」」」
寝そうになる一人に対して、近くで言い争っていた─その間も手は動いている辺り賢い─救護班三人の叫びがこだまする。
ちなみに、それが救護室全体であちこち起きているため、寒くて死にそうになっている人達は大勢いるということになる。
……大会が行われているフィールドは参加者……つまるところ、生徒達の戦場であるが、ここはここで戦場化しているらしかった。
そんなもう一つの戦場の入口付近で、立ち尽くしている私達。口を開いたのは、イグさんだった。
「う、うわあぁ……アリアがやっちまったのを見た辺りから、想像はしてたけど……予想以上だなぁ」
「これ、ほぼBブロック出場者ですね。救護室、広い部屋を割り当ててもらったつもりだったんてすけどね……地獄絵図。極寒地獄」
「だな。なるほど。これが阿鼻叫喚って奴か」
どこか他人事の私とイグさんの横で、ツバサちゃんがアルフォースさんを見上げていた。
「お父さん、あびぎょうがんって??」
「うーんと……『あびきょうかん』、ね。そうだね……とっても苦しくて助けてくださいってなってる……って言えばいいかな?」
と、言葉の勉強会のようなものを親子で話していた。なんとも微笑ましいが、こちらも他人事だ。恐らく、状況が飲み込めなくてとりあえず、何でもない会話で気持ちを落ち着かせ……いや、ツバサちゃんだもんな。普通に気になっただけだろう。うん。
「あら! 皆、お帰りなさい。……って、アルフォースおじさま?」
「あっ! 会長さまあぁぁぁ!!!」
たまたまこちらに気がついたリアさんと、リアさんの近くにいたリリちゃんが私達に話しかけてくれた。イグさんも知っていたし、リアさんだけがアルフォースさんを知らないなんてないと思っていたから、そこにはもう突っ込まない。
そのアルフォースさんの登場に驚いているリアさんは、彼の登場が予想外らしかった。リアさんがルーメンさんに頼んだ訳ではないようだ。まあ、アルフォースさんの言い方だと、ルーメンさんの独断だったんだろうな。
同じくして、リリちゃんは半分泣きそうな顔で、私の方へと駆け寄ってきた。一応、生徒側のリーダーなので、そんな顔はしないで欲しいんだけれど、それは酷な願いというものか。
リリちゃんの頭をぽんぽんと優しく撫でる。涙目の彼女は「会長様~」と落ち着くどころか、うるうるが倍増してきた気がする。
「おーおー……どした。落ち着け~?」
「そ、それがぁ……」
「大丈夫よ、リリアーナちゃん。私が説明するわ」
泣きそうなリリちゃんから聞くよりも、リアさんから聞いた方が早いだろう。苦笑を浮かべたリアさんに、同じような表情のイグさんが話しかけた。
「リア。説明つったって……どうせアリアだろ?」
「まあ、そうね。イグの言う通りよ。あの映像で察してはいると思うんだけれど、Bブロックの被害者はアリアちゃんとアラシ君を除いた全員なのよ」
そうだろうなぁ。あれを逃れた人がいれば、放送部で促しているはずだ。
「今回の賞品が賞品だから、アリアちゃん参加は警戒していたの。それで、凍結解除用の道具は多めに用意していたんだけれど……まさか、フィールド全体を凍らせちゃうなんて思ってもなかったから……その……」
アリアちゃんを前から知っていたリアさんですら、これなのだ。初見の救護班メンバーはてんやわんやだろう。
「あうぅ~……それで、凍結解除用のポーションとか薬草とか全部使いきっちゃったんです。まだまだ凍結状態の生徒達はいっぱいいるのに」
「参加者以外にも別の被害が出てるとは……やっばいな、アリアちゃんは」
「あうう……あーちゃん……」
ざっと見ただけでも、参加者の半分は未だに寒さに耐えている。これらは、あくまで魔法による副産物。意識を保っている間なら、凍結状態だからといってすぐに死ぬことはほぼないだろう。しかし、それが永遠と持つはずがない。一度意識を手放せば、一気に体温低下し、死に至る危険はゼロではないのだ。
道具がないなら、魔法や技で解除する方法が一番手っ取り早いが、それ関連の専門に扱う人が、この中に果たして何人いるのか。仮に魔法や技で解除していくにも時間がかかるし、こちらが持たない。それくらいの人数が状態異常になっているということだ。
対策を考えていると、ふとアルフォースさんの荷物に目が向く。あれの中は状態異常回復のための道具が入っていた。そして、なぜあれを持たせたのかも、推測したではないか。
「……なるほど。アルフォースさん、荷物の中身、ちょっと見せてもらっていいですか?」
「うん? 構わないよ」
アルフォースさんが抱えたままの箱から薬草とポーションを一つずつ取り出すと、リアさん達に見せる。
「リリちゃん、リアさん。ツバサちゃんのお父さんが持ってきてくれたこの箱に入ってる薬草やポーションで、どうにかなりそう?」
「あら……それはアシン草ね? うふふ。おじさま、グッドタイミングだわ♪」
「状態異常回復用のポーションまで……まさしく神のお恵みですよー!! これ、わたしたちが使ってもいいんですか!?」
若干、食い気味にアルフォースさんに迫る、リリちゃん。泣いたり興奮したりと忙しい子である。そんなリリちゃんに向かって、アルフォースさんは優しく微笑んだ。
「はい。元々、そのつもりでこちらに運んだので。どうぞ遠慮なく♪」
「はわわ……ありがとうございます! ツバサちゃんのお父様は神様なのですー!!」
「えぇっと……神様は大袈裟かなぁ……?」
神様呼びにちょっと困り顔のアルフォースさんだけど、その言葉はリリちゃんに届いていないご様子で、その場で小さくぴょんぴょん跳び跳ねている。あれで高等部二年生というから驚きである。ツバサちゃんよりもいくらか高いくらいで、小柄なリリちゃんは動作だけ見れば、中等部と思われても不思議ではない。
対するリアさんは、私の持っていたポーションをそっと手に取ると、何やら考え事をしているらしかった。
「……これがあるなら……あとは……」
そう呟き、ちらりと見た方向には、未だに私服姿のツバサちゃん。リアさんの視線に首を傾げた。ツバサちゃんに何か言うでもなく、リアさんはリリちゃんに話しかけた。
「リリアーナちゃん、頼めるかしら?」
「はいっ♪ 先生! これを元にポーション追加しますっ!」
その一言だけで意図を汲み取ったリリちゃんは、アルフォースさんから箱を丁寧に受け取ると、部屋の中腹部まで行ってしまった。それを見送ったリアさんが次に目を向けたのは、先程ちらっと見ていたツバサちゃんだった。
「ツバサちゃん、お願いがあるんだけど……」
と言ってから、その続きはツバサちゃんの耳元でそっと話していく。傍で見ている私達にすら聞こえないくらいの─もしかしたら、獣の聴覚を持つ、イグさんやアルフォースさんには聞こえているかもしれないが─音量で話している。
リアさんの話が終わり、ツバサちゃんから離れると、ツバサちゃんは、こくんと笑顔で頷いた。
「それくらいなら大丈夫です! じゃあ、準備してきますね♪」
「えぇ。お願いね、ツバサちゃん♪」
それを聞く限り、リアさんはツバサちゃんに何かお願いをしたんだろうけれど、その内容はさっぱりだ。まあ、今の状況を打破できる何かなのはなんとなく想像できるけれど。
私達にぺこっと頭を下げてから、ピューッと部屋を出ていってしまう。私には詳しいことは分からないけれど、イグさんは察しているのかなぁ……なんて思いながら、様子を窺うものの、イグさんもよく分かっていないらしい。少し不思議そうにツバサちゃんを見送っていたものの、見ていても仕方ないと考えたのだろう。ぱっとこちらを振り返った。
「んまあ、よく分からないけど……俺がここにいてもやれることはないし……いなくても、どうにかなるだろ。ラル、後は任せるぜ♪」
「は? いや、任せるって何を」
私の問いには答えず、イグさんはアルフォースさんに目線を移していた。
「おじさんはどうします? 戻るのであれば、ルー爺のところまで案内しますよ?」
「ん~……いや、もう少しここに残るよ。忙しそうだし、僕にも手伝えることがあるかもしれないから」
「そうっすか? んじゃまあ……ルー爺のところに戻るときはどうすっかな。……んー……あ、ラル」
「……はい」
イグさんはにこっと曇りのない笑顔を見せる。大変好印象の笑顔だが、私には危険信号にしか見えない。こういうときは、大抵……
「おじさんが戻るってときは、俺に連絡寄越してくれ♪ それまではお前に任せるからさ」
今日が初めましての私に、後輩の父親預けるとはこれ如何に。一応、意味のない反論ではあるが、しておくか。
「イグさん。私達、今日が初対面なんですけど」
「あっはは! 大丈夫だって! おじさん、いい人だからすぐ仲良くなれっから♪ 俺も仕事あるから、ずっといれないし? じゃ、そういうことで」
「……マジっすか」
イグさんは、ひらひらと手を振って、さっさと救護室を出ていく。確かに、イグさんも非常勤講師とはいえ、今回の大会では、仕事を任されているのは知っていた。ずっとそこを離れるわけにはいかないのも分かる。分かるんだけれど、さっさといなくなるのは如何なものですかね。
「イグニースくん、またね~♪」
ほわほわっとした空気を纏ったアルフォースさんは、イグさんを見送った後、少し離れたところでお仕事中のリアさんに近付いた。
「リアちゃん、何か手伝えることあるかな? 部外者の僕でよければ、だけど」
「あら、いいんですか? それじゃあ、ポーション作りをお願いします。正直、手が足りてなくて」
「分かった」
ポーション作りはやり方を知らないと作れない。ここにいる救護班全員が作れるのかと言われると、素直には頷けない。誰にだって得意不得意はあるというものだ。それに、仮に全員がポーション作りができたとして、全員にさせる訳にもいかない。難しい問題である。
さて、イグさんに任されてしまった以上、アルフォースさんがここにいるなら、私も残っていなければならない。
若干の手持無沙汰感が否めず、私はちらりと救護室に備えてあるモニターに目線を移す。そこにはDブロックの真っ最中らしく、生徒達が戦っている映像が映し出された。私の記憶が正しければ、確か、Dブロックにはユーリ君とシエル君がいたはず。大人しく観戦できればよかったんだが、この救護室の状況を見るにそうもいかないだろう。
手近な救護班の子達に近付いて生徒の手当てに混ざることにした。



~あとがき~
あばば。一話で終わらない、だと……!!(知ってた)

次回、成り行きで救護室のお手伝いをするラル。救護室の危機(?)を救うのは誰だ!?
いや、別にそんな大それたやつじゃないけどね??

特に言いたいことがなあい。
んー……そうだな。友人のキャラについて何か補足することはできないので、私のキャラの補足をば。
ラルのスキルは本編通りだと思ってくれていいです。大抵のことはこなしちゃう天才少女。だからまあ、手当てと言うか、医療的なこともできちゃうって話ですよ。本編でもそうですし。おすし。
できないこともありますけれどね。当たり前ですが。一番の器用キャラは間違いなくフォース様です。この場にいないけど。性格的な問題抱えてますけどね~!!

ではでは!