satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第450話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、午前の部ラスト競技、パン食いレースが終わりました!
ティールは無事、ジャムパンを手にできたのでしょうか……?
ラル「そこ、重要か!?」


《L side》
無事、パン食いレースも終了し、異様な熱狂も落ち着きを取り戻した頃。
『一日目、午前の部も無事に終了だ! おつかれさん! ここからは皆様、お待ちかね! 昼休憩の時間だ~~~!!!』
『体育祭期間中は例年通り、学校からお弁当が支給されます。今年もレイ学の食堂でお馴染み、料理長のゴンツさんお手製のランダム弁当です♪』
これもまた、体育祭の醍醐味かもしれない。
ゴンツさんのランダム弁当とは、別名、試作弁当とも呼ばれ、学食の新メニュー候補の料理やおかずがランダムに入っている弁当のことだ。そのため、どんな弁当なのかは受け取ってみてからのお楽しみである。
「食堂の奴ら、よくもまあ、生徒全員分を用意できるよな? しかも、全部一緒じゃなくて、ある程度バリエーションのあるやつ」
「しかも、全生徒、だもんね? ここ、千人くらいいるんでしょ?」
「最早、業者じゃねぇか……気が滅入る」
分かる。料理する身としては、沢山の種類のお弁当を用意するの、嫌だもん。でも、これはあくまで私とフォース君の主観なので、ゴンツさんは嫌とか思ってないんだろうな。プロだし。
……さて、そんなランダム弁当は一度、自分のクラスに戻って、そこで担任の先生から受け取る方式だ。そこから各々、好きな場所で昼休憩となる。
「さて、と……今年も皆で一緒に食べるでいい? ステラちゃんやリーフちゃん、予定ある?」
「いえ! 私は大丈夫ですよ♪」
「ワタシも! 今年もご一緒させてくださいっ♪」
了解。なら、集合場所も例年通り、中庭辺りでいいか。そこから人が少なそうなところに移動すれば問題なさそうだ。
「……一応、おれにも聞けば?」
「え!? 問答無用で強制参加の人に何を聞く必要が!?」
「うっぜ」
お黙り。なんなら、お弁当の受け取りも、私と一緒に行くんだよ。フォース君は!
私は嫌がるフォース君の腕を掴み、強引に引っ張るようにその場を離れた。ティールはまだここに戻ってないけど、どうせクラスで合流できるので、こちらで待つ必要はないだろう。
そして、ステラちゃん達は中等部なので、校舎は別になる。ここで一旦、解散だ。
「二人とも、また後でね~♪」
「はい。ラルさん、すーくんをお願いします!」
「まっかせろ~♪」
「こいつら、覚えてろよ……!」

私はフォース君と一緒に一度、教室に戻ってきた。教室ではすでに昼食の配布が始まっており、受け取ったクラスメイト達が楽しそうに移動していたり、そのまま教室で食べ始めていたりしていた。
ちなみに、ティールの姿はない。
「お弁当の数からして、まだ半分も戻ってきてないっぽいね?」
「あ~……あいつ、ジャムパンに意識向き過ぎて、これ、忘れてるとかないよな?」
え? いやぁ……流石にそれはないと思うけどね。とりあえず、私達は受け取ってしまうか。
先生からお弁当を受け取り、一旦、空いている席に座る。待っている間は暇なので、適当に話でもしていよう。話題はやはり、目の前にあるお弁当だ。
「フォース君って好き嫌いなくていいよね……何が出てきても、お弁当、美味しく食べられるもんね」
「なんだよ、突然。……まあ、これに激甘スイーツとかなければね。お前だってそこまで好き嫌いない……って、辛いの駄目なんだっけ?」
ピリ辛とか、ちょっと無理ですね」
何かトラウマがあるとかではないのだが、私は辛い料理が食べられない。カレーで言うところの中辛もしんどい。
辛み成分が口に残る感じが駄目なのか、刺激物自体が駄目なのか……とにかく、嫌いなものは嫌いです。
「あのくそまずダンジョン飯を食べる方がましなんだよね」
「あぁ……ダンジョンでポップする謎の食料ね。あれと辛い料理が同等なの、ヤバイな。あれ、食べるもんじゃなくね?」
あれを食べる時は最早、無なんだよな……何も考えてないし、何も感じないようになると言いますか。とは言え、あれはあれで極力、手を出したくない代物なんだけど。
そんな話─昼食前になんつー話をしてるんだって感じだが─を二人でしていると、ウッキウキのご様子のティールが教室へ戻ってきた。彼の手には先程の戦利品と思われるパンが一つ。
「ただいま~♪」
「おかえり。目当てのもん、取れたのか?」
「うんっ! バッチリ!」
フォース君の言葉に素直に頷き、満面の笑みを見せた。彼の様子を見れば、一目瞭然ではあるけど、やっぱり手に入れていたようだ。
「パンもいいけど、早くお弁当ももらってきて? この後、中等部二人と待ち合わせてるんだから」
「分かった。ちょっと待ってて?」
「……ラルは手慣れてんね、あいつの扱い」
それなりの付き合いですから。あぁいう時のティールは、こちらから促さないと動かないからな。
ようやくティールも自分の昼食を手にし、私達は教室を退出した。目指すはステラちゃん達の待つ、中庭である。
私達が中庭に到着すると、すでに二人は自分達のお弁当を受け取っているらしい。お弁当の入った袋を抱えて、空いているベンチに座っていた。
「ごめーん! 二人とも、待った~?」
「ラルさ~ん!」
「大丈夫です。ワタシ達もさっき着いたので! ティールさん、パン食いレース、お疲れ様でした♪」
「ありがとう、リーフ」
ちゃんと合流もできたな。後は食べる場所だな。このまま中庭で食べてもいいんだけど……一つ、問題がある。
「フォース君、どこにする? ここでもいい?」
「ここじゃないとこがいいです」
だよねぇ……
中庭は私達以外にも多くの生徒が昼食の場所として選んでいるらしく、結構な賑わいを見せていた。
一番、楽なのはどこかの空き教室とか、生徒会室を使うことだけど、体育祭中はサボり防止なのか、空き教室は終日施錠されている。いやまあ、私にはマスターキーがあるので、一応開けられるけど……ズルはよくない。同じ理由で生徒会室も開けられるけど、生徒会室を使うのはグレーだよねぇ?
「……比較的、人が少なそうなところに行こっか。フォース君なら探し当てられるでしょ?」
「じゃあ、こっち」
人気の少ない場所を探すプロを先頭に学園内を移動していると、見覚えのある男女とすれ違う。
白の狐族の女の子と赤の牙狼族の男の子……言わずもがな、ツバサちゃんとアラシ君だ。
あちらも私達に気付いたようで、ツバサちゃんがパッと顔を輝かせ、ブンブンと手を振ってきた。
「あ、ラルさん! それに皆さんも!」
「やっほ。そっちは二人だけなの? デート?」
「んなわけあるか! レオンとアリアと待ち合わせてんの!」
どうやら、アラシ君とツバサちゃんは幼馴染み達とお昼を過ごす予定らしい。ミユルちゃんとシエル君の名前が出てこないところを見るに、二人はまた別で約束があるのだろう。
「そだ。ラルさん、あーちゃん、教室で見かけませんでした?」
「いや? いなかったと思うけど……いた?」
と、男子二人に目配せをする。
「おれは知らん。……少なくとも、おれ達がいる間は教室にいなかったよ」
「ごめんね? ぼくも知らないんだ。パン食いレース後、一緒に教室行くか聞いたんだけど、残ったパン貰いに行くとかなんとか言って、別れちゃったんだよね」
え、レースに使われなかったパン、貰いに行ったの? 破棄されるより、誰かに食べて貰った方がいいかもしれないけども。
「そうですか……ってことは、パン貰って、教室行って……自前のお弁当も持ってってするから、もう少し時間かかるかな?」
「かもな。なら、先にレオンと合流っすか?」
「うん。そうしよっか。……あ、あの、ラルさん」
「ん? なぁに?」
「もし、皆さんがよろしければ、お昼、一緒に食べませんか……?」
私は構わないし、多分、ティール達も問題ないだろう。問題があるとするなら、フォース君くらいか。
「フォース君が決めて~」
「…………嫌だっつったら、うるさい人がいるんで、好きにしてください」
ステラちゃんの睨み……もとい、熱い視線にフォース君は大人の対応をする。流石、お兄さん。
「わあ! ありがとうございます! アラシもいいよね?」
「俺の確認は事後かよ……まあ、いいけどさ」
「えへへ♪ じゃあ、あーちゃんとレオンと合流したら、ラルさん達のところに行きますね! 皆さん、どちらで食べるんですか?」
……私らはどちらで食べるんでしょうね?
私達はフォース君に視線を向けた。如何せん、場所のチョイスはフォース君に一任している。つまり、行き先は彼しか知らないのである。
フォース君は少しだけ考え、すっととある場所を指差した。
「あの建物の影。あの辺にいる」
「分かりました! では、また後程ですっ♪」
フォース君がそう言うってことは、あの辺は人がいないってことなんだろうな。
まあ、それはそれとして。
いつもより大所帯になりそうだし、私達は先に行って、場所を整えておきますか。



~あとがき~
競技パートは一話でしたが、昼パートは何話か続きそうですね(笑)

次回、お弁当だー!

この体育祭編、ラルチームとツバサチームが絡むところがほとんどないです。まあ、お互い、別々に観戦してるので仕方ないですが。
なので、休憩時間くらいはいつも通りのメンツでね!

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第449話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサ、ミユル、ステラ、リーフの参加する玉入れが終了しました。結果は白組の勝利! まあ、謎パワーによって、紅組に白組の玉が混じってたみたいですけど!
ツバサ「……私、ちゃんと背を向けて投げてたんですよ……?」
ま、まあ、あれがツバサちゃんのせいだとは決まってないので! き、決まってないので!!


《L side》
一日目午前の部、最終競技が始まろうとしていた。午前の最後の競技とはいえ、最後なので、生徒の盛り上がりも一際である。
……いや、この異様な盛り上がりは多分、最後だからって理由じゃない。競技自体が特殊なのだ。
『さあ、続いては! 今回の体育祭競技の中で、いっちばん倍率の高かった! パン食いレースだぁぁぁっ!!!!』
『噂では……数年前、あまりの倍率の高さのせいで、大会当日まで、参加者同士争いがあったとか、なかったとか……?』
私は水分補給をしながら、二人の前説を聞いていた。
単なる体育祭競技でなんつー事件を生み出しているんだ。まあ、理由は知っているのだけれど。
『おうよ! なんてったって、この競技に使われるパンの中には『幻のジャムパン』と噂高い、クレアおばさんのりんごのジャムパンがあるからな!』
……はい。これが理由です。
高等部では有名である、数量限定の『幻のジャムパン』が競技で食べられるのだ。もちろん、こちらでも限られた人にしか、手にできないのだけれど。それでも、参加さえできれば、誰にでも食べられるチャンスがあるのは確かである。
『ジャムパンだけでなく、他のパンもクレアおばさんのお手製ですから、全て美味しいんですけどね~?』
『それでも! 幻のジャムパンファンからすれば、これは見逃せないビッグイベントなんだぜ、相棒!!』
幻のジャムパンファンって何。……いや、言っている意味は分かるけど、そんな名称、いつからついてるんだ。
『えぇっと……先輩? もしかして、出たかったんです……?』
『おうよ! くそー! 抽選に外れたんだよー!!』
リュウ君の事情なんて、くっそどうでもいい~
リュウ君は軽い咳払いをし、改めて競技についてルール説明をしてくれた。
『このパン食いレース! 各レースに分けられる……なんてことはなく、全員参加! 一回限りのガチンコレース! 参加者は四ヵ所に設置されたパンを食べて、ゴールを目指してくれ!』
『ゴール前以外のポイントでは、ちゃんと手に取ったパンを完食してから走り出してくださいね? 食べきる前に走り出したら、失格になります!』
『最終ポイントだけは、少女漫画あるあるの口に咥えた状態でのゴールが許可されてるから、一直線に目指してくれよな! 曲がり角はないから、安心しろよ☆』
『ちなみに、幻のジャムパンは最終ポイントに配置される予定です♪ 運がよければ、手にできるのではないでしょうか?』
『トップ争いに躍り出て、ジャムパンを引き当てるか、残り物にはなんとやら~……で、あえて、後方に位置付くのか……その辺は参加者次第だ!』
いや、これ、一応、競走だから。幻のジャムパン引き当てたら勝ちってルールではないぞ?
『よぉし! 説明は以上だ!! 参加者はスタート位置についてくれ!』
……簡潔に言うと、だ。
数十名によるパン争奪戦である。三ヵ所に設置されたポイントでパンを食べ、最後のポイントでパンを手にして、ゴールをする……それだけである。
中等部、高等部合わせて、千人はいるので、この数十名ってのは、高い倍率を掻い潜り、選ばれた戦士(笑)ってところか。
「……なあ、ラル」
「ん?」
自前の上着のフードを被り、じっと下を見つめるフォース君。……ちなみに、ついさっき、こちらの席に帰ってきたので、ステラちゃん達の玉入れは見てないと思う。
そんな彼の視線の先には我らの仲間、ティールの姿がある。
彼もまた、死線(倍率)を潜り抜けた戦士の一人だ。いやはや、あのりんごに対する執着は天晴れだよ。もう何も言えないよ、私は。
私はふわりと欠伸を溢しつつ、パラパラと体育祭のパンフレットを捲っていく。
この態度で察してくれるだろうが、私はこの競技にまっっったく、興味がない。ティールが勝とうが負けようがどうでもいいのです。強いて言うなら、怪我だけはするなくらいです。
「この三年、ずっと思ってたけどさ……今までの競技の中でもこれが一番、怪我人出ねぇ?」
「皆、加減を知らないからねぇ」
とはいえ、会場の不思議パワーのお陰で、大きな怪我をしなくてすむ─負ったとしても、軽い擦り傷程度である─ので、こういう無茶苦茶なレースもありである。
「それを許す学園もどうかしてるわ。……時にラルさんや」
「今度はどうしたんだい、フォースさんや」
「あの胃袋ブラックホールなディーネさんと同等のスピードを見せつけている君の相棒に一言、お願いします」
そう言われ、私もフィールドへ視線を向ける。
パン食いレースなので、アリアちゃんもいるだろうと思ってたけど、やっぱり、ちゃんといるんだな。
そんなアリアちゃんは今、三つ目のポイントで焼きそばパンをぺろりと平らげているところだ。そして、ティールは少し遅れながらも、三つ目のポイントでカレーパンに手を伸ばしているところである。トップ争いの軍にはいるので、上手くいけば、トップスリーに入るかもしれない。
「……あんな相棒、存じ上げません。人違いでは?」
「現実から目を逸らすなよ」
「最後のポイントで絶対に幻のジャムパン、だっけ? それを取れるかは運ですよね?」
ステラちゃんの言葉に私は小さく頷く。
そう。ルール上、幻のジャムパン以外のパンも多くあるので、普通なら、幻のジャムパンを引き当てるのは難しいだろう。
普通なら、ね。
「アリアさんって、すーくんとラルさんのお友達なんですよね?」
「友達ではねぇよ。……クラスメイトではある」
「んもう、細かいなぁ……そのクラスメイトのアリアさんも幻のジャムパン、取れるか分かんないですよね。運勝負ですし」
「だよね? 普通のジャムパンとかも混じってると思うし、見た目が似てるパンは沢山あるし……ワタシだったら無理ですよ~?」
「いやぁ? アリアちゃんは取ると思うよ。食に関して、犬の嗅覚してるから。……それにティールも。トップを守れるなら、引き当てられるよ。りんごに対する嗅覚は鋭いから」
こんなことに確信は抱きたくないが、ティールとはそういうやつなのだ。
彼のりんごに対する執着は、時に人の能力を越える。……と、いうか、だ。
「そういう超人パワー、もっと別なところに発揮させなさいよ……!」
なんで! りんご限定なんだよ!!!
……私の悲痛の叫びが彼に届く日は一生来ないだろうな。
一番、最初にゴールテープを切ったのは、言わずもがな、アリアちゃん。そして、ティールは少し遅れて、三位である。二人に共通するのは似たような菓子パンを手にしていることだろう。
ここからでは、本当に手にできたのか判別できないが、あのティールがりんご絡みでミスするとも思えない。何より、あの笑顔が物語っている。
「……お目当てのジャムパン、ゲットしたみたいですね、ティール君は」
「それをこっから判断できるお前は流石、相方を理解してるよ」
うるせぇ。あんなやつ、私は知らんわ……!



~あとがき~
忘れた頃にやってくる、幻のジャムパンネタ。相方が周年イラストで描いてくれた場面はここでした。

次回、昼休憩!

りんごが絡むとラルさんは相棒に冷たいですが、悲しいかな、相棒のことは誰よりも理解している。
ちゃんと見てなくても、ティールがどうなったか、どうなるかはちゃんと分かってます。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第448話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとツバサちゃんが障害物競走に出場し、ラルが見事一位となりました。他レースの詳細は知らん←?


《T side》
障害物競走が終わってから、私は皆がいる観客席で他の競技の観戦をしていた。
レイ学の体育祭の観客席では、生徒達に決められた席はないので、クラスメイトの仲良しグループで固まっている人達もいれば、クラスや学科も違うお友達同士で一緒にいる人達もいて……皆、好きなように過ごしているみたい。
そんな私も同じクラスのアラシ、同学年だけど冒険科のレオンと一緒にいる。まあ、この二人といるのはいつものことではあるけど、今日はそこにあーちゃんやみーちゃん、シエルもいる。つまり、私の幼馴染み達と一緒なのだ。
あーちゃんやみーちゃん、シエルは学年が違うので、学校で一緒に何かするってことがほとんどない。だからか、皆と観るだけでも楽しくなってきちゃう。
ちなみに、レオンとシエルは、ラルさんと同じ紅組で、私、アラシ、あーちゃん、みーちゃんは白組。組分けは運なので、どうしようもないけど……競技外は敵味方関係ないので、気にしない!
「いや~! 純粋な徒競走、やっぱスピード勝負だし、全体的に三年の先輩達が強かったな~? まあ、ラル達はいなかったっぽいけど♪」
「まあ、ラルなんていたら、勝負にならなそうだけどな……?」
「ん~……確かに。パルクールも速いからな、ラル先輩。現に、障害物競走も速かったよね」
今のところ、ラルさん以外の人達は他競技で見ていない。もちろん、団体競技とかに出てて、見逃している可能性はあるけど……少なくとも、私は見ていないと思う。
競技はルールによって、学年関係なく組まされるので、極端だけど、中等部一年VS高等部三年の勝負も珍しくない。でも、流石に純粋な徒競走なんかは、ある程度、調整はされてるみたいだけど。
「ツバサちゃん」
「ほえ? どうしたの、みーちゃん?」
ぼんやりとアラシ達の話を聞いていた私の肩をとんとんっと優しく叩いてきた。そして、みーちゃんはにこっと笑う。
「そろそろ、私達の出番かな~って♪ ツバサちゃんも出るのよね、『玉入れ』……違ったかしら?」
「ううん! 行く!」
「お、ツバサ、また出番か! いってら~♪」
「うん! 行ってきます♪」
皆に手を振って、みーちゃんと一緒にフィールドに入場できる階段前まで移動する。その道中、みーちゃんが思い出し笑いなのか、くすっと笑みをこぼした。そんなみーちゃんに、私は思わず、首を傾げてしまう。
「あら、ごめんね? ふと、ツバサちゃんが玉入れに参加するって聞いた時を思い出しちゃって。とってもびっくりしたなぁって、ね? ほら、ツバサちゃんって……投擲がアレだから」
うっ……そ、そうなんだけど……!
「私も最初は参加するつもりなかったんだよ。でも、玉入れの玉って当たっても痛くないでしょ? それなら、他の人を怪我させちゃうこともないし、練習になるかなって思ったの!」
こういう機会でもないと、何かを投げる練習もできないからね! いつもなら、アラシが誰かに当たると危ないからって止めちゃうから。
そんなアラシも「玉入れなら」って許してくれたし……体育祭の一競技として、真剣勝負の場だけど、せっかくの機会を逃したくないもん。
「なるほど。……その時のアラシくん、しぶ~い顔してたでしょうねぇ……?」
「ほえ!? なんで分かるの、みーちゃん!」
「なんでって……ツバサちゃんのノーコンっぷりは私達の常識だもの。特にアラシくんは、アレのよく被害に遭ってるし」
「あう……わ、わざとじゃないんだけど……」
でも、みーちゃんの言う通りでもあるんだよね。うぅ、なんでなんだろう……?
運動場は玉入れ用にセッティングがしてあって、それぞれの範囲の中心に背の高いかごが置いてある。その周りに沢山の玉が落ちていた。
「あ、ツバサちゃんだ!」
「ミユル先輩も。二人とも、参加されるんですね」
話しかけられた方向を向くと、紅色の鉢巻をつけた、ステラちゃんとリーフちゃんがいた。二人とも、私達に向かって手を振ってくれていた。
「あらあら、ステラちゃんとリーフちゃんも参加するのね」
「はいっ♪ 参加競技を決める時、ステラと一緒に楽しそうな競技に出たいねって話をしてたので。これにしました! それに、ステラは投擲が得意ですから♪」
「ツバサちゃん、その、玉入れ参加するんだね。……大丈夫そう?」
そういえば、ステラちゃん達も私のノーコンっぷりは知ってるんだった……!
剣技大会の屋台巡りで立ち寄った射的屋さんで、存分にその力を見せちゃってたんだっけ……? は、恥ずかしい……!
「だ、大丈夫! こうやって背を向けて投げてれば、紅組のかごに入ることはないと思うからっ!」
私はくるっと紅組のかごを背後に、玉を投げるジェスチャーをして見せる。
これなら、紅組にも迷惑をかけず、投擲の練習になるし、少しくらいは白組に貢献もできる……はず!
なんてことを思いつつ、ちらっと三人の方をみると、三人の顔はなんとも微妙な顔をしていた。
「ツバサ、それは多分、フラグってやつだよ……?」
「えぇ……確かにそうねぇ」
「物理法則を無視してくるのが、ツバサちゃんの投擲力だもんね~?」
「そ、そんなことないよ! 大丈夫だよ!?」
ふえぇ!? みーちゃん達からの信用がない!
『参加者は揃ったな! じゃあ、学部、学科、学年等々、関係なし! ごちゃ混ぜ参加の団体戦! 玉入れの開始だ~!』
『ルールは簡単です。制限時間内に自陣のかごに玉を入れるだけ。紅組は赤のかごに赤の玉を。白組は白のかごに白の玉を入れてください』
『混ざることはないと思うが……自分の色じゃない玉を入れても得点にはならねぇから、気を付けろよ!? 後、妨害行為も禁止だ! 皆で楽しくをモットーによろしくなっ!』
うんうん……皆がよく知っているはずのルールだね。特別ルールみたいなのもなさそう。
ルール説明も終わり、参加者は係の人達の誘導に従い、配置についた。
うん……頑張るぞ……っ!
競技が始まると、参加者は地面に落ちている玉を拾い、一斉にかご目掛けて投げていく。私も近くの玉を拾い、狙いを定めた。
「……えいっ! え、えと……あれ? どこ、いったんだろ……?」
投げる瞬間、一瞬目を離してしまったのがよくなかったみたい。すぐに見失ってしまう。
よく考えたら、皆が投げる玉が同じ色しているし、私と同じタイミングで投げる人もいる。結果、私が投げたものが入ったのか、そうじゃないのか判断できない……そりゃ、そうだよね。
まあ、それを悔やんでも仕方ない。今度は見失わないようにじっと見てないと!
私はまた、近くの玉を拾い、同じように狙いを定めて、玉をぽいっと投げる。
今度は見失わなかったけど、あらぬ方向に飛んでいくのが見えた。
「ま、まだまだ! 時間はあるし、何度でも投げる……!」
時間内であれば、何度でもチャレンジできるもん。このまましょんぼりしてるのは、もったいない!
私は気合いを入れ直し、再び、玉を拾うのだった。

あれからどれだけ挑戦したんだろう。
ピピーッと競技の終了を告げる笛の音が辺りに響き渡った。参加者はかごの範囲外に出て、結果発表が終わるまでその場に座る。
「ツバサちゃん、どうだった? 練習にはなった?」
「……みーちゃん」
「あら……その様子だと、駄目だった?」
私はしょんぼりしたまま静かに頷く。
全部を視認していた訳じゃないけど、私が見てたものは、どれもかごに入らなかったと思う。
「うぅ……やっぱり、難しいね? 玉入れって」
「そうねぇ……ツバサちゃんにとってはそうかもしれないわね?」
でも、少しくらい練習にはなった……そう思うようにしよう。
私は駄目だったけど、これは団体戦。数が多ければ、白組の勝ちになる。せめて、そこだけは……なんて、思うのはおこがましい、かな?
互いのかごを係の人が確認して、いくつなのかを集計してくれる。その様子をドキドキしながら待つのは、楽しいような、早く終わってほしいような、変な気持ち。
後ろの紅組の様子も気になって、ちらっと背後の様子を窺ってみる。
「……? ──、──」
「───? ────!」
? 何か、あったのかな。
紅組の玉の数を数えている係の人が困ったように何かを話している。そして、その手には赤い玉……ではなく、白い玉が握られていて。
……ま、まさか、ね?
心当たりがない……こともないけど、私は見なかったことにして、視線を白組のかごに向き直る。
そして、まもなく集計が終わったのか、司会のリュウさんの声が聞こえ始めた。
『参加者の諸君、待たせたな! ドキドキの結果発表だ! 勝者は~~!』
少し長めのドラムロールが鳴り、大きなシンバルの音が聞こえたあと、『白組です! おめでとうございます!!』という勝利を告げる声が聞こえてきた。
『そいやぁ、ちょっとしたアクシデントがあって、集計が遅れたんだって?』
『実は、純粋な玉の数は、紅組の勝ちだったんです。でも、それは白組の玉が混じっての数なので、きちんと集計した結果、白組の勝利となりました。安心してくださいね!』
ふぇ…………ちゃんと、背、向けてたのに……!! な、なんでーー!!



~あとがき~
ツバサちゃん、すっげぇな……(笑)

次回、パン食い競争!

玉入れとか懐かしいですね。
記憶が正しければ、小学生の頃にやったきりです。多分。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第447話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回より、レイ学全生徒参加の体育祭が始まりました。ということで、体育祭編となります。いえ~い!
さて、今回の体育祭編、ちょっと特殊な進め方となります。一話の中で視点をがらっと変える箇所がございます。誰視点なのかの判断はいつも通り、《》の内の人物視点となりますので、よろしくお願いします。


《L side》
『──さあ、次に行われるのは障害物競走だ! 参加する生徒はフィールドへ集まってくれよな!』
リュウ君のアナウンスで参加予定の生徒達はぞろぞろと移動を開始する。
「確か、ラルもだよね? 頑張って」
「うん。行ってくる」
ティールは敵のはずだけど、こうやって応援してくれるのは素直に嬉しい。
まあ、敵なんですけども。一人だけな。
「ラルさん、頑張ってくださいっ!」
「ワタシ達も、全力で応援してまーす!」
ステラちゃんとリーフちゃんも笑顔で見送ってくれる。ちなみに、フォース君はいつの間にか席からいなくなっているので、たまたま席を外しているのか、どっかに逃げたかの二択である。
まあ、ステラちゃんがいるので、戻ってくるとは思うけど。
さてさて、私も移動するか!
着ていたジャージを脱ぎ、ぐっと背伸びをする。そして、ティール達に向かってパチッとウインクして見せた。
「しっかり一位取ってくるから、ラルちゃんの活躍、見ててねー!」
「はいはい……全く、調子いいんだから」
「ふふっ♪ 私達はここから、しっかり見守ってます!」
「ラルさんのことだから、有言実行しそうですね~……いってらっしゃいませ♪」
呆れ顔の相棒と可愛らしい後輩達に見送られながら、私は観客席を離れ、フィールドへ向かう。
障害物競走は文字通り、障害物を攻略しながらゴールを目指す競技だ。
麻袋飛び、綱渡り、山登り、縄潜り、段ボールキャタピラー……意外と盛り沢山の障害物達である。それもあって、単なるスピード勝負ではなくなるので、学年等々関係なくレースを行う。まあ、流石に男女分けはされているけれども。
まあ、何がこようと、普段から探検隊として活動する私の敵ではない。校長ではないけど、寝てても勝てる自信すらあるし。
「あっ! ラルさんっ!」
「? あら、ツバサちゃんだ」
体操服に身を包み、頭には白組を示す鉢巻を巻いているツバサちゃんがいた。
ツバサちゃんは笑顔でピコピコと耳を動かし、どこか嬉しそうにしていた。
「えへへっ♪ ラルさんと一緒の競技に出れるなんて嬉しいですっ♪ どの辺のレースに出るんですか?」
「ん? 女子の最終レースだよ」
「ほわ……ってことは、一緒のレースに出るってことですね……!」
と言うことは、ツバサちゃんも最終レースの組ってことか。うーむ、残念。頑張るツバサちゃんを愛でる暇はあまりなさそうだな。
「じゃあ、正真正銘の敵同士だねぇ」
「……はわっ!? そっか! ラルさん、紅組でしたね……!」
今、思い出したのか、ハッと気付いた様子を見せた。そんなところも可愛くて、ついつい頭を撫でてしまう。
撫でられたツバサちゃんは満足そうに笑みを溢しているけれど、これまた何か思い出したようにキリッとする。
「……ラルさん! 例え、ラルさん相手だとしても、私、負けるつもりはありません! 手加減しちゃ、ダメですよ?」
「うん。分かってるよ」
ごく自然に返答したつもりなのだが、ツバサちゃんは疑いの目を向けてきた。ツバサちゃんにしては珍しい顔だなぁなんて思っていると。
「……本当に手加減しないでくださいね?」
「え……? あぁ、うん。しないしない」
ティール達に宣言した以上、一位取る気満々なのは変わらない。でも、そこまで本気になる必要もないと思っていた。だからまあ、手加減するなという指摘は、ある意味、的を得ている。
ツバサちゃん的には、私相手だからといって、手は抜かないでくれ、という意味合いなのだろうけれど。
仮にそうだとしたら、なんだか、ツルギ君みたいなことを言う。彼は負けず嫌いなところを包み隠さず見せていたが、もしかしたら、ツバサちゃんもそんなところがあるのかもしれない。

障害物競走自体は問題なく進行し、私とツバサちゃんの出る番になる。
『いよいよ! 女子の部、最終レースとなったな! いやぁ~♪ 誰が一位になるのか、楽しみだぜ!』
『参加者の皆さんは位置についてくださいね~!』
司会二人が場を繋いでいる間、係の人に誘導され、スタートラインに立つ。
さあってと……頑張りますかね~?
「位置について……よーい、ドンッ!」
パンッとスタートの合図を皮切りに走者が一斉に走り出す。この辺は、ほぼ横並びなのだが、この先はいかに早く障害物を乗り越えるかで順位が決まる。
まず最初にこなすのは、麻袋飛びだ。袋の中に入り、一定の距離を進むだけの簡単なものなのだが、如何せん、動きにくい。
それは全員、一緒なのかここであまり差はついてない……のだけれど。
『おぉ! 白組の一年、なかなかに素早い動きだな!』
『他の皆さんも頑張ってくださいっ』
白組の一年……ツバサちゃんかな?
ちらっとツバサちゃんを見ると、大きな麻袋から顔だけを出し、ピョコピョコと跳び跳ねる女の子の姿があった。
その姿は健気で可愛らしいのだけれど、一体、あの小さな体からどうやって、あそこまでの動きを生み出しているのかは謎である。
……麻袋飛びを終えると、今度は綱渡りゾーンとなる。五メートル程の縄を一回も落ちずに渡りきることで、ここを突破できるようだ。
流石、冒険科が併設される学園。それっぽい障害物である。
周りの走者達はふらふらと慎重に渡ろうとするものの、皆、途中で落ちてしまい、最初からになっている。
ツバサちゃんも例外ではなく、渡りきる前にべしょっと地面に落ちてしまう。ちなみに、縄の下は怪我しないようにふかふかマットが敷いてあるので、何度落ちても大丈夫のようだ。
さて、これくらいの距離なら、ジャンプして渡れるけれど、それは流石にルール違反となってしまう。普通に渡るか。
現役探検隊としては、こんな障害物で失敗なんてしていられない。仮に失敗したら、笑われる! 特にフォース君から!!
『おぉ! 流石! 高等部、生徒会長にして、探検隊『スカイ』のリーダー! 一発成功で渡りきったぞ!』
おい。私だけ身バレするような固有名詞での実況をやめろ。今度こそ、放送部の経費削減するぞ?
私は綱渡りを終え、山登り用の山の前に立つ。とは言え、山登りなんて言うけど、そこまで高いものではない。ざっと三メートル程だろうか。しかし、それなりに急勾配なので、上るのに苦労はしそうだが。
……まあ、これもまた、現役探検隊の敵ではないけどね!
軽々と上り坂を上って、下り坂は一気に滑り降りる。はい。攻略っと。
そして、そのまま、網潜りのゾーンへ差し掛かった。網が動かないよう、複数の生徒達が網の端を押さえ付けている。そのため、端の方は潜りにくくなっているのだ。ってことで、真ん中を突っ切るしかない……本当なら、先頭に誰かいれば、その隙間に便乗して潜っちゃうんだけど、残念ながら、現在は私が先頭である。そして、綱渡りと山登りが行く手を阻んでいるせいか、すぐに誰かが来るような気配もない。
いくかぁ……くそぉ、私が先頭かぁ。
当初の作戦通り、真ん中を突っ切る形で網へと飛び込む。私が中腹辺りまで来た頃、他の走者達もぞろぞろとやってきて、網を潜り始める。
やっぱ、追い付かれるなら、この辺からだよねぇ……まあ、想定内だ。
私がまだギリギリ先頭を守りつつ、網から脱出すると、最後の障害物へと到達する。最後は段ボールキャタピラー……だったか。
輪っかになった段ボールの中に四つん這いの姿勢で入り、ゴールを目指す……らしい。
うん……予想していたけど、四つん這いのままゴールを目指すのは、なかなかにしんどい。これは体の小さい人が有利だな。……例えば、ツバサちゃんみたいな女の子とか。
しかし、そのツバサちゃんは綱渡りに時間をかけてしまったため、私とは順位が離れてしまっている。ここから追い付かれることもないだろう。
そして、網潜りで差は縮まってしまったけれど、周りの走者達は私の敵ではない。
「……私の勝ち」
危なげなく、他の走者達と差もつけ、私はゴールテープを切った
『ゴール! 一位は紅組の三年だーーー!』
ふう……よし。有言実行!
私がゴールしてすぐ、他の走者達もぞくぞくとゴールラインに到達し、ツバサちゃんも四位という結果でレースが終了した。四位は真ん中くらいの順位なので速くもなく遅くもなく……といったところだろう。
「流石、ラルさんです……! とっても速かったですね!」
「ま、現役の探検隊だからね。これくらいはなんでもないよ」
「そうだとしてもですっ♪」
私としてはなんでもないのだが、こう褒められると嬉しくなってしまう。
やっぱり、ツバサちゃんは天使だなぁ♪



~あとがき~
リアルが落ち着いて、「はっ! レイ学更新せねば!」と覗いたら、本編の最終更新が二ヶ月前……だと……!?
お待たせしました……いや、本当に……!

次回、別の競技の様子をお見せします!
果たして、誰が出てくるんでしょう。お楽しみに!

ラルにとって、学校の障害物競争なんて障害物にすらなってなさそうだなぁと思いつつ、書いてました。普段、ダンジョンやらモンスターとの戦闘やらで動き回る方ですからな。
そういう観点から、ラルも競技を選んでそうっすね……

ではでは。

気ままな神様達の日常記録 vol.20

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっています。
今回は前回に引き続き、図書館にてお掃除をする話。なぜ、アルフさんが鈴流を呼んだのかも明らかになるぞい。



☆さくっと登場人物紹介☆
フォース:制御者の一人。鈴流の生涯パートナーであり、彼女のことを大切に思っている。

鈴流:フォースの持つリボンの付喪神。フォースの生涯のパートナーであり、彼のことを真っ直ぐに思っている。

アルフ:転生の神。転生の神ではあるが、色々と任されている偉い人。

チェル:アルフの従者の一匹。白い兎の姿をしており、素直で優しい性格。



★図書館の大掃除。
神と従者とモフモフと。★
ルリとガーラに教えてもらった読書スペース付近まで行ってみると、二匹の言った通り、チェルとアルフ様が本の修繕をしていた。
チェルがとあるページを開き、それをアルフ様へと見せていた。恐らく、そのページを修繕したのだろう。
『こんな感じでいかがでしょう?』
「うん♪ いいね。それじゃあ、その本はあっちのスペースで乾かしてもらえるかい?」
『かしこまりました!』
と、アルフ様の了承を得た本をチェルは自身の頭の上に乗せ、その場を後にする。
「あ! フォースくんと鈴流ちゃん! 来てくれたんだねー!」
こちらが話しかける前にアルフ様がおれ達に気付き、パッと笑みを見せる。それに合わせ、おれは小さく会釈をし、鈴流もペコッと頭を下げた。
「こんにちは、アルフさんっ!」
「こんにちは~♪ フォースくんもありがとうね?」
「いえ。チェルとフィアから話は伺いました。鈴流に手伝ってほしいであってますか?」
「うん。間違いないよ」
あぁ、間違いないんだ。
アルフ様は作業の手を止め、少しだけ申し訳なさそうな表情をこちらに向ける。
「ごめんね? 急に呼び出して、手伝ってほしいなんてお願いしちゃって」
「いえいえ! 私にできることなら、なんでもしますよ! あと、フォースも手伝ってくれますから! ねー!」
まあ、暇だしね。
鈴流の言葉にアルフ様は予想外だったのか、キョトンとした様子でおれを見つめた。
「本当? ファウスさんの方は大丈夫かい?」
「問題ありません。今日のやることは全てやらせましたから」
「あはは♪ さっすが、フォースくん。なら、お言葉に甘えて、手伝ってもらおっかな? この後、ウィルくんも来てくれる予定ではあるんだけど……人手が多いに越したことはないからね♪」
兄貴も来るのか。確かにここまで大がかりな整理なら、兄貴にヘルプ頼んでても不思議ではない。が、途中参加とは珍しいこともあるのもだ。
兄貴は兄貴で仕事中になのか……
「……それで、我々は何をしたら?」
「そうだね。フォースくんは僕と一緒に本の修繕をお願いしてもいいかな」
アルフ様はちらりと積み上げられた本へと目線を移す。どうやら、まだまだ直さなければならない本は残っているらしい。
「分かりました」
「ありがとう。えっと、鈴流ちゃんはね~……っと……お、あったあった♪」
と言いながら、今度は足元のバッグを漁り始めた。そして、とあるものを取り出し、にこりと微笑む。
そんなアルフ様の様子を見て、おれと鈴流は互いに顔を見合わせた。

──おれ達がアルフ様達と合流して、数十分が経った。
おれは言われた通り、アルフ様の手伝い。アルフ様が粗方、修繕してくれた本の簡単な仕上げ作業をしていた。
対する鈴流はと言うと……
「えっと……りんごの『り』がこれ……だから、これとこれは一緒の本?」
手元の数枚ある紙の一枚を見てから、二つの本を交互に指差した。それを見たチェルがこくりと頷き、嬉しそうに笑う。
『はいっ♪ 正解です! では、お次はこの表紙と同じ形の文字をもう二冊、探してもらってもいいですか?』
「は~いっ!」
元気のいい返事をして、再び手元の紙とにらめっこしながら、並べられた本達を見比べていく。
鈴流がアルフ様に頼まれたのは、チェルの手伝い……修繕の終了した本の選別である。
おれはてっきり、選別の終わっている本の戻し作業(ルリやガーラがしてたやつ)でもさせるのかと思っていたので、あれの手伝いをアルフ様が指定した時は少なからず驚いた。しかし、字が読めない鈴流のためなのか、イラストと文字がセットになっている幼児向けの学習資料まで用意していた。
元々、それをさせようとしていた……のだろうか。
「もしかして、鈴流ちゃんが心配?」
アルフ様が作業の手を止めず、おれに問いかけてきた。
「珍しく、集中できてないみたいだからね。普段の君なら、とっくに終わってても不思議じゃない」
「……申し訳ありません。そんなつもりはなかったのですが」
「いやいや。責めてる訳じゃないよ♪ 君の気持ちも分かるからね。チェルが一緒にいるとはいえ……読み書きのできない鈴流ちゃんがちゃんとできるか、不安なんだろう?」
アルフ様に隠し事はできないな。……最も、隠すつもりもないのだが。
おれは再び、チェルと鈴流の方を見る。
鈴流は首を傾げながら、アルフ様から渡された資料片手にとある本を指差していた。
「チェルちゃん……この文字、なんて読むの~?」
『に、ですね♪ お肉のに!』
「お肉……おにく……お肉の絵はこれだから……この文字だ!」
チェルは笑顔でこくこくと頷く。それを見た鈴流はぐるりと見回し、いくつか指差していった。
「えっと……これとこれ、あと……これも! 同じ仲間だね!」
『はいっ! 大正解です!』
チェルに正解を告げられ、鈴流はパッと顔を輝かせる。
「やったー♪ えへへ、楽しいね! この作業!」
『ふふっ♪ それはよかったです♪ この調子で、残りもやっていきましょ~♪』
「おー!」
勉強している感覚がないからか、あいつもお遊び感覚で手伝っているのだろう。実際、嫌そうにしている素振りもなければ、苦悩している様子もない。だから、おれが口を挟む必要もないか。
「……不安はありますが、問題はないと思ってます。あいつも楽しそうなんで」
「ふふ♪ まあ、遊び感覚でやってもらってるのは間違いないね。……今回、鈴流ちゃんを呼んだのは、あの子に文字に『触れさせたかった』からなんだ」
「? 触れさせる?」
「そそ。……実はさ、ゆくゆくはここの管理を鈴流ちゃんに任せたいんだよね」
……鈴流がここの管理?
今はアルフ様の管轄だったはずだが……それがなぜ、鈴流にお鉢が回ってくるんだろう。
「元々、ここの管理自体、他の神達におしつ……こほん! どうしてもって頼まれたから、僕がやってるんだけど、僕の管轄はあくまで転生。命に関わる神なんだよね!」
あ~……押し付けられたんだ。
「今、ここの管理をしてるのはミィなのも、僕が管理しているからなんだけど。……けど、ほら。昔と違って、今は鈴流ちゃんみたいな子も増えてきてるからさ~」
鈴流みたいな……もとい、付喪神が、か。
様々な条件はあるが、付喪神は長い時を経て、神と成る。単純な話、世界が長く続けば続く程、付喪神は増えていく。
アルフ様はそんな付喪神にも、天界で何かしらの役割を与えようとしているのかもしれない。
「それにここの図書館の利用者は神々というより、その神に仕える従者達だ。なら、位の低い神が管理しても問題はないかな~って? 仮に管理者が僕でなくなったとても、ミィがここの主なのは変わらないからね」
「ミィのお気に入りの場所の一つですもんね」
「そういうことっ♪ ミィは本が大好きだし、ここは暖かいから、お昼寝にもちょうどいいみたいだからね~」
……本好きと昼寝は関係ない気もするが、まあ、いいや。アルフ様の言う通り、あいつがここで昼寝する姿はよく見かけるからな。
「もちろん。さっき言った通り、ゆくゆくは、だからね。今すぐにって話じゃないよ?」
「はい。アルフ様のことです。この計画のゴールは数年後ではなく、数百年後……いえ、千年、二千年後の話なのでしょう?」
「あはは♪ 流石、フォース君だね♪ まあ、今は鈴流ちゃんに神としての生に慣れてもらうのが最優先だからね。この話は長期的に見てるんだよ」
鈴流は図書館に来たのも初めてだし、第一、文字は読めなくてもいーもん、なんて言ってたやつが相手だからな。
まあ、それはどうでもよくて、だ。
付喪神を気にかけてるにしても、なぜ鈴流なんですか? 他にも適任者はいるのでは」
「ん? 鈴流ちゃんが僕の管理下にあるからだけど。まあ、一応ね?……って、あれ。もしかて、ファウスさんから聞いてない?」
おれは黙って首を振る。
鈴流に付喪神としての道を示したのは、他でもないおれのマスターだ。力を司る神であるマスターが、人だった彼女に『神』としての力を与えた。その結果、人として、輪廻転生の輪から外れてしまったので、アルフ様にも何かしらのご迷惑をかけていたのだと思う。……だが、アルフ様が何かを言ってくることはなく、おれは勝手に黙認しているものだと認識していた。或いは、マスターとの間に何かしらの取引でもあったのではと勘繰ってもいるけど……そこまでの頭があの人にあるのかは不明である。
「あ、ウィルくんみたいに直属の部下って感じじゃなくて、何て言うか……教育係みたいな? 神としてのあり方を教える先生役だね」
「あぁ……なるほど。でも、それならマスターがやるべきでは? あの人が鈴流を神にさせたんですから」
「理屈で言えば、そうなんだけどね。ファウスさん、やることだけやって、後は僕に丸投げしてきたからさ~♪」
うぅん……マスターらしいと言えばらしいのだが……なんでその辺が雑なんだ。
そう言えば、エレル達を迎え入れた時も力を与えるだけ与えて、残りはおれに丸投げしてたな……そういうところだよ、あの人の悪いとこは。
「申し訳ありません、アルフ様。うちのアホがご迷惑を」
「気にしないで♪ 僕の管理下って言っても形だけだし。それに僕が背後にいるってだけで、大抵の神は鈴流ちゃんに手出しできないから、都合いいでしょ?」
「それは……そうかもしれませんけど」
「そうだよ。それにさっきも言った通り、この関係は形だけだから、今回の図書館の件以外に僕から何かを強要することはないよ」
だから安心してね、と付け加え、アルフ様はにこりと笑う。
「君達は今まで通りに過ごしてくれればいい。……だって、互いに離れ離れは嫌だろう?」
……そうか。アルフ様もミィと長い間、離れ離れになっていた。だから、おれ達を気遣ってくれているのか。
おれは手元の本を撫で、小さく笑う。
「そうですね。……確かに、二度とごめんですよ。あんな体験は」
「ふふ♪ だよねぇ~? 僕もおんなじ気持ちだよ」
アルフ様はぐっと背伸びをして、新たな本に手を伸ばす。そして、いつも通りの笑顔をおれに向けてきた。
「フォースくん! 残った修繕作業をさっさと終わらせて、戻し作業は大遅刻してるウィルくんに丸投げしよう! ね!」
「え!? あ、はい……そう、ですね?」
そういえば、来るはずの兄貴の姿はまだなかったな。……アルフ様、顔には出てないけど、それなりに気にしてるのかも……?
その後、かたり遅れてやって来た兄貴に片付け作業をぶん投げたことは言うまでもないだろう。



~あとがき~
おしまい!

次回、通常運転に戻りますよ!!!
体育祭じゃぁぁぁ!!!

鈴流とアルフさんの関係性については、相方が考えてくれました。ありがたや~!
もちろん、本編(空と海)にはそんな設定ないんですけど、ここはコラボ作品の醍醐味です。本来、関り合いのないキャラ達が関わる世界線で楽しんでくれると幸いです。

ではでは!

気ままな神様達の日常記録 vol.19

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっています。
前回の続きっぽい感じですね。指名を受けた鈴流とそれに付き添うフォースの話です。



☆さくっと登場人物紹介☆
フォース:制御者の一人。生前の名前はカルマ。この名前で呼ばれることは滅多にない。

鈴流:付喪神。元は人間で赤の継承者として、フォースと過ごしていた。現在は自由気ままな神様ライフを送っている。

ルリ:アルフの従者の一匹。生前、フォースと仲がよく、今でも彼のことを『カル』と呼び、慕っている。大人なお姉さん気質。

ガーラ:アルフの従者の一匹。ルリ同様、フォースと仲がよく、今でも彼のことを慕っている。意外とツンデレだったり。



★図書館の大掃除。
神と従者とモフモフと。★
おれと鈴流は『叡智の図書館』へ向かうため、長く続く廊下を歩いていた。厳密に言えば、鈴流はおれの周りをふよふよと浮いているだけで、歩いてないのだが。
「……そいや、アルフ様がなんで鈴流に用があるのか聞いてねぇや」
「あはは♪ フォースってば、ファウスさんを説教するのに夢中だったもんね~♪」
うるせぇ。別に夢中になってねぇわ。
大体、あのアホが不甲斐なくて、どうしようもなく救いようのない馬鹿なのが悪い。
……なんてことを鈴流に説いたところで意味はないので、ぐっと我慢するとして。
「で? 鈴流に心当たりはないわけ? アルフ様に呼ばれる理由」
「え? ん~ん? なーんにも!」
……ですよねぇ。
鈴流はあっけらかんとして無邪気な笑みを浮かべている。
鈴流は常におれと一緒にいるとはいえ、天界に姿を現すことはほとんどない。その理由も特にないようで、本人曰く、わざわざ天界で姿を見せる必要性を感じていないらしい。
「私がアルフさんと会う時って、いっつもフォースと一緒だもん。だから、私個人の関わりなんてないよ?」
「それもそうか」
「でしょ~? まあ、行けば分かるさ! ごーごー!」
鈴流はくるりと旋回し、おれの前を通過して飛んでいく。鈴流はいつも通り、自由奔放である。対して、おれはのんびりと後ろからついていった。

目的地の図書館に到着し、重苦しい扉を開ける。すると、大量の本で埋め尽くされた棚が無数に並ぶ空間が目の前に広がった。
「ひょわ~~~! 本がいっぱい!」
「あれ? お前、ここに来たことなかったっけ?」
「ないっ! だって必要ないもん」
思い返せば、一度たりとも来たこともないんだったか。そもそも、文字の読み書きができない鈴流にとって、この場所は最も縁遠い場所なのかもしれない。
「そいや、お前から文字の読み書きを覚えたいとも言われなかったな」
「うん。だって、フォースが読んでくれるでしょ?」
……さいですか。
さて、アルフ様はどこにいるかなぁっと。
おれは本棚の間を縫うように辺りを見渡しつつ、奥へと進んでいく。
「あ、フォース! あそこにフォースのおともだちがいる!」
「あ? 友達?」
鈴流が指差した方向には、大量の本を乗せた荷車を引くガーラの姿と、そんなガーラの頭の上にちょこんと座るルリの姿があった。
あちらも鈴流の声が聞こえていたのか、ちらりとこちらを振り向いた。そして、荷車をパッと離して、こちらへと駆け寄ってくる。
『カル♪ それに鈴流ちゃんも。ごきげんよう♪』
『よお、お二人さん! チェル達の伝言、聞いて来てくれたのか? サンキューな!』
ルリはガーラからおれの肩の上に移動し、ガーラも楽しそうに尻尾を振る。
おれはガーラの頭を撫でながら、思わず苦笑してしまう。
「うん。まあ、それはいいんだけど……ガーラ、荷車を置いてくるのは駄目なんじゃない?」
『問題ない。誰も盗りゃしねぇさ』
そういう問題か……?
まあ、こいつらとは久々の再会ではあるので、とやかく言うことは止めておこう。
「アルフ様の従者達が整理してるってのは知ってたけど、お前達もいたんだな」
『おうよ。見ての通り、ここはめっちゃ本があるからな。普段、地上で働くオレらにも召集がかかったってわけだ♪』
『アルフ様やミィちゃんだけじゃ、いつまで経っても終わらないでしょう? だから、みぃんなで手分けしてやっているのよ』
「ほへ~……そうなんだね! なら、二人は何してたの? たくさんの本、運んでたみたいだけど」
鈴流は少し離れたところに放置されている荷車へと目を向ける。従者の中でも一番の力を持つガーラが運び役に適してるのは分かるけど。
『アルフ様の選別が終わった本を戻す作業だな』
『ちなみに……ミィちゃんとフィアちゃんも別のところで同じ作業をしているわ』
運ぶだけでなく、戻し作業もガーラ達が担っているのか。
しかし、ミィには念力があるが、他の奴らにそんな力はなかったはず。そして、アルフ様の従者は全員が動物だ。本棚に戻すなんて、簡単な作業じゃないはずなんだが……
なんてことを考えていると、ルリとガーラはどこか楽しそうにふっと笑い始める。
『うふふっ♪ カルってば、私達がどうやって本を戻すのか気になるのかしら?』
『あっはは! まあ、そうだよな~? カルマと違って、オレ達には器用で便利な手足なんてないわけだし?』
「え? え?? 今、フォース、何か言ってた?」
「いんや。何も。……もしかして、分かりやすく態度に出てたか?」
「ううん。出てないよ……? 二人は分かったの? フォースの考えてたこと!」
『まあな。これはオレ達の長年の付き合いってやつだ♪』
ガーラは嬉しそうにニヤリと笑う。ルリも楽しそうに頷いている。
む……まあ、ガキの頃からの付き合いだしな。こいつらにしか分からない何かを感じ取られているのかもしれない。不本意ではあるが、こいつらになら、まあ別にいいかと思う自分がいる。
「う~……私だってフォースとは、ながーい付き合いなのに~」
『ふふんっ♪ そこは諦めな、嬢ちゃん。オレらとカルマには切っても切れねぇ縁があんだわ♪』
「むー! それなら、私にだってあるもん! ガーラくんの意地悪ー!」
なんで張り合ってんだ、こいつら……?
このまま放置していると変な方向にヒートアップしそうだし、辱しめを受けるのはおれだけのような気がする。……うん。さっさと止めるべきだな。
「二人とも落ち着けって。おれにとっては、鈴流もガーラもルリも特別だよ。家族みたいなもんなの。ほら、家族に優劣はつけないだろ?」
「そーだけどー!」
『ガーラも大人げないわ。貴方がカルをだぁいすきなのは分かるけれど、そこは奥様に譲るべきなんじゃないかしら?』
『うるせぇ。それはそれ。これはこれだ! こっちはガキの頃からカルマのことを見守ってきたんだぞ!』
「あ~……ありがとな、ガーラ。でも、恥ずかしくなってくるから、そろそろやめてくれな? ルリ、話を戻して」
『ふふ、そうね♪ 私達が本を動かせる理由だったわね。カル、手を出してくれる?』
そうそう。……なんでそれを聞くためだけに、鈴流とガーラが張り合い始めるのかさっぱりだ。
ルリはおれの目の前に飛んでくると、差し出した指先に留まる。そして、さっと片足を持ち上げた。
そこには普段、つけてない紫の足環がつけられている。
『実はね、これのお陰なの。アルフ様が手掛けてくださった道具を使って、ミィちゃんと同じ念力を使っているの。ちなみに、ガーラとフィアちゃんもね』
……本当だ。ガーラの体毛で見えにくくなっているが、前足にアンクレットみたいなやつを身に付けていた。
なるほどねぇ……アルフ様ならそういう道具を簡単に作れるだろうな。
と、アルフ様で思い出した。
「なあ、二人とも。アルフ様の居場所、知らない? おれら一応、アルフ様の頼みでここに来てるから……内容をアルフ様から聞きたくってさ」
『お? それならチェルと一緒にあっちにいるぜ。なんて言うんだっけ?』
『読書スペースね。そこで本の修繕中なの。たくさんの本に囲まれてるからすぐに分かるわ』
「なるほどな。教えてくれてありがと。行ってみる……鈴流、行くぞ」
「はーい!」
おれ達はルリとガーラと別れると、教えてくれた読書スペースへと向かう。
彼らの話の通りなら、マスターが汚してしまった本の修繕をしているのだろう。
「ふんふんふ~ん♪」
「……上機嫌だな、お前」
図書館にやって来た時と今とでは、明らかに雰囲気が違う。特別、何かあったとは思えないけど。
「ふふっ♪ なんかね~……嬉しくなっちゃって」
「? 嬉しい?」
「うんっ♪ フォースが楽しそうだったから!」
……そう、か?
「フォース、ガーラくんとルリちゃんと話してる時、とっても楽しそうにしてるんだよ? 私と話してる時とはまた違う感じで」
「……そうなの?」
全く心当たりはないのだが。
「そうなのっ! あ、そこに妬けちゃうなんてことはないんだけどね? さっき、フォースも言ってたじゃない? 家族みたいなものって。きっとそういうことなんだろな~って!」
ふーむ……そうなのだろうか。
あの場では『家族』なんて表現をしたけれど、実際、家族がどんなものなのかは分からない。おれに血の繋がった血縁者なんて存在しないから。
ウィルにぃだって、兄貴なんて呼んでるけど、実の兄ではないし。
「私も家族のあったかさは分かんないけど……フォースと一緒にいると安心する。きっとそういうことなんだよ、家族って!」
「そういうもんかね」
「そうなのですっ♪」
よく分からんけど、まあ、鈴流が楽しそうにしてるならいいや。



~あとがき~
今回でアルフさんの従者はこれで全員出たな。

次回、お掃除後半戦。

本編では(恐らく)出てこないルリ&ガーラ。生前のフォースの過去を知る数少ない友人なんですが……というのを初登場時にも言ったような気がする。
彼らといるフォースはやっぱり、昔の性格が出てきている気がします。もちろん、今のフォースも嘘偽りない彼なんですけども!

ではでは。

気ままな神様達の日常記録 vol.18

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっています。
今回はファウスの従者……ではなく、アルフさんの従者達がメインです。お楽しみに。



☆さくっと登場人物紹介☆
ファウス:力の神様。自堕落な神で、毎回のように部下のフォースに仕事を手伝ってもらう日々。

フォース:制御者の一人。下界ではやる気なし、サボりの常習犯だけど、天界ではクソ真面目でファウスに叱責を飛ばしてる。

エレル:制御者の一人。仕事は好きではないので、ファウスの仕事もあまり手伝わない。(というか、手伝えない)

ユウ:制御者の一人。フォースがいない時は積極的にファウスの仕事の手伝いをするいい子。でも、大抵、キャパを越える仕事量なので、てんてこ舞い。

ラウラ:制御者の一人。仕事はできるが、性格が性格なので、滅多に手伝わない。でも、鬼ではないので、状況が状況であれば手伝ってくれる。

ミィ:白い子猫でアルフの従者。アルフの遣いとして、一番の古参。本をこよなく愛する読書家。

チェル:白い兎でアルフの従者。年上(先輩)に対して、丁寧な物腰で接する。フィアのことを姉のように慕っている。

フィア:紺色の鳥でアルフの従者。従者としては一番の若手だが、持ち前の気品のよさと冷静さで誰よりも落ち着いた物腰で接する。



★神の遣い、最後のメンバー★
ここは天界。様々な神が住まう世界。
そんな天界のとある一室にて、オレンジ髪の少年が机に突っ伏していた。
「フォースさま……これで、最後……のはず……や、やっと……おわっ……た……です?」
恐る恐るといった雰囲気で問いかけてきたそいつには目もくれず、おれは無言で手元の書類を抜けなく確認していく。
記入漏れがないか。サイン忘れはないか。期日は問題ないか等々……
それら全てを確認し終えてから、書類全てを取り纏め、ちらりとマスターを見下ろした。
「お疲れさん」
「あ、ありがとう……ござい、ました……一生分の働きをした気がします……あの山を一日で終わらせたんだもんな。……つまり、これはもう、しばらく休んでもいいのでは!?」
「戯れ言が。寝言は寝て言え。クソ上司」
書類の山を作ったのはマスターが仕事を溜め込んだせいだ。その遅れを今日中に取り戻したにすぎない。つまり、だ。
「明日には別の仕事が振ってくるぞ」
「そんな殺生なぁ~……!」
「当たり前だろうが。毎度毎度、こんなに仕事を溜め込みやがって。馬鹿なんじゃないの?」
「や~……ほら、仕事ってしたくないじゃない? いつだって寝て過ごしていたいじゃない?」
……これが世の人々が崇め奉る神様の実態です。もうこの世の終わりだよ。
ちなみに。
こんなクソアホ神様であるファウスが司るのは、力である。戦が激減した現代において、何の効力も持たない駄目神に成り下がった……わけがなく。
悲しいかな、下界にはマスターが管理しているレア武器─神器がいい例─とか、人々に与えている能力とか、今でもそれなりに管理しなきゃなんない「あれこれ」は存在する。
……何が言いたいかって、この駄目神が寝て過ごせるはずがないってことで。
「寝言は寝て言え」
「その台詞、二度目では!? 分かった! もう休みが欲しいなんて言わない! でも、せめて、もうちょっと労いの言葉をくれてもいいんじゃないかなぁ!?」
「自分で自分の首を絞めてたくせに、なんで労いの言葉が必要なんだよ?」
「君の上司が頑張ったからですけど!」
「お前の仕事なんだから、頑張るのは当然だろ。つか、労いの言葉ならおれが欲しいわ。おれ、全く関係ないんですけど」
事の発端としては、休日、家(すぅ達との暮らしてる方)で本を読んで過ごしていたところに、マスターが泣きながら助けてくれって言われたところから始まる。
訳を聞いてみれば、仕事が溜まりに溜まって首が回らなくなったので、助けて欲しいという救難要請だった。
この時点で無視してもよかったのだが、如何せん、他の神様方にご迷惑をかけてしまっているので、無下にできなかったのである。
「フォース! さっき頼まれたやつ、お届けできたよー!」
と、元気よく入室してきたのは、おれの仲間の一人、エルだ。
「サンキュ。こっちは全部片付いたから、残りも頼む。他の奴らは?」
「後で来るよー! これを渡せばいいんだね! えーっと……?」
「それ、兄貴から拝借した資料」
「ウィル様ね。りょーかいっ♪ 返してくる!」
忙しないなぁ……まあ、あれくらい動いてくれた方がさっさと終わるけど。
エルが出てって数分後、ユウとラウラも戻ってきてくれた。
「さっき、エレルちゃんとすれ違ったよ。もう終わりそうなんだって?」
「あぁ。残りを届けたり、資料を元に戻せばね。……二人とも、頼めるか?」
「もちろん♪」
こういう時、大抵トンズラするラウラですら、手伝ってんだから、余程、切羽詰まってたんだろうな。……いや、そうなる前に取りかかれやって話なんだけども。
おれはユウとラウラに書類を手渡し、二人を送り出す。
「え、あの子達……俺がこんなんなってるのに、心配の言葉もなかったよ……?」
「日常茶飯事だからだろ」
「ひえん……俺の部下達がみぃんな、冷たい……」
それこそ、いつものことだ。
さて、おれはやることはやったし、帰るか。
「フォースくん、フォースくん」
「? どうした。なんか忘れもん?」
先程、部屋を出て行ったはずのラウラが扉から顔を覗かせていた。
「君にお客様。……僕はちゃーんと伝えたからね? じゃあね~♪」
と、言いたいことだけ言って、さっさと言ってしまう。が、なぜか扉は閉めずに行ってしまったのだが。
「……なんなんだ、あいつ?」
説明もなしに勝手な行動をするのは、ラウラらしくもあるが……というか、おれに客、か。扉を完全に閉めなかったのは、その客とやらがいたから?
おれが扉まで出向く前に、そのお客とやらがひょっこりと顔を覗かせた。
「にゃあ!」
「ミィ……?」
アルフ様の従者、白猫のミィだ。でも、こいつなら、自分の念力で扉を開けられるんじゃ?
なんて思っていたら、訪問者は一匹ではなかったらしい。
『ファウス様、こんにちは!』
『お邪魔します♪』
部屋を訪れたのは二匹の獣。
一匹は赤い目が特徴的な真っ白な兎。
もう一匹は綺麗な尾を揺らす、紺色の鳥。
お察し通り、この二匹もアルフ様の従者である。兎の方はチェル。鳥の方はフィアって名前だ。
「おりょ……チェルちゃんはともかく、フィアちゃんが来るなんて珍しいね? 君、アルフさんの部屋から出ててこないのに」
『えぇ。普段はそうなんですけれど、今回はアルフ様の頼みでここへ来ましたの』
『それとは別件で、ミィさんがファウス様にご用があるみたいです!』
「にゃっ!」
「ほ~……? ミィちゃんが俺に? フォースにじゃなく」
「にゃにゃっ!」
ミィはマスターの言葉を肯定するように何度も頷く。
こう言っちゃなんだが、ミィがマスターに用事なんて早々ない。それこそ、アルフ様に頼まれて~ってなら、まだ分かるけど、今回はそうじゃなさそうだ。
まあ、何にせよ、こいつらに聞いてみりゃ分かるか。
「それで? ミィ達の用件って?」
『はいっ♪ それでは……まずはアルフ様のご依頼から! これから、アルフ様とその従者達で『叡智の図書館』の大整理をすることになってるんです』
もうそんな時期か。
『叡智の図書館』は世界のあらゆる知識が保管されている神聖な場所だ。下界ではすでに存在しない書物も、あそこなら保管しているから、おれとしては、調べ物にはもってこいの場所である。
そんな図書館はミィが主(?)として、住み着いているからか、アルフ様が管理している……みたいな感じになっている。
……厳密に言えば、アルフ様の管轄ではないらしいのだが。
『それで……もし、フォースさんのご都合がよろしければ、この後一緒に来ていただけたらと思いまして!』
ん? おれか。
元々、このまま帰ろうとしていたし、図書館に行くのは構いはしないのだが……あ? ちょっと待て。
「……来る? 手伝うの間違いじゃなく?」
『はい。もちろん、手伝っていただけるのなら、大変助かりますわ。……実は、アルフ様のご指名先は、フォースさんではなく、鈴流さんなの』
「……アルフ様が鈴流を呼んでるってことか?」
『はいっ! アルフ様が言うには、ぜひ、鈴流さんに手伝っていただきたいんだとか! 強制はしないって言ってたので、お二人がよろしければ、なんですけど』
うーん?
アルフ様と鈴流はこれといった共通点はない。そもそも、鈴流は付喪神。兄貴みたいに、誰かの下についている神ではない。だから、アルフ様と鈴流に特別な接点があるとは思えないのだが……まあ、いいや。
あの方の思考を読もうなんて、千年早いってやつだ。……おれみたいな凡人には分かるはずもない。
「分かった。こっちが完全に片付いたら行く。後、おれも蔵書整理、手伝うよ。アルフ様にもそう伝えてくれ」
アルフ様の従者は皆、動物だ。人の手が一人でもあった方が早めに終わるだろう。
『わ~! ありがとうございます、フォースさん!』
『あら♪ それは助かりますわ。ありがとうございます、フォースさん』
チェルは嬉しそうに耳をピコピコと動かし、フィアも翼を扇子のようにして、口許を隠しながら優雅に微笑む。
とりあえず、アルフ様の頼みとやらは分かったけど、ミィの用事が何なのかが分からない。分からないけど……
「にぃ~……」
「え? え? なんで、そんな不機嫌なの……?」
言葉が通じないミィだけど、明らかに不機嫌なのは分かる。つまり、マスターがミィに対して何かしたんだろう。とは言え、マスター本人は心当たりがなさそうだが。
そんなマスターの様子が気に食わなかったらしい。ミィの瞳がキラリと光り、目にも止まらぬ早さでマスターに襲いかかった。
「にゃにゃにゃっ!!!」
「うぎゃあぁぁ!? いきなりの猫パンチはやめてください!?」
『ありゃりゃ~……ミィさん、大分お怒りモードだね、お姉ちゃん』
『うふふ♪ まあ、あの惨劇を目の前にしたらね。ミィさんの気持ちも分かるわ』
チェルとフィアはミィの不機嫌な理由、知ってるのか?
『はい。ミィさん、ファウス様に怒ってるんですよ。そりゃあもう、カンカンなんですから!』
『というのも、ミィさんの用事もファウス様を叱責するためですわ。ここまでの道中でも、ファウス様のこと、あんぽんたん、とか、毎回毎回、とか色々と言っていたんですよ?』
「……そいや、お前らはミィの言葉、分かるんだっけ」
おれの言葉に二匹はこくりと頷く。
『ま、分かるって言いましたけど、完全には分かりませんけどね~……? 何て言うか、片言程度です』
『それにミィさんの言葉を私達が片言程度に分かるのも……ミィさんと似たような存在だから、なのでしょう。単語程度ならすんなりと理解できてしまうんですよ』
ミィと似たような存在。
おれはちらりと二匹……いや、二人を見る。
アルフ様の従者であるルリとガーラと、チェルとフィアは魂の色が違う。そりゃ、個々の特性があるんだから、色が違うのは当たり前なのだが、前提として、二人はあの二匹と魂の質が違う。
もっと言えば、この二人、人間の魂の質を持っているのだ。だからこそ、ミィと似たような存在、と言えるのかもしれない。
そして、何の因果か、おれはこの二人と似たような魂の色を持ってるやつを知っていた。だからだろう。こいつらを見ていると、時々、とある白い姫様と青い王子様の姿がちらつく時がある。
「……はぁ。世間って案外、狭いもんだよな」
『? フォースさん? どうかしましたか?』
チェルが不思議そうに首を傾げながら、おれを見上げる。そんな仕草すら、あの姫さんを彷彿させるのだから、血筋ってのは恐ろしいものだ。
「いんや。なんでも。……で? 結局、ミィはなんでマスター相手に怒ってるんだっけ?」
『あら、そうでした。その話をしていましたね。先日、返却された本が汚されていたんですよ。……あぁ、『返却』というより、『戻ってきた』が正しいかもしれませんわ』
つまり、マスターの部屋の扉に施された魔法で戻された本がってことか。
『そうです! その本がなんかよく分からない液体まみれになって、酷い有り様なんですよ。それも、一冊だけじゃなくて、何冊も。そりゃ、ミィさんもカンカンになるでしょう?』
『その本の修繕をアルフ様が行っているんです。……アルフ様はそこまでお怒りではないのだけれど、ミィさんは見ての通りですわ』
と、フィアが指し示す先には、マスターに飛びかかって、これでもかと怒りを露にするミィの姿がある。そして、マスターは未だにその理由を理解していないらしく、頻りに首を傾げていた。
『ミィさんの怒りも当然だよ! 私達の中でも一番の読書家だもん!』
『あら? チェルちゃんも相当な読書家ではなくって?』
『えっ! そんなことないよ!? 私が読むのは、薬草とか魔法とか……あと、機械のこととか! その、自分の興味のある分野だけだもん。……なんなら、お姉ちゃんの方が読んでるんじゃない?』
『どうかしら。今は昔程、多くの知識を必要としてないから……だから、今の私もチェルちゃんと同じ。興味のある分野しか読まないわ』
『ほんとかな~……?』
ふむ。つまり、マスターの手元から戻ってきた本が謎の液体で汚れて戻ってきた。それが一冊や二冊の話ではない、と。
『えと、そうですね……まあ、十数冊くらい、ですかね? ね、お姉ちゃん?』
『えぇ。そこまで多くはないけれど、少なくもない……くらいの数だったと思うけれど』
なるほど。
マスターが本を元に戻さないのは日常茶飯事だ。だからこそ、アルフ様はここの扉に魔法を施してくださっている。
よくはないが、そうした方が効率的だし、確実に元に戻るからこその手段だった。……しかし、だ。
「マスター」
「いてて……え。な、何? 俺、今、ミィちゃんの猫パンチ攻撃を耐え忍んでるとこなんだけど」
「お前、アルフ様に余計な仕事増やしてんじゃねぇぞ」
「……え? アルフさんに? 何の話……って、痛い痛い痛い!?」
おれはお構いなしにマスターの首根っこを掴み上げ、ギリギリと締め上げていく。
「そうでしょうねぇ!? お前が知らないうちに図書館の大切な本を汚してんだからなぁ!? お前のちんけな脳みそよりよっぽど大切な知恵の結晶なんですけど!?」
「フォースさん!? 俺のことをなんだと思ってるんですか!?」
「うるせぇ!!」
「反論の余地なし!?」
──おれがマスターを締め上げている横で、ミィは呆然とした様子でおれ達を見上げていた。
「み、みぃ……?」
『あらあら♪ 予想はしていたけれど、結局、こうなるのねぇ』
フィアはどこか楽しそうに笑い、チェルは戸惑ったようにフィアを見つめた。
『ね、お姉ちゃん。この後、どしよっか?』
『……そうねぇ。まあ、私達の仕事は終わっているし……ミィさんのお仕事もフォースさんが請け負ってくれたみたい。……なら、私達は主様の元へ戻りましょう』
「にゃあ」
『そ、そだね……!』
と、小さな動物達が部屋をそろそろと退出した。
あいつらがいなくなった後もおれはマスターに説教をしていたんだが……まあ、その辺は特筆する必要はないよな?



~あとがき~
五周年! 新キャラ!!
もういないと思ってた? 私もですわ!

次回、図書館の整理。

アルフさんの従者、チェル&フィアでした。
え? フィアって名前のキャラいなかったかって? 誰かににてる? いやぁ、偶然だよ、偶然←
ということで、答え合わせはまたいつか。

ではでは。