satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

黄金の欠片

はい。過激表現があるよ!
今回も注意だよ!☆⌒(*^∇゜)v
フォース「いい加減にしろよ。懲りないな」
ピカ「“十万ボルト”じゃなくて、頭上に“かみなり”落としたろうか」
ポチャ「死んじゃうから。流石に駄目だよ」
フォース「いやいや。“十万ボルト”耐えたなら、大丈夫だろ」
ピカ「そうだよね! はーい、いっきまーす! “かみなり”!」
ポチャ「………あっ」
あ、皆様、ご注意してくださいねぇぇぇ!!


自分を道連れに敵軍のリーダーであるボーマンダを仕留めた。ボーマンダがかなり高いところまで飛んでいたらしく、ボーマンダが飛べなくなった今、おれはそこからひょいと投げ出される。いつかのキルリアに投げ出された時よりも遥かに高い。あの時はすぅも一緒だったから、何とか意識を保っていられたが、今は一人だ。誰か傍にいるわけでも、戦わなきゃいけない敵もいない。
最初におれが考えたことは、これで敵の思惑も終わりか、という妙な安心感。次に久し振りに死ぬくらいの痛覚くるな、という考察。そして最後に恐怖だった。その恐怖に勝つ手段など知らないおれは、意識をすぐに手放してしまった。

特に言うことでもないかもしれないが、おれは垂直落下が苦手である。命綱があれば、何とかバンジージャンプだろうがなんだろうが飛んでやるが、命綱なしで落とされるのだけは嫌だ。つまり、崖からの飛び込みとか崖でなくとも、飛び込み台からのダイブとかそういう感じのは嫌だ。死ぬ。(ぶっちゃけ、そんなデンジャラスなことを強要するサドスティックないないから、特に加筆することでもないが)
例え、そんなに高くないよーと言われようが、嫌なものは嫌だ。ここまで拒絶するには理由があるのだが、ついでだから、話しておこうか。
生前、継承者として生を受けていたが、そのせいか、色々暗いことも考えていたし、明日にはいなくなればいいのに、と思ったことさえある。そんな中で制御者である、ウィルにぃと出会って、悪くないな、と思えるようになった。それも長くは続かなかったが。
そんな前置きはさておき、おれが拒絶する理由は、生前の死因が崖からの転落死だったのだ。あれは状況から見ても、おれが悪い訳でもなんでもない。事故、なのか微妙なところだが、まあ、それが今でもトラウマとなっている。その時の年はもう覚えていないが、十歳そこらだったような気がする。
なんやかんやあり、今では何百、何千という時代の流れの中で制御者としてやってきている。今では生前のことはおぼろ気にしか覚えていない。しかし、おれの最期の時だけは忘れることはないだろう。それだけは、今でも時々思い出しては、ゾッとするものだ。忘れられたらいいのかもしれないが、体に染み込んだ拒絶反応を打ち消す方法はないんだろうな、と諦めている。

「…………ん…?」
次に目を覚ますとき、おれは絶対にすぅの中だと思っていた。思っていたが、そうではなかった。木々の隙間から漏れる空、光。よそよそと流れる風。ここが外だと思うのにそう時間はかからなかった。
「…………えっ? おれ、大丈夫なの? なんで?」
よかったという安堵より、疑問の方が浮かんでしまう。なぜだろう、と。
ゆっくりと体を起こし、自分の体をこれでもかというほど、撫で回した。そして、ほぼ異常がないことを確かめた。ところどころに、出血したのか、小さな血溜まりは出来ていたものの、そこまで酷いことにはなっていない。ちょっとシミ作りそうだなー……程度しか見つけられないから、多分、大丈夫なはず。
重症なのは、右目だろうか。完全に目の前真っ赤に染まっているから、ほっといたら失明するかもしれない。しないけど。大丈夫だけど。しかし、鏡がないから確認は出来ないが、見るに見られないような怪我をしているような気がする。右目近くを触ると、頭の方も怪我しているのか、手に血がついていた。
「………隠した方がいいか…というか、押さえた方がいいな」
首に巻いているリボンを使う気にはなれず、自分の力で創り出す。こういうとき、“パワーメイク”という特殊分類でよかった、と思う。力さえあれば、武器以外のも創り出せるのだから、便利なものだ。流石に限界はあるけれど。
軽く出来る範囲で手当てをし、創り出したリボンを包帯のようにくるくると巻いていく。最近は両目とも出していたから、片目になるのは、本当に久し振りだ。感覚、大丈夫だろうか。危なかったら、いっそのこと、両目とも隠してしまえばいいか。
以前のような縦方向だけに巻く方法では頭部の怪我を保護できないため、一般的に巻くようにぐるぐると右目もついでに保護するように巻いた。そうすると必然的に片耳が押さえつけられ、下がってしまうが……別に構わなかった。
「………別に頭は痛くない。目眩もなければ、意識障害もなし………記憶障害もない……か。よし、大丈夫だな」
それにしても、だ。おれってここまで回復力あったっけか? いや、他と比べると一番劣っていたはず。優れていたとしても、あの高さから落とされれば即死なのではなかろうか。制御者ってどこまで大丈夫なんだろう。自分のことながら、把握していないのが現状。知りたいと思ったら、試すしかないのだから、やりたいなどと思う奴もいないし。だから、どこまで大丈夫なのか、そうでないのかおれでもわからない。……が、滅茶苦茶高いところから落とされても無事なものなんだな。
「さあって……っと、ボーマンダいないじゃん。別々のところに落ちたのか? あーどうしよう。連絡の手段もないしな…」
まあ、適当に歩いて探すなり、出口に向かうなりするか。ラルのことだから、おれの気配でも辿ってくれるだろう。おれは面倒だし、この怪我だから、やりたくないけども。……面倒九割、怪我一割くらいの割合である。

てくてくと森の中を進んでいく。心配した感覚の方もすぐになれ、戦うまでいかなくても、とりあえずは何となった。
しかし、なぜこうなった、みたいな感情が沸き上がってくる。おれが何かしただろうか。全く思い当たる節がない。そもそも、おれはなぜこれに参加したのだろう。すぅに頼まれたからだよ。会話は確か……
『すーくん、ちゃんとピカさん達のお手伝いしてきてよねっ!』
『…………は? なん…』
『拒否権はないの! わかった!?』
『……………はい』
すぅとおれとの会話を思い出し、何とも言えない感情に教われた。おれはその場にしゃがみこみ、頭を抱える。
いつからあんな子になったんだろう。昔はもう少し無邪気で無垢な少女だったはずだ。今では、普通におれのことをあごで使うようになってきたような……
いい意味でも悪い意味でも変わってきた、ということなんだろう。いいことなんだけど、ちょっとなんか……あの…うん……もう少し素直でいい子になってくれてもよかったのではなかろうか。
「これが成長と言うものか……なるほど。まあ、無垢なのも別によかったけど、ド直球の質問には困るから、それだけは今の方がいいな。うん」
あいつもきっと、もっと成長してくれるはずだ。最終的には、おれがいなくてもなんとかなるくらいには。そうなってくれなければ困る。
おれは気を取り直して、立ち上がると、ぐっと背伸びをする。
「……奥、行ってみるか」



~あとがき~
もうそろ終わるかな。とかいって、三話も四話も続ける私ですがね!

次回、視点をピカ達に変え、フォースと別れた後の二人がどうしたのかってのをやりますかね。

制御者は不死なんで、死ぬことはないっす。不死って言うとなんか違う感じもしないでもないけど、まあ、死なないから不死ってことで。で、死ぬことはないけど、痛覚はあるし、致命的な傷を負えば大変なことになります。ある程度丈夫なんですけどね。
フォースの場合、滅茶苦茶高いところから落下したにも関わらず、思ったより大丈夫でした。
そんな奴なんですよ、フォースは。

そしてのんきに森探索を始めるフォース。落ち着いてるって言えば聞こえはいいが、要するにのんきです。
イブの現状や今後について心配する辺り、ただの保護者みたいな感じですね(笑)
実際、そうなんですけどね。基本、放任主義ではあるけれど。

ではでは!