satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

幼き騎士は何思う?

~前回までのあらすじ~
トリスを保管(?)してある領域に誰かが侵入! 一体誰の仕業なのか!?
やっと書きたいところその一です。
なんか、関係ないんだけど、神霊と神器ってややこしいな。今まで総称的な意味合いで神器って使ってきてたけど、トリスやマリー個人を指すなら神霊が正しいんだよね。武器になったら神器って名前になるんだろうけど。
ヴァルツ「ふわふわしてるな」
それな……もう、始めるわ。


侵入者? そんなこと、今まで一度もなかったはずだ。少なくとも俺は聞いたことがない。
『歴史的に見れば、なかった訳じゃない。僕のところまで来る奴は、例外なく全員死んでるんだけどね? ほら、よくあるやつだよぉ。俺に触れると怪我するぜー! 的な? そんな感じぃ~』
「お前に触れば死ぬってことか? じゃあ、死なせておけ」
『いいの? ふぃーちゃんいるんだけど』
「…………は?」
なぜここであいつの名前が出てくるんだ。
理解する前にマリーが探りを入れたらしい。そして、珍しく俺の許可なく、この場に現れた。
「残念ですが、兄様の言う通りです。兄様の気配のする場に数名の生命反応を感じます」
「その中にふぃーが?」
そう聞くと、マリーはゆっくりと首を振った。
「……そこまでは」
「マリー、行くぞ」
『行ってどうするよ?』
そこまでは考えていない。しかし、何もしないわけにもいかないと思った。旅をしていた時に身に付けていたものを手早く装備する。
堂々と玄関から出るわけにもいかない。そのため、俺は窓を開けると、その窓枠に足をかけた。
「行くのですね。お供いたします」
『マジィ? や、止めないけどぉ』
「だろうな。仮に止めたって無駄だ」
『ですよねぇ~』
呆れた様子でもう何も言わなくなった。自分のことなのにかなり他人事なのは、どうでもいいと思っているせいだろうか。どうせ触れた相手は死んでしまうとか思っているんだろう。実際、その通りになってきた経験があるから、間違いではないか。
窓から飛び降り、無事に着地する。俺に続いてマリーも降りてくる。そして、マリーの案内の下、トリスのいる場所まで向かった。間に合うかは分からないが、どうにかするしかない。

マリーの案内とトリスの邪魔なのかアドバイスなのか微妙な指示に従い、聖域までを目指す。その間、侵入者の姿は見ていないが、俺達の先を行っているのだろうか。マリーに様子を聞いてみるも、ふるふると首を振った。
「兄様の気が強すぎて上手く探れません。ムカつきます」
『あはっ♪ まだまだ修行が足りないんじゃなぁい? この未熟者~』
「うるさいです、兄様」
「トリスは俺に言っているんだろう。……すまない、マリー。俺がお前の力を最大限に引き出せていないせいだから、気にするな」
「愛し子のせいではありません。兄様の強欲で自己顕示欲が強すぎるだけですので」
なんだろう。この押し付け合いは。
『ヴァルツ、もうそろそろ僕のところだよ。多分、敵と同時到着って感じかな』
「ふうん? 俺達の方が遅かったのにか」
『雑なマリーの案内と僕の完璧な案内だよぉ? 最短距離に決まってるでしょ! あと、侵入者は迷わせておいたの。僕の場所だからね』
「兄様、いちいち喧嘩を売らなければ話せないのですか? 頭おかしいのでは?」
この二人は一生仲良くなんて出来ないのだろう。誰にでも相性というものはある。悲しいかな、それが神霊にも通じるとはね。しかしまあ、神霊様とやらは基本的に一人だ。別の神霊といるなんてことはほとんどないから、合う合わないも分からないし、合う必要もないかもしれない。
草むらを掻き分けて出てきた先には、ぽっかりと空いた空間だった。俺達以外に人影は見えない。その空間には祠のようなものがあり、その扉は開いている。覗きこむと、薄い緑色で細かい彩飾を施してある細剣が祀られていた。これがトリスなのだろう。
「思ったより細かいな。もっとシンプルなものを想像していたよ」
『んふふ。ヴァルツとは一回しか会ってないから。あのときは小さいナイフだったし、僕の装飾なんて見えなかったと思うよ。そう思ったとしても不思議てはないねっ!』
何の自慢なのだ。誰に対してのアピールなのか分からないが、無視しておくに越したことはない。
トリスを手に取ってもいいが、俺もまだこいつに認められていない。何かあると危険だから、触りたくはない。出来ることなら一生関わりたくもないのだけれど。
「愛し子よ、来ます」
『僕の迷宮、抜けてきたのぉ? 諦め悪いね』
トリスの祠を背に、体を構える。一応、どこから襲われてもいいように警戒しておくが、相手が複数だと面倒だ。
「……来い、マリー」
「はい。我が愛し子よ」
マリーを短剣にし、再び周りを警戒した。すると、真正面からふらふらと数人が入ってきた。入ってきたのは何人かは、この数日の中で見たことのある人だ。父の葬式なんかで見た顔だ。俺の親戚筋、ということになる。その人達は目の焦点が合っておらず、どこを見ているのかはっきりしない。
「あれは……?」
『恐らく、長くこの場にいたせいで兄様に当てられたのでしょう。私にはここまでの力はないので、こんなことは起きませんでしたが……』
「トリスに当てられた?」
『神霊……いえ、神器とは神の器。つまり、神が宿る武器。そう簡単に人に渡るものではないのです。……心に邪気を……つまり、兄様に合わなければ、悪影響が出るのです』
神器は神霊に認められなければ使えない。それは俺の中の常識であったが、そこまで影響があるものなのだろうか。
「トリスに認められなかった人はああなると? で、トリスに触れて死ぬのか」
『そー♪ 僕に引き寄せられ、僕に手を伸ばす。んでもって、僕に命を吸われるの~♪』
「最早、神ではなく悪魔の領域だな」
『しかし、手にすれば強大な力を得ることになりますわ。……悔しいですが、兄様は高位の武器。使うも触れるも代償が大きいというものです』
確かに、触れるだけで命を狩るのは如何なものなのだ。いや、今はこの話は関係ないか。
今見える中にふぃーの姿はない。あいつはどこに?
「……マリー、ふぃーは?」
『そう、ですね……近くにはいる様なのですが、はっきりとは』
仕方ない。目の前の奴らを倒してから探しに行こう。
『うっは♪ 容赦ないね』
「お前にだけは言われたくない。黙っていろ。……行くぞ、マリー。力を貸せ」
『もちろんですわ、我が愛し子よ。私の力、全てを与えましょう』



~あとがき~
戦闘は面倒なのでカット!

次回、ヴァルツがトリスを手にする話。というか、理由公開……になるのかな。いや、ある意味もうしてるんだけども。そろそろ終わるのではないだろうか。

神器に気に入られるうんぬんの話がちらっと出てきましたね。マリーは気に入った相手が来ると、自分から近づくタイプ。逆に言えば、合わないなと思えば姿は見せません。トリスはとりあえず引き寄せてみて、相性良ければ使ってもいいよ。あ、でも、ちゃんと面白くしてよ。実力なければ切るから。みたいな適当なやつです。雷姫さんは気に入らない人はそもそも触らせません。気に入ったところでつまらないと思ったり、飽きればポイするタイプです。
さあ、あなたは誰を選びますか!?((←

ではでは。