satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第140話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界できらきらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、リランの話が一応、一段落ついたと思ったら、謎の奇襲を受けるアラシ君。
ここでなんちゃって戦闘を書くとは思いませんでした。まあ、しゃーない!
さくっと! さくっといこうね!


アラシ君はエデンと呼ばれた黒マントさんから一定の距離を取り、再び武器を構えた。
襲った張本人は、マントにも負けない漆黒の髪を風になびかせ、鮮血を思い起こすような深紅の瞳をアラシ君に向けていた。そして、頬の月の模様ようなアザが特徴的で。
『まさかとは思うたが……このようなところにおったのか』
どこか知っているような雷姫の声に私は自身の背後に目を向ける。そこには悠然と佇む雷姫の姿があった。実体化させた記憶はないし、周りの反応もないから、私にしか見せてないのだろう。
「……どういうこと?」
『ふん。戯言よ。マスターは気にせんでよい』
まぁたそういうやつかよぉ……フォース君との初対面でも似たようなこと聞きましたけど!
『とうに忘れたわ』
そりゃあ……都合のよい頭だこと。
エデンさんはアラシ君の抗議に耳を貸さず、容赦なく攻撃を仕掛けていた。負けじとアラシ君も武器を巧みに操り、受け流していく。
その様子にレオン君は大笑いしている。友人のピンチ(?)にも関わらずだ。
「えっと、どういうことなのか説明してよ、レオン」
「えー? 説明も何も……見た通り、襲撃だよ。しゅーげき!」
「それ、説明になってないからな!?」
「ツバサちゃん、あの男の人はここの人なんだよね?」
「はい。そうですよ~♪ 名前はエデン。屋敷の警護とか、私の護衛が主なお仕事です。……うーんと、大体、七年前くらいからここにいますね~」
そんな人がアラシ君を襲う必要はないのでは。何かしたわけではないのに。強いて言えば、転けそうだったツバサちゃんを助けたくらいで……
「あいつ、アラシを目の敵にしてんだよな~♪ エデンはツバサに恩があってさ、ツバサが大切なんだけど、ほら、アラシは……あれじゃん?」
ツバサちゃんに好意を持っている? 友情ではない方の好意を、か。
「それで口うるさい姑以上に姑してるわけ!」
ここでレオン君は立ち上がり、私の傍に近寄る。
「そんなエデンの妨害もあって、ツバサはアラシの思いに気づかないし、あいつの願いも成就しないってこと」
と耳元で呟いた。
これはレオン君が面白がる理由も頷ける。本人……特にアラシ君の立場だとたまったもんじゃないが、傍観者で全てを知るこちら側は大いに楽しめる。
「……なるほど、ライバルポジションだね! よくある三角関係みたい! いいねいいね、楽しくなりそう!」
「だっろぉ?」
「こらこらこら……! 面白がるんじゃない!」
「? レオン、ラルさん? どしたんですか~?」
「っつーか! 誰でもいいから助けろよぉぉ!!」
なんとなく察したティールの制止と、理解していないツバサちゃんの疑問の声は、未だに攻防を続けている話の中心である張本人の怒号に上乗せされる。
「助けか。……いけそう?」
『いけなくはないが、嫌じゃな。面倒だからの。……それに、もう決着はつくだろ。助けんでよい』
冷たいな。けどまあ、戦闘着ではないから、私もできるなら立ち入りたくはない。……よし。
「傍観のスタイルで。ティールの武器もないし」
「あはは……あいつら、家に置いてきたからな。……アラシ! が、頑張れー!」
ある程度の距離なら、ティールは聖剣を装備していなくとも呼び出すことは可能だ。例えば、ロッカーにしまってある二振りを校内─恐らく、学園内なら問題ない─で呼び出すくらいの距離感だろうか。しかし、今回は遠すぎるため、流石に無理である。
武器がなくともティールは戦えるが、戦力は落ちてしまう。何より、ここで飛び入りするのはなんか違う気もする。
「くっそ! 誰でもいいからエデン止めろよなぁ!?」
助けてくれない私達に少しでも意識を向けたせいで、アラシ君からエデンさんが抜けてしまった。その隙を見逃さなかったようだ。
「よそ見か、フェル坊?」
エデンさんはアラシ君の横から攻撃を仕掛け、アラシ君は「しまった!」という表情を浮かべた。
なんとか武器での受け流しが間に合うものの、このあともちょくちょく嫌な攻撃を仕掛けていくエデンさん。
「だってー! 主のツバサにも止めらんないじゃんかよー! そういうことだー!」
「そ、そうだけどもだ!! んでも、ちょっとは助け船出してくれても……あっぶね!」
レオン君の言葉に返答しつつ、エデンさんの攻撃も避けつつ、大変忙しいやり取りだ。
「俺の基準は面白いか面白くないかだからな! 今は面白いから手は出さん!」
「どや顔で言うんじゃねえ! 腹立つ!!」
「あうっ! あうーん!」
リランは彼らのやり取りを遊びだと判断したらしい。いつの間にか、ツバサちゃんの傍からアラシ君の傍へと移動していた。
「ちょ、リラン!? これは遊びなんかじゃなくってだな……じゃ、邪魔なんだけど!」
あら、相手が増えちゃった。
『騒がしい奴らじゃ』
エデンさんとリランの相手をせざるを得なくなったアラシ君はここから数分、一人と一匹に弄ばれるのだった。

いいように遊ばれたアラシ君が耐えきれずに地面に突っ伏したところで、エデンさんは満足し、猛攻撃もぴたりと止んだ。
この頃には私とレオン君も席に座り、ツバサちゃんとのんびりまったりカルタムさんが新しく淹れてくれたお茶を楽しみ、ティールも紅茶片手に観戦していた。自分で言うのもあれだが、呑気なものである。
「お、終わったみたいだな~♪」
エデンさんは、地面に倒れているアラシ君をじっと見つめ、ふっと笑う。そして、ほんの一瞬だけ、こちらを見る。こちら、というよりは、雷姫を見ている気がした。確かめる暇もなく、エデンさんは煙のごとく姿を消した。
何もないところから突然現れたり、姿を消したり、忍者の末裔なのだろうか?
もっと遊べと言わんばかりにリランにつつかれるアラシ君は息も絶え絶えに、余裕もなくなっている。まあ、あれだけ一方的にやられていたのだ。仕方がない気もする。
「あの……ラル様、少しよろしいですか?」
「? は、はい?」
名前を呼ばれて顔を上げると、金髪でふんわりとしたボブカット姿のメイドさんがにこやかに笑っていた。まんまるで可愛らしい熊の耳がぴこっと揺れる。
「私、ここの使用人のメアリーと申します。……先日の剣技大会でお嬢様のお洋服を製作したのはラル様だと伺いしました」
服……あぁ、あのナース服。
実際は、ドールがすでに作っていたものをツバサちゃんサイズに直してもらったのだけれど……この辺はややこしいし、話さなくてもいいか。
「はい。……そうですね」
「それならば、ぜひ! ラル様にお見せしたいものがございます! 今からお時間、よろしいでしょうか!?」
清楚で大人しそうな雰囲気だったのが一転、目をキラキラと輝かせ、どこか興奮したように鼻を鳴らしていた。
時間はたっぷりあるし、問題はないか。この変わりように驚きはあるんだけれど。
困惑しつつも頷くと、メアリーさんは嬉しそうに笑い、すっと両手を斜め上へと掲げた。そして、パンパンッと手を鳴らす。
「ケアル家に仕えるメイド達によるファッションショー! 開催ですっ!」
は、ファッションショー……?
メアリーさんの合図にどここらともなくメイドさん達がぞろぞろと集まり、エデンさんの襲撃とはまた違う空気感を醸し出している。
「今度は何? ぼく、もうお腹いっぱいだよ」
「あちゃぁ~……これはメアリーたちの悪い癖が始まるぞ~♪」
あちゃぁとか言うわりには楽しそうだね、レオン君。となると、変なものではないのかな。
物陰から姿を見せたのはリーフちゃんだ。少し恥ずかしそうにしているものの、私達の前までくると、その場で一回転した。
緑を基調としたチュニックにデニムを合わせている。普段のリーフちゃんも着るようなコーデではあるが、唯一違うのは、ところどころに愛らしい刺繍やレース、フリルがあしらわれ、可愛らしい仕上がりになっている点だ。
そんなリーフちゃんに続くようにステラちゃんも姿を表した。彼女は青を基調としたお嬢様風のロリータワンピースを着ているステラちゃん。普段からふわふわした服を着ることが多い彼女に大変よく似合っているように思うが……
「わ~♪ すっごく似合ってるよ、ステラちゃん! リーフちゃん!」
「んと……何してるの、二人とも?」
「な、なんか乗せられちゃって! でも、お洋服かわいかったし、いいかなぁって……って、何端末、構えてるんですか!? 写真!?」
「惜しいね。動画だよ。愛しの彼に見せてあげよーかと」
これだけでリーフちゃんは、誰に向けたものなのか察してくれた。
「あー……」
「ふぁっ!? 止めてくださぁあいっ!!」
「やだやだ~……ほい、くるっと回って、ピース!」
「ひゃっ……ていっ!」
私の言葉に、ステラちゃんが可愛らしくポーズ撮ったところでパシャリと一枚。よし、これも送りつけよう。
「ノ、ノリノリだね、ステラ……?」
「ち、ちが……違わないけど、違う! ラルさーん! やめてくださいよ!?」
へっへっへー……どうしよっかなぁ?
端末を奪おうと私に飛びかかるものの、その辺の女子の突進を現役探検隊リーダーの私がかわせないはずもなく、難なく回避。そして、私は端末をしまいつつ、メアリーさんの手を握った。
「流石、メイドさんです! いい腕とお仕事してますね! ステラちゃんの袖にあるレースなんてドンピシャですよ!」
「ですよねー! 本当ならお嬢様用なのですが、まだお洋服が大きくて……でも、デザインを考え、作るのが楽しくてついつい作ってしまうんですよ」
「わっかります! こんなデザインをあの人が着てくれたらって考えるの、楽しいですよね!」
「そうなんですよー! ラル様も分かっていただけますか!?」
「もっちろんですっ! 皆さんの努力、しっかりと伝わってきますもん!」
「「ありがとうございます!!」」
いやぁ、いいものを見たよ~♪ もっともっと語らいたいくらい!
「少しお話いいですか、メアリーさん!」
「もちろんでございます、ラル様!」
「あーあー……ラルの変なスイッチ入っちゃったよ……」
「にゃはは♪ 意気投合しちまったな~? ところで、ステラ」
ニヤニヤと笑うレオン君。こちらはこちらで楽しいことを見つけたみたいだ。
「む、むぅ……なんとしてもすーくんにだけは。……と、あ、はい?」
「直接、見せられなくて残念だな?」
「だ、誰があんなやつに見せたいなんて思って……! すーくんなんて関係ないですし!」
「ん? 俺はフォースにとは言ってないぞ~? ステラはフォースに見てほしかったのかぁ……そっかぁ♪」
「みゃっ!?」
「これはレオンさんに目をつけられましたね」
「どんまい、ステラ」
一番、バレてはいけないような相手にバレ、今後が不安になるステラちゃんだが、悪いようにはならないだろう。多分。



~あとがき~
よしよし……順調に進んでるぞ。
え!? 話数!? 知らねぇ!

次回、ちょいちょい出てきてたあの子とリランの話。
一言で言えば振り回される話です。

エデンと雷姫は面識(?)があるご様子。しかしまあ、詳しいことは謎のままです。
どっかでぽろっと言わねぇかなぁ、雷姫が(笑)

ではでは!