satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第4話

「あぁ……どうしよう?」

とりあえず、適当に歩いても仕方ないか。かといって、進まないと意味がない。
何これ、究極の二択を選ぶのか。
「止まるより、進んだ方がいい……よね?」
リーちゃんの方を向く。
「う、うん」
どうやら、自分のせいだと落ち込んでいるらしい。
らしくないよ、リーちゃん! 大丈夫、なんとかなるよっ♪
「うん、ありがとう。イブ!」
そうそう、リーちゃんは笑っている方がいいよ♪
しかし、状況は変わらない。どうしよう。
何度目かわからない“どうしよう”という言葉。
誰か、通ってくれないかな……
そんな私の願いが叶ったのか、遠くの方から声、というよりは音が聞こえた。そして、同時に寒気がした。
「誰か、くる……?」
「イブ? 誰かって、誰……?」
この感じ、ヤバい。
「リーちゃん、ここから離れよう!!」
「え、あ、うん。わかった!!」
私達は前に走り出した。
相手が今と同じペースなら、逃げ切れる…けれど、現実はそううまくいかない。
相手がこちらに気がついた……そう、すーくんが教えてくれた。それと同時に、逃げろ……と。
そう言い残し、声が聞こえなくなった。
「どれだけ勘がいいのっ!?」
「イ、イブ、どこまで、走るの……?」
リーちゃん、息が切れ始めている。私は、まだ平気だけど……なんか、逃げ切れる気がしない。どうしよう……
相手の強さって、どれくらい?……あれ、すーくん……? ちょ、聞いてる?
返事がない。ウソでしょ!?
「……っ! リーちゃん、大丈夫?」
振り返ってみると、最悪の事態が起こった。
「はぐれた……? ウソ、私、一人? えぇ……こ、こんなの……こんなの、あり得ないっ!!」
あ、大声、出しちゃった……
けれど、相手の気配は感じられない。私は、周りを見る。誰もいない……はず。
逃げ切れた……のかな。
「あぁ……どうしよう?」
答えなんか返ってこない。当たり前、か。一人だもん……
一気に体の力が抜け、思わずその場に倒れこんだ。

しばらくは、その場で倒れていた。久しぶりに全力疾走したせいかもしれない。……なんて、考えている場合じゃないはずなのに。
動きたくない。やっぱり、無謀だったんだ。私なんか、強くなれない……なるわけないんだ……!
「そうやって、逃げんのか?」
だって、だって、戦えない私には、元々無理な話だよ。
「もう逃げない……そう言ったのは、嘘なのか?」
…………あれ、私、誰と喋ってるんだろう?
私は閉じていたまぶたを開けようとした。
「そのままでいろ」
あ、はい。
今の声……すーくん?
いままで、自分の世界に入っていて気にしてなかった……恥ずかしい。
「……で、嘘なのか?」
……うそ…じゃない、けど……
「けど……なんだよ?」
けど、もう、だめ。
「おれの知ってるお前は、そんなに弱くないはずなんだけど」
「私、すーくんが思っているより、弱いもん………」
「はぁぁ……なぁ、すぅ? 弱気になるのはかまわない。誰だって最初から、強くないからな。でも、そのままでいるなら、お前は負けだよ。この力……おれにも勝てないし、あのチコリータも助けられない」
リーちゃん……
「すーくん……?」
すーくんは、黙ったままだ。きっと、このまま続けろ、ということだろう。
私は、顔を上げた。
「私、らしくないね。私しか、いないんだ!! やってやるんだっ!!」
「……やっと戻ったな」
すーくんの声がした方を向く。
「うんっ!! ありがとうっ!」
私は、すーくんに向かって、笑って見せる。きっと、今までで一番の笑顔だろう。

ところで、すーくん……なんで、出てきてるの? 実体化してませんか?



~あとがき~
日に日に長くなってる気がするんだよね。
私、波に乗ると書き続けられますw
乗れないと放置しますがw
まだ平気だけどね (;´∀`)

すーくんの再登場、早いな。イブ、マイナススイッチ入りました。
戻ったけどね♪
予告と違うじゃないか、と思った方、あれ……信用度、低いから、気をつけて♪
イブ「ふざけてます?」
ごめんなさい…… (´;ω;`)
次回は、リーちゃん、助けに行こうか。
……予定だと。