satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第71話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界ではっちゃけてる物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、大会の箸休めと言っても過言ではない氷山解体ショーをしているんだけども……なかなか本題に入りませんね。なんででしょう。
ラル「前置きが長い」
それな……
今回は第三者視点でやっていきます。一話で収まるやろ……いや、長くなろうと収めてやります。


生徒会の準備、並びに教師陣の対応の時間を稼いでいたリュウにラルからのゴーサインが出た。その連絡を受け取ると、今までの話を切り上げ、本題へと移る。
「おおっと? 今、運営側から連絡が来たぜ! どうやら、普通に解体するだけじゃかなりの時間を要するらしいっ!!」
と、ここまで言い切ると、隣に座るキャスに目配りをする。それと同時に、今の状況を簡潔にまとめたメモを見せた。一年生でこれが初仕事の彼には、原稿のないこの状況下は、少し酷な仕事かもしれない。しかし、普段からリュウに手解きでも受けているのか、或いは、無茶ぶりを受けるからだろうか。そのメモを頼りに上手くアドリブを交えつつ、アナウンスしていく。
「で、ですので、急遽、この氷山を使った解体ショーを行います! 出演者はこの学園の理事長、セラフィーヌ・ケアル先生です」
「更に更に~? 高等部魔術科に所属し、理事長の娘であるツバサ・ケアルとのコラボレーションだ! 実質、親子によるショーになるなっ」
二人のアナウンスに、観客の下がり気味だったボルテージが戻りつつあった。そして、ツバサとセラのスタンバイ完了を確認して、リュウは締め括りの言葉を紡ぐ。
「そんじゃあ、ここからは理事長にバトンタッチだ!」
マイクを切り替え、自分達ではなく、セラの声を聞こえるように設定を変えた。ここからは司会進行役は一旦お休みである。
段取りにはないアクシデントを一つ乗り越えたからか、ほっと一息つくキャスに、リュウは嬉しそうに笑った。
「ちゃんと話せてたぜ、相棒!」
「う、うぅー……もう、びっくりしましたよぉ……急にメモだけ見せてきて……」
「生にアクシデントはつきものだ! 覚えておけ!」
「は、はい」
戸惑いつつも成長を見せてくれる後輩を頼もしく感じつつ、リュウは放送室に備え付けてあるモニターに目を移した。飛び回るカメラを魔法で隠しているため、カメラ自体は観客に見えていない。そんな隠しカメラから送られる映像を見る。
そこにはBブロックで作られた氷山と、アラシが自身を守るための魔法によって偶発的に氷ができなかった空間に立つ一人の女性を映し出していた。その女性はまさしく、キャスが紹介したセラフィーヌ・ケアルであった。

放送部からの短くも分かりやすい説明により、これから起こることを理解してくれた観客に向かって、セラは恭しく一礼をする。
「この度はBブロックでできてしまった氷山の解体に時間がかかり、皆様に多大なるご迷惑をおかけして申し訳ございません。そこで急遽、私自らこの氷山を使った美しいショーを披露することにいたしました。どうぞ、心からお楽しみください」
謝罪の言葉も手短に切り上げ、そっと目を閉じる。心の中で魔法の詠唱を開始しつつ、レイピアを抜く。すると、セラの周囲には赤い魔法陣が展開された。炎属性の魔法陣は淡く光りつつ、炎の渦を作り出し、その渦はセラを囲うように出現。その炎を氷山にぶつけるのではなく、彼女の持つレイピアに吸収されるように集まっていくと、刃先周辺で炎が渦巻いていた。
そこでセラは閉じていた目を開けると、炎を纏わせたレイピアをキープしつつ、氷山の前に立つ。そして、目の前の空気を断ち斬るかのようにレイピアを素早く操る。その動作が終わる頃には、レイピアの周りに出現していた炎はなく、くるりと氷山を背にしながら、レイピアを鞘に納めた。
その瞬間、背後の氷山が大小様々な形で崩れ始めた。目にも止まらぬ速さの斬撃がそれを成したのだが、それを見極めきれなかった者が大半のようで、観客からどよめきが起こる。しかし、それに留まらず、鞘に納めたレイピアの柄に手を当て、剣に嵌め込まれている薄黄緑色の魔力石から風属性の術を発動させる。そうして、自ら崩した氷の塊を重力に逆らって浮かび上がらせた。全ての塊が宙に浮かせると、満足したように笑う。
『ピィィィィ!!』
甲高い音が会場中に響き渡る。その音が合図だったのだろう。空中からいきなり現れたツバサが、パーカーを風になびかせながら、ゆっくりと地へと降り立った。その姿はさながら、天使のような儚さを持ち合わせている。
実際のところ、ツバサの操る幻術と風魔法によるもので、それを察した者が何人いたのかは定かではないが。
地面に降り立ったのもつかの間、ツバサはちらりとセラと目配せをする。そして、母の笑みに小さく頷くと、愛用の武器である両剣を握りしめて、宙に浮かんだままの氷塊へとジャンプした。先程、空を浮かんでいたときと同様に風魔法を操りつつ、氷塊から氷塊へと飛び乗って移動していった。それなりの高さがあるものの、それに臆することなく次々と上へ上へと上っていった。
「……よっと♪」
浮かび上がる氷達の半分くらいまで来る頃には、両剣の両刃を赤く光らせていた。ツバサの武器は、使おうとする属性魔法と呼応するように様々な色へと変化する特徴がある。『白』である、ツバサだからこそとも言えた。
始めにセラが発動させた魔法と同じ赤色を解き放つ……前に、ツバサは誰にも悟られぬよう、そっと会場を見回した。幸運にも、少女の捜しものは簡単に見つかり、パッと表情が和らぐ。
「いたっ! ステラちゃんとリーフちゃん♪」
ショーの真っ最中に勝手なことはできないものの、満面の笑みを送るくらいは許されるだろう。そう考え、二人のいる方向に飛びきりの笑顔を見せると、それに気づいたのか、或いは偶然なのかは分からないが、二人が応えるように、笑顔で手を降ってくれているのが見えた。それが「頑張って」と言ってくれているみたいで、心がほかほかしてくる。
「……うんっ! 頑張るねっ!」
母の期待とは別に、ステラとリーフの思いを胸にツバサは浮かんでいる塊たちの天辺を目指した。軽々と頂上まで上り切ると、待機させていた魔法を発動させる。そして、今度は氷塊から氷塊へとランダムに移動し始めた。上っていたときと違うのは、ツバサが発動させた炎属性の魔法が、移動に使った塊に印をつけている点である。その印はツバサを追いかけ、炎によるラインを作り上げていく。
見てくれている観客にアピールをしつつも、ある程度の移動を終えたツバサは、自分の辿ってきた氷塊の道を目で追った。正確には、自分がつけて回った炎の印だが、それらは、思い描いた通りに配置できているらしかった。炎が浮かぶ氷を丸く覆い、氷が炎の檻に囚われているかのように映った。その光景に嬉しそうに頷くと、ツバサはセラのいる地面へと一気に降りる。
そして、ツバサの作り上げた作品を地で見ていたセラは、氷塊を浮かせている風属性の術とは別のものを発動させた。その風は、娘の炎魔法をも吹き飛ばすのではと感じる程の強風であるものの、そんな風の中でも炎たちは氷を覆い隠し、豪快に動き回っていた。風に乗った炎はやがて、花火のように大きな音を立てながら弾ける。昼間であり、火薬を使っていないために、色とりどりの光の花を咲かしはしなかったものの、氷山の塊が炎と風によって、溶かされ、削られたのだろう。日の光を浴び、きらきらと輝く無数の氷の花たちへと姿を変えた。
先程まで、巨大な氷の塊だったそれが、小さく愛らしい花へと変貌する。そんな一連の出来事を目の当たりにしていた観客達から、大きな歓声と拍手が二人へと注がれた。セラは慣れたものだが、ツバサはここまでの反応は想像してなかったために、少し驚きつつも観客を見回す。見てくれていた人達全員が笑顔で楽しそうな表現を浮かべているのを見て、ほっとした。そして、関係者席近くで小さく手を振るティールを見つけ、更に嬉しくなった。いつも仕事を教えてくれる先輩も、優しく見守ってくれていたことに。同時に、この場にはいないらしいフォースや、通路付近にいるであろうラル……そして、何より大会に参加している友人達は、これを見て楽しんでくれただろうか、と思ってしまう。
「ツバサ」
「は、はい!」
セラに呼び掛けられ、慌てて思考を現実に引き戻し、当初の打ち合わせ通りに、二人で風魔法を使って、氷の花を観客達へとプレゼントしていく。風に乗った氷の花は幻想的な風景を生み出し、これにも観客から感嘆の声が漏れていた。
残念ながら、花の数と観客の数は後者の方が多い。風を操っているとはいえ、ツバサからすれば、名前も顔を知らない相手ばかりで、仮に知った顔がいてもどこにいるのか瞬時に判断はできない。先程、ステラ達を見つけられたのは、ツバサ自身が高いところへ上っていたから。そして、ティールに関しては、彼が高い位置で警護していたからで、下に立つツバサの位置でもたまたま見えただけだ。そのため、花は完全にランダムに配っている。しかし、どうしてもステラ達には自分が作った花をプレゼントしたくて、そっと風の方向を操り、彼女達の近くへと運ばせた。ちゃんと届きますようにと心の中で願いながら。



~あとがき~
いえぇぇえい!!! 一話に収まったぁぁあ!! 
説明が多かったので、思いの外、短くまとめました。もうちょい表現を頑張れよって感じですね……

次回、Cブロック開幕!

一応、ここまで書きましたが、これ、伝わってるかなぁ……自分の引き出しが浅すぎて悲しくなってきます……会話文がないので、より単調な感じになってしまいました。すみません!!
いつか、私の文章能力がアップして、手直しできればいい感じにしたいですね。どうやればいいのかさっぱりですが。
プロットに書かれていた表現をほぼまるっと写し、プラス詳しくしたり、ちょっと心情っぽい何かを書き加えたりはしましたが……半分以上は相方の表現をまるっとしてますんでね……いや、私なりに書き換えてはありますが。書き換えない方がよかった説もある……ひぇ……
まあ、あれです。理解してほしいのは、巨大な氷山が小さな花に変わりましたよってところですね。それだけでいいです……
花がステラ、リーフに(もしかしたら、ティールにも)届いていたかはまあ、ご想像にお任せ……いや、描写するまでお待ちくださいね!! するところあるだろ! 作るんで! へい!!
答えが出るまではお待ちくださいなーと。

ではでは!