satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第122話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどんぱちする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ティール視点でアリアちゃんとの狩りをお送りしてます。今回もそんな感じです。
ティール「ぼく、スイとセツにも振り回されて、アリアにも振り回されるの……?」
宿命だと思う。ティールのキャラ的に。
ティール「キャラ的に!?」


《Te side》
アリアが一分もかけずに仕留めたオウルベアからドロップしたのは、オウルベアの肉や爪等である。まあ、妥当なドロップ品で、今回使うのは肉の方だ。
回収して、更なる狩り場へと移動するかと思いきや、アリアはラルから受け取った鞄を取り出し、おもむろに作業を開始した。
「あー……アリア……さん?」
「♪」
鞄の中身は肉焼き器らしかった。アリアはてきぱきと組み立てると、ウキウキしながら、鉄串に先程ドロップした肉を刺し、二本の支柱にセッティング。あとは取っ手をぐるぐると回せば回転式肉焼き器が……じゃなくて!!
「あの、それ……聞かなくても分かるんだけど、それ……なんですか……?」
「ラルがくれた……♪」
うん……うん、そうね……そうですね……!
なんちゅうもん渡してんだ、うちのリーダー!!
竈、つまり、火の部分は魔力石を使用しているらしく、アリアが軽く触れるだけで、ぱっと高火力の火が肉を焼いていく。
これ、誰が組み立てたんだ。器具の部分はともかく、魔法分野に疎いラルが魔力石の調整? とてもじゃないが、魔法式を独自に組み替えるなんて、彼女にできっこない。となると、フォースか……いやでも、フォースもアリアの秘策について知らなかったんだもんな。なら、ツバサとかユーリとかかな……? うん。あり得る。……後輩巻き込んで何してるんだ!?
『てぃー! なんかくるよー!』
いろんな感情が入り交じって、わけが分からなくなっていると、セツの切羽詰まった声が聞こえてきた。この状況で何が来るのか不明だが、とりあえず、スイを抜剣しておく。
ガサガサと近くの草むらが揺れ、そこから飛び出してきたのは、涎を垂らし、いかにも獲物いただき! という雰囲気を出しているモンスターの数々だった。一匹、二匹の話ではない。十数頭はいて、ぼくらを囲んでいる。いきなりなぜ、こんな数がここに突っ込んできたのか、すぐに分からなかったものの、ふわりと肉の焼ける匂いで気づいた。
「……いつだったか、野外で料理するときは獣や魔物避けの術をかけとけってリアさん言ってたなぁ」
そう教えてもらったのは、ぼくとラルが中等部に通っていた頃。野営でも本格的な料理を嗜むリアさんだからこそのアドバイスのようにも思えたそれは、当時、全く料理をしなかったぼく達にあまり関係のないものであった。
今はラルが色々試すようになって、リアさんの言いつけ通り、忘れずに獣避けの術をかけてるけど……忘れるとこうなるのか。
『てぃー、くるよ!』
「んげっ!? アリア、お肉は一旦放置し……て?」
ぼくが目を離している間に、ペロリと平らげたのか、鉄串に刺さっていたはずの肉はなくなっていた。
「肉……新しい、獲物っ!!」
幸せそうな表情から一転、キラリと目を輝かせたアリアは、銃剣ではなく、ブルーにコーティングされた二丁拳銃を取り出した。
「狩る……っ!! “水連弾”!」
拳銃を構え、辺り構わず引き金をばんばん引いていく。それに合わせて、水の弾も打ち出され、次々とモンスターへとヒットさせていく。
この攻撃、ぼくを気遣う要素が何一つとしてなく、ぼーっとしていたらこちらにまで弾が飛んできて、モンスター達の二の舞だ。
ぼくのこと、忘れてませんか!!??
「わ、ちょ……うわぁぁ!?」
『てぃー、にげろにげろー!』
獣達の叫び声とぼくの叫び声がこだまする中、ただ一人だけが嬉々として狩人の立場にあった。
なんで! ぼくまでえぇえ!?
水の弾丸も避けつつ、目の前にいるモンスターも斬り伏せる。よくもまあ、器用なことをしているなと感心したくなる。自分で自分を褒めたいくらいだ。
怒濤の攻撃による十数体撃破の体感時間は長くても、実際は大してかけていない。ものの数分の出来事で、あっさりと片がついた。そして、再び肉を手にしたアリアは先程と同じように、肉を刺し、ぐるぐると調理を開始する。瞬く間に美味しそうな匂いが辺りを包み始めた。
『てぃー、せんとーじゅんびなのら』
『こんどは、あわてなくてすむね!』
あ……うん。そうなるよなぁ。そうだなぁ……うん。なるほどなるほど……
「つまり、アリアが満足するまでこのプロセスは踏まないといけない。そういうことかな?」
『だねー! あーちゃのおなか、いっぱぁいにしなきゃなのね!』
まんぷくはいーことだって、るーもいってた!! いってた??』
言ってないかな。基本、腹八分目がいいと思うよ。食べ過ぎると動きも鈍くなるからね。……食事をしないお前達にこんな話をしても仕方がないのだけれど。
予測通り、ガサガサと少し離れた草むらが揺れる。きっとこの匂いを嗅ぎ付けたモンスター……もとい、アリアの獲物達だろう。
「ふふっ……理解したよ。どうしなきゃいけないのか、……いいだろう。上等だよ、この野郎……! スイ、セツ! 本気でいくぞ」
鞘に収まったままだったセツも抜剣し、アリアから離れる。弾は水属性なら、至近距離で受けさえしなければ、能力を使って軌道を逸らせるはず。この前、怒られたばかりだけれど、こんなところで仲間に撃たれたくはない。実弾ではないにしてもだ。
『ほいな!』
『じゅぎょーでは、すいちゃといっしょ、ぜーんぜん! ないからね! がんばるおー!!』
ええい! こうなったら、とことん付き合ってやる! 探検隊スカイの片割れを舐めるなよ!?

結果、この行程を五回ほど繰り返した辺りで、数えるのをやめた。そこから更に時間を─どれだけかけたのか、体内時計が宛にならなくなるくらい─かけて、アリアの食欲を満たすためだけ……こっちが本題なんだけれど、最早ついでとなってしまった夕飯のお肉回収もしっかりとしていく。
アリアからの誘爆すら気をつければ、ある意味、効率的ではある。まとめて仕留められるし、数も一気に稼げるからである。まあ、危険なことには変わりはない。あまりお勧めできないやり方だ。
「ごちそうさまでした……♪」
どうやら、満足したらしいアリアはラルからもらった肉焼き器をしまい始める。
それを見たぼくはその場にへたりこんだ。
や、やっと終わったぁ~……
『てぃー、いちばんがんばってた』
『さいきんのなかで、いちばん』
「ぼくも、そう思います……」
戦闘が三割、逃げが七割だったため、戦闘に疲れたと言うよりも、逃げるのに疲れたと言わざるを得ない。なんでぼく、狩りに来て、逃走ばっかしていたのだろう?
「いっぱい、獲れた……!」
これ以上ないってくらいに食べたはずなのに、もう夕飯のご想像ですか。見てたこっちが胃もたれしそうなくらいだったのに。
「…………帰ろ?」
「は、はい……」
エネルギー満タンなアリアは、なぜぼくがここまでぐったりしているのか分からないらしい。
これはね、主に君のせいなんだよ。知ってた……?
……なんて、口にする元気もなく、ぼくは黙って立ち上がり、前を歩くアリアの後ろをただただついていくだけとなった。
ラルの無茶振りで体力や精神面が鍛えられていたと思っていたが、どうやらまだまだのようだ。



~あとがき~
頑張ったで賞をあげたい。

次回、ラルに視点を戻して一方その頃をします!
まあ、そこまでかけません。すぐに時は進みます。はい。

ティールには、ラルみたいに巧みに制御するのは無理でしたね。知ってた☆
ここ最近、ティールがろくな目に遭ってないけど、大丈夫なんだろうか。彼に見せ場は存在するのか。……この合宿編では全くないですね!(盛大なネタバレ)

ではでは!