satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第126話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で真面目にしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はラルとアリアちゃんの夜をお送りしました。女子っていいね。
今回は男子二人のどうでもいい話です。読まなくてもいいです。多分。
ラル「しれっと今後の伏線入れるくせに」
そんなことはない。多分。
視点はティールでっす。


《Te side》
女子二人と別れてフォースとテントの中に入る。空いているスペースに荷物を置き、寝る準備を始める。準備と言っても、寝袋広げるくらいしかやらないけれど。小さなランタンをテント中央に置き、ぼくとフォースはお互いの寝袋の上に座る。ちょっとした雑談タイムだ。
「テント、一人で張った?」
「一人だよ」
まあ、そうか。山菜採りとその他で分担するのが恒例だもんね。
「準備、お疲れ様です。フォースさん」
「いつものことですからねぇ……気にしてないよ」
いや、ほんと。いつも助かってる。
人生経験という点でも、知識という点でも、実力という点でも、何に関してだって彼には敵わない。それくらい、何でもできてしまうのがフォースだ。ラルがあれこれ頼りたくなるのも分かる。分かるからと言って、頼りすぎるのもあれだけど。
「どこで身につけてくるの、そういう知識」
「必要だったから。……ま、今じゃ、いらんこともたくさんあるけどさ」
……例えば?
「相手にバレずに息の根を止める方法」
にやりと笑うフォース。冗談なのか、事実なのか。残念ながら、ぼくに見極める力はない。せいぜい、それ相応の反応を見せるくらいが関の山だ。
「……冗談だよ。黙んなって」
「君が言うことは大体が冗談に聞こえないんだよ?」
「そうかなぁ……?」
そうだよ。自覚して。
そうは言っても、彼はあまり理解していなさそうな表情を浮かべている。自覚してもらえたところで、改善してくれるかはまた別の話、だもんね。

あれこれ他愛ない話を続けていると、お隣からもなんだか楽しそうな声が聞こえてきていた。あちらは何を話しているのか分からないけれど、こちらの話題はこの前の失敗談に移っていた。
ラルがフォースに連絡していたから、彼にも伝わっていたみたいだ。ぼくは初耳だけど。……けど、ぼくらを気にかけてくれている保護者ならぬ、フォースお兄さんは、今までの不満が溜まっているらしい。色々関係ないこともたくさん言われた挙句、最終的には──
「自分を大切にしてください。君ら、命は一つしかないんですよ。分かります?」
という、謎に敬語まで使い、ごくごく当たり前のことを説かれた。
それについては頷くしかない。そりゃそうだ。人の命は一個しかありませんもん。ぼくはフォースみたいに特別な人間ではないのだから。
「最近、そんなんばっかですよ。おれの周りは無謀者しかいないの? ねぇ」
「類は友を呼ぶってやつ……」
「あ?」
「ごめんなさい。なんでもないです」
でも、ぼくから見ていたら、フォースもフォースで無茶苦茶やってると……あ、なんでもない。はい。すみません。
「ラルにも散々言われたよ。……自分も同じようなことするくせに」
「おれから見れば、お互い様なんですけど」
「……ごめんなさい」
なんか、謝ってばかりだな。
「どっちの言い分も分かるけどね。要はどっちもお互いが大切ってことだもんな。……この前のは完全にお前が悪いけども」
「この前のは反省してます」
「やらかし率はラルの方が上だけど、やつのはなぁ……根底にあるもんがあるもんだからな」
……? どういうことだろう。
しかし、フォースは説明する気はゼロで、「自分で考えろ。お前のパートナーだろ」と一蹴された。そんなことを言われても、ラルの突拍子もない行動の大半を理解していないのが現状だ。彼女自身が説明してくれたとして、その裏に何かあるのがほとんど。本心を語りたがらないのが、ぼくの相棒、ラルという女の子。
まあ、今のところぼくがやきもきするくらいで、他に問題はないからいいけどさ。
「……ティールさ、前から聞きたかったんだけど」
「うん……?」
「結構受け身の姿勢だよな、お前。仮にラルがコンビ解消したいとか、チーム抜けるとか……そういう打診してきたらどうするの」
え、えぇ……? そんなことあるのかな。あぁ……でも……
「……いや、そうじゃなくても、ティールは『ラルのパートナー』という以前に『海の国の王子』って肩書きがある。遠くない未来で、決断を迫られる。数年はおざなりにできても、与えられた役割からは、そうそうに逃げられるもんじゃないだろ?」
ぼくが口にする前に、フォースが全て言ってしまった。探検隊である前に、ぼくは王族の血を継いでしまっている。小さい頃に、次期国王としての素質を国の女神に認められてしまっているのだ。
「なぁ、ティール。おれはお前の将来なんて知らないけどさ、学生としての時間は思った以上にないんだぜ。それは子供としていられなくなるってこと。……お前がどうしたいか、しっかりと向き合うべきだと思うよ。ティールとラルには、過去のおれみたいに後悔してほしくない。……命は一つしかないんだからさ」
制御者として、いくつもの人生を見てきた彼の言葉は、なんとなく先延ばしにしていた事柄に重苦しくのしかかっていた。
今、ぼくがここに留学生としていられるのは、家の仕来りとして許されているから。それは、外の世界を見るため、将来の王としての器を育てる修行みたいなものだ。
その修行をすると決めた当時のぼくは、あるきっかけから家に居場所が見つけられなくなって、親との距離感が分からなくなって……家にいたくなくなって、逃げ道として使ってしまったけれど。ずっと、逃げられるわけじゃない。
分かっていた。いつかは、選択しないといけない。昔、ラルには学園を卒業したら、祖国に帰るって話もしている。でも、それは出会ったばかりの頃の話で、探検隊ですらなったときの話。
なら、今は? ぼくは……どうしたいんだろう。
「……悪い。言い過ぎた」
黙ってしまったぼくの心を読んだのか、フォースはばつの悪そうな顔で呟いた。そして、そのままテントを出ていってしまう。引き留める暇もなく、それが当然のような感じで。
一人になって、考える。
「……ぼく、は」
今が大好き。ラルやチームの皆と笑って、怒って、喧嘩して……一緒に過ごしている今が好きだ。
これからも、ラルと一緒に探検隊としてやっていきたい。色んな場所に行ってみたいし、体験もしたい。できるなら、ラルと二人でずっと。
同時に、自分に課せられた王としての責務も、果たさなきゃとも思う。でも、それを考えるだけで、心が苦しくなった。両親のことは嫌いじゃないはずなのに、信じたいはずなのに。心のどこかで、親を嫌ってる自分がいて。過去のことを許せていない、そんな自分がいる。
国のために邁進する父も。そんな父を支えている母も。ぼくを大切に思ってくれているのは伝わってくる。それを、ぼくが素直に受け取れないだけで。勝手に嫌ってるだけで。
今のぼくが勝手に居づらくしているだけなのは分かってる。……だけど、過去の記憶は残酷に、ぼくに絡みついて、逃がそうとしない。
『また、見てくれなくなるのが怖いのね』
「聞いていたのか、白雪」
見透かしたように、鋭く冷たくも、どこか暖かい声が聞こえた。その声はその一言しか話さなかったけれど、核心を突かれた。
白雪は国の女神として、信仰されている神の名前で、ラルの雷姫さん以上に気まぐれな女神さまだ。白雪はぼくの様子が気になって声をかけただけなんだろう。多分。
「はぁ……フォースの言う通りだよ。ずっと子供じゃいられない」
でも、今は自分のことなんか忘れたまま、ラルと探検隊でいたい。王子様じゃない、ぼくでいたい。
……こんなことを思ってしまうのは、ぼくが子供だからなんだろうか……?



~あとがき~
女子チームと比べてみろ。この落差よ。
私が好き勝手するとこれです。もうでしゃばるのやめようかな。

次回、そろそろ合宿編、終わらせます。

このティールの抱える問題はどっかでやらないとって思っていたんですよ。つか、空海ポチャよりも、責任感強いんじゃね。レイ学ティールくん。
まあ、この問題はなあなあにするつもりはないので、長い目で見守ってくださいな。

関係ないけど、レイ学フォース、めっちゃ過保護やん。気遣いしまくりのおとんやな!(笑)
まあ、気に入った相手だから世話焼くんですけどねぇぇぇ!!!
フォースも過去の選択を後悔しながら生きてるやつなので、せめて二人には後悔なく、幸せになれよおらって思ってるんですよね。めっちゃ優しくね?

ではでは!