satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

Fantasy world

この物語は魔法とか出てくるよ。ポケモン二次創作だよ。
イオ「苦手は人は戻ることをお勧めするよ」
シェル「わーい。この前再登場したよー!」
イオ「………お、おう?」


~第14話 使い魔達のあれこれ~

互いの主から少し離れて使い魔のメイとマーチは三人の様子を見ていた。しかし、イオが傍にいるから余程のことは起きないだろう。マーチは隣でいつもより暗い顔をして座っているメイに話しかけた。
「どうした、メイ。しょげてるの?」
『むー……今日ってか昨日、初代が出てきてさ……それでちょっとねー』
「へえ。ノーベンバー様が? 何て?」
『忠告してきた』
「珍しいね。最後はいつだっけ。クヴァールの大量発生のときじゃない?」
『………あったね、そんなことも』
基本的に初代ノーベンバーに会ったあとのメイは不機嫌だ。主であるイオの前ではそんな雰囲気は見せない。しかし、一度離れてしまえば、本性を隠すことをしない。
「今回は何だって? また大量発生?」
『ううん。……特には。ねえ、マーチくんは初代セプテンバー様をどう思っているの?』
「俺? まあ、メイみたいに突っぱねはしないけど。……今と変わらないかな。何度、姿がお代わりになっても主様だから」
『マーチくんは大人でいいなぁ……』
「そうでもないさ。今でも過去に囚われてるし、どうせなら消えてしまった方が楽……だけど、主様が選んでくれたんだ。それに応えるまでだよ」
昔の記憶が頭を過るが、それを思い出すまいとふるふると首を振る。一方のメイは未だに不機嫌そうにむすっとして、ちらりとマーチを見た。
『流石、忠誠心の塊。騎士長の鏡だね』
「悪口にしか聞こえないのはなんでだろうか。しかもそれ、昔の話だよ。他人の傷に塩塗って楽しい?」
『…………今の私は悪口にしか言えないのだよ』
「じゃあもう、黙ってろ」
『うぇぇ? うぐっ…』
ぐいっと黙らすようにメイの頭を押さえ込み、無理矢理黙らせた。こういうときのメイは一番質が悪い。
「迷惑極まりないんだよ、本当。いい加減ノーベンバー様を嫌うのやめろ」
『うぐぐ………』
「あの方があってこそのイオ様だろ」
『それは……そうだけどさ…』
「じゃあそんなに嫌な顔するな」
『うぅ………でも、でも! 私はあの人の見透かした感じのあの表情が嫌いなの! ムカつくんだもん!』
頭をマーチに押さえられているため、思うように動けない。バタバタと手足をばたつかせ何とか抜け出そうとするがマーチの力に勝てるはずもなく、まるで駄々をこねる子供の姿にしか見えない。
「そこまで主を嫌う使い魔もいないだろうね。ある意味才能だよ、才能。あのジュンでさえ、ディセンバー様には手も足も出ないのに」
『ジュンくんは意地悪だけど、優しいじゃない。今はエルナト様がああいう性格だから今回、生き生きしてるだけ』
「それはそうかもね……いや、だとしても、初代様方をそこまで嫌うのはお前だけだよ?」
『………そうかも』
「それなのについてきたのはメイだろ。ノーベンバー様に誘われた。その誘いを受けたのはメイだよ」
『…………』
ぴたりと抵抗していた力がなくなった。それを確認すると、マーチはメイの頭から手を離した。
『マーチくんは分かってないよ、あの人のズルさ』
「いや、確かにノーベンバー様は他の神の使いの中でもそんな感じはするけど」
『はあ………だいっきらい』
「嫌も嫌も好きのうち?」
『…………吹っ飛ばすよ?』
「冗談だ。真に受けるなよ」
やれやれと言った様子で肩をすくめる。時間が経てば普段のメイに戻るだろう。ふとジュンのことを話に出したからか、あることが頭に浮かんだ。
「ジュンで思い出したけど、もうそろそろじゃない? 病み期っていうか、いつもの」
『ふえ……あぁ~……うん。そうだね。今年も来たか。きっぱり割り切ってないと辛いんだよ、あれ』
「………未練がましくてすいませんねぇ?」
『私、マーチくんのことなんて一言も言ってないけどねー? 私は全然へっちゃらー! 未練ってか恨みしかないもんね~♪』
「はあ……俺もそんな出来事だったら、今の方がいいってメイみたく明るくなれるのかな」
『マーチくんには似合わないよ。私みたいに恨み辛みなんて、ね? 涙を誘うようなカンドーものが一番っ!』
「感動……ね。感動出来るの?」
『少なくとも私のよりは』
「メイのは救いがないからな。むしろ、よかったって思っているくらいなんじゃないの?」
『…………どうだろね?』
メイはクスッと口元を隠しながら笑った。マーチはその様子に深く追求することもなく、視線を自分達の主に向ける。マーチの視線に気づいたのか、シェルがこちらに向かって手を振った。
「…………ま、主のためだ。黙って耐えるよ」
『さっすが、マーチくん! 大人だね。ジュンくんも意地張らなきゃ、もうちょっと楽出来るのに』
「ジュンは楽なんてしたくないと思うよ。多分、それがいいことだと思ってるから」
『そーだね。やっぱり、ジュンくんは優しい子だからね♪』
「………そうだな。優しい奴だよ。……で、次はどこに行くの?」
『うーん? 多分、アルマク様かアルファード様のところかな。……エルナト様とカリーナ様はちょっと難しいし』
「いや、アルファード様もなかなかだと…」
「マーチ! ただいまぁ! 楽しかったの! ねえねえ、凄かったでしょー!?」
粗方話が終わったのか、イオ達がこちらに戻ってきた。シェルはマーチの元へ一目散に駆け寄り、目を輝かせながら話しかけていた。
「楽しかったですか。……またそんなに汚して…」
「遊びに汚れは付き物だよ?」
「悪い、マーチ。気付いたらこいつ、そこら辺転げ回ってた」
「いえ、ご心配なく。洗えばいい話なので」
「そうか。……にしても、ほんと子供っぽいんだよな、シェルのやつ。先代はそうでもなかったのに、反動かな……?」
イオは少し考えてみるものの、意味のない行為だと感じたのかすぐに考えるのをやめた。
『イオ様、お次はどなたになさりますか?』
「ん? まあ、誰に会ってもキャラ濃いから誰でもいいんだけど、ファードを先にすませよう」
『りょーかいです! 起きているといいですね』
「……まだ寝てるかな?」
ぽつりと呟いたイオにマーチはいえ、と続けた。
「今日はお店が開いている日だったと思いますよ」
「そーそー! ま、ファードは開いててもお客さんなんて入れないけどねー♪」
「確かに。……うし、行ってみないと分かんねぇよな。メイ、ミル、行くぞ」
イオの言葉にメイとミルはうなずいた。そして、先を歩くイオのあとについていくミル。メイも歩き出そうとしたところで、マーチに止められる。
「ジュンのところに行くなら、気にかけてやれ。余計なお世話だと思うから、声はかけなくていいけど」
『うん。分かってるよ。……病まないでよ、マーチくんも』
「ははっ……努力するよ」
使い魔としてここにいる限り、逃れることのない罰を忘れることはない。メイのように割り切ってしまった、あるいは割り切れる者は別かもしれないが。
一瞬だけ、過去を思いだしたが、マーチを呼ぶ声で我に返る。そして、マーチは自分の主の元へと歩み寄った。





~あとがき~
いや~……何がしたかったんだろう?

次回、ファードのとこに赴きます。さっさと終わることを希望する!

なんだかマーチは動かしやすいし、使い魔の中でも年長者組なので落ち着いています。周りにも気を使えるいい人なので……あとなんか、騎士長の鏡らしい。過去の話ですよ。きっとね。ちゃんとマーチの過去もやりますぜ~♪
そんな大人のマーチさんと不機嫌メイちゃんが今回語ってますが……二人曰く、使い魔さんには病み期があるようで。ジュンくんが病むらしいです。今回の全員の紹介が終わり次第、関連の話をしたいと思ってますよ。

あとは話すことないな~……

ではでは。

はじまりのソラ 6ー8

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊を元にしておりますので、原作のイメージが崩れる恐れがあります。てか、崩れます! 苦手な方はブラウザバックね!
ピカ「これから尊敬なんてせずに見下していく。誰とは言わないけれど」
ポチャ「食べ物絡むと恐ろしいね……」
ピカ「…………あはっ」
ポチャ「あ~……笑顔が黒い……」
では、始めますよん!


~6‐8 やってきたあいつらと失敗~


「ピカ、夕飯の時間だけど……」
「寝る。行かない。おやすみなさい」
「えぇっ……それは流石に駄目なんじゃない?」
「体調不良ですって言っとけよ……食堂行っても食べられないなら地獄だよ。とにかく、体調不良なんで行きません。オヤスミナサイ」
意地でもテコでも動かない。おやすみなさい。
ポチャはそんな私にため息をついて、気分悪いんならちゃんと寝てよ、と言い残して行ってしまった。食べられないのに、行くなんて律儀なやつ。
ポチャの気配が消えたところで私は体を起こした。別に嘘は言っていない。信じてなさそうだったけれど、まあ、そう聞こえるように言ってしまっているから仕方がない。心配をかけさせるのも癪である。
「……うぅ」
……毒ガスのせいか頭痛いし、気持ち悪い。ペラップに苛立っていたときは体調不良なんて吹っ飛んでいたが、一旦部屋に戻り、冷静になってみればぶり返してきた感じだ。むしろ、悪化している気もする。こんな状態で夕飯食えよと言われても、無理な話である。今更だけれど、抜きになってよかったのかもしれない。
罰のせいで食べられないポチャには悪いが、毒消しのためにモモンの実、食べさせてください。ごめんなさい。ポチャ君、ごめん。ほんとごめん。
トレジャーバッグを漁り、モモンの実を取り出す。取り出したはいいが、あんまり食べたい欲求もない。……気分悪くなっていたら食べ物なんて食べたくないのが普通か。しかし、少しでもよくしておかないと、親方部屋で何されるか分からない。無理矢理にでも食べるべきだ。
「…………んぐ」
……ちょっとだけ楽になった。あとは寝よう。
ごろんと横になり、少しだけすっきりした頭で考える。今回の何がいけなかったのか。今、全て終わってしまったからこそ言えるが、私の危機感が足りなかったで済まされる。この一言につきるのだ。
ここにスカタンク達が来た時点で警戒していたのに、何もしてこないところから油断していた。
話を聞かれていたということは、近くにいたということだ。この視線に気づかないのも何ともお間抜けな話で。
『リンゴのもり』の奥地、セカイイチの木の前で何かされると分かっていながら、動けなかったのも実力不足。注意力が足りないし、考えも甘い。一度受けていたと言うのに、その可能性をすぐに見抜けなかった私のミス。
細かく言えばこんなところか。一言で言えば、初めに言った、危機感がなかった、である。
全く、探検隊リーダーが聞いて呆れる。まとめる立場にいる以上、半端では済まされないだろうに。
「鳥のあんときは……苛立ってたけど、完全に私が悪いんだよなぁ……いやでも、話を聞かなかったことは許さん。嫌われるぞ、ああいう奴は」
ペラップのことは今後、鳥さんと呼ばせてもらおう。まあ、面と向かっては言わないよう努力するけれど。……ぽろっと出たら仕方がないよなぁ?
「はぁ。今回はマジで自分が駄目だった。私、嫌い……まあ、いいや。寝る……」
自己嫌悪も程々にしておかないと、病んでしまう。そうなってしまえば、それこそポチャに心配かける。この話はここで終わりだ。これから気を付ければ今回のような失敗はなくなるというものだ。……そうでなければ、報われないではないか。

夕食が終わるであろう時間に起きる。寝る前よりも改善したのだが、この体調もこのあと、どうなることやら。行かなかったことを呼び出されることもされなかったから、ポチャが上手く言ってくれたのだろうか。ありがたいことこの上ない。
「……このままサボるのもありかな」
なんて、いけない考えを浮かばせてみる。流石にそこまでは言いくるめられる自信はない。もう体調も悪くないし、モモンの実、万歳!
……さて、馬鹿なことしてないで、さっさと親方部屋に向かうか。
スカーフをするだけして、親方部屋に向かうと、ポチャが扉の前で待っていた。ちなみに鳥さんこと、ペラップの姿はない。
「気分、よくなった?」
「寝たからね。おかげさまで」
ま、九割以上、モモンの実のおかげだけど。
「んで、鳥…じゃねぇや。……ペラップは?」
「かなり根に持ってるね……? もうすぐ来るよ……あ、ほら来た」
ペラップは私とポチャの姿をしっかり確認すると、何も言わずに親方部屋の前に立つ。無視されている感じで腹が立つけれど、喧嘩しても仕方ない。素直に黙っていよう。
いつも通り、ペラップはノックをして親方部屋に入る。私達もそのあとに続く。扉を閉めた途端、親方はくるりとこちらを振り向き、満面の笑みで出迎えた。
「やぁ! キミ達、セカイイチを持ってきてくれたんだね! ありがとう♪」
こんな無邪気な子供のような笑顔を向けないでください。期待しないでください。違うんです。ごめんなさい。
「それがですね……大変言いにくいんですが……」
ここはペラップが言ってくれるらしい。まあ、荷が重いから、全然構わないんだが。
「実はその~……この者達がセカイイチを取ってくることを失敗しまして……ですから、その…」
「いいよ、分かった♪ 大丈夫、失敗は誰にでもあるもんね。挫けない挫けな~い♪」
ニコニコと失敗した私達のことを慰めてくれた。慰めはありがたいのだが、この様子は、今どんな状況なのか分かっているのだろうか? 気遣いか?
「……それで、セカイイチはどこなの?」
気づいて!? 話の流れで気づいて、親方! こんなの生殺しみたいなもんだよ。私らというか、鳥がね。なんだかこの先のこと知っているようだし、鳥が生殺しみたいなものだ。
「ですから……取ってくることを失敗したわけですから……えっと、セカイイチの……セカイイチの収穫は……」
ほら、言っていいんだぞ。鳥~? もう未来暗いんだから、思いきって言えよ。
なんだか開き直ってきた私は、緊張感なんて明後日の方へと飛んでしまった。隣に立つポチャは緊張しているみたいだけれど。
セカイイチの収穫は……ゼロ、ということになります……はい。つまりですね…」
「…………えっ」
なんとか絞り出そうとしている鳥さんに親方はぴたりと石のように動かなくなってしまった。これは、怒りで思考が止まったとかそういうことなのか。いや、分からないけれど。
「……なので、親方様には当分の間、セカイイチを食べるのを我慢していただかなければならない。……ということになります」
ここまで言い切った鳥は緊張が解けたのか、開き直ったのか、このあとに待っているらしい恐怖で壊れたのか分からないが、涙を浮かべながら笑った。単純に引くレベルだ。
「あははは……ははっ…………はぁ」
「…………ぐすっ」
「!? 親方様………………親方様?」
うるうると目に涙を溜め、今にも泣き出しそうだ。その姿を見た、鳥はびくっと体を震わせ、我に返ったようだ。それと同時に部屋が地震にあったかのようにガタガタを揺れ始める。
え、何が起こるの……? 危険な臭いしかしないんだけど……?



~あとがき~
あ、前半に余分なの入れたらお仕置き入らなかった。いっけなーい☆

次回、今にも泣き出しそうな親方。どうする、どうなる!!
ん? 前回と同じ? うん、知ってる(泣)

前半の入れたかった理由としては、ピカの反省タイムをしたかったんですね。あと、毒ガス受けたんだから、毒状態のまま帰ってくることもあるのでは、と思ったからです。ダンジョン内だけしか状態異常かからないなんてことないと思ったんですよ。
つまり、私の勝手な解釈の犠牲になったピカちゃん……ドンマイ☆

ピカがペラップのことを鳥と呼び始めました。初めは呼ぶと決めたはいいけど、まあ、ペラップでいいや。みたいな雰囲気でしたが、途中から開き直ったらしいピカの気が大きくなったようで、鳥呼ばわりです。心の中限定ですけど。これが本人を目の前にして、表に出てくるのはいつなんでしょうかね?

ではでは!

空と海 第143話

~前回までのあらすじ~
やっとメンバーをざっくり紹介出来た……
ピカ「はてさて、今のペースを守れるのか」
フォース「難しいな」
ホノオ「なんとかなるなる~♪」
くっ……お前らめぇ……!
フォース「このバトルだけで何話使うかね……?」
ホノオ「たくさんかな?」
始めるもんね!!
私の予想としては十~二十話くらい使うのではと思ってます!!←適当
ピカ「かなり使うな」


三分間の作戦会議、他のチームはどのように過ごすのだろう。それぞれ集中する時間にするのか、みっちり作戦を考えるのか、これらはそれぞれのチームで色が変わってくる。
ピカのチームはというと、ここに入ってくる前の時間に大体のことは伝え終わっていた。出場者が明らかになった今、多少の修正をするくらいでなんとかなりそうなのである。
「まあ、うちらのチームは……頑張って生き残りましょうねってことで」
「頑張って残って次に進むぞー?」
「進めればええですな、ホノオさーん」
「ピカちゃんの指示があればいけますよ~」
「褒めないでくださいよ、照れちゃいますよ~」
「あはは~」
だらーんと座ったベンチの背もたれに寄っ掛かり、声を揃えて笑った。しかし、フォースだけは呑気に笑えないようだ。未だに丸くなって茶色いクッション状態のフォースは顔をあげることはせず、もぞもぞと話し始めた。
「……本当に、これでいくのか?」
「いくよ~? この中で一番慣れているのはフォース君だからさ、どんなのが来ても対処出来るじゃん? というか、してきてよ」
「それが、お前の命令なのか?」
「うーん。まあ、命令というか……私の指示があるまでは、さっき言ったように動いてくれればどんな方法でもいいよ」
「………………分かった。言う通りにするつったしな」
「ありがと、フォース君」
ピカはそう言うと、いつもより小さくなったフォースの背中を優しく撫でた。フォースも何も言うことはなく、それを受け入れている。その様子をにこやかに眺めていたホノオは素朴な疑問をピカに投げかけた。
「他はどう来ると思う?」
「そうですね。一発仕掛けるのなら、なーさん、太陽さん、ナイトさんを持ってくると思いますが、最初ですし、いきなりガチ勝負はないと思っています。これはあくまでお祭りの出し物なので」
「ふうん? まあ、そうかな」
「なので……もえちゃんとエレキ君、トパーズ君かアクアちゃんかなって」
「どうでもいいよ。……どんなの来ても、言われた通りにするだけだ」
「結論的にはそういうことになるけどね」
「あはは♪ まあ、俺は馬鹿ナイトを殴れれば満足だし、全然いいよ~♪」
「分かってますよ~」
これはあくまで余興、一種の出し物だ。誰もが本気のバトルに力を向けるとは思わない。ピカが参加者を見たところ、ほとんどの人が無難にこなせばいいと思っているようだ。出るからには勝ちを狙っていく、そんな考えを持っているのはピカ以外にはいなさそうであった。
「ま、様子見だな……これでどんな風に皆が来るかで今後の立ち回りも変えていけばいい……」
一回戦はルール上、無難にこなしてしまっても、差ほど問題はないだろう。しかし、二回戦に進んでしまえば、相手によっては無難になど言ってられなくなる。
「……さあって、どう出てくる……?」

作戦会議の三分間。出場者達は観客席の下のスペースに四方それぞれに待機していた。観客達は誰が出るのか、どのような戦いになるのかなど予想しながら待っているようだった。それは、イブ達も同じである。が、話題に上がるのはこれからのバトルにつてではなく、フォースの姿についてだ。
「ね、ねえ、るーくん? あのすーくんって」
「可愛いよね! めっちゃ可愛いよね!! あれね、生前のかーくんの姿なの! 十歳くらいかな? すっちーよりちっちゃいよね~♪」
「生前の……?」
「? 言ってなかったっけ? かーくん、元継承者くんだよ? 色々あって制御者になったんだよ」
イブもチコも初耳で、ぱくぱくと口を動かすが、言葉は出てこない。そんな二人にお構いなしにウィルは話し続ける。
「あの姿はほんっと、可愛いよね!! まあ、姿だけ変えてても中身はかーくん。力もそのままだから、簡単にやられることはないよ」
「そ、そういえば、丸まってて見にくかったけど、目隠ししてなかったよね? 大丈夫なの?」
「んー? 多分ね、力を抑えてるからじゃないかな? 目の色を変えたんだと思うよ。となれば、今のかーくんは金色の目をしているのか~♪ ますますあの頃のかーくんじゃん!! うっはぁ! ぎゅってしたーい!」
「え、そんなこと出来るなら、いつもしていればいいのに……」
チコがぼそっと呟いたのを聞いていたのか、ウィルはいやいや、と首を振った。
「力をほとんど使えない状態で、制御者としては使い物にならないから。それにかーくん的には面倒なんじゃないかなぁ? それなら目隠しした方が早いってことだよ」
「うーん、よく分からないなぁ」
「りっちーが理解するにはもう少し時間かかるかな? 力ってずっと隠しっぱなしだと、いざってときに使えないから」
「ふーん……?」
「るーくん、チコちゃん、もうすぐ始まるみたいだよ」
イブが指摘すると同時にわあっと会場が盛り上がる。待ってましたと言わんばかりの歓声と共にリムの進行する声が響いた。
「作戦会議の三分間が終了しました! 一回戦、ここはとても大切な選出となると思います。各チームから、一体誰が出てくるのでしょうか!」
この言葉で四方からメンバーが出てきた。レンのところからはエレキ、ナエのところはもえぎ、アクアのところはアクア自身、ピカのところはフォースが出てくる。エレキやアクアは堂々としたものであるが、もえぎは帽子を深く被って、周りを見ないようにしていた。そして、フォースは自分のところから出たかと思えば、その場で丸くなって饅頭のようになってしまった。
「……すーくん、何がしたいんだろう?」
「もしかしてフォース、出るの嫌になったのかな」
「丸くなってるかーくん! かーくん可愛いよ!」
「もう、るーくん! 可愛いばっかり言わないの! もっと違う話もして。解説とか!」
イブの申し出にいいよと笑顔で答えると会場をさっと観察し始めた。出てきたメンバーを見て、これからどんな風に動くのか予測を立てる。
「とりあえず、様子見ってところだろうね。俺は皆がどれだけ強いか分かんないけど、まあ、あんな可愛らしい姿だけど、かーくんが一番だよね~♪」
「真面目に言って」
「やだな、すっちー♪ 真面目に言ってるよ? 現段階でかーくんが一番なの。パッと見だけどね。皆から闘争心を感じないからさ。あとは、かーくんはピカちゃんに何か言われてああしてるんだと思うよ?」
これはピカの性格から考えたものだった。こういう場でのピカはいくつもの作戦を頭の中で組み立て、それを実行する。体が先に動くタイプ、というよりは物事を考えながら動くタイプである。嫌々やらされているが、やるからにはそれなりの策をいくつか持っているはずだ。
「それでは、場も整ったようなので、始めていきたいと思います! 一回戦、バトルロイヤル、開始です!」
そんなことを考えていると、リムの口から一回戦を始める合図が送られた。これですぐに場が動くかと思いきや、誰も一歩も動くことをしない。下手に動くと足を掬われると思ったのか、あるいは半分は戦意喪失してしまっているから、残りにもエンジンがかからないのかもしれない。しんと静まったフィールドで誰が先に動くのか、もしかしたらこのまま、誰も動かないのではと考えも浮かぶほどに静かである。
「……この時間、意味あんの?」
この沈黙を破ったのは、しびれを切らしたエレキの声だった。



~あとがき~
戦うって言ったな。無理だったわ。
なんでだろうね。もう分かんないよ!!

次回、やっと戦うよ!

小説の方でなんか特に言いたいことはないです。思ったほど、参加者達のテンションは低いようです。困ったぜ……ってくらい?

さてさて、今回のチーム紹介は、アクアのチームかな? いっくどー!
アクアは言わなくてもいいですね。僕っ娘です。僕っ娘いいよね。可愛いよね。ミジュマルの女の子ですが、ある事情により男の子として振る舞っています。そんくらいかな~……
トパーズはアクアのパートナーです。今回の参加者の中で一番幼く見えるかもしれません。が、アクアと同じくらいですんで、そこまで子供でもないです。まあ、アクアの年齢なんて公開した覚えはないんだけど、イブよりは年上だけど、ピカよりは年下と言っておこう……トパーズもそんくらいです。
あと、描写はしませんでしたが、目の色が濃いオレンジ色です。名前の由来、これです。
ナイトはホノオのパートナーで救助隊を組んでいる仲です。が、ホノオをほったらかしにあちこち行くので、ホノオに怒られることは少なくないです。怒られてもけろっとしていることも多いんだけども、今回は恐怖を感じているようです。ホノオが激おこぷんぷん丸だからかな? ただじゃすまねぇわって思ってるみたいです。
こちらも詳しい描写はしていませんが、クセっ毛ピョコピョコしてます。本人は直す気ないです。

残り二チームの紹介もしますよ! 気長に待っててね!

ではでは!

お知らせ

どもども! 9月ですね~……もう9月か。
学校が始まった人も、私のようにまだ夏休みだよやっふいという人もまだまだ暑いと思うので、体調にはお気をつけて。

そして、まだ夏休みなんだけれども、明日から友人の家にお泊まり会と洒落こむことになったので、遊んできますね。……つまるところ、どういうことか分かるね?

そう、更新停まります\(^p^)/ワー

いやでも、帰ってくる日だけは一つ何か小説を予約投稿しておきます! が、明日明後日ないです。はい。してもいいんだけど、ほら、ちょっとは休むことも覚えたのよ、私。偉いでしょ((
ピカ「休み前まで投稿サボりした人がなんか言ってるよぉwww」
フォース「休み前は書くことを等閑にしていた人がなんかほざいてる」
イブ「休み前はブログアクセスすることをよく忘れていた人が何か言ってますよ」
ポチャ、チコ
「ワーサンニントモオイカリダー……( ̄▽ ̄;)」
んにゃあ!!!(´;д;`)
私だって書きたいやい!! けどな、けどな、フィルタリングが更新されたのか知らんけども、ブログ編集ページまでアクセス出来んようになっとるねん!! 今までは外でも編集できてたのに!! 書けないの! せっかくの電車の書けるような空き時間あっても書けないの。開けないのぉぉ!!
ピカ「そうじゃないよね? 今はその話はしていないよ。過去や未来の話じゃなくて、現在の話をしているんだからな。いい? 整理するとな、今は家でぐーたら生活。そのため、小説も何本かストックしてある。それなのに投稿しない。……ここから導かれるのは、環境の話じゃないでしょ?」
………………(;ω;`*)
フォース「言い訳なら聞いてやらんこともない」
ポチャ「聞いたあとでピカとフォースがどんな行動をとるかも容易に想像できるぼくが怖い」
チコ「ワタシもですから、お互い様ですよ」
ス、ストック使いたくないとかそんなんじゃないんですぅぅぅ!! 夏休み明けてもちょっとは投稿できるように置いときたくてぇぇ!! だならぁぁ! だがらぁぁ!!( ;∀;)
ピカ「よし、よく言った。誉めて使わす」
ポチャ「先生、お姫様が何か言ってます」
フォース「姫様は作者の本音を引っ張り出したかったんだよ。分かったかい、ポチャ君」
ポチャ「はーい。先生」
チコ「ポチャさん!? お願いですからツッコミ諦めないでください……!」
イブ「まあ、私達がここで言っても明日明後日は投稿されないんだけどね?」
チコ「え、じゃあなにこの茶番劇?(´・ω・`; )」
ピカ「やりたかっただけ☆」
フォース「ここでのノリと勢いって大切だよな」
イブ「今まで更新されなかった腹いせだよ?」
ポチャ「ノッた方が楽だと感じた」
せっかくだからこんな会話も久しぶりにしたかったんだよ! なんか久しぶりでしょ??
チコ「作者さんまでグルだったのか……( ̄ロ ̄lll)」

ってことで、ちょっと投稿されませんが、すぐ戻ってきますので。(多分)二日間の我慢だから! 今まで夏休み中にバンバン投稿してた小説でも読み返すいい機会だと思って! ね!

関係ないんだけど、約束のプロット……話の構成を組み直してメモ程度に流れ書いてたら、悲しくなってきた。私、自分の子を不幸にしすぎだ。
見る人によっては空と海よりも酷いかもしれない。ラストがっていうか、全体的にね。エンディングもそうだけど。エンディングに向かうまでの過程がね。空と海よりもヤバそう(笑)
皆、幸せだね。ハッピーエンドと言える話なのかは謎。お話作り難しい(´・ω・`)

ではでは!

キャラプロフ 鈴流編

やあ、どうも。こんな感じでキャラプロフを書くのも久しぶりですね……! 二、三年? ぶりかな?
簡単なのは一年前に書いたのありますけど。
リクエストもらって、詳しく知りたいんだけど、ということで、限定! 特別だよ! 鈴流ちゃん復活!
鈴流「ほぁ~?」
よろしくね、鈴流ちゃん!
鈴流「えっと、なんだか久しぶりだから、何話していいかわかんないけど……よろしくね!」


鈴流
種族:ピカチュウ
性別:♀
年齢:享年18~20歳
性格:明るく前向き。行動力高め。
メモ:とても明るくポジティブ思考。自分に何か悪いことがあっても、この先いいことあるもんと考えて超前向きである。また、これと決めたら心が折れるまで突き通し、行動することが出来る。
   生まれて間もない頃から赤の継承者としての力が見え隠れしていたようで、制御者が来る前から群れから孤立していた。それでも鈴流自身は話し合えるだろうと楽観的に考えていたものの、結果的に信用を得るまでに至らなかった。
   そもそも、バトルは好まず、また誰かが傷付くところも見たくない。まして誰かが誰かを殺すようなところも見たくはないし、させたくないと思っていたため、当時の制御者であったフォースに他人の命は取るなと命令済み。ちなみに彼は今でもその言いつけを守っている。(イブの教育にも悪いからだと思われる)
   初めてフォースと会ったときは口喧嘩から始まり、そこからとことん喧嘩をし、すこぶる仲が悪かった。しかし、自分のためにフォースが戦い、傷付いていることを知ってからは心を許すようになる。そして、自分がフォースを支えるにはどうしたらいいのかを考え始めた。その結果が互いに愛し合うことに繋がるのだが。
   群れの人々と完全に対立し、初めは逃げようとしていたのだが、最終的に自ら捕まる道を選んだ。そこでフォースとも分れてしまい、二度と生きて会うことは出来なかった。制御者の主である、ファウスの手により、魂だけの状態になりながらもこの世(といっても、別空間)に留まる。ファウスに利用されていることを知っていたが、もう一度フォースに会えるならばと、ずっと会える日を待っていた。その約束はピカや周りに助けられながら、果たすことが出来た。現世に留まる理由、未練はフォースにもう一度会い、話すことであったが、話をしていくうちにもっと深い関係になりたいと思ってしまう。しかしその願いも、フォースが叶えてくれたため、成仏することが出来た。
   フォースとは主従関係であった前に鈴流が生前から好きだと猛アタックの末に誕生したカップルの関係であり、一瞬ではあったものの、夫婦関係まで登り詰めた(?)ある意味、肉食系女子。結構グイグイいくタイプだが、フォースに押されまくるのも悪くないと思っている。
   赤の継承者だったが、生前、操ることを取得することは叶わなかった。本人的には全く気にしていない。



ふう……なんだかごちゃごちゃしてしまったわ。
分かりにくかったらごめんなさいね! そして、謎の部分があったら指摘してください。追加なりしておくので!
ってことで、鈴流ちゃんのプロフなんだけど……あれだね? 書いといていうのもあれなんだけど、一番不幸な目に遭ってるよね?
鈴流「そうかな? 普通じゃない??」
普通ではないかな……? そういえば、鈴流ちゃんの家族の話書いてないな。
鈴流「いいよいいよ~♪ 親の顔知らないし♪ いなかったんだよ。きっと!( ・`ω・´)」
やだぁ……そんな明るく言うことじゃなーい……
鈴流「私はフォースがいれば充分だもん♪」
無理な話なんだけど、フォースともっといれたらいたい? 家族として。夫婦としてさ。
鈴流「当たり前だよ! もっといろんなことしたかった。えーっと……ほら、私、奥さんみたいなことしたかったよ!! おかえりなさい、あなたっとか言いたかったよぉ!」
な、なんか……すまんな……お前らを幸せに出来んですまんなぁ……(;ω;`*)
鈴流「そだよぉぉ! ほんとだよぉぉ……(´;д;`)
…………ま、次があるよね、きっと~♪ 来世期待してるっ」
あぁ……っ! 切り替え早い……!

鈴流「こうやって書いてもらってなんだけど、もう本編で出る予定ないんだよね。別に番外編を作っているわけでもないし……」
せやなぁ……出ないなぁ……
でも、あれなんだよ。堂々と恋人としてかけるのフォースと鈴流だからさ。ラブラブしててもおかしくないのって、お前らだけなんだよね。
鈴流「ピカちゃん達もいるよ?」
あいつらはなぁ……恋人ってよりも、友達、親友、パートナーとしての期間が長すぎてラブラブ出来へんねん。書けないねん……素直にならないピカに前に出てこないポチャって話進まないから、小説を書く身としては相性悪いんだよ。
それに引き換え、フォースと鈴流はグイグイしてくれるから、楽。どっちか強気に出れば受けるか反発してくれるからな……!
鈴流「ほめられてるの? ありがと~♪」
そして、照れないのも進めやすいよな……仮に照れてもすぐに元に戻るから……
ってなんの話やねん!?
鈴流「えぇ? 私とフォースがいかにお似合いのカップルかって話だよ?」
あ、そう……そうだったかな?

ではでは、ちょっと長くなりましたのでこの辺で!
鈴流「えへへ……もう会うことはないかもだけど、私のこと、覚えてくれると嬉しいなぁ♪」
番外編とかね。過去編とかね書けたらね……いいんだけどね……今は難しいかな。
鈴流「いいんだよ、作者さん♪ 今は他の作品、頑張ってね!」
あ、ありがとう……! ええ子やなぁ…
鈴流「それじゃあ、ここまで読んでくださって、本当にお疲れ様でした」
あ、あれ!?
あ、あの、鈴流ちゃん!? 勝手に終わるの!?
鈴流「お約束だからってピカちゃん達に言われてきたから♪」
あ、あぁぁぁ!? ピカ、なんちゅうこと鈴流ちゃんに教えとんねん!!
鈴流「えへへ~♪ では、閲覧ありがとうございました! また会える日を楽しみにしていますね」
にゃあぁぁぁ!!Σ( ̄ロ ̄lll)

はじまりのソラ 6ー7

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊を元にしておりますので、原作のイメージが崩れる恐れがあります。というか、崩れるので、苦手な方はブラウザバックね!
ピカ「なかなか長いね……」
ポチャ「一話、オリジナル半分挟んだからかな?」
ピカ「あと変にクサイハナさんとバトルしたのがよくなかった」
いいやん! やりたいやろ、そういうの!!


~6‐7 やってきたあいつらと失敗~


「……ピカ、しっかりして!」
あ、頭痛い……ガンガン言ってる。私の頭の中でなんか改造されているよ……
「変なこと言ってないで、起きて!」
あ、はい……
ポチャの呼ぶ声でふらりと体を起こし、辺りを見回す。場所は変わらず、『リンゴのもり』の奥地のようだ。
「……う、うぅん」
そして、取り残されたと思われる、スバットがそこにいた。確かに、ズバットだけあのとき何もしていなかったし、私達と同じように臭いにやられて逃げ遅れたんだろう。馬鹿な奴だ。
「はっ! わわっ!? 逃げ遅れた!」
「……おい待て、ズバット。そう簡単に逃がさねぇぞ! “十万ボルト”!!」
「へっ!? え、あ……ぎゃあぁぁぁ!!」
とりあえず、腹いせに取り残されたズバットに“十万ボルト”を繰り出して、吹っ飛ばしておいた。簡単にトンズラなんてさせないわよ。全く。
「……流石、ピカ。ただでは倒されないね」
「ふん。それにしても、お互いやられたね」
「うん。まだ臭いが残ってる……」
それに毒ガスのせいで不調だよ。くっそ、やられた。それに、周りを見て分かった。
セカイイチ、なくなってるし、あいつらが持っていったのか」
「え? うわ! 本当だ。どうしよう?」
どうしようもないものはないしなぁ……確認だけでもしておくか。無駄になりそうではあるけれど。
「あるとは思えないけど、木に登ってあるか確かめてみようか?」
「う、うん……一応、お願い」
駄目元でセカイイチの木に登って探してみるものの、セカイイチを残すようなそんなマヌケなことがあるばすもない。結果から言えば、セカイイチはなくなっていた。
あぁ……ないし、頭痛いし、踏んだり蹴ったりだ。何なの。私、なんかしたか? そんな覚えないし。何もしてないよ……もういいわ。降りよ。
するするっと木から降りて、ポチャに向かって首を振った。ポチャもそこまで期待していなかったようで、そっか、と呟いただけだった。
「……まあ、ないなら仕方ないよね。ギルドに戻ろっか。何て言われるのか怖いけど……ね」
そこなんだよな。ペラップは大切な仕事だって念を押してきたし、やってはいけない失敗をしてしまった気がしてきた。それを考えるだけで、頭痛の種に成りうるものである。

バッジを使って一瞬の内にギルドへと戻ってきた。本当なら現実逃避のようにぎりぎりまで逃げていてもよかったのだけれど、そんなことをしても結果は変わらない。それなら、潔く訳を話して分かってもらうしかない。……聞いてくれるかは五分五分だが。まあ、私達も新人だし、失敗することもある……なんて、これも言い訳か。
「ん、おかえり。二人とも」
「あ……ペラップ。た、ただいま」
なんでよりにもよって入ってきてすぐ会うのがお前なんだよ。空気読めよ。いや、ある意味読んでるけども!
「ご苦労だったな♪」
「あ~……ペラップ? 実はね…」
ポチャが私の方をちらりと見て、今まであったことを話した。あったことを話した、というよりは、セカイイチを持ってこれなかったということを言っただけだ。しかし、この説明の仕方は……間違ってはいない。むしろ正しいんだが、これではまるで私達に非があるように聞こえる。いやもう、それにしか聞こえない。
「え……えぇぇ!? 失敗しちゃったの!?」
案の定、ペラップは私の思った通りに解釈したようだ。そして、ばさばさと左右行ったり来たりを繰り返した。それを見て、本当にやってはいけないことをしたのだと確信した。私達だけのせいではないけれど。
「どうしよう!? わわわっ! どうしようどうしよう!! え、本当に失敗したの!? どーしよう!!」
このテンパりよう……かなりまずい。うん、まずいよね。
「仕方なかったんだよ。スカタンク達が…」
「おだまり! 言い訳は聞きたくないよ!」
ポチャが弁明しようとするも、無情にもペラップは遮った。言い訳くらい聞いてくれたっていいものを。
「……仕方がない。とりあえず、今日、お前達は夕飯抜きだ!」
んげぇ!? 待て待て待て!! 私達のせいじゃないんだけど!? 邪魔されたから出来なかっただけなのに!?
「大切な仕事が出来なかったんだ。こんなんで済まされるなら安いくらいだよ!」
安くねぇよ! 一日に一回しかない安定した食事の機会をお前はなんて理由で抜きにしてくれとるんだ!?
……とまあ、こんなことを口したらどんなことを追加で罰せられるのか分かったもんじゃない。頭では私達が失敗したことは事実だと分かっているのだ。その事もあるし、立場も悪いから、ここは我慢するけれど。言わないけれど、言わないけどぉぉ!!
「話くらい聞けよ、この…」
「!? ピカ、駄目!」
音符鳥め、とぼそっと悪態でもついてやろうと開いた口をポチャに塞がれ、ついでと言わんばかりに体も押さえつけられた。客観的に言えば、ナイスプレー。主観的に言えば、邪魔するな、である。
「フンッ! 泣きたいのはこっちだよ。今回のことを親方に報告するのはワタシなんだからね……」
こっちだって泣きてぇわ!! スカタンクのせいでこんな屈辱を味わうなんて……! スカタンク達も嫌いだけど、話を聞かないお前も嫌いだかんな!!
「このことを聞いた親方様は……親方様はきっと……うわあぁぁぁぁ!!」
うるせぇ! 叫びたいのはこっちだよぉ!!
「もう、ピカ! だから駄目だって!!」
ポチャに体を押さえられている以上、もうどうしようもない。ビビりでなよなよしているポチャも男の子。力で敵うはずもなく、私はばたばたするしかない。が、それでもばたばたと悪あがきをやめない。
「親方様には夕飯のあとに報告しに行く。お前達も一緒についてこい。親方様のアレを食らうのがワタシだけというのは、不公平だからな」
そもそも新人に何を期待してるんだよっ!! 新人のミスは上のミスだろ……いや、何言ってるんだ、私。駄目だ。もう、疲れてきた……
「お前達も必ず来るように! いいなっ!」
ビシッと命令され、何も言えなくなる。いや、最初から何も言ってはいない。心の中で、頭の中で言い返してはいたけれど、口には出していない。そこは誉められるところだと思う。偉い、私。まあ、ポチャに止められていたというのもあるかもそれないけれど。
ここでじっとしていても仕方がないので、私達は自分達の部屋へと戻ることにしたのだった。



~あとがき~
踏んだり蹴ったりの二人ですね。

次回、親方様のアレとは……?
ピカ達は生きて帰ってこれるのか!!

ピカ、めちゃくちゃに荒れまくっています。心がね! そりゃ、仕事ですから、失敗したら自己責任なのかもしれませんけれど、理由くらい聞けよ馬鹿って感じなのかな。あと、ちょこちょこ書いてますが、毒ガススペシャルコンボのせいなのか、体調を害してます。彼女。ほんと、踏んだり蹴ったりですわ。
荒れまくりの彼女を止めていられるポチャだけど、彼も内心どう思っているのだろうか。ピカみたいにペラップコラ、ペラップ。とはきっとなってません。自分の不甲斐なさくらいは責めているかもですね。

ではでは。

はじまりのソラ 6ー6

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊を元にしています。原作のイメージが崩れるため、そういうのが苦手な人、嫌な人は見ないことをおすすめするよ!
ピカ「最近、オリジナルをぶっこむ作者から一言どぞー」
創作楽しいです。バトル描写能力ほしいです。
文章能力もっとほしいです(泣)
ピカ「一言とは」
ポチャ「三行だったね」
ピカ「せやな……」


~6‐6 やってきたあいつらと失敗~


相変わらず、敵ポケモン(草タイプ)にびくびくしながら進むポチャとそれを利用して時々悪戯をしかける私は色々あったものの、無事に目的地へと辿り着いた。『リンゴのもり』の奥地に行くと、一際大きな木が目についた。ぺラップの話通りならあの木に生っているのがセカイイチだろうか。
「あ、あれじゃない? 行ってみよ!」
私の悪戯に律儀に付き合ってくれた……否、付き合わされたポチャだったが、体力だけはあるようでまだまだ元気だ。とは言っても、ダンジョン突入前と今では元気度は変わってくるけれども。
近くまで寄ってみると、より大きさが伝わってくる。普通の木の何倍あるのかも見当がつかない。実っている数は見たところ少ないが、そこは自然の物であり操作出来るものではないということだ。
「きっとここにあるのがセカイイチだよね。……さて、あれをどうやって取ろうか?」
「クククッ……そんなの簡単じゃねぇか」
「!? だ、誰だ!?」
ポチャの疑問に姿の見えない誰かが答える。そしてこの声の主を私は知っているはずだ。ここ数日間、生活を共にしているではないか。
がさがさっとセカイイチの木の上から顔を出したのは、ドクローズの三人だった。私はとっさにポチャの首根っこを掴み、そのまま後ろに数歩下がるのと同時に、私達の目の前に降りてきた。ぶつかったらどうするつもりなのか。それとも、初めから狙っていたのか。そもそもなぜ、ここにいるのか。しかし、理由がなんにせよ、こいつらと馴れ合うつもりはない。
「お前ら、遅かったな?」
スバットがにやりと笑う。それに続いてドガースも笑いながら入ってきた。
「ずっとセカイイチを食べながら、お前らのことを待っていたんだぜ?」
あぁ。どうして、気が付かなかったんだろう。きっと、ここに来るという話をこいつらは聞いていたのだ。ギルドにいるときは弟子達の目、親方の目があるためか、全くと言っていいほど関わりはなかった。スカタンクとしては、ちょっかいを出せない状況だったのだ。そこにこの仕事の話だ。しかも、話を聞いていたのなら、これが重要な仕事だということも知られている。……絶好の機会だ。今更だが、迂闊だった。もっと警戒すべきだったのに……! ここ数日、何もしてこないから油断していた。
「ケッ……食い過ぎて腹一杯だぜ」
だったら、そんなになるまで食うなよ。馬鹿が。
こいつらが食べたせいでセカイイチが少ないのか。理解したくなかったけれど、理解した。
「こいつらセカイイチ食べたって言っているけど、木にはまだ残ってる」
ポチャの言う通りだ。少ないけれど、セカイイチらしきリンゴがいくつかある。それなら、この場でやることは一つだ。
「ピカ。……こいつらを倒して、セカイイチを持って帰ろう」
どうやら、ポチャも私と同じ考えのようだ。私はポチャの言葉にうなずくと戦闘体勢に入る。しかし、そんな警戒心剥き出しの私達を見て、スカタンクから飛び出したのは、私の予想の上を行くものだった。
「倒す? 失礼な奴らだな。オレ様はお前達の仕事を手伝ってやろうと考えていたんだぞ?」
「……えっ!?」
「さっき、どうやってセカイイチを採ろうかと言っていただろう? そんなの簡単だ」
さっきも同じようなことを言っていたな。しかし、私達に協力なんて。
スカタンクは私達に背を向けると、目の前にあるセカイイチの木に何度か思いきり体当たりをした。スカタンクくらいのポケモンならそれなりの威力はあるだろうか。木はがさがさっと揺れると、残っていたセカイイチが落ちてきた。スカタンクは再びこちらに振り向くとにやりと笑った。
「ほら、簡単だろう? さあ、落ちているセカイイチを拾ってギルドに持って帰るといい」
私はともかく、お人好しのポチャですら、動こうとしない。こいつらのことだから、何か企んでいるに決まっている。
「どうした? 拾わないのか?」
スカタンクだけが不思議そうに私達を見てくる。それすらも、怪しく見えてきてくるのだから、ますます動く必要性を感じない。
「絶対、何か企んでる。騙されないからね、ぼく」
ポチャのこの一言に三人は驚いたようだ。その反応を見るに、やはり何か良からぬことを考えていたのだろう。
「こいつら、騙されないぜ?」
「ケッ……つまんねぇなぁ?」
「クククッ……引っ掛からなかったのは残念だったが、それでお前らはどうすると言うんだ?」
「さっきも言っただろう? お前達を倒して、セカイイチをギルドに持って帰るんだ!」
先程のダンジョン内でのビビりはどこに行ったのやら。ポチャは強気にスカタンクに言い返した。宣戦布告のようなそれを聞いたスカタンクは、少しだけ感心したような素振りを見せた。
「ほお。今回は随分威勢がいいな? 初めて会ったときはあんなにビビっていたというのに」
「た、確かにあのときは怯んだし、今も怖くないって言ったら嘘になるけど……けど、今回は絶対に負けるもんか」
「……よかろう。その勇気に免じて、オレ様達も本気で相手をしてやろう」
それはいいことなのか微妙だ。本気で来てもらっても勝てる気はしないのだが。
三人横に並んでいたドクローズだったが、ズバットが一歩後ろに下がり、スカタンクドガースが私達の前に立ちはだかった。あ、何かしてくるやつだ、これ。
「何か仕掛けてくる……? ピカ、気をつけて」
「クククッ……はたして、お前達にこの攻撃が耐えられるかな? オレ様とドガースの“毒ガススペシャルコンボ”を!」
は、毒ガス? 待て、これって……
私が考えに達するよりも相手の方が早かった。スカタンクドガースが同時に臭いの攻撃をしてきたのだった。避けるのも防ぐのも間に合わず、私とポチャはその場に倒れてしまう。ポチャにとってはこれが初めて、私にとっては二回目の臭いの洗礼である。一度ならず二度までも受けることになるなんて思いもしなかった。
一回目と違うのは恐らくこれが毒ガスであることだろうか。頭が痛いし、視界もぐらぐらしている。駄目なやつだと思う前に私の意識が飛んでしまった。



~あとがき~
せっかく辿り着いたのに、この仕打ち。ピカもポチャも報われませんね。ドンマイとしかいえないぜ。

次回、ドクローズに邪魔された二人の運命やいかに!?

ほんと、ここのシナリオは主人公とパートナーは踏んだり蹴ったりだなって思います。その理由についてはこのあとわかると思うので、何も言いませんけど。あと、主人公にいたっては、二回目の臭い攻撃を受けてます。もう、本当に可哀想だわ……

ではでは!