satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

幼き騎士は何思う?

~前回までのあらすじ~
いきなり人が死んだ……だと。(姿も名前も見せてないけど)
ヴァルツ「間違ってはない」
もえぎ「ふえぇ」
十五にしては落ち着きすぎじゃない!? ヴァルツ、もっと子供っぽく生きてもいいんだよ?
もえぎ「……ヴァルさん、そんな時代があった……のですか?」
ヴァルツ「あると思うか?」
もえぎ「……いえ」
ヴァルツ「じゃあ、そういうこと」
はあぁ……ヴァルツの子供時代は見た目だけか……
では、始めていきましょう!


町に到着すると、昼間のもあってか人通りは少なくない。そこそこ栄えている町なので、住民も多い。
「案外変わらないものだな」
『記憶通りって訳?』
「まあな」
トリスの言葉に適当に返しつつ、町の中を歩く。俺の家は住民に知れ渡っているようで、町の噂で家のことを時折、耳にした。主に父が死んだ話なのだが。住民は俺のことには気が付かない。まあ、ここに住んでいたのも九年前。記憶が薄れても不思議ではない。俺自身、周りとは関わりもなかったし、問題はなかった。
「……あれか」
『ははっ♪ めっちゃ人いるな~』
『皆様、お父様に別れの挨拶をしているようですね。……好かれていた、のでしょうか?』
「形式だろう。親しくなくとも、こういったものには参加するのが普通なんじゃないか」
『ふうん。人の普通って面倒だねぇ』
「同感だ」
人の出入りが激しく、その流れに乗るのも億劫である。少し待てば流れは止まるだろうから、それまで近くに待機しておこう。……なぜ、自分の家に入るだけなのにここまで遠慮しているのかも謎である。
「とことん他人行儀だ」
『家に思い入れもないから仕方なくない?』
「まあ……そうか」
自分の家に背を向けて、適当に歩く。近くに公園があっただろうし、その辺に座って待っていよう。
公園にはものの数分でついた。遊具があり、ベンチがあり、ちょっとしたピクニック的なものも楽しめるのだろう。実際のところ、楽しんだ経験はないが。
そして、好都合なことに誰もいない。この時間帯は遊んでいそうなものだが、子供は学校にでも行っているのかもしれない。
「出てこい、マリー」
「はい。愛し子よ」
「話し相手になれ。暇だからな」
「ふふっ♪ 喜んでお相手しましょう♪」
マリーを呼んでおかないと、一人で座って独り言を話す変質者になりかねない。道を歩いているときはなるべく小声で話していた。周りの人は大して気にも止めないからそれでいいが、こういった場所で一人なのは目につく。
適当にベンチに座り、隣にマリーを座らせる。マリーは座る前に、一礼をする。礼儀というものを徹底しているからこその行動だ。
「どのくらい、ここにいるおつもりですか?」
「この町の滞在期間の話か? まあ、葬儀が終わればさっさと出て行くつもり」
『葬儀って一週間もあれば終わるんじゃない? ヴァルツの家は火葬? 土葬? その他?』
「火葬。燃やされて煙が天に上がれば、神の下へと運ばれるから、だそうだ」
『ほーん? 神様とか信じてるの』
「家系で言えば、神霊を見ている者が多いから。俺はそう言った話は信じていないから、どっちでも構わないが。死んだ後なんて死者には関係のない話だな」
『まあ、そうだろうね? 死んだらそこで終わり。後始末みたいなもんだ』
「兄様、そのような不謹慎なことを……」
「構わん。俺も死んだ後のことなんて、後片付けだと思う方だ。……土葬で自然に還った方が有意義な使い方かもな」
『ふふん♪ そういうところは気が合うな』
「嬉しくはない」
「お二人とも、野蛮な考えをお持ちなのですね」
マリーからしてみれば、そうなのかもしれない。人の考えなんてそれぞれだし、強制するつもりもない。まあ、マリーは人ではないのだが。
「あら。何やら人が近付いてくるようです。大人ではなく、複数の子供ですが」
「ほう……公園だしな。不思議はない」
「……あら、そうでした。いつもの癖で、つい。申し訳ありませんわ」
探知能力のあるマリーがくすくす笑う。いつもなら、誰が来たか調べさせるが、こんなところで事件なんてものは起きないし、面倒なこともないだろう。
「あう」
「転んだぞ! どんくさいなー!」
……前言撤回した方がよさそうだ。
躓いて転んだのは、イーブイの少女。ところどころ汚れているようで、毛並みが乱れている。対して複数の子供が責め立てているようだ。種族に統一性はなく、単純に同級生とか近所の友人とか、そんなところか。
「俗に言う、いじめと言うやつか」
「あらあら。人の子はなんと愚かな行為を」
『弱いものはやられるし、強いものが勝つ。それが自然の摂理だ。気にすることはないね』
「愛し子よ、どうするのですか?」
「……いじめなのかも決定打がないからな。見ず知らずの奴が突っ込むのも変な話だ。観察する」
「はい。愛し子よ」
『え、いじめって分かったら突っ込むの? ヴァルツらしくないんだけど』
トリスの言葉は無視し、さりげなく子供達の動向を観察する。歳は俺より下だ。十歳にも満たない可能性すらある。
「俺の姿は見えているのか、あいつらは」
「ふふ。さぞかし楽しんでいらっしゃるのですね。その場合、人の子の目は節穴になりますのね」
マリーは特別優しいわけではない。俺のことを気に入ったから優しいだけで、基本的には周りに厳しいところがある。トリスとはまた違う厳しさと言うべきだろうか。……神器に住む奴の思考なんて考えるだけ無駄かもしれないが。
『僕、あの子供にちょっかいだしたぁい♪』
「ろくなことにならないな。この場にいなくて正解だ」
『つまんないの~』
「こうして話しているのに、本当に見えていないみたいです。……視野が狭いのですね」
「そうだな」
うずくまっているイーブイの少女を大人気なく囲って……いや、子供だから大人気なくはおかしいかもしれない。とりあえず、少女が逃げられないように壁となり、心もない言葉を浴びせているようだ。悪口と言うにはあまりにも幼稚で、俺なら聞き流すようなものである。しかし、それは俺の場合であって、少女はそうはいかないらしい。目には涙が溜まり、我慢出来ずに頬を伝う。
「女の子を泣かしました。女の敵ですね」
「あれだけで敵になるのなら、世の中は敵だらけだ。大変だな」
「うふふ♪ そうですわね」
『んで、お優しいヴァルツさんはどうするの?』
「……割って入る」
『ほーんとヴァルツらしくなぁい♪』
トリスはそんなことを言うが、別にこういうことが初めてではない。そんなことはトリス自身が知っているはずだ。俺の動向をチェックしているのは、あいつなのだから。
まあ、普段はいじめを止めさせるなんてことはしないのだが、見てしまったものは仕方がないというものだ。
「マリーはここで待機していろ」
「かしこまりました。必要とあらば、名をお呼びくださいな」
笑顔でとんでもないこと言うマリーに返答はせずに、ベンチから立ち上がっていじめの集団へと近付く。
「その辺でやめておけ、それがお前達のためだ」



~あとがき~
ヴァルツめ……冷めきってやがる!
前回の予告とは全く違うことをしてるんだよなぁ。家帰れよ……!

次回、いじめっ子らにヴァルツはどうするのか!
ってか、大人しく父親の葬儀に出ろよ!! お前!

特に言うことはない。
葬儀方法に関してはいろんな考えがあると思います。ピカ達のいる大陸とヴァルツのいる大陸は違うので、そこの考え方の違いもあると思います。ちなみに、ピカのところはこれといった決まりはないです。ポチャは住んでいたところが海だったので、考えとしては埋めるものだと思ってますね。反対にチルちゃんのとこは燃やします。で、灰を空にばら蒔くやつです。はい。
ヴァルツに拘りはないと思います。家は燃やしてるけど、俺のは勝手にしろって思ってます。はい。
いや、十五でそんなこと。考えるのも変だけどね!?

ではでは!

空と海 第184話

~前回までのあらすじ~
ポチャが離脱して、フォースがピカ(偽者)と戦うことに。そして、偽者の正体はスラでした! 懐かしいね。覚えている人いないのでは……?
フォース「どんだけ出てないんだ?」
わからん。……春祭り前……なんだけどね?
フォース「こっち側としては、三、四ヶ月前くらいの感覚なんだが」
じゃあ、こっちは年単位ですね……
フォース「……」
では、始めますかね!
あ、ここら辺から描写注意かもです……別に血がぶっしゃー的なのはないけれど。(これは)
フォース「……これは、ねぇ?」


うようよと沸いて出てくる敵を片っ端から切り刻んでいた。プクリンからの武器使用が認められたために、容赦なく殺っているのだ。太陽は無心で殺っているのだが、時間が経つと復活してしまう。
ぐぬぬ。原理が分からない!……あ~さ~ぎぃ……たしゅけてぇ~」
「分かってるわよ。けど、私もさっぱりなの。百の内、二、三体は起き上がらないのだけれど」
「その起きないやつの共通点は?」
暴れまくる太陽の肩から落ちないように浅葱はバランスを取りつつ、全体を観察し続けていた。時折、太陽から離れて敵を倒しに行くのだが、基本的な定位置は太陽の傍であった。そこが安全地帯だし、敵の観察もしやすいのである。
「ないわ。強いて言うなら、貴方が殺しまくった中から出ているってところだけれど、確率的にそれは当然だから、共通点ではない」
「んう~……ま、いいけどね? 俺は殺りまくって満足出来るし、敵もおこぼれで倒せるし? 一石二鳥! でも、俺の体力も無限じゃない」
「底無しの体力馬鹿が何を言うのかしら。現に暴れまくって、私と話しているのに、息一つ乱れない」
呆れつつも、関心はしていた。ここまで何一つ苦だと思っていないその能天気な太陽に、である。しかし、今も昔もそれは変わらない。今更な話であった。
「まあ、いいわ。貴方が壊れるまで殺り続けなさい」
「OK♪ そうなる前に解決策の見出だして」
「ええ。私の愛しくも狂おしいナイト様のためだもの。いつも通りにいくわ」
「ふふーん♪ いいねぇ~♪ 楽しいねっ!」
太陽の闘志に火を着けたようだ。浅葱は横目でそれを確認すると、じっと前を見つめる。
見て分かることと言えば、種族を特定出来るような容姿をしていない。動く度、復活をする度に姿形を変えていく。一言で言うなれば、目の前にいるそれらは化け物なのだ。だから、攻撃は意味をなさないし、倒せない。が、その中でも倒れて動かなくなったものは数える程しかいないとはいえ、存在していた。それはなぜなのか。
「……敵にも弱点があるのかも」
「じゃくてーん? どこに?」
「さあ? 調べてみる?」
「……あーいよっ! まずはどこから? 定番中の定番! 頭潰してみる?」
「それを言うなら、体と首を切り離す方が楽」
「そお? んじゃ、そーしてみますかねぇっと!」
刃物と見間違えるほどの輝きを放つ爪を使って、目の前の敵を浅葱の言う通りに切り離す。それは呆気なく、二つに分かれて地面に転がった。続けて、近くにいた敵も同じようにする。
それを何十体も続けた後、一度、その場から飛び退く。戦況を確認するためである。確認するまでもなく、大して変化は見られないのは、太陽の目からもはっきりと分かっていた。
「……変わらなさそうだね?」
「でも、一、二体、動かなくなった。……つまり」
「弱点は個々に存在するってことだ。マージか。果てないよ。負け戦だよ。浅葱、あちらに行かないように食い止めは出来る。でも、倒すのは二人じゃ圧倒的に足りない」
弱音を吐きつつも、近付いてきた敵をきちんと処理をしていく。攻撃はしてくるが、避けられないスピードではない。むしろ、トロいくらいである。が、数が数なだけに、攻撃が遅くとも消耗戦に持っていかれているのは目に見えていた。
「太陽の言う通りよ。弱点が固定なら、二人でなんとかなるけれど……今は、倒すよりも食い止めることに専念しましょう。いい?」
「浅葱がそういうなら、俺はいいよ。どこまでもついていくだけだからね」
太陽から降り、装備していた武器を構える。鞭のようにしなるその剣を振るうと、広範囲の敵を斬りつけた。
横で見ていた太陽は楽しそうに笑いつつも、そこまでするんだと驚きも混じった複雑な表情をしていた。
「えー? 浅葱、それ使うの? 俺のこともちゃっかり斬り倒さなぁい?」
「太陽と組むからこそ、これが使えるんでしょ。貴方以外の人には見せないわ」
「ウィップねぇ~……? それ、怖いんだよね。レイピアにしよ?」
「い・や・よ♪ これ、楽なんだもの」
楽と口では言うか、その武器を扱うにはかなりの時間と鍛練が必要である。刃の部分がかなり長く、敵を斬るにはそれなりのコントロールがいるのだ。
「ま。君の判断だ。俺はそれに従うけどぉ」
「そうそう。太陽は私に黙って従いなさい」
「ほーい」
「長丁場になりそうね」
「そんなの初めからだ」
「……敵の目的はなんなのかしら」
目の前の敵の攻略方法ばかり考えていたが、これを行った相手の考察はしていなかった。その場から動くことはせず、ウィップを振るい続ける。
疑似エネミーだけを産み出し続けるその先に、何があると言うのだろうか。敵に『ヴァンガル』にとっての得が存在するのだろうか。
浅葱は『ヴァンガル』にこのような技を使える者がいるのは知らなかった。情報は目まぐるしく変化するものだ。常にアンテナを張らなければ、持っている情報はただの古い知識、歴史のようなものになっていく。新しい情報を仕入れる身としては、古いものは意味のないものになる。浅葱はその重要性を知っていた。だからこそ、彼女は常にアンテナを張っていたし、自分の仕事相手のことはこれでもかと下調べする。『ヴァンガル』についても同様であった。いつか相手にするかもしれない組織のことは頭に入れていたし、把握をしていた。敵の数、ボスの特徴、全体の強さ諸々。
「私の情報が間違っていたことは一度もない。……つまり、これは……『ヴァンガル』ではない誰かの仕業?」
そう辿り着いたとしても、振り出しに戻るだけだ。なぜ、このようなことをするのか。
「はぁ……見えてこないわね。太陽!」
太陽の死角となる場所から、攻撃が来ていることを警告する。名前だけでどこから来ているのか判断した彼は、簡単に対応してしまう。
「情報を整理する時間も余裕もない。……後手に回るって損しかないわ」
「浅葱!」
「了解……っ!」
今度は太陽からの警告。素直に聞き入れ、自分の背後にウィップで攻撃をする。何体も巻き込んで倒していった。
「戦って、戦って、戦いまくって……頭を空っぽにするべきかしらね」
「浅葱も堕ちる? その快楽に」
「馬鹿にしないで。貴方と同じところには行かないって決めているの。今のは冗談よ」
「楽しいのにぃ?」
「はいはい。……太陽」
「ん?」
「いけるかしら」
「……もちろん。俺と浅葱は最強だからね♪」
根拠も何もないその言葉だけで、なんとかなるようなそんな気がしてくる。真っ直ぐに、浅葱を信頼し、ぶつかってくる太陽を鬱陶しく思うことがほとんどである。しかし、こういった絶望的な状況では、誰よりも頼もしく、信頼に値するパートナーであった。
「その言葉、嘘にしたら殺すわよ」
「うんっ♪ 任せて!」



~あとがき~
浅葱と太陽でした。口では色々言う浅葱ですが、誰よりも太陽のことを信頼してるのです。

次回、ヴァルツともえぎ行くかね。
アクアやレンのところは多分、何もないんで(笑)

太陽は武器を持ちません。己の身が武器そのものなので。対して浅葱はウィップという武器を使います。鞭のような剣なのですが。鞭ではないです。
ウルミというのが現実にあるのですが、それにちかいですね。それよりももっと柔らかいイメージではあるのですが。イメージを掴みたい方は検索することをお勧めします!
ちなみに、レイピアも使えます。これはまあ、ウィップが使えないときのサブですね。

敵について少しずつ、確信に近づく面々。
しかし、一体どうなることやら(無計画)

本編はこんなに殺伐としてますが、私はしれっと誕生日を迎えました。これからも頑張るよぉ~!

ではでは!

幼き騎士は何思う?

本編進めているうちにもえぎもヴァルツの関係やら設定やらを語っておくべきだと思ったので、番外編として書くことにしました。本編がいいところ(?)なのに申し訳ない! すぐ終わる! すぐ終わるのでお付き合いください!!(フラグ建設中)
ヴァルツ「こんな風に話さないと駄目な設定なんて押し付けるから」
もえぎ「ふぇ……」
すまねぇだ……(´・ω・`)

~人物紹介~
ヴァルツ(イーブイ・♂)
二足歩行のイーブイの少年。家の仕来たりで神器を守る役目を担う。本人は嫌々やってるが、神器に見合うだけの能力を手にするために各地を旅している。これも家の仕来たりである。

トリス(♂寄り)
ヴァルツが所持する予定の神器。今は仮契約期間らしく、扱うことはさせるつもりはない。まだ正式に主と認めていないため、ヴァルツは彼を所有していない。

マリー(♀寄り)
ヴァルツが修行中に訪れた森の中でばったりと出会ったことをきっかけについてきた。ヴァルツの所有する神器。トリスとは仲が悪い。

イーブイの少女
ヴァルツの一族が住む町にいる少女。内向的な性格からか、周りからいじめられている。
後のもえぎである。

~~

お前は神霊様を守らねばならない。そのために、神器を操れるようになる必要があるのだ。……何が言いたいか、分かるだろう。
なんて言われて、家を追い出されたのが俺が六歳の頃だ。いやいや、分かるわけないだろう。六歳なんて、一般的にまだ子供の部類だ。大体、神霊を守るんなら、神器を使うのはおかしいだろうって話になる。神霊が住む器だから神器なのに。
「理屈が変なんだよな……」
『あっはは♪ そういうところは嫌いじゃない。ヴァルツ、こんな契約破棄したっていいんだよぉ?』
心の中、あるいは頭の中に自分ではない誰かの声が響く。俺の家族……いや、一族が守ろうとする神霊様とやらの声。名前はトリス。武器の形状は細剣ではあるが、こいつの能力は武器の形を変える形状変化だ。普段の見た目なんて宛にならない。
こいつとはしっかりとした契約はしていないから、声だけを届けてくる。姿は見えないし、武器をここに出すことも出来ないが、予定では俺の物になる。あくまで、予定だけど。
「兄様、うるさいのですよ。愛し子が困っていますわ」
『うわぁ……僕の会話に入ってこないでくれない? ヴァルツは僕のモノなんだけど!?』
「愛し子は誰のモノでもありません。横暴な態度が気に触るのです。お黙りなさい」
トリスに食って掛かるのは、もう一つの神器。短剣のマリーだ。こちらはすでに俺を所有者と認めているから、イーブイの姿を見せるし、武器としても出すことが出来る。こいつは俺の一族とは何も関係はない。たまたま会って、気に入られたからついてきているだけ。俺のことを愛し子なんて呼ぶのにも慣れてしまうくらいの付き合いは出来ている。
「どっちもうるさい。黙れ」
『はあ? なんで僕まで一緒くたになってるわけぇ? 心外なんだけど。ねえ、聞いてる?』
「申し訳ありません。ですが、愛し子よ。この卑劣な神器など捨て置いてもよろしいのですよ?」
「出来ればやってるよ」
『ねぇー! ヴァルツ、どこに行くんだい。帰るの?』
「正解。家に帰るんだ」
『ふーん。帰っていいよって?』
「父が死んだらしい」
六歳で追い出されて以降、一度も顔を合わせていなかった。そのせいで、親の死というものも感じないくらいだ。これがいいのか悪いのかは分からなかった。
『なんだ。ヴァルツが所有者になる前にくたばったか。ウケる~♪ お前、今何歳? 所有者になれる年齢になったら帰れるんだったよな』
「十五。契約は十八でやる予定」
『あーあー……あと三年だったねぇ』
「兄様。面白がらないで下さいませ」
『これが笑わずにいられないだろ。現所有者が死んだとか~♪ 何。寿命?』
現所有者のことなら、分かっていてもよさそうなものだが、何も知らないように振る舞っている。まあ、普段は俺に茶々を入れているから、父親と話すこともしないのかもしれない。こうしてみると、父のことは気に入っていなかったのだと思う。きっと、死んだのもトリスが一枚噛んでいるはずだ。神器を所有するということは、そういうものなのだから。
「詳しいことは聞いてないから、知らないぞ。興味もないから、どうでもいい。……ところで、トリス」
『なぁにぃ?』
「父が死んで、お前は今、どこにいる?」
さっき、トリスが言っていたが、今の所有者は父親だった。それならば、トリスの神器も父親が所有していたことになる。しかし、その人が死んだ今、神器はどこへ行くのか気になった。
『あるべきところへ帰るだけだよ。神器はね、初めにいたところに戻るんだ。所有者がいつ死ぬか分からないからさ』
「神器は認めた相手にしか触れられないようになっています。お父様以外に兄様が許した相手がいれば、その場に留まることも可能でしょう……しかし、兄様がそのようなお優しい心を持っているとは思えませんわ」
「そうだろうな」
『はあ? 僕が優しいからお前の旅に同行しているんだろ?』
「元はと言えば、お前のせいでこうなっているんだが。自覚しているのか?」
『それはお前達が勝手に僕を崇めたんだろう? 僕のせいじゃない。くっだらない仕来たりに組み込まれた僕の身にもなりなよ』
それは一理あった。意思を持つ武器だとしても、扱うのは人の子。トリスはあくまでも武器でしか存在出来ないんだ。そんなトリスを勝手に持ち上げたのは俺の先祖なんだろう。
「じゃあ、俺の代で潰すか。幸いにも兄弟はいないから、出来る相手もいないだろ」
『そうね。見込みのあるのは親戚含めてヴァルツだけだった。……でも、潰すってことは一生独身? あは。いいねぇ~♪』
「いけません。愛し子は愛し子の人生を歩むべきなのですっ」
『あのさぁ……面白いことになりそうなんだから、黙ってろよ』
「あなたの方こそお黙りなさい。過去の兄様が承諾したから、今の体制が出来上がったのでしょう? 自業自得です。本当の被害者は愛し子ですわ」
『訂正してー! 僕の被害者だー!』
「うるさい」
この流れを少し前に見た気がする。終始こんな会話をしながらいつも歩いていると思うと、珍道中ではなかろうか。まあ、神霊同士の会話なんて心底どうでもいい。今回の件で言えば、さっさと行って終わらせて、また旅を続ける毎日に戻るだけ。
……誰が死んだだの、本当にどうでもいい。俺には関係のないことには変わりはない。親と言えど、こうも関わりが薄いと何の感情もないものだ。
「……俺の人生、面白くはないな」
『? 何を今更。子は親を選べないって言うけど、ヴァルツを見ていると、本当にそう思うよ』
「そうだな。……契約を交わしても家に戻るつもりはないし、子孫を残すつもりもない。本当に下らないな、人生と言うものは」
「愛し子よ。そう悲観するものではありませんよ」
「分かっている。……きっと、家に戻りたくないから、気持ちが後ろ向きなだけだ。マリー」
「はい」
「家につく前に戻れ。説明が面倒だからな」
「かしこまりました」
にこりと笑って、素直に従う。姿を消すと、俺は町の入口へと足を向けた。もうすぐ見えてくるのだろう。もう何年も帰っていないし、どうなっているかも想像出来ないが。



~あとがき~
トリスに関してはここが初出かな?

次回、ヴァルツ目線でまだまだやっていきまっせ!
現所有者の父親がいなくなり、一族はどうするのか。

ヴァルツは色んなことに冷めてます。幼い頃に一人でいたせい(トリスがいたから、厳密には一人ではないけど)かもしれませんし、元々の性格かもしれません。私的には後者だと思ってますね!(笑)

どこまで書くのか考えているところですが、ヴァルツが虚弱体質になった訳とか、トリスの所有権の話とか? なんかそこら辺をやります。
十話以内に終わらせるのが夢です!((←
ヴァルツ「……目標が低い」
言うでない……!

ではでは!

空と海 第183話

~前回までのあらすじ~
偽者ピカとポチャの戦いでした。今回も引き続きお送りします!
ポチャ「もうぼく、無力なんだけど」
そうだね。……短い人生だったね!
ポチャ「……ん? 作者の中で今、殺された?」
さようなら! 忘れないよ!!
ポチャ「悪乗りし過ぎだからね!?」
大丈夫。救世主は現れるからさ!
ポチャ「え、えぇ……?」


ポチャに振り下ろされるナイフをぴたりと止める。止めざるを得ないと言った方が正しいかもしれない。何者かの気配を感じ取り、邪魔されたのだ。彼女はポチャから離れると、頭上を見上げた。そこで落ちてくるある人物と目があった。
「うわっ!」
「よぉ……ご無沙汰」
カイリューに変身したウィルから飛び降り、フォースはそのまま攻撃を仕掛ける。
「“ソード”!」
「んあぁあっ! あんたに見つかるなんて運がないわ! というか、なんでいるのよ!」
フォースの斬撃をなんとかかわしつつ、文句を言う。そんな文句を受け流して、嵐のような攻撃を続けた。
「すぅ! そっちは頼んだ!」
空にいるイブに声をかけると、もう一振り剣を増やす。二振りでさらに攻撃回数を倍以上にする。流石に小さなナイフ一つで受け流せないようで、全てを避けることは出来なくなっていた。
「ポチャさん! 大丈夫ですか!?」
「イブ……? 皆、どうして」
フォースが敵をポチャから引き剥がした瞬間を狙って、イブ達が空から地面に降りてきた。ウィルはカイリューからイーブイへと姿を変え、フォースが戦っている方角を見つめている。
「戦ってるかーくん、格好いい……!」
「フォースがこの敵を出した人を捜してたんですけど、その途中で知った気配を見つけたって言うので、そこに向かったんです。そうしたら、ポチャさんがいて……」
「でも、あの人、ピカさん……? いやまあ、すーくんが言うんだもん。偽者さんなんですよね」
イブ達はある程度の状況は察しているようで、目の前のあの人がピカではないことを理解していた。
四人が乱入したことで、そこそこ落ち着いてきたポチャは息を整え、ゆっくりと立ち上がる。
「容赦ないな……フォース」
「かーくん、容赦ないタイプだからね! 俺も同じタイプだから、安心してね~♪」
「その台詞にどう安心しろと……?」
親指を立てて、自信満々な表情を見せる。能天気なウィルを見ていると、いくらか気持ちが楽になった気がした。ふっと息を吐き、フォースの方に目線を移す。
彼の攻撃に押されたのだろう。地面に倒れ、フォースのことを見上げている。一方のフォースは普段と変わらない。トレーニングでもしている感覚なのかもしれない。持っていた剣を消すと、ぐっと背伸びをした。
「お前、その姿で何をしたいわけ? ペンギンのこと、殺すつもり? それならおれらが来る前に機会あっただろ?」
「……まあね。誰かを殺すなんてこと、するつもりはなかったよ。だから、彼を殺すつもりもない。……けど、あんたは別。この前の借りは返す!」
「ははっ♪ 返せるものならどうぞ?」
二人の会話に関して、ポチャは全く心当たりがなかった。フォースは彼女の正体に目星がついているようだが、イブやチコ、ウィルもポチャと同じように誰だか知らないようだ。
「ってことだから、ここはおれ達でなんとかする。四人いるし、周りの敵も対応出来るし。お前はここから離れろ」
こちらを見ることなく、ポチャに指示する。
フォースは、ポチャの状況を見て、そう判断したのだろう。この場に彼のやれることは何もない。実際、フォースが乱入していなかったら、どうなっていたのか想像するに難くない。
ここは素直に従った方がいいのだと。
「分かった。ここは任せるよ。……戻れ、セツ」
冷気となってこの場に漂っていたセツを呼び戻し、剣の形へと変化させる。そして、そのまま離脱した。向かう宛などないが、とにかく、ここから離れたいと切実に思ったのだ。力が足りないと感じるのと、自分のパートナーを信じてやれない己の弱さを呪いながら。

フォースはポチャがここから離脱したのを確認すると、ピカの偽者から離れる。イブとチコを守るようにウィルと横並びになる。彼女に止めを刺すのは簡単だ。しかし、その前に聞きたいことは多かった。
「んで、お前らは何がしたい? 前言っていた続きとやらか?」
「……あは。覚えてたの?」
「あんな高さから落とされたのに忘れるわけないだろ。キルリアもどきさん」
「……あぁぁっ!? あのときのぉぉ!!??」
フォースの言葉でイブが叫ぶ。春祭りの前、ソルについて行った図書館の帰り道。そこでピチューのキーテとキルリアのスラに襲われたのだ。
しかし、目の前の彼女はあのときに見た、キルリアではない。ピカチュウの姿をし、それは紛れもなくピカそのものなのだ。
指摘された偽者はゆっくりと立ち上がる。そして、くるりと一回転すると、姿がキルリアへと変化していた。イブを襲った人に違いなかった。
「“へんしん”……? ってことは、メタモン? イブ、あの人のこと、知ってるの?」
「知っているというか……なんと言いますか」
チコにあの事を説明していなかったことを今更ながらに思い出した。ここで説明しても仕方ないかと開き直り、話題をすり替える。
「そんなことよりさ、“へんしん”であそこまで姿が変わるものなの……? 特定の人物になっていたように見えたけど」
「確かに。……あなたは、誰なの? メタモンが本当の姿?」
チコが問いかけると、スラはクスクスと面白そうに笑う。
「さあ? 本当の姿なんて忘れてしまったわ。メタモンにもなれるわよ? 見る?」
そう言うと、先程と同じようにくるりと回る。一回転し終わる頃にはメタモンへと姿が変わっていた。楽しそうに笑うのはキルリアのときと、何も変わっていない。
「……さて、本当のオレって誰なんだろうな?」
「ころころ一人称変えやがって。イライラする」
フォースが“ソード”を構える。ウィルも何も言わずに“ランス”を取り出す。手慣れた手付きでくるくるとバトンのように回した。肩慣らしのつもりなのだろう。
「俺は周りの敵を近づけないようにしとく。かーくんはそのメタモン? キルリア? まあ、どっちでもいいや。そっちよろしくね。行くよ、すっちー、りっちー!」
「えぇっ!? わ、分かった!」
「すーくん……!」
走り出したウィルに、慌ててついていくチコ。しかし、イブだけはフォースの方を見たまま動かなかった。何か声をかけたいが、何も出てこなかった。一抹の不安が心に刺さって取り除けない。そんな感覚を覚える。
「大丈夫。……おれがやられるわけないだろ?」
「……うんっ! 信じてるっ!」
強く頷いて、二人の後を追う。
いつだって、イブを守ってくれたフォースが負けるはずがないのだと。フォースが時折見せてくれる、安心させるような優しい笑顔を、イブはいつも信じている。
そして、フォースもまた、イブを守るためだけに戦ってきた。今回もそれの一つに過ぎない。
「借りとやらを返してもらおうか」
「もちろん……♪」
メタモンから再び、キルリアへと姿を変えたスラと対峙する。フォースは剣を構え、一気に地面を蹴り上げた。



~あとがき~
ははっ! 長くなるぞー!

次回、敵をやっつけている(であろう)他の面々に視点を変えます!

やあやあ! 久しぶりのご登場ですね。皆さま、覚えていますか? スラちゃん? くん? です!
いろんな形に変わるスラは一体、何者なんでしょうかね? いやはや、どうなることやら。

あ、ポチャは死ななくてすみました。よかったね。フォースが空から助けに来てくれたよ。フォース、高いとこ好きじゃないのに、ハッスルしましたね。必要なら自分の嫌いなこともさらっとしちゃうのが彼なのでね。もうね、こういうやつなのよ(笑)

ではでは!

ポケモンカフェに行ってきました

題名の通りです! 本日、日本橋にあるポケモンカフェに行きました! そんでもって、隣にあるポケモンセンターDXにも行きました! 
一言で言うなら、めっさ可愛い……ですね。ヤバかった……

というか、こんな夜に投稿するのも久しぶりだな。

H/K

友人と2人で行ってきたのですが、東京なんて行かないもんだから、一体どこにあるんだ状態で、若干迷子になりました(笑)
スマホとにらめっこして、なんとか辿り着きました。予約時間30分以上前に日本橋付近に着いていたのに、約20分かけて向かうという謎。本当なら徒歩10分もあれば着くはずだった。もうね、迷ってた。地図読めないんだ……
でもでも、辿り着きましたよー! エレベーター乗って、ポケモンセンターへ直行!


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↑目の前に……!

加工というかスタンプをペタペタしたのはやってみたかっただけです! やってみたかったんや……!
あと、写真には撮りませんでしたが、増田さんのサインなどがありました。こういうのを探してみるのも面白いですよね(笑)


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↑壁にあったシルエット!

私の好きなブラッキー! 番号順なのでエーフィも一緒に撮りました。もう好き……
今までのポケモンのシルエットがたくさん並んでいて、すっごいなって感動してました。

カフェは完全予約制です。店内の滞在可能時間は90分。予約時間まで少しだけ時間があったので、ポケモンセンターをぐるっとして、ポケモン図鑑をいじってました。壁に映像が出ていて、指で動かしていくやつです。3つくらいありましたね。好きなポケモン表示させて、ヤバいを連発させてました。アホみたいに連発してた……

時間になって遂に! 突撃ー!


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↑カフェ!

カフェの入口を撮るの忘れましたね。まあ、いいか。仕方ねえ……!
内装はゆったりしてました。思ってたより広かったですね。店員さんの衣装も可愛かった……
席は窓側ではなく、奥の方……というか、店内側って言えばいいかな? そっちでした。平日にも関わらず、カウンター以外は満席状態でしたね。オープンして2ヶ月くらいだと思うんだけど、満席なんだなって思いました。

写真は自由にどうぞって言われたので、適当に歩いて、写真をパシャパシャしてました。完全にテンションMAXです……(笑)
いくつか載っけておきますね!


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↑カウンター席にいるイーブイ

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↑店員ピカチュウとコックピカチュウ

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↑壁にかけてあったイラスト。可愛い…

こんな感じで店内探索していると、頼んでいたご飯とドリンクが……!

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カビゴンのハンバーグドリアとブースターのフロート(全く見えないけど)

ぶっちゃけ、これだけでお腹一杯になりました。
フロートはベリー系の味。多分、ベリーだと思うんだけど……自信がない(泣)
あと、サンダースとシャワーズがあるのですが、2つはどんな味なんだろう。他のドリンクも気になるものばっかりなんですよね……
ドリンクを頼むとコースターが貰えるんですが、私は王道のピカチュウで友人はフシギダネでした! 当たりはミュウらしいです。私が食べている間に2人程、ミュウを当てていたようです。店員さんが盛大に祝っていたので!ミュウを当てた方、おめでとうございます! 私はイーブイがよかったです!! ピカチュウも可愛いけど!


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↑デザートのイーブイのパフェ

メインでお腹一杯なのにデザートです……美味しかった……デザートは別腹なのは本当だった……

なんて感じで楽しんでいると、ピカチュウが遊びに来ると言うアナウンスが……!


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↑近くまで来てくれてハイタッチ!

私も友人もタッチしてもらいました。嬉しい!
もう、可愛すぎて動画も撮ってしまった……これは他の方のお顔が出ているとあれなので、載せませんが、もう可愛すぎてしんどい……
大好きなアイドルと会ってる気分です。ポケモンカフェ、正直なめてた。ここまでやるとは……!
ピカチュウと会うことはあるんですよ。ポケモンセンター行って、たまたまピカチュウが遊びに来る日ってのがあるので。でも、そういうときはスルーするんです。なんでって他の人の目があるから。ポケモン知らない人も店の前を通るわけなので、はしゃぐのが恥ずかしいんです。
でも、ポケモンカフェは少なくとも知らない人は来ないし、外からも見えないし、ある種、閉じられた空間なわけです。はしゃぐよね。楽しみにしてたんだもん。はしゃぐよね!
何回手を振ったか分からねぇだよ……(成人済み)

そんな濃厚な90分を過ごしました! 時間ギリギリまで居座って申し訳ない! ギリギリまでパフェ食べてたんです……! 別腹だったけど、最後のコーヒーゼリーが辛かったの……(コーヒーが苦くて飲めない勢)
でも、ちゃんと食べたから! 美味しかった!

また機会があれば、行きたいですね!
お金と相談ですね~……予算内ではありましたが、なかなかのお値段でしたので。でも、キャラクターのカフェなので、こんなもんだよなって感じで納得です。ピカチュウも遊びに来て、触れ合いもあるし、店内も探索して写真もOK! 楽しいです! ポケモン好きなら行って損はないと思います。ポケモン好きの偏見かもですが。



明日からはまた小説投稿頑張ります! 今、本編の他にヴァルツともえぎの番外編を書いているところです。バトルに疲れたってのもありますが、単純に書いた方がいいなと感じたからです。ポチャのがきりがいいところで終わったら番外編を何話か投稿しますね。本編がいいところ……なのかは分からないけども、流れをぶった切るようで申し訳ない!!
でも、読んだ方が2人の関係性だとか、神器との関係性も分かりやすいかなと思いまして。ご了承くださいませ。

ではでは。ここまで閲覧ありがとうございました!

空と海 第182話

~前回までのあらすじ~
ポチャがなんとか敵を足止めして、ピカ(?)が登場した辺りです。関係ないんだけど、お祭り編、五十話くらいやってます。三日あるとはいえ、五十話って……嘘だろ……
ピカ「百はやらないだろうけど、それぐらいはいきそうだね?」
ポチャ「三日目が濃厚すぎるんじゃない?」
それな……マジそれな……
ピカ「後悔しても遅いんだよ」
ポチャ「このあともバトルたくさんあるのにね」
ピカ「分かるわ。ポチャ、鶴の一声お願いします」
ポチャ「始まったものは仕方ない。最後まで一緒に走ろう?」
あ、あい……! 走りますぅ!!


誰だという言葉を聞いて、彼女は戸惑う。何を言い出しているんだろうか、と言ったように表情に出ていた。
「……だ、誰って……え、急にどうしたの?」
「理由はいくつもあるよ。……ピカは寒いところが苦手なの。今、この場所は雪が降ってもおかしくないくらいに気温が下がっている。そんなところにいつもの格好で来れる訳がない。マフラーくらい準備するか、開口一番にぼくに何とかしろって叫んでるところだ」
スイを構えて牽制をしつつ、淡々と述べる。
相手の一つ一つの動作が、目の前の人はピカではないと告げていた。
「何年も一緒にいるぼくに向かって、『君』はないよね? もちろん、全く使わないとは言わないけど、ピカは基本的には名前呼び。次に困っている人や仲間をスルーしてまで、真っ先にぼくのところには来ないし、走って探すなんて無駄なこともしない。バッジ使って探すし、連絡を入れる。大体さ」
スイを一文字に斬る動作をする。彼女は危険を察知したのか、横に飛んで回避動作を見せた。それを目で追いつつ、冷静にかつ冷たく言い放つ。
「相棒の一人称は『私』だ。……似せるつもりがないなら正体を表せ」
「……あは。付け焼き刃じゃこんなものだよね。周りは騙せても、流石にパートナーは騙せない。もう少し情報があれば、ちゃあんと演じてあげられたな。反省」
見た目はピカで、口調もほとんど彼女なのに、本人でないと分かった今、違和感しかない。彼女はポチャの真正面に立つと、にこっと笑った。その笑顔すら、嘘臭く感じてくる。
「でも、ここではピカとしているよ。そっちの方が面白そうだからね。君に言われた通りに……いや、ポチャに言われた通りにやってみせるからさ♪」
「偽者だとバレたのに、する必要なんてある?」
「あるよ~! あるある! ポチャの動揺が誘えるじゃない? 今だって、なんで私がここにいるのか、すっごく考えてる。頭フル回転って感じ。見て分かるもん」
ポチャに指摘された部分を直し、ピカを演じてみせる。彼女の目的は読めないが、それならもう少し会話を重ねようと思った。きっと、リーダーの彼女ならばそうするだろうと。
「で、何がしたい? お前は『ヴァンガル』の一人ってこと?」
「えぇ? あんなちっぽけなところと一緒にしないで。闇組織とは一切関係ないんだから」
両手で何かを払うような仕草を見せ、否定してきた。その発言に嘘があるようには感じないが、本当のところは分からない。
「あ、ごめん。一切関係ないっていうのは言い過ぎかな。でも、そこまでの関係はないよ。一員でもないことは断言する」
「最初の質問には答えないのか」
「せっかちだなぁ~……私は何も知らないの。ただ、ある一帯で制御が効かなくなったから見に来ただけだよ。……あ、聞かれる前に答えとくけど、制御してるのは私じゃないからね?」
制御をしているということは、この無数の敵達は彼女の仲間がしていることであると断言していいだろう。
「止める権限もなさそうだね……とりあえず、お前がぼくの敵だってことは認識したよ」
スイを構え直し、彼女に向かって斬りかかる。彼女はどこから取り出したのか、小さなナイフでポチャの攻撃を受け流した。
小回りの利くナイフは大きな動作なしでも攻撃することが出来る。しかし、大した威力は望めない。使いやすさはあるものの、殺しには向かない武器である。そんな武器を手にしているが、彼女はくるくるとその場で回り、楽しそうに笑った。
「あっはは♪ 力入ってないよ、ポチャ。こんなおもちゃで、どうにか出来るくらい手加減してくれてるの? あぁ、違うか」
ぴたりと止まったかと思うと、息がかかるくらいまで一気に近付いてきた。怪しい笑顔と共に。
「……私のこと……ううん。ピカのこと、斬れないんだよね。それが君の心の弱点。闇の部分」
「……」
『てぃー……?』
スイの心配する声が響く。ポチャは後ろに回避したくとも、動くことが出来なかった。過去に自分の失態で、ピカを傷付けてしまったことがあった。それも、かなりの大怪我を負わせてしまったのだ。その事件があって、しばらくはまともにピカの顔は見れなかったし、探検隊を辞めようと決心してしまう程にトラウマとなってしまっている。
その件がポチャの中で、解決なんてしていなかったのだろう。ずっと思い出さないようにしてきたし、二度と起こさないように鍛練をしてきたつもりだ。それでも体は正直なものらしく、ピカではないと分かっていても、反射的にあの一件が頭を掠める。
とんっと彼女に押される。よろよろと数歩下がり、そのまま膝をついてしまった。視界が狭まり、呼吸も浅くなる。息の仕方を忘れてしまったように、でたらめに吸って吐いてを繰り返す。
『てぃー! あのひと、ぴーじゃない。ぴーじゃ、ないんだよ!』
「分かってる……けどっ!」
「うんうん。大切な人を簡単に斬れるわけないよね。……私はね、ポチャ」
「やめろ……!」
何を言われるのか分かってしまい、掠れた声で悲願するように叫んだ。一度も本人には言われたことはない。言うはずがない。それでも、どこかでこんな風に思っていたらと、思わないでほしいなんて都合のいい解釈をしていた気持ちがそのまま、この場に伝う。
「痛かったよ。体も、心も。……知らなくていいものを知った気分だった。ねえ、どうして私を助けたの、ポチャ? どうして、一思いに殺さなかったの? 二人で苦しんだのはどうして? どうして、まだ私の前に、横に……後ろにいられるの?」
あのときのピカは、ポチャを突き放すことはしなかった。脱退を申し込んだ時だって、抜けるなと叱咤されたのだから。自分の横にいろと、隣に立っていろと泣きながら言われたのだから。
だからこそ、今の言葉はポチャが言われたらどうしようと、思っていたらどうしようと、不安が呼び起こしたものである。
「ねぇ……答えて? 私はポチャの質問に答えたんだもん。次は君の番、でしょう?」
「ぼく、は……」
そのあとの言葉は続くはずがなかった。答えが出ていたら、目の前の敵が言うはずがないのだ。
「黙りなんだ。そうだろうとは思ったけどね。じゃあ、私が一つの答えを提示しよう」
力なく項垂れているポチャに、ナイフの標準を合わせる。真上から、重力に添うように振り下ろそうとしていた。
「死んじゃえば、考える必要もないよね? 今、楽にしてあげるから」
『てぃー!』
スイやセツは剣以外に実体化することは出来ない。神器ならば、体を作り、守ることが出来るのだが、二振りにはこの瞬間、場面を黙って見ることしか出来なかった。



~あとがき~
トラウマってやですよね。
私もあるんですけど、一生克服出来ないと思っています。ほんとに。

次回、このままポチャをどうにかするかぁ……
別視点でもいいけど(笑)

あーあー……偽者暴くまではかっこよかったのにね。形勢逆転? してます。これだから、ポチャ君は!
ポチャ「……えっ!?」

ピカの寒いの嫌いなのは初めて明かした? どっかで言ったかもしれない……? まあ、いいか。ピカは寒いの嫌いです。
ピカ「雪山ダンジョンで、通常装備なのに平然としてるポチャの頭がおかしいと思う!」
ポチャ「ぼく単体!? 大体、ピカが寒がりなだけだよ!」
ピカ「人が行くところじゃないから! 死にに行くところだから!!」
ポチャ「原住民に謝れ!!」

ピカとポチャの過去の話ははじソラで詳しくやるとは思うんですけど、ポチャの過去編でちらっと語っています。今回の話の中でもさらっと概要は書いたので、察することは出来ますよね! そういうことだよ!!((←
要約すると、ピカのことを怪我させて、ポチャが死にそうなくらいに思い詰めたことがあったって感じですな。ピカ(本物)の口から責められることはなかったんですが、仮に責められたらどうしていたのか、どうすればいいのかと、心のどこかで抱えていたことをピカ(偽者)言われた感じです。
……本物偽者ややこしいな。
本物はいつ復活するんですかね……(無計画)

ではでは!

空と海 第181話

~前回までのあらすじ~
ヴァルツともえぎでした。武器使用を求める、ヴァルツの真意はどこにあるんでしょうか。
もえぎ「ヴァルさん、いいんですか……? 無抵抗? というか、武装してない人に武器使って」
ヴァルツ「ふぃーはゾンビにも手加減するんだ? 偉いねぇ……自分も巻き込まれるしかないのに、痛いのは嫌だもんねって手を抜くのか」
もえぎ「ふえっ!!??」
なぜゾンビ……?
ヴァルツ「攻撃してもピンピンしてたから」
お、おう……
んでは、始めるかね……


ポチャの放った水の矢は、全て敵に命中した。射たれた敵達は後ろへと仰け反り、その後ろにいた敵まで巻き込んで玉突き事故を起こしていた。
それでも当たらなかった敵はいる。ポチャの攻撃を運良く回避したもの達は一斉にポチャの方を見た。睨まれたわけではなく、ただただ見られただけ。それだけなのだが、無数の目、それも無機質な目を向けられて、平然と出来るわけがなかった。
「生気を感じない……? いや、それよりも」
標的が自分に変わったことを危惧すべきだ。
敵達はどんなポケモンは判断出来ない。様々な形が混じった異形なものと言うべきか。作りもののような無数の敵をどう対処すべきなのか、そのような知識をポチャは持ち合わせてい。だから、彼のすべきことはひとつであった。幸いにも、敵の注意は自分にある。
「ここから先、行かせるわけにはいかないんだよね。……“ふぶき”!!」
力一杯、これ以上にないくらい広範囲に冷気をぶつける。マイナスの冷気を当てられ、何もないわけがなかった。体の端から少しずつ凍り始め、相手の自由を奪う。それでも進もうとする敵に負けないように力を込める。
粗方、動きを封じると、周りにいた仲間との情報共有を行う。とはいえ、コンやチルから聞かされたものと大差なかった。
「どうしますか? あいつら、やっつけても時間が経つと復活するみたいで……」
「復活、ね。何かトリックがあるんだろうけど……ぼくがこの場を離れると、対応しきれないだろう?」
ポチャの言葉に申し訳なさそうに頷く。敵の足止めを行ったのはポチャ一人だ。ここで彼が別のところへ行ってしまえば、次はないかもしれない。それに気付いているのだ。しかし、ポチャ自身もこのあとはどうしたらいいのか分からなかった。足止めは出来ても、倒すことが出来ないのならば、どうすればいいのか。倒す方法があるのかも分からない。方法が分からないのなら、離れるわけにもいかなかった。
手をあぐねいていると、通信が入った。相手は全体の指揮を執るプクリンからだった。ポチャだけでなく、周りにも通信を送っているらしく、それぞれが通信機を持っていた。
『四天王の総意の元、武器使用が認められたよ。ただし、銃は殺傷力が強すぎるから禁止! 相手を捕獲出来るならしてほしいけど、安全第一でよろしくね~♪』
場違いな明るい声にポチャは苦笑が漏れる。誰からかの進言で武器を使えるようになったらしい。が、ポチャは武装をしていないのに武器で戦うことはしたくなかった。一方的に襲ってしまうのは、闇組織と同じことをしているのと同意であるためだ。
これはポチャの考えであって、周りはそうではないらしい。認められたのなら、使ってしまおうという考えの者が多いようだ。それぞれ、武器を出し、準備を行う。ここら辺一帯は未だに動く気配はないが、いつ動くか予想が出来ない。
「……君達は他を当たってくれ。ここはぼく一人でなんとかするよ。今は動きを止めてるし、動き出しそうなら止める手立てはあるからね。他はそうじゃないかもしれないし、手伝ってあげて」
その言葉にこの場にいた者達は四方に駆け出していった。素直な人達でよかったと内心ほっと息をつく。「一人では危険です」なんて言われてしまえば、どうかわせばいいのか戸惑ってしまう。
「セツ、ここの冷気をコントロール出来る?」
『あいあいさー!』
氷の剣、セツこと雪花を呼び出し、ポチャが動きを止めた敵達を任せる。剣の形はもうどこにもなく、空気と解けてしまったらしい。その証拠にぐんっと体感温度が下がる。夏なのに肌寒いと思ってしまうくらいの温度だ。ポチャがそう感じるのだから、慣れない人が近付けば寒いと感じることだろう。セツを使ったこれは、周りに人がいると使うことが出来ない。出来ないと言うよりは、寒さに耐えられる人の前でならしてもいいのだが、今回はそうではなかった、が正しい。
「これで足止めになればいいけど、これが出来るのも限られた範囲。ぼくはここから動けない……じっくり見てみるか」
凍って動かない敵に近付いて、じっくりと観察をする。このポケモンだとはやはり言えなくて、見たことがない異形の人形でしかないと感じる。
「人体改造……なんてそんなことしてないよね? 流石に道徳に反するというか、人道から逸脱してるもんね? 違うよね……うん。ないない」
とは言うものの、ポチャに判断する知識はないし、否定出来る情報もない。そのことがぐるぐる頭を駆け巡る。
『どーしたのー? だいじょぶ?』
「あぁ……お前のご主人は、キャパオーバーで大変なことになってるんだ。無駄話なんかで話しかけるなよ」
『あうあう。たいへんらー』
セツはそれだけ言うと黙る。色々とお喋りな剣ではあるが、主人には忠実なのだ。神器ではないため、代償もない。お喋りなところを我慢すれば、それなりに扱えるのだ。あくまでもそれなりにだが。
「何で出来てるんだ……? 本当に人だったらどうしよう」
仮に人だったとして、疑問に持たざるを得ない点がいくつかある。一つは復活の件。道具を使えば説明がつくが、それにしても、数が多すぎる。それほどの道具を揃えられる気はしないし、難しい話だ。二つに敵の数。これだけが一度に現れる技など思い当たらないためだ。三つに無機質な目。いくら死んだ目をしている人がいるからと言って、全員が全員、そんな目をしているのもおかしな話。また、ポチャの手で凍らされているというのに、悲鳴一つ上がらなかった。一瞬に凍らせたのなら、声一つ上げられないが、今回に限ってはゆっくりと時間をかけてしまっている。恐怖で声が漏れても不思議ではないはずだ。しかし、それがなかった。
「生きて……ない、のかな。それなら武器で倒しても問題ないし、捕まえる必要もないけれど」
今では彫刻のように固まってしまっているそれを見ても、答えは出ない。結局のところ、判断材料がないのである。
『てぃー! ななめ! まえ!』
「!? スイ!」
『はーい!』
セツの忠告で咄嗟に、もう一振りの名前を呼ぶ。反射的に剣を振るい、不意打ちの攻撃を流した。瞬時に後ろに飛び退いて相手との距離を取る。次なる攻撃に備えるが、ふっと緊張を解いた。
「何してるの……ピカ」
ポチャを攻撃してきたのはピカだった。いつも通りの格好で、普段の彼女が立っていた。あちらも驚いているようで、ぽかんとしている。武器は持っていないところを見ると、すでに納めた後なのだろうか。
「寝てたんじゃないの? 起きるの早くない?」
「そうかなぁ? あたし、結構寝てたと思うけど。君の体内時計壊れたんじゃない?」
「……ピカが言うならそうかもね。もういいの?」
「うん。早く合流しようと思って、適当に走ってた。見つかってよかったよ♪」
そう言って、ピカはにこっと笑う。ポチャはちらりと周りを見つつ、話を続けた。
「そうなんだ。見ればわかるけど、大変なことになってて。説明するのも億劫なくらいなんだけど」
「あはは~……ま、ここに来る間にも見かけたからね。なんとなくは分かってる」
「そっか。それなら話は早い。……ところでさ」
「うん?」
ポチャは一呼吸置いて、ピカを見る。……否、鋭く氷のような冷たい目で睨み付けた。
「……お前は誰だ?」



~あとがき~
なんだか、最後で『〇の名は』的な台詞が飛んでる気がするんだけど……? まあ、いいや。我らが主人公、ピカの登場です。

次回、ポチャ視点で続きます!

ポチャ、一人になると、とことん口調が強気に聞こえてくる不思議。案外、こっちが本性なのかも? いや、知らんけど。

セツの本当の名前って言うの? それを出しました。もしかしたら、初めて? かも?
実は私も全く覚えてなくて、セツは「氷華」(読み:ひょうか)と書きましたが、あっているのか謎です。「雪華」(読み:せっか or せつか)だった気もするんです。読みすらも曖昧な私。ヤバイね。スイ、セツ呼びが定着してて、私の中で真名がどっかいってる……
ちなみにスイは出なかったけど「水泉」(読み:すいせん)です。これは自信ある。というか、ちゃんとメモしろよ私……! どこかにメモ! しろよ!!
まあ、いいや。見つけたらそれに直しておきます。なかったからこれで固定だ!「氷華」「水泉」ね!

(2018.5.19 追記)
調べたら氷華じゃなくて雪花やった。花の字すら合ってなかった。もう駄目だ……
本編は雪花に直しました。読みは『せつか』です。

ではでは!