satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第180話

~前回までのあらすじ~
カイやエルン達の話でした。大変やで。
今回は新キャラさん、ヴァルツ出すぞ! もえぎと出すぞ! わーい!!
ピカ「それだけで一話持つのか」
わかんない! 頑張る……
ピカ「お、おう……なんか語彙力低下してない? 大丈夫?」
うん。駄目……ピカさん、早く復活してくれ……
ピカ「……もう少し寝てようか」
やめてぇぇ!!!


人気のないところを歩いていた。花火が上がっているのは音がしているし、なんとなく見えていたから知っている。実際、観賞したことはないが。
人がいないところを警備しても意味がないと思うのだが、このようなところを歩いているのにも理由がある。
「ヴァルさん、本当にこっちですか……?」
「……ん」
もえぎに背負われ、顔を上げることもしないヴァルツ。もえぎはヴァルツに言われるがまま歩いているに過ぎない。ナエによって、半ば無理矢理ここへと呼ばれたらしく、最高に機嫌が悪い。元々、体調も悪かったのもあって、ここへは来る予定がなかったのだ。
「その状態で……その、大丈夫ですか……?」
「大丈夫に見える?」
「……全く見えません」
「じゃあ、そういうこと」
男の割には体重は軽く、もえぎは度々心配にもなるのだ。本人は、生きていれば問題ないとさらりと流している節はあるが。
「何も……ないといいですね」
「……んなわけねぇよ。確信があったから、ナエが呼んだ。……俺が必要なるって踏んだんだ。これでなんもなかったら」
その先は何も言わないが、なんとなく、察することは出来た。
しばらく歩いた後、もえぎはぴたりとその足を止める。どこか違和感を感じたためである。先程と大して変わらないはずなのに、どこかがおかしい。その違和感が何かとは明確に言えない。もやもやが気持ち悪くて、助けを求めるようにヴァルツの方をちらりと見た。
「ヴァルさん」
「ふぃーの勘、信じる。降ろして」
言われたままヴァルツを降ろすと、思ったよりもしっかりとした足取りで数歩前を歩く。体調が悪いのは嘘だったのかもしれないなんてぼんやりと思う。
「来い、マリー」
『はい。我が愛し子のために♪』
ヴァルツの手に現れたのは四十センチ程の剣。刃こぼれ一つなく、装飾もどことなく王宮にありそうな豪華なものである。言ってしまえば、新品であると思わせるほどのそれをストンと足元に垂直に落とす。
マリーと呼ばれた神器を無造作に扱うが、マリーは大して気にしていないようで、ヴァルツが望む行為を命令されることなく遂行する。
「構えとけ、ふぃー」
「は、はいっ! “リーフブレード”!」
武器を構えるわけにもいかず、葉っぱで作り出した草の剣を二振り構える。どこから来てもいいように警戒を怠ることはしない。
マリーは敵の姿を探しだし、どこいるのかどういった相手なのか等情報を割り出す能力を持つ。ここ周辺を探知し、特定の人物、或いは危険のある人物を探し出すことも容易である。
『愛し子よ』
「なんだ」
昔からだが、マリーはヴァルツのことを愛し子と呼ぶ。もえぎがマリーの存在を知ってからずっとそうなのだが、何か理由があるのかは分からない。ヴァルツも何も言わないため、直すのも面倒なのかもしれない。
『地の奥から、強い源を感じます。何か産み出そうとする……そんな力でしょうね。人ではありませんが、人に似た何かを産み出そうとしています』
「自然がんなことするわけねぇよなぁ」
『はい。大地は大いなる力を持ちます。しかし、これは明らかに人為的なもの……そう、言うなれば悪意、でしょうか?』
「悪意……自覚されようがされまいが質が悪い」
地面に刺さったマリーを引き抜くと、ペン回しでもするようにくるくると器用に弄ぶ。何か思考するときのヴァルツの癖であった。
『悪いことは言いません。ここから離れるべきです。私は、あなたを失いたくはないのですよ』
「別に死ぬつもりはない。……が、お前がそう言うなら、そんな場面に出会す可能性があるんだろうね。……ふぃー、何か感じるか?」
「ひゃいっ! えと……んと……」
必死に感覚の糸を手繰り寄せる。ここは木々に囲まれているため、草タイプのもえぎにとってはホームのようなものだ。街中や洞窟なんかより、ずっと敏感になれる。そして、ある一点に目線を向ける。
「あっ……あそこ!」
指を指した瞬間、どこからともなく、ゆらりと人影が現れた。距離はあるから、先制攻撃を受けることはない。注意深く観察をする。どのようなポケモンなのか、タイプはなんなのか判断が出来なかった。見たこともない形をしている。もえぎの知識にないものなのか、見当もつかない。
「……ビンゴ。流石だな」
「ヴァル……さん、あれ、なんですか……?」
「知らん」
情報屋のヴァルツですら、知らないと言う。その割には落ち着いていた。そして、次の言葉にもえぎは更に混乱してしまう。
「つか、人じゃないな。……“シャドーボール”!」
マリーを持っていない方の手でエネルギーの塊を作り出し、敵が現れた方角へと飛ばす。敵は避けることもなく、技を受けた。倒すまではいかなくとも、ダメージは与えられるだろうと思ったのだが、全く動じておらず、ゆっくりとこちらへ近付いてきた。
「ヴァルさんの、効いて、ない?」
「あー……そうくるか。逃げるぞ」
「に、にげ……? でも、逃げたら、あれ、皆さんを襲います……!」
「ほっとけば襲うだろうな。そうならないために作戦立てる。……まろに連絡を入れよう。ってことで、おぶって」
「そ、それは、いいですけど……マスターじゃなくていいんですか?」
剣を腰に装備するためのベルトに“リーフブレード”を納める。消してしまってもよかったのだが、何かあったときのためにすぐに攻撃出来るようにしておきたかった。そして、ヴァルツを背負うと、彼の示す方向へと走り出す。もえぎの疑問には答えることなく、まろに連絡を入れ始めた。
「俺だ。……お前んとこも出た?」
『分かってるなら、連絡なんかせんどいて! 今、忙しいんやけど!』
通話の奥の方で騒がしく音が聞こえる。戦っている音なのだともえぎは判断した。ちらりと後ろを見ると、いつの間にか数が増えていたようで、こちらにむかってゆっくりとだが近付いてきていた。両手は塞がっているため、攻撃をして、牽制することは出来ない。どうすればいいのか聞きたくても、ヴァルツは何も気にしていないように淡々と話していた。
「怒るなって。普通の技じゃ効かねぇんだ。推測だがな、確実に殺れる方が勝機はあるよ」
『殺るぅ? 武器使えって?』
「端的に言えば。その許可取ってこい。俺が言っても楽したいだけとか思われそう」
『……分かった。三分、時間ばちょうだい』
「いいよ。よろしく」
「ふえぇぇ!! ヴァルさん! 後ろぉ……」
泣きそうな声で訴えるもえぎ。まろとの連絡を切ったヴァルツはちらりと後ろを見る。
「ははっ……ゾンビ映画か何かかよ。あれに捕まったら、俺らも晴れて、ゾンビの仲間入りってか?」
「そんなのやですぅ……!」
「ん。俺も嫌だよ。……なりなくなけりゃ、全力で走れ~? ふぃーの足にかかってるぞ~」
「うーっ! 自分は走らないからって」
「いつものことだろ。……あー、しょうがねぇなぁ。マリー、行けるか」
『うふっ♪ 愛し子の命とあらば』
「よし、行け。三分でいい」
『承りました』
後ろに向かって、マリーを放り投げる。くるくると回りながら飛んでいく剣は、瞬く間にブラッキーへと姿を変えた。その優雅な立ち振舞いに、どこかの姫のような雰囲気を持ち合わせている。
「私、お二方の足止めを務めます。神器のマリーと申しますの。……私のお相手、してくださる?」



~あとがき~
これで……一周……?

次回、ポチャに視点を戻して、敵と遭遇したその後をやります!
意外と長いぞ……?

わー! ヴァルツの簡単キャラ紹介します!
ヴァルツ(ブラッキー・♂)
年齢は二十代前半。エルンが親方をしているギルド所属の情報収集担当。もえぎのパートナーで幼い頃からなんとなく見知った間柄。幼馴染みと言える程、仲良くはなかった。彼女を「ふぃー」と呼ぶ。
性格、装備等々は本編の通り。
神器と呼ばれる短剣、マリーを所有する。今は所有していないが、別の神器も同時に所有していた時期があり、その後遺症で病弱になってしまった。

こんな感じ! 本当はもう少し込み入った設定があるんだけども、もういいです! 無視!
無視というか、ここではどうでもいいですね。はい。とりあえず、もえぎのパートナーで、エルンのところのブレーン的ポジションのヴァルツをよろしくお願いします。プクリン親方のところのピカみたいなポジションですね。この人。

ついでにマリーも!
マリー(♀っぽい)
上品な話し方をする短剣(って言えるほど、短いか微妙だけど)の神器。ヴァルツを「愛し子」と呼び、彼が小さい頃から所有者と認めていた。
能力は感知能力。ある特定のものを瞬時に探し出して、その固有情報を引き出す。人なら種族、所有している物、年齢から細々したものまで見抜く。
ヴァルツのことが大好きなので、代償はいらないらしい。

マリーはあれね……お母さんというよりは、お姉さん……? なのかな?
そんな二人をよろしくね!

ではでは!

空と海 第179話

~前回までのあらすじ~
シア達のお話でした。
太陽は暴れられるとテンションあげあげです。
太陽「わーい」
浅葱「……」
わー……すっごい嫌な顔してますねぇ……?
浅葱「まあ、ねぇ……?」
は、始めますか。ここで会話なんて出来るわけない!
浅葱「うふふ♪」
ひえ……


カイは難しい顔をして、エルンを見る。見られている方は特に気にしていないようで、少しだけ首を傾げていた。
「お前んとこの問題だよなぁ? 絶対」
「あは。僕の管理不足かなぁ~」
「悪いと思ってねぇところが気に食わん……まあ、いい。プリンからの要請だ。真面目にやるよ」
「ごめんね。それでどうするんだい? 僕のところは襲撃を受けたら、反撃するつもりなんだけど」
「いいんじゃねぇの。何かあれば俺んとこで周りの一般人を避難させとくし。それが終われば、半分くらいはそっちに加えるさ。連絡係はいるのか?」
「うん。まろに任せる」
カイのところに配属された人々は一般人の避難経路確保に努め、エルンのところはプクリンと同じ様に敵を食い止める任務がある。
「ぬ」
「ナエ。彼は呼べたかい?」
どこからともなく現れたナエに驚くこともなく、エルンは笑みを絶やすことはなく話しかける。カイは反応こそしなかったが、内心、どこから現れたんだろうと首を傾げた。
「ぬー」
「そう。まあ、本調子じゃないから寝るって言われてたし、そんなもんだよ。ありがとう」
エルンが礼を言うと、ナエはまたどこかへと消えてしまう。仲間のところへ戻ったのか、一人で見回りにでも行ったのか。どちらにせよ、ここにはもういないのだろう。
カイにはエルンが誰を呼んだのか見当がついていた。そのため、彼の名前がするりと出てくることも不思議ではなかった。
「ヴァルツか」
「うん。こうなったからね。彼の頭も使わないと」
「病人をよくもまあ……」
「動けない病人じゃないからねぇ~♪ 動けるものはなんでも使うべきだよ。こういった状況だし?」
悪気のない笑顔。それを見て、同情してしまうが、その道を選んでいるのも紛れもなくヴァルツ本人である。
ヴァルツはもえぎのパートナーのブラッキーだ。淡いグレーのキャスケットを被り、黒色のウエストポーチをいつも着けている。普段は情報屋のような類いの仕事を任されているため、戦うよりも裏方に回ることの方が多い。それには彼の体の事情を考慮してのものであった。しかし、情報屋というものは戦えなければ、危険を伴う仕事でもある。ある情報を握ったために別方向から狙われることなどざらであった。そのためのもえぎなのだが、彼自身も全く戦えない訳ではなかった。むしろ、健常者であれば、トップクラスの力を持つくらいである。
「まあ、いいや。……アクア」
「はい。リーダー」
「やることは理解してるな?」
その言葉にアクアは黙って頷く。アクアはカイの一番近くに置いているのだ。彼の思考は手に取るように分かるだろう。
「あっくん! リーダーさんっ!」
「トパーズ? どうかしたのか」
カイが慌ててこちらに近寄ってくるトパーズに驚きつつ、状況を問う。何かあったのは見て分かった。重要なのは内容だ。
「花火会場方面から敵の姿を確認したと報告が。そこから広がるように各地で……」
トパーズの報告を最後まで聞くことなく、自分の隣に立っていたエルンを見やる。彼は彼でぽかんとしているため、こんな事態は想定していなかったのだろう。
「……エルンさぁん?」
「えー? 知らないよー」
「しれっとしてるその態度をどうにかしろよ!」
「リーダー、そんなことを言っている場合では。僕らで市民の皆さんを避難させます。場所はどうしますか? 祭り会場から出すことも可能……なんだよな?」
「う、うんと……それがね」
「無理やね」
アクアがトパーズに聞こうとしたところ、別方向から答えが返ってきた。そこには真剣な顔をして、こちらに歩いてくるまろの姿があった。
「ぐるっと囲まれとるんよ。逃げ場を作るにも相手がすぐ復活しとるけん。……不死身の体ば手にしたんかもしれん」
「そんなこと、あり得るんですか? 聞いたことないんですが……」
「でもね、あっくん。ほんとなんだよ。もちろん、倒れたまま起き上がらない人もいるんだけど、半分以上は復活してて。その起き上がらなかった人も時間が立つと復活して」
「ってことは、道具でも使ってるのか? ふっかつのタネとか」
カイの言葉にまろは首を振る。まろもどういうことなのか分かっていないようで、あくまで事実だけを述べる。
「それにしては回復する回数が多すぎると。何十回も復活しとるやつもおるくらい。今、もえが……もえぎや他の部隊があちこちで応戦しとる。ばってん、時間稼ぎにしかなっとらん……マスター、武器使用を許可ばしてくれん?」
「相手は持ってないんだよね?」
「持っとらん。持っとらんけど、普通の敵じゃないことは戦ってわかった。……それに、武器使わないと、駄目ってヴァルツが」
「あー……じゃあ、いいよ。その囲ってる敵にだけね。殺すようなことはないように使用武器は制限しよう。あと、手加減はするようにね? 僕のところに配属されている部隊の皆にそう連絡をしておく」
エルンの決定にカイは何も言うことはなかった。ヴァルツの観察眼は侮れないことを知っているためである。こちらもそう対処すべきだろうし、プクリンのところにもそう連絡する必要があると感じた。
「まろ。プリンとシアのところにも連絡回してもらっていいか? 俺達で部隊に連絡は入れる」
「ええよ。このまま直接伝えに行くけん」
そう言うと、まろは他のところに伝えに行くためにこの場から離れる。武器を使わせるかは他の四天王の判断次第だ。
「……はー……振り回されている感じがするな。嫌な気分だ」
「そうだね。『ヴァンガル』はここまで強大な組織ではないし、不死身とか聞いたことないんだけれど」
「お前で分かんないなら、こっちはさっぱりだ。……アクア、他と連携して市民の避難だ。バトルで使ったコロシアムあるだろ? あそこに避難させろ。けっこう広いし、観客席だけじゃなくて、フィールドや裏に入れれば多分、なんとかなる。優先的に……」
「子供やバトルが苦手な人達を、ですよね。分かっています。ズゥ、行こう」
「んっ! 分かった!」
現場へと向かうアクアを見送り、頭では状況を整理していく。
相手は武器使用こそないものの、その数は不明。目的も不明のまま。倒しても倒しても復活してきて、こちらは消耗戦に持ち込まれている可能性がある。ここまで考えても、何も解明されていない。
「……目的なんてない? それとも、何らかのテロなのか?」
「目的がないなら、暴れたいだけってことになる。テロなら大きなことをするためのカモフラージュ、とか?」
「カモフラージュ……か。あり得そうだが、そうなると、何をってことになるし、『ヴァンガル』が何をしたいかも分からない」
「誰かを捕まえて聞いた方がいいね」
「かもしれない」
不可解な迷宮へと誘われた気分だった。ただ、襲撃されたという事実だけが残る。とにかく、カイがすべきことは一般人の安全確保だし、エルンがすべきことは敵の殲滅である。しかし、その殲滅が一番大変なのは言わずもがなであった。



~あとがき~
あばばばば……なんだか難しくなってきそうだぞ……!?

次回、もえぎとヴァルツ登場!
これでぐるっと一周する……かな?

ヴァルツの設定、ちゃんと考えてあるんですけど(重い感じの)、本編には全く関係ないですね。そもそも、アクアやトパーズ達もそうだけれど、ヴァルツともえぎは別の物語設定から引っ張り出してきたものになります。なので、空と海と同じ時間軸で別の物語が展開している感じではあります。私の中では!
シア達も約束メインキャラだしな……こちらにはあまり絡むことはない……んだけどな。
ヴァルツの設定はいつかちゃんと出したいですね。お話も書けたらいいなぁ……(願望)

関係ないんですけど、ここでお知らせです。
今月も暇になりました(泣)
いやね? バイトのシフト、忙しくしたつもりなんですけど、反映されずにほとんど入れなくてね? 多分、他の人との噛み合わせが出来なかったんだと思います。多分。知らんけど。「お前、いらねぇ」って言われてるのかも知れないけども。
ってことで、今月も同じようなペースで小説投稿します! 来月はどうなるかわからないけど。

ではでは!

空と海 第178話

~前回までのあらすじ~
ポチャが連絡を取り合ったり、なんかしているときのイブ達でした。
ポチャ「だから、適当すぎる!」
イブ「ごちゃごちゃしそうですよね。……読んでくれている方々を置いていかないか心配です」
ポチャ「もう置いていってる気がするよね」
そ、そんなことないです!!!
……そんなことないですよね?
ポチャ、イブ(心配になってる……)


浅葱、レンが配属されたのは言わずもがな、自分の親方であるシアのところであった。説明の場にはいなかったものの、指揮するつもりはあるようで、夏の蒸し暑い中、白いマフラーと黒いマントを身に纏っている。救護テント前で、医療に精通するものが集められているようだった。求められる能力が限られているせいか、他の所よりもかなり人材は少ないように思える。
「んー……シア、暑くね?」
「別に」
厚着にも関わらず、汗一つかいていないシアの言葉に嘘はないのだろう。何か特殊な効果でもついているのかと疑いたくはなるが、ファンタジーではないのだから、そんなことはない。と、レンは思うのだが、実際のところ、真相は闇の中である。
「見てるこっちは暑いんだけど……まあ、いいや。俺らは何するんだ?」
「いつもと変わらないわ。怪我した人の手当てをしてちょうだい。ギルドには連絡しておいたから、重傷者はバンバン転送しちゃって」
ぶっきらぼうな言い方に、浅葱はクスクス楽しそうに笑う。元来、血生臭い世界で駆け回るために、逆境というものは嫌いではなかった。不利になればなるほど、闘志に火が着くタイプだ。
「待機組、損な役回りになったわねぇ♪」
「エレキはギルドに戻ったんだろ? あっち行っても仕事なのか。かわいそう……太陽は?」
「エレキに関しては、あなたのせいだけれど。あいつは手当てなんてまともに出来ないわよ。……こっちに呼ぼうかしら。用心棒くらいにはなるわ」
そう言ってバッジを取り出し、一言二言話す。連絡を切った途端、浅葱の横には嬉々として顔を輝かせた太陽の姿があった。
「おー……楽しそうだな」
「うん! やりたりないから!!」
「やるなんて一言も言ってない。許可もしてない」
「分かってるよ。君のためならなんだってしてあげるっ! 盾にも剣にもなるよ?」
「あぁ、そう。……ガンバッテ」
全く感情がなく、冷たく、平淡な発音ではあったが、太陽にはそう聞こえなかったらしい。感動したように目を潤ませ、声にならない歓喜を味わっている。そんな太陽に浅葱は溜め息をついた。
「ほんっと、気持ち悪い……死んでほしい」
「お前ら、結婚する気あんのか? 俺、時々不安になる」
「誠に残念ながら、するわよ。人生最大の汚点よね。一族の恥」
「破棄すればいいのに、義理堅いわよね。浅葱」
「うふふ。相手のいないシアよりはましでしょ? 近いうちに、寿退社しますわ♪」
「あんたムカつくわねぇ!」
突っかかりそうになるシアを押さえつつ、レンは澄まし顔の浅葱を見る。
「近いうちっていつなわけ」
「さあ? 私個人の事情が片付いたらかしら」
「ほーん。そんなの初耳」
「当たり前でしょう? そんなこと、誰にも言ったことないもの。……太陽は知ってるけれど、幼馴染みだし、ノーカンよ」
「ねえ! そんな話より、いつから動けばいいの? 周り、変なのばっかうろうろしてるんだけど? やっていい?」
太陽の明るい声で三人は気づいた。ほんのわずか、何かに囲まれている嫌な気配。言われなければ気付かないし、言われたところで気付く者は少ないだろう。
「鼻いいな、お前」
「もっと褒めてくれてもいいよ? 褒められて伸びるタイプだかんね!」
「太陽。ここを一人で死守出来る?」
「ハニーのためなら、やってみせる! って言いたいけど、無理。結構な数だ」
彼がそう言うなら、そうなのだ。浅葱に対して嘘なんてつくはずがないのだから。
「じゃあ、私と二人なら?」
「いいね♪ 不可能から超絶激むずくらいにはランクダウンしたんじゃないかなぁ?」
「ふうん。……シア、いい?」
浅葱の目に迷いはなかった。ここを任された人材は少ない。周りの守りに避けるほどの人はいないのだ。他から呼ぶにしても、時間稼ぎは必要である。シアがじっと考えていると、またもや浅葱の楽しそうな声が聞こえる。
「囲まれているんじゃ、他のところも手一杯だろうから、援軍は望めないわね。絶望的な状況。敵にそんなことが出来たのか疑問は残るけれど……楽しそうじゃない?」
「あんたのそういうところは、太陽と波長が合うわよ。……行きなさい、チーム・リュード」
浅葱と太陽がお互いの顔を見合わせて、シアに向かい直すと強く頷いた。素早く走り出す太陽の肩に浅葱が乗り、その場から離れていく。
「よかったのか? 浅葱をここに残さなくて。あいつの能力は必要になるかも知れなかったのに」
「いいわよ。裏方に回るようなタマじゃない。……二人ともね、誰かとどんぱちしてる方が合ってるの。それが、うちの特攻隊でしょ?」
ふっと笑うシアに、レンは肩をすくめた。ギルドの長はメンバーのことをきちんと理解しているとでも言いたげである。
「……ま、そうだなぁ♪ んじゃ、俺達はお医者さんしますかねぇ?」
「そうね。必要ない方がありがたいけれど、そうも言ってられないわ。ちゃんと働きなさいよ、レン」
「へいへーい」
シアは他のメンバーに指示を出すためにこの場から離れる。レンは静かに息を吐く。
何かが動いている。しかし、それが何かが分からない。本当に『ヴァンガル』の仕業なのか、怪しく思えてきた。
「頭脳派じゃないから、おにーさんには無理だわ。ピーカーさーん? お前さんの出番だぞー……なんてね」
救護テントで寝ているピカが、こんなにも必要になるとは思わなかった。先程まで敵として戦っていたときは恐ろしくも感じたが、それが今は必要なのだと改めて思う。四天王が事足りない訳ではない。それは、他の補佐も同じことが言える。ただ、得意分野が違うだけで、ピカは考えることに関しては、群を抜いているとレンは以前から思っていた。
他にも得意なやつがいるのを二人、知っている。一人はブイことナイトだ。もう一人はヴァルツ。しかし、両者ともこの場にはいない。ヴァルツに関しては、ナエから呼び出しを受けて来ているかもしれないが、それでももえぎといるはずだ。
「浅葱も分析力に長けるけど、考えるより動くタイプだし。ピカみたく、推測したり、推理したりなんてことはしないもんな」
やれやれと頭をゆっくりと振る。
ないものを考えるより、これからのことを考えるべきだ。きっとこれから忙しくなるのだから。



~あとがき~
シア率いるメンバーでした。
敵討伐には浅葱と太陽。裏方にレンやシアが入ることになりそうですね。

次回、他のメンバーに視点を置きます!
誰にしよ……アクア達にしよっか……うん。

浅葱と太陽のチーム名、というか、コンビ名ですかね。それが初出かな? リュードと言います。よろしくね! リュードってのは、竜胆って花の名前をいじったものになります。なんか別物が出来上がりましたけどね。なんで竜胆にしたかってのは……まあ、うん。花言葉からですね。確か。気になる方は調べてみると面白いかも……?

ではでは!

空と海 第177話

~前回までのあらすじ~
敵と遭遇! なんかいっぱいいる! 意味わからん! こんな感じですかね。
ポチャ「それでちゃんと伝わるのかな……?」
視点がぐるぐるしそうです。一話一話、あるいはきりのいいところまでは、なるべくその人視点にしますけど……今回はイブ達の視点です。次回は……分からない。
イブ「適当すぎる!」
フォース「またバトル」
チコ「苦手なのによくやりますよね」
そ、その言葉にはグサッと来るわぁ~……


最初は何が起こったのかは分からなかった。わからなかったが、「囲まれている」だの「攻撃してくる」だの叫びながら、色んな人たちが流れ込んできた。どこからというよりは、四方八方からと言った方が正しいかもしれない。
「な、何!? どうしたらいいのー!」
「チコちゃんっ!」
はぐれそうになるチコをウィルが引き寄せ、イブをフォースが引き寄せる。年長者二人による会議じみたものがイブとチコの頭上で行われ始める。
「えーどゆこと。俺、パニック~」
「何も感じなかったし、今も感じない。……敵が攻めてきてるのか?」
「かーくんに感じ取れないってもう化け物でしょ。幽霊ですら感知するかーくんをどう掻い潜るのぉ」
押し寄せる人々の荒波を少しも意に介することなく、話を進めていく。逃げ惑う人々からすれば、彼らは邪魔以外の何者でもないが、それに構えるほどの余裕は周りにはないらしい。
「人が多いせいかもしれないんだが……兄貴、飛べるか?」
「ほいほいっと。でも、どうする?」
「三人運べるならなんでも」
「はーい。任せて♪」
チコをフォースに預けると、眩い光に包まれる。イブとチコはその光に思わず目を閉じた。そして、再び目を開けたときにはイーブイのウィルはどこにもいなかった。自分達の何倍もあるカイリューへと姿を変えている。
「るーくん……え、るーくん?」
「るーくんだよ。俺も神様だから姿は自在だよ!」
「神様の特権ってやつ……というよりは、制御者としての能力だよ。まあ、だからってカイリューを制御したことはないだろ」
「ないね。でも、俺は生命の神。一般的な模写なら任せんしゃ~い♪」
なんでもありなのだと関心に近い何かを感じつつ、イブは考えることを止める。このことについて考えていても、明確な答えはみつからないと踏んだためである。
フォースの手で手早くウィルの背中に乗せられると、空高く舞い上がった。それでも、ある程度祭りを行っていた会場全体を裸眼で見られるくらいである。フォースがイブの横で目隠し用のリボンを外し、左耳にぐるぐると巻き付ける。イブは空をぐるっと見回していたが、やがて真下を覗きこんだ。それにつられるように、チコ、フォースも下を覗く。そこで見たものは、四人を驚かせるものであった。
会場をぐるりと何百何千という人が囲んでいた。所々で警備隊が応戦しているのか、爆発や技が火花のように激しく散る。
「ふぁ……!? すーくん、どういうこと!」
「え、これ……夢?」
「マジか……これを気づけないってあるのか? おれが鈍ったわけでもない……よな」
「そういう効果でもあったとしか思えないね。流石に、周りに人がいなかったって理由で出来なかったとは言えないレベル」
四人とも反応は違えど、今の状況を理解出来ていないのは共通していた。フォースは頭の中でそんな技や能力を探してみるも、何も思い当たることはなかった。フォースのマスター、ファウスならば、さっと答えられるのだろうと心の片隅で思う。
「おれは何を使ったのか分からない。……それほどに古いものなのか、新しいものなのか……恐らく、前者なんだろうけど」
「俺は専門外だかんねぇ~」
「すーくん達に分からないなら、私達に分かるわけないよ。“テレポート”やワープ玉とかで飛んできたのかな? それなら、急に出てくることも出来るよね?」
「それにしたって、多すぎるんじゃないかな。でも……数が減ったようにも見えないよ? ワタシの気のせいならいいけどさ……」
チコに言われ、注視するとその通りだった。これ以上増えることはないが、一向に減る様子もない。技を当てられ、倒れる様子もないのだ。
「無敵かな? そんなコマンドでも存在するのかな。無敵コマンドー! みたいな?」
「あり得ねぇわ。……何かあるはずだ。技や能力なら使い手がいる。その使い手を叩けば、この無敵状態もどうにかなるかも」
「フォース、捜せるの? 誰かも分からないし、こんなに広い中から特定なんて」
チコの心配も尤もである。普通なら不可能に近い。しかし、それをしなければ事態は好転しないし、むしろ悪化していくだけだ。
「するしかないだろ。……ウィルにぃ」
「神様は余計な手立てはしちゃいけない決まりだ。下界の人達が何して運命を決めようが傍観するのが暗黙のルール」
「るーくん、手伝えないってこと……?」
イブの不安そうな顔を横目に見ると、ウィルはにこっと安心させるように優しく笑った。
「そーんなルールなんだけどね。……でも、俺の弟かーくんの頼みだし! すっちーやりっちーもいる。ちゃあんと守るさ」
「ありがとう。……よし、やる」
「どうやって?」
不思議そうに首を傾げるチコ。そんなチコに向かって、フォースはただ黙って薄く笑うだけだった。イブも長年、フォースと一緒にいるが、何をしようとしているのか見当もつかない。唯一、ウィルだけが何をするのか分かっているようで、平然としていた。
「……捜す。そうしなきゃ、始まらねぇだろ?」



~あとがき~
イブ達でした。

次回、ポチャやイブ達以外の方に視点を置きます。なので、あれかも。ころころ場面変わるかも……視点を変えないようにしようと決めたのにこの低堕落だよ!!

ウィルは色んなポケモンに変身することが出来ます。メタモンみたいですね。理由としては二つあります。一つ目は制御者としての経験がある。二つ目は生命の神として、様々なポケモンを見てきた知識と観察があります。それを再現するのは造作もないことなんでしょうね。

フォースはどうやって敵を捜し出すのか……
まあ、分かる人には分かるよ。多分。

ではでは!

空と海 第176話

~前回までのあらすじ~
花火が打ち上がりました! お祭りもクライマックスです!
ポチャ「簡単には終わらない……んだよね?」
ふははは!! そうだね!
フォース「その選択が自分の首を絞めるようなことにならなきゃいいな?」
ソ、ソンナコトハナイヨ……?
ポチャ「大丈夫かなぁ」
フォース「大丈夫じゃないな」


数々の花火が打ち上がる中、その人物はじっと人の流れを見ていた。立ち止まって空を見上げる者、空を気にしつつも移動を続ける者。また、何も気にせず歩いている者もいる。これだけの人がいて、誰もその人を気にも留めなかった。端から見れば、特に変な行動をしているわけではない。だからこそ、誰も気にしていないのだ。
突然、片手を空高く掲げる。そして、パチンっと指を鳴らした。何かを始める合図のように。
そして、そんなことをしている人がいても、誰も見ていない。花火に気をとられているせいだろうか。しかし、空で大きな音をたてて大輪の花を咲かせているというのに、一人だけその音に気づいた者がいた。ちらりと見ると、そこには誰もいなかった。
「……?」
彼は首を傾げ、音のした方へと来てみるものの、そこには何もない。少しだけ考えると、側の木に手をかける。
「ここに誰かいたのか? いたとしたら、どんなやつか分かるか?」
彼……フォースは目の前の木に能力を使って、静かに問いかける。しかし、沈黙が返ってくるだけだった。何も知らないということなのだろう。
「……ふむ。変なこと聞いたな。ごめん」
踵を返し、仲間の待つところへと駆け足で戻っていく。嫌な予感がしているためだ。
問いかけが返ってこなかったという答えがそれを確証に変えている。今までの経験から、自然が答えを返さないということは、何かに怯えているということ。その何かを刺激しないように静かになっているらしい。普通の人なら気づかないものだが、心を読む能力を持つフォースや、敏感なものになら感じ取れる些細な変化といえるだろう。
「やだなぁ……面倒くさい」

それぞれの持ち場につき、各々、警戒している頃。ポチャは周りを見回しながら、怪しい者がいないか捜していた。ソルが集めていた資料から、顔が割れている者を捜しているのだ。それでも、その足取りは重く、早く終わってほしいという気持ちでいっぱいになっている。
「荷が重い……」
『ポチャさん。こっちは異常ありません』
『ないぞー!』
「あぁ……うん。ありがとう、ソル。コン」
時折、連絡をくれる仲間の声で気持ちを鼓舞してはいるが、実際に現場に立つと大きな重圧がかかっていた。責任という大きな重圧。
「チルとフィフィは?」
『だいじょーぶ! 空から見ててもなーんにも!』
『特に変な空気も感じません。今のところは何もありません』
「そっか。……目立ちたくないなら、このまま何もなければいいんだけど」
『あっははっ! それ、フラグってやつでしょ? 言っちゃダメなやつ!』
コンが笑って茶化してきた。そうだね、と笑って返す前にソルの冷めた声がバッジから響いた。
『そういうこと言うから、幼稚に見えるんだ。子供扱いされる理由がそれだ』
『むうぅぅ!! ソルのバカ! 和ませようとする、あたしのは、はい?……あっ! はいりょ!』
「喧嘩しないの、二人とも。気を使わせてごめんね、コン。ありがとう」
『へえんっ! もっと言って!』
これ以上褒めると、更に調子に乗るのだろう。とりあえず、この要求はスルーしておくことにした。
ポチャがいるところは花火会場からは少し離れたところだ。それでも人は多く、周りの雑音で連絡が取りにくいと感じるほどに。警備だけして、『ヴァンガル』に注視していればいいかと言われれば、そんなことはない。他にもトラブルは発生するものだ。落とし物、迷子、喧嘩の仲裁、酔っ払いの対応等々。昨日一昨日からも時々発生していた事柄も疎かに出来ない。実際、ポチャ自身、見回り途中に何度か遭遇していた。ちなみに、昨日は一日、本部で待機していることが多く、酔っ払いの対応はピカがその都度現場に出ていた。話し合いだとかそういったものはピカに任せる方が早いのだ。
「はー……平和に終われよって思うんだけど」
空を見ると、いくつもカラフルな花火が上がっていた。このような風景を見ていると、何かが起こるとは思えないのだが。
そういった日常が壊れるのは一瞬だ。
遠くの方で悲鳴が聞こえたのである。そして、その悲鳴は伝染していき、人々をパニックへと誘う。大半は訳が分からず、周りが逃げているから、とりあえず逃げておくという行動を取っているに過ぎないのだろうが。
「な、何が……!?」
『ポチャさん! チルです! いきなり人が現れました。花火の会場の方角!』
空から見張っていたチルからの連絡だった。逃げ惑う人々の流れに逆らいつつ、応答する。
「いきなり!? “テレポート”でも使ったのか? それとも何か道具を? いいや。現れたのは何人?」
『いっぱいだよー! 十人とかそんな数じゃないの。たくさん! 武器は持ってないみたい』
チルと行動していたフィフィが答えた。さっと見て把握出来ないレベルの人が一気に現れたことになる。そんなことが出来るのだろうか。
『もっしー! コンだよ。こっちもなんかいっぱいる! ソルと周りにいた人達で応戦ちゅー! あたしも参加してくるね!』
「え、まっ……えぇ? どういうこと。全く整理出来ない。敵の目的は? この混乱に乗じて何かしたいのか……?」
チルとコンの情報だと、一ヶ所ではなく、複数箇所で起こった現象らしいことが予測出来た。そして、二ヶ所以外にも発生している可能性もあった。『ヴァンガル』は闇組織とは言え、そこまで大きな組織ではなかったはずである。
「い、意味が分からない……!」
頭を抱えたくなるが、そんな暇はない。各責任者に配られている小型無線機を取り出して、警備隊に参加している者達に呼び掛ける。
「スカイ所属のポチャだ! ぼく達の役目は敵からの被害を最小限に抑えること! 市民の誘導は他に任せて応戦しろ。武器の確認はしていないから、こちらからは必要以上に使用しないこと! あ、あと! 危険を感じたら撤退して。以上!」
プクリンのところに配属された人達の基本的役割は何かあれば、率先して前に出て、敵と戦うことだ。他のところも同じ役割を割り振られたところはあるが、どう動くかは分からない。
「戦況が全く分からないんだよね……不味い。後手に回りすぎてる」
慣れないことに頭を使いながらも、ようやく人の波から出てくることが出来た。イブ達がどうなったかも気にならない訳ではないが、フォースとウィルがいるのだから、何とかしているはずだ。
周りを見回すと、少し離れたところで複数人が敵と交えているらしい。こちらより倍以上の敵が襲いかかってきているが、幸いにもその動きは遅かった。
「あれを使うか。……“水遊び”!」
ヨーヨー釣りに使われていたであろう、水を能力で無数の弓矢へと形を変える。標準を敵に合わせて、一斉に放った。



~あとがき~
大変だよ。適当になってる。

次回、突然現れた敵にどう対処していくのか!
同時刻のイブ達に視点を持っていきます。

ポチャの“水遊び”。本編で使ったか覚えてないんですけど、使ったことありましたっけ?←
ま、いいや。使ったことある気がするけど、説明しましょう! “水遊び”は液体を自在に操る能力です。この能力を使っている間は、目の色が青く変化しております。はい、終わり。
フォースのあれは“マインド”っていう能力です。これもどっかで説明した気がします……覚えてないけど。制御者としての能力とは別に保有しているやつですね。あれは生前から持ち合わせてました。“マインド”は生きているものの声を聞くことが出来る能力です。なので、木でも花でも生きていれば心を通わせることが出来ます。まあ、めったに使いませんけどね!

ではでは!

空と海 第175話

~前回までのあらすじ~
ピカがちょっとだけ頑張って起きました。
ピカ「言い方!! その通りだけど!」
あと意図せずイチャイチャしてました……
ピカ「それは否定する」
ポチャ「あ、あれでイチャイチャっていうの? ぼくらはあれだよ。結構深刻な状況だよ……?」
それな!
ピカ「笑えないんだよなぁ」
ポチャ「すっごく振り回されてるよね、ぼくら」


花火の時間にあわせてこちらに来る人達もいるようで、人は増える一方。とりあえず、見える位置に座って陣取ることは出来たけれど、この人集りだ。帰りは混むんだろうなぁ……なんて呑気に考えていた。
「るーくん、一緒に花火見るの? あんまり興味ないと思ってたよ」
「えー? 花火って夏の定番なんでしょ? これだけ集まるなら楽しいってことだよね。俺、楽しいことは好きだよ!」
つまり、楽しそうだから見てみたいってことなのかな? でも、見たことないんだ?
「ないよ。知識はあるけど、それと実際見るのとは違うからね。何事も体験さ~♪」
「フォースはどうなの?」
「全く興味ない」
チコちゃんの質問にぶっきらぼうに答えた。さっきまでるーくんに子供扱いされ、ぎゅーっとだっこされていたからか機嫌悪いみたい。まあ、分からなくはないけど……ついさっき、やっと解放されたからか姿はいつものすーくんだ。目の色も戻ったみたいで、リボンで目隠ししている。それで花火は見えないだろうって思ったけれど、見る気は全くないってことらしい。あくまで私が見たいからついてきただけなんだな。申し訳ないような、もったいないような……変な気持ちになる。
「何が面白いんだよ……訳分からん」
「すーくん、心が荒んでる」
「うっせ」
「もぉ~♪ そんなかーくんも可愛いけど、女の子には優しくしてね?」
「誰のせいだよ。誰の!」
なんて言うけれど、るーくんには何も響かないようでけろっとした顔をしている。それはすーくんも分かっているから、これ以上は何も言わなかった。私とチコちゃんはお互いの顔を見合わせて、苦笑を浮かべる。
流石だな、るーくん。
「ピカさん達から話は聞いていたけど、結構な人だね? こんなものなのかな?」
チコちゃんの疑問に答えられる人はこの場にはいない。皆、見るのは初めてなんだもん。予測くらいは出来るかもだけど。
「今日のバトル見てた人とかいるのかも。毎年やってる雰囲気じゃなかったもんね」
「突発的だと思ったが、ラル以外の奴らは事前に聞かされていたんだろうし、予告はあったかもな」
「そうなのかな? 予告されてたんなら、ピカさんとかポチャさんとか知る機会はありそうだけど」
「耳に入らないようにすることは出来るだろ。そこら辺は情報操作でもあったんじゃねぇの?」
イベント一つで情報操作なんて大袈裟な気もするけれど、ありえない話ではない。相手はプクリン親方さん。やりかねない雰囲気はある。だって、やるって知っていたらピカさんはイベント参加の準備しているか、逃げる準備しているかだもん。
他愛ない話を四人でしていると、すーくんがいきなり立ち上がる。辺りを気にして、見回るような仕草をするけれど、目隠しのせいで見えていないはず。それにしても、まだ始まってないとはいえ、邪魔になるような行動しないでほしい。
「すーくん、どうしたの?」
「……いや。なんでもない」
「ふうん。なんでもないって感じじゃないけど? 言えないこと?」
「確証のないことは言いたくない。……さっきのバトルのせいでいろんなことに敏感になってるだけ」
そう言って座り直すのかと思ったら、今度は探検隊バッジを取り出して、連絡を取った。ポチャさんなんだろうけど、どうかしたのだろうか。すーくんは特に警戒することなく、ためらいもなく応答し始めた。
「どした? 今、必要か?」
そしてそのまま、話ながらどこかへ行ってしまった。すぐに帰ってくるとは思うけど、そんなに聞かれたくなかったのかな。……やっぱり、何かあるんじゃん。もう。なんで隠すかな……
「そりゃ、すっちーに余計な心配させないようにでしょ♪ 不安を感じさせない配慮じゃないかな?」
「うん……そうなのかな」
……やっぱり、何かあるんだよね? るーくんは何か分かる?
私がそう聞くと、るーくんは首を横に振った。そして、申し訳なさそうに笑った。
「うーん。この人の多さだからな~? 悪いやつがいてもさっぱりだよぉ。この姿じゃかーくんみたいに敏感になれないもん」
神様の姿なら分かったのかな。流石にこの場でなれるわけもないし、仕方ないか。
「そっか。ま、すーくんもるーくんもいるから、大丈夫……なはず!」
「あはは♪ そういうのフラグって言うんだよね、俺知ってるっ♪」
うぐぐ……そうなったら、やだなぁ。

人混みを掻き分けて、どこか落ち着いて話せるような場所を探す。見えていないのにするすると誰にもぶつかることなく歩いていく。
『ごめんね? 楽しんでって言った手前、こちらで何とかしようとは思ってるんだけど』
バッジ越しにポチャの申し訳なさそうな声が聞こえてきた。フォースは比較的、人が少ないところまで来ると立ち止まって応答する。
「別に構わねぇよ。知っていた方が対応もしやすい。……んで? おれは何すればいい?」
『今はこれといったことはない。だから、情報だけ伝えておくよ』
そう言ってポチャからは大まかに今の状況を教えてもらう。この場に来ている組織のこと。それが原因で急遽、警備員を増員したこと。そして、一時的に目を覚ましたピカからの断片的な情報。
それら全てを黙って聞いていたフォースは、辺りを警戒しつつ頭を働かせた。
ピカが誰のことを指して言っているのかは分からない。交遊関係の広いために、目星をつけるのが難しい。が、闇組織に狙われるような人物がピカの近くにいるということになる。仮に誰かを狙っているのならば、どういった人物が狙われるのか。
「おれには心当たりがないが……単純にその組織にメリットがある人物……もしくはその反対か。そんな人物なんだろう」
『狙われるなら、だよね』
「あぁ。ま、この人の多さだからな。一人だけを狙っているとなれば、その人物を特定して守るのは無理だ」
『そうだよね。……でも、そうならないように警戒はしておくつもり。フォースもイブとチコのこと、お願い』
「頼まれなくてもそうするさ。……ところで、あいつが『ヴァンガル』のことを調べていた理由は? 怪しいからって理由だけでか?」
『どうだろう。ぼくはそこら辺の話、聞かないんだよね。調べものは得意じゃなくて。……最近、怪しい動きをしていたから、念のためじゃないかな?』
「ありえる話……だが」
隠し事が多そうなピカのことだ。それだけの理由で独自に動くとは思えなかった。他にも理由はありそうではあるが、考えるための材料が何もない。
「……まあ、いい。この状況で考えたって答えは出ないな」
『うん。ピカも確証はなさそうだった。……ぼくが聞いたものも、思考をまとめているのが漏れ出ていたんだと思う』
「はぁ。あいつ、あれこれ考えるの好きだな。なんつーの? 暗躍? するの趣味なの?」
『えっ? いや、そんなことはないと思うけど。性格と才能じゃない? 多分』
「うわぁ。嫌なやつだ」
『時々、辛辣な言葉が飛び出すよね。君』
ポチャの言葉に無言で答える。特に意識はしていないのだが、そこら辺は本心が出ているのだろう。本気で思っていることが出ているのだ。
そんなことを考えていると、ドンッと大きな音が辺りに響いた。頭上から聞こえてきた音であるため、花火が上がり始めたのだと推測した。とりあえず、ポチャに確認を取る。
「花火、上がってるのか?」
『そっか。目隠ししてるんだっけ? 今、上がり始めたみたい。予定通りだね』
「そうか。……じゃ、おれは戻るわ。早く戻らないとすぅがうるさいだろうし」
『あぁ……ごめん! 長く話しすぎた。それじゃあ、何かあればまた』
「おう」
連絡を断つと、息をつく。そして、先程通った道を戻ってイブ達の元へと急いだ。もちろん、誰かにぶつからないように注意しつつ、だ。
その間にもいくつもの花火が空に打ち上げられるが、フォースの目に映ることはない。見たところで大した感想は抱かないだろうが。



~あとがき~
つかの間の休息、なんだろうな。

次回、なんか起きる。多分。(適当)

今回は言うことないな……補足も必要ない……よね?
補足ではないけれど、イブのパーティー、チコ以外は皆、イーブイですね。家族かな?(笑)

ではでは!

空と海 第174話

~前回までのあらすじ~
ヤバイ組織の目撃情報……それに伴い、警備強化することになりました。大変。
ポチャ「胃痛がマッハだよ……助けて」
胃薬あるよ。
ポチャ「……飲む」
というか、元々君は王子様なんだからまとめるのは大丈夫でしょ!
ポチャ「それもあるけど、こんなところで武器を振り回すような人達がいることが胃痛の原因だから」
あ、そっちか。それは仕方ないや……
ポチャ「仕方ないやの一言で終わらせてほしくない……!」


プクリンからの申し出を受け入れると、彼はこくこくと頷く。ペラップが設けた時間はまだ残っていた。これからどうするかと考えることもなく、ポチャは救護テントの方へと足を運んだ。
入口を潜って周りを見てみると、テント内はこれからのことを考慮してか、傷の手当て用の道具等を急ピッチで揃えているところだ。備えあれば憂いなしということなのだろう。
そして、その更に奥。簡易的なベッドが数個並んでいるところの一つにピカが寝ていた。寝返りを打ったらしく、こちらに背を向けている。近付いて顔を覗いてみると可愛らしい寝顔で起きる様子はない。それがよかったのか残念だったのかはよく分からなかった。
「ピカ、大変なことになったよ。……君の仕事は見てた。でもさ、それと出来るかは別だよね。いや、出来る出来ないじゃないんだろうけど……うん。ぼく、けっこう弱気になってる」
ピカなら「情けないことを言うな」とポチャのことを鼓舞するのだろうか。あるいは「私のパートナーなんだから出来る」と励ますのか……どちらもあり得る話ではあった。
その場にしゃがんで、ベッドに顔を埋める。もう少しすればペラップが約束した時間になる。そうなれば、お祭りが終わるまで厳戒体制で警備をする必要があるのだ。弱気になれるのはこの限られた時間しかない。
「ピカはいつも、こんな重圧受けてたんだなぁ……なんでもない風にするから、全然気付かなかった」
ピカは立場上、あるいは才能があって誰かの上に立つことが多い。そして引っ張ることも作戦を立てるのも一人でやっていた。そんな彼女をポチャは影ながら支えていたと思っていたのだが、実際、立場が代わると今までが役に立てていたのか疑問になってきた。
「もう少し、傍にいていい? 久し振りに気分が沈んできてしんどくなってきた」
「……んっ……ポチャ? どぉした……?」
慌てて顔を上げると、薄目を開けてこちらの様子を窺うピカと目があった。起こしてしまったと罪悪感と同時に格好悪いところを見せたかもという焦りを感じた。
「んぁ……ここ、どこ? なんか、あった……の」
「あっと……えっとね」
見た感じ、まだ顔色も悪く、とてもじゃないが戦わせるわけにはいかないと判断した。相手は武器を使う可能性がある以上、ピカも雷姫を使わざるを得ないが、それが出来る状態ではない。とはいえ、下手に嘘をついて伏せておくのもピカは察して詰め寄る可能性があった。
「ここ、救護テントだよ。バトルが終わったあと、倒れちゃったの。覚えてない?」
「……あー……う、ん。太陽さんの……うん、わかる……死んだと思った……」
「浅葱さんにお礼言ってね。治してくれたの、浅葱さんだから。で、本当は基地に帰ろうかとも思ったんだけど、警備の人手が足りないって聞いて。ぼく、手伝いに行くことになった」
「……うん。……それで……?」
「手負いの君一人を基地に置いておくわけにもいかないって思って、ここに寝かせていたんだ。ここなら寝られるでしょ?」
嘘は何も言っていない。ただ、言いたくないことは伏せているだけだ。ピカは納得したのか、少しだけ開けていた目を閉じてポチャからも目線を外した。
「ん……理解、した。……で、ポチャはどして、そんな顔、してるの? 私が、無茶したから……じゃないよね。そんときは、怒った顔するもん」
「え? ど、どんな顔してるの、ぼく」
「ん~……不安そう……かな? よく、見てないから、なんとも……」
本調子でなくともピカはピカである。仲間のことをよく見ているものだ。これに関してはどう説明をしたらいいのか悩んでいると、ピカはゆっくりと慎重に上半身を起こす。そんなピカを制止するように立ち上がって肩に手を添えた。
「お、起きちゃ駄目だよ! まだ寝てなきゃ」
「そーなんだけど……そんな顔してるポチャ、ほっといて寝らんない…………ん」
ふわりと欠伸を漏らしつつ、両手を広げた。意味が分からず戸惑うポチャに痺れを切らして、ピカがポチャをぎゅっと抱き寄せた。これまた意味が分からずにあわあわしてしまう。そんな彼の様子に意にも介さず、ピカは動じることはなかった。
「え、あ……ん!?」
「どういう状況なのか、分かんないけど……私の代わり、してくれるんでしょ……?」
「えっと……そんなところ、かな」
そんなこと一言も言ってなかったはずなのだが、ポチャの様子を見て、可能性を考えたのだろうか。ドンピシャなことを言うピカにポチャは驚きつつもあくまで平然と受け答えする。
「じゃ、私が元気なるまで、任せるよ。……それなら、頑張れるでしょ……?」
「ピカ、参加するつもりでいるの? それなら気にしなくてもいいよ。ゆっくり休んでて。そのためにぼくが出るのに……」
「だぁからぁ……そんな顔してるポチャは、ほっとけない。だから、一緒にいてあげたい、けど、今の私じゃ邪魔になる……もう少し寝かしてくれれば、多分、大丈夫……になるよ。……大丈夫、ポチャ。私がいる……近くにいるから」
「……うん。ありがと。すっごい頼もしい」
「えへへぇ♪ だろ~」
抱き合っているため、お互いの顔は見えない。それでも、ポチャはお互いがどんな表情をしているのか簡単に分かる。それはピカも同じである。
ポチャの背中をぽんぽんと、ゆっくりあやすように叩いていた。そのピカの口からは、文章というにはあまりにも拙い、彼女の思考が漏れ出ていた。
「……敵はきっと、目的がある。……その目的は、読めない。情報が、足りない、から。……でも、いくつか、ある……可能性……が」
「知ってて、追及しないでくれたんだね。ピカ」
元々、『ヴァンガル』の詳報を集めていたのはピカだ。彼女が予測していたとしてもおかしくはないし、ここから本部までは大した距離はない。なんとなく聞こえていたのかもしれない。
ピカはポチャの言葉に何かを返すことなく、淡々と自分の考えを断片的に話していく。
「あの、組織と、手を……それなら、まも、らなきゃ……いけ、ない」
「守る? 来てくれてる皆を?」
「ちがう……たつ…断つ……? いや、そうじゃ……まもって、まもらない……と……あるい、は……」
「ピカ……?」
するりと力が抜けるように全身をポチャに預けてしまった。完全に意識を手放したようで、規則正しい寝息が聞こえてきた。
「敵の目的。守る。……あの子? あの子って誰? 知っている人なんだよね、多分。でも、ピカも確証があって言っていた訳じゃなさそうだった……どういうこと?」
そっとピカを寝かせ、布団を掛けてあげる。意識がなくなる最後まで、ポチャの力になるような情報を漏らしていたのだろうか。もしかしたら、考えていたことが無意識に漏れていただけかもしれない。いずれにせよ、彼女の考えの一部は共有することが出来た。
「……時間だ。行ってくるね」
ピカの頬を優しく撫でると彼女に背を向け、救護テントを出る。そして、ポチャはこれから起こる騒動へと足を踏み入れた。

「……雷姫。私はあとどれくらいで戦えるまでに回復する?」
「さあ……? 予想以上に入り込んでいたからの。マスター、気が急くのも分かるが、自分を大切にするのも必要ぞ」
ピカは自分の意識の中で雷姫に話しかけた。ポチャのあの様子だと、自分が予測していたより敵が早めに動いてしまったのは明白である。ピカが想像しているものでないのならいいのだが、微睡みの中でペラップの話している内容が聞こえていた以上、ほぼ確定だろう。
「くっそ。これは完全に予想外だ。……どうする。いや、体が使い物にならないんじゃ、どうしようもないが……はぁー! やってしまった!!」
「しかし、マスターがそこまで焦る必要はあるのか? 実力を認める者達もおるのだろう?」
「……視ちゃったから」
「“時空の叫び”か? いつ」
「さっきだよ。ポチャを抱き締めたときね……」
視たものを思い出すようにこめかみ辺りをとんとんと指で叩く。剣を持った人、双剣を構えている人、周りには何もない。何もないが周りの雰囲気は何かあったことを臭わせるものだった。音はない。声もない。ただの色褪せた映像。そんなものを視た。
「あれがポチャで首謀者なら……どうして、そんな展開に? ばったり? 偶然? 必然か?」
「マスター」
「剣を持ったあいつは誰だ? リストにはなかった顔……だよな。あー? いや、はっきり見えなかったな……確定的なことは言えない。なら、あの武器は?」
「マスター!」
「!? は、はい……!」
思考を一度止め、雷姫の方を見ると不機嫌そうにこちらを睨んでいた。
「一度、考えることを止めよ。さすれば回復も早くなる。今は体を休めることに専念せよ」
「……や、でも、考えちゃうっていうか?」
「なら、我が考えなくてもよくしてやろう♪」
「え、待って? 怖いんだけど……!?」
笑顔で近付いてくる雷姫になす術もなく、伸びてきた手に抵抗することも出来なかった。そこでピカの視界は暗転してしまった。こうなってしまうと、深い深い眠りへと落ちていくしかない。
その暗転する直前、雷姫の溜め息が聞こえたような気がした。



~あとがき~
思いの外、ピカとポチャがきゃっきゃっしてしまった……?

次回、イブに視点を戻して花火待機組!

弱ってるポチャくんもあんまりないですね。楽しかった。ピカも別の意味で弱ってますね!
ピカ「ムカつくわぁ」
ポチャ「あはは……」

雷姫、久し振りです。覚えているでしょうか。ピカの愛刀、雷姫様です。ピカの意識の中で好き勝手しているのは雷姫が主導権を握っているからですね。別にピカを操って何かすることはないですけど、本編のように自分のことを大切にしないときとか、休めって言ってるのに休まないピカを無理矢理休ませるときとか……ピカのことを思った行動しかしてないです。なんかこう……ピカが自分より他のことに没頭し始めるとやれやれって感じで制するみたいな。そんな感じ。
雷姫さんは本気になれば主の魂食べちゃう人なんでこんなことは序の口なんですね。あー怖い((←

ではでは!