satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第175話

~前回までのあらすじ~
ピカがちょっとだけ頑張って起きました。
ピカ「言い方!! その通りだけど!」
あと意図せずイチャイチャしてました……
ピカ「それは否定する」
ポチャ「あ、あれでイチャイチャっていうの? ぼくらはあれだよ。結構深刻な状況だよ……?」
それな!
ピカ「笑えないんだよなぁ」
ポチャ「すっごく振り回されてるよね、ぼくら」


花火の時間にあわせてこちらに来る人達もいるようで、人は増える一方。とりあえず、見える位置に座って陣取ることは出来たけれど、この人集りだ。帰りは混むんだろうなぁ……なんて呑気に考えていた。
「るーくん、一緒に花火見るの? あんまり興味ないと思ってたよ」
「えー? 花火って夏の定番なんでしょ? これだけ集まるなら楽しいってことだよね。俺、楽しいことは好きだよ!」
つまり、楽しそうだから見てみたいってことなのかな? でも、見たことないんだ?
「ないよ。知識はあるけど、それと実際見るのとは違うからね。何事も体験さ~♪」
「フォースはどうなの?」
「全く興味ない」
チコちゃんの質問にぶっきらぼうに答えた。さっきまでるーくんに子供扱いされ、ぎゅーっとだっこされていたからか機嫌悪いみたい。まあ、分からなくはないけど……ついさっき、やっと解放されたからか姿はいつものすーくんだ。目の色も戻ったみたいで、リボンで目隠ししている。それで花火は見えないだろうって思ったけれど、見る気は全くないってことらしい。あくまで私が見たいからついてきただけなんだな。申し訳ないような、もったいないような……変な気持ちになる。
「何が面白いんだよ……訳分からん」
「すーくん、心が荒んでる」
「うっせ」
「もぉ~♪ そんなかーくんも可愛いけど、女の子には優しくしてね?」
「誰のせいだよ。誰の!」
なんて言うけれど、るーくんには何も響かないようでけろっとした顔をしている。それはすーくんも分かっているから、これ以上は何も言わなかった。私とチコちゃんはお互いの顔を見合わせて、苦笑を浮かべる。
流石だな、るーくん。
「ピカさん達から話は聞いていたけど、結構な人だね? こんなものなのかな?」
チコちゃんの疑問に答えられる人はこの場にはいない。皆、見るのは初めてなんだもん。予測くらいは出来るかもだけど。
「今日のバトル見てた人とかいるのかも。毎年やってる雰囲気じゃなかったもんね」
「突発的だと思ったが、ラル以外の奴らは事前に聞かされていたんだろうし、予告はあったかもな」
「そうなのかな? 予告されてたんなら、ピカさんとかポチャさんとか知る機会はありそうだけど」
「耳に入らないようにすることは出来るだろ。そこら辺は情報操作でもあったんじゃねぇの?」
イベント一つで情報操作なんて大袈裟な気もするけれど、ありえない話ではない。相手はプクリン親方さん。やりかねない雰囲気はある。だって、やるって知っていたらピカさんはイベント参加の準備しているか、逃げる準備しているかだもん。
他愛ない話を四人でしていると、すーくんがいきなり立ち上がる。辺りを気にして、見回るような仕草をするけれど、目隠しのせいで見えていないはず。それにしても、まだ始まってないとはいえ、邪魔になるような行動しないでほしい。
「すーくん、どうしたの?」
「……いや。なんでもない」
「ふうん。なんでもないって感じじゃないけど? 言えないこと?」
「確証のないことは言いたくない。……さっきのバトルのせいでいろんなことに敏感になってるだけ」
そう言って座り直すのかと思ったら、今度は探検隊バッジを取り出して、連絡を取った。ポチャさんなんだろうけど、どうかしたのだろうか。すーくんは特に警戒することなく、ためらいもなく応答し始めた。
「どした? 今、必要か?」
そしてそのまま、話ながらどこかへ行ってしまった。すぐに帰ってくるとは思うけど、そんなに聞かれたくなかったのかな。……やっぱり、何かあるんじゃん。もう。なんで隠すかな……
「そりゃ、すっちーに余計な心配させないようにでしょ♪ 不安を感じさせない配慮じゃないかな?」
「うん……そうなのかな」
……やっぱり、何かあるんだよね? るーくんは何か分かる?
私がそう聞くと、るーくんは首を横に振った。そして、申し訳なさそうに笑った。
「うーん。この人の多さだからな~? 悪いやつがいてもさっぱりだよぉ。この姿じゃかーくんみたいに敏感になれないもん」
神様の姿なら分かったのかな。流石にこの場でなれるわけもないし、仕方ないか。
「そっか。ま、すーくんもるーくんもいるから、大丈夫……なはず!」
「あはは♪ そういうのフラグって言うんだよね、俺知ってるっ♪」
うぐぐ……そうなったら、やだなぁ。

人混みを掻き分けて、どこか落ち着いて話せるような場所を探す。見えていないのにするすると誰にもぶつかることなく歩いていく。
『ごめんね? 楽しんでって言った手前、こちらで何とかしようとは思ってるんだけど』
バッジ越しにポチャの申し訳なさそうな声が聞こえてきた。フォースは比較的、人が少ないところまで来ると立ち止まって応答する。
「別に構わねぇよ。知っていた方が対応もしやすい。……んで? おれは何すればいい?」
『今はこれといったことはない。だから、情報だけ伝えておくよ』
そう言ってポチャからは大まかに今の状況を教えてもらう。この場に来ている組織のこと。それが原因で急遽、警備員を増員したこと。そして、一時的に目を覚ましたピカからの断片的な情報。
それら全てを黙って聞いていたフォースは、辺りを警戒しつつ頭を働かせた。
ピカが誰のことを指して言っているのかは分からない。交遊関係の広いために、目星をつけるのが難しい。が、闇組織に狙われるような人物がピカの近くにいるということになる。仮に誰かを狙っているのならば、どういった人物が狙われるのか。
「おれには心当たりがないが……単純にその組織にメリットがある人物……もしくはその反対か。そんな人物なんだろう」
『狙われるなら、だよね』
「あぁ。ま、この人の多さだからな。一人だけを狙っているとなれば、その人物を特定して守るのは無理だ」
『そうだよね。……でも、そうならないように警戒はしておくつもり。フォースもイブとチコのこと、お願い』
「頼まれなくてもそうするさ。……ところで、あいつが『ヴァンガル』のことを調べていた理由は? 怪しいからって理由だけでか?」
『どうだろう。ぼくはそこら辺の話、聞かないんだよね。調べものは得意じゃなくて。……最近、怪しい動きをしていたから、念のためじゃないかな?』
「ありえる話……だが」
隠し事が多そうなピカのことだ。それだけの理由で独自に動くとは思えなかった。他にも理由はありそうではあるが、考えるための材料が何もない。
「……まあ、いい。この状況で考えたって答えは出ないな」
『うん。ピカも確証はなさそうだった。……ぼくが聞いたものも、思考をまとめているのが漏れ出ていたんだと思う』
「はぁ。あいつ、あれこれ考えるの好きだな。なんつーの? 暗躍? するの趣味なの?」
『えっ? いや、そんなことはないと思うけど。性格と才能じゃない? 多分』
「うわぁ。嫌なやつだ」
『時々、辛辣な言葉が飛び出すよね。君』
ポチャの言葉に無言で答える。特に意識はしていないのだが、そこら辺は本心が出ているのだろう。本気で思っていることが出ているのだ。
そんなことを考えていると、ドンッと大きな音が辺りに響いた。頭上から聞こえてきた音であるため、花火が上がり始めたのだと推測した。とりあえず、ポチャに確認を取る。
「花火、上がってるのか?」
『そっか。目隠ししてるんだっけ? 今、上がり始めたみたい。予定通りだね』
「そうか。……じゃ、おれは戻るわ。早く戻らないとすぅがうるさいだろうし」
『あぁ……ごめん! 長く話しすぎた。それじゃあ、何かあればまた』
「おう」
連絡を断つと、息をつく。そして、先程通った道を戻ってイブ達の元へと急いだ。もちろん、誰かにぶつからないように注意しつつ、だ。
その間にもいくつもの花火が空に打ち上げられるが、フォースの目に映ることはない。見たところで大した感想は抱かないだろうが。



~あとがき~
つかの間の休息、なんだろうな。

次回、なんか起きる。多分。(適当)

今回は言うことないな……補足も必要ない……よね?
補足ではないけれど、イブのパーティー、チコ以外は皆、イーブイですね。家族かな?(笑)

ではでは!