satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第206話

~前回までのあらすじ~
わー! ゾンビさんがたっくさんだぞー!? 大変!! 燃やさなきゃ! そんな感じでした。
ソル「紹介文がいつになく雑ですね?」
コン「語い力低下だねー!」
お、お主に言われるとなんか負けた気分……!!
もう最近、長い文章書けなくってね~
ソル「現役学生さんがそんなことではよくないですよ。もうすぐ、課題の季節ではありませんか」
あ、う……うぅぅぅっ!!
コン「おーばーきるだね、ソル」


資料室に戻ったソルは、重要であろう情報を持ち出す準備を進めていく。一番いいのは、全てを持ち出し、ピカに選定してもらうことである。しかし、そんな余裕もないし、何しろ時間も限られている。今回の事件に関係ありそうなものだけを選び、鞄に詰め込んでいった。
それが粗方済んだ頃、上を見に行った二人に連絡を取ろうとした時だ。一瞬、部屋の空気が変わったのだ。反射的に飛び退き、その場から離れた。先程まで立っていた場所から……つまり、床からにゅっと顔が出てきた。
「避けるんダ? 鋭いネ」
「お前は……ジュペッタ?」
「ソダヨ。こコで色んな実験してたのサ。ちょいと野暮用デね、外にいたんだヨ」
特徴らしい特徴もなく、普通のジュペッタに見える。普通のジュペッタは床から出てくるなどしないが、それ以外におかしな点はない。ジュペッタの言葉が正しければ、ここに所属する研究員といった立場なのだろう。が、ソルには釈然としない感覚があった。明確な証拠なんかはないため、言ってしまえばただの勘である。
「……帰ってみれバ、みぃんな死んじゃってる。ヤレヤレ、せっかく、いい研究場所ダッたのに。やってくれるねぇ」
「戦闘員ではないみたいですね」
「戦うヨリ、考える方ガ得意ナノさ」
「……では、簡単に降伏すると?」
「降伏? するように見エる?」
ニヤニヤと笑ったままそう問いかけてきた。余裕のある笑みに、相手には何らかの作戦があると悟る。そもそも、ここまで無駄話をするくらいだ。余裕がなくてはそこまではしない。余裕がないのなら、また違う反応を見せるはずである。演技が上手い可能性はあるが、そんなタイプには見えなかった。
相手の意図を考えていると、ジュペッタは相変わらず不気味な笑みを浮かべたままスッと消えていった。地面の中へと戻っていったのかもしれない。逃げるつもりはなさそうだった。そうなると、ソルを攻撃するため、何かを仕掛けるために下へと潜ったのかもしれない。
「ああいうタイプ、面倒なんだよな」
周囲の警戒をし、感覚を研ぎ澄ます。戦闘するならば、外なり広いところへ出た方がやりやすい。しかし、コンとチルを巻き込んで戦闘するのは得策でない。敵がどこから飛んでくるのかわからないため、的が複数あると予測が立てにくいのだ。今回の場合、的は一人の方がやりやすいということになる。
「そこか」
気配を察知した部屋の角、荷物の影に向かって、“あくのはどう”を撃った。しかし、地面に潜られると当たるはずもない。少しだけ覗かせていた顔を引っ込め、回避する。
「アハハ♪ オイラには攻撃なんて、無意味だヨ? 諦めればいいノに」
本棚の影からひょっこりと現れた。位置からして棚が邪魔して技が当たらないだろう。移動すればいいが、その隙にまた逃げ出すに違いない。
「生憎、敵は残らず倒す命が出ていますので」
「知ってるヨ。スカイのメンバー、デショ。あの雷獣が束ネる探検隊ダ♪ オイラ……いや、我々のボスも注目してルンだよ? 特に雷獣にはネ」
「変な奴に目をつけられてるじゃないですか……ピカさん」
「フフ。先に目をつけたのは、そっちだけどネ。さてさて、どうしてヤロウ? オ前、大して強そうじゃないけど、いい実験台になるカナ?」
「……は?」
「“支配シて”アゲル♪ クケケ♪ オイラの命令は絶対、ダヨ。とりあえず、“伏せ”てもらおーカ」
ジュペッタの目がキラリと怪しく光ると、ソルは抗えない力に体を押さえつけられる感覚に陥る。堪らず地面に伏せると、ふっと力は消えるものの、立ち上がろうとしても体が言うことを利かなかった。
「……はあ」
魔法みたいだなと他人事のように考えてしまった。そんな状況でないのは分かりきっていたのだが、敵の目的がいまいち見えてこないのだ。
「あの……何がしたいんですかね。滅茶苦茶にされた恨みですか? 僕を拐うとかそういうことですか?」
「何って実験ダよ。名高きスカイのメンバーに色々出来るなんテ、そうあるもんじゃナイ。面白いから、お前の自由を奪っタ。それだけだ」
「体の自由をですか」
「まあネ。ゆくゆくは、あそこにいタ奴等とおんなじ目に遭わせてたゲルよ?」
つまり、色々された挙げ句、最終的に操り人形のように駄目にしてしまうということらしかった。これが目の前にいる敵の目的らしい。かなりの私情が挟まっているが、それでいいのかは謎である。組織の一員として如何なものか。そんなことを考えつつ、どう打破しようか考えていた。
力業でどうにかなる相手ではない。体の自由が利かないとなると、コン達と連絡が取れない。その気になれば、ソルの意識すら乗っとることが出来るかもしれない。支配と行っていた以上、どこまで影響するのか分からない。命令は絶対と言っていたため、どんな命令にも逆らえないのではないか。
「……?」
ここまで考えて、疑問が生じた。
支配するとなれば、意識を奪い、仲間割れでも起こした方が早いのではないか。そう思ったのだ。一番手っ取り早いし、上手くいけば、上にいる二人も手にすることが出来るはずだ。それをしないのはなぜか。そもそも、体の自由を奪っただけで他のことは出来ている。例えば、思考。考える力はあるし、口にすることも出来る。体が動かないだけで、他のことは封じられていないのだ。
そうなれば、ソルのすることは一つであった。
「上にいる仲間に何もしていないだろうな?」
「ン? あぁ、あの女子供? 上には大量の死体がアッタ。それを操れば、イチコロ、デショ?」
「……まあ、大量だったけど」
「あ……敬語はやめタのか。生意気ダね」
「必要がないと思っただけさ。お前の機嫌を窺う必要もないと判断した。……だって、お前、弱いし」
最大限の笑顔で言い放った。そして、ジュペッタはソルが予想した通りの反応を返してきた。怒りに満ちた表情でソルの目の前まで近づき、どこからか取り出した拳銃を突きつけた。
「生意気。自分の置かれた状況、分かってないノ? どこと相手してると思ってンダ?」



~あとがき~
敬語を使わないソルはかっこいいと思う。

次回、ジュペッタVSソル! つっても、そこまで長引かないです! はい!

ソルの敬語を使わない相手は基本的にコンだけです。コンを舐めてるとかそういうことではなく、敬語が理解できない彼女のために普通に話してます。まどろっこしい言葉は混乱を招くのでね。
あと、単純にコン相手には敬語いらないわと思ってる節がある。はじソラで、お前に敬意なんて払わない的なこと言うシーンがあるので。恐らく!

ピカは変なところに目をつけられているし、目をつけているらしいです。お互いに喧嘩売ってるのかも知れませんね。

ではでは!