satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第16話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しむ物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化した前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はラルとティールの休日風景でした。あの後、買い物デートするんじゃないかな。うん。そこら辺はご想像にお任せします。
今回、視点は本編みたいにステラに置きますよ。
あの、久し振り……ステラちゃん。
ステラ「本当だよっ!!」


リビングにある背の低いテーブルで私とリーちゃんは、ノートとにらめっこしていた。新しく始まった授業で出された宿題をやっているのだ。
「この線ってどのデータの奴なんだろ」
「うーん……? 資料二? あ、三かも?」
「リーちゃん、しっかりして~」
数学っぽい内容で、データをグラフを照らし合わせて答えを導けばいいらしい。いいらしいんだけど、いくつも資料があってなかなかややこしい。これがどこで役に立つのか聞きたいくらいだ。
「すーくん呼んでこよ。さっぱりなんだもん」
「すぐに頼るなってこの前言われちゃったよ?」
そうなんだけどね? 分からないし、それに永遠に悩まされるのも変な話だよ。分からないものは人に聞く! これ、常識!
すーくんは珍しく、自室に籠って何かをしている。課題か何かかもしれない。本読んでるだけかもだけど。
すーくんの部屋をノックし、返事はないけれど扉を開ける。すると突然、目の前に何か飛んできた。避けられるわけもなくて、顔面に直撃。
「きゃうっ!」
「……あっ。ごめん」
「うー……何投げたのさぁ……?」
シンプルな黒いトップスにジーンズ姿のすーくんは「ごめん」なんて言う割りに、全く詫びる様子はない。くそぅ。
「課題」
「それは投げるものじゃないよね!? ぐしゃぐしゃにしてー!」
「あー……課題にムカついて、思わずいらん紙を丸めて投げただけ。提出はこっち」
そう言うと、ひらひらと紙を揺らす。足下に落ちている紙を広げてみてみると、確かに日付の古い授業プリントだった。それでも投げ捨てるものではないと思うのだけれど、こんな行動をするすーくんも珍しい。
「ラルからメッセージ飛んできたんで、紙、見てみたらアホみたいな間違いしやがって」
うぅん? プリントに間違いがあったってこと?
「そ。先人の記憶を間違えるなんて冒涜の何物でもねぇわ。くっそムカつく」
長い前髪の隙間から見える目を細め、冷めたものに変わっていく。そこそこ怒っている証拠である。普段は前髪を少しでも上げているからいいんだけれど、休みの今日は全部下ろしてある。そんな隙間から見られる私の身にもなって欲しい。例えるなら、狩人に狙われた小動物の気分だ。すーくんの目はそう思わせる威力ってものがある。
ま、間違いは誰にでもあるんじゃないかなぁ?
「書き写すなら確認しろって話だ。見本あるんだから間違えるとかあり得ないだろ」
……ソーデスネ……皆が皆、すーくんみたいに優秀じゃないと思うんだけどなぁ……まあ、私が何を言ってもどうにもならないだろうし、これ以上は刺激しないでおこう。
「……で? お前は何しに来たの」
あぁ、そうだ。課題プリントの誤植とかどうでもよかった! こっちの方が重要だよ!
「どうしても資料読み取りが難しくて! リーちゃんと頭悩ませて三十分経ってるので! お助けして……くれま、せんか……?」
「……はぁ」
心底呆れてますね……嫌そうな顔もしているけれど、椅子から無言で立ち上がり、リビングへと足を運んでくれた。
「あ、フォース!」
「どれ?」
「あっと……これ。最後の問題なんだけどね」
「ふぅん」
リーちゃんの課題をじっと見るすーくん。そして、別途に配られている資料にも目を通した。一分くらいの沈黙が続くが、すーくんはさっと資料を並べ始めた。それが並べ終えると、前髪を掻き上げ、ヘアピンでとめる。
「一回しか説明しないからよく聞け、お前ら」
「はい! 先生!!」

すーくんの指導のおかげで、きっぱりすっかり最終問題も解き終わった。説明してくれと言われても、困るのでご想像にお任せするけれど!
「フォースは凄いなぁ……これをちょっと見ただけで解いちゃうんだもん」
「おれを誰だと思ってるんだ。馬鹿にするな」
「感心してるんだってばー! ね、ステラ!?」
「そうそう! 私達のすーくんはすごいんだぞーって!」
「私達の、ねぇ?」
上げていた前髪を下ろし、ぐしゃぐしゃと乱暴に髪を整える。整えるのにそんな適当に触っていいのかと疑問に思うけれど、大して気にしない人なので仕方がない。
「すーくん、今日は何にもない?」
「何にもないよ。何? 外行くの?」
「ううん。お料理したい! クッキー作りたいの! リーちゃんもやろー?」
「うん。いいよー」
「いいけど……お前ら、型抜きするんじゃあ」
それが楽しいんじゃないか!
すーくんは心底面倒な顔しているけれど、私がやめるなんて言い出す訳がないことを知っている。無駄な言い争いは時間の無駄というものだ。
「あれ、洗うの面倒なの知ってる? とりあえず、昼飯と平行して準備するけどさぁ。いきなり、クッキーて……何か企みでもおありで?」
私達の家はダイニングキッチンだから、すーくんが何かしているのはリビングからでも見えるし、会話も出来る。お昼の準備をしているすーくんと、リビングに広げたままの課題を片付ける私達。そのまま話は進めていく。
「ないよ? でも、お休みだから、何かしたいなって?」
「他にもあんだろ。公園行って遊ぶとか、ラルん家突撃するとか」
ラルさん達のお家かぁ……でも、二人で仲良くしてるかもしれないし。お邪魔するのはちょっと?
「確かに! デートしてるかもだね!」
「りぃまで……んなこと言い始めやがって。でもまあ、その可能性はあるな。探検隊の仕事ないみたいだし」
学校じゃあ、ラブラブしないみたいだもんね。休日は探検隊のお仕事でラブラブしないし。今日はラブラブしてるのかな。してるのかな!?
「それこそ、家行って見に行けよ。近所だろ」
「邪魔したくないって話したじゃん! すーくんの分からず屋ー!」
「覗けって話なのに」
私に犯罪を犯せと!? 冗談で言っているのは分かるけど、制御者としてどうなの。保護者として!
パッと課題をリーちゃんとの共同部屋に置いてくると、再びリビングに戻ってくる。そこですーくんに二つのビニール袋を渡され、中身を混ぜろと命令された。多分、中にバターと粉が入っていて、混ぜて冷蔵庫で寝かせればクッキーの生地が出来るはず。リーちゃんとリビングで、中身が溢れないように優しく揉んでいく。
「一から作るのやだな。……何入ってるの、うちの冷蔵庫」
二、三日前に買い出しして帰ってきてた気がするけど? 雫君を連れてきた日。違ったっけ?
「……あぁ、ツバサ達と色々あった日が最後の買い出しか。買い足し行くべき……いやぁ? これであと一週間は持つだろ。多分。頑張れ、おれ……」
どんなものが入っているのか知らないけど、野菜とかは無理なのでは?
「野菜は学校の帰りに買うからいいわ。……昼、うどんでいい?」
「いいよー!」
ご飯食べたらクッキー作るぞー!



~あとがき~
終わりが見えないのでぷっつんしました。
この後、仲良くお菓子作りすると思われます。

次回、通常運転に戻り、舞台を学園に移します。
平和な学園に事件発生……?
これにシリアス展開なんて(ほぼ)存在しません! 楽しんでってね!!

本編と大してノリの変わらない三人でした。フォースがいつも以上に保護者してるだけ? いや、そんなに変わらないや。何でもない……

プロフ紹介でも書いたけど、この世界でのラルとティールが恋人設定なのか問われると微妙ですね。どう考えても、友達以上、恋人未満。だって、奥手であるはずのティールが全くだもの! どっかいってるもの! 何かきっかけ的なエピソードあるといいね。ほら、ティールが気持ちに気づく的な。そんなエピソードをおくれよ……(丸投げ)
ぶっちゃけ、ティール……というか、ポチャはポチャで鈍感なところあるキャラなんです。だって、本編(はじソラ)で気持ちに気付くのも遅いもの。他人からあれこれさんざん指摘され、気付くんだもん。……これはラルが頑張るしか……あいつはあいつで動くタイプじゃないんですよね。オワタ…
……あれ? 何の話してたっけ?

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第15話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でハチャメチャしまくる物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化した前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサちゃんが生徒会にメンバー入りしました! ラストに教頭の了承もさらりと貰っているので、正式メンバーですね。
ラル「あの短い文章でさらりと……」
今回は学園のお話をお休みして、休日風景をお届けします。探検隊のお仕事もしません。
ラル「よっしゃあ! 仕事ないー!!」
いつかやりますけどね。
ラル「……」
ティール「テンションの落差酷い」


自然に任せてゆったりと目を開ける。ベッド横にあるサイドテーブルに置かれた目覚まし時計を見ると、いつも起きている時間だ。目覚ましをセットした記憶はなく、休日であることは明白であった。
「……んぁ」
二度寝してもいいのだけれど、洗濯しないといけないし、掃除もしないといけないし、ご飯作らないといけない。……うん、起きよう。
体を起こし、ベッドから降りる。パステルの空色を基調とした部屋をぐるりと見渡す。そこまで散らかってはいないものの、そこら辺に紙が散らばっていた。寝ぼけ眼のまま、紙を拾い、パソコンが置かれた机の上に乱雑に置く。どうせ、この紙も探検隊絡みの内容なのだろう。ま、今はどうでもいい。
カーテンを開けると、光が部屋を包み込む。ふわりとあくびを溢しつつも、サイドテーブルから普段着けている黒のリボン二つを手に持った。そして、姿鏡の前に立ち、リボンで適当に髪を二つに括った。目の前には、シンプルな部屋着姿で眠そうな女子が写っている。いい加減、目を覚ますべきか。
「あ、今日は私とティール、仕事ないんだっけ。……ふぁ。めっずらしぃ……何しよぉ」
そういえば、机の上の卓上カレンダーには、何も予定は書かれていなかった。来週はあるらしいが、今日は何もない。嬉しいことだ。
部屋を出て、階段を降りる。探検隊チームでのシェアハウスで、二階がそれぞれの個室、一階が共同スペースになっている。が、今日は私とティールしかいない。成人組の二人は仕事で、灯こと、ともは友達の家にお泊まり。しーくんは、二、三日前からお世話になっているおじさんところに行っている。
二人か……楽でいいな。洗濯物少ないじゃん。やったぜ。
降りた足で脱衣所に向かい、洗濯機に洋服を放り込む。洗剤と柔軟剤を突っ込んで、スイッチオン。あとは呼ばれるまで放置だ。
「ご飯……二人だと雑になるんだよなぁ。いや、朝起きてこねぇし、あいつ。作る必要性なくない?」
まあ、文句を言ってても作るんですけどね。癖ですね。サンドイッチでいいかぁ。
キッチンに入り、食パンを手に取る。適当な具材も冷蔵庫から取り出して、手際よく切っていく。ここまでやっておいてなんだが、市販の惣菜パンを食べればよくないかと思う。思うんだけれど、手が勝手に動いているから、病気かもしれない。
一時間ほどで全てを作り終わり、サンドイッチとフルーツをテーブルに並べる。サンドイッチは冷蔵庫からレタスやらなんやらを挟んだ。サラダサンド……味気ないな。いや、昨日の残りの揚げ物とか挟んだやつあるし、バランス大切だ。うん。
「食べて洗濯物干して、ティール起こす……?」
一人で食べる食事ほど空しいものはないぞ。よし。
再び二階へ上がり、ティールの部屋を無断で開ける。内側から鍵はかけられるが、ティールは一度もかけたことはない。朝弱いのを自覚しているため、起こしに来れるようにしているのだ。気が利くというか、手間をかけさせるというか。
青と白メインに整頓された彼の部屋。そこには目もくれず、窓へ一直線に向かい、カーテン開けた。そして、仕上げにティールを布団を剥ぐ。ティールは唸りつつ、猫のように丸くなった。
「起きろ。朝です」
「あうぅ……お休みなのに……学校もないのに……」
これを見ると、立場逆転だなっていつも思う。朝だけは本当に弱いティールだ。
「ご飯作ったよ。食べよ」
「んぅ……あぃ」
普段はきっちりしているティールも朝限定でふにゃふにゃになっている。まあ、毎日見ている私には、珍しくはないんだけれど。
眠気でフラフラのティールを手を引いて一階に降りる。椅子に座らせ、頭にチョップを一撃。
「あいたぁ!? え!? さっきまでエスコートしてたのに!」
「ご飯の時間です、お坊っ……違うか。ティール王子」
「その呼び方やめて……怒るよ……」
「はいはい。何飲みますか~」
「リンゴー」
へーい……私もそれでいいか。
リンゴジュースをコップ二つに注ぎ、席につく。二人で手を合わせ、声を揃えて号令をする。
「今日、ラルとぼくだけなのか」
「不満?」
「そんなこと誰も言ってないだろー……そだ。課題出たじゃん? 古代文字の訳文」
そんなのあったっけ? 私、取ってる?
「取ってるよ! 探検家になるためのカリキュラムのひとつだから。んで、そこの文がいまいちピンと来なくて、ラルはどうした?」
覚えてないな。やってないか、やって忘れてるか……うーむ。
サンドイッチを咥えたまま、二階へと戻るティール。一分もしないうちに帰ってきて、手には言っていたプリントがある。無言で差し出され、仕方なく受け取った。
手書きのそれをパッと見ても記憶は呼び起こされないけれど、じっと問題とティールの訳を見ていると、なんとなく思い出してきた。あぁ、これか。となると、詰まっているのは最後の文章だな?
「これ、原文とプリントじゃ文章変わってるんだよね。これじゃ、正確な訳は出来ない」
テーブルにプリントを置き、ある箇所を指差した。ティールはその部分を見るものの、私の言う原文を思い出せないらしく、首を傾げている。
「え、あ、そういうことなの?……原文って?」
「あー……南東にある遺跡の壁画の一部。なんだっけ。……マトドゥ文明?」
「砂漠の?」
「そうそう、砂漠の。行ったよ。私ら」
そこの文明は何がよかったとかはないけれど、賢い文明で、壁画にも絵が多く文字もちらほら使われていた。なかなか読み解きやすく、こうして教材としても使われることが多い。そんな現地に行った経験はあるが、大した収穫はなかった。だから、ティールの記憶にも残っていないらしく、少し驚いた様子だった。
「うっわ。覚えてないな」
「だろうね。私も壁画が綺麗に残ってて、めっちゃ見やすいって印象だった。そもそも、近くを通ったから見に行こうってなっただけで、探検でも何でもなかったし。観光」
「うーん。本当に覚えてない。……今度行ってみてもいい?」
「近く通ったらね。で、まあ、プリントだけど適当にそれとなーく意訳すると……愛はいいぞ、てへぺろ~みたいな。あ、こうにもならないんだけどね? 文字抜けてるし、きっとこうだろうなって汲み取って訳したら、そうなる」
「どんな文章だよ……原文は?」
「その文明の結婚文化について書かれてたと思うけど。あー……個人の愛は関係なく、親の愛のみ受け入れよ。みたいな。つまり、親の言う通りにしろよ、このやろ♪……的な?」
「かっる……意訳はともかく、そういう時代のか」
「そうだね。やな時代だ」
二人でジュースを同じタイミングで飲む。ほっと一息ついてから、再び口を開く。
「答えとしては愛はいいぞってことなんだけど、フォース君、プリント丸めて投げ捨てるな。……連絡してやれ」
フォース君のことだ。プリントなんてやってないだろうし、そんなんあったっけ、とか返ってきそうだ。どんな反応を示すのか楽しみである。
「……答え、どうしよう?」
「愛はいいぞって書いとけ。私は原文を古代語で書きますけど」
「先生に対するいじめ!?」
そうかな。間違えた先生が悪くない? 手書きではなく、画像なりをコピーすればこのような間違いは生まれなかったものの。わざわざ手書きにした意味を知りたいものだ。
「どんな答えでもいいか。ありがとね、ラル」
「いえいえ~」
「ご飯食べ終わったら、買い物にでも行かない? せっかくの天気だから」
「おー……いいね! あ、ティールって兄弟いたっけ」
「いないよ。親戚で年の近い人はいるけど。いきなりどうしたの?」
いやぁ、この前、ツバサちゃんが楽しそうにお兄さんの話をしていたから。兄弟ってどんなものかと思っただけだよ。
「あー……ぼくも知りたいかな? そう考えると、うちのチームは一人っ子ばっかりだよね。クラウには妹だか弟がいるみたいだけど。会ったことないかも。……ムーンはどうなんだろう?」
あの人、家族の話しないから知らないなぁ。長いこといても、分からないことは多いものだ。ともは孤児だし、しーくんも私達で育ててるからいないし。……下手したら、一人っ子だらけの謎パーティーになってない……!?
「まあ、いいじゃん。個性豊かで」
「豊かすぎる……困るの私じゃない?」
「ラルには兄弟、いたかもね~? お姉さん気質だし、あり得なくないと思うよ」
そ、そうかな。そうならなきゃ駄目じゃない? この家。……うーん。そんなことはない、のかな。
考えても仕方がない。せっかく、外出すると約束したのだから、変なところで時間を使うのもおかしな話である。私は残りのサンドイッチを口に放り込み、椅子から立ち上がる。ティールのお皿も回収し、シンクの中に置いた。さっさと洗って、さっさと洗濯物干しますか!
ティール、家の戸締まりとか見てきてね」
「はーい。一時間後には出れるように頑張る」
それくらいあれば問題ないだろう。さっさと終わらせて、ゆっくりした休日を過ごしましょう~♪



~あとがき~
本編より恋人っぽい?
……いや、そんなことはないか。

次回、フォース、ステラ、リーフの休日を覗いてみましょう! はい!

ラルが普段から家事を一手に引き受けている訳ではないです。ご飯担当……というか、お金の管理は彼女がやっていますが、他は出来る人がやってくれみたいなスタンスです。が、ティールとコン……あ、ともはやるなと通達が出ているので、ラルとムーン、クラウの三人で手分けしてる感じです。雫はまだ幼いので、お手伝い出来るもん状態。
……ムーンはソルでクラウはチルね!
いうて、クラウはお姫様設定抜けてないので、実質、ラルとムーンだけでどうにかなってるような気もします。

ではでは!

未熟な新芽が華開くとき

~前回までのあらすじ~
《この物語は死ネタ、暴力表現等の過激な表現が含まれます。閲覧する際はご注意ください》

っていうのをつけなきゃなって思った……そういう話だわ、君達のやつ。
ヴァルツ「……今更?」
あい。……今更です……あぃ。
もえぎ「あぅぅ……」
とまあ、気を取り直して! 前回はあれだね。ほのぼのっと終わったわけで! 本題に入れなかったんですね! はい!! 今回こそは、やりますよ。はい!!
ヴァルツ「なぜ、ここまでテンションが違うのか」
もえぎ「あ、あげないと、やってけない……のでしょうか?」
ヴァルツ「一理ありそうだな」


あれからしばらくして、難しくないお仕事をいくつかこなした後のことでした。お休みと言うお休みもなく、やっと一段落ついた頃。
「ぬー」
「あ、えと……ナエさん? どうかしましたか?」
親方様の右腕のナエさんがどこからともなく現れました。私はまだ、ナエさんの言うことはなんとなくしか分かりませんが、ヴァルさんはしっかり汲み取れるようで、嫌な顔をしています。
「呼び出しに応じたくないって言ったら?」
「ぬん」
「……了解」
今回は多分、親方様が呼んでいるから、来てくれないかって話みたいですね。
ナエさん先頭に二人で親方様のお部屋へと向かいます。こういうときって、基本的には難しいお仕事を任されるイメージがあります。過去の経験から、そんな風に考えてしまうのです。
「今回は何するんでしょう……?」
「ろくなことじゃないだろう。……最近、平和で楽だったから、気が乗らないな」
ぬんぬん」
「同意するなら、面倒なことを任せないで欲しいんだが?」
「ぬー」
「……好き好んでこの地位にいない」
あうあう。話のテンポが早すぎて、ナエさんの言っていることが変換出来ません。
お部屋の目の前につくと、ナエさんが扉を開けました。……いえ、開けようとしました。こちらが開ける前に勝手に開いたのです。自動ドアではありませんから、誰かが親方様の方から開けたことになります。……先客、でしょうか?
中から出てきたのは、私達のギルドに加入していない人でした。ピカチュウの女の子で私と同い年くらい。空色のスカーフを身につけて、肩掛け鞄を持って……可愛らしい人です。
「あ、なーさん。それにヴァルツさんも」
「ぬー」
「来ていたのか。相変わらず、面倒事に首突っ込んでいるのか?」
「そんなことはないですけど……まあ、色々ありまして。ミーさんに会いに来たんですよ。主に親方に任されたお使いです。変なことはしていませんっ」
困ったように話すピカチュウさんは、私に気づいたらしく、こちらに目を向けると、にこりと笑いかけてくれました。どう反応していいか分からず、硬直している間に、ピカチュウさんの目線が外れてしまいます。
「それでは、私はこれで。相方を待たせているので早く行かないと。……ヴァルツさん、近いうちにまた会いましょう」
「そうだな。また」
「はい。では、失礼します」
ぺこっと頭を下げると、私達が来た道を歩いて行ってしまいます。結局、誰なのか自己紹介する間もありませんでした。
「ヴァルさん、あの方は……?」
「探検隊スカイのリーダー、ピカだ。四天王補佐をやっているから、今回はそれ関連で来たんだろう」
探検隊?……スカイって、あの、有名な?
「ぬ~」
「ふえぇ……あんな可愛らしい方がチームを率いているんですね。……凄い人です」
「人は見かけによらないってね」
……ヴァルさん、前からお知り合いだったんですか? 会話がそれっぽかったです。
「そこまで深く付き合ってはないが、何かと話す機会はあるな。……とにかく、俺達も入ろう」
「ぬぬん」
「あう。……そうでした。行きましょうか」
ピカさんが出てきた扉を私達は潜ります。その部屋は両側を本棚に囲まれ、膨大な資料に囲まれている場所でそんな部屋に親方様はいました。
「ご苦労様、ナエ」
「ぬぅ」
「親方、今回はなんですか」
ぶっきらぼうに聞くヴァルさんに私はひやひやします。親方様はギルドのトップ。そんな方に失礼のないように心がけるのが普通なのに……あぁ、ヴァルさんに言ってもあまり意味はないですね。きっと。
「あはは♪ 君に世間話なんていらないよね? 単刀直入にいこう。ヴァルツ、君は『神殺し』の噂は知っているかな?」
「いえ。……あ、いや、どこかで聞いたな」
思い出そうと考え込むヴァルさん。その間、私はおずおずと質問を投げ掛けます。
「あ、あの、神様、死んじゃうんですか……?」
「さあ? 一応、あくまで通称……比喩のようなものではないかと僕は思っている。けれど、実際のところは判断はしかねるね」
あう。曖昧です……
「……あ、ギルドの奴らが騒いでいた件の?」
「そうそう! 流石。話が分かるね」
「ヴァルさん、その話って……?」
「今から約二週間前、ある場所の調査に出て行った奴らが戻らないと騒ぎになっているんだ。それを探しに行った部隊も戻らずだ」
「行方不明……ですか?」
「一言で済ますならな。被害人数は二桁後半ですよね。……そろそろ三桁の大台にでも?」
「そうなりたくないから、君を呼んだんだよ? いやまあ、こういう謎解きっぽいやつは探検隊に任せたいところで、ピカちゃんにもさらっと聞いたんだけれど」
親方様のため息をつく様子から、断られた……みたいですね。被害がたくさん出てますし、出来ることなら誰も触りたくない案件ではあります。
私はそう感じたのですが、ピカさんが断ったという事実が予想外だったらしく、ヴァルさんは少し驚いたように息を飲みました。
「ピカが親方の頼みを? なんて言ってました?」
「単純。『危ないのでやりたくありません』ってね。いつも危ないことしてるのにね」
「……手を引くべきでは?」
「引きたいけれど、そうもいかない。そこは近くに村もあって住人の安全を確保するのが最優先。いなくなったって話は聞かないけれど、明日以降もいないとは言い切れない。せめて、危険はないと確証が欲しいんだ。やってくれる?」
「俺が嫌だって言ったら?」
「あは。嫌だなんて言う権利、君にある?」
あ、あわわっ! ピリピリムードです! どうしましょう!? ええっと……!
このまま一触即発もあるのではと危惧しましたが、そうはなりませんでした。ヴァルさんが大きなため息をつくと、くるりと身を翻します。そして、部屋を出ていこうとしました。
「明日、現地に向かってね。よろしく、ヴァルツ」
親方の言葉に振り返ることも返事をすることもなく、ヴァルさんは出ていってしまいました。思わずじっと扉を見つめてしまいましたが、置いていかれていることに気付き、慌てて親方様のお部屋を後にします。もちろん、出る前にお辞儀はきちんとして。
部屋を出ると、置いていかれることはなくて、ヴァルさんは扉の近くにいました。そして、誰かに連絡を取っているみたいです。
「ヴァルさん、その、あのお話は……」
「受ける受けないで片付く話じゃない。俺達は結局、あの人の駒なんだ。……あ、繋がった。まだ近くにいるか? 話がしたいんだが」
駒……まあ、そうですね。偉い人に使われるのが普通です。行けって言われれば、行くしかありません。やれと言われれば……やるしかないのですから。
「OK。そこにいてくれ。すぐに行く……あぁ、いいよ。それじゃあ」
「誰かと会うんですか……?」
「さっき会った奴にね」
……ってことは、ピカ、さん……?



~あとがき~
前回更新から、三ヶ月以上も空いてました。そんなに空いてるとは思ってなかったです。申し訳ない!

次回、ピカが知る事件の内容とは?

こんな早くにピカが出てくる予定はなかった。
次はポチャもいると思います。そこまで喋らないと思うけど。

ナエさんも出てきましたね。もえぎはまだ解読出来ないみたいですが、いつになったら習得出来るんだろう? 私は書いていて、「こんなセリフを言わせるゾッ!!」ってイメージはありますが、読み手には絶対伝わらないですね。……周りが言ってくれてるから、いいけど、言わないときもあるから。そういうときは察してね!

きな臭い話が出てきましたが、最後までお付き合いください。

ではでは!

Fantasy world 五周年

経ってました。過ぎてました。(驚き)
そこまで経っていて、公開出来ている話数は十話ちょい。もう、打ち切りにした方が潔い気がしてきました。それくらい手をつけてません。
大筋のストーリー公開をした後、書くのやめた方がいいのではと思う……あれだよね。抱え込みすぎなのよ。私が! 無計画に!! F.Wの終わりは考えてあるのですが、そこまでたどり着けるのか謎ですね……もう五周年を機に設定公開して終わりでもいいかなぁ……なんて思ってます。気が向いたら、書きたいところだけ書いて出す、みたいなことしようかな。
空と海はメインでやっていて、約束もその続編にあたるのでいつか最後まで書きます。が、番外編みたいなF.Wはまあ、なくてもいいよねポジションなのがよくないのか……うーん。


イオ「知らない間に打ち切りにされるらしいぞ」
ジュン「序盤も序盤なんですけどね~
ろくに紹介すらしていない人達もいるじゃないですか。魔法バトル! みたいなこともしてませんし? いや、あるのか知らないんですけど」
エルナト「放置プレイも悪くないから、このままでもいいよ!」
ジュン「エルナト様は黙っててください」
イオ「ま、五周年はおめでたいから、おめでとーで終わりでいいんだよな?」
ジュン「はい。そこはよろしいかと」
イオ「んじゃ、これからどうなるか知らんけど、これからもよろしくー」
ジュン「年に一話程度の更新なので、ほぼ書く気なさそうですね。もう打ち切り説濃厚です。……えーっと、締めの言葉はイオ様とオレ、ジュン……あと、ついでにエルナト様でしたぁ」

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第14話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
色々見たけど、結局振り出しに戻されるツバサちゃんでした。
ラル「帰宅部楽しいぞぉ」
ティール「き、帰宅部。間違ってはないけど」
フォース「肩書きはそうでも、生徒会だからなぁ」
ラル「それな」
君達は生徒会っていう部活だよね。
では、始めまーす!


ツバサちゃんはしょんぼりした様子でアラシ君を見上げた。ここまでしてきた理由は、彼女の部活探しである。現状はやりたいと思ったものの、危険だと止められ、周りの賛同が得られず断念。
では、その先に待つものは何か。
双六で言うならゴール付近にある、振り出しに戻る、である。要は、初めの議題に戻った訳だ。
「他になかったのか? これやりたいってやつ」
「うーん……」
煮え切らない返事に全員が困ってしまう。自分のことではないけれど、それなりに頭を悩ませ、考える。何かいい案はないものか、と。
……ん? そもそも、無理して部活をやる必要もないのでは?
「ここまで躍起になって探す必要ある? 無理矢理入っても楽しくないだろうし、帰宅部って選択肢もあるよ?」
「そうなんだけど……帰りは送ってやらないといけなくて、でも俺らは部活あるし」
お嬢様は辛いなぁ~……そういうことか。
アラシ君やレオン君と帰るためには、時間を潰す必要がある。それなら、ツバサちゃんも何かしら入部すれば時間を無駄にならない……みたいな感じか。さながら、きっちりお守りする騎士のようだ。専属騎士……ナイト様ね。
「はぁ。私もお守りして欲しい……言うこと聞く執事が欲しいぃ!」
「執事にはならないけど、ぼくがお守りしてるでしょ、リーダー?……適当なこと言ってないで、ちゃんと考えてあげて」
「あう。パートナーが冷たい……」
ティールの塩対応に心を涙で濡らしつつ、思考を巡らせる。今必要なのは、ツバサちゃんの居場所。二人が気にせず部活に打ち込めるような安心出来る場所が好ましい。……ふむ。
「ツバサちゃん、ここ以外に行きたい部活はなかったんだよね」
ツバサちゃんの目線に合わせ、ゆっくりと話す。ここの認識を間違えるわけにはいかない。
「は、はい。でも、ここもアラシ達が駄目って言うので……どうしたらいいんでしょうか、ラルさん」
「簡単だよ。私のところへおいで、ツバサちゃん」
「……ほえ?」
「はあ? 私のところって……え、生徒会!?」
「ほー?」
「ラルさん!?」
アラシ君、レオン君、シエル君の反応は様々だ。その中でも一番の驚きを示したのは、後輩達ではなく、私の相棒だ。黙ったままだけど、表情で察した。この後に反論されるはず。
「ツバサちゃんがいてくれたら、仕事も捗るし、アラシ君達も部活行けるじゃん? よくない?」
「……ちょっと待った。生徒会役員は選挙で決定される。こんな時期に新たな役員なんて迎えられる訳ないだろ?」
さあ、正念場だ、私。ティールを説得出来なければ、実現はあり得ない。まあ、負けるわけないんですけど!
ツバサちゃんの頭を優しく撫で、立ち上がる。そして、ティールに向かい合った。
「確かに役員編成は選挙で決定される。けれど、大きな行事の前に臨時で人員は集めるでしょ。それと似たようなものだって。私の助手って名目で皆には説明する」
「……それで納得すると思ってる?」
「ツバサちゃんの優秀さは周知の事実だと思うけれど~? 十二才の才女様だよぉ?」
彼女の能力は折り紙つきだ。更に飛び級という実績が裏付けられている。疑う人も反対する人もいないだろう。というか、私に意見する相手もそうはいないし、色々後ろ楯もある。ツバサちゃんが不利な状況に追い込まれる可能性もほぼあり得ない。
「教頭なら口で捩じ伏せるし、校長も理事長も許してくれるだろうし? 変なことしようとしてるわけじゃないんだからさ。……そんなに言うなら、私達の力になるのか見極めてみればいい。試験期間を設けて、ね?」
「OK……分かった。そういうことにしておくよ」
よっしゃ! 勝った!
私とティールの攻防を呆然と見ていた四人だったが、はっと我に返ったように私を見る。
「え、えっと、つまり、どういうことになったんだ?」
「アラシ君達の部活が終わるまで、生徒会でお預かりするって計画! 上手くいけば生徒会所属ってことにして、事務仕事をしてもらう。これなら危険もないし、問題ないでしょ?」
「ま、まあ、確かに……?」
「あ、もちろん、ツバサちゃんがよければだけど。どうかな? 生徒会の一員として出来るところを見せてくれればティールも許すって~」
「そういう体にしておかないと、色々反発が来るからね。主に教頭だけどさ」
確かに。使えるという事実は示すべきか。なんだ。ティールも案外乗り気なのか。
「わ、私……私なんかがラルさんの力になれますか?」
「うん。というか、なってもらわなきゃ、この案も破綻するから。頑張れツバサちゃんっ♪ 私の今後のためにっ!」
「はい! 頑張ります! ラルさんのためにっ!」
ふんすと鼻を鳴らし、気合いを入れるツバサちゃん。どうやら、興味は私達の方に向いてくれたらしい。よかったよかった。これで間違っても、またパルクールへと興味は移らないはずだ。
「とりあえず、今日は解散して……また明日、生徒会に来て? アラシ君達も部活終わったら迎えに来てね」
「お、おお……でも、そこまでしてもらっていいのか?」
「うん。私の活力になるから問題ないねっ♪ それを得るためなら、どんな手段使っても双方からの合意は得るから~♪」
にこやかに答えたつもりだけれど、アラシ君は少し体を震わせていた。なぜそこでビビるのか謎だったけれど、特に言及はしない。

ティールさん、ここの数字、去年のとズレがあります。他の数字に違いはないので、記載ミスだと思うんですけど」
「んー……あぁ、本当だ。ありがとう、ツバサ」
「いえいえ!」
ツバサちゃんが仮の生徒会役員として加盟して、三日。私の想像以上の働きを彼女は見せていた。言葉通り、認めてもらうために頑張っているらしい。これで仕事も捗るし、ツバサちゃんの安全は保たれるし、win-winな関係と言える。
他のメンバーにもお試し期間とは伝えてあるものの、ツバサちゃんの要領のよさ、的確な目を持っている。これで反対する人達はいない。実際、試験期間なんてやめて、本格的に迎え入れるべきだと肯定的な意見すら耳にするくらいだ。
「ツバサが働いてくれてるっていうのに、ラルは呑気だね? 書類に目、通したの?」
私の机に乗っている小さな書類の山。それを一瞥し、窓に視線を戻す。
「んあ~……後でやるわぁ」
「一時間前にも同じセリフ聞いたんだけど!?」
「ツバサちゃーん。私のとこおいでぇ」
「はーい♪」
読書中のフォース君の隣で仕事をしていたツバサちゃんは、ファイルを持って、私の目の前に駆け寄ってくる。そんな可愛らしいツバサちゃんをだっこし、膝の上に乗せた。
「はー……私の癒しだよぉ」
「えへへ~♪ 元気出ますか?」
「出るっ! しばらくこのままがいいなぁ?」
「もお! ラルってばぁ! 後回しばっかり!」
「ほっとけ。結局、後になってまとめてやるような奴だ。首絞めてんの。そういう趣味なんだろ」
本から顔を上げずに、助け船なのか茶々なのか分からないような言葉が飛んでくる。そんな趣味はないが、訂正したところで、意識は変わらないだろうし、注意する意味もないだろう。
「……というか、君も全体の会計報告書、出てないんだけど?」
「そんなのありましたっけぇ?」
「フォース! 君までそんなことを!?」
「嘘でーす。ラルの机の上で会長様の判子待ち」
「……はぁ。……ラァァルゥゥ!?」
「知らなぁい」
ティールの怒号を聞き流しつつ、頭では別のことを考える。これからどう動くべきか、である。
生徒会メンバーの合意は得たと思っていい。次は教師陣か。校長、理事長はいいとして……というのも、理事長に関しては、ツバサちゃん自ら話したらしく、その後で娘をよろしくね、とありがたいお言葉を頂いていた。校長には言わなくてもバレているだろうし、問題は教頭……校長の鶴の一声でどうとでもなる気がする。結局、あいつは上の顔色しか窺わないアホ鳥だもんなぁ。チョロい奴は楽でいい。いつ動くか。……うん。今かな?
ティール君、ちょーっと用事を思い出したから、出掛けてくるね~♪ ツバサちゃん、お留守番よろしくね」
「はあ!? 仕事放置でどこ行くの!」
「行ってらっしゃい、ラルさんっ」
「帰りに購買でコーヒー買ってきて。冷蔵庫ん中入ってなかった」
こんな状況でお使いか。自動販売機の方が早くないですか、フォースさん……?
「コーヒー? 豆挽けよ」
「道具がねぇし、豆なんて購買にないだろ。さっさと行かないとティールが追いかけてくるぞ」
確かに。行くか。
後ろの窓を開けて、抵抗なく足をかける。前回同様、雷姫呼び出して、着地をすれば問題ない。そっから職員室……いや、校長室か。そこに行って~……と。
特に面白味もないため省略するが、ティールを振り切り、教頭を捩じ伏せ……いや、説得するのに十五分もかからなかった。
本当にチョロい人だなぁ。



~あとがき~
よし! 終わり!

次回、学園から離れ、休日を過ごす皆様をお送りします。出てくるのは私のキャラ達だけですん。

これで場が整った感じですかね!
あとはステラとツバサちゃん達が出会えれば……!
本当にあの子だけ出番がね! ないね!
リーフは園芸部繋がりで出られたんですけどね。うん……ごめんな。
まあ、顔見せの場は友人が考えてくれているので、もうしばらくお待ちを! 高等部メインだとどうしても二人は影が薄い!(泣)
中等部絡みの何かがあれば一緒に行動しますよ!

生徒会加盟後のシーンは友人から貰ったプロットにはなかったものです。ネタとしてはあったので、それを私が改編し、くっ付けました。これからの日常はあんな感じになると思われ。
ティールの胃痛はなくなりません。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第13話

~attention~
『空と海』のキャラが学パロなif世界で楽しくやっている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人と作っている話でもあります。苦手な方はブラウザバック!
園芸部でいらない真実を知った、ラルとティールでした。別の仕事が増えました。
そろそろ、部活見学も終わりですね! これが終わったら、ずっと出番のないステラに出番を差し上げたい。なんだろう。私のメインキャラ五人だけのお話でも書きますかね? え、本編?
……
始めるか~
ステラ「作者さんっ!!」
ラル「こういう奴だよ。作者は」


園芸部から程近くにあるパルクール部へ向かう。パルクール部はそのまま、パルクールを行う部活で、大会にも出ているようなところだ。あまり女子がやるような部活ではない気もするが、ここまで来たら、とことん付き合うのが筋というものである。
「シエルはみーちゃんといとこ同士なんですよ」
「へえ? シエル君がねぇ」
「んー? その様子だとラルはシエルのこと、知ってんの?」
レオン君の質問に、黙って頷いた。理由を問われるが、すぐに答えなかった。
知っていた理由はただ一つ。パルクール部へ何度か足を運び、パルクールをやっていたからだ。これはティールには言っていないし、今後も言うつもりはなかった。普段の逃走技術の半分がここで磨かれているなんて知れたら、どんなことを言われるのか想像もしたくない。……ちなみに、もう半分は普段の探検隊として培った仕事の経験値だ。
しかし、ここで黙っていても仕方がない。どうせ、現地に行けばバレるし。
「何回かパルクールやったことあるんだよね~♪ それで知り合ったの」
「そうだったんだな♪」
ティールから嫌な気配を感じるけれど、そちらは見ないようにしておこう。言及されても、無視だ。無視。
パルクール部の活動場所に来たものの、園芸部同様、時間も時間で、活動している部員も少ない。かろうじて何人かは残って練習をしているみたいだが。熱心だなと思いつつ、周りを見ていく。
この辺はパルクールのための建物が多く存在している。もちろん、偽物みたいなもので、中に人が入って何か出来るわけでも、普段から使われている建物ではない。簡易的ながら、塀があちこちあったり、小さなビルがあったり、一軒家があったり……うん。なかなかお金をかけている。そんな中に見知った顔を見つけた。薄い空色の少し長い髪をゆるくまとめ、軽々と家の屋根に登っていく竜族の男の子。
「シーエルくーん!!」
「あ、ラルさーん! と、アラシ達もー!」
少し遠いものの、私達に気付いてくれたらしく、手を振ってくれた。そして、屋根から降りて笑顔で出迎えてくれる。
「こんな時間にどうしたの? 三人とも」
「部活見学だよ。見学。ほら、俺とレオンは中等部からのを継続するけど、ツバサは何も入ってないからさ」
「あー……なるほどね。ラルさん……副会長さんといるってことは、生徒会の仕事ですか?」
三人から私達に視線を送ると、首をかしげながら質問をする。私がティールを連れてきたのは今回が初めてだし、そう思うのも無理はないが。
「ない訳じゃないけど……生徒会として、パルクール部に用はないかな。ツバサちゃんの付き添い」
「ラルさんとツバサ達が知り合いなのに驚きですよ。どこにでもパイプがある人なんですね~」
「んーと? 褒められているのでしょーか……?」
シエル君はくすくす笑うだけで、何かを答えてくれるわけではなかった。つまり、そういうことである。
「……と、大切なこと忘れてた。初めまして、副会長さん。シエル・シルフと言います」
「あ、ティール・クランドです。うちの会長がお世話になっていたようで~」
あ、やめろ。こっち見るな。
ティールの視線から逃れるため、近くにいたアラシ君の後ろに隠れる。突然でビクッと体を揺らしたが、その場から逃げるまではしなかった。ありがとう、アラシ君。
パルクールは屋上から屋上へと飛び移るような練習もしているため、様々な建物を使うことも多い。本校舎は利用不可だけど。まあ、初めからそんな高いところから練習なんてしないし、そのために低い塀で練習をするのだ。そして、技術をつけ、建物から建物へ飛び移るようになる。なるのだが……
「シエル君にしては低いところで練習してたね。いつも屋上じゃない?」
アラシ君の背の後ろから会ってからの疑問だったものをぶつける。いきなりだったけれど、シエル君は嫌がる素振りはなく、にこやかに答える。
「もうそろそろ帰ろうかなって思ってたから、降りたんです。でも、低いところでずるずると」
やめられなくってやってたって感じかな。
そう言うと、照れながら頷いた。楽しくなると、やめたくてもやめられなくなるのは分かる。
「シエル、身軽だよな~♪」
「そう? ラルさんはなかなかだけどね」
レオン君の言葉に彼は謙遜しつつ、私に視線を投げる。そして、その場にいる全員からじっと見られる。いや、まあ、レオン君とツバサちゃんの前では窓から飛び降りる姿を見せているし、ティールは普段から見ているだろう。逃げるために色々やってるのだから。が、それで身軽ですなんて言われても。
「……そーかなぁ?」
「ラルさんっ! 見てみたいです♪」
うっ……減るもんじゃないからいいかぁ。
アラシ君の後ろを離れ、近くの塀めがけて助走をつけて飛ぶ。無事に上に立つと、次は家の屋根だ。屋根の近くにある木に飛び移り、その流れで屋根の上に降り立つ。本来ならいつくか経由して更に高い建物の上を目指すのだが、今は必要ないか。
危なげなく屋根から降りて、皆のところへと戻る。戻ったところで、ティールの呆れた表情を見つけてしまう。色々言われるなと想像しつつも、彼の発言を止めることはしなかった。したところで、止まるわけがないからだ。
「君の身軽な理由が分かった気がしたよ」
「元からです」
「そうかもだけど、トレーニングはここでしてたんだろうなぁ?」
……ノーコメント!
やれやれと肩をすくめ、ツバサちゃんに目を向けると今まで以上に顔を輝かせていた。言ってしまえば、一番の興味を示したらしい。なんだろう。かなり分かりやすいな、ツバサちゃん。
「楽しそうだなぁ~♪」
その一言で完全に心奪われ、入部したいのだろうと察した。が、ツバサちゃんの友人達は表情を曇らせている。せっかくツバサちゃんの興味がある部活を見つけたというのに、である。しかし、その理由も何となく察した。パルクールは建物から建物へ飛び移る。一つ間違えば大怪我に繋がるのだ。もちろん、そうならないような対策も練習もしていくが、怪我をしない安全な部活ですとは言い切れない。要は、ツバサちゃんが怪我をしないか心配なのだろう。
「危ないからやめとけ」
アラシ君が先手を打つ。先手必勝とはこのことだ。レオン君はアラシ君の言葉に、頷きはしなかったけれど、かといってツバサちゃんの味方もしない。シエル君は黙って見ているが、困ったように笑って見ているし、内心ツバサちゃんの入部には納得していないんだろう。
理事長の御子女様に何かあるのもこちらとしても防ぐべき案件……なんだろうなぁ。多分。教頭なら頭から煙を出しながら、どうにかしろと捲し立てそうだ。
「でもー!」
「怪我でもしたら、おばさんに何て言えばいいんだよ、俺達は」
「うぅー……」
可愛い子には旅をさせろ精神の私は、したいことはさせればいいと思う派である。例えば、私の天使であるしーくんがこれをやりたいなんて言ってきても私は反対しないと思う。いや、ティールはするだろうけれど。まあ、でも、考え方はそれぞれで、反対するのもツバサちゃんを思っての行動。周りは彼女を大切にしているってことだ。いいことである。
しばらく唸っていたものの、ツバサちゃんは分かったと渋々頷いた。しかし、そうなると別の問題が発生する。
「じゃあ、私……部活、どうしよう?」



~あとがき~
今回で納めたかったですね。無理でした。

次回、部活の行き先が決まらないツバサちゃんはどうするのか……?
次回で部活見学編ラスト! きっとな!

パルクールってかっこいいよなぁと思います。ラル以外だとフォースも出来そうですね。心得なくてもひょいひょいっと……本編でも似たようなところありますし(笑)

シエル君の口調、どうしようかと思ってたんだわ。先輩後輩で丁寧口調にしちゃったけど、別のところの交流だとタメ口で話してたなぁと……まあ、いいや。どっかで修正するかもだけど、このままでもいいような気がする。このままでいいか……(適当)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第12話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で気ままに楽しむ物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人と作っている話でもあります。苦手な方はブラウザバック!
はい。謎に二話使いました、剣術部とはさよならしまして、また新たな新天地へ!! ところで、お前らは仕事をしているのか、予算うんぬんは!?
ラル「今更なんだけど、予算うんぬんは年度末に行うべき案件だと思うんだよね。今? やる??」
……さあ?
ラル「おい、作者」


この後、私の仕事の都合上、いくつかの部活を回るものの、ツバサちゃんのピンとくる部活はないみたいだった。フォース君の言っていた生徒会室を開けとくと言っていた五時までもう少し。下手したら、明日も色々回る必要性が出てくるな。
そんなことを考えつつ、部室棟が多くあるエリアを重点的に回っていると、ツバサちゃんがぴたりと止まる。
「ん~……なんだか、甘い匂いがします」
料理部とは離れているし、こんな時間にお菓子作りもしていないだろう。となると……
「園芸かな? あそこ、色々作ってるから」
「あー……園芸ってミユルがいなかったっけ? 中等部からそうだったし」
アラシ君達の知り合いがまたまたご登場みたいだ。ミユルという名前が出た途端、ツバサちゃんはパッと顔を輝かせる。その反応からして、ツバサちゃんの大切なお友達のようだ。
「行ってみる?」
「はいっ!」
ここからそう遠くない園芸部へと足を運ぶこととなった。園芸というと……リーフちゃんもいる部活かな。
園芸部は大きな土地を持ち、そこで様々な食物を育てている。もちろん、花も育て、学園内の植物は園芸部が世話をしている。また、うちの食堂の野菜等々も園芸部がほぼ賄っていると言ってもいい。育てた食物は時折市場へ売買されるらしいが、そこら辺は部員ではないので詳しくは知らない。
「あ、ラルさん! それに、ティールさんも! こんにちは~♪ って、もうすぐこんばんはの時間ですかね?」
園芸部の花壇の前で挨拶してきたのは、中等部の制服であるセーラー服に身を包んだリーフちゃんだ。若草色のセミロングを赤いリボンでポニーテールにまとめ、快活な笑顔を浮かべている。手にはじょうろを持っているため、水やりをしていたのだろう。
「こんな時間までご苦労様。大変だね」
「そんな! ラルさん達の方がお忙しいでしょう? で、今日はどうしたんですか? それと……高等部の先輩方も……」
「んーと。ツバサちゃん、アラシ君、レオン君! 覚えた?」
一人一人指差しながら名前を言っていく。ツバサちゃんは少し戸惑った様子を見せ、アラシ君は呆れたように私を見る。そして、レオン君は順応が高く、リーフちゃんに向かってひらひらと手を振っていた。
「まあ、ツバサちゃんは噂になってるから知ってると思うけど。フォース君、家で何か言ってたんじゃない?」
「あーえと、はい。言ってましたね。白いお姫様がどーのって。ステラとは大違いとかなんとか?」
自宅でも楽しそうで何より……ステラちゃん、フォース君に蹴りでも入れたかな。蹴られたとしても、フォース君が変わるわけないし、何ともないって思ってそうだなぁ。
お姫様呼びされたツバサちゃんは自分のことだと思っていないらしく、ちょこんと首を傾げている。そろそろ、私とリーフちゃんだけの会話から離れるべきだな。
「えと、ワタシは中等部三年のリーフです。よろしくお願いします!」
「よろしくな、リーフ♪ 早速なんだけど、ミユルって知ってる? 俺らの友達で会いに来たんだ♪」
「ミユルさんですね。奥のリンゴの果樹園にいますよ。呼んできますか?」
甘えてもいいんだけれど、もう夕方だし、あまり拘束するのも悪い。というか、そんなことをしたなんてバレたら、フォース君に睨まれる。
「いや、自分達で出向くから大丈夫。ありがとうね。フォース君によろしくって言っといて……あ、あと、近々家行くからね」
「はい! ん? え、なんでですか?」
「そういう約束……この後も行くけど。しーくん預かってもらってて~」
「なるほど。りょーかいです! なんなら、一緒に遊んでますから、安心してくださいっ♪ あ、果樹園は右手に進んだ先にあります。看板あるので大丈夫だと思いますけど」
まあ、変なところに行く天才であるティール君じゃないからな。……正面からこんなこと言えないけど。
リーフちゃんと別れ、リンゴの果樹園を目指す。ミユルちゃんがどんな人なのか聞き忘れたけれど、ここの三人が知っているし、問題ないだろう。
「ラルさん。リーフちゃんとフォースさんって兄妹なんですか? あんまり似てないけれど……」
あぁ、あの会話から一緒に住んでいると考えたのか。間違いではないな。
「兄妹ではないけれど、一緒には住んでる。兄妹つったら、名前が出てきたステラちゃんの方が合ってるよね」
後ろを歩くティールに投げ掛けると、そうだねと肯定が返ってきた。まあ、ステラちゃんもフォース君と兄妹ではないけれど。
リーフちゃんの言う看板を見つけると、そのまま果樹園へと足を踏み入れる。色々な果実が生っている中、リンゴのエリアへとやって来た。時間も時間でほとんど生徒もいないけれど、本当にいるんだろうか?
「! みーちゃん!」
ツバサちゃんがみーちゃんと呼んだのは、魔術科の女子制服を身につけた女の子だ。濃い緑色のロングヘアに横に流した前髪。髪に隠れて分かりにくいが、少し尖った耳をしている。私から見て右にピンクの星、左に赤い花の飾りを着けている。制服は規定通りだ。私みたいに変に着崩していない。
手にはリンゴが詰まったかごを持ち、小さく首を傾げた。
「あら、ツバサちゃん♪」
ミユルちゃんは、自分に向かって駆け寄るツバサちゃんを見ると、持っていたかごを優しく足下に置いた。そして、優しく抱き止め、頭を撫でながらも、こちらにも視線を向ける。
「あらあら? 会長さんに副会長さんまで。それに、アラシくんにレオンくんも。どうかしたの?」
彼女は私とティールを知ってくれていたようで、優しく微笑みながら問いかけてきた。
「ラルさん、みーちゃん……えと、ミユルちゃん、です! ドライアドなんですよ~♪」
「高等部魔術科二年、ミユル・ノフェカです。よろしくお願いしますね」
ドライアド……樹妖精か。読んで字のごとく、樹の妖精を指す種族名だ。パッと分かりやすい特徴は、創作にあるような妖精が持つ、尖った耳だろうか。
「よろしくね。私達は……ってまあ、言わなくても分かるか。ラルとこっちがパー……じゃなくて、副会長のティール」
ティール・クランドです。よろしくね、ミユル」
いつもの探検隊のノリでパートナーとして紹介するところだった。癖って抜けないな。
「部活の見学をしていたら、なんだか甘い匂いがしたから、来てみたんだ♪」
「あぁ、なるほどね。ここには沢山の花や果実があるもの。その匂いにつられちゃったのね」
「そっかぁ……うんっ! いい匂いだねっ♪」
ツバサちゃんはミユルちゃんから離れ、明るい笑顔を見せた。ツバサちゃんの笑顔に優しく微笑むと、彼女は地面に置いてあったリンゴのかごを持ち直す。そのリンゴ、パッと見、ただのリンゴだけれど、どこかで見た気がする。
「あっ……あの、ラル。……ちょ、リーダー!」
何かに気付いたのか知らないが、ティールがやけに慌てた様子でオーバーなくらいに私の肩を叩きまくる。そんなティールを一瞥し、再びミユルちゃんのかごを見つめる。
通常のリンゴよりも大きな品種で、匂いも甘い香りが漂っている。この匂い、どこかで嗅いだ。……確か、校長室の……あっ!?
「んんんっ!!??」
「? ラル、ティールもどうかしたか?」
変なものを見るような目でアラシ君が聞いてくるものの、それに答えられるほど、余裕はなかった。ティールの腕を掴み、四人から距離を取る。そして、四人に背を向けると誰にも聞こえないくらいの声量で話し始める。
「嘘だろ嘘だろ!? あれだよな! 親かぁ……じゃねぇや。校長のセカイイチ! え、私、初めて知った! これ、教頭は知ってるわけ!?」
ここでは校長……外では私達も所属していた探検隊ギルドも運営するため、つい校長ではなく、親方なんて出てきてしまった。いや、関係ない。今はどうでもいい話だ。
時折校長室を覗くと、美味しそうにリンゴ……セカイイチを食べている。この辺だとセカイイチは入手しにくく、よく手に入るななんて考えたものだ。深く考えたことは今までなかった。どこか独自の入手経路でもあるのだろうと適当に考えていたのだ。
……たった今まではそう、思っていたんだけれど。
「もしかして、ここの食べてたの? 親方……あ、校長か」
「うちの学校こっわ……」
ここから供給してもらっているのか。なるほど……
「ラールさぁん? どぉしたんですかぁー?」
ツバサちゃんの呼ぶ声で、私とティールは顔を見合わせる。とりあえず、これが本当なのかは分からない。本当に独自ルートがあって、そこから仕入れている可能性もないわけではないからだ。決め打ちはしない。情報が揃ってから正確に予測するのが鉄則である。
この話はここで終わりにすると、アイコンタクトで伝え、ティールが認知したのを確認する。そして、四人のところへ戻ると、ミユルちゃんからラルさん、と話しかけられた。
「ん? どうかしたの? 園芸部は部費を増やしたいって聞いてなかったと思うけど」
「はい。部活動経費は足りてますよ♪ そうではなく、ご相談がありまして。……園芸部では一部の生徒だけでセカイイチというリンゴを育てているんです。これがそうなんですけど」
かごの中身をそっと見せてくれた。生徒が育てたというそれを私は凄いというよりも、別の感情が沸き上がって来ていた。
あ、これは……
「このセカイイチが収穫前にいくつもなくなっていることが多いんです。何か対策出来ませんか?」
「マジか。……生徒の犯行か?」
「リンゴの果樹園と紛れているし、ここの部員も知らない人が多いの。知識のない人が見れば、大きなリンゴと変わらないでしょう? だから、生徒とは思えないんだけれど」
「普段から見てる人なのかなぁ? 魔法でどうにかしちゃえないかな?」
「罠とか仕掛けたこともあるんだけれど、どれも引っ掛からないのよね~?」
「なんじゃそりゃあ!? 意味わかんねぇ!」
アラシ君達が話している正体不明の犯人。セカイイチを見分けられるくらいの目利きと罠にもかからない身のこなし。うん。決まりか。
……親方ぁぁぁぁあ!!! あんたここの校長なんだから、変なことしないでくれぇぇぇ!!!
ここで校長ですなんて言ったらどうなるんだろうか。……じゃあ、仕方ないなんてなるわけがない。説得してくれって言われるだろう。そこで、説得に行くとして、校長が仕方ないねとなるだろうか。
……ならないな。というか、例のアレを受ける可能性がある。それだけは困る。今後に関わる。無理!
「あー……こっちでも考えてみるね~」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ごめん。ミユルちゃん。今後もセカイイチは盗られ続けます。……いや、話くらいはそれとなくしてみよう。止まるとは思えないから、対策を考えるべきだが。いや、なぜ私が親方……いや、校長の尻拭いをしなきゃいけないんだ!? 元弟子だからか!? そういうことか!? 嫌だよ! 脱退するよ!……いや、もう出てってる。ご卒業してました。あぁ……はぁ。
……ご乱心の私の心は置いておいて、ここはさっさと退散しよう。家に帰ってどうするか考える必要が……いや、あるかぁ?
「時間的にもあと一つかな? どうする、ツバサちゃん」
「そうですね~」
「あ、部活見学してるんだっけ? それなら、パルクール行ってみたら? シルが所属しているの」
「シエルが? 分かった! 行ってみる!」
ミユルちゃんの提案で、行き先が決まったらしい。最後の行き先はパルクール部だ。シエル……あ、シエル君ね。OK、知ってる子だ。
ティール、このことは」
「分かってる。……帰ってから話そう」
セカイイチについては、ティールとどうにかしよう。最悪、フォース君も巻き込んでどうにか……うん。しなきゃな。
まだ仕事があるらしいミユルちゃんに見送られつつ、本日最後の行き先である、パルクール部へ向かうことにした。



~あとがき~
無理矢理一話に納めました。長いです。いつもよりなげぇ……
雑な部分はありますが、許してね☆

次回、パルクール部へ! そして、シエルとは一体誰だ!!

ここでも生きてきますね、校長のセカイイチ
これで分かると思いますが、校長はプクリンギルドの親方です。ここでも、ギルドの親方してるんですけど、それと平行して校長もやってるって思ってくれていいです。ラルとティールはそこのギルドにも通いつつ、勉学にも勤しんでいました。まあ、ギルドは塾的なそんな感覚だと思ってくださいな。

初登場! ミユルちゃん! いっつも、ユミルとか語順を入れ換えて認識する私です。申し訳ない。ミユルが正しいので! よろしくね!!
ふんわりした可愛い女の子です。よろしくね!!

ではでは!