satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第107話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でぼけっとする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
閉会式始まるまでの繋ぎ……もとい、これからのための伏線ばらまき回でした。
アラシ「ぶっちゃけてんなぁ」
分かりやすいだろ!! いいじゃない!
アラシ「俺は別に……?」
さてさて。今回は小ネタ回収回のつもりなので、視点は決めずにやっていくどー!!


開会式でセラや教師陣が立っていたステージに大会を勝ち抜いてきた……厳密に言えば、準決勝まで勝ち進んだイツキ、シエル、ミユル、アリアの四名の姿があった。
イツキは先程まで生徒会の仕事で走り回っていたのか、腰に剣が装備されたままで、耳から外されたイヤホンが首にかけられていた。
シエルはいつも通りの服装だ。武器もないし、特別に何かを持っているわけでもない。それが普通である。
ミユルもシエルと同様であった。武器はすでにしまってあり、体力の回復も自前のものですませてある。使った魔力までは戻らないが、この先、魔法を使うような事態にもならないため、魔力回復用のアイテムは使っていない。
そして、見事優勝を納めたアリアも、武器はとっくにしまい、ところどころ汚れはあるものの、救護室にお世話になる程の傷はない。それよりも、優勝賞品にウズウズしているため、痛みや疲れなんかも吹き飛んでいるとも言えるかもしれない。
学生四人はステージの端に立ち、出番が来るまで待機していた。ざわつく会場内を静め、最初から最後まで何ら変わらなかったリュウと、最後の最後でようやく慣れてきたキャスの二人によるスムーズな進行で淡々(?)と進められた。
そして、プログラムは表彰式へと移る。
『──では、お待たせしたぜ! 今大会の表彰式といこうか!』
粛々と行われていた閉会式の空気をがらりと変えたのは、やはりリュウだった。堅苦しい空気など知らんぷりである。
『まず始めに! 準優勝、並びに入賞者二名だな! 三人には表彰状とセラフィーヌ理事長の講演会参加チケットの贈呈だ!!』
アリア以外の三名がステージ中央へと進む。そして、ステージにセラと賞状と副賞が入った箱を持った教師も登壇する。
名前が呼ばれ、セラから恭しく受け取っていく三人。理事長直々に手渡してくるとは思っていなかったのだろう。……実のところ、校長の役目をセラが果たしているだけに過ぎないが。
『続きまして……今回の優勝者である、アリア・ディーネ先輩には賞状、講演会のチケット……そして、一年間、我が学園の食堂無料という副賞の贈呈ですっ』
キャスの言葉に待ってましたと言わんばかりにアリアが動く。興奮を隠そうともせず、セラの前に立つ。見知った相手だから許される行為だな、と思いつつ、セラは笑みを絶やすことなくアリアに賞状を手渡した。そして、講演会のチケットと無料券も。
ここが我慢の限界だったのだろう。
アリアは幼い子供のようにキラキラとした目を無料利用者を示すブローチに向け、それを天へと掲げた。
「タダーーー!!!! ごはぁぁんっ!!」
ぶれないアリアに苦笑する幼馴染みであるミユル達。事情を知らないイツキや教師陣は首を傾げているが、この場にいる全員に共通するのは、アリアを困ったように見ていたことだ。しかし、その事実をアリア本人は知るよしもない。
入賞者四人は教師の誘導の下─アリアは引きずられるような形で─、ステージを降りる。
『これで大会のプログラムも全て終了ってことで、閉会式も無事に終わったわけだ! これにて剣技大会は終了だぜ!』
先程までのアリアの大興奮の末の行動に触れることはなく、リュウは式を進めていく。ある意味、最適解である。
『あっ、帰るまでが剣技大会だから観客のみんなはゆっくり帰るんだぞ☆』
『ちょ! なんですか先輩! その「帰るまでが遠足だ」みたいな台詞は!?』
『似たようなもんだろ~♪ それじゃあみんな! see you again!』
最後までリュウらしい進行で締めくくり、会場は拍手で包まれる。流れるように退場のアナウンスを繰り返していた。
これで大会も終わり、大団円である。しかし、裏方に回る生徒会等々の係はこれで終わりではない。
「ラル。仕事の時間」
救護室に設置してある一つのベッドに寝かされていたラルに呼び掛ける。ティールの言葉に少しだけ反応するも、まだ意識は夢の中らしい。
ティールは小さくため息をつき、次は後ろの方でアラシとレオンと共にくつろいでいるフォースへと目を向ける。
「おれは勝手に動く。リーダーが起きたら指示ちょーだい」
ティールの指示を聞く前にふらりと出ていってしまう。どこまでも自由な仲間達に軽く目眩を覚えるが、これはこれでいつもの日常だ。今からそのリーダーを起こすのだから、さっさと出ていく必要があるかは謎である。
「変わらずペース崩さないわね~♪」
リアの同情にも似た呟きにティールも口には出さないものの、内心、同意する。
リアは小さく笑いながら、ラルを優しく揺り起こす。
「ラルちゃ~ん?」
「……ん~」
唸りながらごろりと寝返りを打った。寝起きはいい方であるが、流石にこの短時間で全回復は難しいため、まだ眠そうである。
「閉会式、終わったわよ」
「……まじか……おきる」
「ふふ。そうしてあげて。ティールくんがラルちゃんのこと、待ってるから」
「ふぁあい……きがえてきまぁす……」
「ラル、気を付けてよ? その辺で寝ないでね」
「はーい……だーじょぶよー」
ティールの注意に曖昧に返してきた。そして、大きな欠伸をしながらふらふらと立ち上がり、覚束無い足取りながらも部屋を出ていく。あのまま、道中で二度寝してしまいそうだが、そうなっても最悪、雷姫がどうにかするだろう。否。してもらわなければ困る。
「ラルさん、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫大丈夫。学園なんて、彼女の庭みたいなもんだから」
方向感覚や判断力はずば抜けているラルだ。うっかりドアに頭をぶつけるなんて事故は起こさないだろう。いくら寝惚けていてもだ。
「さて。アラシくんとレオンくんはどうするの? 委員会と生徒会に所属していない一般生徒は、各自解散ってことになっているけれど」
「ツバサの送迎あるし、なんか手伝いますよー! な、アラシ~?」
「ま、そうだな……ぼーっとしてても暇だし」
「じゃあ、会場内のゴミを回収してもらおうかしら。……特にアリアちゃんの。で、大丈夫かしら。副会長さん?」
リアの言葉に、ティールはラルの荷物をまとめていた手を止める。
基本、仕事のない一般生徒は帰宅して構わない。テントの解体等の大仕事は後日、全校生徒で行われるためである。しかし、志願した生徒はボランティアとして、大会の片付けを手伝うのは可能である。実際、様々な理由から自主的に動く生徒は少なくない。
「ボランティアの統率はぼくらじゃなくて、実行委員会です。けどまあ、いいと思いますよ。リア先生の指示ってことで」
「あらあら。私、そこまでの権限はないわよ♪ でも、そういうことなら、二人とも。お願いできる?」
「りょーかいっす!」
「アリア、ねぇ……まさか」
アラシの脳内に嫌な予感が過ったのだろう。アリアをよく知る彼だからこそ、簡単に予測できた。
「そのまさかよ、アラシくん? そうだ。ツバサちゃんも二人のお手伝いしてあげて。救護室の方は大丈夫だから」
「分かりました! 行ってきます、師匠……じゃなかった。リア先生!」

ツバサ、アラシ、レオンが真っ直ぐ向かったのは屋台が密集するエリア。具体的には飲食エリアである。そこには飲食スペースがあり、昼や大会が始まる前は大勢の人でごった返していたが、今はそこまで人はいない。
しかし、別の意味で大忙しに動く生徒達……屋台を運営していた店員の姿があった。生徒達は全員、ある席へと食べ物を次々に運んでいく。
「これでうちは終わり!! 手伝うとこある!?」
「こっち頼むわ!! 焼きの手が足りねぇ!」
昼の掻き入れ時以上に慌ただしいのでは、と思ってしまうくらいにてんやわんやしている。
彼らの手で運ばれた食べ物を美味しそうに食べるのは、ツバサ達の幼馴染みであり、その中でも最年長の少女、アリアである。
「あーちゃん……さっきまで会場内にいたと思ったのに」
「うわぁ……俺、恥ずかしくなってきた」
「そう言ってやるな、アラシ。……あと、あれ、毎年の光景らしいよ」
「ほえ!?」
「さっき大暴れしてたから、大食いすんのは予想ついてたけどさ。……ってか、毎年?」
「おう。ミユルが言ってたから。屋台の残飯処理班ってね」
他の客が買いに来れば、そちらに商品は渡しているようだったが、ほとんどがアリアの胃袋へと吸収されていた。
「へぇ……うーん。ゴミにならないだけいいと納得するのが正解?」
「だな。エコだな♪」
「俺もお前みたいに楽観視すべきなんだろうか」
アリアの大食いっぷりはいつものことだが、この学園内でもその真価を発揮する彼女に、複雑な思いを感じてしまう。屋台を営んでいた生徒や学園からすれば、廃棄分の経費も浮くし、とてもありがたいはずだ。しかし、人目を憚らず、食欲を満たすアリアにそれでいいのかと問いたくなる。言ったところで、一生変わらないのは理解しているが。
「とにかく、あーちゃんのゴミを分別しよ! アラシ、レオン、手伝って?」
「おう。……見ててもゴミは減らないしな」
「よぉし! やるかー!」
心地よく食事を楽しむアリアを刺激しないように気を付けながら、三人は片付けを開始するのだった。



~あとがき~
終わらなかったわ。

次回、小ネタ祭り。(後編)

まとまりがないのは、プロットがないせいです。お互い、大会後にやりたいネタを突っ込んだだけの小ネタ祭りとなっています。
ぶつ切り感凄いですが、それはそれとして、「あ、ここで別ネタ書いてるんだな」と思ってください。

ではでは。