satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第137話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
まだ玄関先でうだうだしてます。まだ! メインの姫様がいらっしゃらない……だと?
今回そこは! 今回こそはぁぁ!!
ラル「ちょこちょこいらん描写挟むからなんでねぇの?」
そ、それな……!


問題ないと聞いたあとも、少し不安そうにしていたステラちゃんに、カルタムさんは優しく微笑んだ。気にしないでくれとでも言うように。
そして、口を開き、言葉を紡ごうとした瞬間─
「うひゃひゃ♪ やめろよ、リラン~! くすぐったいだろ♪」
「あうっ! あん! あーん!」
水を指すレオン君とリランさん。
……まだじゃれあっていたのか。
これにはカルタムさんも険しい表情を浮かべた。そして、私達にそっと頭を垂れる。
「申し訳ありません、皆様。少々お待ちを」
これでもかとレオン君に甘えるリランちゃん─『ちゃん』であっているのかは謎だ─をカルタムさんは後ろから抱き上げる。とはいえ、持ち上げられる体重ではないらしく、引きずるようにしてレオン君から引き離した。
「リラン。いい加減にしなさい。お客様の前ですよ」
「くぅ~ん」
甘えたような声を出すものの、カルタムさんの表情で無理だと判断したのか、すぐに大人しくなった。
カルタムさんのお陰で甘え攻撃から解放されたレオン君もこちらに近づいてきた。お気楽なレオン君にアラシ君は呆れた様子である。
「……お前、自力でどうにでもなったろ?」
「久しぶりのじゃれあいだからな~♪ 離れるタイミングが難しくって♪」
まだお邪魔して十分も経っていないと思うのだけれど、なかなかに内容が濃い。これがお金持ちの洗礼なのだろうか。いや、そんなことはないと思うのだけれど。
「……あぁぁ!? おっもいだした!」
私達に助け船を出したあとも、じっと考えていたティールがいきなり大声で叫んだ。
「え、まだ考えてたの?」
「気持ち悪いじゃん。分かんないまんまってさ。……それはどうでもいいや! ラルは覚えてない!? 絶滅した『白竜』の話!」
え、えぇ……いきなりだなぁ。そしてこれは、熱を帯びてうざくなってくやつだ……
「初めて『西の霊峰』に行ったとき、壁画に描かれた竜を見たろ? あのときに教えてもらったじゃないか。イグさんに!」
私が脳内の辞書を引く前にティールが興奮気味に、その答えを次々と言っていく。西の霊峰。壁画。竜。絶滅。白竜。……ふむ。
「……あぁ。そんな話もあったね? なんだっけ。古代の竜で、人と交流があったとかなんとか?」
何年か前、私とティールはイグさんと西の霊峰にある遺跡へと赴いた経験がある。その際に目にした壁画には、リランと似たような絵があった。
そして、イグさん曰く「ここに描かれている竜はすでに絶滅いているが、その当時、人々の言葉を理解し、言葉を操り、人々との交流を深めた。ドラゴン種の中でも唯一の竜だったとされている」らしい。
「……ってやつっすか?」
「それ。覚えてるじゃないか」
言われないと引き出せませんよ。大して興味ないもん。それにぶっちゃけ、ドラゴンって言えば私達の敵だし。
「西の霊峰って?」
場所を知らないステラちゃんが首を傾げる。
「昔は神を崇拝していた人達が儀式するための山として、活用してたとかなんとか言われてるとこだな。今じゃ凶暴化したドラゴンがダンジョンに出現する危険スポット化してるぞ~♪」
「ひっ……!? ラルさん、そんなこと行ってるんですか!?」
「そりゃ、探検隊だもの。初めてのときはイグさんも一緒だったし、問題ないよ」
なんで行ったんだったかな。勉強だったのか、何かの依頼があって行っただけだったのか。……ふーむ、覚えていない。
私も先程のティールに倣って、リランをじっと見つめる。まあ、じっくり見たところでドラゴンには変わりはしないし、真相は分からないのだけれど。
壁画に描かれていた白竜は人よりも大きく描かれていた。つまり、それなりの大きさであったと推測できる。見るからにリランは私達よりも小さいわけで、成竜、大人の竜ではない。
「お前はまだ子供の竜、なんだな……?」
この子に埋め込まれている石、どこかで見た気がするのはなぜだろう。こんな白い石をどこで私は……?
「くぅ?」
『……ほう? 面白いものだな』
あ、雷姫。
雷姫は私自身の中から、私にだけ語りかけるように話を続ける。
『この時代で白竜に似た何かと出会うとはな』
何か? 白竜そのものではないの?
『白竜であって、白竜ではないのだろ。別の気配も感じるでなぁ。……ふふん。なるほどの』
楽しそうなことで。教えてはくれないのね。
『マスター、世の中、知らなくてもよいことは多いのさ。全てを知ってしまえば後がつまらん。……しかし、こいつは……』
リランの鼻がピクリと動く。それに雷姫は軽く舌打ちをした。
『……やっかいな』
え、何が……?
その問いかけには答えてくれず、雷姫の声はぷっつりと途絶えてしまった。一体、なんだったのだろうか。
「……にしても、白竜は絶滅したって話だよね? 実は生きてましたなんてことはないと思うけど……?」
「あ~……リランはドラゴンなんだけど、ドラゴンじゃないというか。なんというか」
ティールの疑問に答えのはアラシ君だったが、彼も雷姫みたいなことを言っている。ステラちゃん達も不思議そうにしていた。まあ、答えを知りたいのに、とんちで返されたみたいなものだ。仕方がない気はするけれど。
私も意味が分からない。雷姫は別の気配を感じると言っていた。何かが混じっているのだろうか?
「あっ、ラルさん達だ~♪」
頭上からの声にその場にいた全員がそちらを向く。そこには大きな階段を覚束ない足取りで降りてくるツバサちゃんの姿があった。
ゆったりとした白いワンピースの上にストールを巻いて、いかにも病人ですって空気が凄い。いや、病人なんだけれども。
「ツバサちゃん!? 寝てなくていいの!?」
「大丈夫だよ、ステラちゃ~ん。ちょっと、ぽやぽやしてるだけだから~」
「それは大丈夫の部類なのかな!? 無理せず寝てなよ、ツバサ!」
「だ~いじょぶ♪ 元気だもん」
リーフちゃんの心配もはねのけるが、受け答えはほわほわしているな。
ステラちゃんとリーフちゃんが心配しているものの、ツバサちゃんは笑顔で大丈夫と答えるばかりだ。
まあ、顔は少し赤いものの、呼吸は普通だし、無理のない程度なら大丈夫なのだろう。その無理なラインは分からないけれども。
「皆様、このまま立ち話もなんですので、中へどうぞ。中庭へご案内いたします」
カルタムさんに案内されてしまえば、ここで帰りますとはならないよね。
ツバサちゃんはリランの背に乗り、アラシ君達もぞろぞろとカルタムさんの後ろについていく。私も皆に続こうと一歩踏み出した瞬間、ピリッとした視線を感じ、後ろを振り向いた。いつでも雷姫を抜けるよう、構えつつ様子を見るが、そこには誰もいない。豪華で広い玄関……というか、エントランスがあるだけ。
「雷姫」
『……む?』
「何かいた?」
『さて。……マスターに敵意を向ける者の気配は感じなかったが? 大丈夫じゃろ』
そう、ならいいけど……
「……ん?  なんだ、その含みのある言い方は。まるで……」
他の人に向けていた敵意はあったみたいな言い方は。
問い詰めるよりも先に、誰かに肩を叩かれちらりとそちらを見る。そこには私の相棒がいて、いつものように問いかけてきた。
「どうかしたの? 皆、先に行っちゃうよ?」
「……ティールは何も感じなかったんだよね」
「? 何のこと?」
「いや……」
ここがダンジョンか何かで、このような場面に遭遇したときは、ある程度の対策として、辺りを調査するだとか、気配探知や道具を使って確認作業をするところではあるが。ここ、人の家なんだよな。しかも、お金持ちの。
……もしかしたら、使用人の誰かに見られていただけかもしれない。そういうことにしておこう。それか、気のせい。最悪のケースも考えなくはないけれど、そのときは……うん、どうにかなるさ。きっと、お屋敷お抱えの凄腕ボディーガードがやっつけるよ! うん!
どちらにせよ、雷姫は大丈夫だと言うのだ。なら、大丈夫なのだろう。
「何でもない。ごめんね、行こっか」
「? そう? ならいいけど」
先を歩くツバサちゃん達を足早に追いかけ、追い付く頃にはこの『視線』のことはすっかり忘れていたのだった。



~あとがき~
ようやく、お姫様登場。

次回、お茶会じゃ! お茶会!!

白竜の話が出てきましたね。一体、いつ行ったんだか。
しかし、アラシ君や雷姫によると、白竜だけど白竜じゃない。ドラゴンだけど、ドラゴンじゃないそうな。なんのこっちゃ?
まあ、あれですよ。読めばわかる。(なげやり)

ではでは!