satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第136話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で遊んでる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
とあるお休みにツバサちゃんのお見舞いに来ました! ってところですね。なんかあんま変わってないな!?
まあ、いいです。のんびりゆっくり進めていきますから!


理解が追い付かない私達を放置し、アラシ君とレオン君は門の近くの柱に備えてあった機械に二人続けて手をぴったりとつける。すると、ピピッと機械的な音が小さく鳴り、独りでに門がゆっくりと開けられていく。
「へー……面白い。認証式の魔法具か何か?」
「ピンポーン! この装置に俺らの魔力が記録されてんだ。で、ここに直接、魔力を送るだけで門が開くシステムなんだぜ」
なるほどねぇ……つまり、この機械が門番の役割を果たしているわけか。セキュリティも魔法関連。魔術に精通している家系はやることが違うな。私なら、顔認証やら指紋やら網膜やらと科学的なものしか思い付かない。……いや、そんなものつける必要もないのだけれど。
「チャイムもあるから、鳴らせば人は出てくるけどな。ほら、行くぞ?」
アラシ君に促されるまま、開いた門を潜り、ツバサちゃんのお家の敷地内へと足を踏み入れる。この道を真っ直ぐ歩けば、屋敷はすぐそこである。その道も草木が綺麗に剪定され、手入れしている人達の苦労が思い浮かぶ。
「ねえ、ステラの家もこんなんなの?」
「そんなことないよ? 半分もないもん」
いや、半分でも大したもんだよ……?
「お~? ステラん家もでっかいのか?」
「いえ! ツバサちゃんに比べたら普通です!」
レオン君の質問に、ステラちゃんはこれ以上にないくらい首を振る。それを見たリーフちゃんは小さく笑う。
「ステラ、こう見えても、お金持ちなんです。今は学校があるのでワタシと一緒にこっちにいますけどね」
「へぇ~? ってことは、フォースはステラのボディーガードか?」
「違います! 制御者です!」
一緒だよ。ステラちゃん。ボディーガードも制御者も。だって、愛しの騎士さまだもんねー?
「ラルさん!? ないしょー!!」
「ほぉ? その話はぜひとも詳しく聞きたいもんだねぇ~?」
顔を赤くして抗議するステラちゃんに何かを感じ取ったレオン君がにやりと笑った。普段からアラシ君を弄る彼のことだ。このような話題には目がないと見た。
「いいよ。後でね。レオン君とは楽しくお話しできるだろうから」
「よくないです! ラルさーん!」
どうせバレるからいいじゃん。
横の相棒から呆れた雰囲気を悟るが、それを言葉にしていないため、言ってもどうにもならないと判断したのだろう。正解である。
下らない話をしている間に正面玄関へと辿り着いた。先頭を歩いていたアラシ君が何の躊躇いもなく、ドアノブに手をかけた……が、躊躇いがなかったのはここまでのようで、ぴたりと動きが止まってしまう。
「ここまできて怖じ気づいたのか、アラシ~?」
「……んなわけねぇだろ。んでも、気持ちは落ち着けたい」
と、数回の深呼吸をし始める。
ここまで気合いを入れる必要があるのだろうか。幼馴染みの家なのに。認証式の魔法具にも登録してくれるほどの仲なのに?
「ま、その辺はすぐに分かるよ♪」
ふうん?
意味深な言葉に私はティールと顔を見合わせる。流石の彼も意味は分からないから、小さく首を傾げていた。もしここにフォース君がいたのなら、心を読んでいたのだろうけれど。
「すぅ……よしっ! お邪魔します!」
「あうーーん!」
ようやく覚悟を決めたのか、アラシ君が勢いよく扉を開くと、そこには執事服を着こなし、恭しく佇む年配の男性がいた。その男性は白髪の髪をオールバックにし、くるりと巻かれた角が生えていた。羊族の特徴である。
「お待ちしておりました、アラシ様、レオン様……そして、ご友人の方々。ようこそ、いらっしゃいませ」
執事さんっぽい人は丁寧な物腰でこちらにお辞儀。私とリーフちゃんは慌てて、ステラちゃんとティールは慣れた様子でお辞儀をする。
……ん? あうーんは誰が言ったんだ?
「ぎゃあぁぁ!?」
「え、あ、アラシ!?」
アラシ君が正面に立っていて、私達には何が起きたのかさっぱりである。
扉を開けてくれたアラシ君がなぜか白い生き物に襲われ、仰向けに倒されていた。いや、襲われているというよりは、じゃれていると形容すべきか。
その生き物をよく見てみると、約一メートルくらいの大きさがあり、色も真っ白ではなく、部屋の光に照らされキラキラしているから、少し銀色が混じっているように思う。
その生き物の見た目は額と長い尻尾に一つずつ白い宝石のような石があり、ふさふさした胸毛、魚のヒレのような耳。そして、最大の特徴は両翼が生えていることだろう。
これって、ドラゴン、か?
私、ドラゴンってダンジョン内で倒した記憶しかない。え、こんなに人懐っこいものなのか? え、襲われた記憶しかない。え、何これ。
その白いドラゴンはこれでもかとアラシ君の顔を舐め回っている。仕草は犬のそれだが、見た目はドラゴン。竜だ。
「あう! あう~ん♪」
「ばっ……やめ、ろ! 分かった! 俺も、わ、りら……嬉しいけどさ! やめろー!!」
じゃれまくるドラゴンさんにアラシ君は抵抗するものの、なかなか抗えないようで半ばされるがままである。そして、それを助けずに笑っているレオン君。いいご友人をお持ちです。
「お金持ちさんはドラゴンを飼えるの……?」
「お、お金持ちって言う度に私を見ないでよ! 私以上のお金持ちがいるじゃん、リーちゃん!」
ステラちゃんの示す方向にはティールがいる。しかし、ティールはじっとドラゴンを見ていて、気づいていないらしい。
「……ティール?」
「あ、ごめん。何?」
「いや、特には。何か気になる?」
「や……ちょっと引っ掛かるだけ。もう少しで思い出せそうだけど、思い出せないみたいな」
たまにあるよね、それ。分かる。
ティールは苦笑を浮かべ、また考え込んでしまった。こうなると、受け答えもままならないだろう。ここはそっとしておいてあげよう。
リーフちゃん達の方に意識を戻すと、困惑する二人にようやく大笑いから落ち着いたレオン君が話しかけるところだった。
「にしし。ペットねぇ~♪ 間違ってはないな。多分、リーフ達は『リラン』を見たことあんじゃないかな~?」
リラン? それがこのドラゴンみたいな犬? いや、違うか。犬みたいなドラゴンの名前?
「そそ。リランってのはこいつの名前で……」
と、続きを話そうとしていたレオン君にリランとやらがぴょんっと飛び付く。元から構えていたのかアラシ君みたいに押し倒されることはなかったが、顔を舐めようとするのは変わらないらしい。
「おー! リラン! 二週間ぶり~♪」
「あんあん! あうーん♪」
レオン君へ意識がいったことで、最初の犠牲者(?)であるアラシ君はドラゴンのペロペロ攻撃から解放された。到着して間もないというのに、すでにやつれている。大丈夫だろうか?
「アラシ様、こちらをお使いください」
「あぁ……カルタムさん、あざっす」
執事さんはアラシ君に蒸しタオルを手渡す。そのタオルで顔を拭き、少し落ち着いたらしく、ゆっくりと立ち上がる。
「……悪い。なんか色々置いてってるよな?」
「かなりね。こっちはびっくりしてるよ」
「あー……だよな。……とりあえず、紹介する。この人はカルタムさん。ここの執事長さんで、屋敷のことや使用人の管理なんかをセラおばさんから任されてる人で……ま、使用人の中で一番偉い人ってことだな」
「申し遅れました。カルタム・ファーマーでございます。本日は皆様の案内役を勤めさせていただきますゆえ、以後お見知りおき」
そして、入ってきたときと同じように丁寧にお辞儀をしてきた。今度は慌てることなく、私達四人もお辞儀をする。
こ、こういうときってどう対応するのが正解なんだろう? 経験がなくて分からん!
お辞儀のあとの行動を決めかねていると、ティールが一歩前に出て、王子様らしい仕草で小さく笑う。
「本日はこちらの無理な要望にお応えいただき、ありがとうございます。……ラル、リーフ、お願い」
え……あ、はい!
「あの、こちら……大したものではないんですが」
「よろしければ、どうぞっ!」
ティールのパスで、ようやく持ってきたお見舞い品をカルタムさんに手渡す。中身が見えたのか、カルタムさんがにこりと笑った。
「これはこれは……お嬢様がお好きな菓子店のものですね。お心遣いありがとうございます」
以前、ツバサちゃんが好きだと話していたところだ。間違っていなくてよかった。
「……ティール、助かった」
「ふふ。どういたしまして。……ラルもこういうところだと緊張するんだね?」
「するよ。ティールと違って庶民派なんですー」
「ぼくも今は庶民派のつもりだけどね」
「……あ、ティールって王子様なんだっけか。忘れてたわ」
一連の流れを黙って見ていたアラシ君がボソッと呟いた。普段の様子から雰囲気がないため、すっかり忘れていたらしい。
「それは忘れたままでいいよ、アラシ」
まあ、すぐに気にしなくなるよ。大丈夫大丈夫。現に今まで忘れられてたんだからさ。
「あの、大人数で押し掛けてしまってごめんなさい。ツバサちゃんの体調が優れないようなら、すぐに帰りますので」
ステラちゃんがカルタムさんに控えめに告げる。イグさんの話だと、家の中を歩き回るだとかなんだと聞いていたが、無理させるのはよくないので、当然である。
しかし、カルタムさんは小さく首を振った。
「とんでもございません。最近のお嬢様は微熱続きでも、この屋敷内を歩き回っておられます。皆様が来てくだされば、お嬢様も大人しくお休みなさってくださいますし、不用意に歩き回らないでしょう」
カルタムさんが目を離すと、すぐにいなくなっているのだろうか。まあ、本人は元気のつもりなのかもしれない。実際はそうでもないのだろうが。



~あとがき~
え、ツバサちゃんどこ??

次回、ようやく! この屋敷の姫様! 登場だよ!

ドラゴン出てきたり、羊の執事出てきたり、新キャラが止まりませんね!
今回のメインはツバサちゃんなんて言いましたが、多分違いますね。ドラゴンです←

みんな! 忘れてるかもしれないが、ティールは王子様だ! 格式高い空気には慣れっこやで!!
反対に慣れてないラルはいちいち反応を窺ってます。リードするティールも珍しいね。いや、珍しいのは男としてどうなのか。

ではでは!