satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第51話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で自由気ままに生活している物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラル達が一切出てきていないオリジナルキャラ達の話、四話目です。怪しい人達の半分を撃退し、残りも同じように倒していくぞ。ってところですかね。
ユーリ「こちらとしてはいきなり攻撃されたから戦ってますが、本当に悪なのか確認出来ていないんですよね」
……あ~……そうね。まあ、大丈夫。本当に悪い人達なので。
ユーリ「この物語ってほのぼのと言いますか、ギャグ路線の日常系だと思っていたんですが」
それは相方さんの役目だ……! せっかく、探検隊という設定があるんだから活かしたいよね!
ユーリ「……それ、言い訳」


イツキは剣を中段に構えたまま、小屋の入口へと踏み込もうとした。が、それは叶わず、素早く横に回避した。僕もイツキと同じように回避していた。イツキが避けたのは偶然なのか、日頃の感覚なのかは分からないが、僕に関しては微かな臭いで判断した。
何かが燃える臭いだと。
小屋の入口からいくつもの火の玉が飛び出してきて、さっきまで僕のいたところめがけて飛んできていた。これを放った人物は一人だけだ。
「炎属性魔法……赤髪の」
「ファイヤーボールだよ! 燃える弾丸だよ!! 燃える!」
弾丸だとバレットじゃ……まあ、いいか。
炎に有効な水属性の魔法は僕もリリアも使えない。防御するだけなら、リリアが壁を作ってくれるだろうけれど……遠距離魔法対決になんてなったら、戦いなれているであろう敵に軍配が上がりそうだ。リリアはあくまでも後方支援。回復を得意としているし、本人もそれを優先的に行う。魔法戦闘は期待しない方がいいだろう。
それにしても、だ。僕の魔法が効いていない? 確かにかけたと思ったんだけれど。不発なんてことはあり得ない。素早さダウンはかかっているはずで、魔法発動にも時間がかかる。僕らの突入前に魔法を完了させてたなのだろうか。
「……っ!? ユーリ、来るぞ! 下!」
「マジか」
野生の勘を発動させたイツキの指示で、前に飛び出す形で避ける。イツキも飛び退いて、その場から移動していた。規模は小さいながらも、確かな威力がある火柱がいくつか上がる。幸いにも全て避けられているけれど、これからもそうなるとは言えない。
「火ぃ、こっわ!! 魔法攻撃なら回復でどうにかなるか!? いや、でも怖いわぁ! 火傷痛いもぉん」
子供か。痛いけども!
突撃を中止したイツキが僕の近くまで駆け寄ってくる。リリアのところまでは火柱は届いていないみたいだ。火の玉は射程圏内ではあっただろうが、当たっていないみたいだ。その証拠に彼女の元気な声が聞こえてくるし。
「あっぶないなぁ! もう! むやみやたらに魔法をぶつけてこないでよねっ」
彼ら視点からすると、僕達は排除すべき存在で、こちらも攻撃しているんだから、おあいこなのでは。まあ、先に仕掛けてきているのは、あっちだけど。しかし、この先どうしたら……?
中には三人。一人の魔法使いがいて、その一人は遠距離から炎属性の魔法をばんばん打ってくる。残り二人は魔法メインではないにしろ、彼らからの洗礼もあるかもしれない。そして、なぜだか僕の魔法も無力化されている。状態異常の回復用の魔法を使っているのか、それ用のポーションでも使ったのか……いや、多分、最初の妨害で対策されたんだろう。魔法かポーションで対抗値でも上げてきたと考えるべきだ。
僕はイツキの手を掴み、小屋の入口から離れる。それと同時に二つの幻を作り上げた。これで、敵はあの幻を狙って攻撃してくるはずだ。少しの時間稼ぎにはなるだろう。
相手の死角になる場所へと移動すると、イツキと向き合った。これからについて話す必要がある。
「……僕の魔法、通用しないかも。ここまで解除が早いってことは、対策されてるってことだから」
「じゃ、真っ向勝負といこうぜ。それしかないし」
「馬鹿か。魔法相手に素手? 勝てるわけないだろ。お前の使う技も炎と相性が悪い。リリアの魔法で入口塞いで、誰か助けを呼ぶ方が得策」
「えー? その間に壊されたら? 逃げられたら? あの人達、またどこかで悪さする。分かってて見過ごせって? んなの、俺のプライドが許さねぇ。先輩に色々教えてもらってるのに、ここで活かさないでどこでやるんだよ」
「じゃあ、ここで危険を侵せって!? 僕達は学生で、探検隊でもなんでもない! ただの子供だぞ! ちょっと戦えるからって勝てる相手じゃないのは分かっただろ!?」
イツキの言葉も一理あるのは分かる。狼を通して見た物の中には、怪しげな品々に多額のお金もあったのだから。何かの取引をした後なのは明白だ。それを見て、知っているから、ここで食い止めた方がいいのは理解している。しているが、それを僕達だけでできるかどうかは話が別だ。力がないのは、自分達がよく知っている。
「分かるよ! 一人じゃ勝てっこねぇよ。まだ残ってるかもしれないし、増援が来るかもしれないって考えてる。……だからって、諦めるのは俺じゃない! 善悪以前に、俺が俺でいたいんだよ!」
この馬鹿! お前の気持ちなんてどうだっていい! ここでできもしないことをするなって話だよ。理解してくれ。
イツキは引くなんて考えていない。目をぎらつかせ、できるって信じきっている。できなくても、少しでも可能性があるならそれに掛けるべきだと考えているんだろう。しかし、僕はそんなのはどうだっていい。結局、周りがどうかなんて、二の次なのだ。
「……僕はイツキとリリアに怪我なんてして欲しくない。危険すぎる状況なんだよ。二人でも通じる相手じゃない確率の方が高いんだから、引き返して、誰かに助けを乞うべきだ」
「ユーリ。……喧嘩するのに無傷なんてあり得ない。危険を承知でやらなきゃなんないときだってあるよ。ここでやらなきゃ、あの人達は俺達を狙ってくるっしょ? 俺達自身を守るために戦うんだよ」
何それ。馬鹿みたい。それ、ここで突き通す必要あるのかよ。逃げるのも手だって理解しろよ。……けど、昔、同じようなことをイツキに言われたのを思い出す。

僕は子供の頃、いじめられていた。小学生の低学年くらいか。魔法を使えるかどうかの判断がつき、学校でもそれらの使い方なんかを学んでいた頃だ。攻撃魔法を使えないか、使えるかという差の優越感を浸りたいだけの悪ガキ共に目をつけられてしまったのがよくなかったのだろう。今にして思えば、本当に下らないし、イツキと一緒に様々な稽古をしていたのもあって、蹴散らす力はあったと思う。しかし、当時の僕にそんな勇気はなくって、悪ガキ達に言われるだけ言われ、やられるだけやられていた。泣きながら小さくなるしかなかった僕に、イツキは何度も助けてくれ、いじめっ子達を追い返してくれていた。その度にイツキは不満げにしていたが。
「ゆっくん、強いのに。あいつらをたおせるくらい……ばーんって、できるのに」
幼い頃、イツキは僕のことを「ゆっくん」と呼び、僕はあいつを「いっくん」と呼んでいた。
むっとしているイツキ……いっくんに「いっくんみたいに強くはない。立ち向かう勇気がないんだから」と言うけれど、全然納得はしてくれない。でも、それ以上は何も言わずに、僕の手を引いて家に帰ってくれた。ある日、登校中にいっくんは真剣な顔をして言ったのだ。あのいじめっ子達と喧嘩をすると。そんなのは駄目だと言ったものの、頑なに納得してくれなかった。
「どっかで立ち向かわなきゃ、ゆっくん、ずっといたいまんま。何かを守るためには、たたかわなきゃダメってじっちゃんも言ってたから。……おれ、ゆっくん、守るためにたたかうってきめた」
小学生が言う台詞かよと高校生ユーリは、突っ込めるけれど、聞かされた小学生ユーリはかなり慌てたし、焦った。いっくんの強さは知っていたし、怒ったら手がつけられないのも知っていたから。その心配は的中して、いじめっ子相手に大暴れをした。それはもう、盛大に。いっくんのお祖父さんに習っていた剣道でこてんぱんだ。─そして、お祖父さんに滅茶苦茶に怒られていたけども─それを機にいじめっ子はちょっかいを出さなくなった。出さなくはなったけれど、よくある話で、上が出てきたわけだ。おれのにーちゃんすごいんだぞ! 的なやつである。お前の兄さんは強くてもお前は強くないんだが……まあ、いっくんが呼び出され、お前も来いよと僕までも呼び出された。これ見ようがしに魔法と年齢を全面的に出して、一方的に暴力を振るう彼らに、いっくんは僕を守ると聞かずに果敢に挑んだ。しかし、一対多で勝てるはずもなく、やられそうになった彼を見た僕は……
僕は、戦ったんだ。
魔法攻撃なんて出来ないし、いっくんみたいに剣……当時は竹刀を握る勇気はなかったから、僕に出来る最大限の魔法を使った。

「おーい? ユーリ?」
さっきまで言い合いをしていたにも関わらず、急に黙った僕に心配そうな表情を向けていた。ぶんぶん目の前で手を振るのは当時と変わらない……変わらないでいてくれるイツキ。勇気のない僕とは大違いの、僕の親友で相棒で。僕の憧れ。
「……っぁあー! もう!」
「お、おおう。……んだよ。ユーリに止められたって、やる気満々だかんな!?」
「いいよ。止められないのは分かってるから。僕はいっくん……二人を守るって決めた。そのためになら、何でもするさ」
「……え、と、ユーリ……?」
戸惑うイツキには目もくれず、再び小屋の入口へと足を運ぶ。何か具体的な案がある訳じゃない。確信がある訳じゃなかった。漠然とした何かを浮かべながら、何が出来るのかを考える。体内にある魔力を感じながら、少しずつ組み上げていく。ここまでにかなりの魔法を連発してきた。今の魔力量でどれだけのものが出来上がるのかは分からない。しかし、ここで失敗するイメージなんてなかった。
「あいつが解けないくらいの魔法を見せてやる……僕の専門分野だ。負けてたまるか」
「ユーリ……ちょ、ゆっくん!」
「後は任せる」
「待て待て! ゆっくん、何を」
「いつも僕の前を歩くいっくんが好きだよ。……いつもみたいに、かっこいいところ見せてくれよ」
さあ、そのためのお膳立てをしてやろうか。



~あとがき~
初期プロットから大幅変更してないか!? なぜだ!!?? 構成組んだ意味は何処へ!

次回、顔も見えない敵との決着だー!
こいつらに時間かけすぎ! ヤバイ!

最初、ユーリ、イツキ、リリアの三人をピックアップするつもりが、いつの間にかユーリとイツキの二人に変わってますね。特に視点がユーリなのもあって、ユーリがなかなか目立ってます。……おかしいな。まあ、しゃーないか。いつか、リリアはリリアでメインにしましょう……イツキ視点は書きにくそうだからやりたくはないけど、イツキメインもやりたいです。願望です。
ほのぼのしてぇ~(笑)

ユーリの過去がチラ見えしましたが、彼の最大の暗黒期は多分、高校上がる前です。事ある毎にちょっとしたチンピラに囲まれる体質(笑)のユーリは、年を重ねる毎に反抗するという行動を覚えますので、中学辺りはイツキと一緒に暴れてたと思います。いや、吹っ掛けられた喧嘩しか買わないと思いますけどね!? イツキは色んなところから買ってそうだけど、それにユーリが巻き込まれる……とか? イツキは正義感からチンピラに立ち向かってるんでしょうけどね。その迷惑を被るのはユーリという……かわいそうなポジション(笑)
あ、彼が好戦的な感じになるのはこの辺の影響です。つまるところ、イツキが悪い。可愛くて草食男子っぽいユーリを奪いました←

ちなみに、今回出てきた回想時、リリアーナには出会っていないので、出てきませんでした。彼女とは小学三、四年で出会う感じです。小学生卒業まで、二人はリリアーナをりっちゃん呼びしてました。呼ぶとこなさそうだし、もしかしたら、一生出てこないかもなので、ここで出しときます。
ゆっくん、いっくん、りっちゃんです。リリアーナからすると、ゆっちゃん、いっちゃんを今の今まで貫いてますね。

ではでは!

レイ学 用語事典 vol.1

色々ごちゃごちゃしてきたので、専門用語っぽい感じのをまとめていく、いわゆる設定集的なそれです。まあ、製作陣側のために置いていくようなもんですけどね!!←

今回はvol.1と称して、今現在公開している話を中心にまとめてみました。「これ、なんだっけ」ってときにご覧くださいな。
まだ出てきてないけど、あとちょっとで出てくる! っていう用語もちょっと混ざっているので、予習だと思って(?)さらっと流してくださいね!


1.レイ学
説明:正式名は私立レイディアント学園。中等部、高等部が存在。中等部で、魔法、冒険に関する基礎知識を学び、高等部で『魔術科』『冒険科』に分かれて専門知識を学ぶ。学園のトップであるセラフィーヌ・ケアルを筆頭に有名な冒険家、有識者達が教鞭を取る。

2.魔術科
説明:学園に設立されている学科の一つ。魔法分野を専門的に扱う。基本的に魔法使用者のみが在籍している。

3.冒険科
説明:学園に設立されている学科の一つ。冒険家になるための知識を専門的に扱う。基本、技使用者が在籍しているが、魔法使用者も在籍。

4.生徒会
説明:普段の学園内の秩序を守る機関であり、行事等も取り仕切る場合もあるために、生徒が中心になって活動する全ての団体の頂点ともいえる存在。時として、独立した第三者機関とも成りうる組織でもある。しかし、これを断言して言えるのは、今現在の高等部生徒会のみである。
現在の高等部生徒会会長は冒険科所属、ラル・フェラディーネ。

5.部活動
説明:数多くの部活動が存在し、多くの仲間と共に切磋琢磨している。運動部は中等部、高等部で分かれていることが多いが、文化部活動は中高共同で行っているところが多い。
今現在(1話~50話まで)、作中に登場している部活は『考古学部』『弓道部』『剣術部』『園芸部』『パルパーク部』『図書部』の六つ。

6.学園内の建物
説明:学園内の敷地内は膨大であり、多くの建物が建てられている。生徒達が生活する中等部本校舎、高等部本校舎、中高共同の図書館といった学校らしい施設の他に、実践演習のための疑似ダンジョン、訓練場もある。

7.魔素
説明:物質の一つ。空気中を漂う酸素的な感じで、目には見えない。場所によって濃い薄いが存在するものの、どこにでもある。これらを用いて、人々は魔法、技を繰り出す。また、魔力保有者は、どれくらいの魔素が存在しているかを感じ取ることが可能。

8.魔力
説明:魔法使用者のみが保持する力。体内で魔素を魔力へと変化させ、決められた法則(魔法式)に則り、最終的には魔法へと変換する。体内に貯められる魔力量には個人差があり、使いすぎると魔力切れを引き起こす。消費した魔力は回復の道具を使用するか、時間経過で回復する。

9.魔法
説明:体内に存在する魔力にある形を与えたものの総称。魔法式と呼ばれる公式を用いて、発動される。大きく分けて、攻撃魔法、防御魔法、補助魔法の三つ。また、補助魔法を除いて、魔法には様々な属性が存在している。例外はあるが、人々は決められた属性のみを得意とし、髪色で判断可能。しかし、含まれている色の割合で複雑に変化するため、あくまで判断材料の一つでしかない。

※『髪色…得意属性』で表記※
赤色…炎
青色…水、氷
黄色…雷
緑色…草
オレンジ又は茶色…土
紫色…毒
黒色…光属性を除いた全ての属性魔法も使えるが、他と比べ、かなり弱体化する。その反面、基礎的な身体能力が高く、デバフ魔法を得意とする。
白色…光属性を得意とするが、他属性魔法も使用可。かなり珍しい。
黄緑…草、雷
薄黄緑…風
ピンク…炎、回復系
薄オレンジ又は薄茶…土、回復系
クリーム色…土、回復系(回復系の方が得意)
薄紫…毒、回復(デバフ回復が得意)
水色…風、氷
紺…デバフ系と水(使える割合は7:3。つまりデバフ系がメインになりやすい)

10.魔道具
説明:魔力変換能力を持たない者が技を出すための媒体として使用する道具。縮めて、『魔具』と呼ぶ人もいるが、正式名称は『魔道具』。剣や銃と言った武器からブレスレット、ネックレスと言った小さなアクセサリーまで多種多様。普通は一人一つの魔道具を使うが、人によっては使い分けて、己が定めた役割の切り替えを行う者もいる。

11.技
説明:魔道具を媒体にして魔力に形を与えたものの総称。魔法と同じく、攻撃技、防御技、補助技と三つに分類される。一人一人に適性はあるものの、特定の属性のみしか修得できないという縛りは存在せず、魔力切れという現象も存在しない。しかし、その場暮らしは、存在する魔素の量に左右されやすいため、魔道具にある程度貯蔵しておくのが一般的。

12.魔力石
説明:読んで字の如く、魔力を秘めている石。魔法や技よりは威力、質共に劣るが、属性術を発動可能。また、石の質によって、魔力量が決まっている。こちらも時間経過で勝手に回復するが、容量オーバーな使い方をすると砕け散って、使用不可能までになってしまうため、無理な利用は推奨されない。以下はその分類である。

※『石の色…使用可能な属性』で表記※
赤色…炎
青色…水、氷
黄色…雷
緑色…草
オレンジ又は茶色…土
紫色…毒関係
黒色…どの属性魔法も使えるがかなり弱体化され、基本、デバフ専用として扱う。白ほどではないが、手に入りにくい代物。
白色…どの属性魔法も使える。かなり希少。
黄緑…草、雷
薄黄緑…風
ピンク…炎、回復系
薄オレンジ又は薄茶…土、回復系
クリーム色…土、回復系(回復系の方が得意)
薄紫…毒、回復(デバフ回復が得意)
水色…風、氷
紺…デバフ系と水(使える割合は7:3。つまりデバフ系がメインになりやすい)

13.能力
説明:技使用者に多く見られる特殊能力の総称。技、魔法とは違い、魔素、魔力を消費せずに使用可能。攻撃に転換できる能力もあれば、アシスト専用と幅広い。全員が能力を持ち合わせている訳ではなく、メカニズムは不明だが、突発的に発症、遺伝、伝承とパターン化はされている。以下は作中のキャラが保持している能力紹介。

※『能力名(保有者名)…効果』で表記※
時空の叫び(ラル)…人や物に触れ、それに関連する過去未来を見聞きする能力。使用者が心から信頼できる相手が傍にいて初めて発動可能。ある程度は指定できるものの、完全に思い通りにならない場合もある。また、見聞きしたものが過去なのか未来なのかは使用者にも分からない。
あやつり(ティール、クラウ)…特定の物質を意のままに操る能力。ティールは液体、クラウは気体を操る。その気になれば、相手の生命を左右するほどの力も発揮できるが、それに伴い使用者の負担が大きくなる。
強き力(ステラ、フォース)…魔力とは別の力を体内に保有し、それに具体的な形を与える能力。これを持っている者は、継承者、制御者と分けられる。継承者とはそのままの意味で、能力の所有者。制御者とは、継承者が強大なこの力に慣れるまで、力を預り、傍に付き従う者を指す。制御者はランク毎に一人存在し、それぞれに性格の違い、特性の違い等がある。
マインド(フォース)…他人の心を読む能力。使用者、相手の精神力に応じて読みやすさが変動する。

14.種族
説明:この世界には多くの種族が確認されている。以下は、今現在(1~50話)までに登場した種族の説明である。

15.人
説明:特筆するような特徴を持たず、一般的で、ノーマルな種族。個々で見た目と能力に差はあるが、平均的な能力値は普通に分類される。
※作中に登場済み:ラル、ティール、ステラ、リーフ、イツキ、プリン等

16.狐族
説明:ふわふわで大きく膨らんだ尻尾と耳が特徴。得意属性とは別に、幻術魔法、技に才覚を見せる。
作中に登場済み:ツバサ、ツルギ

17.牙狼
説明:流れるような尻尾と耳が特徴。鼻がよく、気配に敏感。
作中に登場済み:アラシ、ユーリ

19.猫族
説明:細く長い尻尾と三角の耳が特徴。俊敏な動きを得意とする。
作中に登場済み:レオン

20.人魚族
説明:魚のヒレのような耳を持ち、水中では足が魚の尾に変化する。
作中に登場済み:アリア

21.樹妖精(ドライアド)
説明:尖った耳が特徴で、植物と会話が可能。
作中に登場済み:ミユル

22.竜族
説明:竜へと変化する能力を持つ。
作中に登場済み:シエル

23.兎族
説明:長い耳が特徴。物音に敏感。
作中に登場済み:リリアーナ

24.ギルド
説明:ある目的のために作られた団体で仕事の仲介、情報提供を行うところ。多種多様なギルドが各地に点在している。ギルドの規則によっては、学生と両立して所属することも可能。作中では、シエル、アリアはその部類。

25.探検隊、冒険家
説明:職業の一つ。主にモンスター退治、素材採取、未開の地の探索等をメインに活動している。ギルドに所属し、仕事をする方法と、独自でチームを結成して経験を積む方法が主な活動方法である。ラル率いるスカイは今現在、後者の立場である。

26.他国
説明:レイディアント学園が在校している国とは別にいくつかの国が存在している。それぞれの国で気候、環境、暮らしている種族の傾向、政治の方法等が変わってくる。
作中で登場済みなのは、ティールの故郷である通称、海の国のみ。この国は王権政治であり、現国王はティールの父、ブライト・クランド。





今回はここまでとなります!
相方と相談し、とりあえずここまで紹介しとけばええやろ的な感じに落ち着きました。しばらく経ったら、二つ目を作ります。多分。

『空と海』の設定をそのまんま載せているところもありますが(能力とか国の話とか)、そりゃあ、本編から引っ張ってきたんで当たり前なのですがね。まあ、こちらはこちらで考えているので、多少の違いは出てくる……でしょうかね。きっと。
レイ学設定と本編設定は別物です。はい。

さてさて。明日は通常通り、レイ学51話公開予定です。ユーリ、イツキ、リリアーナにポイントを置いていますが、それも残り半分くらいですかね。三人の話は相方監修ではなく私が作ってるので、本来のレイ学の目標ジャンル(?)である、どたばたの日常話はどこ行った!? みたいな展開が続きます。いや、もうちょいほのぼのを想像してたんですけど、元来、私はそういう話を組みたがる性格のようです。あぁ~……楽しいなぁ!!(泣)
ってことで、明日もよろしければご覧くださいませ。

ではでは!

空と海 第220話

~前回までのあらすじ~
雑に花火大会を終わらせました。
ここから本題ですね。
ピカ「だねぇ~」
フォース「あれか。今度やる長編の?」
そうだね。次の長編の序章みたいなものです。次の長編はそこそこ重くなりますよ。今のうちに忠告しとこ……
ピカ「あはは~♪ はぁ。さっさと終わればなぁ」
フォース「無理だな」
今回の話は結構、物騒(過激表現あり)なので、苦手な方はご注意を。


花火大会を終え、イブとチコはギルドへ戻り、ピカとポチャは自分達の基地へと戻っていった。賑やかだった祭りとは対照的に、海岸は波の音が規則正しく聞こえてくるだけで、心地よい静けさに包まれていた。
フォースはすでに就寝したイブからそっと抜け出し、ピカとの約束を守るために海岸へと訪れていた。呼び出した本人はまだ来ていないらしいが、待っていればいずれ来るはずである。適当なところで腰を下ろし、ぼんやりと海を眺めた。月明かりに照らされ、淡く光を反射する水面を見つめていると、深くまで吸い込まれるような感覚に陥る。
「瞑想には持ってこいって気もするけど、波の音で眠くなりそう」
「眠いなら、明日でもいいよ。私とのお話」
「別に眠くないよ。……さっきぶりだな、ラル」
声のした方を振り向けば、呼び出した張本人であるピカが立っていた。首にスカーフを身に付けているだけのいつもの彼女。
ピカは何も言わずにフォースの隣に腰かけると、同じように海を見つめる。
「落ち着くよね。私、海好きなんだ」
「ふうん?」
「ポチャとの出会いの場ってのもあるけど、単純に波の音とか、ここの雰囲気が好きなんだよ。……それに、ここ、案外人が来ないから」
「人の喧騒から逃げるために来るってことか」
「あは。……まあ、そういうこと」
話があると呼び出されたものの、本題がこれだとは思っていない。これは単なる世間話、他愛ない話に過ぎない。少しの間、二人して話もせずに海を眺めていたが、やがてピカが口を開いた。
「……さて。色々話したいんだけど、実はどう話したらいいのか分からないんだよね。楽しい話じゃないから」
「今更、そんなん気にする仲かよ。ペンギンにも言えないようなことを言うつもりの癖に」
「……フォース君の読心術嫌いだなぁ」
苦笑混じりにぽつりと呟いた。嫌味でもなんでもなく、困ったような表情を見せる。
「でもまあ、正解だよ。本当は誰にも言うつもりなんてなかったんだけどね。……フォース君と仲良くなっちゃったから、言っておこうかなって」
「? どういう……」
「遠回しに言っても仕方ないから、単刀直入に。……ピストが動いた。ようやく尻尾が掴める。この先は……言わなくても、分かるよね?」
ピストと言う名前は知っている。話したことはないが、見たことはあった。ピストはイブの父親であり、“強き力”を持つイブを監禁していた張本人。そして、そのピストの本性も知っていた。
胸の奥底から沸き上がる黒い感情を抑え付け、あくまで冷静に落ち着いた声で言葉を紡ぐ。
「あいつが……何をするつもりなんだ?」
「それは分からない。でも、今回の騒動、私はイブちゃんが狙いなんだって思っていたの。バックにピストがいるのは知っていたから。……でもまあ、その予想は外れたけど。……多分、イブちゃんを連れ戻すつもりなんじゃないかって思ってた」
「すぅは何もしてないけど……あぁ、違うか。力を危惧して」
「多分ね。少しの危険分子をピストは逃さない。例え、実の娘でも。……きっと、あの人は」
これ以上、ピカは続けなかった。言わなくても分かるだろうとでも言うように、ピカはフォースを見つめた。
「……それで、お前はどうするんだ」
「ずっと追いかけていたの。ミーさ……エルンさんっていう四天王に頼まれて。なんで私なのかは分からないけれど、一年前からずっと、あいつを捜してた。いいところまで行ったこともあったけれど、結局は逃げられて……でも、今回はそうはいかない。今回は必ず、仕留める」
ここで一度、言葉を区切った。次の言葉を言ってもいいものか、考えているらしかった。ここでピカが言わなくても、フォースは悟ってはいたのだが、彼女は意を決したらしく、迷いのない真剣な眼差しをフォースに向けた。
「……私は、イブちゃんの父親を殺す。あなたの主の家族を手にかける。……仮に止められても、止まらないから。フォース君を敵に回しても、やり遂げる覚悟だって伝えるために来てもらったの」
誰にも言わずに計画を進める選択肢だってあった。わざわざ言う必要はない。誰かに止められる可能性があるならば、黙って実行に移すべきなのだ。しかし、ピカはそうしなかった。それは客観的判断ではなく、自分がそうした方がよいと考えたからだろう。自分の義理を通したとも言えるし、自己満足であるとも言える。フォースはそんな彼女に自分の考えを伝えるべきだと感じた。
「あいつは……ピスト・フォレスは我が主、ステラ・フォレス様にとって邪魔でしかない。……すぅが幸せになるためにあいつは必要ないと判断している。ラルがやるなら、おれは止めない」
「イブちゃんが止めろって言っても?」
「そうだな。そう言ったらラルの邪魔にならないように上手くやっておくけど。……おれ個人の意見としては、今すぐにでも殺ってもいいんだ。元来、おれの性格はそんなもんだから。邪魔なら排除するのが一番だよ。けど、鈴琉が嫌うから、やらないだけ。本当にやらなくちゃいけない状況に置かれなきゃ、おれは動かない」
自分のために誰かの血が流れるのを極端に嫌がっていた、最愛の妻の笑顔を浮かべる。例え、イブのためと正当化しても、彼女は怒る。もっと別の手段があると、甘い夢物語を聞かせてくるはずなのだ。フォースにしてみれば、主を守るために主を殺すと言う最大の矛盾を含むと反論したくなるが、鈴流の場合、そうなったら仕方がないと困ったように笑うだろう。イブの場合、そうも言ってられないが。
「きっと、すぅは優しい奴だから、親を庇う。できるなら、知らないところで終わらせてくれよ」
「うん。善処する……まあ、ピストの動きと情報が揃い次第って感じかな。ごめんね、こんなことで呼び出して」
「いや。知れてよかったよ。知ってる奴が一人でもいた方ができることもあんだろ?」
「あは。そうかもね。……じゃ、明日から仕事でここ離れるから、帰ってきたときにでも話すよ」
「おう。……なあ、ラル」
完全にお開きムードだったのをフォースが遮った。ピカはすでに立ち上がり、フォースに背を向けていたが、こちらを振り返って次に出てくる言葉を待っている。
「……あ~……おれもお前に言いたいことあったんだけど、まとまったら話すわ」
「ん? それ、重要な奴?」
「多分ね。……将来の話、かな」
この一言で知識のあるピカは何なのか察したのだろう。妙に納得した様子で、わざとらしく首を傾げた。
「……あぁ、なるほどね。それ、確実なの?」
「そうだな。まあ、中途半端に投げ出すなんてのはしない。しっかり見届けるよ」
「そうしてよ。まだ、フォース君に退場されたくない。……で、その話は誰かに?」
「お前が最初。そして、これからも誰かにするつもりはない。ラルは……うん。リーダーだから?」
正直なところ、なぜ目の前の彼女にこのことを吐露してしまったのか、自分でも分からなかった。ただ、言っておかなければと思ったのだ。取って付けた理由にピカは苦笑を浮かべた。
「てっきとうな理由だなぁ……今日はお互い、ここまでにしよう。今度、詳しく話そうか」
「りょーかい。……おやすみ、ラル」
「うん。おやすみなさい」
ほんの少しの平和な時間を過ごすため、日常へと戻っていく。それとは別に大きな流れへと飲み込まれているとも知らずに。



~あとがき~
最後の文は適当につけたので、あまり意味はない。(多分)

次回、ほのぼの! 日常話! ピカとポチャの二人でお送りします。
珍しくポチャ視点だよ☆

本当はもう少し別の話をするつもりだったんですけど、ちょっと後回しにすることにしました。後回しでいいなと思ったのと、夏祭り編があまりにも長すぎたってのが……話数的には127話~220話までなんです。計算したら、93話も夏祭り編やってました。日数で言えば、2016年2月末~2019年6月末なので……3年と4ヶ月、かな? なっが(汗)
このあとも何年も通してやるような長編が待ってるぞ~い!!(泣)

はてさて。今回はなんだか焦臭い話で終わりました。しなくてもいい話だけど、ちょっくら話しますかね。なんとなく、思ったことをね。
フォースは二人のピカチュウの女の子に変えられたんですね。一人は鈴流、もう一人はピカですね。鈴流はフォースに人を愛するってのを教えた人で、優しさを芽生えさせたと言うか、大切に思う気持ちを教えたと言いますか。そんな感じです。
で、ピカは人との関わりを教えました。必要以上に関わりを捨ててきたフォースを外へと引っ張ったのはピカです。そんな二人があって今のフォースがあるんだなーと。んでもって、二人ともピカチュウっていう。作り手の私からすれば、そうなるように作ってるわけなので当たり前なんです。でも、フォースからすれば、ピカと出会うのも運命だったのかもしれません。
なんてことをふと思ったので、つらつらと書きました。正直なところ、フォースがここまで丸くなるなんて思ってませんでした。

ではでは!

レイ学 50話突破!!

題の通りですね。昨日、友人と共同で作成している小説『学びや! レイディアント学園』が50話突破しました。
いつから出してたっけ……今年の1月から投稿していて、6月末くらいに50か……早いのかどうなのか。これからもこのペースなのかは保証しかねねますが、しばらくは週2ペースで投稿を続けていきまっす。

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50話記念イラスト!

リリアーナ、ユーリ、イツキです。服装は50話時点の私服と戦闘スタイルです。イツキは剣ゲットしただけで使ってはないですけど。まあ、こんなん着てると思ってくださいな! 記念イラスト自体はメインのラル達でもよかったんですけど、50話は2年生徒会組メインに出てたんで……この3人って理由です。

次の記念イラストは100話ですかね。今回と同様に100話にメインで出てきているキャラを描きましょう。
次回は間に合えば、相方もこちらでイラスト掲載したいと嬉しい申し出があったので、次の記念イラストは2枚ある……かもしれない! 
100話がどんな話になるのか分かりませんが、剣技大会中なのか……前は剣技大会終わってるだろ~とか思っていたんですけど、そこそこ書き進めていくと大会中に100話こんにちわしそうで震えているところです……(笑)

明日はレイ学ではなく、『空と海』夏祭り編ラストを投稿します! 長かったね~(笑)
ではでは!

学びや!レイディアント学園 第50話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で無茶苦茶して遊んでいる物語です。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、攻撃されました。
イツキ「わ~い♪ ざっくり~」
ユーリ「されたこちらとしては、突然なので正当防衛ってことになりますかね」
まあ、なる……かな? 君達、知らない人をつけ狙ってたけど。
イツキ「必要なことだったので!」
ユーリ「本当に勘違いだったら、怒られるだけじゃ済まなかったよな」
イツキ「いーの。攻撃されたから、悪い奴なの」
ユーリ「……」


それなら、わざわざ幻術を維持するのも魔力の無駄だ。勝手に解かせてもらおう。パチンと指を鳴らして、魔法を解除した。とはいえ、気配は殺したままではあるが。僕の腕をぎゅっと掴み、リリアが少しの焦りの色を見せた。
「ど、どうするの? 銃なんて……魔法弾の銃なら見たことあるけど、本物だよ!?」
「本物もまあ、見た目は一緒だよ。実弾銃の方が重いとは思うけど。……イツキ、使った経験は?」
「な~い。俺の得意なの、近距離戦だぞ。牽制で遠距離技は使うけどね。ユーリは?」
「見たことはあるけど、撃った経験はない」
「やってそうなのに」
「僕の得意分野知ってて言ってるなら殴るぞ」
リリアが僕らのやり取りを黙って聞いていたが、小さく息を吐いた。
「二人とも、冷静だにゃ」
「焦っても仕方ないし。……ふむ。ま、使い手を封じればいいよね。あの小屋周辺に状態異常系魔法をかける。……視界を奪えば、ある程度パニックになって何人かは倒せるかな。イツキ、適当に殴ってこい。リリアは窓を塞いで、その後は僕達のアシスト。極力、攻撃するな。唯一の回復要員なんだから」
「待って。俺に対する配慮が何もないんだけど」
「戦闘馬鹿に配慮する余裕はない。じゃ、合図したらそれぞれ動くぞ」
僕は周りの状況を探るために放っていた狼達の視界から得られる情報を、丁寧に且つ素早く頭に叩き込む。この周囲と小屋の内部だ。魔法の使い手がいるなら、この魔法もバレるかもしれないけれど、そのときはそのときだ。
「りょ、りょーかい!」
「納得いかない……ユーリが冷たいよぅ~」
周囲に敵の気配と姿はない。となれば、あの小屋内部にいる人達だけを相手にすればいいようだ。……後から増援が来るという線も捨てきれないけれど、そうなったら、全力で逃げて街のギルドかどっかに逃げ込もう。そうしよう。
「……中は五人……いや、六人か。魔法使いは見える範囲には一人。色は赤だから、炎系統の魔法だな。光魔法はなさそう」
小屋の中はかなり殺風景だ。そんな室内にいくつも積まれた段ボールと大金が異様に写る。
扉のある方面の窓から銃口を向けている人が一人。残りのメンバーでこれからどうするのか慌ただしく会議しているらしい。その隙に先制攻撃を仕掛けられると更にパニックに陥り、尚いいだろう。
「じゃあ、魔法での回復はされないね!」
「準備しよう。……イツキは扉のところに。リリアはここで窓を塞いで、それが出来たら、イツキの後ろに静かに移動してきて」
狼達を消し、次の魔法の準備をする。視界を奪うための妨害魔法……一種のデバフ効果のある魔法をかける。普段はここまで中規模な魔法は使わないけれど、使わない=使えないではないのだ。
「……リリア」
「うんっ! じゃあ、造るね!」
リリアの魔法で無数の岩が窓へとはめ込まれていく。石垣のように組み上がり、あっという間に窓を覆った。それが出来上がったのを見届けると、僕は両手を小屋へと向けた。
「……よし! 暗転!」
小屋周辺に大きな魔法陣を出現させ、その魔法陣が怪しく光ったと思ったらすぐに消える。僕らはイツキの元へと近付き、リリアは後ろ、僕はイツキの隣に立つ。
「一応、聞いてあげる。武器は?」
「あったら構えてますよ~」
そりゃそうだ。こんなことになるなんて想像していなかったし、普段から武器を持ち歩くタイプでもない。元々、遊ぶつもりで家から出てきたわけで、外である程度遊んだ後は、イツキの家に行くつもりだった。武器を装備する必要なんてない計画だったはずなんだけど。どこからおかしくなったのやら。
「今は敵の視界を奪ってるけど、効果は三分足らずで切れる。とりあえず、出てきた奴らを倒していこう」
「OK! ま、武器なくても戦えますし! いけるいける~♪ ユーリもいるし!」
その、僕に対する絶対的な信頼はどこから生まれてくるの。意味が分からない。
どたばたと音を立てながら、六人中三人が小屋から半ば転がるように出てきた。突然暗闇に襲われ、外に光を求めて、手探りで出てきたのだろう。だが、それでも視界が明るくなるなんてこと、ないんだけれどね。
「な、なんでここも暗いんだ!?」
「お、まずはひとーり!」
イツキが立ち上がろうとする敵一人を寝技で押さえつける。綺麗に技が決まっているようで、全く抜け出せない。剣の才覚を見せるイツキだけど、一通りの武術は取得しているため、こいつの接近戦は何かと恐ろしいものがある。空手、柔道、合気道と思い付く武道系の格闘技というか、その辺はマスターしている。勉強より運動という典型的な例だ。
さて、じっとしてないで残りの二人を黙らせるか。
どうにか武器である拳銃を構え、ふらふらと立ち上がる一人の手元を狙い、蹴りを入れる。拳銃を空中に飛ばしてから、そのままの勢いで今度は頭を狙い、回し蹴りを繰り出す。ほぼ止まったままの的に蹴りを決めるのは楽なもので、簡単に吹き飛んだ。久し振りに前衛に出てきたため、加減がおかしい気がする。ここまで飛ぶか。
「人ってこんなに簡単に飛ぶもんなの?」
「お前の蹴りが威力あるだけだから!! 認めて!? 接近戦の鬼だから!」
敵に関節技をし続けてるイツキが叫んだ。昔からの友人にそのようなことを言われるとは思わなかった。戦闘はイツキの専売特許のはずなのに。
……失礼な。基本的に僕は後ろでサポートするのがお仕事。本来なら、敵に妨害かけつつ、アシストが得意分野なんです。本来なら、な。
落ちている拳銃を拾い、どれだけの弾が入っているのかを確認する。持ち手のところからカートリッジみたいなものを引き出すと、約十発といったところか。まあ、見たところ拳銃だし、弾数はそんなものだろう。
「く、来るな!!」
半狂乱していると言っても過言でないくらいにパニック状態のようで、なりふり構わず、剣を振り回している。迂闊に近づけないが、剣を落としてしまうか、動きを止めればいい。
「……当たるかなっと」
振り回す剣の当たらない位置で、相手の手元をよく狙う。実弾銃を使った経験はないけれど、少しでもかすればいいんだ。的は大きいし、なんとかなるだろう。しっかり構えて、引き金を引く。安全装置は外れたままだから、ちょっとした動作であっけなく鉄の塊が飛んでいった。
「いってぇぇ!」
敵の腕に見事命中し、相手の動きが止まる。拳銃をベルトとズボンの間に突っ込みつつ素早く移動して、相手の懐へと潜り込んだ。鳩尾に一発入れ、よろけたところを腕を掴んで投げ飛ばした。がくりと動かなくなったのを確認すると、落ちた剣を拾う。何か装飾がしているわけでも、特別な効果を持つようなものでもない。ここに魔力石とか埋め込まれていれば、魔法のような攻撃とか、補助がついて、使える武器なのだが。ま、そんな高価な物を持っているわけもないか。
「あっけないなぁ」
「こっわい……俺、お前が怖い。ノリノリじゃん」
相手にしていた一人が気絶したのだろう。引きずりながらこちらに近付いてきた。拝借した剣をイツキに手渡し、僕は肩をすくめる。
「嫌々だよ。残りの三人は……懸命に小屋の中で効果が切れるのを待ってるのかな」
足元に転がる一人とちょっと離れたところで伸びている一人を回収し、その辺の木の近くに寝かせておく。紐とかあればいいなと思ったところで、イツキにしてもらえばいいことに気付いた。
「こいつら、拘束出来る?」
「ほいほいっと……ちょっと力貸してね、植物さーん」
普段からしているブレスレットから淡い緑色の光が現れると、いくつもの蔓が伸びてくる。そして、気絶している三人を植物の蔓でぐるぐる巻きにしていく。そこそこの太さもあり、頑丈そうだ。
「リリア」
「はいはーい!」
「こいつら起きないように見張っといて。攻撃してこようとしたら、黙らせていいからね」
「リリィ、大丈夫? 攻撃出来る?」
完全に悪ふざけの顔だけど、リリアは知ってか知らずかそれに乗っかり、しゅっしゅっとシャドーボクシングをする。
「むむっ! いっちゃん、私を可愛い女の子だと思わないでよ!? ちゃあんと戦えるんだからっ」
「可愛いまで言ってないけど……リリィの攻撃魔法って遠距離専門じゃね?」
「まあ、得意なのはそうだね。でも、いざとなったら、岩を出現させてぶつけるから♪」
いや、死ぬやつじゃあ……いやいや。大丈夫。きっと、この人達も頑丈だから……うん。起きないことを願おう。
倒した三人はリリアに任せ、僕とイツキは再び小屋の近くまで近寄っていく。
「残り半分は小屋の中。……もうすぐ三分経つけど、追加で何かする?」
「攻撃力低下とか? え、難しい?」
「ううん。視界を奪うより楽」
「嫌らしいなぁ~……ま、戦いなんてそんなもんだよね。ユーリのデバフ攻撃、えぐいわ」
「……? 褒めてる?」
「滅茶苦茶褒めてる。……待ってるだけとか性に合わねぇな! 乗り込もうぜ」
「いいけど、狭いからなぁ」
イツキが渡した剣を振り回すなら、二人入るのは少し怖い。配慮はするだろうけれど、当たりそうだ。それなら、敵の動きを遅くしてしまえば、危険度も減るか? そうするか。
「……あっちの素早さ下げるから、イツキが乗り込んで。僕は後ろで待ってる」
「りょーかい。素早さ下げるって、俺らからどう見えんの?」
「ん~……強さにもよるけど、最大で掛ければ完全にスローモーション? 止まって見えるみたいな」
「うわ、それやりたい。お前の動き、止まって見えるぜ! とか言ってみてぇ~♪」
「はいはい。じゃあ、そうしてやるよ」
お調子者の要望にお応えしてやろう。イツキに言われたからというよりは、そっちの方が早く片付きそうだしね。
視界を奪ったときのように小屋周辺に魔法を掛ける。先程と同じ魔方陣が現れ、すぐに消えた。
「いいよ」
「やったー! 突撃!」
お前だけな。



~あとがき~
祝五十話。

次回、順調すぎてあれなので、試練を与えます←

ユーリがバリバリの武闘派ですが、本人はそこまで乗り気ではないです。蹴り飛ばしたり、投げ飛ばしたけど、戦いが好きというわけではない。ないけど、好戦的な態度ではあるのかなと。どこで身に付けたとか、なんでここまで肉体派(?)なのかとか考えてはあるけど、話に出てくるのか謎。

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第49話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で適当にのんびりと過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
のんびりとか言いつつも、ユーリ、イツキ、リリアーナ三人で怪しい人の尾行をしておりまする。
ユーリ「これ、二、三話で終わりますか?」
無理ですね。五話くらいですかね。……あー、五話で終わればいいな。
ユーリ「……希望なんですね、そこ」


イツキが一方的に怪しいと思っている人は周囲を警戒しつつ、少しずつ街から郊外へと道を逸れていた。隠れるものがなくなってきたため、幻術魔法を僕を含めた三人にかけ、他の人からは見えないようにした。解除魔法を掛けられるとすぐに解けてしまうし、物音を立てたり、魔力探知に長けている人から見られると、すぐにバレるだろうけど、まあ、大丈夫だろう。少なくとも、今追いかけている人物はこちらの様子には全くの無関心なので、こういう魔法は気付かれにくいと踏んだのだ。
「いや~……ほんと、魔法って便利だよな。俺も使ってみたぁい~♪」
「僕が使うのは基本的に補助系全般と呪術。完全サポートタイプの僕からすると、技が使えるお前の方が羨ましいけど」
「そお? しゅばっと移動出来たり、こうして姿隠せる方が便利じゃない? リリィは回復も出来るじゃーん? めちゃ便利」
「ふにゅう。これは適性もあるからねぇ~? 私はゆっちゃんみたいに隠したり、敵を状態異常にしたりなんてできないからなぁ……こんなときのゆっちゃんは頼りになるね!」
こんなときなんて、一生来なくていいんだけどね。でも、今、使ってるなぁ……はぁ。
「……これっていうか、幻術魔法は補助系に属してるんだから、練習すればリリアも……って何の話を」
小声なら問題ないため、こそこそと話しながら追いかける。どうでもいい話をするくらいは余裕がある僕達だ。
イツキは魔法を扱う素質はなく、反対に僕とリリアはその素質がある。その原理とやらも色々複雑なので省略するとして……
魔法を使う側にも得意不得意は存在する。その特徴が如実に現れるのは、髪の色だ。例えば、炎系が得意な人は赤系統色の髪色で、雷系なら黄色系統色……と言った具合にはっきりと現れる。僕は黒髪なので、呪術やデバフ系を得意とする黒系統色。薄いオレンジ髪のリリアは、土と光の二属性を併せ持つ、オレンジ系統色。
光属性は少し特殊で、色素が薄い人ならある程度、操れるらしい。つまり、僕は原色寄りだから適性がないということだ。これで回復も使えたら味方補助が完璧にこなせるのに、とは思う。まあ、このような危険そうな場面に出会すなんて早々ないし、探検隊っぽいようなことも二度とやるつもりもないから、使えなくても問題ないけれど。
話を少し戻して、黒と白は特殊な立ち位置だ。黒は何色にも属し、白は何色にもなれる。そのため、系統無視して……流石に白にはなれないから光魔法は無理だけれど、様々な属性魔法を使用出来る。しかしまあ、黒は属性魔法を習得するのにかなりの時間がかかり、仮に使えたとしても威力は格段に落ちてしまい、魔力消費も大きい。メリットを探すよりもデメリットに目がいってしまうが、それでも、戦いの幅は大きくなるのは大きい。僕も憧れ半分、好奇心半分で練習しているけれど、光を除いた属性魔法習得には至っていない。使えなくはないんだけれど、対人戦ではほぼ役に立たないのが現状。
反対に白は優秀で、希少な存在。何色にもなれるという理屈で、僕のようなデメリットも存在しない。まあ、得意不得意は個性として存在するだろうが、理屈としてはチート級の強さと言っても過言ではない。が、そんなチートさんがほいほい生まれるものではないから、ある意味世界は平等だ。最近、会長が連れてきたツバサさんはそんなチートさんなわけだが、彼女を見たときは、白っていたんだという感想である。一生会えないレベルの人材なのは確かだ。
「……なあ。この先、ダンジョンだよな」
色々話をしていると、自然が多めの地帯へと来てしまったらしい。親切なことに『この先、ダンジョン』という看板が立てられている。誤って入ってしまわないようにするためだろう。
「そうだね」
「そうなの?」
いいところのお嬢様のリリアはこんなところ来るはずがない。お嬢様でなくても、生活する中でここに足を踏み入れる人もいないだろうけれど。
「うん。ガキの頃、行くなって言われてたし。ま、入ったことありますけどねぇ~……ね?」
「……あるね。でも、敵モンスターはほぼ出てこない小さなダンジョンだよ。悪い子供の度胸試しによく使うところ」
それこそ、十代前半のやんちゃ時代にイツキと二人で何度も入った記憶がある。僕とイツキはここで倒されたことも遭難したこともない。一人ではなく、二人で入るようにしていたというのもあるかもしれない。が、それが気に食わなかったのか、リリアはぷくっと頬を膨らませた。
「私、誘われたことないっ」
「えぇー? リリアーナお嬢様を誘うなんてとんでもないですよぉ~……そんな勇気ねぇわ、俺」
「お前も由緒正しいお家柄の癖によく言う」
「歴史があるのは認めるけど、金持ちではない。リリィ程の金はないね。うちは武道しか能のない家族なんで……脳筋パーティーなの」
「そこまで? 華道とか茶道はおばさんだっけ?」
「そ。あとばあちゃんかなぁ。親戚にも何人かいるけどね。男子はもうあれよ。体鍛えとけばなんとかなる! みたいな感じだからね?」
リリアの家は医者一家、イツキの家は武道に精通する名門。近所ではそれなりに名を通している二人ではある。リリアに関しては財閥のお嬢様レベルなので、現在進行形で交流しているのが不思議なくらいだ。
そんな名門二人に囲まれる僕だけれど……僕の家は、まあ、普通、だ。うん。
「ま。そん頃と環境が変わってなきゃ、俺達三人いれば問題ない。チビッ子時代のユーリと俺でも突破できるようなところだったし!」
「警戒しながらなら、大丈夫だね! あの人、追いかけよ!」
イツキとリリアはダンジョンの入口と思われる場所へと歩を進める。確かに、イツキの言う通りだ。子供の頃、大人に内緒で何度も入ったダンジョンではある。……では、あるんだけれど。当時と違うのは、追いかけている人の素性と力が未知数なのだ。何が起きても不思議ではないけれど、ある程度戦える自信はある。しかし、リリアの攻撃魔法があるとはいえ、僕とイツキはほぼ丸腰と言ってもいい。本来の力を出せないのが不安な点だ。
「……念には念をね」
手短に何かあったときのための保険の準備を終わらせる。これが徒労に終わればいいんだけれど。

二人に追い付いた後は、心底どうでもいい話を繰り広げてながら奥へと進む。しばらくして、怪しい人は小さな小屋へと入っていった。ログハウス……というよりは、木で出来た小屋だ。草木の影に隠れ、リリア、僕、イツキと横並びなってじっと観察する。目の前に入り口と思われる扉と小さな窓が見えるが、それ以外は何もない。
僕の右隣にいるイツキが首を傾げた。
「昔、こんなのあったっけ?」
「あった。上級生があれを秘密基地にするとかなんとか言って、他の人は入るなって言いまくってた気がする」
「あー……あのいかにもガキ大将みたいなあいつかぁ」
「そ。……あは。懐かしい」
「そんなことあったの?」
確か、小学低学年くらいの頃で、そのときはリリアとまだ出会っていない。今までも大して面白い話でもないために、彼女に話したこともなかった。
「あったんだよ。まあ、俺とユーリで叩きのめしたけどね!」
「おー! いっちゃん、かっこいい!」
……かっこいい、のか?
僕はおふざけモードのイツキを無視し、小さく追跡魔法の呪文を唱える。何体かの小さな狼を作り出すと、それらを散らせて小屋の周りの観察させる。
「それ、この前の落書き事件から多用してるよな」
「会長に言われて、とりあえずやってみただけなんだけどね。追尾用なんだけど便利。使い方次第で変わるんだなーって」
人を見張りたいと言われて、監視用に何か出来ないかと考えていたときに思いついたのだ。見るだけなら、量産してしまった方があちこちの情報を得られていい。作れば作る程、入る情報量は増えてしまって混乱してしまうが、整理し優先順位を決めて操れば問題ない。いざとなれば、相手に見せて、脅しにも使える……なんて、会長の考えることは恐ろしいと言うかなんと言うか。追跡用なのに敵に見せるなんて考えないだろう。普通、隠れて使うものなのに。魔法を使わない会長だから思い付くのか、普段から考えていることが違うのか。
「会長様は素晴らしいお方ですね!」
「リリア、声が大きい。……小屋の作りは前と変わってないか。ということは、出入り口はあそこだけで、右手に窓がもう一つ……か」
窓を塞げば、必然的に出入り口は今見ている扉のみになる。全員小屋の中にいると仮定すれば、戦いになった際、ある程度有利に事が運べるかもしれない。
「ふむふむ。待ち伏せてれば倒せるんじゃね?」
「ここまで来たけどさ、あの人、悪いこと何にもしないでここまで来たよね? いっちゃん、見てないんでしょ?」
「それな。万引きくらいすんのかと思ったけど、まーったくだったな。勘違いなら帰るだけなんだけどさ、うーん。俺、あれが勘違いだったとは思えないんだよな」
ふーん? ま、獣みたいなお前の勘を信じてあげるけど。
「いや、獣お前ら」
「立派な牙狼族なんで。そこら辺の獣と一緒にしないで。噛み殺すぞ」
「ウサギも可愛いけど、時には牙を向くぞぉ! ていっ! ていっ!」
「やだ。目が本気~」
さあて……どうするかな。
そんなことを考えていると、微かに火薬の匂いがしてきた。それを感じ取った瞬間、反射的に二人の手首を掴み、地面を蹴って走り出していた。僕の突然の行動にも、転ばずについて来てくれたことに関しては流石と感心する。怪我もなく数メートル移動した後、リリアが体を震わせる。
「……ゆっちゃん、いっちゃん。今、銃の発砲した音が聞こえた」
「火薬の臭いもするし、実弾銃か。これ、バレてるね。相手に魔術師……魔法使いが一人はいるってことだ」



~あとがき~
この三人、書きやすい。

次回、バトル勃発! 多分!!

ユーリが何かあったときのための保険ってのが何なのかは話が進めばわかります。まあ、予想はつきそうですけどね!

今回は魔法の設定だったり、この三人の関係性だったり、後からまだこの三人(ユーリとイツキ中心だとは思うけれど)のことは明らかになっていきますが……ユーリはこの二人と話してると……特にイツキとは本当に口悪いですね。他の子達とはそうはなりませんので、気を許してるってことでしょうかね。
魔法の設定に関しては友人とそこそこ話し合って決めています。……っつっても、友人が設定の大部分を作り、私が気になるところを質問して、付け足してもらったりなんなりしてもらい、練り上げてって感じなので、うん! ほぼ友人の手柄ですね!!(笑)
魔法の設定はいつかまとめ出したいですね。ツバサちゃんみたいな例外があるし、色とか適性とかややこしいんでね。
そこら辺、技は曖昧です。技はポケモンのあれが元なので余程、ぶっ飛んでなければありです。だから、ラルは電気メインだけど、本編では”くさむすび”や”あなをほる”等々、意外とバラエティー豊かなので、レイ学ラルもそこら辺を使える設定ではあります。まあ、それっぽい何か、にはなりますが。オリ技って設定も生きてます。ピカの場合、ドールとかもある……いるかな。いるんですよね。こいつもなかなかのキャラですね。バトルあまりないのでいいけど。

本当はちょい役の予定だった、ユーリとイツキがここまで中心ポジに来るなんて思ってませんでしたね。いやはや……凄いね。
三年のラル達が卒業というか、引退したら、こいつらが生徒会の中心に……とは思っていますが、会長は……誰や……? ツバサちゃんかな。(適当)

ではでは!

空と海 第219話

~前回までのあらすじ~
五人で夏祭り堪能しました。(全カット)
ピカ「フォース君とポチャが二人で射的するシーンも!? 私が珍しくポチャはかっこいいんだぞーとかなんとか言ってるのに! 私の彼氏かっこいいだろ的なことを言ってるのに!?」
イブ「すーくんが初日に寄ったところのアズマオウさんにマイエンジェルとかイケメンに言ってるシーンあったのにー?」
それだけで一話は無理やて……
ピカ「いけるって! 無駄話を伸ばす天才じゃん」
ポチャ、フォース「やめてください。お願いします」(土下座)
チコ「……は、始まりまーす!」
今回は時間が進んで、花火大会前です!


花火大会開始までの時間が迫り、お客さんもすっごく増えた。昨日よりもいる気がして、それくらい、皆が楽しみにしていて、大切にしているってことなのかもしれない。
昨日は私とチコちゃんとすーくんの三人だったけれど、今はピカさんとポチャさんもいる。場所取りする前に買っておいた、屋台飯を各自好きなものを食べながら時間まで待っていた。
「こんなにゆっくり花火を待つのは久しぶり? いっつも警備に駆り出されてるよね」
「屋台は巡ってたけど、花火は初めてかもね」
ピカさんはべっこう飴、ポチャさんはりんご飴を食べている。ピカさんはその前に焼きそば食べていたけれど、ポチャさんはずっとりんご飴のような……? あれ、いくつ目なんだろ。実は一つのりんご飴をゆっくりのんびり食べてる……のかな。
「三つ目だよ。イブちゃん」
ポチャさんの横でちろちろとべっこう飴を舐めていたピカさんが呆れた様子で教えてくれた。そんなピカさんに臆しないポチャさんは本当に美味しそうに食べている。
「あはは♪ まだまだいけるよ~♪」
いやいや! りんご飴大食い選手権じゃないんですけど!! そこまで食べなくても!
「ポチャ的には屋台毎に使っているリンゴが違うんだってさ。飴で包まれちゃえば、味なんて全部一緒だろって気もするんだけどね」
「分かってないなぁ、ピカ。これはね、飴とリンゴの酸味のバランスが大事なんだよ? 拘ってるところは飴にも力入れて、リンゴのほのかな甘みを忘れずに引き立てて……」
「あーはいはい! 分かった! 分からないけど、分かったからじっくり堪能しててねぇ~? 至福の時なんでしょ?」
「うんっ!」
普段と立場逆転してる気が……
ピカさんがそっとポチャさんから離れ、すーくんの横に座る。場所取りしておいたところは余分なスペースがあるから、移動してもきゅうくつになることはない。
「ペンギンにもこんな一面あるんだな」
「残念ながら、私の相棒はこんなんだよ」
すーくんとピカさんでどうでもよさそうな話が始まる。
「海の国の王子様、威厳ねぇなぁ」
「それは元々ない。そういえば、ウィルさんもあんまりないよね。神様なのに」
「捨ててきたからな。威厳」
「ふうん。……俺様のときはあるよね。普段よりはだけど」
「あっちが本性だからな」
「……普段のウィルさんがいいなぁ。親しみを感じるお兄ちゃんで」
「あ、馬鹿。そんなこと言ったら……」
「やっほー! 皆のお兄ちゃんだよぉ~♪」
お兄ちゃん呼びが嬉しかったのか、るーくんが飛び出してきて、すーくんに飛び付いた。けれど、すーくんはそれを全力で阻止する。
「呼んでねぇ。帰れ」
「照れなくてもいいんだよ、かーくん! お兄ちゃんはかーくん大好き! かーくんのために生きてるからねっ!」
「誰がここでそんなことを言えと」
「ウィルさん、どこでも現れますねぇ~♪ はい。たこ焼きのプレゼント」
ピカさんの発言で来ちゃったんだけど、なんだろう。わざと来るように呼んだ気がしてきた。
ピカさんがるーくんの口にたこ焼きを突っ込んだ。買ってから時間は経っているから熱々ではないけれど、大きなものをサービスで入れてくれていたから、結構なボリュームがある。それを気にせず、ピカさんはぽいぽい入れちゃってる。すぐに口の中がたこ焼きでいっぱいになったるーくんはもごもごしていた。
「ふぉーふあ」
「何。後にしてくれ」
「ふぃふぉーの、ふぇふぇふぁー」
「あれ、何かありました?」
「んー……ふぉーお、ふぁんふぁふ」
「あぁ、兄貴の分野になんのね。能力関係ならマスターだと思ってたわ」
「んー! ふぁーらふぉれぇ!!??」
「頂点はマスターさんだけど、割り振ったときにウィルさんに属するんでしょうか」
「ふぇ……ふぁやぁ~」
……なんで会話出来てるんだろ、この三人。
会話しながらも口の中のたこ焼きはなくなったのか、ごっくんと飲み込んだるーくんは当たり前かのように話を続ける。
「……俺なのおかしいよねぇ~? やだやだ」
「昨日のやつに参加したお咎めは? 神様」
「ないよ。まだ誰にも言ってないからね。まあ、何か言われても大切な弟の頼みなのでって言い訳するけどね!?」
「その言い方だと、おれが怒られる奴だな」
「大丈夫大丈夫。なんとかなるよ。神様である前にお前の兄ちゃんだからね!」
「んー? じゃあ、ウィルさん、私が助けてって言ったら助けてくれますか?」
「もちろん。いいよ!」
そう簡単に安請け合いしちゃっていいのかな。神様なのに……
こんな下らない話をしている間に、ところどころに設置されたスピーカーから、まもなく始まりますというアナウンスが流れる。
「もうそろそろ始まるって」
「うんっ♪ 楽しみだね、チコちゃん。昨日は途中だったもん。最後まで見たいよね」
私より前に座っていたチコちゃんの近くに移動し、空を見上げる。雲一つない夜空。ここに今から花火が上がるんだ。
じっと見ていると、小さな火の玉が空へと昇っていき、大きな破裂音と共に大輪の花を咲かせた。一つが上がれば、次々と昇ってはきらきらの花を咲かせていく。周りからの歓声も聞こえてくる。
「おお、今年もいいね~♪」
「こういうときは君の方が綺麗だねって言うんだよね!? ね、ポチャ君!」
私と同じように空を見ていたピカさんにるーくんが後ろから抱きついた。そして、どこで覚えてきたのかべたべたな口説き文句を嬉々として口にする。突然、話を振られたポチャさんが慌てて反応した。
「ん!? え、えっ!?」
「やっだぁ、ウィルさん。それは月を見て言う奴ですよ~♪ まあ、あれは月が綺麗ですねって言うんだけど」
「遠回しじゃない? 分かりにくくない?」
「そういうのをロマンチックって言うんですよ」
「人の子って難しいなぁ」
ピカさんとるーくんの話に、ポチャさんがどうしたらいいのか滅茶苦茶戸惑っている。言えってことなのか、無視していいのか、対応に困るやつだ。
「直球に可愛いねっ! って言っちゃ駄目?」
「いいですけど、連発すると軽く見られますよ。それに有り難みもなくなりますし」
「ふうん? あ、ってことは、かーくんに会う度、可愛いって言っちゃ駄目なのか! だから、かーくんからの視線が冷たいの!?」
「フォース君のそれは違うと思いますけど、しつこいとは思われてるのでは」
「可愛いじゃなくて、大好きって言えば……」
「そうじゃないと思います」
冷静なピカさんの突っ込みにるーくん、ガクッと落ち込んでる。……なんだか、かわいそうなことになってきてない? と、いう気持ちを込めてすーくんを見る。私の視線に気付いたすーくんは、私をちらりと見て、一言。
「ほっとけ。花火見ろ」
……あ、はーい。
その後も大輪の花を空に咲かせ……こちらでも会話に花を咲かせながら、花火大会を過ごした。ここまで……特に昨日は大変だったけど、それでも最後は楽しく終われそう。楽しい思い出に出来たから、終わりよければ全てよしってやつだ。
「また、来年。皆で来たいなぁ」
未来がどうなっているかなんて分からないけれど、変わらず楽しく、花火を見たいなって、思わず呟いた。それを聞いていたらしいチコちゃんが私を見て、満面の笑みを見せる。
「そうだね! また、来られるように頑張ろう」
「うんっ♪」



~あとがき~
さぁさ。次で最後だ。

次回、ピカとフォースの密会です。
密会っていうとあれだけど、まあ、秘密のお話ですよ。お話。

どうでもいい話ではありましたが、これくらいが一番楽ですよ。わやわやしてくれる方が気が楽です。いや、本当にね。

あ、皆さんはりんご飴三つも食べないようにね!! ポチャの真似っこしちゃ駄目だよ!?
ピカがよく許したなって気もしますが、頑張ったご褒美だと思います。明日からは制限されます。きっと(笑)

ではでは。