satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第25話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しく暮らしているお話です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバックだ!
前回、ツルギ君がお目見え。ラルに対する嫉妬を訴えた後は大泣き状態です。
ラル「誘惑魔ってフレーズで笑ってましたよね」
笑いましたね。プロットにあって、笑いました。
アラシ「笑うな笑うな。……あいつにとっちゃ、一大事……多分だけど」
ラル「フォローするならもっとしてやれよ! 薄情者!」
そーだそーだ!
アラシ「なんで俺が責められてんの?」


《A side》
どうにか生徒会室に到着すると、ラルは迷いもなく扉を開けた。そこには廊下ですれ違ったティールと、ラルと何か電話をしていたフォースがいた。ティールは棚の近くで探し物しているらしく、フォースは俺らをちらりと見るも、すぐに本に視線を戻す。
「ただいま戻りました~っと! ほら、さっさと入って」
ラルに促され、俺達は生徒会室へと入室した。本当ならちゃんとノックして入るのが礼儀なんだろうけど、ほぼ毎日出入りする俺とレオンにそんな考えはない。というか、いらないなんて言われたのも結構早かった。しないで入ってくる方が見分けがつくとかなんとか言われた。……しない方が関係者だと判断しやすいってことなのだろう。多分。
「おかえり、ラル。……と、アラシ達も?」
あ、ティールに急用で来れないなんて話をしたんだっけ……? 忘れてた!
「用事が済んだには済んだんだけど、別の問題的なのが発生してな~? 偶然会ったラルに生徒会室にくればって言われたんだ! ってことで、来たぜ!」
口が達者なレオンがさらさらっと適当な理由を話した。ティールも大して気にしていないみたいで、笑ってゆっくりしてって、と言ってくれた。
こんな人とラルがパートナー同士なの、未だに疑ってるんだけど……
「やれやれ。……ブレザー返してね~?」
ツルギに被せていたブレザーを取り、ラルはそそくさと自分の席に行ってしまう。現状の説明はするつもりがないのか、椅子の背もたれにブレザーを掛け、すとんと座ってしまう。ツバサも仕事をするときの定位置である、フォースの隣に座り、レオンはその向かいに座る。俺だけツルギを背負ったままでなんだか取り残された感がある。
「わっ!? その子、誰? ツバサそっくり~」
「……アラシ、髪ボッサボサだな」
単純に驚いているティールと、どうでもいいことに突っ込みを入れるフォース。こいつらは通常運転だな。うん。
「察してくれ。で、こいつは……」
「……ぐすっ。……ひくっ……ツバサは、僕のなのに……このっ!……ラルの誘惑魔!!」
ツルギ、こいつ! 説明する前にとんでもないセリフ吐きやがった!!
「えっ!? ラルが、誘惑……!?」
「……ふふっ……マジかよ。……ラルの肩書きがどんどん増えてくんだけど。ウケる」
「増やしたくて増やしてませーん。その子はツルギ君。ツバサちゃんのお兄さんで色々あって、私が罵倒されてまーす」
かなり説明を省いている気がするけど、そんな説明でいいのか?
とりあえず、近かったレオンの隣にツルギを座らせ、その隣に俺が座った。ツバサの近くではないのが不満っぽいけど、移動はしなかった。
「また何かしたの。程々にしないと夜道で刺されるんじゃない? 気を付けたら?」
生徒会室にある冷蔵庫から人数分の飲み物を準備しながら、ティールが呆れ声で物騒なことを言う。俺達には優しく接してくれるのに、ラルに対しては長年の付き合いからくる、独特な雰囲気がたまにある。散々な言われようだが、ラルは何とも思っていないらしく、ニコニコで答えた。
「大丈夫。刺されても死にません。雷姫ちゃんが何とかしますぅ~♪」
「あのババァに治癒能力はないぞ」
フォースは、ぱたんと読んでいた本を閉じ、頬杖を付きながら会話に参加した。ババァってのは、雷姫のことなんだろうけど、そんな風に呼んでるのは初めて聞いた。
「いや、犯人に報復という意味で」
「そんなことは……あー……あいつならやりかねないか。そして結局、お前は死ぬのか?」
「ふふん。死んでもただでは死なないよ。だって、それが私だからねっ!」
「にしし! ラルならあり得そうだな♪」
「でっしょ~? もっとほめていいんだよ、レオン君!」
「……そんなんだから、こんなチビッ子に恨まれて、刺されるんだぞ。……で、なんだっけ。ツルギだっけ。お前?」
フォースが会話の軌道修正を入れたところで、ツルギの話題に戻ってきた。本当にどうでもいい話しかしない。……それが心地いいこともあるけどさ。
「あ、そだ。ティール、ツルギ君が入校許可忘れてきちゃったから、取ってきて~」
ふと思い出したようで、ラルが飲み物準備中のティールに話しかけた。
「なんでぼくが!? というか、許可なしでよく入れたね……?」
「あは。察して?」
「……ラル」
「なんだその反応。どう察した!? 無実! 私は無実だから! ほらほら、行ってきて。校長辺りに頼めば一発でしょ」
じとっと睨んだまま、ティールは部屋を出た。ラルの言う通り、入校許可申請をしに行ったんだろうけど、どうやってするんだろう。
出ていったティールの代わりにフォースが仕事を受け継いだ。とはいっても、用意出来た飲み物を配るだけだ。全員に行き渡った後、ラルが口を開いた。さっきまでふざけていたのに、今はおふざけなしの冷静なあいつだった。
「……さて。後始末はこれでどうにかなるとして。とりあえず、落ち着いたかな? ツルギ君」
大声で泣き叫ぶようなことはなくなったけど、時々ポロポロと涙は溢れ落ちている。それでもまあ、わんわん泣くのは、ピークが過ぎたっぽい。が、ラルに話しかけられたツルギはぶすっとし、目も合わせない。
「……うるさい。お前に言われなくたって、落ち着いてるもん。……僕に話しかけるな。誘惑魔」
「話は出来る位にはなったって判断するね。よかったよかった」
「話しかけるなって言ってるじゃん。誘惑魔め」
誘惑魔って言葉が出る度にフォースが笑っているけど、見なかったことにしよ。
言われまくっているラル本人は、何やら考え事をしているのか、これ以上は何か言うことはなく、椅子を回してこちらに背を向けてしまった。それをツルギは反論なしと捉えたのか、再びキッと睨み付けた。
「ツバサを返せ! 悪魔! 知ってるんだぞ。仕事もしなくて、ぐーたらばっかやってるって! そんなヤツにツバサは渡さないからな!」
ここまで言われても、ラルは黙ったままだ。というか、こちらを見ようともしないし、動きもしない。もしかしたら、どこで話を始めるのか考えてるのかもしれない。この場で長くラルと関わってきたフォースは、ツルギの言葉に笑いを堪えていた。何かを言うなんてのはないけど、その反応だけで、ツルギが的外れなことは言ってないんだなって分かる。
このままツルギが捲し立てると思ったが、それを遮るようにバンッと何かを叩く音が響いた。ラルがやったわけではなく、フォースの隣にいたツバサがツルギを見ていた。目を釣り上げ、完全にお怒りモードのツバサ。
「さっきからずーっと悪口ばっかり!……そんなにラルさんの悪口を言わなくてもいいじゃんっ!」
わあ……マジで怒っていらっしゃる……
ツバサの反論は予想してなかったのか、あるいは気になったのか、ラルの椅子が半分だけ動いて、ツバサの方を見ていた。俺の座る位置だと、ラルがどんな表情なのか、全く分からない。レオンの位置なら見えるかもしれない。
「ツバサだって悪いんだぞ! 毎回、あいつの話を聞かされる僕の身にもなってよ! 聞きたくもない話を聞かされるんだぞ!?」
「じゃあ、その場で止めればいいじゃん。嫌だなんて言われたこと、なかったよ!」
「止めたら止めたで理由を話さなきゃだろ!? そんなの嫌に決まってるし! その人が嫌いだから、聞きたくないなんて言ったら、ツバサ、怒るじゃんか!」
「当たり前だよ。誰だって好きな人を否定されたら怒るもんっ!! なんでって聞きたくもなるよ」
「そ・れ・が! 嫌だって言ってんの! 聞かれたくないの!」
「ツルギ、ワガママばっかり!」
「はあ!? ツバサに言われたくないよ!」
かなりヒートアップしてきたぞ。そして、止まる気配もない。別に家でもなんでもないんだけど、他人の家で大喧嘩始めた感じになってる。流石にこれは迷惑だよな。フォースもラルも何も言わないが、ここで止めないと更に激しい喧嘩になりかねない。
ツルギを挟み、レオンと目配せする。目の合ったレオンは小さく頷くと、ツルギを落ち着かせに入る。とはいっても、ツルギは全く気にしてない。
「声の音量落とせよ、二人とも~?」
「レオンうるさい! 僕はツバサと話してるの! 邪魔しないで!!」
「アラシもだよ! 私、ツルギと話してるから! 入ってきちゃダメだからねっ」
「あ、はい……」
ツバサに話しかける前に止められた。二人の気迫に、俺達も手が出なかった。
「ただいま」
止める前に入校許可を取りに行っていたティールが帰ってきた。ツバサとツルギはティールの方を見たけど、止まる様子はない。対して、止まらない二人を気にしないティールは、丁寧に扉を閉めると、手に持っていた紙をラルに手渡す。ティールとラルは一言二言会話を交わすも、声が小さいのか俺には聞こえなかった。
「ツバサの分からず屋! あいつのどこがいいんだよ!!」
「分からず屋なのはツルギだもん! ラルさんは優しくてかっこいい、いい人だもんっ!」
これ、放っておいたらどこまで続くんだろう。どうでもいいところまで言い合いになりそうな気もする。止めたいけど、さっき入るなって言われたし、なだめるだけじゃ、駄目なんだろうな。どうしたらいいんだ……?
どうにかして欲しいと他力本願な考えなのは分かっていたけど、俺じゃあどうしようもなくて、反対側に座っていたフォースを見た。なんでかってのは、年上ならどうにかしてくれるかもみたいな単純な理由だ。でも、フォースはツバサ達を見ていなくて、ラルの方を見ていた。そして、見られているラルもフォースを見ている。……多分、アイコンタクトでお互いの意思を汲み取っている……のか?
どんな感じのやり取りなのか分からないまま、目だけの会話は終わったらしく、フォースがふいっと目線を外した。ラルは一瞬天井を見上げ、すぐに正面を向いた。
「二人とも私のためにそこまで言い合いをする必要はないんだよー? いや、嬉しいけどねっ! 天使達が私を取り合ってるってことだもんね!?」
「そこじゃねぇだろ! つーか、天使って?」
思わず突っ込んじまったけど、ラルは気にせずふざけたように笑う。真面目になったり、ふざけたりその切り替えはどこでやっているんだ。
「ツバサちゃんが天使級に可愛いなら、そのお兄ちゃんも同じかなーって?」
どういう理屈だよ。
いきなりのラルの乱入で二人とも、思考停止したらしい。ぽかんとラルを見ていた。そして、ラルの後ろに立っていたティールは呆れ顔。
「他にも止め方あったよね、ラル」
それな。ティールの言う通りだ。
しかしまあ、どんな形にせよ、二人の喧嘩は止まってくれた。ツルギは天使呼びされてかなりご立腹ではあるみたいだけど、ツバサはラルに止められたってのが効いたのか、大人しくなった。



~あとがき~
ラルとフォースは黙ってても会話可能。(←は)

次回、ラルさんの演説会(?)始まります。

ティールは今回の件、半分も本質を理解していません。ラルやフォースが大雑把にはぐらかしたので、全体を見れないんですね。意図的に隠されてます。理由としては……うん。ラルがバレると面倒だのなんだのと言ってたので、それですね。(適当)
昔に似たようなことがあって、心底面倒だったんだと思います。ティールはラルを大切に思ってるってことなんですけど……あ、そこは本編と変わりませんね。
ま、ティールも馬鹿ではないので、話を聞いて察しはするだろうけど、それでも全ては把握しないでしょう。

ツバサちゃんとツルギ君の口喧嘩、本当に内容が出てこなくて困りました。いやね? ツバサちゃんが誰かと喧嘩するなんてのが想像つかなくて、悪口なんて言わないだろうから、どう反論するんだろうなって? そんな感じです。イメージ壊れないといいなぁ……ツルギ君はこんな感じだと思います。はい。

ではでは!