satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第66話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいする物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、開会式が行われる中、ラルのポンコツっぷりが露骨に現れてました。
今回で……終わらせるぞ……開会式……!!
ラル「はよしろ」
それな。
フォース「変な茶番挟みやがって」
それな!
ラル、フォース「自覚してるならどうにかしろ」
あい……


《L side》
本来であればここで校長が出てきて、ありがたいお話の一つや二つするところだったんだろう。しかし、ここに入学してから、あの人のありがた~い話を拝聴したかどうか覚えがないんだけれど。
「お母さんだ!」
モニターにはツバサちゃんの母親にして、この学園の理事長を務める、セラフィーヌさんが映し出される。薄いピンク色の髪を後ろでお団子にまとめ、ジャケットにシンプルなロング丈のスカートという姿だ。
観客席の後ろに設置されている関係者席付近に、小さなステージがあり、そこにセラ理事長は立っている。その後ろには高等部の教師陣が並んでいた。その中を探しても、教頭は見つけられるものの、校長の姿はない。
「プリンの奴、どこ行ったんだ」
「さあ? まあ、いたとしても有意義なお話は聞けなかったでしょ。こういうときは大抵、ぐうぐうしか言わない」
「それもそうか」
「そうなんですか? でも、入学式はちゃんとお話ししてましたよ?」
「ふーん。……そうなの?」
私は覚えてないな。ほぼ聞いてなかったし、自分の出番が終わったらさっさと出ていったし。
「知らん。つーか、おれが真面目に教師の話を聞くと思うか?」
「そういえばそうか。……校長の貴重な話を逃したのは惜しかったかな」
「次の式典にでも期待すれば?」
「そっすね」
なんて、二人して気持ちのこもっていない会話をしていると、セラ理事長の話が始まってしまった。
『来賓の皆様、保護者の皆様、また、外部からのお客様。本日はレイディアント学園主催、剣技大会へとお越しくださりありがとうございます』
ここで一度、言葉を切り、浅く一礼。優しそうな笑顔を浮かべたまま、話を続けていく。
『先ほどの実行委員長と挨拶が被りますが、遥々遠方からのお客様もいらっしゃいますので、私から再度お礼申し上げます。この剣技大会は元々、下級生、上級生達の間にある壁を無くすため、また親交を深めようと設立された大会です。参加生徒の皆様は存分に己の力を振るい、来賓、観客の皆様は我が生徒たちの実力をどうぞご覧くださいませ』
これがしっかりしたご挨拶の一例だ。いやぁ……どっかの誰かさんも見習って欲しいよねぇ! なんでいないんだろうね、あの校長は。
いない人を考えても仕方がないため、私は別の話題を切り出した。考えを放棄したとも言うが。
「理事長、笑ってるところとか、ツバサちゃんそっくりだよね。似てるって言われる?」
「う~ん……私はどちらかと言えば、お父さんに似てるねって言われます」
まあ、セラ理事長は兎族の特徴である長い耳垂れていて、狐族であるツバサちゃんと瓜二つとはいかないけれど。性格や内面を総合すると、お母さんよりもお父さん、なのかもしれない。
「……ってことは、お母さんがウサギなら、お父さんが狐族?」
「そうですよ♪ お父さんは私みたいに耳は垂れてませんけどね」
「結局、子供なんて両親の遺伝子を持ってんだから、どっちにも似ててもおかしくねぇけどな」
「フォース君のそういうところ、嫌いでーす」
「ははっ」
笑ってごまかすな、この野郎。
ぽかぽかとフォース君に攻撃を仕掛けている─が、簡単にあしらわれているのが気に食わない─と、理事長の話も終盤のようだ。
『最後になりますが、この会場に来ている来賓の方々は、様々な招待を受けてここにいらっしゃいます。私は来賓の皆様、全員信用における方だと思っております。……セキュリティの高いこの学園内で誘拐などの犯罪が起きないと思っておりますが……念のため、申し上げておきますわ。くれぐれも皆様は己の発言等に注意してくださいね』
笑顔を絶やさなかったが、最後の言葉のところだけは目が笑っていない。そりゃあ、選りすぐりの若者集まる学園ですし、そういう考えを持っている人が全くいないとは言い切れない。犯罪とか誘拐は言い過ぎにしても、悪どいやり方で勧誘はあり得なくはないのだ。それを防ぐのがこちらの仕事ではあるけれど。しかし、理事長様直々にあのようなお言葉が出てくるとなると、下手なことは起きないだろう。事実、カメラに少しだけ映る一部のお偉いさん達の顔色ががらりと変わった。単純に驚いただけなのか、はたまた図星だったのかは判断できないが。
『……では、私からの言葉は以上でございます♪ 引き続き、本大会をお楽しみください♪』
理事長が一歩後ろへ下がってから礼をする。そして、そのまま小さなステージから降り、関係者席へと移動……したんだろう。そこまでカメラは追ってないから分からないけれど。
「……ティール、聞こえる?」
『はい。感度良好』
「合ってるのかなぁ……まあ、いいや。で、一応、頼むね」
『あはは。分かってる。ちゃあんと楽しんでもらうために、来賓の方々のお側に付いてるから』
うわ、こいつも本心では笑ってないぞ。怖いわ~
「ん……なんか、王子が護衛って変な話だよね。……ともかく、よろしく」
『えぇ? 最初の余計だろ。三年以上君の相棒やってるんだから、今更だ。……まあ、任せて』
必要ない気しかしないけど、念には念をってね。
ティールとの短いやり取りを終え、モニターに意識を移した。モニターにはこれから行われる大会のルールについて、説明をしているらしかった。リュウ君から促され、キャス君の戸惑いつつも、よく通る声が聞こえてくる。
『ままま……まず、大会全体のルール説明です! 会場内には、セラフィーヌ理事長直々の特殊な結界が張られている為、軽度のかすり傷、打撲はあるものの、致命傷になるような怪我を負うことはありません。斬撃などは全て、打撲程度の打撃ダメージに変換されます。なので、使用武器は自由! 魔法使用もOKとなっております!』
『サンキュー! 相棒! フィールドの周りには水が張ってあるから、ここに落ちても失格扱いだ! つまり、戦闘不能になるか、フィールド外の水に落ちるかすると、失格ってことを忘れないでくれよな!? 一応、制限時間も設けてるが……タイムアウトになったときはそんときに説明するってことで! まずは参加生徒四百人から八人に減らすため、各ブロックの勝ち残り戦だぁぁ!! 十分後、Aブロックの試合開始するから、該当生徒は準備をして、フィールドに集合してくれ!!』
ふむ。……特殊な効果を持ったフィールドでの蹴落とし戦。このフィールドと観客の間には大きな水路が存在する。この構造から考えるに、上手く立ち回れば、自分の力を出すことなく生き残れるはずだ。
「四百から八、か。……結構、減らすんですね~」
「参加人数多いから、振るいにかけるんだよ。これ、実力と運も絡んでくるね。……というか、運が大切な気がする」
「運ですか?」
「ブロック分けはくじだったからさ、偏りもありそうじゃない? 強豪だらけのブロックなんてのも考えられなくはないよね。三年ばっかりとか?」
総合的に見れば、三年生の出場者が多いわけだから、必然的に多くはなるだろう。それでも、多少の偏りは発生する。それこそ、試合を一発で決めてしまうような範囲攻撃を持っている人と当たってしまえば、一瞬で試合が終わる……なんてことも考えられるし、その逆も然り。全体の実力を見て、ブロックを割り振った訳ではないため、ここら辺は運任せである。
「運は抜きにしても、お前が得意そうなルールだな」
「ふふん♪ 自慢じゃないけど、武器も技も出さすに勝ち残る自信しかないね。なんて、フォース君もおんなじじゃなぁい?」
嫌味増し増しで吹っ掛けてみるも、フォース君から返ってきたのは、にやりと馬鹿にしたような笑みだった。
「どさくさに紛れて初戦敗退できるなんてラッキーだなとかしか。おれが出たときもそんなルールがよかった」
「つまらんやつめ……仕事行け!」
これには嫌だと反発されるかと思いきや、案外素直に椅子から立ち上がった。ふわりとあくびを噛み殺しながら、気だるそうに扉のドアノブに手をかける。
「へーい。見回り行ってきます。……つーか、さっきから連絡来てて、うっさいんだよねぇ」
出てやれよ。かわいそうに……あ、そだ。
「フォース君、行く前に一つ頼みが……」
「嫌でーす」
頼みを聞く前に出ていこうとするフォース君の後頭部目掛け、手近にあったファイルを投げつける。それが綺麗に当たる……なんてことはなく、華麗にキャッチされた。当たれば面白いのに。
「ツバサちゃんと写真撮って欲しいだけなんだけど、なんで逃げようとするかなぁ」
「それを早く言えばいいじゃん」
「言う前に出ていこうとしたのはフォース君ですけどね!」
振り返ってこちらに戻ってきたフォース君に半ば、端末を投げるように渡し、ツバサちゃんの背丈に合わせて中腰になる。
「……ってことで、いい?」
「はわ……もちろんです! あ、あの、あとでそのお写真、もらってもいいですか?」
「いいよ。家帰って印刷してくるよ」
「やったぁ~♪」
ん~……もうっ! 可愛いんだから!
抱き締めたいところだが、時間がない。さっさと終わらせるために、ここは我慢だ。
「ツバサちゃん、これ以上ないってくらい、笑ってね~♪」
「はーいっ!」
「フォース、ミスったら殺す」
「うえ。会長スイッチ怖いよ~……いや、探検隊スイッチの方か?……撮るぞ」
何回かシャッターの切る音が聞こえ、私に端末を返してきた。そして、そのまま出ていこうとするフォース君の腕を掴み、私の方に引き寄せた。
「え、何。処刑?」
「んなことしないって。綺麗に撮れてましたよ! ツバサちゃんこっちに近づいて~? はい、笑って!」
戸惑うフォース君と私の意図を汲んで、満面の笑みを見せてくれたツバサちゃん。一回だけ、シャッターを切って、フォース君を解放した。
「え、あ、はあ!?」
「えへへ! フォースさんとも撮れちゃいました!」
「……ティールがかわいそうだな」
ティールはいいの。最後に撮ればいいもん。フォース君の場合、閉会式には消えてる可能性もあるじゃん?」
「ソ、ソンナコトナイデス」
あるわ。絶対。わざとらしいぞ。
「引き留めてごめんね、二人とも。お互い、任された仕事はこなすように。何かあったら連絡して」
「はいっ! 分かりました!」
「ラジャー」
さてさて……今年の大会はどうなることやら。



~あとがき~
やっと終わった。ここまでくるまでがなっげ。

次回、Aブロック開始! 
誰が出てくるかな~♪

アラシ君視点も一応、あったんですけど、視点移動が面倒なので、ごめんなさいしました。相方には了承済みです。
アラシよりもツバサの方がいいね!! みたいな感じだったんで。ツバサちゃんとラルの絡みを+αしてます。とっちらかった気もしますが、満足。

セラさん、初登場です。ラル視点だと画面越しですが。ツバサちゃんの母にして、レイ学のトップのセラフィーヌ様です。このあともちょいちょい出てくる? と思うので、よろしくな!

ではでは!