satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第371話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、どんなドレスにしよっかな~? 会議が行われました。無事、ラル好み(?)なドレスを見つけられましたとさ。
そんなドレスはどんな風に変わったのか。ツバサちゃんはどんなドレスなのか! そんな感じにお送りしま~す!


《L side》
今回、開かれるパーティーの主催者はブライトさん達と仲のいい─実際、仲いいかは知らないけど─貴族の一人らしく、場所もその貴族の所有する古城にて行われるらしい。
パーティーの参加者はブライトさんら王家の方々、そして、ツバサちゃん。
私とレオン君はツバサちゃんの付き人枠で参加し、アラシ君やゼニスさんも警備の任務を受け、私達に同行するらしい。パーティー中はずっと側にいるわけではないらしいが。
そんなパーティー当日。
朝から王宮内は慌ただしかった。
理由は簡単で、パーティーに参加する女性陣の準備のためである。
お風呂に入れられたり、エステされたり、マッサージされたり、ネイル整えられたり等々……なんかもう、すんごいのである。
そして、それを護衛である私も受けているのも謎だった。
セイラさんやツバサちゃんがそれらをするのは分かる。けど、私はオマケみたいなものだ。主役でもないし、呼ばれたわけでもない。それなのにここまで整える必要があるのだろうか。
異議申立てしたかったけど、そんな雰囲気でもなく、されるがままだった。口に出す勇気もなかったのかもしれない。
……それら諸々が終わり、私はソファに倒れ込む。
「……なんもしてないのに疲れた」
いや、おかしい。されたこと全部、体を整えるというか、メンテナンスしてもらったようなものなのに、なんで疲れてるんだ。パーティー始まってもなければ、ドレスやメイクもまだなのに!?
「大丈夫ですか、ラルさん?」
私と一緒に諸々されていたツバサちゃん─セイラさんはまた別室で受けているらしく、この場にはいない─が心配そうに話しかけてきた。
ツバサちゃんはこういうのにも慣れているのか、平気そうにしていた。気疲れなんてしてないようだ。
「……大丈夫。未知の世界に圧倒してただけだから。……パーティーに行くだけなのにこんなに準備必要なんだね?」
「そうですね。……私もここまでされたことはなかったです! 貴族様ってスゴいですよね!」
「そう、なんだ? ちなみに、ツバサちゃんはいつもどれくらいかかるの?」
「これの三分の一の時間で終わります」
なら、普段ならとっくに準備終わってるんだな~……へ~……そっかそっか~……なるほどなぁ。
そんな会話をしていると、控えめにドアをノックする音が響く。それに答えれば、王宮のメイドさんがペコリと一礼して入ってきた。
「ラル様、ツバサ様、お召し物のご用意が整いました」
「は~い! 今行きます!」
「……はい」
そうだ。まだドレスもメイクもまだでした……

メイドさん達の努力もあり、時間内に全ての準備を終えた私達は、すでに準備が終わっている男性陣の到着を待っていた。
ちなみに、セイラさんはセラフィーヌさんに連行され、ブライトさんのところに行ってしまった。セラフィーヌさん曰く、「こういう時もライトくんは自分から顔を見せないから」……だそうだ。
ブライトさんとしては、後で顔を会わせるのなら、今でなくてもいいだろ思考な気がするけど。
「ラルさん、とっても綺麗です! 似合ってます!」
お嬢様に変身したツバサちゃんが目を輝かせながら褒めちぎってくる。
ツバサちゃんはオレンジ色のAラインドレスだ。鎖骨の見えるオフショルダーに、スカート部分はフィッシュテールになっていて、全体的に妖精のドレスという雰囲気がある。
対する私は、先日見せられたブルーのスレンダーラインドレスを着ている。ハイネックに沿ったスタンドカラー、後ろは羽のようなマントが添えられている。
「あ、ありがと……こういうの、着慣れてないから変な気持ちだけどね」
「変だなんて! そんなことないですよ! とっても似合ってます!」
あぁ……ツバサちゃんはいつでも天使だわ。こんな私にも優しい言葉をかけてくれるんだもん。これを天使と呼ばず、何とお呼びすればよいのでしょう……?
ツバサちゃんの光パワーを存分に浴びていると、ドアをノックされる。
多分、ティール達が来たんだろう。
「はーい! 入って大丈夫ですよ~♪」
ツバサちゃんが元気よく答えれば、ドアをガチャと開けられ、そこから顔を覗かせたのはしーくんとリランだった。
「ほあ! ラル、きれいー! ツバサお姉ちゃんも!」
「あんあんっ!」
「ありがとー! しーくん、リラン!」
「お~? ラルもツバサも綺麗にメイクアップされてて、いい感じゃん♪」
スタンダードなタキシード姿で現れたレオン君がひらひらと手を振りながら入ってきた。そんな彼に続くようにティールも入ってくる。ティールは貴族らしくというか、王子様だなって服だ。
「見て見て、レオン! ここの刺繍、ラルさんとお揃いなんだよー!」
誰かに自慢したくて仕方なかったのか、レオン君が入ってくるやいなや、ツバサちゃんは彼に駆け寄り、ドレスを見せていた。レオン君の前でくるりと回り、楽しそうにしていた。
レオン君は私とツバサちゃんのドレスを見比べ、ニコッと笑う。
「お、本当だな♪ おばさんが考えたのか?」
「そうなの! お母さんがね、ラルさんと私に似合うデザインを考えてくれたんだよ!」
セラフィーヌさんに持ちかけられたお揃いとは、これのことだった。
私とツバサちゃんのドレスの裾には夜空の海をイメージした刺繍が施されているのだ。
「よかったな♪ よく似合ってるぞ~♪ なあ、ティール……? ティール、固まってっけど、大丈夫か~?」
そういえば、ここに入ってきてから一言も発してないな。
私はティールの目の前まで行き、彼の前で手をぶんぶん振ってみる。
ティール、起きてる?」
「……へ!? あ、う、うん! おきてるおきてる!!」
だ、大丈夫かな……?
若干、片言になりつつも、ティールは咳払いをし、ぎこちないなりに笑みを浮かべる。
……いや、待て待て?
なんで若干、赤くなってるんだ、こいつ!
女性のドレス姿なんて見飽きてるだろ!? え、どこに動揺するポイントがあるんだ?
どこか変なのか……? やっぱ、私にこんな高価なドレスは似合わないのでは……?
「あのさ、ティール」
「うん?」
「私、本当に大丈夫? いや、今更、他のドレスに変更はできないんだけど……もしかして、変……かな?」
「ううん! 大丈夫! ラルにちゃんと似合ってるし、綺麗だよ」
お、おう……素直にそう言われるとなんか恥ずかしいな。直近で似たようなやり取りした気がするのは気のせいだろうか。気のせいであってほしい。
レオン君にニヤニヤされていたような気もするが、それは突っ込まないことにして……
合流した私達は正面入り口へと向かった。そこには移動のための馬車が二台用意されており、そのうちの一台には、すでにセイラさんとブライトさんが乗車済みのようだった。
外で待っていたらしいセラフィーヌさんとアラシ君が私達の姿を見つけ、こちらに合図を出してくれた。
「アラシー! お待たせ!」
「お、おう……」
綺麗にドレスアップしたツバサちゃんに見惚れていたアラシ君だったが、すぐに騎士の顔に戻り、ツバサちゃんをスマートにエスコートしていた。
「ツバサ、足元、気を付けろよ」
「うん、ありがとう♪」
ツバサちゃんを馬車までエスコートすれば、すぐに彼女から目線を逸らす。その顔は若干の赤みが増していた。
「かっわいいなぁ、アラシ君は~」
「初ですなぁ、うちのアラシ君は~」
「……君ら、いい趣味してるよね」
ティールの呆れた突っ込みが聞こえてきたけれど、それは最早、褒め言葉だ。
「そうだ。ツバサ」
「ん、なぁに? お母さん」
アラシ君の様子にニヨニヨしていると、その横ではセラフィーヌさんが窓越しにツバサちゃんと会話していた。
「あなたのことだから、上手くやれると思うけれど……何かあった時はマナー講師の先生と一緒に教えたアレ、実践するのよ?」
「うん! 分かった!」
はて。……アレ、とな?
元気よく返事をするツバサちゃんに対し、セラフィーヌさんも楽しそうに微笑む。その姿はどこか先生のような雰囲気があった。……いや、実際、セラフィーヌさんは先生なのだけれど。
「じゃあ、最終確認です♪ 『もし、貴族の人によく分からないことを言われたら』?」
「持っている扇子で口許を隠して、微笑む! できたら、その時、思ったことをそのまま相手に話す!」
「よくできました! じゃあ、ギルドの商品の宣伝、頑張ってね?」
「はーい!」
……ふむ。
私は横にいるティールの裾を引っ張る。彼はそれに気付き、耳をこちらに傾けてくれる。
ティールさんや……私には貴族様の正しい接し方なんて知りませんけども……あれは正しい接し方の一つなんでしょうか。正しい礼儀作法なんでしょうか」
私の問いかけにティールはにこりと笑う。その表情だけで何が言いたいのか、なんとなく分かってしまう。
「残念ながら、私は存じ上げません」
ですよね!!
「……お前が知らんのなら、正しくないのでは?」
「さあ? あれじゃない? ケアル家直伝の接し方なんじゃない?」
ありなのか……それは。
なんだか不思議な確認もありましたが……それはそれとして。
私達は馬車に乗り、セラフィーヌさんやしーくんらに見送られ、パーティー会場である古城を目指して出発したのだった。



~あとがき~
こんな中途半端な時間に投稿してるのは、予約投稿を忘れたから。
ごめんなさいっっっ!!!

次回、ツバサ一行、パーティー参戦!!

特に語りたいことがない。
まあ、どんなパーティーになるか、噂の根絶はできるのか、ラルは貴族らの洗礼をどのように受けるのか、ツバサちゃんを狙う(?)モグラ貴族はどんな人物なのか……等々、意外とあれこれありますんで、お楽しみに。

ではでは。