satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第368話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、回想では語られなかったちょっとした疑問を投げ掛ける話でした。
今回は……まあ、次回の話の前フリみたいなもんっすかね。お楽しみに。


《L side》
セイラさんとラブラブした─恐らく、本人達にその自覚はない─ブライトさんはこの後、仕事があるようで、執務室へと戻っていった。
そんなブライトさんの背中にセラフィーヌさんは……
「お仕事は程々にしてくださいね、ライトくん!!」
と、叫んでいたけれど、ブライトさんに届いたかは不明である。
改めて私達だけになると、セラフィーヌさんはふうっと息を吐き、ティールに視線を移す。
ティールくんはこんな風にならないでね?」
「……? え、ぼく、ですか?」
「そ。お父さんみたいに周りの協力がなきゃ、自分の思いを伝えられない……なんてことにならないでねって話」
「あ、あぁ……そういう」
「ふふ♪ だから、ティールくんに好きな人ができたら、ちゃんと自分で告白しましょうね? 間違ってもライトくんみたく、誰かに言われるまで無頓着、その後も他人におんぶ抱っこじゃ駄目よ?」
ティールはそこまで鈍い部類か……? 確かに、こっちの気持ちも考えろよって行動はあるけど。……あぁ、その時点で、鈍感なのかもしれない。ブライトさん程ではないにしろ、だ。
ティール本人もその自覚はあるのか、セラフィーヌさんの言葉に困ったように笑った。
「恋愛に敏いとは言いませんけど……さ、流石に、父より鈍感でもないと思ってますし……大丈夫かと」
「それならいいのよ~♪」
どこか面白がるような雰囲気のあるセラフィーヌさんだけど、それはブライトさんを見てきたからなのだろうか。
まあ、それはそれとして。
仮にティールに好きな人ができたとして、周りに背中を押されることはあれど、おんぶ抱っこは多分、ないだろう。今まで一緒に過ごしてきた感覚としては、ブライトさんみたいに「恋愛……とは……?」ってタイプではないし。
「皆さん、ただいま戻りました~♪ あ、お母さん!」
「おばあちゃんだー! こんにちはー!」
遊びに満足したのか、ツバサちゃんがしーくんとリランを連れ、私達の元へと駆け寄ってきた。
「ふふっ♪ こんにちは。雫くんは元気いっぱいね~♪」
「元気だよ。リランもね、元気なの!」
「あんあんっ♪」
「あら~♪ たくさん遊んで楽しかったのね」
「あんっ!」
中庭を大いに駆け回ったのか、リランの白い毛並みには、ところどころ汚れがついていた。リランらしいと言えばらしいけど。
その汚れをツバサちゃんが魔法を使って落としてやり、綺麗にしたところで、アンジュさんがタイミングよく─もしかしたら、タイミングを見計らっていたかもしれない─二人にお茶とお菓子を出してくれた。リランにはお皿に水を出してくれている。
「わあ♪ ありがとうございます、アンジュさん!」
「ありがとう!」
「いえいえ。お口に合うとよろしいのですが」
できるメイドさんは違いますね……落ち着いてるし、仕事もできるし。
メイドとしての仕事を全うしているアンジュさんを眺めていたセイラさんは、クスッと小さく笑う。
「アンちゃん、私以外の人がいると真面目なメイドさんだもんね?」
「……ふえ!? セイラ様!?」
「ふわふわなアンちゃんも好きですよ、私♪ だから、ふわふわしてくれてもいいんだよ?」
「ふ、ふわふわなアンジュは……セイラ様だけのアンジュですので! 皆様の前ではお見せいたしませんっ」
ふわふわなアンジュさんとは。
「アンジュさん、母上のこと好きですからね。母上に対する愛情は父上の次にあると思いますよ」
ティール様まで。そ、そのようなことは……っ!」
アンジュさんは恥ずかしくなったのか、持っていたトレイで顔を隠しながら、私達の側を離れてしまった。
「アンジュさんのお姉様好きは今更ですのに。照れちゃってましたね~♪」
「そんなアンちゃんも可愛いよね~♪」
……という二人の女子会トークが始まり、ツバサちゃん達を加えたお茶会(二次会)がスタートしたのだった。

ツバサちゃん達がお茶会に参加し、十数分程が経った頃。
それまでは、他愛ない話で盛り上がっていたセイラさんとセラフィーヌさんだったのだが、セラフィーヌさんの方が何かを思い出したらしく、「あっ」と声を上げた。
「ライトくんがいたときに聞けばよかった~……あの、お姉様。ご相談したいことがありまして」
「うん? 私で大丈夫なやつ?」
「大丈夫です。まあ、ライトくんもいた方がスムーズだとは思いますけど……いないので今はいいです。相談というのが、今度、ツバサが参加するパーティーの件で」
ルーメンさんの言ってた商品売り込み……じゃなくて、噂の沈静化を図るために参加を決めたやつかな。
こちらはこちらで、わいわい話していたのだが、セラフィーヌさんがツバサちゃんの名前を出したために、全員がセラフィーヌさんの話に耳を傾ける。
「実は護衛を増やしていただきたいんです。できたら、女性の方で……表向きはツバサの付き人として」
「なるほど。……レオン君が護衛兼付き人としていたはずだけど、更に増やしてってこと? 何かあったの?」
「いえ。現状、何かあったわけではないのですが……不安要素が少し」
「そうなんだ~……うーん。アンちゃん」
セイラさんはアンジュさんから手帳のようなものを受け取り、パラパラとページを捲っていく。それを眺めつつ、難しい顔をした。
「そうね。……増やすこと自体は多分、できなくはない。その辺はやるのなら、ブライトが上手くやってくれるから。けれど……付き人するだけじゃなくて、護衛できる女性って条件がなぁ」
「う~……ですよね。急な話だし、下手な人をツバサの側に置いておきたくないですもの」
セラフィーヌさんが何を心配して、付き人兼護衛を増やしたいのか分からない。今の戦力というか、人選のままでは不安が残る何かがあるのかもしれない。
ちらりとレオン君に目配せしてみるものの、彼も思い当たる節はないのか、首を傾げている。そして、当事者であるツバサちゃんも同じように、不思議そうに話を聞いていた。
「当日、パーティーには私やブライトもいるけれど、ツバサちゃんの側にずっとはいないし。ティールも私達と一緒に挨拶回りしてもらう予定だから難しいし」
「そうですよね。お姉様達はお姉様達で招待を受けてますものね」
うん。そもそも、ティールは女の子ではないですけども。もしかして、いけそうだったら、ティールに女装でもさせるつもりだったのか……?
ツバサちゃんの付き人問題に二人が悩んでいれば、ツバサちゃんがニコッと笑う。
「お母さん、私は大丈夫だよ? レオンがいるから」
「そうなんだけれど……あ、レオンくんが頼りないとか、一人じゃ心配って訳じゃないのよ? ただ、用心するに越したことがないってだけで」
レオン君にあらぬ誤解を受けさせたくないと思ったのか、パッと立ち上がり、慌てた様子で否定するセラフィーヌさん。レオン君は全く気にしていないようで、へらっと笑う。
「俺は大丈夫っすよ~♪ 別にそんな風に思われてないって分かってますって」
「ごめんなさいね、レオンくん。…………あっ!?」
黙って行く末を見守っていた私だったが、ふと、セラフィーヌさんと目が合う。
そして、その瞬間、セラフィーヌさんは勢いよく私の所まで近寄ってきたかと思えば、両手で私の手を握ってきた。セラフィーヌさんの目は「お宝みっけ!」みたいにキラキラとした目をしている。
「ここにいるじゃないっ! 適任者がっ!」
「え、えーっと……適任?」
誰が。何の。……いや、話の流れで分かるけどもだ。
「お願い、ラルちゃん! 今度のパーティー、ツバサ達と一緒に参加してくれないかしら!?」
「…………なぜ?」



~あとがき~
高みの見物はできないらしい。

次回、朝の騎士達とラル。
大丈夫。ちゃんとどうなったかもお話ししますんで。

本編ではしっかりメイドのアンジュだけど、私の中ではそれなりに(?)ふわふわしてるというか、喜怒哀楽がはっきりしてて、分かりやすい子のつもりです。言ってしまえば、ツバサお嬢様大好きっ子メアリーさんみたいな人というか。なんか、そんな感じをイメージしてるつもりなんだが……普通に仕事できる女になってておもろい。

ではでは。