satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第154話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお仕事してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ノワールとリランの話が終わりました。今回はラルとティールの話。この二人の話、最近多いな……もっと別の子に当てればええのに。例えばステラやリーフにね……?
いや、でも彼女らレイ学だと探検隊してないから、無理なのよ! すまん!!
ま、主人公その一なラルとそのパートナーだもの。出番多くて当たり前だよね。うんうん←?


突然ですが、もうしばらくすると夏休みです。私達の高校生活最後の夏休みがやってくる。そんな夏休み前だというのに、私達は相も変わらずお仕事をこなしていた。夏休み前なんだから、仕事やめようぜ! どうせ夏休みに仕事─未だにどんなのか不明なやつだけど─あるんだし! なんてのはなかった。無慈悲なパートナー様だ。
「ラル! ラストだよ!」
「はぁいよっ!」
後ろでライフル構えて援護狙撃していたティールの指示で、私は目の前に迫っていたなんかごっついモンスターに一太刀お見舞いする。その一撃で呆気なく倒れ、ドロップ品を残し、跡形もなく消えていく。
毎回思うのだけれど、絶命したモンスターがこう光に包まれて消えていくのはなぜなのだろう。神のご加護……なわけないか。ダンジョンの効果? モンスター全員に付与された能力?
ま、今はどうでもいいか。倒せたという事実だけが重要なのだ。さて、最後までこいつの種族名が出てこないな。
「えーっと? なんだっけ、こいつ」
「ジャバウォク、だよ」
ライフルをウエストポーチ─探検隊御用達、異次元収納機能つきのやつ─にしまいながら、ティールが答えを教えてくれた。
「あーそうだ。それそれ……ドラゴンっぽいよね。痩せ細った干物ドラゴンっぽい」
「干物って……ま、ドラゴン種にしては体格はあれなのは認めるけど。いや、本当の分類はドラゴンじゃないだろ。……翼生えてるから、そう思うのかな?」
かもしれん。
とはいえ、私の斬撃一つでご臨終されたので、そこまで強い魔物ではないのだろう。多分。
ドロップ品をそれ専用の袋に詰め、私も肩掛け鞄にしまう。これでギルドに報告すればこの依頼は完了だ。
「これであとはギルド行って終わり?」
「うんにゃ。実はもう一つだけ残ってる。ティールは嫌がるかもしれないんだけどね~」
「……?」
ギルドに戻ろうとしていたティールは首を傾げる。不思議そうにする彼に私はただ笑みを返すのみだだった

探検隊の仕事は多岐にわたる。
モンスター討伐、素材採取、配達依頼、救助依頼、ダンジョン内部調査、護衛、遺跡探索、お尋ね者退治等々。
もちろん、これらのどれかに特化したギルドや部隊もある。シエルくんのスカイガーデンは配達ギルドで、配達専門だ。アリアちゃんの所属するところは……その、ちょっと特殊な依頼を片付けるギルドな訳で。うん。大声では言えないです。
じゃあ、探検隊らしい仕事はなんだと言われたときに、真っ先に思い付くのは遺跡探索やダンジョン調査。つまり、未知なる場所へ一番に乗り込み、調査をするというものだ。ま、そんなところ、頻繁に行ければ苦労はないわけで。普段は、どんな仕事でも依頼されれば、きちんと責任と誇りを持ってお仕事する。これが私達がホームしている『フェアリーギルド』の信条の一つだ。
そして、その志に則り、私達はある種の何でも屋として働いているわけだが……
「な、なんなの、この雰囲気のある建物……」
「ラストは調査依頼だね。夜な夜な不審な影や気配がするので、この館を調査してくださいってギルドに要請があったんだって~」
私とティールの目の前には、何がとは言わないが、いかにも出ますよ!……という雰囲気を醸し出す洋館が建っていた。辺りは森に包まれ、雰囲気はばっちりである。何がとは言わないけれども。
そして、ティールにこの手の話は駄目なのだ。大嫌いなのである。得体の知れないお化けとか幽霊とか、怖い話が駄目な人なのだ。だからまあ、直前まで隠していたのだけれど。
私の軽い説明にティールは滅茶苦茶にビビって、意味もなく私の後ろに隠れた。男子としてどうなのかと問いたいが、本人は大真面目である。
「ぼくがこういうの駄目だって知っててやってる!? というか、これはフォースの役目じゃない!?」
「彼には丁重にお断りされました」
本来なら、よく視える目を持つフォース君に任せるのが正解なのだけれど、「ガキ共の家庭教師するんで無理」の一言で本人には断られた。流石にステラちゃんとリーフちゃんのお勉強の邪魔はできない。彼女らの成績を脅かしたくはない。
「文句は私じゃなくてノウツに言ってよね。この話持ってきたの、あいつなんだから。ま、ちょいちょいっと館内見れば終わるっしょ」
「ほ、ほんとに? ほんとになんもない!?」
普段、慌てることはあれど、怯えることはないから、こうもビクビクしているティールはお目にかかれない。だからだろうか。私の中にあるいじめたい欲求に火がついた。
「さぁ……保証しかねるねぇ」
にやりと笑って見せると、ティールは予想通りにあわあわし始める。
「やめて! 保証して! なんもないって言ってくださいっ!!」
「だぁって、色々あるんだもん。こんな生活感のないお屋敷なのに、人影がいるーとか人魂見たーとか。泣いている声を聞いたとかなんとか……」
「やだぁぁあ!! 無理無理無理ー!!」
と、叫びながら後ろから抱きついてきた。年頃の女子に抱きつくんじゃないと剥がしたいけれど、それはそれでかわいそうだし、悪化しそうなのでこのままにしておこう。
……うん。ごめん。多少盛った。声は聞いてないよ。まあ、面白いから言わなくてもいいか。
「実はここ、有名な小説家さんの別荘というか、持ち物らしくって。見た通り雰囲気あるから、作品にもリアリティーを求めて、ちょくちょく使ってるんだって。でも、ここ最近は来てないんだけど、さっき言った噂をどこからか耳にしたらしいの。で、その真相を確かめてほしいってのが詳しい依頼内容」
「なるほど? つまり、本当に人が住んでるかもしれないってこと……? それなら、捕まえないとだけどね」
「或いは幽霊的な某様が~」
「その先は言わなくていい!!」
仕事の話を持ち出しても、一向に離れる気配のないティール。とはいえ、行かないわけにもいかない。癪だが、一度任された仕事を投げるのはプライドに反する。
「もしあれなら、ティールは先に帰っててもいいよ? 私一人でも問題ないでしょ」
「……いや。ぼくも行く。もしかしたら、悪い人がいるかもしれないんでしょ? 戦闘になったら大変だもん。それに、ラル一人なんて信用できない」
それは一体、どういうことかなぁ!?
「日頃の行いだよ。反省して」
ぐ、ぐぬぬ……さ、最近は大人しい方だと思うんですけれどね~?
とはいえ、引っ付いたまま真面目な話をされても格好はつかない。私の心に響くものはなかった。
「じゃ、説教する前に離れてください」
「……それとこれとは話が別っ!」
「なんやねーーん!!」
抱きつかれたままでは動きにくいため、無理矢理引き離し、仕方なく手を繋ぐ。彼は何の躊躇いもなく強く握ってきた。
いやぁ、違うよね。本来なら女の子が好きな男の子に「やだぁ! 怖いよー! 〇〇くんっ」となる場面だよね。立場おかしくない? なんで私が男子側やってんだ!?



~あとがき~
きっと短くすむはず。私はそう信じてる!

次回、雰囲気のある洋館に殴り込みー!!……ではなく、不審者がいないか調査!

ラルとティールだけっていいのかなぁと思いつつも、ラル&ティールの話って考えやすいのでついつい書いちゃいますね。
今回は二人で仕事来てますが、真面目になるシーンはあんまりないと思いますわ。(フラグ)

ではでは!

空と海 第233話

~前回までのあらすじ~
第一関門は突破したイブ、チコ、アイト。
なぜ、アイトがここに留まっていたのか、彼の言葉の意味等々が明らかになりました。……よね?
さー! この先はどうなることやら~?
イブ「放置しすぎですよ!!」
それな。大丈夫。忘れてないよ!!!(汗)
イブ「むう~?」
ぼんやりと流れはあれど、なかなか言葉にするのが難しいんだよなぁ……頑張るぞい。


「こんばんは」
フォースはイブ達と合流するのではなく、一度、村に戻ってきていた。理由は単純だ。話をつけるためである。元より、イブ達を巻き込むつもりはない。
そして、彼と相対するのはここの長であるザゼルだ。敵が目の前にいるというのに、至って落ち着いており、かえって不気味に感じてしまう。何を考えているのか分からない。
ちらりと心を覗いてみても、そこに見えるのは黒だった。それをつい最近、似たようなものを見たのだ。
「心に陰りが見える。……『闇』に侵食されてるのか……それとも、お前さん自身がそうなのか。……或いは、影響でも受けたか? 例えばあの女狐とか」
「何のことやら……しかしまあ、お強いですね。男達を襲わせたはずなのですがねぇ」
「おーおー? 隠すこともやめたか、若造」
「えぇ。貴方はここで堕ちてもらいますからねぇ」
ゆるりと手を上げると、どこからともなくぞろぞろと現れ、フォースを取り囲んだ。先程の地下牢同様、適当な武装をし、フォースに確実な殺意を向けていた。地下牢と違うのは、肌に感じる殺気が明確である点だ。
「儂らは、平穏に暮らしたいだけなのです。探検隊の方。……それを邪魔するようならば、取り除かねばなりませぬ」
「どんな手を使っても、か。その考え自体が歪んでいるとは思わないのかい、ザゼルさんや」
「お願いします、皆さん」
フォースの言葉に耳を貸すでもなく、ザゼルは周りの人に一言、命令した。丁寧な物腰だったが、その内容は物騒なものだ。
ざっと観察したところ、誰も遠距離武器を持たず、近接武器や中距離武器がほとんどである。一つ一つは大した威力もない農機具のようなものばかりである。人を傷つけるための武器ではない。
そんな人達の攻撃を軽く避け、ザゼル同様に心を視る。すると、ザゼル程ではないにしろ、黒を感じた。また、この黒は、危険であると長年の勘が告げていた。
「……兄貴、手伝え」
「ほーいよっと! カモーン! “ランス”」
フォースの呼び掛けに素直に応えたのは、フォースの自称兄であり、生命の神ウィルだった。
すぐさま槍を構え、襲ってくる人々を凪ぎ払う。
「かーくんはあのおじーちゃんを追いな。どうもくっさいんだよねー……? あの祭り以来、闇が加速してる気がするんだわ~」
「そのつもりだ。兄貴、道を開いて」
「ほいほいっとな! おにーちゃんにまっかせて! ほらほらぁ? どいたどいたー!」
バトンを回すように軽々と扱い、その勢いのまま、敵に向かって放った。当然、敵は避けるために槍の通る道を開けていく。その道をフォースは駆けた。

かつて起こった『じげんのとう』の崩壊は、ディアルガが闇に染まったからである。その原因は悪夢事件の元凶であるダークライだ。そこから、闇を作り出したのはダークライだと誰もが結論付けていた。その悪夢もダークライの記憶が崩壊したことで、人々の記憶から、心から忘れ去られていた──はずだった。
しかし、数週間前の祭りで感じた闇は本物である。あれは人々の心を狂わせ、やがて世界を崩壊しかねないと感じたのだ。
あれはディアルガを陥れ、世界を陥れようとしたダークライの闇そのものだ。しかし……
「……元凶のダークライは、もう脱け殻だ。ばらまく手段なんてない。……けど、消えたという前提が間違っていたのなら、あの女狐がばら蒔いているのなら。……悪夢事件の再来。いや、それよりももっと……」
悲惨な運命を辿ってしまうかもしれない。そうなる前に何かしらの手を打つ必要がある。
「……けど、おれがどこまで踏み込んでいいのかは微妙……あ?」
思考を巡らせながら走っていたせいか、気がつくと見知らぬ場所に立っていた。黄昏時の森の中を走っていたはずなのだが、今は暗闇そのものが支配する別空間のような場所にいる。
それだけで、何らかの介入が入ったのだと悟った。
「考え事なんてするもんじゃねぇや……はてさて、何が来るかなぁ~……と」
「闇が支配する世界、かぁ……なんだか凄そうだよね~? イメージできないけどさ!」
この暗黒の空間には似つかわしくない明るい声が突然聞こえてきた。当然ながら、フォースはそちらを見る。ぽつんと座り、にっこりと笑う少女がそこにいた。
「なんかもう、かなりやりつくした手を使ってくんな? どしたよ、鈴流。こうも短期間に会いに来られると反応に困るぞ」
フォースは呆れつつ、溜め息混じりに話しかけた。鈴流は笑顔を崩さずに彼の問いかけに答える。
「仕方ないよ。フォースの心にはいっつも私がいるからね! どうしてもぽーんって出てきちゃうんだよ? 嬉しいでしょ?」
「反応に困るっつてんだろ。なんだ? おれを攻撃するの? そういうやつか?」
「んーん。しないよ? お話ししたいだけだもん。だから、続き! 闇が支配する世界の例え話が聞きたいんだよ。フォースはどー思う?」
鈴流らしくない質問に、完全に敵に先手を打たれていると感じた。しかし、敵意も感じない。例えるならば、自問自答しているようなそんな気分である。これに何の意味があるのか分からない。そんな感覚。
「どう思うねぇ……楽しくはないんじゃないの」
「アバウトだね。ちゃんと考えてくれた?」
「知らんよ。そんな世界に興味がないからな。でもまあ、そんなんでも嫌だなって思う理由はあるよ」
「へぇ? 何々ー?」
こてんと首を傾げる鈴流に、フォースは無言で近づき、瞬時に作り出した剣を振りかざした。彼女はその斬撃に動じることなく、真っ二つになったかのように思われるも、その姿は霧のように消えてしまう。
「偽物のお前には教えてやんない」
「んもー……いっつもそういうことしちゃうんだから! すーくん、きょーぼーだよ!」
「今度はお前かい、すぅ……おっと?」
フォースの背後にいつの間にか立っていたのは、今の主であるイブだった。そして、その隣にはチコもいた。それには少し驚いた。鈴流やイブは少なからずフォースの弱点とも呼べる人物ではあるものの、チコとはそこまでの付き合いはない。ピカのように深く突っ込まれたわけでもなく、フォースの記憶に強く残っているわけでもない。そんな相手が出てくるとは思ってなかったのだ。
「まあ、いいや。で、すぅとチコは何が聞きたいんですかね?」
「もしも、暗闇が広がったら争いのない世界になるって言ったらすーくんは信じる?」
「なんだそりゃ」
「ここの空間みたいに、自分の知ってる人しか出てこない。入ってこない世界ってことだよ。フォースなら、どう感じるのかなって」
「なんも感じないけど。つか、そんな世界に意味はあるわけ?」
「そんなのは自分で作るんだよー」
「熱血的な回答だな。……なら、おれからは、意味がないのでお断りって回答で」
鈴流を斬った剣で、同じように二人を消した。
三人を意識から排除したところで、空間に変化は訪れない。未だフォース一人しかおらず、気がついたら知り合いが変な質問を投げ掛けてくる。それだけの空間である。
「……いい加減にしろ。何を言われても肯定しない。下らない質問と幻影でどうにかできるとでも? 単調な揺さぶりしかできないわけ?」
「おやおや。……残念ですなぁ」
闇の中から姿を表したのはザゼルである。
この空間を作り出した──否。幻影を見せてきたのはザゼルだったのだ。
「おれの記憶にある人物を適当に引っ張り出したんだろうが、幻影に躊躇する必要がない」
「冷たいお方ですな。本来ならば、迷いは出ると思いますがね」
「実体があればね、多少はするだろうよ」
「ほう……ならば、貴方を黙らせるにはあの少女らを捕まえる必要がありそうですねぇ」
にやりと嫌らしい笑みを浮かべる。
彼の思考に常識の文字はなくなってしまったのだろう。邪魔者であるフォースを排除したいという願いが、欲が、ザゼルを動かしていた。
「これを伝授したのは誰だ。女狐? それとも、その傘下か?」
「はて。そのような御仁、知りませんねぇ……」
「嘘をつくなよ。お前からは同じ気配を感じる。どこかで接触し、植え付けられてるはずだ……ま、今となってはどうだっていいけど。……言えることは一つだ。ラルは渡さねぇ。おれが、ポチャが仲間達がそれを許さない」
『……あらあら。この前、心を読ませたせいかしら? バレちゃったわねぇ』
ザゼルの口からしわがれた男性の声ではなく、女性の声が聞こえてきた。数週間前に聞いた、紅の声。
『初めは実験だったの。ここの集落にほんの少しの闇、悪意を植え付けてみたら、どう育つのかっていうね。まさか貴方が釣れるとは思わなかったわぁ』
「偶然だと?」
『もちろん。偶然よ』
くすくすと面白がるように笑う。そして、真っ直ぐフォースを見据えたまま、話を続けた。
『でも、偶然にも貴方を引き込めた。……分かるでしょう? ここはあまぁい世界が広がっているわ。飢えもなく、孤独でもなく、貴方が望む人物が話し相手になってくれる。そんな真っ暗空間。……これを作ったのは私の優秀な仲間』
ゆらりとザゼルの姿が歪んだ。この空間から出ていくつもりなのだろう。フォースだけを閉じ込めようとしている。
「おれが望む相手がねぇ……つーことは、おれの精神世界とでも。そこにお前が入り込んでいると。そういう解釈でいいのか?」
『そうね。いいと思うわ』
「……なるほど。なら、おれの独壇場ってわけだ。おい。手伝え、お前の憎き相手かもしんないぞ」
フォースの呼び掛けで、ザゼルに攻撃を仕掛ける影があった。ザゼルは老人とは思わせない俊敏な動きでそれを避ける。攻撃した人物は深追いせずにくるりと自らの獲物を操った。
「あは。君が僕をイメージするとは驚きだ。なんか、嬉しいような悔しいような……僕としては不思議な気分だよ? というわけで。久しぶりだねぇ、フォースくん」
「友情だよ。ゆーじょ。……行くぞ、ラウラ」
かつての友であり、自らの命と引き換えに主を闇の侵食から救った白の制御者、ラウラがそこにいた。
彼女を思い浮かべた理由は、何となくであった。しかし、ラウラは主を蝕んだ元凶を倒したかったはずだとフォースは思っていた。それが制御者の性分だから。それがあって、元凶であろう人物と対峙するここで、ふと浮かんだのだ。
例え、それがフォース自身のエゴだとしても。



~あとがき~
シリアスシリアスしてきた。
望んでないのに……おかしい……!

次回、フォースの精神世界で色々やる。
前にも似たようなことありましたね。

まあ、特に言いたいことはないけど、ラウラちゃん久しぶり! これくらいかな?
ただ、忘れないでほしいのは、これはフォースが思い浮かべた相手ってだけです。本物ではないのですよ。あの子はもういませんからねぇ~

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第153話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界を満喫してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、遊びに遊びまくるリランと、それを見てる(参加もしてる)ノワール視点でした。リランははじゃぎにはしゃぎまくってるだけでしたね。
今回からはまたユーリに戻してまとめていこうかなと思います。


ひたすらリランと遊びまくったイツキ達がヘロヘロになりつつ帰ってきた。息の上がる三人とは違い、リランはまだまだ遊び足りないのか、単順に元気なだけなのか、こちらに戻ってきた後もノワールの尻尾でじゃれていた。そして、ノワール本人はなんとも言えない表情のまま、猫じゃらしみたいにひたすら尻尾を動かしている。
「きっつ~……こんなに体力を使うことになるとは。リラン恐るべし」
「だから言ったじゃないっすか~! 全力でリランの相手をしないと命の保証はないって♪」
明るく話すレオンさんもぐったりしているように見えるけれど……?
僕はこの短時間でお茶くみ任命(父さん命名)されたので、三人の分を改めて淹れ直し、テーブルに置く。そのときに、イツキは近づいた僕に気づいて見上げてきた。どこか不満そうにしつつ。
「つーか、なんでユーリはこっちにいないんだよー! 来いよ! リランと遊べよ!」
「仕方ないじゃん。お嬢様方のお世話してたんだからさ」
まあ、半分は大変そうだからやだなって思ったのもあるけれど。これは言うと面倒だから内緒にしておこう。
「それに、父さんとツバサさんの話聞いてる方が楽しかったし」
「ご参考までにお聞きしますけど、レイフィードさん、今回はどんな話したんすか?」
「ん~? いつも通りだよ。主にリランの話しかしてないや~♪ アラシくん、詳しく聞きたい?」
「……わかんないんでいいっす」
ここで話を聞いても理解できないし、大体、話が長いと思ったのだろう。アラシさん自身が聞いたものの、すぐに引き下がり、お茶をすする。
「さてさて、今回の検査結果等々も、ツバサちゃんのお話もまとめられたし、今日はここまで~♪ これを元にこっちでも色々検討してみるよ。次は二ヶ月後かな」
ずっと広げていたファイルをぱたんと閉じ、すくっと立ち上がる。そして、ずっとリランの相手をしていたノワールの頭をぽんぽんっと軽く叩いた。
「今日はありがとね、ノワール。それに、アイちゃんとイツキくんも。いつもとは違うリランが見られてよかったよ。いいサンプルが取れた♪ またいつか協力してくれると嬉しいな~」
と語りかけ、父さんはノワールの反応を見る前にくるりと踵を返す。帰り支度でもするのだろう。そこまで持ち込んだものはないけれど、片付けるのはお茶飲んだときの紙コップくらいか。
「ぐぅ……」
「はーいっ! いつでもいいよ!」
「……俺はしばらくいっかな~? は、半年後とかそんくらいあとがいーな?」
アイだけはリランと今後も遊ぶ気満々だが、ノワールやイツキは、できることなら遠慮したいみたいな空気を出している。でも、ツバサさんは生徒会役員な訳で、僕もイツキもリランと会う機会はこれからもあるだろう。やる気のあるアイよりもだ。
多分、父さんの知らないところでも洗礼を受けるのではなかろうか……?
「ツバサちゃんっ! また一緒に遊ぼーね! 約束!」
「! うんっ! 約束っ♪」
年も近く、意気投合した女子二人は微笑ましいことに仲良く次の遊びまで取り付けている。対する、ノワールとリランは……
「わふ~ん♪ あんっ♪」
「…………」
リランが一方的にノワールを気に入ったのか、滅茶苦茶甘えるような仕草をしていた。微妙なお顔のノワールにひたすらすり寄っている。
まあ、吹き飛ばそうとしないだけ、まだ利口だよ。ノワール
「がう」
不満そうなノワールに、今度は僕がこいつの頭を撫でてやる。
これっきりにしたがっているけれど、多分、無理だよ。少なくとも僕が学園を卒業する……よりも、生徒会を辞める方が早いか。それでも、たっぷり一年間は関わりがあるんじゃないかな。
「…………ぐぅ」
「いいじゃない。可愛い妹分ができたと思えばさ」
「わふ?」
僕らの言葉を聞いていなかったのか、リランはこてんと首を傾げる。僕とリランを交互に見比べ、ノワールは嫌だと意思表明と言わんばかりに首を振った。こんな妹なんてごめんだと伝えてくる。
それでも、ノワールはなんだかんだ面倒見は悪くないと思っている。前からアイの相手もしているわけだし。
「これからもノワールと仲良くしてね、リラン」
「わふっ! あんあんっ!」
今度は伝わってくれたみたいで、嬉しそうに尻尾を揺らした。そして、ノワールにぴたっとくっつく。きっと、仲良くするって伝えたいんだろうな。
……まあ、ノワールは心底嫌そうだけれど。

研究所の前まで父さんが見送りでついてきてくれた。このまま一緒に帰宅すればいいのに、まだやることがどーのと言い、まだしばらくは帰るつもりはないらしい。
「ユリくん、アイちゃん。ママによろしくね~」
「自分で伝えろよ。ってか、今度はいつ帰るの」
「え……夏期休暇取るとき? かな?」
怪しいな、その宣言も。……今更か。
「イツキくんも。お父さんによろしく。ついでにリンドウ先生にもね~♪」
「うっす! レイおじさん元気だった~♪ って言っときます!」
清々しいほどに話題変えてきたな。
「今日はありがとうございました、レイさん!」
「いえいえ♪ またね、ツバサちゃん達」
「うっす! また二ヶ月後っすね~♪」
「……じゃ、俺達はこれで」
研究所を後にし、途中までは同じ道を帰る僕らだったけれど、帰り道が別れると、そのまま解散。
「アイちゃん、またねー! イツキさんとユーリさんは学校で!」
と、元気に手を振り、アラシさんとレオンさんと共に帰っていった。その帰り際、リランがノワールに向かって愛らしく鳴くものの、ノワールは完全に無視していた。……というよりも、反応することに疲れたみたいな感じだった。
「せんせ、リランに好かれちゃったな」
「がう」
「新しいお友達じゃん、ノワ! やったね!」
「……ばう?」
いや、よかったのかを僕に聞かれても。
「……帰ろっか。思いの外、遅くなっちゃったな。早く帰って勉強会を再開させないとね?」
「だあぁぁ!? やるのか!? まだ!」
やりきった感を出していたイツキが一気に現実に戻されたみたいに驚いている。勉強に終わりなんてないのに、まだって言うのも変な話だ。
「補習、回避したいんだろ?」
「う、うぐ……わ、わかった。もう、今日は泊まり込み覚悟で頑張る……!」
「がんばれ、いーにぃ!」
「くっそぉー!」
母さんに今から帰ると連絡をし、僕らは家路についた。
このあと、イツキは勉強に身が入らず、寝落ちしたのはまた別の話だ。補習? さあ、どうなるんだろうね?



~あとがき~
短いかもんない。

次回、ラルとティールのお仕事編!
お仕事編なんて言ったけど、休日回の延長線です。このユーリ達と同時刻というか、時間軸は同じで大丈夫です。

よかったな、ノワール! 妹分ができたよ!
ということでね、リランが無事ノワールに懐いて、お互い仲良く(?)してくれました。今後、もしかしたら、そんな場面もあるかもしれません。よろしくです。
学園内だと、リランは真っ白お犬様でまだ小さいからノワールも扱いやすい……かもしれません。
そんな生徒会室はラルの天国でしょう。可愛い&もふもふパラダイスやし(笑)
え、ノワールが可愛いか? まあ、可愛いんじゃない?(適当)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第152話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で遊びまくる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ノワール視点でリランと遊び尽くす(?)話を書きました。
リラン「わふわふっ!」
……えー……私には何を言われてるのか分からないので、放置しますね。
リラン「あんあんっ! わふー!」
今回もノワール視点でリランが何を言っているのかウォッチングしながら楽しみたいと思います。
リラン「わふんっ♪」


Noir side》
「今度はこれをやろう!」
アイがそう言いながら取り出したのはフリスビーだ。蛍光色のピンク色をしたどこにでもある円盤を俺達に見せてきた。
そのフリスビーを見た瞬間、チビ助の目の色が変わる。フリスビーを持つアイに駆け寄り、大きく尻尾を振り始めた。
「やるやるー!! 早く投げて!」
「お、リランやる気だなー!? いっくよー! それっ!」
俺といつもやっているからか、フリスビーを投げる腕はユリよりもある。ユリはもっと妹に負けないように努力すべきだな。
アイが投げるフリスビーをチビ助が追いかけ、キャッチ。それをアイに戻して、再び投げる。これの繰り返しだ。
「アイちゃん、上手だね~♪」
「えっへへ! ノワと一緒に遊んでるからね。ねっ! ノワ」
仕方なくだ。おれはやりたいなんて一言も言ってないからな。仕方なく、お前に付き合ってるだけだ。勘違いすんな。
「ツバサちゃんも何か投げる? ノワ、どこに投げても持ってきてくれるよ?」
いや、どこでもは無理だぞ。限度はあるぞ。んまあ、今回はチビ助もいるし、ある程度はカバーできなくはない……のか? いやしかし、この白いのがどんな腕してるのか分からないからな。
「主様、投げるの?」
フリスビーを咥えて戻ってきたチビ助が二人を見上げて首を傾げる。それに俺が答える前に、チビ助がフリスビーを地面に落とし、何か思い出したのか、勢いよく俺を振り返る。
「はっ! ノワール、なんで追いかけなかったの? アリシャ、たくさん投げてくれたのに~!」
「いつもと変わんないからだよ」
「楽しいのに」
一緒だろ。
「むぅ……あっ! 主様、主様! ボールがいいな! ボール遊びがいいー!」
と、おもちゃの入った箱に駆け寄るチビ助。あの中なら、チビ助が望むボールだって見つかるだろうが……
あいつ、基本的に俺の話興味ないだろ。腹立つ。
「わわっ! ボールがいいの、リラン?」
「そう! ボールがいいの!」
「そ、そう? じゃあ、ボール投げるから取ってきてね?」
「はーいっ」
白いのはチビ助の言葉がわかるのか。主だからか。ますます、変なやつだ。
ノワール、主様ね、いろんなとこに投げるからちゃんと追いかけないとダメだよ!」
「……は?」
ボールの軌道でどこに落ちるかくらいの予測はたてられんだろ。
「リラン、ノワール! 行くよー!」
白いのはチビ助に言われた通りに黄緑色のボールを構える。ソフトボールくらいの大きさで、それもアイがたまに投げてくれるやつと似た大きさだった。
ノワール! いこ!」
「……行きたかないんだが」
「ダメ! さっきのフリスビー、一緒にやってくれなかった!」
……チッ。めんどくせぇ。
ある程度の距離を取り、白いのがボールを投げるのを待つ。チビ助はすでに臨戦態勢でやる気満々だ。
「えいっ!」
……? どこいった?
やる気はなかったが、目を離したつもりはなかった。ある程度の目星もつけていたが、なぜかその方向にはボールの影はなく、跡形もなく消えたように見えた。
「イツキのとこだ!!」
チビ助が楽しそうに叫びながら、ユリ達のいるところへと走っていく。
は? あり得んだろ、その方向は。白いのの体の向き的に飛ばないはずじゃ……その前に。あの全力疾走でユリとレイにぶつかったらまずい。特にレイ。こんなとこに籠りっぱなしのあいつが咄嗟に動けるわけがない。
「あぁ……くそ!」
数秒遅れでチビ助の後を追う。チビ助の言葉を信じるなら、ボールはイツキに当たっていると思うが……
「わっ、なんだ。ボール……?」
「ボーーール!」
「え、ぎゃあぁぁ!? リラン!? あぶっ!」
素敵なコントロールでイツキの頭に当たったボールは、それを取りに走ったチビ助を引き寄せた。結果、ボールを持っていたイツキに突進し、そのままイツキに馬乗りしていた。
「はわわっ! ごめんなさぁあいっ!」
遠くの方で白いのが叫んで謝っている。全力で。
すんげぇコントロールだな、白いの。どう投げたら軌道外のイツキに当たんだよ。特別な引力でもあんのか。
「あはは~♪ 過剰なスキンシップだね~」
「早速、フラグ回収っすね~♪ 先輩っ!」
「う、うわぁ……おい、リランどいてやれって。先輩つぶれちゃうから」
「お、おも……重いって、リラーーン!」
「ボール♪」
イツキ、お前、ボールよりも負けてるぞ。存在感なくなってるぞ。チビ助の中で。
「あ、ノワール。……イツキ、助けてやって」
はいよ。
俺の存在に気づいたユリの命令で、チビ助の首根っこを咥えて、イツキの上からどかした。ボールを咥えたままのチビ助は、最初の時みたいに暴れることはなく、されるがままだった。
「……う?」
周りを見ろ。アホが。
「せんせー! ありがとぉぉ」
お前もお前だ。武を極める者なら、これくらい対処しやがれってんだ。お子ちゃまめ。
「なんか十の罵倒が返ってきた気分!! せんせー、ひどい!」
「ご、ごめんなさい……! 大丈夫ですか?」
白いのとアイがこちらに駆け寄ってきた。元はと言えば、この白いのが変な方向に投げたのが悪いんだがな。
「あ~……二人も戻ってきたし、そろそろ交代すっか。いくぞ、レオン」
「よっしゃ! 選手こーたいっ! いきますよ、イツキせーんぱいっ!」
「ほよ。俺も? ま、いーけど……」
「! イツキも遊んでくれるのー! やたー!」
赤いのと黄色いのが準備運動をし始め、さっきアイ達がいたところまで走っていく。これにイツキも続き、この辺で俺もチビ助を地面に下ろすと、間髪入れずに、あの二人の後を追いかけた。
元気だな、あのチビ助。
追いかけなかったレイは、同じく追いかけなかったユリに微笑んだ。
「ユリくん、お茶!」
「……僕は給仕係か何かなの? いいんだけど。ちょっと待っててくださいね、二人とも」
「ありがとうございます、ユーリさん」
「ありがとー! にぃ!」
「はいはい……ノワールはどうする? 何か飲む?」
飲むとかよりも帰りてぇ。
「駄目だよ、ノワール。今日のリランの観察には君も含まれてるんだから。はい。行った行った~♪」
外道め。
レイの非道なお願いに、俺も仕方なくあいつらの後を追う。俺をユリのサポート用精霊か何かと勘違いしてないか? 俺は戦闘用だぞ。そこんところわかってんのか、レイのアホ。

俺がイツキ達に追い付いた頃には、ボールは赤いのの手に握られていて、それを奪おうとチビ助がジャンプしているところだった。
「ぬぉ!? お前、今ドラゴンなんだから、あんまジャンプすんな! でかいんだから!」
「アラシ! は~や~く~な~げ~て~!」
赤いの。チビ助はお前の話なんて聞いてないぞ。
飛び付かれては敵わんと思ったらしく、さっさとボールを遠くの方へ投げる。白いのとは違って、いたって普通のコントロールで、綺麗に人のいないところへ飛んでいく。
「いやぁ、今日はまだノワールと遊んでくれてたからまだましだな!……興奮は一段としてるけど」
「どっこいどっこいだよな、それ……ま、ノワールいて助かった」
「せんせー、褒められてるぞ」
褒められてんのか? それ。
「にしても、先生より犬っぽいもんな。リラン……ドラゴンの見た目なのに仕草は犬って」
犬っころと一緒にすんじゃねえっていつも言ってんだろ、イツキの阿呆が!!
「ぎゃー!! ごめん! ごめんなさい!! いっってぇぇ!! このくだり、何回目!?」
てめぇが犬扱いする度だ! 覚えとけ!
この俺を犬扱いするイツキの馬鹿に一発食らわせ、俺はふんっと鼻を鳴らした。
「にゃは♪ 激しいな~? ノワールも」
てめぇらも狼をその辺の愛玩動物と一緒にすんじゃねぇぞ。噛み殺すかんな。
「アラシ! とってきたよー! もっかい! もーいっかい! あれ、イツキどーしたの?」
ボールを持ってきたチビ助が、一撃食らってうずくまるイツキを不思議そうに見ていた。
「チビ助、遊んでやれ」
「! はーいっ! イツキー! 遊ぼー!」
俺の一言に素直に従ったチビ助は、悪気もなく、イツキに上から乗っかった。当然、その重さに呻き声を上げる。
「ぐえ! せんせー! 聞こえてるぞ!! 俺をいじめるのも大概にしろ!!」
「お前もいい加減、この俺様を犬扱いすんじゃねぇ。何度言えばわかる。馬鹿め」
「言動がユーリみたいですけどー!!」
そりゃあ、俺はユリの精霊だ。言動だって似てるだろうな。
「んあ? そいや、ユーリ先輩はこっち来なかったな。忘れてたけど」
「……まあ、いいんじゃないか? 無理に被害者増やさんでも。もしかしたら、第三布陣も必要かもだし?」
「後輩諸君! その前に先輩を助けたまえよ!!」
「あ、すんません!」
「ついつい~♪」
赤いのと黄色いのでどうにかチビ助をどかし、ボール遊びを再開する。それをリスタートさせるとき、チビ助が性懲りもなく、俺を遊びに誘いやがるもんだから、仕方なく俺も付き合うことにした。
仕方なく、だ!
ノワールよりも先に取る!」
「……そうかい」
息巻いているが、適度に付き合ってやるのが今回の命令。勝つ必要性はどこにもない。つまり、本気でやる方がアホらしいというもの。
適当に、手を抜かせてもらうよ。チビ助。



~あとがき~
男子パート雑か。
やるネタ尽きた感はあるよね……(笑)

次回、そろそろこのお話も終わります!

ノワールは名前を覚える気全くないですね。関わりがないからですかね。
いつもいる、ユーリ、アリシャ、レイフィード……ここにはいないけど、マリアの名前はちゃんと覚えてます。ユリ、アイ、レイ、マリ、ですね。
んで、イツキ、リリアーナも覚えてますね。
生徒会メンバーは……まあ、ラルとフォースは覚えてるのかな? ティールは聖剣もあるし、ついでにと覚えられてそう。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第151話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界ではしゃぐ物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
広場に到着し、遊ぶ気満々なリランと嫌々付き合わされるノワール
なんかもう、ノワールのやる気のなさすごいね!
元々は戦闘用精霊なんで、腑抜け感がすごい。初登場予定も戦闘シーンだったわけで……いつか、書けるといいな。そんなところ。
今のところ、予定はまっっったくない!
視点はどうしようと悩んだあげく、ノワールです。やつならリランの言葉も聞けるしいいかなと。振り回されるノワールをお楽しみください。


Noir side》
レイが扉を開けた瞬間、弾丸のように走り去っていったチビ助を追いかけるように、アイと白いのが走っていく。ユリ達と会う前、俺と散々遊んだ後だと言うのに、アイは元気だ。底無しか。いや、昔からか。知ってた。
ノワール、頼んだ」
ユリの言葉に俺は嫌々……本当に、嫌々、後を追いかけた。走るなんて面倒だ。する必要はない。
辺りをぐるりと見渡せば、一見、自然に囲まれた外みたいなところだが、匂いも、空気も外の気配は感じさせない。ここはまだ、中なのだ。
やれやれ。研究者と言うのは、無駄なことが好きな生き物らしい。何が楽しいんだ。こんなところに籠ってばかりで。理解に苦しむね。
アイの匂いを辿り、丘の上に到着する。チビ助は適当に走り回っているのか、白いのの傍にはいない。ここは室内だ。勝手に消えることはないだろう。
「わー! たくさんあるね、ツバサちゃん!」
「そうなんだ~! どれ使っても大丈夫だよ」
「そうなの? ノワは何がいー?」
どれでもいいだろう。全て同じだ。
俺はぶるりと体を震わせ、体の大きさを変化させた。ユリに言われたわけではないが、大きくいる必要性がなくなった。だから、勝手に変えさせてもらう。いつもの、『おーがたけん』と呼ばれるくらいの大きさになる。
俺はふわりと欠伸を漏らすと、体を伏せて、目を閉じた。この二人がおもちゃを選び終わるには、時間がかかるだろう。俺は俺でのんびりやらせてもらうよ。
「楽しかった!」
この辺を走り回って満足したらしいチビ助が帰ってきた。ご機嫌に尻尾なんか揺らしてやがる。
やめろよ。俺は寝るんだから。
「あっ!」
何かを見つけたのか、気づいたのか。突然声を出したかと思えば、アイ達が漁る箱の近くで何かを咥えて、その何かを俺の目の前に落としてきた。そして、天真爛漫な笑顔で
「遊ぼ!」
と、この俺を誘ってきた。
ちらりと下を見ると、それは短くも太い紐だった。ユリの家に……というか、アイが俺やふわのためにと買ってきた紐とよく似ている。
あれは確か、引っ張ったり、噛んだりするやつだ。何つったか。引っ張り紐? みたいな、そんなんだ。正直、ふわと俺じゃあ、勝負にもなんないけど。
「それ……俺に言ってんの?」
「うんっ」
そりゃあそうか。目の前には俺しかいない。アイや白いのと遊びたきゃ、そっちに話しかけるか。
「やだっつったら?」
「ふえ……遊んでくれないの?」
今にも泣き出しそうなくらい、寂しそうな声で問いかけてきた。そんなんで泣くなよ。アホらしい。
「……チッ」
紐の片っ方を咥えて、もう片方を咥えるようにチビ助に促した。それだけで、ころっと表情を変え、嬉しそうに紐を咥えた。
「ひっひゃるよー!」
好きにしろ。俺は動かん。
チビ助は見た目の割に力強く引っ張ってきて、少し力を緩めてしまうと、簡単に持っていかれるかもしれない。研究所の入口でも、ユリ達を困らせていたし、その力は紛い物でもなんでもない。こいつの力なんだ。
……ユリがさっき、ドラゴンとか白竜とかなんとか言っていたな。それなりに驚いていたし、きっと、強い種族なんだろう。だからってこの程度の力に俺は負けないけど。
戦闘特化型精霊なめんな。
ぐいっと引っ張ってやると、チビ助がよろよろっと俺の方へと引き寄せられる。ドラゴンとやらにも力負けはしていないようだ。
このまま、引っ張ってやってもいい。きっと、俺が勝つ。だが、そんなことをして泣かれるのも面倒だ。
ぐぬぬっ!」
今まで以上の力を込めて、チビ助が引っ張ってきた。負けるもんかという気持ちだけで力を込めているらしい。
じゃ、お望み通り、負けてやろう。
俺は咥えていた紐をぱっと手離した。すると、なんとやらの法則に則って、チビ助がごろごろと転がっていった。初めは何が起こったのか分からなかったらしいが、俺が離したことを理解すると、チビ助は嬉しそうにジャンプした。
「わー! かったー!」
はいはい。そーですね。よかったですね。
「お待たせ! これで遊ぼうね~♪」
「主様!」
白いのの言葉に俺は後ろを振り返る。アイが持っているのは小さなおもちゃ。白いのはなんか変な機械を持っていた。
「リラン、ノワ。このネズミさんを追いかけるんだよ?」
獲物にさん付けはいらんぞ、アイ。
『らじこん』と呼ばれるおもちゃで、あのちっこい獲物を操作するんだろう。似たようなのをイツキも持っていた。あのときは、こんなちっこいやつじゃなかった気がするけど。
白いのが操作すると、獲物は……ネズミはかなりの速度で地面を走っていく。それにチビ助が反応し、楽しそうに追いかけ回し始めた。
……何が楽しいんだろう。捕まえても食べられないのにな。
「ノワもいけー!」
え、マジでか。チビ助が楽しそうならいいんじゃないのか。俺までやる必要がどこにある。
そんな意味を込めてアイを見つめるものの、こいつに俺の言葉は届かない。行ってこいみたいな目をしてやがる。いや、俺を見ろ。やる気ないんだって!
ノワール! ぜんぜん、つかまんない!!」
「知るか、ボケ!!」
捕まえたらそこで終わりなんだ。捕まえずに永遠と追いかけてろ。ガキめ。
ネズミは小さい。だから、小回りがよく利く。とはいえ、操っているのは人間だ。本能で逃げ惑う動物ではないから、限度はある。
「室内とはいえ、外を模した場所。立地でいやぁ、俺達のホームだろうが。翻弄されてんじゃねぇよ、チビ助」
「まてまてー!!」
聞けよ、俺の話を。
……えぇい! じれったい!!
俺は立ち上がると、獲物を追いかける。当然だが、白いのは俺達に捕まらないように操作をする。だが、ここはフラットな地面じゃねぇ。凹凸もあるし、足をとらせてしまえばこっちのもんだ。
「ユリなら、罠でも張って糸で絡めとるんだがな……まあ、いい。チビ助、一緒に追いかけるぞ」
「! わかった! 追いかけるね!」
何も考えずに追いかけるだけのチビ助に、この獲物をどう捕まえさせるか。……簡単だ。ネズミの逃げ道をなくせばいい。
俺はチビ助に合わせて並走する。ネズミは俺達の前を走っていた。素直な操縦者なのか、フェイントを入れることもなく、急な切り返しもない。これなら、簡単に捕まりそうだ。
「そこか。……いくぞ! しっかり捕まえろよな」
「うんっ!」
俺はさらにスピードを上げ、ネズミよりも前に出る。股抜きされないように注意しつつ、ネズミの前に立ち塞がった。俺が前に出てきて、驚いたのか操縦も一瞬もたつく。そのせいで、ネズミの走りにもぐらつきが出て、スピードも落ちる。
「単調だぜ、白いの。ほら、絶好のチャンスだ」
「とりゃー!!」
と、活きのいい掛け声と共に、ネズミに向かって突っ込む。突っ込むのはいいが、獲物を捉えるべき眼は閉じきっていた。
……いや、目は閉じんな!? 見えんだろ!
「……ありゃりゃ?」
「わざとか、チビ助。ここまでお膳立てしてやったのに、わざとなのか」
豪快にスライディングを決めたチビ助。こいつが目を開けたときには、ネズミはしゃーっと十分な距離を取り、ピタリと動きを止めた。
要するに、さっさと逃げられちまったわけだ。
「えへへ。ごめんなさ~い。でも、楽しかったね」
「そうかい……そりゃ、結構なことで」
アイの相手も疲れるが、こいつの相手の方が何十倍も疲れるぞ。体力ではなく、精神的にだ。



~あとがき~
ノワールのお父さん感すごくない?

次回、まだまだ遊びます。リランさん。

ノワールやリランの見ている景色がお伝えてきたら幸いです。まあ、リランの風景とノワールの風景はまた違うとは思うんですけどね(笑)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第150話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、嫌がるリランのご機嫌(ついでにレイの好感度も)アップに成功し、広場にいくぞーってところです。
そして、今回で150話。何かする訳じゃないですが、ここまできましたね。ここまできて、まだまだ全体の半分も終わってません。四分の一も終わってません。レイ学はまだまだ続くんじゃ。


広場へと移動する間、その広場についての説明をアラシさんがしてくれた。
この研究所には、精霊の自然な行動観察をするための場所……所謂、遊び場があるらしく、室内ながらもかなりの広さがあるらしい。人工芝で作られた丘や精霊が遊べるようにとおもちゃ、草花が植えられているとのことだ。
「──前回、そこで遊んでたリランを見て、レイフィードさんが採血しようってなったんすよね」
「パパ、なんでしようって思ったのかな?」
アイの疑問にアラシさんは困ったように笑う。
「正直、難しくて俺らにもさっぱりなんだよな。ツバサ曰く、リランの血には生命を癒す力があるとか、なんとか?」
「? いーにぃ、わかる?」
「いーにぃもわかんなーい」
これを理解しているのは、父さんとツバサさんだけっぽいな。
そんな前を歩く父さんとツバサさんは、真剣にリランについてを話しているらしい。
「前回、採取したリランの血を使って色々と調べたんだが……やはり、リランの血のほとんどは魔素によって作られたものみたいなんだ。だから、昔の研究者、イングラシア・バーベルが書いた『魔素循環理論』の内容に似たようなものだと推測しているんだが」
完全仕事モードの父さんだな。のほほんとしている普段の父さんと目付きが全然違うや。
一同がぽかんとしている中、ツバサさんは父さんの言葉に反論した。
「でも、その理論を参考にすると、リランの血の効果である“血に触れた生命の全回復”の理由が説明つかないと思います。リランは本来武器なわけですし、『魔物魔法式理論』の方がよっぽど有力なような……?」
「その場合、魔法式の組み合わせはどうなるんだい?」
「……実は自作ではありますけど、私、何個か魔法式を組んでみたんですよ。そのまとめたものがこれなんですけど」
ツバサさんは鞄から一枚の紙を取り出し、父さんに手渡す。ここからでは見えないけれど、話の流れから察するに、魔法式が羅列されているのだろう。
「……ふむ。確かにこの組み合わせなら、理論上可能となっている。……が、果たして行ったとしても魔力が足りるのかは疑問だね」
「はい。……やっぱり、当時の”白竜の保有する魔力量”に関する資料を先に集める方が先決かもですね……今度リーナおばさんにも資料があるか聞いてみます」
うーん。聞いたことある単語もあるけれど、僕も知らない専門用語の方が多い。理解するには知識不足だな。
「やめてー! テスト前の頭に余計な知識が!!」
「寝たら忘れるだろ、お前は」
「イツキ先輩……」
呆れられてるぞ、後輩に。
「つーか! なんでそんな高度な魔法の話してんの! ツバサやばいな!!」
「あれ、いつもやってますよ~? 俺らには見慣れた光景っす♪」
「だからこそ、レイ学にも飛び級できたんじゃないっすかね?」
ついこの前、生徒会室でもフォースさんとも似たような話をしていたような。僕の近くにいた会長が、その会話を全く理解していなかったのをよく覚えている。二人をたっぷり見つめたあと、僕に「あれ、異次元の会話なの?」と真顔で聞いてきた。魔法に関する会話ですと答えたら、すぐに興味なくしていたけれど。
「フォースさんとの会話も僕、半分も理解できなかったし、レベル的には父さんと話してるくらいのものだったんだろうな」
「魔法使わないはずのフォース先輩がそんな話をするのも気になるけど! ツバサこっっわ! ほんとに十二歳!?」
年齢はアイとあまり変わらないはずだけれど、生まれ持った才能と言うものなんだろう。世界は不平等だねぇ……

広場の入り口と思われる扉の前には、とっくに到着していたリランが「早く開けて!」と言わんばかりに扉をぺしぺし叩いていた。ここのフロアの扉は全て認証ロックがかけられているから、リランでは開けられないのだ。
「あらら、ごめんごめ~ん。今開け……そだ。ユリくん、ノワールとリランを遊ばせたいんだけど、いい? アイちゃんも一緒に遊ぶ~?」
「え、ノワールを?」
「! パパ、遊んでいいの!?」
「遊んでいいよ~♪ 実は、今までリランを他の精霊とコミュニケーション取らせたことなくってね。俺が精霊召喚魔法使えたらよかったんだけど」
そういうことなら、僕は構わないけど。僕はいいけど、ノワールは……
一番後ろを歩いていたノワールを見てみると、心底嫌そうな顔をしていた。なんで俺がこんなチビと遊ばにゃならんのだ、みたいな。そんな感情がひしひしと伝わってくる。
「先生、むっちゃ嫌そうじゃん! いつもと変わんなくない? どこが嫌なのさ~?」
「がう」
「アイちゃんと楽しく遊んでるじゃん。一緒だよ。一緒」
「がうがう」
「なんか違うって~」
リランの方が幼い分、遠慮がなくて嫌なのかもしれない。遠慮がないのはお互い様だろうに。
「めっちゃ嫌がってますね、ノワール
「ですね。性格上、遊ぶって柄ではないので……ノワール、遊ばなくてもいいから、リラン達の傍にいてやって。気が向いたら遊べばいいから、な?」
「ぐる……がう」
納得はしていないものの、とりあえずは頷いてくれた。どうせ、アイのお遊びに付き合って、走り回ってくれるだろうから、頷かせただけでこちらの勝ちだ。
「いいってさ、父さん」
「やた~♪ んじゃ、開けるね~」
扉のロック解除をし、目の前の壁がなくなった瞬間、リランは全速力で中へと突っ込んだ。それに続くようにアイとツバサさんも後ろを追いかける。
ノワール、頼んだ」
「……がぁぁ」
ため息に似たような唸り声を上げ、ゆったりと一匹と二人のあとを追いかける。ノワールは鼻が利くから、あのスピードでも彼女達を見失うこともないだろう。
「俺らも入ろ~♪ 中に座れるとこあるからね、そこ行こっか」
「はーい」
残された僕達は父さんの引率のもと、ちょっとした休憩スペースのようなところへと案内される。少し離れたところにツバサさん達が見えた。
「ユリくん、ユリくん! そこにお茶を淹れる機械あるから、お願いしてもいーい?」
父さんが指差した方向にウォーターサーバーのようなものが確かにある。ボタン一つで適量注がれるようなタイプらしい。
「はいはい。何でもいいの?」
「いーよ! お茶しか出ないからね!」
レパートリーなさすぎか……悩まなくて楽だけど。
全員分のお茶を紙コップへと注いだところで一度には運べないなと気づいた。少しだけ考え込み、僕は適当に狼を呼び出した。
「これ、溢さないように運んで」
「あうっ!」
四つ足狼達でどう運んでくれるのかと思ったら、頭の上に器用に乗せ、慎重に運んでいく。我ながら、器用なやつらだな。優秀。
「あうあうっ!」
「んお、先輩の狼じゃん! サンキューな!」
「精霊を手足のように扱いますね、ユーリ先輩」
「そうでしょうか? まあ、比較的得意な魔法なんですよね、精霊魔法は。運んでくれてありがとう。帰っていいよ」
全員分を運び終え、狼達は影に溶け込むように消えていく。それを見ていた父さんは楽しそうにしていた。
「やっぱ、習得したぁい~♪ 今度、パパに教えてよ、ユリくん」
「いいけど、父さんあれこれ難しいこと言い始めるからなぁ」
「研究者の性だね!」
誇らないで。
そういえば、遊んでいるのはツバサさんとアイの二人だけだ。アラシさんやレオンさんはいいのだろうか?
僕の視線に気づいたのか、レオンさんがにっと笑った。
「俺らはあとなんすよ。あーと! 全力でやらないと割に合わないんですよね~♪」
「だからまあ、今のうちに体力温存しときたいんす。というか、行きたくなくてもどうせ突っ込んでくるし」
そういうものですかね?
「そうそう♪ だから、覚悟しといてくださいね、イツキせんぱいっ!」
「ん!? なんで俺名指しなの!」
……頑張れ。よくわかんないけど。



~あとがき~
雑になってきた気がする。申し訳ない!

次回、まだまだ遊ぶよリランさん。

なんか難しい言葉出てきましたね。私にもわかりません。説明とかも特にないです。多分。

フォースが魔法のアレコレを知る理由については、年長者だから知っているというのもあります。彼が勉強するのが嫌いじゃないってのあるし、過去に魔力持ちの継承者でもいたのかもしれない。
まあ、経緯はなんでもいいけど、ラル達の中での魔法関連はフォースの分野でした。ツバサちゃんが生徒会に来る前まではな!(笑)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第149話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で色々格闘してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、嫌がるリランをノワールが捕まえ、無理矢理研究所へとお邪魔したユーリ達。そして、ドラゴン姿のリランとご対面です。
今回はイヤイヤしまくるリランの話。
ユーリ「ざっくりですね」
ざっくりだね……(笑)


検査をしたい父さんと、何がなんでもやりたくないリラン。人懐っこいリランがここまで嫌がるのも珍しい気もする。
「おじさん、何したのさ~?」
「ん~?……まあ、普通のことしかしてないんだけどね。ここに来れば観念するかと思ったけど、駄目か。甘々でしたか~」
小さく肩を竦め、父さんは棚からファイルを取り出して、キャスターつきの椅子に座る。見ているのは多分、前回の検査結果とか、リランのカルテとかそんなんだろう。
「色々あったんすよね……あんときは」
「だな~? そのせいで研究所とレイフィードさんも嫌いになっちゃったんすよね~」
父さん!? 何したの、本当に!
リランは診察室の出入り口から動こうとしなかった。涙目になりながら、ぷるぷる震えている。そんなリランにアイは傍にしゃがんでよしよしと頭を撫でていた。
ノワールは部屋の隅で大人しく待機中だ。一応、父さんの言葉を守るためか、体の大きさに変化はない。
「前回の診察、予定にないことしちゃったんだよねぇ……それのせいかなぁ」
……? どういうこと?
「んと、ですね……前回来たとき、急だったんですが、採血したんですよ。たまたま、レイさんが他の精霊との違いに気づいて、それを確かめたいからって」
その話を受けて、ツバサさんは承諾を?
「はい。リランのことが少しでも解明するならと。……でも、リランに採血するよ! なんて、説明しても微妙な反応で。その、理解してないと言いますか」
「リランはやったことないだろし、説明も難しいもんな? それは仕方ないよ~」
そのまま、始めてしまった、と。
「そゆこと。採血用の注射器見たら、恐怖心からか暴れちゃいまして~♪ いやぁ、失敗失敗! 機材もいくつかお亡くなりに……上からも怒られちゃった☆ ひっさびさに怒られた! あはは~♪」
笑い事か!?
「はう……あのときはごめんなさい、レイさん! 弁償代、足りましたか?」
「もちろん。むしろ、多すぎるくらいだった。お母様によろしく~」
弁償代を支払ったのはツバサさんの母親……理事長か。お金持ちは違うな、やっぱり。
「ツバサちゃんのおうち、すごぉい!」
「こらこら……アリシャ、そういうことじゃないからな」
「? そなの?」
そなの。
しかし、原因は分かっても、リランの状況が変化するわけではない。どうにかして診察台へと上げなければ。しかし、ドラゴンで大きくなったリランを持ち上げるのは容易ではない。どうしたものか。
「リラン、ちょっとだけだから。痛いことは何もな……ってぇ!?」
優しく声をかけつつ近づいてきたアラシさんに容赦なく噛みついた。本気で嫌なんだな。
「もう、何とかして持ち上げる? アラシ、そっちから行こう。アイちゃん、ちょっと離れてて。危ないかもだから」
「わ、わかった! いーにぃ達、気をつけてね!」
ずっと傍で撫でていたアイがリランから離れ、ノワールの近くへと移動する。まあ、何かあってもノワールが守るだろう。
「リラーン! 今日は診るだけだぞ! ね、おじさん!」
そだねー……採血とか針を使うような検査はないかな~……今のところ」
余計なこと言わないで、父さん。
イツキとアラシさん、レオンさんでどうにか押さえ込もうとするも、リランが突進してきたり、尻尾を振り回したりと、迂闊に近づけない。
「イツキ、尻尾攻撃来るよ」
「ぐえっ!」
お馬鹿め……
遠心力で威力が上がった尻尾攻撃を腹で受け止めたイツキはその場でうずくまってしまう。それを見た後輩二人もすすっと後ろに下がる。そりゃあ、受けたくないもん。先輩の務めを果たしたな、イツキ。
「だーいじょぶ? ユリくん、もうちょいテンション上げて言ってあげたら~?」
そんなこと言われてもな……これが通常テンションだしな。
「くっそ、リランのやつ、意地でも診察受けるつもりないな。……武器に戻すのは……リランがなりたがらないから無理か」
「迂闊にリランに飛び付いても、イツキ先輩の二の舞だもんな~……どーするよ?」
無理矢理引き上げるのは無理。ノワールに持ち上げてもらってもいいが、診察台に下ろしたところで、すぐ逃げられるのがオチだろう。
手詰まりとはこのことか。
「パパ、おもちゃは~? ここ、いっぱいあるよ!」
部屋の隅っこで見つけたらしく、アイがアヒルのおもちゃを持ってきた。その後ろから、アイに頼まれたのか、ノワールがおもちゃの入ったカゴごと持ってくる。
「それねー……精霊の気を引くためにおいてあるもんなんだよね。あんまり活用した記憶はないけど……まあ、一応」
父さんはアイから受け取ったアヒルのおもちゃを診察台に置く。最早、やけくそなのか、ノワールの咥えているカゴの中から手当たり次第に並べ始めた。そして、一つを手に取ると音を鳴らす。
「音が鳴るおもちゃなんですね」
「うん。他にも鳴るやつあるよ。鳴らす?」
「じゃ、じゃあ、一応……」
父さんとツバサさんはお互い一つずつ手に取り、音を鳴らしていく。『プピー』と少し間抜けな音が診察室に響く中、ちらりとリランを見てみた。すると、さっきまでは診察台すら見向きもしなかったのに、リランはおもちゃに興味津々らしい。じっと父さんの方を見ていた。
「……まさかねぇ」
と、呟きつつも、父さんはリランに向かっておもちゃを鳴らした。すると、ぴょこっと翼が動いて、自ら父さんに近づき、さらにはふわりと診察台へと上ってきた。そこには父さんが適当に並べたおもちゃの数々が。そのおもちゃに目をキラキラさせ、ぱくっと一つを咥える。
「わふっ♪ わふっ♪」
そして、リランは嬉しそうにおもちゃで遊び始める。リランが甘噛みする度、おもちゃは音を鳴らしていく。それが楽しいのか、リランは尻尾まで揺らして上機嫌だ。
「う、嘘だろ、お前ぇぇぇ!?」
「俺らの! 頑張りは!? 俺が尻尾でやられたのはなんだったの!! リランさぁぁん!?」
「チョロいよ、チョロすぎだぞ、リラン!」
何とかして持ち上げようとしていた三人が悲痛な叫びを上げる。特にイツキは一番、納得がいってない様子。まあ、わからなくはない。
そして、嫌われていた張本人はというと。
「……あはは。周りはよく見なきゃ駄目だねぇ」
と、苦笑ぎみに持っていたおもちゃを一回だけ鳴らした。そして、それも診察台に置くと、アイとノワールの頭を優しく撫でた。
「お手柄だね、アイちゃん。ノワール
「えへへっ! ほめられたね、ノワ!」
「……がうっ」
「さて、紆余曲折あったけど、やりますか~」
父さんはおもちゃに夢中になっているリランを診察することができたのである。
ま、大それたことは何もなく、触診だったり、体重測定だったりが主な内容らしい。そして、最後にリランの毛を少しだけ採取して診察は終了。十分程度で全て終わった。
この時間のためだけにリランと綱引きしたり、診察台にあげるための格闘したりしていたんだな。……僕は格闘してないけど。
「つまみ食いとかで食事回数が増えてるんだっけ? んでも、体重に変動はないね。元は武器という概念から外れないからだろうな。ふむぅ……面白い構造だな~♪ 運動量はどうだい?」
少しだけ仕事モードの父さんは笑顔でツバサさんに質問を投げ掛ける。それを受けて、ツバサさんも少しだけ考え込み、口を開いた。
「そうですね~……変わらずです。土日はツルギとも遊んでますが、今まで以上にはしゃぐことはなかったし……イタズラもいつも通りやってるというか」
「それは見た目通りってことなんだろね。精神面も子供で、色んなことに興味があるんだよ。さっきのおもちゃ然り、ね。……とまあ、特別変わったことはないっと。……このあとはいつも通り、広場で様子見しようか」
「はいっ♪ リラン、広場行くよ~♪」
「! あんあんっ!」
広場という言葉で、遊んでいたおもちゃからぱっと離れる。そして、診察室の扉まで戻ると、早く早くと急かし始めた。そんなリランを見て、ノワールが呆れたように見つめていた。
「……がう」
うん。子供だからね、リランは。
待ちきれないリランには申し訳ないけど、僕らは出したおもちゃを片付け、父さんはファイルに何やら書き留めるという作業をする。多分、さっきまでの会話だったり、今回の結果をメモしているんだろう。
それら全てが終わり、僕らは父さんの言う広場へと移動することとなった。



~あとがき~
検査できました。

次回、広場で大はしゃぎリラン。
あれれ~? この前も大はしゃぎしてたぞ~?

話したいことはない……そうだな。
ユーリが格闘に参加しなかったのは、無理だと思っていたからです。入口でもあの力を体感してたので、生身は無理だろと勝手に傍観してました。
単純に、三人いるからまあ、いいか。みたいな所もある。他力本願というわけじゃないけど、一歩引いて観察するのはユーリの癖みたいなもんですね。

ではでは!