satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第218話

~前回までのあらすじ~
ピカを捜していたら、ピカとリムのトークショーに遭遇した、イブ一行。とりあえず、聞いていくことに。
ネタはないので、さっさと切り上げます。
ピカ「ないのによくもまあ……夜まですっ飛ばせばいいのに」
それな。思った。でも、楽しいものは永遠にやっていたいじゃない?
ピカ「……知らないけど!?」


プライベートっぽいもの答えないと言っていたピカさんだったけれど、飛んできた質問は全部答えていた。中には休日何するのかとか、どれくらい探検に出ているとか、普通なのもあれば、ピカさん個人の質問もある。好きな食べ物とか、探検隊になった理由とかそんなものをつらつらと答えていく。
『ってな感じ。……あのさ、私のそんな話を聞いてて楽しい? あ、楽しいんだ……ちょっとよく分からないけど、楽しいならいいです、はい』
質問に答えるのと同時にリムさんやレンさんとの掛け合いが面白くて、聞いていて飽きないのだろう。ピカさんの質問を二人の視点から答えるのもあった。三人で話していて、質問と全然関係ない話まで始めていて、ただの世間話なのでは? と思ってしまうくらい。でも、そんな緩さとはっちゃけ話が面白いのか、観客の人達も興味深そうに聞いていた。
『んー……時間的にラストですかね~? 最後にしましょう』
『この後、のど自慢大会的なのあるらしいから、その準備もあるしね。あ、飛び入り参加もいいみたいよ。賞金で出るから、どしどし参加して、ギルドの資金を潰していけ! 皆! ギルドメンバーが阻止するつもりの鳥……ぺラップの悪巧みを! 打ち砕けー!』
とんでもない暴露をしてるけど、大丈夫なのかな。ピカさん……
『レンさん、最後の一人! 選んでくださーい』
『はいよ~……じゃ、せっかくだし……ほら』
レンさんは私達の前に飛んできて、ぽいっとマイクを投げた。キャッチしたのはポチャさんだ。
『あ、ポチャさんですね! 手、上げてませんでしたけど』
『レンさんの無茶ぶりかな? まあ、質問があれば質問でも……いや、パートナー同士で今更質問なんてないかな? なければこのくだらない話を最初から聞いていた感想でも』
どうやら、ピカさんもリムさんも私達がいたのは知っていたみたいで、知ってた上で触れなかったらしい。これは完全にレンさんのアドリブだと思う。
ポチャさんはじっとマイクを見たまま、動かなかった。何を言おうか悩んでいるのだろうか。
『そこまで悩むぅ~? 別にいいよ。気を使わなくて……や、説教とかは聞きたくないな』
『ピカさん、よくされてますよね。お仕事しろと』
公開処刑か……!? ま、誰にでもあるじゃん。何もしたくなーいって気持ちがさ。それが頻繁にあるだけで』
『憧れのリーダーがそんな人だったなんて……!』
『完璧なんてないんだよ! 私は完璧でも真面目ちゃんでもないからね。ほら、私の場合、相方が真面目だから……って、おーい? 相方さーん?』
ピカさんとリムさんなら永遠に引き延ばせるんだろうけれど、黙ったままのポチャさんが心配になったんだろうか。ピカさんがこちらに向かって呼び掛ける。ポチャさんは、その声にゆっくり顔を上げ、じっとピカさんを見つめた。
『あ、どうするか決まった? 変なことだったらマイク切るからね~?』
『こんなところで聞くのも変だけど』
『え、そう思うなら二人のときに聞いてくれたって……まあ、いいか。なあに?』
『探検隊、ぼくとやっててよかった?』
ポチャさんが何を思って、ピカさんにそんな質問をしたのかは分からない。分からないけれど、ポチャさんにとって、この質問はとっても大切な何かを聞きたかったんだと思う。そうじゃなきゃ、真剣な顔して聞いてないもん。
『最後の最後に真面目な話が飛んできた……じゃあ、真面目に答えてあげなければ……単刀直入に言えば、YES、だよ。君とだから何年もやって来たんだよ。……だからまあ、自信持てよ、私のたった一人のパートナー君?』
『はわぁー! 愛ですね、ピカさん!』
興奮気味のリムさんを押さえつけながら、ピカさんがうまーくやり取りしていく。
『わぁお。どこら辺に感じたのか超聞きたぁい♪ けど、もう時間だから、終わりにするよ~♪ お相手は探検隊スカイのリーダー、ピカと!』
プクリンギルド所属、リムでした! あ、あと! 飛び入りのレンさん!』
このついでに紹介しました感がすごいけど、レンさんは気にしていないのか、特に何も言わなかった。
『このあとはのど自慢大会。よくあるやつですね! 時間的には一時間後でーす! ご興味のある方は奮ってご参加くださいませ! 飛び入り大歓迎!』
『賞金狙っていけ~♪』
頑なに賞金取らせたがるな、ピカさん……

ぶっちゃけトークが終わり、十数分後。会場の外で待っていると、ピカさんがこちらに近寄ってきた。
「いるとは思わなかったわ。皆、気持ち良さそうに寝てたから、夜まで起きないのでは、と」
「起こしてくれたってよかったんですよ!? ピカさん一人でお仕事しなくてもー!」
「チコちゃんは仕事って言うけど、あれは仕事じゃないよ……絶対。報酬は発生してるけども!」
それはお仕事として成立してるのでは。
「ピカ、昨日のこと、聞いてもいい? 最初から最後まで!」
さっきまでは真剣に何かを考えていたポチャさんだったけれど、今はいつものポチャさんだ。こう……色々ピカさんに仕事しろーとかあれしろーって怒ってるときのポチャさん。
「うへぇ……特にないよぉ……見たのが全てだよ。敵はこの場から排除しました。ちゃんちゃんだ!」
「納得するとでも思ってますか、リーダー」
「だってポチャが知らないことなんて分かんないんだもぉん! 終わりよければ全てよし! 違う?」
「ま、まあ、違わないけど……」
「気になることは後で答えるから。今はお仕事モード切ったんで……もう何も聞くな」
あ、面倒に思ったぞ。ピカさん。でもまあ、昨日は一日がとっても長かった。ずっと考え事なんて疲れちゃうもんね。
私は、コントみたいなやり取りを続けるピカさんとポチャさんの間に無理矢理入り込む。ぽかんとしている二人を見上げて、パッと笑顔を見せた。
「ピカさん! 私、ピカさんとお祭り回りたいです! 皆さんと回ってなかったですし」
「そういえば……三日間、ピカさんとは一緒に回ってなかったね」
すーくんと後ろで待機しているチコちゃんがぽつりと呟いた。私はそれに大きく頷いた。
「そうそう♪ 夏の思い出としてと……初めての夏祭り参戦記念に! ダメですか……?」
「ううん。駄目なんかじゃないよ。言われなくっても楽しい思い出にしちゃお! よっしゃ! お祭りを楽しむ極意を教えてやろうぞ~♪」
ぎゅっとピカさんが私に抱きついた。そして、優しく撫でてくれる。
「……全くもう。ピカってば、調子いいんだから」
「おれ、帰りたい……」
「イブちゃんは五人でって言ったんだよ。それに歯向かうのかい、ナイト様?」
「うるっせ。文句言うのはありだろ」
嫌々なすーくんに対して、ピカさんはニヤリと笑う。何か考えがあるんだろうか。
「いいけど、楽しい思い出にってご所望なので、楽しそうにしてくれますぅ? 演技でもいいんで、笑顔を忘れないでね、フォース君」
「……くっそ。覚えてろ」
おお! すーくんが折れた! 流石ピカさん!
「さあって! 行こっか、イブちゃん、チコちゃん! ポチャはフォース君が逃げないように見張っててねぇ~♪ 二人で抜け出しても即バレだからな。バッジで追いかけるぞ」
「昨日は置いてったくせに! こういうときだけそんな風に使うんだから!!」
「にゃはは~♪ リーダー権限なのだ~♪ 屋台を目一杯楽しんで、花火! 最後までついてこれるかー!?」
「おおー!!」
私とチコちゃんが声を揃えて、片手……四足歩行の私達は前足を空へと突き出した。



~あとがき~
これが動画なら、五人があちこち楽しむ映像が流れるところですね。

次回、花火見ます。
終わりたいけど、まだ終わらねぇ……

ポチャのあの質問、なかなかに重い質問だなと。ポチャ的には前回の戦いの中で、ヒロインポジションを得てしまうと言う不服な展開になったので、自信喪失気味なんです。元々、自信過剰なタイプではないんですよね。色々あって、心にきていて、ピカのパートナーとして出来るのかなぁ……みたいな感じなんですよね~……それが今回のピカの答えで解消されているのかは分かりませんが、少しは救われた……らいいな。
ピカはそれを察して、あんな答えを出したのかは微妙ですね。真剣なんだなと捉えて、本音では語ってはいると思います。あれが全部ではないけどね。

ではでは!