satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第235話

~前回までのあらすじ~
フォースとラウラで紅様退治完了。
ラウラ「僕というか、フォースくんだけどねー」
フォース「そういうこと言うなよ。悲しくなるだろー」
ラウラ「うっそだ~」
フォース「正解。嘘だよ」
さてさて、今回からこの奇妙な集落の話のまとめとなります。とっちらかってますが。
フォース「無計画だからこうなる」
ラウラ「今更だねぇ」
あ、視点はイブに戻りまっす。


時間は少し、遡る。
すーくんが戻ってこないと、二人に打ち明けてどうするかどうかを話し合った。その結果、動かない方がいいのではという結論になり、待機していたときだ。
夏とはいえ、日は沈み、森の中は不気味な暗さになっていた。
「……怖いなぁ、夜の森って」
いつの間にか、すーくんが創ったランプは消えていて、私達は自分達で火を起こして明かりを確保していた。
私は洞窟の入口ですーくんの帰りを待っていた。私の中に戻るって話だったけど、もしかしたら、歩いてくるかもしれない。だから、見えるところで待ってないと。
「今のところ、敵の気配はないかな」
「占いでそういうことも、分かるんですか?」
「あ、これは占いじゃないんだ。星のとの対話。今は夜だから、星の力が一番届きやすいんだよ」
洞窟の奥ではアイトさんとチコちゃんが親しげに話していた。すーくんを待つ数時間でアイトさんも緊張がほぐれたのか、普通に話してくれるようになっていた。
アイトさんのことはギルドと相談すればいいけど……ここの集落の人たちはどうしたらいいんだろう? 警察……に届けるべきなのかな?
そんなことをぼんやり考えてると、遠くの方から誰かが歩いてくるのが見えた。でも、敵の気配はないってアイトさんが言ったばかりなのに。……なら、味方? すーくん?
「おー! すっちー!!」
「!? るーくん!」
すーくんじゃなかった!! なかったけど、え、るーくん!?
にっこにこ笑顔でこちらに近づいてきたのはるーくんだった。そして、そのるーくんに背負われていたのは、ずっと待っていたすーくんだ。
「すーくん!」
「あ、大丈夫。寝てるだけっぽい。ただ、俺でも起こせないから、ちょっと厄介だね~? あ、どもども! 君がかーくんが捜してた人だな? 俺はウィルって言うの! よっろしくー!」
「よ、よろしくお願いします」
るーくんがすーくんを静かに寝かせ、奥にいたアイトさんに挨拶をする。アイトさんも戸惑いぎみだったけれど、すーくんを連れていたし、私達が警戒してないと悟ったみたい。
「すーくん……」
私が呼び掛けても、なんにも答えてくれなかった。戻れって願っても、すーくんはなんにも言わない。
「ねえ、るーくん。すーくん、どうなっちゃったの?」
「ん~……多分、誰かに邪魔されてんじゃないかなぁ? きっと、どっかで戦ってるんじゃない?」
戦ってる……
「……るーくんはなんでいるの?」
「かーくんにお呼ばれしたから。あんね? ここの人達、多かれ少なかれ、闇の侵食を受けている。だから、悪いことも悪いって思わないようになってるんだよ」
闇の侵食?
聞きなれない言葉に、私達は首を傾げる。るーくんは少しだけ唸ると、私達三人を奥へと招き、丸くなるように言ってきた。
「お兄ちゃんの特別講座! 闇の侵食という言葉は案外、昔からあります! そもそも、闇ってのは、悪い感情に作用するもの。嘘ついたりとか、何か悪いことしちゃったりとか。所謂、マイナス感情に作用する」
罪悪感を抱くようなこと?
「まあね! んで、闇の侵食が原因の大きな事件としては、数年前に時が狂い、悪夢が広がるやつがそうかな?」
『じげんのとう』崩壊と悪夢の事件……どれも、ピカさんとポチャさんが解決した事件だよね。
「そ。まあ、この事件に関しては悪夢事件を引き起こした犯人の仕業だったらしいけど! さてさて、話を戻します。闇の侵食ってのは何なのか。それは人の心に闇が広がること。どうしようもなくなるほど、悪に染まること。これは、元から悪い人ってことじゃないよ。がらっと人が変わった、みたいな現象だね」
え……?
「闇による症状は人それぞれだ。でも、共通項として存在するは、人の心の暴走。それがどんな形で現れるかは変わると思うけど……俺なら、無差別に生命を絶つ。自然への命の供給をやめてみる、とかかな? 分かんないけど?」
「じゃ、じゃあ、ここの人達は、アイトさんの軟禁をいいことだと思って、やっていたってこと? それを守るためなら、ワタシ達も、殺せちゃう……って?」
「そーゆーことだよ、りっちー」
そんなの自分勝手な思い込みじゃない。
「そこのおにーさんの力を独占したいと思う気持ちが、闇に魅入られた。それを先導していたのは、きっと」
「ザゼル、さん?」
私の言葉に、るーくんは静かに頷いた。
「さっきの話だけど、かーくんにも、俺にも武器を向けてきた。話し合うなんて考えはなかったんだね。敵の排除だけが目的。その目的を果たすためなら、どんな手段も問わない……一見すると、どこにでもいる悪いやつらみたいで、どこも変じゃないと思うけど……」
あ、すーくんが言っていた。
ここの人達の態度が急に変わったって。親しくしてくれたのに、それもなくなったって。
ここの人達は、元から悪人ではない。変わったきっかけがある。それに、アイトさんも言っていた。嫌な気配がしていたと。
「普通なら閉じ込めるなんてしないよね? 閉鎖的な集落ならまだしも、そんなこともなかったんだもん」
闇の侵食があって、アイトさんの力を知り、それを欲した……住み着いた闇がここに住む人達の独占欲を高めて、軟禁なんて行動に……?
「あ、あの。その闇の侵食は意図的に行われたのでしょうか……?」
え、意図的?
アイトさんが恐る恐る質問を投げかける。るーくんは何か言うことはなくて、そのまま話を続けるように促した。
「前にも似たような事例があったみたいですし……誰かが引き起こしたのかな、って。これがたまたまなら、運が悪かったですむ話ですから」
運が悪かったの一言で、すませられるような話ではない気がするのは気のせいかな……?
とはいえ、そこは重要なところではあると思う。もし、これを引き起こした犯人がいるのなら、次があるかもしれない。そんなのは絶対によくない。
止められるなら、止めないと。
「うーん。そだなぁ。俺の見解でいくと、故意に引き起こした、かなぁ」
「ふぁ!? だ、誰!?」
「お祭りのときの狐さんだよぉ。あの人、めちゃめちゃヤバかったもん。あの人が振り撒いてるんじゃなかろうか~?」
あ、あのキュウコンが……?
「もちろん、あの狐が大元ではないよ。もっと大きな存在がいる。……けど、普通じゃないよ。あの紅という狐は」
お祭りのとき、わざとすーくんに心を読ませて、引き込もうとしていた、あのキュウコン。確かに普通ではないだろう。
制御者であるすーくんをあそこまで追い込んだんだ。
「ま、今言えることは、ここの集落に住む方々を大人しく警察に引き渡した方がいいってことだね。多分、これ以上、すっちー達にできることはない。……俺を含めてね」
るーくんは、少し残念そうに笑って、講義を終わらせた。そして、すーくんの近くに座り、じっと顔を覗きこんでいる。
「るーくんは癒し手なんでしょ? なんとかできそうだけど」
「無理だよぉ。人の心に作用するなんて、俺の専門外! 俺が癒し手と名乗るのは、怪我とか治せるからだもん。精神的な癒しはまた別だよ」
ふーん……そうなんだ。

るーくんの講義が終わって少し経った頃。すーくんが目を覚ましたり、るーくんがばしーんと平手打ち受けちゃったり。私は思わず泣きついたり色々あったけれど……
それでも、平等に朝はやって来るのだ。



~あとがき~
まあ、補足って感じの回すな。

次回、ギルド戻るでーい。
ごちゃごちゃしてるけど、まあ、なんとか納めますんで! ね!!

闇の侵食ってやつ、空海を作り始めてからあった話というか、設定ではあります。んでも、だらだらしている間に似たようなやつがなぁ……本編で出てきてるんだよなぁ…(汗)
超ダンかマグナゲートかな……? それっぽいのって。まあ、今さら変えようがないので、それはそれとしてお楽しみください。いや、ほんと。ドンピシャなやつでてきてもーてるやん。と当時焦った。
マグナゲートや超ダン世界じゃないからね。ここは……うん!←勝手な開き直り

ではでは!