satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第175話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界を楽しむ物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、エクラ城付近まで来て、お城がケアル家の持ち物という事実が発覚したり、アラシ君が騎士団メンバー兼次期団長ってのがラルにバレたり色々ありました。
アラシ「……」
今回はようやく、中に入れるかな?


《L side》
門を潜り、ようやく城の前までくると私達は馬車を降りる。周りには私達だけでなく、何らかの理由でここを訪れた人々が行き来していた。同業者もいれば、何らかの商談で訪問しに来た人、単純に観光目的で訪れた人達もいる。本当に目的は様々と言ったところだろうか。
「明けの明星って、探検隊、商人ギルドとして有名だけど、他にも事業起こしてるんだったよね……?」
ほう? うちのカフェ経営とかトレーニング室貸出とかと似たようなものかな。
「そうですよ。その一つとしてお城の見学や宿泊を行ってます♪」
宿泊……城内に泊まるってことか。いやぁ、それはちょっと恐れ多いような?
いや……二、三年前にティールの実家、泊まったことあるな。それと似たようなもの……それよりもホテル感強いと思えば、こちらの方が幾分かましなのだろうか。気分的な問題で。
ここで、メアリーさんとは一旦お別れ─全員の荷物を運んだり、別のお仕事があるらしい─し、私達五人で城内に入ると、やはり元が城なだけに十分すぎる程の広さがある。いわゆる、エントランスだった場所なのだろう。今は受付カウンターと変貌しているようだが。
「基本的に城の一般見学は見物料があるんだが、ルー爺のギルドメンバーであれば、無料で見ることができるぞ。今回、依頼を受けるラル達も希望すれば、無料で見せてくれるんじゃないか?」
マジで!? せっかく来たんだもん。中の見学してみたいよね。よし。あとで頼も……
何度も引き合いに出してしまうが、ティールの住む城、王宮とは雰囲気がまるで違う。ティールの家は綺麗で華やかさがあった。しかし、こちらはきらびやかな雰囲気もなく、落ち着いた歴史のあるお城って感じ。
入口でこれだ。見学コースもそれ以上の感動があるのではないだろうか。
仕事放り出して観光したい……よくよく考えたら、私ら学生最後の夏休みだよ? なんで仕事してるんだろう……最後くらい遊びたくない? 学生の思い出作ろうぜー! いえーい! ってなんでならなかったんだろ。これがなかったとしても、仕事行ってたよな、私……謎すぎる。
「ラル? どうかした?」
急に静かになった私を心配してくれたのか、ティールが私の顔を覗きこみながら問いかける。その質問に対して、あれこれ言いたいことは見つかるものの、一言ですむのなら、これしかない。
「仕事したくないなぁって」
「なんだ。いつものか」
いつもので片付けるな。いつもので。
「あそこの受付でギルドに用があるのか、見学なのか、泊まりたいとかを答えるんです。さ! 私達も行きましょう~♪」
当たり前ではあるが、ブルーになっている私なんて気にもせず、ツバサちゃんは受付の列に並ぶ。それに続くようにアラシ君やリラン、しーくんも並んだ。うだうだしても仕方ないので、私達もそれに倣う。
私達の前にも並んでいる人はいるものの、受付担当者の手際がよいのだろうか。進み具合はほぼ一定で、このスピードならばすぐに順番が回ってくるはずだ。
待つこと数分。受付の順番が回ってきた。
ツバサちゃんのおじいさんがやっているギルドだ。彼女を知らないはずもなく、受付の人……茜色の髪を肩くらいの長さで切り揃え、バレッタでハーフアップにまとめた女性だ。その女性はツバサちゃんとアラシ君を見るなり、パッと顔を一段と明るくさせた。
「やだー! お嬢じゃないですか~♪ それにアラシくんも! おっひさー!」
「こんにちは、ヒノさん!」
「うっす。お久しぶりっすね、ヒノさん。相変わらずのようで」
「うふふ。まあね!」
年齢的にはイグさん達よりも年上だろう。となると、私達よりも上かな。
「夏休みなので帰ってきたんですよ。ヒノさん、じいじとお父さん、いますか?」
「親方も旦那もギルドにいますよ! ですが、親方は今、商談中でお会いできるのはお昼過ぎになりそうです」
今はちょうど、お昼時。もう数時間は会えなさそうである。まあ、急ぎではないと思うし、あちらも日にち指定してきてるのだ。今日中に会えはするだろう。
「……ところで、お嬢。後ろの方々が例の?」
「あ、そうですよ! 今回、お仕事を引き受けてくれたスカイの皆さんです♪」
例の、とはどういう意味なのか。私達はどう周知のされているのか等々聞きたくなるものの、そんな長話すると、後ろに並んでいる人達にも迷惑だ。ここはぐっと堪え、私は会釈する。
「初めまして。探検隊スカイのリーダー、ラルと申します。今回はこちらの親方様の依頼で参りました」
「はい。お話は親方とアルフォースの旦那から伺ってます。私は明けの明星のギルドメンバーのヒノ・フォーブルです。普段はこうして受付の仕事をしていて……それ以外だとお嬢にいやさ……こほん。メアリーかお嬢といると思います! 何かあれば遠慮なく言ってくださいっ」
……今、癒されって言った? ツバサちゃんで癒されてるって? 聞き間違いか?
「それで、お嬢! 今回はギルドに向かうということで?」
「はいっ♪ お願いします」
ヒノさんは、誤魔化すように話を元に戻し、ツバサちゃんも素直に頷く。目的はそれだったけれど、そんなことよりも、癒され発言が気になるんだけど!?
「君と同じ人種なんじゃない?」
「やめろ。冷めた目で見るな。天使に癒しを求めるのは普通なの。自然の摂理なの」
「自然の摂理、ねぇ」
「てんし?」
うん? なんでもないよー? さ、行こっか、しーくん!
「こっちの右側がじいじのギルドに続く通路になっています♪ 反対側はお城の見学エリアなので、間違えないように気を付けてくださいね♪ 造りが似ていますので」
ツバサちゃんがガイドさんばりにきちんと指を指しながら教えてくれる。城の内部ら似たような風景が続いてしまうから、こうして教えてくれるとありがたい。見学エリアは道順とか表示があるだろうけれど、ギルド内部に続く方はいちいち、示してくれるはずもない。慣れない内は、一人歩きしたくないものだ。
ギルドへと続く道を歩きながら、ツバサちゃんは明るい笑顔でこちらを振り向く。
「まだじいじとは会えませんし、お昼ご飯にしましょう♪ ここの食堂、安くて美味しいって評判なんですよ?」
美味しいはともかく、お金持ち言う「安い」は信用できる安いなのだろうか。……しかしまあ、利用するのはツバサお嬢様のように裕福な方々だけでなく、私達みたいな普通の方々もいるはず。となれば、普通の感覚で食べられるはずである。
「! あんあんっ!」
美味しいご飯に釣られたのか、ずっと大人しくしていたリランが元気よく吠える。心なしか尻尾も元気よく振っているような。
「あ~……リラン、ここの料理、えらい気に入ってるっぽいんだよな。……多分、そのせいでテンション高い」
なんと現金なやつめ。獣ってこんなんばっかだな。いつかのぽんたも、ご飯目当てで媚売ってたし。……リランの場合、媚売っているわけじゃないけれど、美味しいご飯に喜ぶ辺り、野性動物と大差ない。
他愛ない話をしている間に、ギルド内にあるという食堂へとたどり着いた。
食堂内はかなりの広さがあり、学校の体育館みたいである。一度にたくさんのメンバー達が利用できるようになのか、これでもかとたくさんのテーブルと椅子が並んでいるため、昼時にも関わらず、空席もちらほらみえる。そして、壁際には掲示板があり、そこにあるのは依頼書なのだろう。ここから仕事を選び、自分にあった仕事を引き受けるのだ。
「にぎやか! ひと、たぁくさんだ!」
「えへへ。そうだね♪ ここのはなんでも美味しいから、好きなの食べて大丈夫だよ~♪」
「うん! ラルー! おにくたべーる!」
しーくん、肉食だなぁ……いいけどさ。
各自、好きなものを頼み、適当に昼をすませることに。そして、ツバサちゃんの言う通り、大変お安かったし、美味しかった。重労働な部隊向きなのか、量もそこそこ増やせるっぽかったが。まあ、初めての場所でそんなの頼む勇者ではないんだけれど。



~あとがき~
とりあえずご飯食べたけど、食堂で何か事件があるわけじゃない。

次回、もう少しギルド内を探索します。
ギルド内と言うか、城内部というか。

ようやく馬車から降りて、ギルドに到着しました。よかった。よかった。
そして、新キャラさんのヒノさんです。相方曰く、イグさんよりも年上の女性とのこと。今回はちらっとしか出てこなかったけど、このあとも出番があるのか……?

ではでは。