satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第224話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとティールのなんちゃってお仕事話やりました。今回はまた、ルーメンおじいちゃんとティールとの夜会話、第二段です。
ティールとブライトのギクシャクした関係にルーメンおじいちゃんがナイフ入れちゃうぜ☆
ラル「ルーメンさんにナイフて。そこは拳の方がしっくりくるよ?」
ティール「そういうことじゃない」


《Te side》
ラルの気まぐれ仕事をクリアした次の日の夜。日中は大した事件もなく、ぼくはルーメンさんの部屋へと行く準備をしていた。そして、部屋の入口で振り返る。そこにはパジャマ姿の雫と、ラフな格好のラルがいる。
「いてらっしゃーい!」
「んふふ。今日こそ勝てるとええなぁ?」
ルーメンさんとのチェス勝負が未だにつかない現状が面白いのか、にやにやと笑っている。どこが面白いのかはさっぱりだけど、多分、今日も駄目なんだろうって思ってるんだろうな。くそ。図星だよ!
「うぐ。う、うるさいな……じゃ、行ってきます」
「うん♪ 気をつけてね」
「気を付けるって……建物の中を移動するだけだよ? 何にもないって」
と、ぼくが扉を閉めて出ていく寸前、ラルが「何があるか分からないのが人生だよ」と、なんかもう不吉なこと言っていた気がした。
改めて振り返っても、目の前にあるのは部屋の扉。仮に部屋に戻って聞き直しても、ラルの性格上、楽しそうに笑ってはぐらかしそうだ。問い詰めたとて、のらりくらりとかわす未来しか見えない。
……そんなことしていたら、遅れちゃうな。聞かなかったことにしよう。

こちらに来てから、毎晩ルーメンさんと話している。
例えば、探検関連の話で言うと……
「踏むと前に飛ばされる罠があるじゃろ?」
と、楽しそうに切り出してきた。ルーメンさんの言う罠は、一種のワープ系罠というか、強制移動させられるやつだ。下手に踏むと壁に激突したり、仲間とぶつかったり、敵の懐に意図せず飛び込んでしまったりと事故率高めの罠のことだ。
なんでそれがいきなり出てくるのかなぁと聞いていると、それを利用してバリケード(岩とか風とか)を張ってる敵にノーダメージで近づけるとのこと。
「それって危険なんじゃ……?」
「うむ。体幹が弱いうちは変に激突するじゃろうな。じゃが、慣れると便利だよ」
ラルが知ったら面白がりそうな話題。というか、すでにぼくの知らないところでやってる可能性すらあるのでは……そう思わざるを得ない話だった。
ちなみに、ルーメンさんからは遠回しに慣れるまでは実践で使うなと釘を刺されている。そして、同時にぼくはきっと使わないと感じた。
他には両親の昔話だろうか。
例えば、母が父を振り回していたとか、理事長が二人を振り回していた話。
母が父を振り回しているのはある種、いつも通りではあるのだけれど、あの理事長が振り回すとはイメージが湧かなかった。
「セラは儂に似て、強いモンスターとの戦闘を好むからの~」
つまり、強そうな相手を見かけたら、そちらに一直線に突っ込むらしい。
「そして、セイラさんは生粋の石コレクターじゃろ?」
「そうですね。実家に母のコレクション部屋があるくらいなので」
「ほっほっ♪ セイラさんは良い目をしておくるからの~……しかしまあ、二人の趣味が組み合わさった日にはなぁ。付き合うライトの苦労を察するのも容易じゃろうて」
珍しい石を見つけて突っ走る母と、強敵求めて突っ込む理事長。そして、それに付き合わなければならない父。
なんだろう。それを聞いたとき、どこか似たような境遇をぼくも味わっているような気がしてならない。……現在進行形で。
──とまあ、このような話を毎晩してくれている。探検関連の話はさておき、親の話を持ち出してくるときは、大抵、こちらの様子を窺いつつ話してくれていた。きっと、ぼくを気遣ってのことなのだろう。
もちろん、ルーメンさんばかりが話しているわけもなく、ぼくはぼくで話を聞いて貰っている。
チームのことだったり、学校のことだったり、パートナーであるラルのことだったり、色々あるけど、ぼくの話が面白いかは分からない。それでも、ルーメンさんはいつも、楽しそうに頷き、耳を傾けていた。
だからだろうか。妙に身構えることもなくなり、自然と話せるようになっていた。そして、両親の昔話も。

ぼくらの泊まっている部屋を出て、よくギルドメンバー達が特訓に使う中庭をスルーし、しばらく通路を進めばルーメンさんの部屋へと行き着く。
初日はびくびくしていたものだけれど、流石に何回も通えば、緊張もどこへやらだ。慣れた手付きでドアをノックし、ゆっくりと開ける。
「失礼します。こんばんは、ルーメンさん」
「おぉ♪ ティール。よく来たな♪」
ルーメンさんは、ぼくと話すときの定位置であるソファに腰掛け、目の前のテーブルにはチェス盤が置かれている。その傍らにはアルフォースさんが淹れたのか、まだ暖かそうなお茶が入った湯呑みもある。
ぼくが向かいの席に座ると、ルーメンさんは柔らかな笑みを浮かべた。
「今日はゆっくり休めたかな? 昨日は仕事行っておったろう?」
「え? あ、そうですね。連続して連れ出される覚悟はしていたんですが」
昨日のあれで満足したのか、「仕事行くぞ」とは言わなかった。とはいえ、一日部屋にいなかったので、何かはしていたのだろう。多分、調べ物だと思う。
ぼくはと言うと、午前中はぐっすりで、午後から動き出すという低堕落。ラルも雫も起こしていかなかったために、ぼくは部屋に放置されていたわけだ。文句を言うつもりはないけど、二日目は叩き起こされた気がするんだよな……この違いは何なのだろう。
「ほっほっ♪ ラルはティールを気遣っておるんじゃよ」
と、ルーメンさんがぼくの疑問に答える。
「……すみません。口に出てました?」
「いんや。じゃが、顔には出ておる」
えーっと? ぼくってそんなに分かりやすい……?
フォースみたいに心を読んでいるんじゃないかと疑いたくなるくらい、ドンピシャな答えを返してくる。ラルも似たようなことをしてくるけど、ルーメンさんはそれ以上だ。飛び抜けた観察眼が為せる業なのかもしれない。
……もしくは、年の功か。
「昨日、ラルからの報告は受けておる。一日の限られた時間で、あれだけの品を収拾したのなら、それなりに苦労があったのだろ?」
確かに苦労しかなかったのは間違いない。
「それに、暑さに弱いティールを散々、振り回したと分かっておるからこその優しさかもしれんの」
……なのかなぁ。
「儂から見るに、ラルは遠慮がないようで遠慮しておるように思うぞ? 仲間に配慮しているとも言えるかもしれん。パートナーなら心当たりはあるんじゃないかの」
「あぁ……大切なことは一人でやろうとする、とか?」
「うむ。そうじゃの~♪」
「心臓に悪いときが多々あるんですが、どうしたらいいですか?」
「それは本人に言っとくれ。ラルの性格じゃろうて」
ですよね。ぼくがどうこうできる次元じゃないもん。会ってからなぁんにも変わらないもん。その辺は特に。
「さて。前置きが長くなってしまったの。そろそろ始めようかの」
「あ、そうだった。まだチェス、始まってませんでした……よろしくお願いします、ルーメンさん」



~あとがき~
前置きがなげぇぇぇ!!!

次回、ティールとルーメンおじいちゃんとの夜会話。続きます。

休みのときほど、だらだらしまくるのは普通ですよね。休みだからしゃきっと起きて、自分の時間たくさん作ろう! と、しないんですよね、私。で、午後になってから、なんで早起きしなかったんやと後悔するやつ。
……多分、ティールもそんな感じ……違うな。あいつは単純に起きれないだけですね。
決まった時間に起きれないだけです。きちっとタイプの唯一、きちっとしない部分かもしれません。

ではでは。