satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第255話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどんぱちしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はティール視点でベヒーモス戦を行いました。何しても攻撃が通らない相手にどこかなげやりなティールでしたね。
ティール「誤解を招く言い方やめて」
で、今回は少し時間を巻き戻して、ラルとベヒーモス戦です。吹っ飛ばされた理由が分かると思います。


《L side》
ティールが片方を相手してくれている間に、私は片割れの角なしベヒーモスの相手をしよう。
私は雷姫を構え、ベヒーモスへと近づく。
「基本的な能力値は通常ベヒーモスと変わらないと仮定しよう……かなっ!」
とりあえず、お試しの一撃として雷姫による斬撃を右前足にお見舞いしてやる。そして、持ち前のスピードを生かし、すぐに距離を取る。
軽めの斬撃─とはいっても、神器の攻撃なのでそれなりの威力はあるが─でも効くのかどうか、雷姫の雷属性の攻撃は効くのかどうかを試してみたのだが……
「……微妙?」
『ふむ。斬った手応えはあるが、ダメージを与えた手応えがない。ダメージを与えた瞬間、回復でもしておるやもしれん』
そんな利口なベヒーモスさんがいらっしゃるなんて、存じ上げませんが?
当たりどころが悪かったのだろうか。ならば、今度は足を切り落とすくらいの力業で何とかしてみようか。
「雷姫、威力マシマシでもう一回お願い」
『うむ。……と、鉤爪攻撃が来るな』
「了解。一応、“身体強化”もお願い」
『承知した』
ベヒーモスの大きく振りかぶった鉤爪攻撃を跳躍で避け、即座に刀身に雷属性の力を込める。
「ちょっと予定変更して……“雷撃一真”!」
横一文字に刀を振るって作り出した雷の刃をベヒーモスの顔面目掛けて飛ばしてみた。相手は避ける暇も相殺する暇もなく、クリーンヒット。その隙に再び距離を取って、観察に徹する。
「流石に少しは効いててほしいんだけど」
顔面に受けたもんな。麻痺も引き起こし、更に目を潰せていたら万々歳なんだが……
『マスター、残念だが、魔法による咆哮が飛んでくる』
「はあ!? うっそ! 怯みもしないの!? “まもる”!」
雷姫の忠告を受けて、透明の防御壁を作り出した。そのお陰で、ベヒーモスのブレスは完全に防いでいる。それを防ぎつつ、私は頭をフル回転させた。
「待て待て待て? 属性攻撃は無意味で、斬撃も無意味? 無敵か?」
『無敵……というよりは、回復速度が異常に早いのやも知れんが。なれば、ちぃと骨が折れそうじゃなぁ』
呑気か!!
まあ、落ち着け。私?
あのブレス攻撃は牽制の意味もあるかもしれない。ダメージが多少なりともあって、それの回復のために撃った可能性だって存在する。そうであるなら、高火力な技を連続で叩き込めば……倒せるのでは? 所謂、ゴリ押しである。
いや……どれだけの時間、やればいいのか皆目見当がつかない。そもそも、高火力な技ほど、隙が生まれやすい。それを連続で行うのはリスクが高すぎる。
また、雷姫の言う通り、回復速度が異常に早い場合、このゴリ押し戦法はこちらが不利だ。相手は回復するため、それを上回れなかった場合、力尽きるのはこちらだ。
まあ、どちらにせよ、このゴリ押し戦法はあまり現実的ではないのは確かである。
敵のブレス攻撃を防ぎきった私は、防御壁を解除して雷姫を構えると、相手との距離を詰めていく。
「とりあえず、連撃してみましょっかね」
『承知した』
大きく動いて、特定の場所を狙うのではなく、適当に斬りつけていく。足だったり、胴体だったり……とにかくどこでもいいから攻撃していった。
もしかしたら、どこかの部位が弱点で、反応が変わる可能性があると思ったのだ。しかし、どこを攻撃しても大して反応は変わらなかった。
もちろん、無反応というわけではないが、大袈裟に防御するでもなく、痛がる様子もなく……私が期待する程の反応の変化は見受けられなかった。
「なんなの、あいつ。意味が分からない」
『マスター、見よ。今しがた、攻撃した傷口が塞がっていくぞ?』
雷姫の言う通り、先程攻撃した箇所の傷が綺麗になくなっていた。魔法や技を使う素振りはなかったから、自動回復の線が濃厚である。
は~ん……? いよいよ、面倒臭いぞ?
基本的に、ベヒーモスに自動回復なんて能力はない。ならば、この土地に適応したとでも言うのだろうか? いや、それならここに来るまでの敵にも同じような効果がなければおかしな話である。
……あ、いや。ここに来るまでの敵って全部ゴーレムか。ゴーレムはコアを破壊しない限り、倒されず、時間経過で復活する。自動回復と似たようなもの……?
「……なぜ、ここに来て、ベヒーモスがいるんだ?」
『マスター?』
……最初から考えろ。
ユウアちゃんはこいつらを倒せと言った。つまり、倒す手段はある。これは間違いない。
では、目の前の敵について考えてみる。
普通のベヒーモスなら、適当に攻撃して、体力を削りきれば問題はない。しかし、目の前のベヒーモスにそれは当てはまらない。雷姫の攻撃も、私の技も効かなかった。恐らく、ティールも同じような結果であろう。
仮に特殊個体のベヒーモスってことなら、そんなのが二体もいる状況は絶望的だ。倒す手段を探す前にこちらが疲弊しかねない。最悪の場合、ここで終わりになる可能性すらある。
──だが、目の前のベヒーモスが、ベヒーモスでないとしたら?
ここの敵は皆、ゴーレムだった。現に、私達はこの奥地に辿り着くまで、一匹もゴーレム以外の種を見ていない。それなのに、ここの部屋にいるのが『ゴーレム以外のモンスター』であるのは違和感がある。
仮に、私の考える通りなら……目の前のチートじみたベヒーモスにも合点はいくし、倒す手段もある。
「もし、この仮説が正しいのなら……きっとどこかに─」
『マスター! 敵の咆哮が来るぞ!』
「……っ!」
雷姫の声で意識が思考の海から現実へと引き戻される。それと同時にベヒーモスによるブレス攻撃も放たれていた。
そのブレスをどうするか、考える。
“まもる”をするには、少々時間が足りない。
単純に回避するためには、時間が足りない。
何らかの技で相殺するには、時間が足りない。そもそも、どれくらいの威力をぶつければ相殺できるかもさっぱりだ。リスクが高すぎる。
これは……うん。どう考えても避けられません。なら、受けるしかない。
じゃあ、できる限り、ダメージを下げるしかない。そして、それができるのは、私の愛刀しかいない。
「雷姫、頼んだ」
『むぅ……まあ、最善は尽くす』
任せておけとは言わない辺り、雷姫らしいか。
眼前に迫ったブレス攻撃を申し訳程度の防御姿勢で受ける。当然、ブレスの威力に押し負けて、大きく後方へと吹き飛ばされた。
これが屋外だったら、空の彼方まで飛ばされていたかもしれない。これは、屋内でよかった……と言うべきだろうか。まあ、ここは洞窟なので、当然のどこく、洞窟の壁に全身を強く打ち付けてしまう。
外の落下ダメージと壁に激突したダメージ……どっちの方がましなのだろう。私は分からなかった。
壁に思い切り激突したせいで、肺から全ての空気が抜けるような感覚と、目の前がチカチカする感覚……そこから一瞬遅れて、痛みが襲ってきた。
「……っ! いってぇぇ!!」
『その程度ですんだか。我もなかなかだな♪』
そっすね……過去のベヒーモスさんに吹き飛ばされたときよりは元気っす。流石、雷姫の“身体強化”……強力な攻撃を生身で受けて、ダメージはこんなものですむのか。
いや、痛いもんは痛いけどな。
「くっそ……でもまあ、あれだ。倒す手段を見つけたと思えば安いもんか……一発くらい多めに見てやるわよ」
『マスター、それは強がりというやつでは?』
うっちゃい!! こうでもしないとなんか情けないじゃん!?
「ラル! 大丈夫!?」
吹き飛ばされた音で私の方が心配になったのだろうか。ティールが慌ててこちらへと駆け寄ってきた。
「あ、おはようございます……とりあえず、元気です」
「おはようございますじゃないけどね!? 怪我は……ないわけないよね。見た感じ、出血とかは問題なさそうだけど……もしかして、骨折とかしてる?」
前科があるせいか、ティールが若干テンパってる気がするな。その証拠に必要以上に私を触診しまくってるし。
「落ち着けって。大丈夫だから。動けるから。骨も折れてません」
「……本当に?」
「本当に。雷姫様を舐めるなよ」
『そうだぞ、パートナー? 我がついている限り、マスターは死なせんさ♪』
雷姫の言葉を聞いたティールは、少し戸惑いつつやんわりと笑って見せる。
「えぇっと……雷姫さんのその言葉をどこまで信用していいのか……とにかく、なんともないんだよね?」
「とりあえずは。ポーション飲めば問題ない」
そう返答しつつ、バッグから回復ポーションを取り出して、一気に呷る。これで先程の打ち身による痛みは気にしなくてもよさそうだ。
私は立ち上がって、落としてしまっていた雷姫を拾い上げると、一旦鞘へと納める。そして、本当に問題ないかを確かめるために軽く体を動かしてみた。
……うん。足も手も痛みなく動かせる。それに、意識も視界等々も問題なし。いやはや、雷姫様は本当に頼りになりますわ。
「で、何があったの?」
「考え事してたら、ブレス攻撃当たっちゃった☆」
「馬鹿なの!?」
「いやいやー! 一発や二発、当たって当然では? 完全無双なんてできるわけないでしょ? 私は平々凡々な女の子だよぉ? か弱き乙女なんだよぉ?」
「どこが!? ボスのブレスもろに食らってピンピンしてる女子のどこが平々凡々で、か弱い乙女だ!?」
あ~……一理あるかもしんない。もう少し、うら若き乙女になれるように非力になろうかしら……?
まあ、それはさておき。
ティール、あいつらを倒す手段、見つかったかもしんない」
「……えっ」
「ゴーレムの一種の可能性がある。コアを探せ。そして、それを破壊しろ」



~あとがき~
ラル視点は書きやすいっすねぇ(笑)

次回、ラルとティールによるボス攻略! ラルの考えた突破口は果たして……?

ティールは基本、慎重派なので攻撃を受けるようなことはなかったですが、ラルさんはまあ、前に出ることも多いですし、何かしてても思考をがんがんするタイプなので、被弾しやすいです。思考してなくても、ぱっと体が動く人でもあるしな。
……メタ的なことを言ってしまうと、一回くらいはやられるシーン入れたかっただけなんだけどね!!←

ではでは!