satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第408話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、生徒会室でのんびり仕事してたり、精霊召喚特訓の話をしたりでした。
そんな今回、精霊召喚魔法の特訓のため、アラシ君達がリリアーナの家を訪れるぜ!


《A side》
ユーリ先輩達との約束の日。
俺とツバサ、リランの二人と一匹はユーリ先輩に教えてもらったリリアーナ先輩の家を目指して、住宅街を歩いていた。
今回の目的はリリアーナ先輩の魔法習得の手伝いだが、その道すがら、リランの散歩も済ませてしまおうと、リランの首輪にはリードがつけられている。
普段通らない道で楽しいのか、リランはかなり上機嫌だ。
「ツバサ、この道を左に曲がれば、もうすぐっぽい」
「は~い♪ 楽しみだね、リラン」
「あんっ!」
にしても、だ。
この辺りの家々、どれも豪華というか……立派な家ばかり。富裕層向けの住宅と言えば、分かりやすいだろうか。
大体、この辺一帯が富裕層地域だった気がする。ってことは、リリアーナ先輩の家も……?
そんなことを考えていると、目的地っぽい家を見つける。
ツバサん家程ではないが、それなりに大きな門が見えてきた。その先には洋風の大きな家や広い庭も見える。
いつも、ツバサの家で見慣れてるから感覚が麻痺してるけど……ここも立派な家だ。少なくとも、俺ん家よりはでっかいし、広さもある。
「ほあ~……リリアーナさん、お金持ちなんだね」
「そうっぽいな。……ってことは、ツバサと同じお嬢様ってこと……?」
申し訳ないが、先輩からお嬢様オーラは全く感じたことない。まあ、俺とはあまり接点がないから、判断しかねる部分もなくはないけど。
俺らが家を見上げる中、リランが何かに気づいたのか、嬉しそうに吠え始める。
「! あんあんっ!」
「おーーー! ア~ラシ~! ツバサ~~!」
お、この声はイツキ先輩?
どうやら、リランはイツキ先輩の姿─もしくは、声も聞こえていたのかも─を見つけて、吠えていたらしい。
イツキ先輩は俺達に向けて、大きく手を振ってくれていた。そんなイツキ先輩の横には、ユーリ先輩の姿もある。ユーリ先輩はこちらに気付くと、小さく会釈してくる。
流石にユーリ先輩は、イツキ先輩みたく、手を振ったりはしてこないらしい。そんな感じの先輩ではないのは分かってたけど。
「こんにちは! もしかして、お待たせしちゃいました?」
「うんにゃ? 約束の時間通りっしょ! な?」
「うん。僕らが早いのは、イツキが勝手に盛り上がったからだし。……改めて、お二人とも、今日はありがとうございます。貴重なお休みに時間を取ってくださって」
「いえいえ! 私にできることなら、喜んで協力しますよ。リリアーナさんにはお世話になってますから!」
「俺も。暇だったんで気にしないでください。……俺はツバサみたいに協力できるか分かりませんけど、できることあれば手伝います」
わはー! サンキューな、アラシ!」
わわっ!?
イツキ先輩が嬉しそうに俺の頭をグシャグシャっと撫でる。そして、リランも同じようにグシャグシャっと撫でた。
「よ~しよしっ! リランもサンキューな~?」
「わんっ!」
この人、たま~にスキンシップが激しいんだよな。元々、そういう性格なんだろうけど。別に嫌でもなんでもないが、いっつも唐突だから、ちょっと驚く。
「アラシさん、ツバサさん。辿り着けてるのであれですけど、道に迷いませんでした?」
「あ、あぁ……それは全然。……ただ、予想より、でっかい家だなぁとは思いました」
「ですよね。リリアのご両親、お医者さんなんです。その関係で、リリアも治癒だったり、手当ては得意なんです」
ふーん。そいや、剣技大会では医療班みたいなことしてたっけ。
ユーリ先輩は「あまり身構えなくて大丈夫ですよ」と教えてくれた後、リランを構っていたイツキ先輩の背中を叩く。
「……そろそろ、行くぞ。イツキ」
「おうよ! どーんとこいっ!」
「まあ……そうだな。それくらいの気合いは必要かもね」
……身構えなくて大丈夫なのでは?
首を傾げる俺をよそに、ユーリ先輩はインターホンを押し、一言二言話すと、門が自動的に開く。そして、先輩達は慣れた足取りで敷地内へと足を踏み入れる。
「今日は誰が出た?」
「リックさん」
「なるほど。じゃあ、今日の世話役はリーゼさん?」
「多分ね。……僕ら、リリアの使用人さんとも知り合いなので、気にせずにどうぞ」
まあ、二人の会話で、なんとなくそんな気はしてたけど。
先輩達の後について、俺達も敷地内へと入る。そして、なんとなく気になっていた事を質問してみる。
「先輩達はよく、リリアーナ先輩の家に来てるんですか?」
「まあな~♪ リリィん家はガキの頃からよく来てるぜ? 今もそうだけど、よく遊んでたもんよ」
「ほえ~……そうだったんですね!」
「……ツバサさん、緊張されてます? もしかして、こういうことは慣れてませんか?」
ユーリ先輩の指摘に、ツバサは分かりやすく耳をピクッと動かし、照れ臭そうにへにゃっと笑う。
「実は……少しだけ。家のお付き合いで、こういったお宅に行くことはあっても、なんでもないお休みの日に遊びに行くのは、あんまりなくって」
「付き合いの時はスイッチ入るもんな、お前」
「うん。今日はそういうのないから~」
お嬢様スイッチが入れば、緊張なんてしないんだろうけど、今日は『いつものツバサ』だ。気持ちの入りが違うんだろうな。
「ふーん? そういうのあるんだな。リリィもツバサも大変だな?」
そうっすね。
俺達が家の前まで来ると、ユーリさんが慣れた手つきで扉を開ける。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました、ユーリ様。イツキ様」
「こんにちは、リックさん」
「ちわっす!」
俺達に向かって、恭しく頭を垂れるのは、ここの執事だろう。
「そちらの方々がツバサ様、アラシ様ですね。初めまして、私はお嬢様の世話役兼屋敷の使用人、エリックと申します。いつも、リリアーナお嬢様がお世話になっています」
顔を上げた男性は、ふわふわした栗色の髪。執事らしく、黒色の燕尾服に身を包んでいる。
見た目、若そうに見えるけど……いくつなんだろう?
「確か……俺の歳に十くらい足したら、リックさんの年齢になるっけ?」
「えぇ、そうですね」
……ってことは、二十代後半? あんまり見えないな……?
「初めまして! 本日、お招きに預かりました。ツバサですっ」
「あ、アラシです。今日はお邪魔します」
「ご丁寧にありがとうございます。こちらこそ、本日はお嬢様の我儘にお付き合いしてくださり、恐縮でございます。何かありましたら、遠慮なくお申し付けください」
「リックさん。リリアは……いつものところですか?」
「はい。いつものところに」
いつものところ……?
エリックさんは、俺達をいつものところとやらに案内してくれるらしい。
連れて行かれたのは、屋敷を出てすぐのところにある、離れのような建物だった。中に入れば、そこは何もない空間が広がっていた。
いや、実際は何もない訳ではなかった。
「あ、リック! 皆さんを連れてきてくれたのですか? ありがとうっ!」
何もない空間でリリアーナ先輩はレジャーシートのようなものを広げ、そこで優雅にお茶を飲んでいた。お茶だけではなく、簡単なお茶菓子もいくつか並べれられていた。
「お嬢様。なぜ、お一人でティータイムを?」
「お腹空いちゃったから、リーゼにお願いしちゃった。大丈夫! ご飯も食べれるので!」
「いえ、私が言いたいのはそのようなこなとでは……まあ、いいです。私はこれで失礼します」
「うん。ありがとうね?」
「後程、皆様の分もお持ちいたしますね」
「お願いっ!」
たった数言のやり取りだったけど、エリックさんが苦労しているのを垣間見た気がした。
「よっと……♪ さて、皆様、いらっしゃいませ~♪」
リリアーナ先輩はそっと立ち上がると、優雅な立ち振舞いで俺達に対してお辞儀をする。
単純かもしれないけど、その仕草や雰囲気を見て、お嬢様だなぁって思った。
「リーゼさんと一緒だったと思ったけど……リリィ一人?」
「うん。お買い物の時間だって。いっちゃん達がもうすぐ来る時間だったし、いいかなーって」
「リリア、早速やる?」
「うんっ! 私はいつでも! でも、皆が一息つきたいなら、リックに早くお茶持ってきて~って頼むけど……?」
俺は別にこのまま始めても平気だけど……ツバサとリランは……?
「私は大丈夫ですよ~♪」
「あんあんっ!」
どうやら、二人とも大丈夫みたいだな。
この場全員の同意を得たところで、早速、リリアーナ先輩の精霊召喚魔法特訓が始まるのだった。



~あとがき~
久々のアラシ君視点。
もうしばらくはないですね、アラシ君視点。

次回、特訓だ、特訓だ!!

リリアーナ宅の執事さん、エリックこと、リックさん。多分、もう出番はない。
彼はいつも、リリアーナの自由奔放な行動には頭を悩まされつつも、どこか達観していて、あれこれ気を回してくれるいい人です。
もう出番はないけど……!

ではでは。