satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第411話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、精霊召喚とはってお勉強会をしました。で、特訓再開するどーって時にリランが炎を吐きました。ひえ。


Noir side》
ユリに言われて、渋々、チビ助の魔法特訓のため、部屋の端の方に移動する。
この俺がなんで、こんなことをしなきゃならんのだ……くそ。
「くふふ~♪ ノワ、リラちゃんに好かれてるんですよ~♪」
「るっせ~……別に嬉しかねぇんだよ」
俺の頭に乗っかったふわが楽しそうに笑う。こいつ、絶対に面白がってやがる。
何を話しても、ため息しか出てこないような状況だが、そんなことを気にしてくれるようなチビ助じゃない。
チビ助はやる気満々の顔でペコッと頭を下げる。
ノワールせんせー! よろしくお願いしますっ!」
……はあ、なんだって、こいつなんかのために。
「俺はお前の先生になったつもりはない。つーか、なんで俺が魔法を教えなきゃなんねぇんだ?」
「う? だって、ノワールは黒の精霊でしょ?」
「あ? 見りゃわかんだろ」
「だったら、デバフ、使えるよね!」
「使えるけど」
まあ、基本的にデバフ振り撒くより、直接、殴りに行った方が早いから、そこまで活用しない。つーか、仮に俺とユリのコンビで戦うんなら、デバフ撒くのはユリの仕事だ。もし、相方が別……例えば、イツキとかと組んでも、俺はデバフなんて撒かない。直接行った方が早いパターンが大多数だ。
しかし、そんなことを目の前のチビ助が聞いてくれるとは思えない。言ったところで、「でも、使えるんでしょ?」って言われるだけだ。くそが。
「リランもね! デバフ、使えるよーになりたいの! だから、ノワールに教わりたいっ!」
……使えるようになりたいから、俺に教わるの意味が分からない。使えるようになりたいだけなら、教師役は俺じゃなくていいじゃん。
「つーか、てめぇが教えろよ、ふわ。お前だって黒の精霊のはしくれ。……こいつに教えるくらいはできんだろ?」
「ん~? 私はいいですけど、リラちゃんはノワをご指名なのですよ? だったら、ノワはその期待に応えるべきなのです♪ それに、我らが主、ユリちゃんにお願いされたんだから、言うこと聞きなさい」
……くっそ! これがユリの頼みじゃなかったら、ばっくれるのに!! この時ばかりは主従関係に嫌気がさす。
全く乗り気ではない俺を見て、流石のチビ助も不安になってきたらしい。しょんぼりした様子で俺を見上げてきた。
「う~……ノワール、教えてくれないの……?」
「まあ、ノワってば! こんな小さな子の頼みすら叶えてあげられない、器の小さい精霊だったんですかぁ!? 上位精霊が聞いて呆れるわぁ」
「…………くそ。ふわ、覚えてろ」
「くふっ♪ 覚えていられたら、覚えているのです。……リラちゃん、ノワが教えてくれるみたいだよ~♪」
「! ほんと!?」
ふわの言葉に、チビ助は分かりやすく顔を輝かせる。
「はぁ~……いいか、勘違いするな。お前に頼まれたからやるんじゃねぇ。ユリの頼みだから、仕方なくやるんだ。……分かったな」
「うんっ! ありがと、ノワール! だいすきー!」
俺は好きじゃないんだけど。
大好きの意思表明なのか、謎に俺にすり寄ってくるが、邪魔なのでさっさと離れてほしい。
「あら、ノワ。よかったですね。可愛い妹さん、大変喜んでいるみたいで」
「どこのどいつが俺の妹だって!?」
「んふふ♪ 照れなくてもいいのですよ?」
照れる!? 何に対して!?
ふわはくすくすと楽しそうに笑った後、一呼吸置き、「そういえば」と呟く。
「前から聞きたかったのですけど、ノワ、なぜここまでリラちゃんに好かれているの? 何をしたんです」
「あ? んなの、俺が知りたいね。なんもしてねぇんだから」
「……ノワ、案外、小さい子に好かれるのかもしれないですね」
…………別に、んなこたぁねぇだろ。
脳裏にアイの姿がちらついたけど、それだけだ。あいつらにしか好かれていないんだから、ふわの言う「俺が小さい子に好かれるという」事象が本当なのか、証明しようがない……はずだ。
「はっ……! ふわ!」
「? どうかしましたか、リラちゃん」
「リラン、ふわのことも大好きだよ!」
チビ助が何をどう思ったのか謎だが、いきなり、ふわに対して弁明を始める。
その言葉を聞いたふわは、俺の頭から飛び降りた。そして、今度はリランの背に乗り、頭を撫で始める。
「ありがとう♪ 私もリラちゃんのこと、大好きですよ~♪」
「えへへ~♪ ほんと? うれし~!」
……はあ。こうなりゃ、さっさと終わらせて、俺は帰らせてもらうからな。
特訓を始める前に、チビ助の力量を測る必要がある。デバフ覚えたいなんて、口ではどうとでも言えるが、実際、こいつに素質がなきゃ、教える意味なんてねぇ。
「おい。チビ助」
「う? なぁに?」
「お前、何が使えんだよ」
「ん~とね、色々!」
自信満々にそう言われても、俺らはそれを見たことがない。だから、説明しろって意味で質問してるんだがな、こっちは。
ふわが俺の苛立ちを察してか、取り繕うように笑い、チビ助に質問を投げる。
「リラちゃん、色々って具体的にどんな魔法です?」
「変身魔法! 今は主様がかけてくれてるけど、リランもできるの」
変身魔法は幻術魔法の上位互換。……一応、そっち系統の素質はあるらしい。
「人でも習得が難しい魔法をリラちゃん、使えるんですね~♪」
「えっへん! あ、あとはね! 氷、出せる!」
「ほう? 氷属性をね」
そいや、白竜は全属性を操れた竜だってユリだか、レイだかが話していた気がする。
こいつもこんなアホだが、アホでも白竜の子。ちったぁ、やるってことなんだろうか。
「ふむふむ。……リラちゃん、実際にやってみてもらえますか? もちろん、全力じゃなくていいので」
「うんっ♪ わかった!」
ふわがチビ助の背から降りると、再び、俺の頭の上に戻ってきた。
……別に、そこに戻らんでもよくね?
俺がそんなことを考えている間にも、チビ助は魔法発動のため、力を溜めていた。やがて、チビ助の周りに水色の光が漂い始める。
「えいっ!」
気の抜けるような掛け声の後、チビ助の足元にごろんっと氷の塊が出現した。ざっと見繕っても、人間の大人の拳サイズの氷塊に見える。
俺もふわも、想像していた“氷魔法”ではなく、しばらくの間、何も言えなかった。ただ、チビ助だけは得意気に笑い、こちらの言葉を待っている。
「おい、ふわ。俺の知る氷魔法じゃねぇ気がするんだが。もしかして、俺の認識が間違ってるのか」
「……いいえ、ノワ。私も少し……いや、そこそこ想像とは違ったのですよ」
そうだよな。俺の知識は間違ってないよな。
「チビ助、これで終わりか?」
「う? うん。終わりっ」
「リラちゃん、この氷を飛ばしたりできないです? 全力じゃなくていいって言ったから、この程度に留めたとか?」
「? 飛ばせないよ?」
「細かく砕いて、大量に飛ばすこともできねぇのか?」
「できない! これ、一個出すだけ!!」
……この程度で、氷魔法できるって言っていいんだろうか? 何に使えんだ、この塊。
「んーとね、遊びたい時にこーして遊べるよ?」
そう言うと、チビ助は前足で氷塊をころころと転がし始める。ボール代わりにできるのは分かるが、本来の使い方ではない気がする。
「あとはね、元気なくなったときに、これ、食べると元気になるの! この前もね、これ出したら、レイフィードが元気になってくれたんだよ?」
レイの場合、別の要因で元気になったんじゃないだろうか。
俺はじっと氷塊を観察する。見た目はただの丸い氷の塊にしか見えないし、匂いだって何もない。
……ふむ。
「!? ノワ!?」
「ほわわ~?」
俺はチビ助の出した氷を口に含み、力任せに噛み砕いて、ものの数秒で氷塊だったものを平らげる。
「あ~……なるほどなぁ」
「ノ、ノワ……? だ、だいじょぶ?」
「おう。これ、光魔法っつーの?……回復効果が混じってんな。微々たるもんだが、回復効果があるっぽい?」
体内からなんとなく、疲れが抜けていくような、体の奥底から力が回復していくような感覚がある。恐らく、体力回復の効果の類いだろう。
「も、もう! いくら、ノワがそういうのに耐性があるって言っても、いきなりは驚くのですよ!?」
「わりぃ。……けど、チビ助も食ってるって言うし、害はないのはわかんだろ?」
「そ、そうですけど……でも、びっくりするので、やめてください」
はいはい。
……こうなってくると、レイの奴が元気になった理由も、こいつが氷魔法を使ったから、ではないのかもしれない。あいつはあいつで、研究のためなら、斜め上の行動をする。
「レイも食ったんだろーな、これ」
「う、うん。……レ、レイちゃんなら、やりかねない……!」
俺とふわは同時にため息を吐く。純粋にレイに対する呆れからである。
「……で、このお粗末な氷魔法以外は?」
「一番得意なのがあるよ! 炎を吐く、ブレス攻撃! これはね、最初から使えるの。だから、一番得意っ!」
お粗末な氷魔法というフレーズには触れず、これまた自信満々に言い放つ。
ブレスの扱いに関しては、想像通りだな。
「普段は犬っころでも、流石にそれくらいはなぁ……?」
「犬じゃないもん! リランはリランだもんっ!」
「うるせぇ。知ってるわ。つーか、どこに突っ込んでんだ」
「むーっ……あ、さっきみたいに、見せた方がいい?」
あ? 見せるって……ブレスを?
「いやぁ……そっちは見なくても。なぁ?」
「ですです。リラちゃん、ブレスは─」
「待ってて! 今、やるねー!」
やる……? え、やる!?
俺達が制止するよりも、チビ助の溜めの方が早かった。すでにこいつの口から炎が溢れ始めている。
「はわ……! ノワ、駄目です! これは止められないのですっ!」
「あぁ……っ! くそがっ!」
チビ助の向ける方向にはユリ達がいる。幸いにも多少、距離があるから、あいつら全員が伏せさえすれば、直撃はしなくてすみそうだ。
「──ユリ!! 今すぐ全員、伏せさせろ!」
俺がユリに直接呼び掛け、その言葉通りにユリが全員に呼び掛けたのとほぼ同時に、チビ助から炎が放たれていた。



~あとがき~
なんで、リランがブレス攻撃をすることになったのかって話でした。

次回、ブレス騒動(精霊視点)です。
ユーリ視点でノワールがあそこまで怒ってた理由が分かる、はず。

ふわとノワール、がっつり喋るのはここが始めてかな。
ユーリの精霊歴としては、ふわが先輩です。なので、ノワールのことは「ノワ」と呼び捨て。他は性別、人、精霊問わず、ちゃん付けを徹底するふわちゃんです。
逆に言えば、ノワールに対してだけは、「私の方が上なのです(どやぁ)」ってしたいってことですね。それをノワールの頭の上でやってます。可愛い。(自画自賛
ちなみに、ノワールの頭の上はふわの定位置でもあります。基本、二匹が揃うと、ふわはそこにいます。

ではでは。