satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第412話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ノワール達、精霊組の特訓話……に見せかけて、ユーリ達になぜブレス攻撃が飛んできたのかというお話でした。
そんな続きからやってくどー!
視点は変わらず、ノワールです。


Noir side》
「えっへん! どうだった!?」
「どうだった……? じゃ、ねぇわ!! 馬鹿か!!」
「ひゃっ!?」
得意気にこちらを見上げてきたチビ助の頭を思い切り押さえつける。
その一方で、辛くもチビ助の攻撃を全員が避けた後、白いのがこちらを振り向き様、チビ助を叱りつけた。
「ひゃああっ!? 主も怒ってる!?」
「あったり前だ! こんっなところで、ブレスなんざ吐きやがって!! お前の頭は空っぽなのか!?」
「う、うりゅ~……」
涙目になって、悲しそう鳴いても無駄! 今回ばかりは許さねぇぞ!
「リ~ラ~ン~?」
白いのがキッと目を吊り上げながら、こちらに近付いてきた。それを見て、俺も押さえつけていた前足を退かし、チビ助から離れる。
「他の皆も、だいじょぶ……?」
恐る恐るといった具合で、ふわが口を開く。俺は白いのに遅れて、こちらへ向かってくるユリや、その場から立ち上がるイツキ達を見て、小さく頷いた。
「あぁ、大丈夫そうだ。……にしても、あれには、流石の俺も肝が冷えた」
「私もなのです。……ふにゅ~」
ノワール、ふわ! 大丈夫だった?」
……ユリ。
ユリが俺達に何もないことを確認すると、安心したように息を吐いた。そして、嬉しそうに笑うと、俺を優しく撫でる。
「ありがとう、ノワール
まあ……無事で何より。
「ノワ、必死だったのです。めっちゃくちゃ焦ってたの~」
「あ、あれは誰だって焦るだろ」
ドラゴンのブレスだぞ! 日頃から、『たんけんのしごと』とやらで鍛えてるラル達じゃねぇんだぞ、ユリ達は。
「それにしても、あのブレスはリランが?」
「そうなのです。私達の不注意で……ごめんね、ユリちゃん」
「ううん。ノワールが教えてくれから、僕達に怪我はないよ。それに、建物内も壊れてないみたい」
……? そう、なのか。
ドラゴンのブレスっていやぁ、なんでも燃やして、破壊してしまうくらいの威力があるはずなのに。チビ助にそこまでの力はなかった、のか?
ユリの言葉に首を傾げつつも、チビ助を叱り続ける白いののところへ、ユリと一緒に向かう。
主に叱られ続けるチビ助は、水に濡れた子犬のように─いや、実際、見た目だけは正真正銘、犬だが─しょぼくれていた。
「……んもうっ! 誰も怪我がなかったからいいけど、リリアーナさんのお家でブレスは駄目でしょっ!」
「あうっ……ごめんなさい……っ!」
そうだ、そうだ。もっと言ってやれ。
とはいえ、俺達がユリと話している間も叱っていたからか、すでに粗方、言い終えていたらしい。白いのは、一段落したようにふうっと息を吐く。
「……まあ、出したのが、攻撃性のあるやつじゃないだけ、よかったけど。そこだけはちゃあんと約束、守れて偉いね?」
あれが攻撃性のないやつ……?
最後に、白いのから「偉い」と褒められたのが嬉しかったのか、チビ助は見るからに誇らし気に笑う。
「うんっ! 絶対に燃やしちゃう炎、出してない! 出したら、リリアーナのお家、燃えちゃうもんね!」
「そうそう。……でもね? だからって、室内でブレスはめっなの! 例え、幻惑の炎でもっ!!」
「うゆ……ごめんなさいぃ……」
……なんだ、それ?
俺はユリを見る。でも、ユリも知らないらしく、ふるふると首を振った後、白いのの名前を呼ぶ。
「差し支えなければ、教えていただきたいのですが……幻惑の炎、とは?」
「あ! そう言えば、お話ししてませんでしたね!」
白いのがパチンッと手を叩いて、俺達に……というか、質問してきたユリに説明し始める。
「リランと会ってしばらく経った頃、ドラゴン特有のなんでも燃やすブレスの他に、幻惑効果のあるブレスを使えることが分かったんです♪」
つまり、あの炎に当たった奴は燃やされるんじゃなくて、幻惑効果を付与される……一種のデバフ効果のある炎ってことか?
「まあ、幻惑って言っても、方向感覚を狂わせたり、視界が歪んだり……要は、視覚情報を狂わせる程度でして。……なんというか、泥酔状態? みたいな感じになるらしくって」
「ふむ。デバフとしてはまあ、そこそこって感じですね」
「ですね。強い幻覚作用があるわけではないので」
白いのとユリが何やら議論をし始める横で、俺は再びチビ助を睨み付ける。
「それならそうと、先に言えやっ!!!」
「ひゃうっ! ご、ごめんなさいっ!!」
俺の怒号にチビ助はまた体を震わせる。
……先に知ってれば、あんなに慌てる必要もなかったし、必死こいてユリ達を助ける必要もなかったじゃねぇか。くそが。
俺が口を開こうとした瞬間、頭上でふわが、ぽんぽんっと俺の頭を叩いてきた。
「もういいじゃない。リラちゃん、ツバちゃんにたっくさん怒られたし……ノワがこれ以上、怒る必要はないのですよ?」
「……でもよぉ 」
「もちろん、ノワの気持ちも分かるのです。まあ、結果論ですけど、皆、無事でしたし、リラちゃんも反省してますし。……ね?」
「…………チッ」
しゃーねぇ。これ以上はふわに免じて、文句だけは飲み込んでやる。
だけど、これだけは言っておかねぇと。
「チビ助」
「な、なぁに?」
「次、ユリや……イツキ、リリアに何かしでかしたら、俺はてめぇを許さねぇ。……それだけは覚えておけ」
「う、うん……ごめんなさい……」
分かればいい。
ふんっと鼻を鳴らして、そっぽを向いた先で、ユリと目が合う。ユリがにっと笑ったのを見て、嫌な予感がした。
「嬉しいこと言ってくれるんだな、ノワールは」
くそ、聞こえてたのか。……そこは聞こえないふりしとけよ。
「俺はお前の精霊だ。お前の安否が第一なのは当然だろ」
「そうだな。それは精霊として、当然の考えかもね。……だけど、そこに僕だけじゃなくて、イツキやリリアがいてくれたのが、嬉しかったんだ」
……あいつらがいなくなったら、ユリが悲しむだーろが。そんくらい、分かってるってことだ。みなまで言わせんな。
ユリはそれ以上、何かを言ってくることはなかった。ただ、嬉しそうに笑ってたのだけが気に食わなかったけど。
「……あの、ノワール?」
ユリとの話が終わった直後、白いのが申し訳なさそうに話しかけてきた。
「その……リラン、反省してるから……魔法、教えてあげてくれない、かな?」
「くぅん……」
白いのとチビ助を交互に見て、最後にユリを見る。
すると、あいつは小さく頷く。
「……はあ」
「ノワ」
……わーってるよ。
俺は黙ってチビ助の首根っこを掴むと、白いのとユリから離れる。今度は、あいつらにブレスが届かないところでやらねぇとな。
「! ノワールー!!」
「うるせぇ。だぁってろ」
「うんっ! えへへ……♪」
ユリが続けろって言うから、仕方なく続けるだけだ。主の命は絶対ってな。



~あとがき~
いつもより短いけど、きりがいいんで。はい。

次回、本格的にノワール達の特訓開始。
リリアーナ達の特訓は精霊組終わってからやりますんで!!

うだうだ言ってても、ノワールもユーリに付き従う精霊。あれこれ反発してても、なんやかんや主人一番です。いやぁ、フォースみたいなところあんな、こいつ。
けどまあ、フォースよりは素直だと思ってます。そこは精霊だしってことでね。

ではでは。