satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第418話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ウサギの精霊、アウローナと無事に契約を完了したリリアーナ。しかし、まだ課題は多い……!
そして、今回はそんなツンデレ気質なアウローナと生徒会メンバーとの初絡み。果たして……!?


《L side》
とある日の放課後。……もっと言えば、リリちゃんが精霊召喚、頑張るぞと意気込んでいた日の翌週の放課後である。
私、ティール、フォース君の三人は相変わらず、我々しかいない生徒会室で、体育祭の雑務に勤しんでいた。そんな私達の話題になるのは、やっぱりリリちゃんの精霊召喚の是非についてだ。
「リリちゃん、上手くいったかなぁ」
「ツバサ達が一緒なら、きっと上手くいったんじゃない?」
そうだといいけど。
フォース君の口振りからして、簡単に習得できる部類ではなさそうだし、夏休み中も練習した結果、未習得なのも気掛かりである。
そんな状態だったのに、たった一日で、すぐにできるものなのかな。
「さてね。……リリアーナがどれだけ時間を費やしていたか分からんが……夏休み期間習得できなかったんなら、正当法じゃ、望み薄だと思うけどな」
「フォース君はなんで、そんなこと言うかなぁ~?」
「うるせぇ。事実だ」
血も涙もねぇ……!
「……? 正当法じゃってことは、別の方法ならチャンスがあるってこと?」
……確かに、ティールの言う通りだな。
俗に言う裏技、抜け道を使えば、正当法でなくても、リリちゃんも習得できてるかもってことだもんね?
ティールの質問にフォース君は、ただ肩を竦めるだけで、それ以上の説明をするつもりはないらしい。
「失礼しますっ!」
おや。噂をすればなんとやら、だ。
勢いよく扉を開けて入室してきたのは、リリちゃん……と、その背後にいたユーリ君だ。
「こんにちは。リリちゃん、ユーリ君」
「会長様! 聞いてくださいっ! 私、やり遂げました!」
開口一番、満面の笑みでそう告げるリリちゃんは、本当に嬉しそうで。
言葉から読み取るに、宣言通り可愛いウサギさんと契約できた……ということなのだろうか。
しかし、それにしては一緒に入ってきたユーリ君の表情は、どこか曇っている気がする。
私の視線に気付いたらしいユーリ君は、苦笑を浮かべつつ、ペコッと頭を下げる。
「会長。今は何も聞かず、見てやってくださいませんか?」
「え? う、うん。……それは構わないけど」
なんか怖いんだけど、大丈夫か?
私は……というか、ティールやフォース君もなんやかんや、事の行く末が気になっていたようだ。促されるがまま、皆、作業の手を止め、室内にある休憩スペースへと移動した。
我々の視線の先にはもちろん、リリちゃんがいる。
「……じゃ、呼びますね!」
リリちゃんは胸の高さで両手を組み、祈るようなポーズを取る。
「おいで、アウローナ!」
精霊の名前らしき名称を叫ぶと、ポンッと机の上に現れたのは、白と薄いオレンジの毛並みを持つ、はちわれ模様の小さなウサギだ。
呼び出された精霊、アウローナは、突然、見知らぬ人間に囲まれて警戒しているのか、頻りに辺りを見回している。
「先日、皆に協力してもらって契約できた子ですっ♪ 名前はアウローナで……女の子のウサギさんなのです~♪」
「よかったね、リリアーナ。望み通りのウサギの精霊と契約できて」
「副会長様~~~! そうなのです、そうなのですよ~~! たいっへんだったのですよ!」
本当に大変だったのだろう。滅茶苦茶、ティールに詰め寄って、何があったのか一気に捲し立てていた。どうやら、めっちゃ聞いてほしかったようだ。
そんな二人の様子には目を向けず、フォース君はじっと目の前のウサギを見つめていた。彼は目を細めて、アウローナちゃんを観察していたが、やがて小さく首を傾げる。
「……あ? こいつ、ツバサとリリアーナの色が混じってる。もしかして、二人で呼び出した?」
「はい。実は、ツバサさんとリリアの二人が呼び出して生まれたのが、このアウローナです。先輩、もしかして、ご存知でした?」
「うんにゃ。さっきまでは知らんかった。……けど、まあ、目の前にいるし、そうなのかなって。できなくはないだろうからな」
私には何のこっちゃなのだが、フォース君は私に優しく説明はしてくれない。
彼は机の上で固まるアウローナちゃんに躊躇なく手を伸ばし、優しく撫で始める。触れられた瞬間こそ、体をビクッと震わせていたものの、すぐに警戒も解けたらしく、今は気持ち良さそうに目を細めていた。
「……ぷ~♪」
「ふーん? あ~……うん、なるほど。……こりゃ、苦労すんね、リリアーナは」
今、アウローナちゃんの心を読んだんだろうけど、何て言ったんだろ?
「ほあ~!? フォース先輩! 今、アウローナ、撫でました!?」
「撫でたけど」
「ズルいのです! 私、まだなでなでしてないのに!!」
え? してないの?
ティールに苦労話を語っていたリリちゃんは、濡れた子犬みたいにしょぼんと顔を伏せる。
「そうなのです……アウローナ、なでなでさせてくれないのです……ツバサちゃんとか、いっちゃんとか、ゆっちゃんはいいのに……!」
つまり、リリちゃんだけ避けられてる?
でも、リリちゃんの精霊なんだよな。そんなことってある?
「……今回、リリアーナが取った方法だと、アウローナに忠誠心を植え付けられなかったんだろ」
「そういうことです。……会長。今回、僕達は通常とは異なる方法でアウローナを召喚して、契約してます。その結果と言いましょうか……リリアにはあまり懐かなかったんです」
「へぇ? 難儀なんだね、精霊召喚って」
「うん……お前のその一言だけで、すましていいのか謎だけどな」
妙に警戒心があるのは、リリちゃんを警戒してなのか、或いは、この子の性格なのかな……? でも、フォース君には触れられても大丈夫そうなのに。
まあ、いいや。私のやることは一つ。
「アウローナちゃん、初めまして! 私はラルですっ♪ お願い! 私にあなたのブラッシングをさせてくださいっ!!」
私の申し出にアウローナちゃんは訝しげな視線を向ける。分かる。初対面の人間にいきなり、体をなめ回させろと頼まれているのだから。
でも、私はやりたいのだ! ブラッシングを!
「あはは……ラルはぶれないね……?」
「こいつらしいっちゃ、らしいけどな」
「ふふ。流石ですね、会長」
褒められている気がしないのは気のせいだと思いたい。うん。気のせいだ。
「ユーリ君、せっかくだから、ノワールとふわちゃんも! 出して出して~♪」
「いいですよ。……おいで、ふわ。ノワール
ユーリ君の呼び掛けにふわちゃんとノワールが姿を見せる。ノワールは室内用サイズ(大型犬くらい)だけど、それでも、通常サイズと変わらず、彼の毛並みは艶やかで触り心地が抜群であるのは、見ただけで分かる。
「ふわちゃんっ! ノワール! 君達もブラッシングさせてね~!?」
「わふ……? わふっ!」
「がう……♪」
ふわちゃんは素直に頷き、ノワールは仕方ねぇなという雰囲気だ。しかし、嬉しいと思っているようで、尻尾がパタパタしている。
ノワール……全く、君って子は……! 可愛いやつめ!
二匹はアウローナの姿に気付くと、互いの顔を見合わせた。そして、アウローナへ視線を向け、呼び掛けるように一鳴き。その声にアウローナが振り向けば、ノワールはゆっくりと頷きつつ、ふわちゃんはパタパタと尻尾を振っている。
「がう。……がう」
「わふっ♪ わふんっ!」
「……ぷ」
どうやら、アウローナちゃんに説明してくれたみたい?
「ですね。ノワール達が会長のことを説明したんです。……この人のブラッシングは最高だ、みたいな」
「君達……! んもう! 愛してるぜ、もふもふ達よっ!!」
「わふわふっ♪」
「……がぁう」
ノワールからは呆れの感情が伝わってくるけど、お構いなしじゃ! まずは君からやっちゃうぞ~!?
「……! ラル、アウローナが」
私がノワールのブラッシングしようとしたところで、アウローナちゃんが控えめに私の足元まで近寄ってきてくれる。
「……いいの? アウローナちゃん」
「……」
言葉はなく、感情も分からないけど、私の言葉に肯定してくれたのだろう。アウローナちゃんはこくり、と頷いた。
私が優しく抱き上げても、暴れることもなく、大人しく腕の中に収まってくれている。
「任せて♪ ばっちり可愛くしてあげるっ!」
持ち合わせのブラシでウサギの毛をブラッシングできるだろうか。まあ、今回は上手くやるとして、次回以降、きちんとアウローナちゃんにあった道具を見繕おう。
「……会長様、だっこまで……私、だっこもさせてもらえないのに……っ!」
うん。……ここまでくると、リリちゃんが不憫だ。
リリちゃんの羨ましそうな視線を受けながら、私はアウローナちゃんのブラッシングをし、続けてノワール、ふわちゃんともふもふ達のブラッシングをしていく。
私のもふもふを愛でる夢は叶ったけど、リリちゃんはこれからみたいだ。頑張れ、リリちゃん……!



~あとがき~
どこかでアウローナとリリアーナが仲良くなれるんですかね。

次回、新しいお話だ! やっほい!

このリリアーナに精霊を持たせてあげようの回、実は、かなり前から計画してあった話です。なんなら、夏休みの話の前から我々の中で、ぼんやりと存在してました。
ようやく形になってよかったな~と思ってます。いえい。

ではでは。