satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第416話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサ&リリアーナで精霊召喚やったるどーってところで終わりました。
今回で終わればええなぁと思いつつ、終わらん気もしてる私です。
そして、今回は初めての視点、リリアーナじゃい。


《Lili side》
──私が初めて精霊を持ちたいと思ったのは、ゆっちゃんがふわちゃんを呼び出した時だった。
確か、私達が小学生で高学年の頃だったと思う。その頃にゆっちゃんが精霊召喚魔法を成功させて、ふわちゃんと契約した。
綺麗な墨色の毛並みをした小さな狼、ふわちゃんを初めて見た時、「私もこんな精霊さん、いたらいいなぁ」なんて、思ったことを覚えている。
けれど、その時はまだ、『神の祝福』を授かっていないのもあり、「いいな」って思う程度だった。……まあ、そんなことを言ったら、ゆっちゃんもまだだったんだけど、でも、ゆっちゃんは私より魔力の使い方が上手なのを知ってたから、「ゆっちゃんなら、『神の祝福』がなくたって、できるよね」ってその時は思ったんだ。
そこから数年後、『神の祝福』を終えた後は、精霊を持ちたいなんて願望なんて、すっかり忘れていた。
だって、目の前でゆっちゃんがほいほい呼んでいるんだもん。ふわちゃんや、他の小さい狼達を私に触らせてくれるし、のっちに至っては、もふもふだって、機嫌がよければ、背中にだって乗せてくれる。
それだけで、私の精霊に対する興味は満たされていた。
けど、それがそうじゃなくなったのは、ツバサちゃんの精霊を見た時。正確には、剣技大会でツバサちゃんがくーちゃん……精霊を使って、ゆっちゃんの麻痺を治した時だ。
その光景を見た時、思ったんだ。
私の魔法だけじゃなくて、私が精霊を呼べるようになったら、そして、その精霊も回復魔法が使えたら……友達、家族、大切な人達が……いっちゃんやゆっちゃんが怪我した時、すぐに治せるようになるんじゃないかって。
そうなったら、今より、もっと早く治せるようになる。
そうしたら、あの時、春にゆっちゃんが怪我した時だって、もっと、もっと早く治せたかもしれない。
今は治せないものも、治せるようにるかもしれない。
私一人じゃ治せない傷も、精霊となら……一人と一匹となら、治せるようになるかもしれない。
あ、もちろん、可愛くて、もふもふしてる子がいいな~って思ったのもある。せっかくなら、可愛い子がいいもん。
……それを叶えるためには、ゴーレムじゃ、駄目だった。だって、ゴーレムは土魔法特化の精霊だから。だから、別の精霊……私と同じ種族であるウサギの精霊じゃないと駄目だって。
そこで、長期休暇となる夏休みを使って、習得できたらとぼんやりと思っていた。
いつもみたいに、いっちゃんとゆっちゃんを巻き込んで、二人が暇な時に手伝ってもらって、特訓した。
でも、それじゃ、駄目だった。
ゆっちゃんが何度も説明して、何度も魔法式を組んでくれても、私には扱えなくて。
いっちゃんが何度も一緒にあれこれ悩んでくれて、何度も魔法を受けてくれても、いい結果には結べなくて。
だから、きっと、私には精霊を呼ぶ資格はないのかもしれない。
私はゆっちゃんみたいに、精霊に好かれないのかもしれない。
でも、そうだとしても、どうしても諦めきれなかった。
だから……だから、ツバサちゃんが教えてくれた方法を聞いた時、飛び付きたくなったけど、二人で呼ぶ精霊のデメリットを聞いて、悩んだ。凄く。
私の思い描く精霊との関係は築けないかもしれない。
精霊が扱う魔法は、私の思い描くものじゃないかもしれない。
それなら諦めちゃう方がいいのかなって思った。だって、狂暴な子が出てきてしまったら、皆に迷惑をかけるかもしれないって。ここまでしてもらったのに、私にはどうすることもできない子が出てきたらって。
そう、思ったけど、いっちゃんがあっけらかんとして、やればいいじゃん、と。
ゆっちゃんも、そう。さも当然のように、最後まで付き合う、なんて。
……いっちゃんも、ゆっちゃんも、昔からなんにも変わらない。いつだって、私の味方をして、背中を押してくれる。
そんな二人のために、私は精霊召喚を成功させたい。
願わくば、回復の得意な子がいい。
そして、叶うなら……
叶うなら、私と仲良くなれると、もっといいな、なんて思うんだ。
欲張りだけど……神様、お願いします。
私、もっと、いっちゃんと、ゆっちゃんの力になりたい。
周りにいる人達の力になりたい。
そんな力をちょっぴり貸してくれるような……そんな子と友達になりたいです。

「──って流れになるかと思いますが……ユーリさん、どうでしょう? いけそうですか?」
「そうですね。それでいきましょうか。こればっかりは、練習しても仕方ないですから」
ツバサちゃんとゆっちゃんが精霊召喚のための段取りをしてくれていた。
召喚の流れはこう。
まず、ツバサちゃんが魔法陣を組む。
次に、ゆっちゃんがタイミングを見計らい─私より、ゆっちゃんの方がこういうの得意なので─、私に合図を送る。
私はその合図に合わせて、ありったけの魔力を魔法陣へ注ぐ。
大変な作業はツバサちゃんがしてくれるし、大切なところは目の前までゆっちゃんが手を引いてくれる。
うぅ……私、とことん、おんぶに抱っこだ。
「? 何を今更」
私の独り言を聞いていたのか、ゆっちゃんが苦笑ぎみに呟く。
「僕にはなんでそこまで精霊……というか、ウサギの精霊と契約したいのか分からないけど……決めたんなら、とことんやるのがリリアだろ? 最後まで突き通しなよ」
「もちろん。やるって決めたから、しっかり覚悟したもん。大丈夫」
「そう? なら、いいけど」
「リリアーナさん、ユーリさん。準備はいいですか?」
ツバサちゃんの言葉に、私達は同時に頷く。それを見たツバサちゃんも嬉しそうに頷く。
「それじゃ、始めますね!」
ツバサちゃんは私達の対面に立つと、そっと目を閉じ、両手を胸の高さで組む。
「我らの魔力を呼び水に、新たな守護となる命を生み出さん……」
ツバサちゃんが詠唱を開始すると、淡い光が彼女を包み、魔法陣が展開される。そして、少しずつ、魔法陣の光が強くなって、白い光の粒が辺りを舞い始めた。とっても幻想的な光景に思わず、見惚れてしまいそうになっていると、とんっと背中を叩かれる。見上げると、真剣な顔をしたゆっちゃんと目が合う。
「こら、ぼうっとしない。……リリア! 今!」
「う、うんっ!」
ゆっちゃんの合図に合わせ、魔法陣にむかって両手を向け、これでもかと魔力を注いでいく。
私のオレンジの魔力と、ツバサちゃんの白い魔力が混じり合い、魔法陣は白とオレンジの光に輝き始めた。
「……これが共同召喚?」
「すげぇ~……リリィとツバサの魔力が綺麗に混じってくな」
少し離れたところで見守ってくれてるアラシ君といっちゃんが驚きと感嘆が混じる声で話している。
離れて見てる二人の目に、綺麗に混じって見えるのなら、今のところ、反発して失敗することはなさそう……ってことなのかな?
「リリア、最後の仕上げだ。教えた通りに唱えて」
「……んっ!」
ゆっくりと目を開くツバサちゃんと目があった。そのアイコンタクトで、二人で唱える呪文のタイミングを合わせる。
「「……“ペティエ・エト・ラパン”!!」」
私達が呪文を唱えた瞬間、目を開けられないくらい眩しい光が辺りを包む。
恐らく、この場にいる全員が目を閉じたと思う。でも、その光はほんの数秒で収まり、次に目を開けた時には、私とツバサちゃんの間に眠るように目を瞑り、その場にふわふわと浮いていた。
「やった! 成功しましたっ!」
「は、わ……はわわ……!?」
そのウサギは私と同じ薄いオレンジの毛並みとツバサちゃんみたいに真っ白な毛並み、二つの特徴がある。
そして、この子は斑模様ではなく、綺麗な、はちわれ模様。額にはオレンジ色の丸い石がついていた。
「う、うしゃ……しゃんだ……!」
「リリア、感動してるところ悪いけど、契約して! 文言、覚えてるよな!?」
「お、覚えてるもん!! えと……えに……んんっ! “縁とは結び。結びとは絆。我、かの精霊との─」
そうだ。こうやって契約を交わす時、名前……名前、付けなきゃいけないんだった。ゆっちゃんが言ってた。生まれたばかりの精霊にとって、名前はこの世界に存在を固定するために、重要なものだって。だから、きちんと名前を付けてあげないと駄目なんだって。
……ど、どどどうしよう!? なんにも決めてなかった!! な、名前……名前……っ!
私の声に反応してなのか、ウサギさんがうっすらと目を開ける。そこから覗く瞳はとっても綺麗で。
それはまるで、窓辺から見る、夕日のようで。
「──結びを大切にす。名は……ローナ……《アウローナ》!”」
「……ぷ?」
ぴくりとウサギさんが反応をする。
それを合図に、私とウサギさん……アウローナの間に、魔力の鎖が現れ、私達を繋ぐ。少しすれば、その鎖は空気に溶けていき、アウローナがふわりと私の腕の中に収まった。
どういう状況なのか、理解できなくて、また、ゆっちゃんを見上げる。彼は私の視線に気が付くと、小さくて笑い返してくれた。
「え、えと……これ、は?」
「おめでとう、契約成立。その子はリリアの精霊になったんだよ」
「……ほん、とに?」
「うん。ほんと」
ゆっちゃんの言葉に、私は堪らなく嬉しくなって、腕の中で眠る、アウローナを優しく抱き締める。
ありがとう、私のところに来てくれて。
どんな子かまだ分からないけど、大丈夫。どんな子でも、私はあなたを……アウローナを大切にするから。
そして、これからよろしくね。



~あとがき~
わっしょい。終わらんわっしょい。

次回、遂に誕生したリリアーナの精霊、アウローナ。一体、どんな子なんだ。

リリアーナがなぜ精霊召喚、ウサギの精霊に拘っていたかをようやく明かせて、ほくほくしております。
イツキもユーリも、「ここまで失敗しても諦めないの、なんなん?」と疑問に思ってましたが、こんな理由がありましたとさ。
いやまあ、かな~り前の話から引っ張ってきて申し訳ないですけどね!
改めて読む必要はないです。今回、語ったことで全てなので。
けど、気が向いたら、その辺の話を読んでみてください。
ユーリが怪我しちゃう休日回は48話~辺りで、くーちゃんに麻痺を治してもらう話は剣技大会編、92話くらい?
……いや、いつの話だぁぁ!!!(滝汗)

ついでに。
これは公式による非公式な(?)妄想話なんですけど、彼らの将来について。
イツキ、ユーリ、リリアーナの三人でなんやかんや、探検隊活動してたらええな~という。元々、イツキはそちら志望ですが、現状、ユーリとリリアーナは違います。ユーリは研究職、リリアーナは医療関係。
しかしまあ、探検隊やりつつ、研究職もできるし、医療関係ならギルド所属の医療スタッフいけるしで、イツキに引っ張られる形で、三人でやってたら嬉しーなという単なる妄想。
実際、どうなるかは決まってません。今後の展開による←

ではでは。