satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第417話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、リリアーナのモノローグ+精霊召喚を行いました。無事、精霊を呼ぶことには成功しましたが、どんな精霊なのかは謎のまま。
視点はまたユーリに戻るぜよ。


《Y side》
ツバサさんとリリアによる精霊召喚は無事、成功。こうして、召喚されたウサギ……アウローナと名付けられたその子は、リリアの腕の中で気持ちよさそうに眠っていた。
アウローナを大事そうに抱えていたリリアが、パッと顔を上げ、嬉しそうに微笑む。
「やったよ、ゆっちゃん! 私、やりました!!」
「うん。第一関門は突破したって感じだね」
召喚されたアウローナが、どんな性格をしているのかは、起きてからでないと確認のしようがない。しかし、契約自体はできているので、主であるリリアを裏切るようなことはない。そこだけは安心できる。
「おめでとうございます、リリアーナさんっ!」
「やったじゃーーん! リリィ!」
「そいつと仲良くなれるといいっすね」
ツバサさん達がリリアの元へ駆け寄り、召喚成功を称えあった。
「えへへ……♪ 皆、ありがとー! なんとか無事、成功しました! あとはこの子が起きてから……だよね?」
「そうだね。……契約自体は終わってるから、こっから大暴れなんてことはないはずだよ。仮にそんなことがあっても、ノワールで抑えられると思う」
まあ、あいつの力で無理矢理、押さえつけたくないのだが。万が一の時はお願いするしかないだろう。
そんな話をしていると、リリアの腕の中で眠っていたアウローナが、もぞっと動き始める。どうやら、目が覚めたらしい。
「……?」
アウローナは何度か瞬きをすると、ぐるりと辺りの様子を窺い、最後にリリアへと目線を移す。
「わあ♪ 綺麗な瞳ですね~♪」
「なるほど。瞳の色を見て決めたんだ? だから、夕焼け、朝焼けの意味のある『アウローラ』をもじったんだろ?」
「流石、ゆっちゃん♪ 大正解っ!」
単純なリリアにしてはきちんと決めてて偉い。下手したら、「君の名前はうさちゃんだ!」なんて、呼び出すかと思っていたくらいだし。
「と、いうことで……これからよろしくね、アウローナ!」
「……ぷ」
満面の笑みを浮かべるリリアに対し、アウローナはどこか不機嫌そうに目を細める。そして、無理矢理、彼女の腕から脱出。更に、あろうことか、主人であるリリアの顔面に見事な蹴りをお見舞いしてしまった。
「へぶっ!?」
「きゃっ! リリアーナさん!?」
「せ、先輩……!」
蹴りを繰り出したアウローナはくるくると回転しつつも、しっかりと着地する。全員、驚きを隠せない中、アウローナだけはマイペースに、そのままリリアの元を離れ、ツバサさんの足元へ近寄った。少しの間があるものの、嬉しそうにツバサさんの足にすり寄っていた。
「ほえ? え、え~と……?」
「ぷ~」
これは……最悪の事態は免れたけど、別の方向でやってしまったかもしれない。
「な、なあ、ユーリ? これって?」
「う~ん……恐らくだけど、アウローナはリリアを気に入ってない。つまり、本来なきゃいけない信頼関係が築けていない」
「ですね。先輩の言う通り、何て言うか、懐く様子はなさそうっすよね……?」
とは言っても、ツバサさんには懐く姿勢を見せているので、気難しい性格って訳じゃなさそうだ。或いは、召喚者の片割れであるツバサさんの魔力に惹かれているだけなのか。しかし、その理屈で行くなら、リリアにも多少なりとも、興味を見せないとおかしいが……いや、別の意味で興味は引いてるか。
「うきゅ~……いてて~」
「お。大丈夫か? リリィ?」
「うん、だいじょぶ」
……何がともあれ、とりあえず、試してみるべきか。
「なあ、イツキ」
「ん? なんだ~?」
「ちょっとアウローナと接してみて。アウローナの性格診断したい」
「おっけ! まっかせろい!」
こいつなら、何があっても問題はない。蹴られようが何されようが、けろっとしているだろう。
イツキはツバサさんに撫でられるアウローナと目線を合わせ、ひらひらと手を振ってみせる。
「初めまして、アウローナ。俺はイツキ。お前の主、リリアーナの友達でーす♪」
「……」
先程まで、撫でられて気持ち良さそうにしていたアウローナが、ちらりとイツキを見つめる。値踏みするような、そんな目付きだ。
「なあ。アウローナって長いから、ロナって呼んでいい?」
なぜ、主人より先に愛称で呼ぼうとしているんだ、こいつ。
アウローナはじーっとイツキを見つめていたが、こいつの言葉に小さくもこくりと頷く。
「お、いいの? ロナ」
この言葉に、再度こくこくと頷き返す。
ふむ。……そう来たか。じゃあ、今度は僕もいくか。
「アウローナ、初めまして。僕はユーリ。僕も君の主人と友達なんだ。……あと、あそこにいる狼の精霊は僕の友達。おっきいのがノワールで、小さいのがふわ。仲良くしてくれると嬉しいな」
「……」
ノワール達を見つめ、控えめながらも頷いてくれる。基本、素直だが、積極的に関り合いを持とうとしてこない。少し、人見知りしやすい性格なのだろう。
しかし、積極的なリリアに対して、手厳しい評価をしているので、照れているのか……鬱陶しいと思っているのか。
「……ぷ」
そんな考察をしていると、アウローナがおずおずとツバサさんから離れ、僕の方へとやって来る。そして、ちらりと見上げてきた。
「……もしかして、触ってもいいのかな?」
こくり。
アウローナの様子を見て、僕はそっと手を伸ばす。蹴られる覚悟もしていたけど、そんなことはなく、ふわりとした毛並みが僕の手のひらを包む。
「ず、ずるいよ、ゆっちゃん! 私よりも先になでなでしてる!!」
「いや、ツバサさんもしてたけど?」
「ツバサちゃんはいーの!」
理不尽では?
リリアは涙目になりながら、僕の横にしゃがむと、そろりとアウローナに向かって手を伸ばす。しかし、アウローナはその手を無情にも前足で拒否。
「なんでぇぇぇえ!!!」
「とことん、リリィにはツンツンだな~? これぞ、ツンデレってやつ?」
今のところ、リリアにツン100%で僕らにはその片鱗すら見せてこないけどな。
「なんつーか、猫っぽいっすよね? ほら。こっちが構えって言うまで、構ってくるなって感じが」
なるほど? アラシさんのそれは分かりやすい例えかも。
まあ、アウローナは『ウサギ』なんだけどね。
「アウローナ? 君はリリアのところにはいたくない?」
「……」
ド直球の質問をしてみると、アウローナはじーっとリリアを見つめ、渋々、彼女の足元へ近寄る。
とりあえず、いたくない……ことはないらしい。主人はリリアと認めている証拠だ。ならまあ、希望はあるか。
「リリア。幸い、主としては認識されてるから、関係値はゼロから頑張れ」
「う、うん。その辺は覚悟してたから大丈夫! 頑張るっ!」
うん。それでこそ、リリア。
じゃあ、改めて、精霊の扱いについて軽く説明しておこうかな。
「リリア、まずはこれからの呼び出し方なんだけど…精霊を呼び出す時は姿を思い浮かべながら名前を呼んでみて。きっと、呼び掛けに応えてくれる」
「う、うん……でも、今の私でも、呼び掛けに応えてくれる、のかな?」
そこは契約だし、大丈夫だと思うけど。試してみるか。
まずはアウローナをツバサさん達に預ける。そして、僕はリリアの手を引き、アウローナから少し離れた。
「とりあえず、この辺でいいや。呼んでみな?」
「……うん。……すぅ……はぁ……よしっ! 来て、アウローナっ!」
リリアの言葉に、パッと目の前に姿を表したのはアウローナだ。リリアに呼び出されて、若干不機嫌そうだが、その辺は触れないでおこう。
「ね? 大丈夫だろ?」
「……うんっ!」
単純なリリアさんはこれだけのことでも、とっても嬉しそうに笑う。そして、調子に乗ってアウローナに触ろうと手を伸ばしたが、肝心のアウローナからは完全拒否である。
「うぅ……なんでぇ~~~!!」
「呼び出し方法は大丈夫そうだな。あとはむやみやたらに呼び出さないこと、かな。精霊は道具じゃない。彼らは彼らの意思がある。そこだけは忘れちゃ駄目だよ」
「うん……分かった」
ずっと側いてくれる子もいれば、精霊界を好む子もいる。アウローナがどういうタイプなのかは分からないけど、これから共にする仲間だ。きちんと理解して付き合っていかないとね。
……こうして、リリアの精霊召喚特訓は無事、成功で幕を閉じる。とは言え、課題は多そうだけど……この状態で本当に体育祭に出るつもりなのだろうか?



~あとがき~
ようやく終わりました。締めが雑だけど、見逃してちょ☆

次回、生徒会メンバーとアウローナ。

ユーリとリリアーナの違い。
ユーリは精霊に慣れてるだけあって、仲良くなる距離感も掴むのが上手い。対するリリアーナは好きを全面に出してしまうので、アウローナから「いや、ウザい」って拒否されているご様子。ここから変われるといいなって思います。

ついでに。
最後の方にユーリが言ってましたが、精霊にも色々あり、常にこちら側に子もいれば、精霊界にいる子もいます。今まで出てきた子は大抵、精霊界ではなく、残ってくれてる子が多い気がします。セラフィーヌさんのネロ然り、ルーメンさんのクルス然り。ユーリのふわもですな。けど、お察しの通り、ノワールは後者のタイプです。アウローナは……どうなんでしょうね? 今後によりそうです。

ではでは。