satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第419話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、リリアーナの精霊召喚特訓編(長い)が終わりました。
今回から、新しい話になります。
いやはや……早いなぁ。いや、夏休みが長かっただけで、本来はこれくらいの周期か……
ラル「この人、未だに夏休み長編の呪いにかかってる?」
かかってるかもしれない……(滝汗)


《L side》
まだまだ残暑の残る今日この頃。
私達は冷房の効いた生徒会室で、いそいそと書類整理を……しているわけではなく。
この時間、なんと学生らしく授業に参加しているのである。……いや、いつも通りなんだけど。
ただ、普段と違うのは、いつもは座学の薬草学の授業の時間に、学校指定のジャージ姿を身に纏い、学園の所有する裏山……野外にいるという点だ。
私達、冒険科三年の他にも、魔術科の人達や、別学年の姿もある。
そう。今回の授業は薬草学。しかも、他学年、他学科合同実習なのである。
正確に言えば、集められているのは三年と一年、合わせて四クラスの生徒達である。
「ラル、フォースは?」
周囲を見渡していたティールが分かりきった疑問を口にする。彼もまた、上下共に学校指定のジャージ姿である。山中とはいえ、暑いのか、腕まくりしているけど。
意外とレアなんだよな、ティール、こういうのあんまり着ないから。
まあ、それはそれとして。
「いるわけないよ。裏山とはいえ、百人以上いる場に! 単なる授業で! わざわざやってくるわけがない」
いつぞやの必修科目のサバイバル合宿ならともかく、一授業でしかないこの時間は、サボろうと思えばサボれるのである。要は、そういうことだ。
「なんなら、私に「次の薬草学、実習だよな? 休むわ~」って宣言してましたけどね?」
「はあ……まあ、そんな気はしてた」
「はい、はい。皆さん、揃いましたね~」
三年の薬草学担当教師、マグリル先生がゆっくりと手を叩いて、私達の注意を向けさせる。
見ているこちらが心配になるくらい、かな~りのおじいちゃんなのだけれど、授業自体はとても分かりやすい。的確に伝えたいことを伝えて、要点も分かりやすくまとめてくれる先生だ。
「今から、皆さんには予め決めておいたグループで行動してもらいます。そして、ペアとなる一年のグループを決めるため、こちらのくじを引いてもらいますからね。最後に、くじを引いた生徒さんに、課題を記した紙も手渡しますね~」
つまり、後輩決めのくじ引きと課題プリントを用いて、実習に励めってことらしい。
「今回の課題の中には毒草と似たものの採取も含まれていますよ~? 皆さんは先輩ですからねぇ。毒草の見分け方、採取方法等々……きちんと一年生をフォローするよう、お願いしますねぇ」
のんびりとした説明だったが、生徒達は問題なく主旨を理解しているらしかった。誰もが礼儀正しく返事をする。
「マグマグせんせ、ちゃんと釘は差してくる辺り、抜け目ないよね」
この山での実習とあれば、やりようによっては、さっさと終わらせることが可能である。例えば、薬草採取を後輩に任せるのではなく、自分達でやってしまう。そちらの方が手っ取り早いし、何より楽である。
しかし、それでは後輩とやる意味がない。だから、君達はきちんと先輩としての責務を果たしなさい……ってことだ。
「マグリル先生、な。きちんと名前で呼びなさい。……アリア、今回はラル共々、よろしくね?」
と、私達の背後にひっそりと立つ、人魚族の少女……クラスメイトのアリアちゃんに話しかけた。アリアちゃんはティールの言葉に静かに頷く。……もちろん、どこから入手したのか謎の山菜を食べながら。
なぜ、私とティールの所へアリアちゃんがいるのかというと……経緯は単純だ。
授業中、アリアちゃんが居眠りをしていてグループ決めから溢れたからである。
ちなみに、グループ決めの際も、フォース君はサボりを決め込んでいたので、初めから、これに参加するつもりがなかったのだろう。
「──では、グループのリーダーさんはくじと課題の紙をもらいにきてくださいねぇ」
「いってきま~す」
「いってらっしゃい、ラル」
「…………ん、よろしく。ラル」
……なんで私、探検隊でも生徒会でもリーダーやって、こういう授業でもリーダーするんだろう。いいけど。慣れてるし。
ここまでくると、最早職業病なのでは、と不安になりつつも、先生のいる所へと向かった。
今回、マグマグせん……いえ、マグリル先生の他にも先生がいる。
一年の薬草学担当、ドロシー先生。
養護教諭のリアさん。
そして、謎の人選、非常勤教師のイグさん。
以上、四名が今回の実習の引率の先生達だ。
マグリル先生やドロシー先生は担当だから分かる。リアさんも野外活動で怪我や体調不良の生徒に対応するためにいると思えば、何も不自然ではない。
だが、イグさん……あの人だけは本当に謎だ。いやまあ、イグさんは教師である前に、れっきとした現役探検家。薬草の知識はマグリル&ドロシー先生には及ばずとも、一般生徒以上には持ち合わせている。それを踏まえれば、不思議ではないけど……なんていうか、それにしたって、謎ではある。
マグリル先生達の手伝いにいるとしたら、それこそ、謎人選すぎる……と、いうか、なんでイグさんなんだ!!
「ほれほれ、早くくじを引きなさ~い?」
私の目の前に、にやにやと楽しそうにするイグさんがいる。よりにもよって、この人の所からくじ引くのかよ。とことん、運がない。ティールの不運体質、移ったかな。
というのも、リアさんはドロシー先生と共に一年の方を手伝っているらしく、こちらとは離れた場所で、くじの配布をしているのだ。
全く……同じくじ配布なら、リアさんから引きたかったものだ。
「……で? なんで、いるんですか。イグせんせ」
「不測の事態に迅速に対処できるようにだよ。ほら、マグ先生やドーラ先生に無理させるわけにもいかないし?」
ふむ……まあ、あの四人の中では、イグさんが一番だけど……だからって、なんでこの人やねん。
ちなみに、「ドーラ」とは、ドロシー先生の愛称だ。
「そんな顔をしても、俺は帰らねぇぞ~? ほれほれ、さっさと引いた!」
くそ。顔は元からじゃい。
イグさんの所から引ったくるようにして、一枚のくじと課題プリントを掴み取る。
なんっで、あの人は毎度のように突っかかってくるんだろう。こんな可愛い後輩をいびって、何が楽しいんだ。
……まあ、あの人の態度に関しては、今更なのだが。
私はくじとプリント片手に、ティールとアリアちゃんの元へ戻ってきた。
私の表情を見て、何かを悟ったのか、ティールが困ったように笑っていた。
「……おかえり。何かあった?」
「イグさんに軽くいじめられた。なんなんだ、あの人はほんっとに!」
「君のそういう態度が原因だと思うけどね、ぼく」
うるせぇ! 元からじゃい!!
「それはそれで問題だけどな?」
「言い方を間違えた。あの人に対する態度が元からって意味だった」
「もっとよくないと思うのは、ぼくだけかな……?」
気のせいだ。
なんてやり取りをしていると、ふいに、とんとん、と肩を叩かれる。そちらを振り返れば、アリアちゃんが小さく首を傾げていた。
「くじ……どうだった……?」
「ん……あぁ、ごめん。イグさんと争ってたから、すっかり忘れてた」
私は二人にも見えるようにくじを開いて見せる。そこには『3-2』と記されていた。
この後、この番号と同じ後輩を探すのか……この人数から探すだけで大変そうだな。



~あとがき~
先週は普通に更新を忘れました。
久々にやったな……(汗)

次回、ラルチームと組む後輩とは……?

今回から新たなお話、合同実習(薬草学)編。少し前にも似たようなのがありましたが、こちらはラル達の話です。
しかし、いつもの三人組……ではなく、ラル&ティールのところにアリアちゃんがいます。理由は単純! フォースが不在だからです。作中でも言ってましたが、奴がこういうのに参加するタイプではないので……はい……(汗)
ちょっぴり珍しいトリオになりますが、よろしくお願いします!

ではでは。