satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第422話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、アラシ君とツバサちゃんのきゃっきゃっシーンがありました!
今回から薬草採取に赴きます。
アラシ「それがメインみたいな言い方はやめろ!」
何を仰いますの、アラシさん。あれがメインだよ?(真顔)
アラシ「はあ!?」


《A side》
……気を取り直して。
俺達は採取する薬草の一つ、『雨露草』を探すことになった。
『雨露草』は名前の通り、雨露の溜まりやすい場所に自生している。ティールが言うには、天候の関係もあり、湿気の多い所へ行けば、すぐに見つかるはず……とのこと。
こういうことに詳しいラルと……なぜかリラン─多分、やる気満々で気が急っているんだろう─が先導して先を歩く中、ティールが『雨露草』について、俺達に講義をしてくれていた。
「……あの薬草って、根っこの部分が強くて、引き抜くのに苦労するんだ」
「へえ……あ、だから、道具袋にシャベルがあるんですか?」
生徒全員に配られている道具袋─ナップザックみたいなやつ─には、薬草採取のための道具が、いくつも揃えられており、シャベルもその一つだった。
ツバサの言葉にティールは笑顔で頷いて返す。
「そうだね。でも、昨日は雨だったから、土も柔らかくなっているはず。きっと、地面を掘るのは苦労しないと思うな」
「分かりました! 頑張りますっ♪」
「うん。でも、地面が柔らかいってことは、ぬかるんでいるかもしれないから……気をつけて掘ってね」
「はい! ティールさんっ!」
流石、ティール。先輩らしく、俺達の知らないことを色々と教えてくれる。
……それに比べて、俺らの幼馴染みときたら、相変わらずのようで。
「アリア、それ、どっから調達してきたんだ? さっきまでそんなの、持ってなかったよな?」
ブルーベリーのような、小さなブドウのような……そんな紫色のきのみを両手いっぱいに抱えながら、夢中になって頬張っている。
「あほこ……あっは……いっはい……♪」
口いっぱいにして喋るんじゃないよ……まあ、何を言いたいのか分かるけども。
「あ、そう……よかったですね……?」
「あったよ~! それっぽいところ~!」
「あんっ!」
お、目的地っぽい?
ラルが指差した所は、教えてもらった通り、雨が滴るような木陰になっていて、その付近にはそれらしい薬草がいくつも生えている。
そんな薬草を指差して、ツバサが首を傾げる。
「ラルさん、これですか?」
「そうそう! 早速、渡された道具を使って、採ってみよっか?」
「はい。やってみま……」
「あんあんっ!!」
リランが「任せて!」と言わんばかりに、俺達の前に飛び出し、『雨露草』に向かって一目散に駆け出した。
「きゃっ! リ、リラーン!?」
こうなると、リランがしようとしていることは容易に想像できた。俺はツバサの手を引き、なるべくリランから離れる。もちろん、ラル達も同じのようで、俺達と同じように後退していた。
「わふわふわふっ!!!」
一方、リランは薬草の根本めがけて、勢いよく掘り出していた。そうなれば当然、辺りには泥が飛び散り、リランの純白の毛並みは瞬く間に茶色く濁っていく。
「わー! リラン!? そんなに勢いよく掘っちゃ駄目だよ! ティールさんも言ってたのにー!」
主の言葉はリランには届かず、ひたすらに掘り進め、数秒後、リランの口には『雨露草』が加えられていた。
……まあ、その代償はちょっと大きいけど。
「わんっ!」
「リ、リラ~ン……! んもう、だから勢いよく掘っちゃ駄目って言ったのに……!」
パッと見、白い犬ではなく、茶色い犬なのでは……と、勘違いしてしまうレベルで汚れてしまっている。
俺達はそんなリランを見て、呆れずにはいられない。ラルも苦笑しつつ、困ったように眉を下げていた。
「採ってくれたのは、ありがたいんだけどねぇ……? うーん。そうだな、アリアちゃん、ティール。リランを洗ってくれる?」
「ん。分かった……」
「了解。任せて」
「うぅ……ご、ごめんなさい……! アラシ、リランを乾かすの、してもらってもいい?」
「おう。それはいいけど……リランのやつ、乾かす時、じっとしててくれねぇんだよなぁ……?」
洗われるのは嫌いじゃないらしいが、どうにも暖かい風を当てられると、落ち着きがなくなり、押さえないと、どこかへ行ってしまうのだ。
「あら、そうなの? んじゃあ、ティールも押さえるの、手伝って」
「はーい。……でも、ぼくら二人でどうにかなる?」
「……どう、だろう? 俺とレオンがやる時は、二人がかりで四苦八苦するレベルだけど」
俺の答えにラルが顔をしかめる。
まあ、気持ちは分かる。それも今、そんな気持ちだから。
「マジ? なら、うーん……そうだなぁ」
ラルは数秒だけ黙ると、「出てきて」と一言呟く。すると、パチン、と赤い電撃が走り、ラルの手元に鞘に納められた刀が現れた。そして、道具袋から帯刀用のベルトを取り出し、腰に装着すると、雷姫を装備。
「雷姫、“身体強化”。……まあ、これでどうにかなるでしょ~」
「ちなみに……ならなかったら?」
ティールの質問にラルは真顔で一言。
「雷姫を具現化させる」
……リランの体を洗うだけなのに大掛かりになってるの、控えめに言ってヤバい。
ツバサも負い目を感じているのか、申し訳なさそうに深々と頭を下げる。
「皆さん、ごめんなさい……!」
「? あうん?」
ったく、事の原因は呑気だなぁ……?

『雨露草』の採取とリランの体を綺麗にしたところ─ちなみに、雷姫を具現化し、雷姫自身の力を借りてしまったことは言うまでもない─で……次の薬草採取へとむかうことにした、俺達。
まだ一つ目なのに、なんでこうも疲労が凄いんだろう……?
「……次はロネフ、探すか。ツバサちゃん、道具の中に袋に入った布があると思うから、出してみてくれる?」
「う? あ、はい。分かりました!」
俺と同じく、疲労困憊なラル─ラルの場合、雷姫に小言を言われていたので、それのせいのような気がする─がツバサに指示を出す。それを受けて、ツバサは道具袋の中を漁り始めた。
「なあ、あの布って……?」
「ロネフの近くに生ってるきのみの匂いが突いた布さ。今回、薬草を探す目的でなら、精霊の力を借りてもいいからね。多分、ラルは、ロネフをリランに探させるつもりなんだと思うよ?」
なるほどな。適当に歩いてきのみを探すより、効率がいいというわけだ。……というか、いろんな意味で疲れたから、休憩したいのかもしれない。まあ、その考えには賛成する。
ツバサが取り出した布をラルが受け取ると、ラルはティールの予想通り、リランにその匂いを嗅がせている。
「リラン。これがロネフの近くにある、きのみの匂いだよ。……よぉく覚えてね?」
「わふわふ……」
「頑張れ、リラン!」
「あんっ!」
ツバサの声援に応えるよう、一生懸命に布を嗅ぎ始めた。そして、しっかり記憶したのか、布から離れると、今度は地面を一生懸命に嗅ぎ分け始める。
「ラルはしれっとやってたけど……リランって、匂いとか嗅ぎ分けできるの?」
ティールの疑問は最もだろう。
普段、リランはツバサの精霊(犬)として過ごしてるけど、本来は武器であり、ドラゴンである。
そんなリランに獣っぽい特技があるのかどうか……気になるところではあるよな。
「一応、ツバサんちだと、誰かを探す時、あぁして探してるからな。使用人の人達もリランに探し物とか人、探してもらってるみたいだし……普通の獣並みに鼻は効くんじゃないか?」
「そうなんだ。じゃあ、できるのかな?」
多分な。
「……で、アリアは何してるんだい?」
そう問いかけられ、俺の横にいるアリアをチラリと見る。俺には、アリアが黙って辺りの匂いを嗅いでいる……ように見えた。
見えただけなので、実際、何をしているか分からないし、本人も答えるつもりはないようで、俺達の会話に入ってくる様子もない。
「知らね。学食の匂いでも嗅いでんじゃねぇの?」
「……そう、なんだ? でも、そんな匂い、しないけど」
大丈夫だ。俺もしねぇから。
そんな会話をしている俺達とは違い、真面目に探してくれているツバサとラルは、捜索の要でもあるリランの様子をじっと窺っていた。
「どう、リラン? 分かりそう?」
「……わふっ! あんあんっ!」
ツバサの問いかけに自信満々に頷き返す、リラン。そして、一方の方向を見て、元気よく吠える。
それと同時に、アリアもすっと同じ方向を指差した。
「あっち…………ある」
「ありがとう、リラン。じゃあ、そっち行ってみ~……? おろろ? アリアちゃんも分かった感じ?」
「ん。あっち」
俺とティールは無言で互いの顔を見合わせる。ティールは信じられないとでも言いたげな表情を浮かべており、恐らく俺もそんな顔をしているだろう。
「あーちゃん……ほんと?」
「ん……」
「あんあんっ!」
リランもアリアに同意するように吠えている。……マジで?
獣人である俺ですら分からない匂いを人魚族のこいつに嗅ぎ分けられ……ん?
「ラル」
「なぁに?」
「リランが探してくれたきのみ、もしかして食用か?」
「? うん、一応ね。食べられ、る……けど。いや、食べられるけど!? そういうことぉ!?」
……うん。まあ、はい。恐らく。
俺達は半信半疑になりつつも、リランとアリアの先導の元、『ロネフ草』があると思われるところまで向かってみる。
歩いて数分したところで、リランがパッと駆け出し、とある木の下で吠え始める。その木は黄色いきのみがいくつか生っており、恐らく、ラルが嗅がせた匂いの正体なのだろう。
そして、アリアはアリアで目にも止まらぬ早さでその木の下まで到着すると、きのみを頬張り始めていた。
「……アリアちゃん、末恐ろしい人」
「あはは……あーちゃん、食べ物のことになると、人一倍敏感になりますから」
……「人一倍」という単位ですませていいかは疑問だが、否定はしない。つか、できねぇ。
……とまあ、リランと……一応、アリアの活躍もあり、無事、『ロネフ草』も採取できた。
残るはあと、二つ、だな。



~あとがき~
リランが振り回したり、アリアちゃんが食の執着を見せたり。
これぞ、レイ学の空気感ってやつだね!

次回、残る薬草採取をするぞぉぉ!!

個人的な意見ですが、時々、アラシ君が身内(幼馴染み達)に冷めてるの、好きなんすよね。←?
彼からすると、見慣れた光景なので、適当に流してるんでしょうけど、そういうツッコミ放棄しちゃうアラシ君が好きです(笑)

ではでは。