satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第423話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、採取しなければならない薬草の内、無事二つ発見、採取しました。残るは二つ。
アラシ君達は採取できるのでしょ~か!
そして、今回はちょいとお久し振り、ラル視点です。理由はなんとなくです。


《L side》
採取対象である薬草の内、残るは『タートロ草』と『マレクの根』である。
『マレクの根』は最後にする予定なので、次に探すのは『タートロ草』だ。
「こうして見てみると、学園の敷地内とは言え、山の中って色々あるんですね~♪」
辺りを見回しながら、ツバサちゃんが楽しそうに呟く。
今回、指定されている以外の薬草や山菜、きのみ等々……山の幸は豊富である。これもまた、学園で管理されているからだとは思うが……学外の山も豊かであれば、これくらいは普通だ。
「ラルさん達はいつも、こういう依頼を受けられるんですか?」
「採取メインの依頼だけを受けることは、あんまりないかな。……でも、依頼を複数、受ける中に混じってることは多いよ」
討伐依頼と一緒に素材採取も、と採取関係は、おまけで受けることが多い気がする。特に薬草関係はそうだ。
理由としては、難易度の低さにある。もちろん、マンドラゴラのように危険を孕む薬草も多々あるけど、大体が新人向けの依頼であり、私達に回ってくること自体が少ない。
ギルド等、必要としている所の在庫が少なくなり、緊急依頼として出ていたから受ける。或いは、家で保管している薬草類の整理も予て、ついでに受けてみたり程度である。
もちろん、個人的に頼まれれば、依頼として引き受けるし、普通に行くけど、自ら請け負ってこなすことはなくなってきたかもしれない。
「私達、あの頃に比べて、成長したかもしれない……!」
「何を今更。……ぼくらが薬草採取の依頼をメインにしなくなったの、数年前からだけど?」
うるせぇやい……いいじゃない。改めて考えたことなかったんだから。
……と、雑談を交えつつも、ツバサちゃんやアラシ君から何か質問があれば、それにも答えつつ……目的である『タートロ草』を探していく。
あの薬草は基本、どこにでも自生しているのだが……どの辺にあるだろう?
皆で辺りを見回しつつ捜索していると、ツバサちゃんが何かを発見したのか、パタパタっと駆け出し、とある場所で手を振っている。
私も数秒程遅れて、ツバサちゃんに追い付くと、彼女はその場にしゃがみ、とある薬草を指差した。
「ラルさん! 見てくださいっ!」
「お。よく見つけたね、ツバサちゃん。それ、『タートロ草』だよ」
ツバサちゃんの足元にある青々として、丸みを帯びた葉っぱの薬草。それは私達が探していた『タートロ草』に間違いなかった。
一人で見つけられたことが嬉しかったのか、ツバサちゃんは嬉しそうに笑い、そっと『タートロ草』に手を伸ばす。
「じゃあ、早速、採っちゃいますね~♪」
「!? ツバサ、ちょっとまっ─」
アラシ君の制止の声がその場に響いたのと、私がツバサちゃんの手を掴んだのは、ほぼ同時だった。
「? ラルさん?」
「最後まで話は聞かなきゃ駄目だよ? タートロは扱いに注意しないと、こっちが怪我しちゃう薬草の一つだから」
タートロは、何もせずに触る分には問題ない薬草だが、採取するなら、注意しなければならない。この薬草は、採取の際に茎の部分を手折るのだが、この折った根本部分から液が滴ってくるのだ。
そして、その液が直接、素肌が触れてしまうと、火傷したような怪我をしてしまう。
「……だから、これを採る時は?」
「! すみません! 『手袋をして採取する』必要があるんでした……!」
「いいよいいよ。気にしないで? こうして、危ない目に遭う前に制止できるよう、私達がいるんだもん。でも、今後、一人で採る時があったら、その時はすぐに手を伸ばすんじゃなくて……その薬草一つ一つの性質を見極めてからにしようね?」
「はい……すみませんでした」
今回は自分の目で見つけられたことが嬉しかったから、つい忘れてしまっただけ。ツバサちゃんは『タートロ草』のとを知らなかったわけではない。現に必要事項はしっかり覚えていたのだから。
次、気を付けてくれれば問題ない。そのための合同授業である。
「それと……アラシ君?」
「……は、俺? なんだよ」
ツバサちゃんが見つけた所とは別のところで、ティールと一緒に『タートロ草』を見つけていたらしい。彼もまた、手袋をはめ、薬草の採取をしていた。
「ツバサちゃんが触ろうとした瞬間、やめるように叫んだでしょ? よく覚えてたね。偉い、偉~い♪」
「んなぁ!?」
「流石、騎士様は違いますなぁ?」
「う、うるせぇ! うるせぇ!! いちいち、その名前で呼ぶなっ!!」
私に褒められたのが恥ずかしいのか、騎士様呼びに照れているのか……まあ、恐らく、後者なのだが、アラシ君は顔を真っ赤にさせて大反発。
しかし、その表情とその反応では、もっと言ってくださいと言われているようである。
「あれぇ~? だって、アラシ君はツバサちゃんを守る騎士なんだよねぇ? なら、何も間違ってないと思うけど?」
「まっ……違って、ねぇ、けどっ……! そうじゃなくて、その顔で、そういうことを言うなって話だ!」
その顔とは、どういう顔なんだろ~? 生憎、ここには鏡がないので、分かりませんなぁ?
「そのムカつく顔のことだよ!!」
「ざんねぇん! 元からです~!」
「質、悪いな!?」
「ラルはちゃんとツバサを見てあげて。アラシもラルの言動に反応しない。格好のおもちゃになるだけだよ~?」
これ以上は真面目なティールが許してくれないらしい。私達の間に入り、アラシ君を引っ張って行ってしまう。
なんだ。ここからが面白いのにな~?
「? ラルさん?」
「ん~ん? なんでもない! じゃあ、せっかくだし、この辺にある『タートロ草』、もう少し採ってみよっか?」
「はいっ!」
私達が楽しくお喋りする中、ふとアリアちゃんの方を見てみる。あちらは、リランと一緒に─と言うよりは、リランはアリアちゃんの様子を見ているだけだったが─黙々と『タートロ草』の採取をしてくれていた。
ある意味、アリアちゃんが一番マイペースかもしれない……等と全く関係ないことを思いつつ、私達は薬草を採っていった。

さて、最後に採らなきゃいけないのは、ある意味、最難関の『マレクの根』である。
思ったより簡単に、それらしき薬草郡の生えるエリアを見つけられたのが、やはりと言うべきか、マレクとマンドラゴラが混じったエリアのようだった。
私達はそれぞれ散って、採取することにした。ティールはツバサちゃんと、私とアリアちゃんはアラシ君とだ。
あちらでは、ティールの付き添いの下、ツバサちゃんはリランと共に、二つの薬草と、にらめっこしている最中だった。
「う~ん……どっちだろうね~? リラン……?」
「くぅん?」
流石のリランもサンプルのない状態では判別できないらしく、ツバサちゃんと一緒に首をひねっている。
「うむ~……? あの、ティールさん、こっち……マレクの葉っぱ……ですか?」
と、右の葉っぱを指差した。
ティールはチラリと二つを見比べ、にこりと笑う。
「残念。どっちもマンドラゴラ。もし、抜いてたら叫び声が上がってた」
「ふえ!? ど、どっちも!?」
「うん。そうだな……ちなみに、こっちがマレクの葉、なんだけど。……どう?」
と、すぐ側に自生する葉っぱを指差した。ツバサちゃんはティールに教えてもらったマレクと、自分が見つけたマンドラゴラを何度も見比べるものの、どの辺が違うのか分からなかったらしい。しゅんと耳を下げ、力なく首を振る。
「やっぱり、難しいですね……できたら、私自身で見極めてから、誰かに確認してもらって、抜いてみたいって思ってたんですけど。まさか、どっちでもなかったとは……」
「こればっかりは、経験と慣れが必要だから、今回、できなくても焦らなくていいよ。きちんと自分で判断できるまで、誰かに確認してもらうといい。……まだ時間もあるし、あっちの方で再チャレンジする?」
「ぜひ! お願いします!」
頑張る天使は可愛い……! この一言に尽きる。
一方、アラシ君はというと。
こちらも、最初は自分自身で見極めたいとの申し出があったので、私はその辺に生えているきのみを観察しながら、彼の回答を待っていた。ちなみに、アリアちゃんは私の隣できのみを食べている。
ツバサちゃん同様、相当悩んじゃってるけど、大丈夫だろうか。思考の迷宮に迷い込んでなきゃいいのだが。
こういうのって、悩めば悩む程、正解が分からなくなるんだよねぇ……?
「あぁ見えて、アラシ……真面目だから……なんか、こうなるの……想像、してた」
あぁ見えてって言うのは、アラシ君に失礼なような……まあ、そこは幼馴染みとして、思うところがあっての発言かな。
「……二人とも、見てもらってもいいか?」
お、ようやくどれにするか決めたようだ。
私達はアラシ君の近くへ行き、彼の指差す葉っぱを見る。
「俺はこっち……だと、思うんだが……どう、ですか……ね……?」
決めるには決めたみたいだけど、相当自信がないようで、言葉に覇気はないし、なんなら最終的に、敬語になっちゃっている。謎である。
彼の指差す葉っぱは大正解、マレクの葉っぱである。
「うん。抜いてみたらいいんじゃない?」
「は!? そんな軽い感じ!?」
「? うん、正解だからね。思い切りやんなよ」
「…………本当に?」
……なぜ、問題ないと答えたのに、疑われているんだろう。
「実はマンドラゴラでしたってオチじゃないだろうな。もしそうなら、シャレにならんぞ?」
「仮にそうだとして、困らないでしょ? ここ、魔物避け範囲内だからね。叫び声が上がっても、魔物は寄ってきませんが?」
「だからこそ、わざと抜かそうとさせるんじゃないのか?」
あぁ、なるほど。そういう考えか。確かに、それはそれで面白いけど。
そんなアホみたいな悪戯をしたところで、私はティール様にお叱りを受けるだけですし……それにあんなうるさい叫び声を天使の耳に入れるわけにもいくまい。
でも、永遠と疑心暗鬼になるアラシ君の反応はとっても面白くはある。
まあ、私の信用がド底辺な点を突っ込まないでおくとして、だが。
「じゃあ、もうそれ、マンドラゴラでいいよ。別の探しなさい」
「適当を言うな!?」
「アラシ君が抜きたくないんなら、抜きたいやつを抜きなよ~……それがマンドラゴラだったら、全力で止めるからさ~?」
「…………本当に、いいんだな。これ、マレクの根っこが出てくるんだな!?」
遂に覚悟を決めたのか、アラシ君が自分で選んだ葉っぱを掴んだ。
「いいよ。どうぞ?」
「…………ぬ、抜くからな。抜くからな!?!?」
なんだ、その念押し。いっそ、抜かない方が正解では?
こんな不毛なやり取りをしていた私達だったが、遂にしびれを切らしたアリアちゃんが突然、べしっとアラシ君の頭をひっぱたいた。
「早く抜け」
「いってぇ……は、はい……すんません……」
幼馴染み、つえぇなぁ……



~あとがき~
わ~い。これで課題達成っ!!

次回、課題を終わらせた一行に起きる事件とは。

なんかこういう空気感、久しぶりなので楽しいですね。やっぱり、わいわいしてるのが一番……!
また何かしらでこんな授業風景みたいの書けたらいいんですけど、いつかあるのかな……? あるといいなぁ……(他人事)

ではでは。