satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第424話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラル達は課題となっていた薬草、四種類をゲットしました。わ~い!
そんな一行はのんびり残りの時間を過ごすことでしょう!
ラル、アラシ「本当に?」
…………過ごすことでしょう!!
ラル「適当に勢いで誤魔化すんじゃない」
アラシ「つか、誤魔化せてるか?」


《A side》
色々あったが、俺達は課題になっていた薬草全てを採取することに成功した。
各々、採取した薬草を確認していると、ティールがため息を漏らす。
「全く、ラルは最後までアラシを困らせて」
どうやら、俺とラルのやり取りは、少し離れたところにいたティールの耳にも届いていたらしい。
そんなティールの言葉に不服だったのか、じとっと彼を見つめ、反論し始める。
「いや、最後のは完全にアラシ君が尻込みしてただけでは。私、ちゃんと大丈夫だよって言ったし」
最後のはってことは、他は自覚あんのか。性格悪いやつめ。
「日々の積み重ねの結果だろ」
「それ、今、どうにかできないやつだよね!?」
それはそう。
ラルとティールがそんなやり取りをする中、ツバサにとって、今回の合同実習は有意義な時間になったらしく、満面の笑みを浮かべていた。
「何事もなく全部、採れてよかったね♪」
「何事もなく……なのかは微妙だけど、課題をちゃんとクリアできたのは、間違いないな」
「うんっ! それに、今回の薬草以外にもラルさんやティールさんに色々教えてもらったし……あーちゃんには食べられるきのみの見極め方、教えてもらったし!」
アリアのやつ、いつの間にそんなことを。
しかし、ティールと……あと、認めたくはないが、ラルは流石だ。
探検隊としてのスキルが高いのだろう。少し見ただけで、どんな薬草なのか、効果があるのか、採取の方法、用途等、俺達にすらすらと説明してしまうのだから。
普段、学校じゃ、だらだらしたり、今回だって、ちょいちょいティールに怒られていたラルだが、俺達に要点は教えてくれていたし、サポートだって完璧だった。
だからこそ、ラルに何か言われても、大体がド正論で反論もできない。文句は言えても、簡単に論破されるから、悔しいんだが。
「……皆、採取し忘れた薬草はない?」
一通り話が終わったらしいラルが全員に呼び掛ける。ラルの言葉に俺達は問題ないと頷いて見せる。
それを見たラルも満足げに頷き、にこっと笑う。
「よし、じゃあ、ぼちぼち集合場所に向かおう。のんびり向かえば、ちょうどいい時間に到着できるはずだからね」
「はーいっ!」
「あんあんっ!」
「おう……」
「了解」
「……ん」
このまま、Uターンして戻れば集合場所かな。なら、こっちか?
出発しようとしたところで、ラルが待ったをかける。俺達は皆、不思議に思い首を傾げた。
「ごめん。集合場所に向かおうって言ったけど……まだ時間あるし、私の疑問解消しに行ってもいい?」
なんだ、疑問て。
「今回の行動範囲」
……確か、範囲外に出ると、リア先生のソイルが出てくるんだったか。最終的に俺達はソイルに出会わず、採取を終わらせたけど。
「別にどこでもよくない……? わざわざ範囲外に出ることもなくない?」
ティール君は分かってないなぁ? だから、私の単なる興味なの」
「分かってるから突っ込んでるんだろ」
ティールは呆れ気味だが、ツバサとアリアは肯定的のようで……
「私は大丈夫ですよ。もう少し、山の中見て歩きたいですから」
「私も。……あっちの方、美味しそうなきのみの匂いするし……♪」
「……ま、俺も時間内に戻れるならいいと思うけど」
多分、俺らが集合場所へ向かおうとしても、ラル単独で行っちゃいそうだし。それなら、初めから皆で行動した方がいいだろ。そっちの方がラルを見失わなくてすむ。
「……はあ。皆がいいなら、ぼくはいいけどさ。そういう興味だけで動くの、ぼくといる時だけにしてほしいものだね?」
「諦めてよ。これは私の性だもん」
「知ってるよ……」
ティールも苦労してるな。

ということで、俺達の合同実習は延長戦となった。まあ、延長戦というか、番外編というか。
ラルに言わせると、集合場所を中心点とした時、俺達のいる位置は北西部に当たるらしい。そして、ラルの予想だともう少し歩けば、範囲外なんじゃないか、という見解だ。ソースは直感、らしいけど。
「参加人数は多いけど、他のチームとあまり顔を合わせなかったからね。範囲は思っているより広いと思うんだ。……んで、ソイルのカバーできる範囲を含めて、それらを予想すると……まあ、山中の中間地点を少し下った辺りかなぁと?」
「そうなると、もう少しかもね。っていうか、そこまで予測してるなら、別に確かめる必要なくない? リア先生に聞けば終わりだったよね」
「やだなぁ? それじゃあ面白くない。真実は自分の目で見てこそだろう。……それが探検隊としての心得ではないのかい? 相棒よ~」
「分かっているよ。けど、それに関係ないアラシ達を巻き込んでるって気付いてね?」
ごもっとも。まあ、了承したのはこちらだし、存外、こういうのも悪くはない。何しろ、授業では習っていない薬草学の知識を教えてもらっているからな。
「……! ラル、足元」
「およ?」
突然、ラルの足元がモコモコと盛り上がり始め、そこから小さなゴーレム二体が飛び出してくる。
「うー!」
「うー! うー!」
ゴーレム達はラルに下がるように促しているらしく、短い腕をパタパタさせていた。
「リア先生のソイル……だな」
「うん。師匠のソイルが出てきたってことは、この辺りが範囲外……ってことですかね?」
「うー!」
ツバサに同意するよう、ゴーレム達は何度も頷く。
その様子にラルも満足したみたいで、嬉しそうに何度か頷き、その場にしゃがむと、ゴーレム達を撫で始めた。
「私の予測通り。ありがとう、ソイル。教えてくれて~♪」
「う!」
「満足した? じゃあ、集合場所、戻るよ?」
「おっすおっす! 大満足っ! ごめんね~? 付き合ってもらっちゃって!」
はいはい。スッキリしたようで何よりですよ。
今度こそ集合場所に向かおうとした、その時だった。
「ギャアァァァァァア!!!」
「!?」
「うー!?」
「うー! うー!!」
周辺一帯に、けたたましい叫び声が響き渡った。俺達のすぐ側ではなさそうだが、かなりうるさくて、思わず耳を塞いでしまいたくなる。
「ひゃー!? な、なんですか、この声!?」
「むぅ……」
「これは……誰かやったなぁ」
「…………あは。誰かやるとは思ったけど、それを私達の近辺でやられるとはね」
どうやら、三年生達はこの現象に心当たりがあるらしい。
ティールが周囲を見渡していると、とある一点を指差し、ラルの肩を叩く。
俺達もそちらを見てみると、腰を抜かしているのか、その場に座り込む男子三人組の姿がある。そして、その中の一人が何かを持っているような……?
「あそこの一年の三人組がやらかしてる。あの子達しかいないみたい」
「ふむ。大方、好奇心旺盛な男の子達が間違えて、マンドラゴラを抜いたな~? いや、或いは狙って抜いたか。……どっちにしろ、ちょっとまずいね。ソイル、あそこ、範囲外だよね?」
「……う~」
ラルの言葉に同意するように、ソイルは力なく頷く。
どうやら、あいつらはソイルの制止をはね除け、範囲外に出てしまったようだ。
しかし、そんなことをあいつらに同行していた先輩が許すものなのか? つっても、あいつらの近くに先輩らしき影はないけど。
「たまにいるよ……? わざと先輩から離れて、勝手に行動する……そんな一年。……私の時もいた。……怒られてた」
あ、そうなんだ。これ、よくある事例ってことなのか? 一応、兄貴が実習前に釘指してたけど、意味なかったらしい。
この状況やラル達の言葉から察するに……あの一年達はわざと先輩達の側を離れ、ソイルの警告すらも無視し、魔物避け範囲外のエリアに出た。そこで見つけたマンドラゴラを何を思ったか、自分達の判断だけで引っこ抜いた結果、マンドラゴラの叫び声に驚きと恐怖で腰を抜かして、動けずにいる……こんなところか。
「ツバサ。ポケベル鳴らしてくれる? 先生達に居場所を教えたい」
「は、はいっ! 分かりました!」
「……でも、どうするの……? ここ、先生達のいるところから結構、離れてる……」
アリアの質問にティールも小さく頷く。
「確かに。ガルムさんが来るのが先か、魔物の大群があの子達のところへ到達するのが先か……微妙なラインだ」
「そうだろうね。……なら、やることは決まってるよ」
ラルの得意気な笑みに、こいつの考えを悟ったらしいティールがため息を漏らす。
「イグ先生は『自分達だけで対処しないように』って言ってなかったっけ?」
「それは一年生に向けた忠告っしょ。経験値豊富な私達には関係ない」
そりゃ、一年生に向けた言葉なのは間違いない。しかし、だからと言って、三年だけでトラブル対処していいとは、ならない気がする。
「なんつーか……こじつけっつーか、屁理屈に聞こえるぞ、それ」
「あら? アラシ君はあの子達が襲われるところを黙って見てるのが正解だって言いたいの?」
「はあ!? んなことは言ってねぇし!」
「あはは♪ ごめんごめん。要するに、先輩に任せなさいってことよ」
ラルは無駄に頼りがいのある笑みを浮かべ、最早、行く気満々って感じだ。
「……兄貴に怒られても知らねぇぞ」
「わはは~♪ 今更、あの人の説教なんて怖くないもんねー!」
笑い事じゃないけどな!?
「まあ、この状況は……探検隊としても、先輩としても、会長としても、放っておけないからね。行ってきま~す♪」
ラルはにこっと笑うと、ソイルが侵入を止めていたラインを軽々と飛び越え、腰抜かした三人組の元へ走っていってしまった。
……あーあ。誰かに相談するでもなく、勝手に行きやがった。



~あとがき~
マンドラゴラの説明があった時、こんな展開あるだろうなって思われていたことでしょう。
はい。お約束展開だね☆

次回、ラルと魔物の大群。
さらっと終わる予定。

どっかで言った気もするけど、特に言うこともないので言っとこう。
今回みたいにばちっとラルの真面目スイッチ入るの、好きなんすよね。こういう二面性がたまらん。うちの子語り、且つオタクですみません(汗)
まあ、どんなキャラでも二面性はあると思ってますけどね! その差があればある程、おいしく感じるものです。えぇ!

ではでは。