satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第425話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどたばたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、お茶目(?)な一年生達がマンドラゴラ抜いちゃったところにラル達が鉢合わせしちゃいました。


《Te side》
あぁ、もう。ラルのやつ、好き勝手言い残して、一人で勝手に行っちゃった。本当に勝手なんだから。
「ラルさん、行っちゃいましたね……わ、私達も加勢した方がいいですかね……? マンドラゴラって、たくさんの魔物を呼び寄せちゃうんですよね?」
「そうだね。……いや、いい。ぼくが行く。三人はここにいて」
ラルの言葉を借りるわけではないけど、イグさんに説教されるのは、まあ、慣れている方だ。もちろん、ぼくはラル程ではないけど。
いや、別に進んで怒られたい訳じゃないんだけどな……とは言え、この状況を傍観できる程、先生の言いつけを守る生徒ではない。
「アリア、アラシとツバサのこと、お願い。怒られるとしても、全員で怒られる必要はないからね」
「……ん。分かった」
「ありがとう、頼んだよ。……ごめん、ソイル。ぼくも行ってきます」
「うー!」
あの二人は仕方ないな、という意思が伝わった気がしたけど、知らないふりをしておく。
ラルから数十秒遅れて、ぼくも現場に到着した。そこでは、ラルが呼び出した雷姫さん片手に、後輩が握っていたマンドラゴラを取り上げているところだった。
未だ、マンドラゴラは悲痛な叫び声を上げ続けていて、その声に呼応するように魔物の気配がこちらに向かってきている。
ラルが、スパン、と雷姫さんでマンドラゴラを一刀両断すれば、叫び声はびたりと止む。そして、あっけらかんとした声でぼくに話しかけてきた。
「あれ? ティールも来ちゃったの?」
「君が飛び出していったからね。行かざるを得ないだろ」
「あはは♪ 別に私一人でよかったのに。これくらい、余裕だよ?」
そう言うことじゃないんだけどな……まあ、いいや。
「どうするの、リーダー」
ぼくがそう問いかければ、彼女は『探検隊』の顔付きになる。
「魔物全員、殲滅する。……ティールはその子達の護衛と私が討ち漏らした敵の相手をしろ」
「了解」
護衛対象……後輩達を見てみれば、幸いにも怪我はなさそうで、本当に腰が抜けてしまっているだけのようだ。
となると、魔物を目の前にしても、勝手に逃げ出してしまう……なんてことはなさそうだ。それは楽でいい。
「君らの行いについて、色々言いたいけど……それはきっと、先生達の役目だ。今は動かず、じっとしていて。いいね?」
ぼくの言葉に、首が取れるんじゃないかって勢いで、何度も頷く。
その様子を笑って見ていたラルだったけど、ふと思い出したことでもあったのか、何か小さく呟いた後、ぼくの方を見てきた。
「……ところで、ティール? 今、スイちゃんとセツちゃんはいるの?」
「君は、ぼくが単なる薬草学の実習に、あいつらを持ち歩くと思ってるの?」
呼び出せない距離ではないけど、あいつらを必要とする相手でもない。このままで問題ない。
「くふふ。じゃあ、援護よろしく」
「任せて」
ここは学園の管理する山の中。出現する魔物もそこまで強くない。そんな魔物が何体、何十体と襲いかかってきたとしても、ぼくらの敵ではないのは明白だ。
ラルが雷姫さんを、ぼくが懐中時計を構え、臨戦体勢を取ったのと、魔物がぼくらの視界に捉えたのと……そして、ガルムさんが到着したのは、全てが同タイミングだった。
『おや。ラル嬢ちゃんにティル坊ではないか。なぜ、このような場所に?』
ガルムさんは、ぼくとラルがこちら側にいることが不思議みたいで、首を傾げている。そんなガルムさんを見て、ラルはパッと顔を輝かせた。
「ガルガル先輩っ! 待ってたよー!」
『おやおや……そうかい? それは待たせてしまったようで、すまなかったね』
ガルムさんは長寿な精霊だからか、或いは、高位だからか、主人でもないぼくらに対しても、念話を使い、言葉で意思を伝えてくる。
「ガルムさん。何度も言いますが、ティル坊というのは……少し恥ずかしいので、止めてほしいんですけど」
ぼくの控えめな抗議には答えず、ぐるりと辺りを見回し、「ワシはどうしようかねぇ」と、状況にそぐわず、のんびりとしている。
「ガルガル先輩は、あの子達を安全なところへ。その間、私とティールで魔物の相手をしておきますから」
『ふむ。……まあ、その方が最小限の被害ですみそうだ。では、小物の相手は任せるとしようか』
「お任せあれ! 行くぞ、雷姫!」
ラルはそこまで迫っていた魔物の一群を蹴散らしに行く。
その間、ガルムさんはぼくの方へ近寄り、三人組の一人の首根っこを咥えると、ひょいっと宙へ放り投げた。間髪入れず、もう一人もひょいっと投げると、二人を自身の背に乗せる。
『流石に三人を一度には運べん。ワシが戻るまでの間、ティル坊、任せるぞ?』
「はい。ガルムさんも、その子達をお願いします」
『あい。承った』
ガルムさんは二人を乗せ、軽やかに山中を駆けていく。
さて、ぼくもラルの加勢をしよう。
と言いつつも、ぼくの第一任務は残された後輩の護衛。彼から離れるわけにはいかない。
なので、ぼくは懐中時計を使って、複数の水と氷の矢を作り出す。それらを狙いを定めて、一気に放った。
それらはラルの死角から襲いかかろうとしていた魔物達の体を貫き、一撃で霧散させた。そこまでの威力を込めたつもりはなかったのだが、やっぱり、普段相手にしている魔物より弱いんだろう。
「ナイス、ティール!」
ラルは宙を舞うように敵を翻弄させながら、雷姫さんによる、斬撃、雷撃を巧みに切り替えて次々と倒していく。
その戦い方はかつてのリアさんのように見えて……いや、ラルは現役時代のリアさんに、よく稽古をつけてもらっていたので、元々、戦い方は似ていたのだが……そうではなく、動きがより洗礼されている気がする。
まあ、なんだ。要するに、だ。
「……ラル、強くなった?」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん♪」
少し離れていたのに、ぼくの呟きに反応できるんだ。
ラルは敵を蹴散らしつつ、ぼくの疑問について答えてくれた。
「この前、セラフィーヌさんに稽古つけてもらってたからかな。体、軽いんだよね~?」
「そ、そうなんだ」
そう言えば、『明けの明星』に滞在していた時、ラルは朝練に参加していたんだったか。ぼくは眠すぎて無理だったけど。
「それそれ。そこで、師匠の師匠に体の使い方を教わってきた。そのお陰だね、多分。……根本的なスタイルは変えてないから、急激に強くなった訳じゃない。力の出し方を変えた……って感じ?」
「へえ……? それ、どんなメリットあるの?」
「持久戦もへばりにくくなりましたっ! だから、今までよりも長く、ティールと一緒に戦えるよ!」
……それは言い換えると、無茶する可能性も上がってるのでは?
「さあさ、どんどん行こー!」
「ラルさん!?!? 無視はよくないです!!」

ガルムさんが二人を送り届け、再び戻ってきた頃には、魔物の数も落ち着いていた。あと十数匹ってところだろう。
それをガルムさんも察知したのか、にこっと笑った後、こてん、と首を傾げるような仕草を見せる。
『これは……もしや、残りも二人に任せても問題なさそうかな?』
「もちのろん! お任せあれですよ、ガルガル先輩っ!」
「ガルムさんは生徒の保護を優先にお願いします。……それと、他で必要としているところがあれば、そちらに行ってあげてください」
『それは助かる。ワシも歳だからな……ここまで二往復した後、小物の相手をするのはな』
なんてことを言いつつ、残された一年生一人を背中に乗せる。
「えぇ? 歳って……先輩、ふっつーにお強いじゃないですか。現役でしょ?」
確かに。ご長寿精霊とは言え、戦闘はお手のものだったはずだ。ここの魔物程度なら、ガルムさん一匹でも問題なく対応できると思うけど。
『いやはや……ラル嬢ちゃんの雷の姫よりは、血気盛んではないぞ?』
ガルムさんの言葉に雷姫さんは何て答えたのだろうか。雷姫さんの答えを聞き、ガルムさんは楽しそうに笑う。
『はっはっは……♪ 少なくとも、お主よりは落ち着いておると思うているがね。……さて、残りは任せたぞ、ラル嬢ちゃん、ティル坊よ』
「はーいっ!」
「はい。任せてください」
ガルムさんがこの場を離れれば、ぼくもラルの隣に立つ。
ようやく、彼女の横で戦える。
「お待たせ、ラル」
ラルは一瞬だけ、きょとんとした表情を見せるものの、嬉しそうにニッと笑う。
「……さあ、残りも一気に片付けるぞ!」
「了解!」
ぼくも本格的に参加した結果、ものの数分で残りの魔物も倒してしまった。
まあ、この程度の魔物に苦戦するようじゃ、別の意味でイグさんやリアさんに怒られてしまうってやつである。



~あとがき~
戦闘がメインではないので、さらっとしてます。もう、さらっと流し見てください。

次回、楽しかった(?)合同実習も締めです。

ウキウキ合同実習でちょっとしたバトルを書くとは思ってなかったです。ですが、マンドラゴラの効果を見れば、どっかでやるってのは、明らかではありましたかね。
そして、密かに(?)ラルがパワーアップしてるのも公開。そら、夏休み中、ギルドの方々と混じって朝練してからね。
これが今後、何かに使われるのかは知りません! 未定!!(笑)

ではでは。