satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第426話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、マンドラゴラに呼び寄せられた魔物達をラルとティールが倒しちゃいました。終わり。


《L side》
「──うっし! 殲滅完了っ!」
辺りから魔物の気配が消えたことを確認して、『完了』の合図をする。それを聞いたティールは持っていた懐中時計を懐にしまい、ほっと息を吐く。
私も持っていた雷姫を消し、ぐっと背伸びをした。
「やっぱ、弱かったなぁ……手応えのない敵共だったぜ」
「ぼくらで手応え感じたら、アウトだろ」
まあ、それはそう。
なぜか、ティールはじとっと私を見つめてくる。何か言いたい目をしている。
「……なんで、勝手に走ってったの?」
「? この程度なら、一人でもいっかな~って? それに怒られるなら、私一人で十分だし」
実際、余力は有り余った状態で殲滅している。もちろん、ティールがいた分、楽はしているし、かなり早く終わったけれども。なんなら、時折、アリアちゃんの掩護射撃もあった。全く問題ないと思うけど。
しかし、ティールは何か気に食わないのか、呆れた様子で大きなため息を吐き出した。
「あ~も~……そういうところだよ。……ラルの力を信じてない訳じゃないけどさ、ぼくは君の相棒だろ。こういう時は一人じゃなくて、二人で、がいいよ」
「ふーん。……心配性ね?」
「……もう、そういうことでいい」
あら、なんか違ったみたい?
ティールは再度、ため息をつくと、くるりと方向転換した。
「皆のところに戻ろうか」
「ほ~い♪」
皆の待つところまで戻ると、ツバサちゃんがパッと顔を明るくさせて、私に抱きついてきた。
「おかえりなさいっ! ラルさんっ」
「ただいま~♪」
「……お疲れ、二人とも」
「うん。アリアもありがとう」
アリアちゃんは気にするな、という意味なのか、無言で首を振った。
「……やっぱ、お前らって凄いんだな」
ぽつりとアラシ君が呟いた。
その言葉に私とティールは互いに顔を見合わせ、二人して首を傾げた。
「お前らが協力して戦うとこ……初めて見たけど、あれが探検隊としての戦い方、なんだな」
素直じゃないアラシ君からそんなお言葉を頂けるとは……ちょっとびっくり。
「確かに。私もラルさんとティールさんが一緒に戦うとこ、初めて見ました! ラルさん一人だけなら、何回も見ましたけど、ギルドの朝練もティールさん、いらっしゃらなかったので」
そう言われると、そうか。
私は忌まわしき剣技大会でも、戦っている姿を見せている。とは言え、あれはあくまでも、魅せるための戦いではあったのだが。
大体、戦闘シーンなんて、他人に見せる機会の方が少ないのだけれど。
「私達は基本、一人が前に出て、一人が後衛というか……背中を預けるスタイルだからね。もちろん、ボス戦や対人戦だとまた変わってくるけど……それに、今回は初心者クラスの敵ばかりだったし、ティールに至っては、メイン武器すら使ってないから。あれが私達の全力ではないけどね?」
「スイとセツを使うまでもないよ」
頑なだな……いや、いいけど。
思いがけない事件に見舞われたというか、自ら飛び込んだというか……ともかく、余計に時間を使ってしまった。
「早く集合場所に向かおっか。色々あったけど、無事に薬草は集め終えてるしね♪」
「君が寄り道しなきゃ、余裕だったけどね?」
「いやいや? 寄り道しなきゃ、あの子達は救えなかったよ?」
「……それは、そうだね」
ふふん♪ そういうこと!
私達は足早にこの場を立ち去ると、集合場所目指して、歩を進めるのだった。

マンドラゴラ騒動もあって、ギリギリに集合場所へ到着した私達は、到着早々、リアさんにお呼び出しを食らった。
しかし、リアさんの目は怒ってなかったので、大丈夫なはず。
その場でツバサちゃん達とは別れ、私とティールは、黙ってリアさんについていく。そして、連れてこられた本部テント内では、先程の一年達が地面で正座をさせられ、先生三人にお叱りを受けているところだった。
さっきはマンドラゴラの叫び声の大量の魔物の気配に震え上がっていたが、今は先生らの怒気に震え上がっているご様子。
「よーしよし、無事だったのはよかったが……なんでこんなことになっているのか、お前らも分かっているよな~?」
と、イグさん。腕を組み、仁王立ちで彼らを見下ろしている。
「大方、自分達だけでどうにかできると思って、マンドラゴラ抜いたんだろ? それで、予想以上にでかい叫び声と魔物の数にビビって腰、抜かしたんだろ?」
一年生、図星なのか何も言えず。
何も言わないことをいいことに、イグさんは悪魔の笑み……いえ、黒い笑みを浮かべたまま、話を続ける。
「大体、一緒に組んでいたはずの三年の追跡を撒いたんだってな? おうおう……お前ら、いい度胸してんなぁ?」
先輩の目を盗んでグループを抜けるだけでなく、追跡すら撒いてるのは……なんかもう、何も言えません。あの事件、単なる自業自得やん……?
「うーん。なんていうか、三年は三年で面目丸潰れ……だな」
「そだね。とは言え、普通は故意に離れられるなんて思わないから、不意打ちだったろうなぁ。かわいそうな同級生達だよ」
私だったら、速攻で雷姫様を呼び出し、数分後には後輩達を簀巻きにしてやりますけどね。えぇ、もちろん。手加減なんてしてやりませんけどね、はい。
多分、ティールもしないだろうな。
イグさんの両隣にマグマグ先生こと、マグリル先生と、ドーラ先生こと、ドロシー先生がいる。おじいちゃん&おばあちゃん先生は、イグさんみたいに黒いオーラは出していない。出していないが、当然、怒ってはいるご様子で。
「おやおや、そのような度胸があるのなら……ぜひ、例の件を手伝っていただきましょうかねぇ」
「あらまぁ、マグリル先生? それってマンドラゴラの栽培の件……でしょうかね?」
「大正解です、ドロシー先生。……いやぁ、実はうちの研究室で栽培しているマンドラゴラの収穫が近々あるんです。今年は随分と豊作でねぇ……人手を探していたんですよ」
「まあまあ♪ それなら、この子達はぴったりですねぇ~♪」
彼らの意思とは無関係に話がどんどん進んでいく。
三人の中でマンドラゴラは見たくもないし、聞きたくもない物かもしれないけど、だからといって、やりたくないです、と言える空気でもなく。
「……よかったなぁ? マンドラゴラの収穫なんざ、滅多にできるもんじゃないぞ。しかも、豊作の時期とはね。お前ら、幸運だな~?」
今回の罰としてちゃんと手伝え、という威圧が凄い。
一年生の三人は高速で何度も頷く。その顔は真っ青だったけど……まあ、研究室のマンドラゴラだ。今回のような魔物の大群が押し寄せることはない。マンドラゴラの絶叫は延々と聞かなきゃいけないけども。
「……こほん。あの子達のお説教ももうすぐ終わるし、こちらもすませちゃいましょう」
黙って一年生の様子を見ていたリアさんが軽く咳払いをしながら、私達に向き合う。
「……ラルちゃん。あまり無茶は駄目よ? 今回は行動範囲が決められていたのだし、ここではあなた達は『生徒』なのだから。ティール君もね? 仕方なかったかもしれないけど、一緒になってルールを破るのは、よくないわよ?」
人を助けるためとはいえ、事情を知らない人から見れば、私達はルールを破った悪い子、だ。先生として、形式上、言っておかなければならない。それは理解している。
けどまあ、あの程度で無茶判定はしてほしくないものだ。
「ルールを破ったのは認めます。ですが、あの程度、私とティールにかかれば問題ありません。本気のほの字すら、出す必要ないです」
「いやまあ、そうなんだけど……そういうことじゃないと思うよ、ラル」
「ふふ♪……えぇ、本当にそうねぇ?」
? そう、だろうか?
「そうだぞ、お前達~?」
一年の説教が終わったのか、イグさんがいつもの笑顔を浮かべながら、こちらへとやって来た。
「ま、状況が状況だったし、とやかく言うつもりはないけどな~……けどな、ラル? 殲滅はやり過ぎだったんじゃないか?」
「あら。随分と生温いことを言うんですね、イグさん。あれがいつものダンジョン内で発生した救助依頼でも、同じことを言うんですか?」
「あはは♪ それを言われると、何も言えないな。そうだなぁ……? 『生徒』としてはよくないが、『探検隊』としては、よくやったな。ラル、ティール」
……は? 素直に人を褒めることあるのか、この人。
「……ありがとう、ございます。イグ先生」
ティールも「よくやったな」なんて言われると思ってなかったのだろう。びっくりした様子ながらも、感謝の言葉を述べる。
イグさんはそれ以上何かを言うことはなく、さっさと戻れ、と手をひらひらさせた。
……まあ、色々あったけど、薬草学合同実習はこれで幕を閉じた。
ちなみに、あの一年生はマンドラゴラの収穫地獄を味わうことになるらしいのだが……それは私の知るよしもないのである。



~あとがき~
色々ありましたが、これにて、実習編、閉幕!

次回、新しいお話の始まりです。

こうしてきちんと授業してるの、書くの久々な気がします。いやまあ、中高の合同実習あったけども……!
本編の割合として、夏休みが多いから、The.授業みたいなテーマの話が少ないのも要因かもしれない。学パロと銘打っているのにいいのだろうか……?
まあ、楽しければ、よしってことでお許しを。

ではでは。