satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第427話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、一年と三年による合同実習が終わりました。いえい。
今回からまた新しいお話です!
いつものより、ちょっくら長くなる予定ですが、お付き合いくだされ! 大丈夫。夏休みよりは短いんで!!
そして、今回は久々の第三者視点。行くぞ!



とある日の放課後、生徒会室にて。
何の用事か、或いは単なるサボりなのか。どのような理由かは不明だが、会長であるラルが不在な中、他のメンバーはいつものように雑談を交えつつ、作業をしていた。
このような時に話される話題に規則性はない。だからこそ、雑談と称されるのだが。
例えば、今日の授業であったこと。
例えば、最近、気になっていること。
今日の夕飯、休日の予定、生徒会の仕事の話、いないラルの行方……エトセトラ。
話題には欠かない生徒会メンバーである。
「……そいやぁ、今年もあんの? 例のやつ」
ずらりと文字や数字の並ぶ書類を横目に、電卓を叩きながら、フォースがなんとなしに疑問らしきものを口にする。その言葉に反応したのは、過去の資料整理をしていたティールだった。
「やるらしいよ。この前、手伝えって言われた」
「……おれも?」
「当たり前だ。一人だけ逃がすわけないだろ?」
「うげ~……マジかよ」
この話題にツバサはてんで心当たりがなく、思わず首を傾げた。
「何か生徒会でやるお仕事……ですか?」
彼女の質問に二人は互いの顔を見合わせると、困ったように笑い合う。そして、ティールが小さく首を振り、「違うよ」と答える。
「どっちかって言うと、探検隊としての仕事……になるかな?」
「まあ、ツバサは馴染みないかもな。お前、フェアリーギルド周辺の地区なんて行かねぇだろ?」
フォースの問いかけにツバサはこくりと頷く。この街に『フェアリーギルド』という探検隊ギルドがあるのは知っていた。しかし、彼女の住むエリアとギルドのあるエリアは少々離れており、探検隊ですらないツバサにとって、特別行く用事のない場所である。
ティールの「探検隊としての仕事」という言葉と、フォースの問いかけを踏まえると、自ずと話題に上がった『何か』は想像しやすくなった。
「ギルドで何かある……んですか?」
「そう。毎年、この時期になるとギルド主催でイベントをやってるんだ。……と言っても、同じギルド主催の『女神祭』より、小さいものだけどね」
「ということは、お祭りなんですね♪」
「そうだよ。親方……プリンさんがやりたいって言って、ずっとやってる小規模のお祭りらしくって」
ティールによれば。
ギルド周辺の地区は、探検隊やそれに関連した店が多い。そのため、一般人は特別訪れようとしない。当然である。用事がなければ、探検隊等と関わり合う機会はない。
その事実を親方であるプリンは「勿体ない! ボクはもっと、街の人と仲良くしたいよー!」という意見により、多くの人を巻き込むようなイベントを発案。親方権限(ゴリ押し)で進められたそれは、その地区で行われる小さなお祭りとして形作り、今も尚、毎年、欠かさず開催している。
この努力の結果、毎年、多くの人が足を運び、ギルドの依頼も増えたとかなんとか。……実はこちらの方が目的だったのでは、と言われる程、フェアリーギルドと街の人と親密な関係を築いた結果となる。
それはそれとして、行われるイベントとしては、周囲の飲食店に依頼をして出店してもらったり、参加者を募ったフリーマーケット、イベントステージで行われるいくつもの出し物等、小規模とは言え、それなりに力を入れているイベントであった。
「うちの学園からもいくつかの部活が参加する予定だぞ。……ほれ、課外活動のための申請が出てるだろ?」
先程までフォースが見て、電卓を叩いていた書類がまさしくそれだったらしく、それはツバサ向かって差し出された。
素直に受け取ったツバサがそれを見てみれば、参加予定の部活動名、参加人数、当日行われる予定の大まかな内容、必要経費等がずらりと羅列してあった。
「わ! たくさん参加されるんですね。……魔法研究部、演劇部、吹奏楽部……あ、図書部まで」
「フェアリーギルドの親方がプリンさん……校長だし、こういうことに前向きな姿勢を見せる方でもある。その証拠に、当日、各部活が必要とする経費はギルドが負担することになってるんだ」
「ギルドが? ほえ~……凄いですねぇ」
「なんも凄かない。奴が楽しいことに全力で、他のことは二の次なんだよ。……なんで、おれが経費の計算させられてんだか」
フォースが生徒会経費の計算をしていると思っていたツバサだったが、どうやら、ギルドから頼まれた仕事をしていたようだ。
「楽しいことに全力……まあ、否定できないよね。親方、そういうところあるし」
「むしろ、そういうところしかねぇわ」
「……そんな訳で、そのイベントにぼくらも手伝いに駆り出されるんだ。準備から当日までね」
ラルとティールは元フェアリーギルド所属の探検隊だ。その縁もあり、今でも何かといいように使われている。そして、二人が率いる探検隊メンバーも、全員が運営側ではないにしろ、同じように参加するのが通例となっていた。
「そうだ。もし当日、暇なら、ツバサ達も遊びにおいでよ。見て回る分には楽しいと思うよ?」
「はいっ! この後、アラシ達に聞いてみますね! ところで、ティールさん達はどのような形で参加されるんですか?」
「チームとしてはフリマに参加してて……個人としては運営スタッフとして、かな? ラルもぼくと同じ感じだよ」
「おれも。……楽したいけど、させてもらえなさそうなんだよな~」
「そうなんですね……せっかく、教えていただいたので、行ってみたいです♪」
「うん。待ってるよ。また何かあれば聞いてね」
「はいっ♪ あ、フォースさん、こちらお返ししますね」
「んー」
こうして、生徒会室では各々がいつも通りな放課後を過ごしていく。
そんな中で、ツバサはまだ幾分か先の『祭り』に思いを馳せながら、仕事を再開させるのだった。

──同時刻。校長室にて。
プリンから呼び出しを受けたラルは、プリンと二人きりの校長室で、沈黙を貫いていた。
目の前のプリンは真剣な眼差しをラルに向け、これから深刻な話でもしそうな雰囲気すらある。
「ラル」
「はい」
重苦しい空気の中、プリンが口を開いた。それにラルもゆっくりと頷く。
「今年もこの時期が来たね」
「……そうですね」
「つまり、あいつが……『悪の大魔王』が来る」
「…………そうですね」
二人の中で『悪の大魔王』とはどのような存在なのか。定かではないにしろ、この存在がこの場の空気を重くしているのかもしれない。
「分かっているね」
「はい。問題ありません」
ラルの返事を聞き、プリンはいつもの笑みを浮かべた。そんな彼に動じず、ラルは淡々と会話を続ける。
「現状、変更点はありますか?」
「いいや。ボクとしては今のところ、予定通りで構わないと思っているよ。君はどう思う?」
「私も特には。……まあ、個人的な意見を述べると、一抹の不安はありますが。……とは言え、協力者もいますし、なんとかなるんじゃないかと」
プリンは彼女の返答に満足そうに頷き、パンッと手を叩いた。すると、不思議なことに二人を包んでいた重苦しい空気がふっと消える。
純粋に二人の纏う雰囲気が変化したのだろう。現にラルはふっと息を吐き、気持ちを切り替えているところだった。
「じゃあ、ラル。首尾は任せるよ?」
「はい。お任せください。……ところで、一つだけよろしいですか?」
「ん? なぁに?」
「これ、校長室でする話じゃないですよね? ギルドですべきですよね、親方?」
ラルの指摘にプリンは答えず、ニコニコしているだけ。
そんなプリンに何も言えず、ラルはただ、大きなため息を部屋に響かせるのだった。



~あとがき~
今回から始まりますは、休日回(フェアリーギルド祭り編)でございまーす!
上手い具合に名前が思い付かんので、適当にお願いします。

次回、時は経って、祭り当日!
今回の話のメインはツバサちゃん達です。ラル達、ギルドサイドじゃないよ。

今までの休日回は短いものが多かったですが、今回のはそこそこあります。
やりたいことを詰め込んだ感が否めませんが、お付き合いくださると幸いです!

ではでは。