satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第130話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しげにしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
アリアちゃんメインの話のはずが、雫の話で終わってしまいました。なぜや。
今回は大食いなのでね……アリアちゃんが多いに活躍することでしょう。ラルはボケをきちんと処理してくれるんじゃないでしょうかね。多分。
ラル「私の担当じゃないー!!」
雫「ほよよ~」
アリア「…………?」


「……ふむ」
静かに私の話を聞いてくれていたアリアちゃんは、何かを考えていたみたいだけれど、どこか腑に落ちたらしく、私とアリアちゃんの間にちょこんと座っているしーくんの頭を撫で始める。
そんなアリアちゃんの行動にしーくんは不思議そうにしていたけど、警戒心はもうないようで嬉しそうに撫でられていた。
「? アリアちゃ──」
思案顔のアリアちゃんが気になって、それを問おうとした瞬間、『ぐぅ』とお腹の鳴る音が響いた。
「ア、アリアちゃん……?」
「はっ! 忘れていた……ラル!」
先程と同じようにがしっと掴まれる。こんな短時間のうちにアリアちゃんに二度も迫られることになるとは、誰が予想できただろう? 私はしてなかったです。
「このあと、暇……? お昼、食べちゃった……?」
え、なんでこんな真面目な話したあとにお昼ご飯の話になるの。アリアちゃんだからか? そういうことか?
「ま、まだだけど……どこかで食べようかなって話をしーくんとしてたところに、アリアちゃん見つけたから」
「……雫!」
私から離れると、今度はしーくんの肩を掴む。こちらは優しい手つきである。
「りゅ? なぁに?」
「雫……ラーメン、好き……?」
「らーめん? ちゅるる?」
しーくん、麺類は全てちゅるると形容する。麺=ちゅるるらしい。お米はご飯で、パンはパンと呼ぶのにだ。まあ、可愛いからいいんだけれど。
「ん。……ちゅるる」
「ボク、ちゅるるすきだよー!」
なぜ、今ここでラーメンの話をするのだろう。お腹空いただけなら、ラーメンじゃなくてもいいんじゃあ……あ?
そういえば、私達とは会う前、アリアちゃんは中華屋の前に立っていた。そのときは何を見ていたのか分からなかったが、今なら見えるか?
私は少しだけ身を乗り出し、中華屋へと目を向けた。若干遠くて詳しい内容は不明だが、大きく描かれたラーメンのイラストと『期間限定! あなた達はこの化け物達に勝つことはできるのか!?』という謳い文句でなんとなく察した。
多分、これ、何らかの理由で一人じゃ参加できないとかで、私達に参加してほしいんじゃないか……? あなた達と表記してあるし。
「ラル!」
「あ、はい」
「一緒に、ラーメン! 食べよう!!」
「ラル! アリアお姉ちゃんがね、ちゅるる、たべさせてくれるってー! ボク、おひるは、ちゅるるたべるー!」
「奢るから……! もちろん、雫も分も……! 僕が払う!!」
これでもかとぐいぐい迫るアリアちゃん。こんな積極的なアリアちゃん、同じクラス二年目の私も見たことがない。
こんなアリアちゃんを振りきれるはずもなく、私は頷くしか選択肢がなかった。しーくんも食べたいと言っているし、断る理由はないのだけれども。

「いらっしゃいデスヨ! 何名ネ?」
「三人です」
「ハーイ! 三名様、いらっしゃいよー!」
お、おぉ……陽気な店員さんだな。
アリアちゃんからの申し出を受け入れた私達は、中華屋さんへと足を踏み入れていた。店内はどこにでもある町中華屋と言った具合で、変なところはどこにもない。強いて言うなれば、店内に貼ってある大食いポスターくらいだろうか。
そこには私が表で見たものと同じものが貼ってある。さっきは遠目からだったから、大雑把にしか把握してなかったけれど。
ポスターのラーメンは大きく描かれ、最初に見えた謳い文句の他に、『四つの化け物が襲いかかる!』という挑戦的なメッセージもある。四つということは、品物が四つあるのか、ラーメン自体が四つ出てくるかの二択だろうか?
そんなポスターの隅に小さく、『二人一組で挑戦してください』という注意書がある。予想した通り、これのせいでアリアちゃんは挑戦できなかったのだろう。
「しーくんはどうする? 私とアリアちゃんは決まってるんだけど」
必然的にと言うか。なんと言うか。不可抗力と言いますか。
メニューをじーっと見ていたしーくんは、ぱっと顔を上げた。
「ボクね、おもちゃのあるちゅるるたべたい!」
おもちゃ……? お子さまランチ的なやつか?
「それは、『ラーメン大好き! ペンペンぬいぐるみ付きのお子さまラーメン』のことデスカー?」
お冷を持ってきてくれた店員さんがにこやかに答えてくれる。言葉の節々は片言なのに、メニューだけはばっちり流暢な店員である。
「それー! それがいい!」
「えっと、じゃあそれと、あの……ポスターのやつ、私と彼女で挑戦したいのですが」
「オー! お客さん、女の子なのにチャレンジャーネ! かしこまりよー♪」
伝票をさらさらっと書き、厨房へと引っ込んでいく。一体、どのようなものがくるのやら。
お店に入ってから、うずうずしっぱなしのアリアちゃん。こんなアリアちゃんに話しかけても、無視されるというのを嫌と言うほど大会で学んだので、隣に座るしーくんに話しかける。
「しーくん、ペンギン好きだったっけ?」
「むゆ? うんとね、ふつー」
おもちゃでお願いするくらいだから好きなのかと思ったけれど。男の子だし、こう……小さいボールとか特撮の変身アイテムとか欲しがるのかと。
「ボクね、てやーってへんしんするやつ、いらないの。ボクのヒーローはね、ちかくにいるから、いーの!」
ほーん……そうなんか。初めて聞いたな。
それは誰なのか聞こうと思ったのだが、しーくんの興味がうずうずしているアリアちゃんに移り、ポスターを指差して首を傾げた。
「ラルとアリアお姉ちゃん、あんなおっきーちゅるる、たべるの? たぁくさんよ?」
「食べる……! 楽しみ♪」
「ほあー! すごいねー!」
あ、いや、私はそこまで食べないんだけど……
「アリアお姉ちゃん、いつもたぁっくさん、たべるの?」
「……ん。食べる」
「いーっぱい?」
「いっぱい。……雫が食べきれないくらい……いっぱい」
アリアちゃん、スムーズにしーくんと会話しているな。もっと淡々としているのかと思ったのに。あと、しーくんと話していて、なんとなく落ち着いてきたようにも見える。
「小さい子は……可愛いから、好きだよ?」
「そう言えば、ツバサちゃんやツルギ君も可愛いって言ってたもんね」
「……ん。可愛い……ラルが雫を天使って言うのも……わかったし」
えへへぇ……そうだろそうだろ~?
「んでもこれ、ティールには分かってもらえないんだけどさ。面倒見はいいけどね~?」
「そうなの……?」
ティールは頼まれなくてもしーくんの面倒は見てくれるし、外にも連れ出すから、大いに助かってはいる。そこまで手のかかる子ではないけれど、お風呂とかちょっとした時間を任せられるだけで全然違うのだ。
……私、何目線で話しているんだろうか。
ティールとはね、いっぱいあそぶの! でもね、あさおきないから、あそんでくれなくて、やになるときもあるの」
本人のいないところでとんだ暴露である。飽きられてるぞ、パパ。
「……朝?」
「合宿でも最後に起きてきたでしょ? ティール、朝弱いんだよね。何にもない日だと、午後までぶっ通しで寝てることもあるから」
ここまでくると、朝が弱いではなく、むちゃくちゃ寝る人って感じではある。朝の寝起きは悪いティールも、午後に起こすとすんなり目を覚ましてくれるが。
「何も食べないで……?」
何も食べないよ。
「……僕には……無理だな」
だろうねぇ……
「お待たせしましたネ! まず先に、お子さまラーメンをお持ちヨ!」
下らない話をしている間にしーくんの頼んだラーメンが出来上がったらしい。
小さなラーメンとデザートのゼリーというラインナップだ。それらをしーくんの前に並べると、店員さんはぬいぐるみを差し出した。
「これがおまけのミニぬいぐるみデスネ!」
ラーメンを持ち、美味しそうに食べている小さなペンギンのぬいぐるみだ。お子さまランチのおまけだと侮っていたが、ふんわりとしていて手触りはよさそうである。
「かわいいね! ラル、みてみてー!」
むぎゅっと一度抱いてから私に向かって見せてくれた。そんな仕草だけで一週間分の仕事をさっと片付けられるくらいの活力が沸いてくる。いやほんと、なんなの。うちの子可愛い過ぎかよ……!
「アリアお姉ちゃんも! みてー!」
「ん。……かわいいね。……ぬいぐるみ、もらえて、よかったね?」
「あいっ!」
すっかりいつものアリアちゃんに戻ったらしく、しーくんに小さく笑って見せた。
……と思ったのもつかの間。しーくんのラーメンを見て、食欲が倍増されたのだろう。再びそわそわし始めた。
「……ラーメン!」
駄目だ。これ、ラーメン食べないといつものアリアちゃんになりませんわ。



~あとがき~
いつになったら食べてくれるんですかね。

次回、今度こそ! ラルとアリアちゃんに立ちはだかる化け物ラーメンとは!
今回やるはずでした。

朝の弱いティールは嫌いらしい雫。
何もない休日こそ、遊んでほしい欲があるんですね。まあ、基本仕事で休日もいないことが多い二人なので仕方ないかもしれません。
ティールはティールで起きれないこともないけど、眠いから欲に負けてだらだらするって感じです。真面目なティールが自分に甘くなる瞬間です。
あと、リンゴか。リンゴを目の前にするとキャラ崩壊しますしね!

アリア&雫コンビ、今後も機会あれば出してあげたいです。というか、雫は誰と組ませても円滑にコミュニケーションしてくれそうのでいいね。
恐れ知らずな雫です(笑)

ではでは!