satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第171話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で夏してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回でスカイとシリウスの過去編と、夏休み編導入が終わりました。
今回から夏休み編です。わいわいしたり、ちょこっとシリアスしてみたり……なんてのがあるかもしれませんね。どうなるのか、私も分からないです。イメージで語りました←
今回もちょいちょい視点移動もあると思いますので、誰視点なのか最初に明記してあります。ないときは第三者視点だと思ってくださいな!
まあ、基本、ラルだけどな。自キャラでやりやすいので(笑)


《L side》
約一週間前に返されたテスト結果は優秀な仲間達のおかげで、無事に赤点回避を達成。なんなら、魔法学の筆記テストは今までの最高得点を叩き出している。ティールにめちゃんこ感動され、なぜか涙目におめでとうだの、よかっただのと連呼された。例えるなら、『お母さん!? うちの子結婚するんだってよ!?』みたいなテンションである。フォース君も無言で私のことをよしよししてきたし。……いや、どんだけ低めを予測していたのだと問いたくもなるが。
そんなこんなありつつも、赤点とは無縁のティールと共に夏休み特別依頼のお仕事へと行けるわけだが、集合場所として指定されたのはツバサちゃんのお家である。なんでも、移動もツバサちゃん達と一緒に行くようで、「移動費もこちらで負担するってじいじが言ってました♪」とのこと。至れり尽くせりである。
準備も残された期間で済ませ、もし足りなくなれば現地調達という結論を出したので、荷物も大した量はない。
「ムーン、とものお世話と留守番……あと、悪いんだけど残った依頼とか後処理、お願いね?」
「ええ。任せてください」
白髪に紺色のメッシュの入った艶やかでアシンメトリーな髪を揺らし、うちの最年長のお兄さんこと、ムーンはにこりと笑う。その隣には膨れっ面のムーン相方の狐少女、ともがいる。
「ぶー……ズルいんだぞ。あたしもいーきーたーいー!」
「代われるもんなら代わってるよ。全く……」
未だに行きたくないオーラがちらちらしている、我がパートナーのティール君。仕事自体に不満はなくとも、父親と関わりのあるらしい場所に行くことに抵抗感があるらしい。
夏でもYシャツと薄手のベストにネクタイ─けれど、緩めにしている辺り暑いんだと思う─という、きちんとした格好のティールはしーくんの荷物の確認をしつつ、文句を言っている。
「とも、おみやげ、たくさんもってくる!」
「ぜったいだぞ!」
「あい! ぜったいっ!」
それを出すのはこちらなんたけれど……まあ、いいか。
しーくんは半袖のパーカーの上着にボーダーのTシャツを着ている。仕事というよりは、旅行スタイルである。
まあ、それは私も大差はなく……カーキーの七分袖の上着─本来はワンピースだけど、前を締めてないが故である─にノースリーブのシャツにクロップドパンツという……まあ、ラフな格好だ。
「うん。……忘れ物はないよ。ないけど、雫、ほんとにこれ持ってくの?」
ティールがひょいっと持ち上げたのは、いつかのアリアちゃんとご飯を食べたときのおまけのぬいぐるみ。ラーメンを食べるペンギンのペンペンだ。どうやら、あれ以来、大変お気に入りらしく、時折、このペンペンを抱いて寝ているみたいだ。
「うん! いっしょにねるの!」
「そ、そう。まあ、いいんだけども……じゃあ、行こっか。ラル」
「ほいよー……とも、ムーンの言うこと聞けよ。夏休みの宿題も忘れんよーにやること。いいね?」
「むぐぅ」
「とも。返事しろ。じゃないと、明日の仕事は連れて行か─」
「忘れずに宿題やる! だいじょぶっ!!」
ムーンの鶴の一言で、ともは態度を急変させる。これでもかと何度も頷く。
「帰ってきて半分以上残ってたら説教。終わるまで仕事はやらせん」
「う、ま、任せろ!」
「大丈夫ですよ、ラルさん。僕がちゃんと見てますから。安心してそちらのお仕事に専念してくださいね」
「うん、頼もしいよ。んじゃ、後は任せるわ。……さあ、ティール、しーくん。いっくよー!」
「了解だよ、リーダー」
「あいあいっ! リーダー!」

ツバサちゃんの家までバッジで移動……なんて、流石にできるはずもなく。かといって転移アイテムを使うのも変な話。つまるところ、徒歩で向かっていた。
もう夏本番とでも言いたげな、外の陽気。途中で通ってきた公園では、小さな子供達が水浴び目的なのか噴水付近で楽しそうにはしゃいでいた。
「あっっつぅ……なんでこんなにあっついの……?」
体質なのか、暑さに弱いティールがものの数分でグロッキーになっている。まあ、かさ張る荷物もあるからだろうけれど。
「もっと楽な格好すればよくね? きちっとさせてるからだよー?」
「うぅん……そうなんだけど、昔からこんなんだし……楽な格好が分かんない……」
暑い暑いと騒ぐ割に、汗はあまりかかないティール。これも多分、体質だ。
ティール、だいじょーぶ? おみず、だす?」
「ありがと、雫。大丈夫だよ」
しーくんのお水出すは洒落にならんもんな。
子供らしく、手加減がいまいちなしーくんは軽くやったつもりでも大惨事を招きかねない。まあ、これは攻撃とかにしか当てはまらず、彼のメインであるサポート系の技に関しては正確かつ、繊細なのだ。これをもう少し別のところに活かせたらよいのだが。
「……お。見えてきたよ。しーくん、あれがツバサお姉ちゃんのお家だよー?」
「ほわ! ボクたちのおうちより、おっきーのねー!」
そだね。これよりおっきなお家なんて早々ないよ、しーくん。
公園を抜け、しばらく歩いていると、例の立派で大きな門が見えてきた。前来たときはビックリしたものだけれど、今回は二回目。迷いなくインターホンを押した。
『はい』
「こんにちは、ラルです。ツバサちゃんから来るように言われて来ました~」
『お待ちしておりました、ラル様。今、お開けします』
声だけでは誰なのかさっぱりだったな。誰だろ?
インターホンの主の声が聞こえなくなるのと同時にガチャっと鍵が開く音が響き、門がゆっくりと開けられる。
「わぁ……全自動だぁ」
「いや、前もそうだったよね……どこに感動してるのさ」
「ほわわ! おにわ! ひろぉい!」
いや、いい感想が出てこなくてだな。
今にも走り出しそうなしーくんを慌てて抑え、手を繋ぐ。広く、公園のようでもここは人様の家である。走るなんて許しません。
綺麗に剪定された庭を通過し、玄関へと到着。以前はアラシ君が開けて、リランが突っ込んできたんだったか。
「開けるよ~? 雷姫、リランが突っ込んできたら速攻で避けるぞ」
『安心せい。玄関にあの駄犬の気配はない』
じゃあ、いいや。さらっと開けちゃお。
雷姫のお墨付きをいただき、安心して玄関を開ける。すると、玄関ホールには黄色い髪をボブカットに切り揃えたメイドさん、メアリーさんの姿があった。
「ようこそいらっしゃいました。ラル様、ティール様、雫様。……サロンにて、お嬢様方がお待ちでございます。ご案内しますね♪」
「ご丁寧にありがとうございます、メアリーさん」
「はわー! げんかんも、ひろーい!」
「こら。雫、叫ばない」
「はっ! わかったっ!」
メアリーさんに案内されるままに連れてこられた部屋に入ると、青のグラデーションのワンピースに薄手の青のカーディガン姿のツバサちゃんと、赤のタンクトップに白のカットソーを着たアラシ君……そして、─何となく理由は想像つくが─制服姿のレオン君がいた。あと、リランも。
「皆さん! おはようございます! いらっしゃいですっ♪」
「よぅ。ラルにティールと……噂の雫だな?」
「やっほほーい……」
笑顔で迎えてくれるツバサちゃんに、涼しい顔のアラシ君、そして、暑さでぐでっとしているレオン君。
しーくんにとっては初めましての三人だけれど、それよりも、この部屋が気になったのか、辺りをキョロキョロしていた。
「このおへや、リビングみたいにひろいね?」
「ん~……リビングではないかな。サロンだよ。えっと……家で言う……客間? とか?」
サロンねぇ? 直訳して。
「応接室、談話室とかかな。好きなように解釈して」
ほーい。流石、王子。こういう用語がさらっと出てくるわ。
「おはよ。今回はお招き感謝です、ツバサちゃん」
「いえいえ♪ 準備ができるまではゆっくりしててください。メアリー、ラルさん達に冷たい飲み物をお願いっ♪」
「畏まりました、お嬢様♪ ラル様、お荷物はこちらにどうぞ♪」
あ、はーい。
メアリーさんに言われた通り、三人分の荷物をまとめて置き、ツバサちゃん達の座るソファへと着席。
「うわ、ソファについてるこのシーツめっちゃつめた……え、やば。天国じゃない……? 欲しいかも……」
「さろん! ひろーーい! ラル、すごいね!?」
頼む。……恥ずかしいからやめてくれ、二人とも。



~あとがき~
さあさ。長い長い旅路のスタートはここだぜ。

次回、出発前の六人と一匹。
今回はリランの存在感あんまりないな。飛び付かないからかな?←

ここで出てきました。ムーンと灯。
名前はちょいちょい出てましたし、ムーンは回想の回想で出てましたが……ちゃんと出てきたのはここが初めてですね。
これでスカイ全員……かと思いきや、実はクラウがまだなのです。名前は出てるけど、ご本人はまだですね。いつになるのやら(笑)

ティールは暑いの駄目です。空海ポチャも駄目でしたので、そのまんま引き継いでます。スカイの主力二人、片っ方暑いの駄目で、片っ方寒いの駄目っていうコンビです……だからって仕事できないわけじゃないけど、どちらかといえば、ラルの方が耐えられない人ですね。ティールの方が我慢強いといいますか。

ではでは。