satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第207話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、午前パートで暇していたラル&ティールのなんちゃってバトルをお見せしました!
今後も何かしら戦うシーンはあるでしょうが、ラルVSティールはもうないかも。
ってことで、今回から午後パートですね。


《L side》
軽く(?)運動した私とティールは数分ベンチで休憩した後、さっさと部屋に戻った。基本、日陰から出なかったのと、セツちゃんを冷気に変えていて周りの体感温度も低かったのもあって、模擬戦中にティールがバテることはなかった。あれが何戦か続いてしまうと、ティールは使い物にならなくなるだろうが。
空調ばっちりな快適空間でのんびりしていると、部屋のロックが解除され、「ただいまー!」という元気な声と共にしーくんが帰ってきた。
「しーくん! おかえり~♪」
「おかえり、雫。……なんか汗かいてない?」
「うん! あのね、おまつりのれんしゅーとね、あそんできたよ!」
練習は分かるが、遊び……?
仕事に行っていたはずなのだが、しーくんはとっても楽しそうな笑顔で、堂々と遊んできたと宣言していた。
「そこでね、ツバサお姉ちゃんとツルギお兄ちゃんとはべつのね、おともだち、できたの!」
なるほど。なんとなく、話は読めてきた。
祭りでの舞に出る精霊役は、しーくん以外にもいる。その他の精霊役の子達と、親睦を深めるために遊んできたのだろう。レクリエーション的な。
しーくん曰く、ツバサちゃんのところのメイドであるメアリーさんに服の寸法を測ってもらった後、他の精霊役の子供達との顔合わせがあったらしい。そこで、仲良くなったとのこと。
しーくんは、そのような話を本当に楽しそうに話していく。しーくん一人での仕事はこれが初めてだから、どこか心配していた部分もあった。しかし、それは杞憂に終わりそうで何より。
「あのね! ツバサお姉ちゃんとね、ツルギお兄ちゃんがね、すごかったんだよー!」
「うん? ツバサちゃん達が?」
バスルームに置いてあるタオルでしーくんの汗を拭いてあげつつ、私は首を傾げる。何度も言うが、お祭りの練習の場だ。もしかしたら、神子である二人が何かを見せたのかもしれない。
「うん! えっとね~……あ! ダメ!」
と、慌てて両手で口を押さえるしーくん。
「駄目? ツバサとツルギが何かしたってやつが?」
「ないしょなの! ダメっていわれたの! だからね、いわないの!」
必死に隠そうとしているのか、手で口を押さえるのに加え、両目すらもぎゅっと閉じている。全身で「言いません!」を体現しているのだろうか。
「ほう? ママが教えてってお願いしても?」
「ダ、ダメなのっ!!」
今度は首をこれでもかと横に振り、ぴゅーっと部屋の中を走って、隅っこで小さくなる。おまんじゅうみたいに丸くなったしーくんは、更に続けた。
「どんなにおねがいっていわれても、いわない! ふたりに、いじわるしてるんじゃないんだよ? ダメだから、いわないの! だからね、いわなくても、ボクのこと、いやにならないでね……?」
可愛いかよっ!! 駄目! 可愛いが溢れてしんどいですー!! 大丈夫っー! ならないよぉぉぉ!!! しーくんのこと、嫌いになんてならない! 安心して!!
私が心の中で荒ぶっていると、ティールがおまんじゅうしーくんに近づき、軽々と持ち上げてしまう。しーくん的には最強の要塞だったかもしれないけれど、簡単に崩落してしまった。びっくりした顔をするしーくんに向かって、優しく問いかけていく。
「ツバサ達に内緒ってお願いされたんだろ? じゃあ、ぼくらは何も聞かないよ。これは、雫が受けた仕事だ。自分が正しいと思うように動きなさい。それで何か不利益が起こるようなら、ぼくやラルが何とかするから。ね?」
「……ボク、がんばって、せーこーさせるの! だから、ラルとティールにないしょのところは、おまつりまで、ないしょにする!」
「了解。……いいよね、リーダー」
ティールの言葉に私は意識を現実に戻し、二人に近づく。そして、しーくんの頭を優しく撫でた。
「もちろん。それが相手側の要求だ。そして、私達が知らなくても問題ないとしーくんは判断したんでしょ?」
「うん」
「なら、大丈夫。だから、残りの期間も頑張るんだよ? そして、当日、その成果を私達に見せてね」
「ラジャー!」
チームで一番の若い隊員は元気よく挨拶をする。しーくんは優秀だもん。きっと、その『ないしょ』の部分含めて、成功に導くだろう。彼が頑張っている間、私達もやれることをやらないとね。
……まあ、こっちは今日、半分遊んでましたけどね!

例のごとくツバサちゃんとギルドの食堂でランチタイムを取った後、本日のメインイベント、スプランドゥール観光である。
ちなみに、ツルギ君は大切な仕事があるらしく、昼食も別々だった。私個人としては、双子ちゃんと我が子の三人が、美味しそうに食事するシーンを堪能したかったのだが、仕事なら仕方がない。
というわけで、観光もツルギ君を抜いた四名で楽しくやっていこう~……ってことになるのだけれど。
午前に比べ、日差しが強くなり、比例して外の気温もぐんっと上がった。更に、スプランドゥールは元々、観光地として有名であり、探検隊、冒険家等々で溢れ交える都会。体感温度はそれなりである。まあ、夏だよねなんて言ってしまえば、それまでだが。
そうも言ってられないのが、うちの相棒である。
ティールさんやーい! 日陰から出ておいでー? 街巡れないぞ~?」
「無理……出たら死ぬ。溶けて消えちゃう」
お前は氷の妖精なのかなぁ!?
ギルドの外へ一歩出た途端、ティールが照りつける太陽の光にやられてしまったのだ。そして、日陰でしゃがんでしまい、そこから動かなくなった。
「あわわ……ティールさんがそこまで暑さに弱いとは思わなかったです」
「まあ、ずぅっと快適空間で過ごしていたからね。その反動かも……一応、午前中、ちょっとだけ外に連れ出してみたんだけど、あんまり意味なかったみたい」
あの模擬戦でも、状況が状況で暑さなんて微塵も感じないやつだったしなぁ。
「そうでしたか。……んーと、もうそろそろだと思うんですけど」
と、ツバサちゃんの呟きの直後、夏特有のむわっとした熱気ではなく、ふわりと涼しい風がどこからか吹いてきた。
「ラルー! おみず、たくさんでてるよ!」
しーくんが指差す方向には、一定間隔で小さな噴水が出来上がっていた。その冷水が常に地面を濡らし、風を冷やしているのだろう。
「これがスプランドゥールの名物の一つ! 『水まき』です!」
へぇ……これを街中に設置してしまう辺り、ルーメンさんの考えることは斜め上をいくというか。何と言うか。
流石に自然の中にある夏の日差しは変わらないものの、これならまだ涼しく外を歩けそうだ。
ティールさん、これなら日向でも歩けそうですか?」
日陰でしゃがんでいたティールも、ようやく日向に出てきた。そして、心配そうに問いかけてきたツバサちゃんの方を見て、笑顔を見せる。
「これならなんとか……一日歩いても大丈夫だと思うよ」
「馬鹿め。日差しは変わってないんだっての。ほれ、これ被っとけ」
「わぷっ」
バッグからシンプルなキャスケットを取り出すと、無理矢理ティールの頭に被せる。
ここには多くの人が集まる。まあ、ないとは思うけれど、ティールのことを王子だと知っている人もいるかもしれない。普段の彼なら何ら問題はないが、夏の日差しに弱ってるときに何かあっても面倒だ。
何より、王子だとバレるのを好まないティールを守るためだ。本人は分かってないんだろうけど。
熱中症っていうか、熱射病対策。外歩くときは被ってて。リーダー命令な」
「な、なんて強引なリーダー命令なんだ……でも、ありがとう。心配してくれたの?」
「男一人を担ぐ人材がいないから」
雷姫で身体強化すれば、私でも運べるとは思うけど……やりたくはないよね。
「さて、夏に弱いティールの問題も解決したことだし、皆のもの、スプランドゥール観光行くぞー!」
「「「おー!」」」



~あとがき~
一仕事終えた雫の話と、観光スタート回でしたね。

次回、スプランドゥール観光します。

ティールを気遣うものの、それを表に出さないラル。まあ、そういうやつだよね。
そして、観光にツルギ君はいません。お仕事(次期親方のためにやる)があるらしいです。しばらくはこの四人ですな。

ではでは!