satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

未熟な新芽が華開くとき

~前回までのあらすじ~
平和に終わりましたね。この話の時間軸は連載している空と海から近くなったのではないかと。いや、舞台ははじソラの方が近いかも? その間なのかなぁ……
まあ、ここから本格的に入っていくであろうと予想しています。はい。
もえぎ「あ、はい……」
ヴァルツ「……」
入るだろうとか言いましたが、もう少し、ほのぼとしたシーンが続くのではないかと思われます。続いたら嬉しいよね!?(願望)
もえぎ「で、でも、私達にとっては……その、過去の話ですし……続いても……」
ヴァルツ「希望を壊すことを言ってやるな」
もえぎ「は、はい……」
うぅぅぅ……!!


自分自身では手早く終わらせたつもりですが、それなりに時間はかかってしまいました。手際のよさはヴァルさんが一番です。どんなことをやっても、そつなくこなしてしまうのですから、羨ましいです。本人いわく、一人の時間が多すぎただけと言いますが。
「ヴァルさん、準備出来ました……」
「あぁ」
読み物がいつの間にか、本から何十枚もの紙とファイルの山に変わっていました。その紙の束を適当に整理して立ち上がると、お夕飯の席に着きます。二人で声をそろえて「いただきます」と言うと、各々好きな物に手を伸ばし始めました。
「あの、さっきの……えと、お仕事……ですか?」
「ん? あぁ、あの紙? いや……全く。個人的に請け負ったことだ」
それをお仕事って言うのではないのでしょうか……? えっと、きっと、ギルドで頼まれたものじゃないってことですね……
「そう。頼まれたからやってるだけ。特に期限も言われていないから、適当にのんびりやっている」
ヴァルさんは、熱くて食べられないらしいお豆腐をつつきながら話してくれました。

しばらくは時々、談笑しつつも淡々とご飯を食べ進めていました。それががらりと変わったのは、いきなりトリスさんが現れたからでした。楽しそうで気になったのか、何か思うことがあって出てきたのかは分かりませんが、とにかく、出てきたのです。
トリスさんを見たヴァルさんは「また、コイツは」みたいな嫌な顔していて、トリスさんは「いつものことでしょ」みたいにニコニコしています。
「なーんか、楽しそうだよぉ~? ねえねえ、最近、出番なくてつまんないよぉ~!」
「いいことじゃないか。お前を使う機会がないなら、俺の周りは平和ってことだ」
「面白おかしく生きたいのー! ヴァルツ、面白くなきゃ、存在意義ゼロだからね!?」
「俺の存在意義がそんな薄っぺらいものになってたまるか。少なくともお前のために生きてはない」
ヴァルさんは何を思ったのか、席を立つと冷蔵庫の中を物色し始めます。何か探し物でしょうか? トリスさんはそんなヴァルさんを見て、次は私に目線を合わせます。
「もえぎちゃぁん! ヴァルツがいじめるよぉ~」
はにゃっ!? え、えぇっと、そん、そんなことはないと……はい。ないと、思います」
「むぅ……はっ! ねえ、僕のことを雇ってみない!? 今なら大サービスで無料だよ!?」
ずいずい寄ってきて、アピールしてきました。トリスさんは武器で、私の知らない何かなのは知っています。……えと、神器って言うんでしたっけ? 使ったことないし、調べたこともないので、知識がないのですけれど。雇うとは、またどういうことなんでしょうか。
えぇっと、トリスさんを使うのって、お金を取るシステム……なんでしたっけ? なんだか、違う気もします……?
「ふぃーに近づくな。この変態」
「あう」
ヴァルさんがこつんと軽くトリスさんの頭を叩きました。あるものでトリスさんを叩いたのですが、なぜそれを持っているのかは謎でした。
「ヴァルさん、それって……」
持っている理由を知りたくて、続きを言おうとすると、ヴァルさんに言うなとジェスチャーされました。なので、聞くことは出来ず、再び席について、食事が再開されます。
「お前はそれを言うために出てきたのか? 出てくる必要ないだろう」
「あるよぉ~? お楽しみの二人を茶化すっていう大事な任務でしょ! 男女が一つ屋根の下! ヴァルツが変な気を起こして、もえぎちゃんを狙うことだってあるでしょ!? 男は皆、ケダモノだよ!」
ヴァルさんが……私を……? 狙うって……え。
ふ、ふえぇぇぇっ!? ケダモノォォ!? みゃあぁぁぁっ!!!
「? それを言うなら、お前もマリーと同じ状況と言えるだろう」
「やめて。それ以上言うと、ヴァルツのこと、殺しちゃいそう」
「やれるなら、どうぞ」
「……ううっー! マリーが邪魔するぅぅ!」
「トリス」
「何さ!」
「こっち来い」
「えぇ……んぐっ!? んんんんー!!??」
いきなり、トリスさんが叫び始めました。それを聞いて、私もやっと正気に戻り、トリスさんの方を見てみると、床をごろごろしていて……
「あの、ヴァル、さん?」
「まろから貰った自作の激辛デスソース。それ使った」
激辛マニアのまろさんから、いつだったか大量に作ったからと貰ったことがありました。仕事上、色んな薬品なんかを調合するので、こういった配分はとても上手なんだそうです。まあ、私もヴァルさんも試しに使ってみましたが、食べられたものじゃないと判断でした。そのため、あれは冷蔵庫の奥底に眠らせていました。
あのソースを食べた数日は辛いものなんて目にしたくないくらい、嫌になりましたもん。
「……ご愁傷さま、です。トリスさん」
「トリス、うるさい。戻れ」
未だに叫び続けるトリスさんを消すと、ヴァルさんは疲れたようにため息をしました。
「こっちでもうるさいな……頭に響く。もう少し静かに叫べ」
それはもう叫びではないと思いますが……
「あの、実体化させても大丈夫ですよ。私、気にしませんし」
「お前がしなくても、近所迷惑だろう。それに元々は俺がしたことだから」
近所迷惑なのは……同意ですね。はい。
少しだけハプニングのあったお夕飯でしたが、その後は平和に終わり、お片付けをしました。このお片付けはヴァルさんがやってくれましたが。その間に私は、お風呂の準備もして、ついでに寝る準備もしてっと……
もう一度、リビングに戻ってきたときには、キッチンはきれいに整頓されていて、部屋も書類は全てテーブルに置かれていました。この短時間にささっと片付けられるヴァルさん、すごいです。
「あれ……?」
そんなヴァルさんの姿がなくって、何かあったら嫌だからと、一通りの部屋を見て回ります。大きな物音は聞こえていないので、大丈夫だとは思うんですれけど、敏感になってしまうのも、ヴァルさんが前科持ちだから。……本当に、あの人は自分のことは二の次で、私には何も言わないのです。
「ん……んん? そう、だな。……はぁ?」
ヴァルさんは自分の部屋にいるみたいで、そこで誰かとお話し中みたいです。邪魔にならないように、リビングへと戻りました。
ところで、誰と連絡を取っているんだろう?
聞いたら、教えてくれるでしょうか。けれど、ヴァルさんのお仕事なら、首を突っ込むのも変な話です。私が入ってしまったら、ややこしいことになるかも……本当に力を貸してほしいときは、ちゃんと教えてくれるはずなので、そのときまでは待っていた方がよさそうですね。
リビングで座って、何をするわけでもないけれど、なんとなく、近くにあった本を開いてみました。私の知っている言語ではなく、見てもピンときません。ヴァルさん、本当に何でも出来ちゃう人なので、ファン……と言いますか、そういう方々はたくさんいるらしいです。ギルドの中でも、カリスマ……? みたいな立ち位置で、ヴァルさんのクールな性格も相まって一層、男子だけでなく女子にも人気があります。尊敬している人も多いし、パートナーになってからも影で告白されてるのを見かけました。……それをOKしたという話は聞かないので、全部、断っているみたいですけれど。
そんな人を寄せ付けないような雰囲気のあるヴァルさんが、私をパートナーに指名したのはなんでなんでしょう? こればっかりは考えてもさっぱりですし、聞いても理由はないなんて言うので、見当のつけようがありません。
「ふぃー? どうかした?」
お話が終わったヴァルさんが私のいるリビングへ顔を覗かせました。わたしはヴァルさんを見上げながら、口を開きます。
「あ、ヴァルさん……あの、お風呂の準備、しました。……いつでも、大丈夫です」
「ん。ありがとう」
「ヴァルさん、お薬は?」
「飲んだ。が、もうそろそろ次の休みに貰いに行かないとかもしれない。……じゃ、先に入るぞ」
「はい。いってらっしゃい」
こんなお仕事なので、行けるときに行っておかないとです。近いうちにお休みをしっかり取らないとですね。



~あとがき~
ほのぼのっていいね。
まあ、本題には入れなかったわけなんですけど。

次回、ようやく本題に……入る。はず、です。はい。

トリスには場を掻き乱す嫌な人(?)であってほしい。っていう、願望ですね。いやもう、嫌なやつかもですが。でも、心の奥底ではヴァルツを認めて、指示に従うので、最初から真っ黒な嫌なやつではないんだよなぁ……(多分)

本編やここまでを読めばわかるかと思いますが、ヴァルツに恋愛感情はないです。もえぎは意識してませんが、どうなんでしょうね?
そもそも、二人が一緒に住んでいる理由も、こっちの方が経費削減出来るだろみたいな感じです。もえぎに物欲はありませんが、まだまだ新人なので、大きな仕事も数えるくらいしかやってません。そのため、安定した収入はないです。反対に、ヴァルツは多くの仕事を引き受けて一定の収入を得てますが、病院行ったり検査したりを定期的にしちゃってますんで、そこにお金がいっちゃうわけです。じゃあ、もう二人で住んで、お金節約しようぜ的な考えですよ。はい。本当にそれで節約になるのかはしりませんが。そんな理由ですね。裏がないわけではないけど、悪いことは全く考えてないです。はい。

ではでは。

☆第17回 ゆるゆるトーク☆

~前回までのあらすじ~
バレましたね。
ピカ「ポチャは相手を騙しきるなんて能力持ってなかったねぇ」
ポチャ「うぅ」
ピカ「まあ、素直ってことで。そこがいいところなんだろうけど。そろそろこの話も佳境に入りまーす」
そうっすね! あべこべ別世界編、最終回……とはいかないと思うけど、もう少しで終わると思います!


~リュケイオンの外れ~
ピカ「うん。この辺なら誰も来ないと思う」
ポチャ「それで、君は」
ピカ「気づいていたって話だろ? そりゃ、親友を間違えるわけないさ。でも、それでも、思い込もうとしていた……君を彼女に見立てていたのは確かだよ。そこは僕の我儘で傲慢だ」
ポチャ「……本当の名前は?」
ピカ「僕の? 僕はディルク。ディルク・ガーデン。パートナーの名前はカナデって名前だったよ」
ポチャ「カナデ?」
ピカ「うん。それで、どこから……何から教えようか?」
ポチャ「じゃあ、とりあえず……ぼくを見つけた経緯を聞かせて」
ピカ「OK
……分かってると思うけど、僕は今、一人で探検隊をしているんだ。その日は夜遅くに基地に帰ってきて、そこに君が寝ていたって訳」
ポチャ「それだけ……?」
ピカ「うん。だから、単純に僕のいない間にあの場所に転送されたって感じかな。異世界のことはよく分かんないから、そこら辺は僕に聞かれても」
ポチャ「そうだよね。ごめん
……じゃあ、君は、ぼく……ってことでいいんだよね。……ディルクは元々、探検隊のサブリーダーで、彼女を支える立場。もっと言えば、カナデは元ニンゲン」
ピカ「うん。そうだね。……僕はカナデの相棒で、探検隊のリーダーは本来、彼女だ。ニンゲンだったって話も聞いてる
つまり、僕は別世界の君、ってことになるね。それはどこで気がついたの?」
ポチャ「フォースと話してたときだよ。性別の反転や細かい差異はあったけれど、人柄は大して変化なかった。極端な例だけど、短気な人がマイペースののんびり屋にはなってたってことはなかった。根本的なところにぼくの世界と変化はない
それで、君がぼくの知るピカなら、フォースに変化がないのはおかしい」
ピカ「フォースに?」
ポチャ「ぼくのところのフォースは、周りとそれなりに打ち解けて交流をしてる。クールなのは変わらないし、考え方も同じだろうけど、人との接し方については、ピカと触れて変わったみたいだから」
ピカ「なるほど。……彼女が色んな人と交流するなんて想像もつかないけど……」
ポチャ「まあ、これはあくまで予想で確信はなかったけど……でも、見ていたらピカよりぼくに似てるなって思ってて」
ピカ「あはは。そっか」
ポチャ「……聞いてもいい? どうして、カナデはいなくなったの?」
ピカ「分からない。……っていうのが、正直なところさ。悪夢事件を解決して、ずっと疎かにしていた依頼を片付けていたんだ。これは僕達だけじゃなくて、後片付けみたいに色んなところで舞い込んでたみたいだけれど」
ポチャ「あー……うん。分かる。ぼくの方もそんな感じだった」
ピカ「最初は二人で一つの依頼をやってたけど、なかなか終わらないから、お互い、ソロで動こうって言われてね。僕も反対する理由もないし、いいよって答えた。ここからしばらくはソロで仕事をしていたんだ
そのせいで、二人で話す時間も減っちゃったけど落ち着けば元に戻せばいいよねって話してた。けど、落ち着いてきて、二人でまた一緒に仕事を始めた頃かな。カナデ、一人でふらっといなくなることが増えたんだ」
ポチャ「……どうして?」
ピカ「分からない。……いなくなる前日、仕事続きだから、休みでも入れようって話した。話したときはカナデもいいよって喜んでたんだけど、当日になって行かなくちゃいけないところが出来たって一言残してそれっきり。初めはまたいつものが始まったんだって思ったんだけどね。……一日、三日、一週間……一年待っても帰ってこなかった」
ポチャ「そこから、ディルクは一人で?」
ピカ「一応、生活に困らない程度に続けてるって感じ。探検に行くの好きだったはずなのに、何も楽しくなくて、大きな仕事もしなくなった。どこか未踏の地へ出向くことも、謎解きに行くことも
僕一人じゃ、何も楽しくなくて。……それにね、当時の仲間は……というか、カナデと関わりを持っていた人達皆、カナデを知らないんだ」
ポチャ「……えっ?」
ピカ「今までのこと、全部僕がやったことになっていた。そう、記憶をすり替えられたんだろうね。カナデはいなくなる前に、自分と関わってきた人達、全員から自分の記憶を消したんだなって……僕からカナデを消してくれなかったのは、なんでか分からないけど」
ポチャ「待って? フォースはパートナーがいたって認識してたのに?」
ピカ「そりゃあ、彼女は……フォースは、特別だから。それにフォースは直接カナデと会ったことないし、パートナーがいたんだって話したのは僕自身。それを信じてくれているだけだよ。信じるって言ってくれたのは、フォースだけだったけどね」
ポチャ(心を読んで、嘘をついていないと確信したから、信じるって言ったのか。証拠はないけど、嘘をついていないって知ったから。……それに、フォースは神との親交もあるから、そういったこともあると思ったのかも)
ピカ「そんなときに君を見て、少しでも当時の頃を思い出したくなった。違うって知ってて、それでも……ごめんね、利用して」
ポチャ「ううん。驚いたけど、追い出さず置いてくれたじゃないか。悪いやつかもしれないのに、疑いもせず。嬉しかったよ」
ピカ「悪い人ならそれはそれでもいいかなって。……どうせ、これからも無気力に生きるだけだし、そこら辺は気にしてなかったな」
ポチャ「……そっか」
ピカ「……僕はね、カナデはやることが終わったから、元の世界に帰ったんだと思う。ニンゲンの世界に。パラレルワールドがあるってなにかの本で読んだからさ。そうなんだろうなって」
ポチャ「元の世界……ピカも、いつか……?」
ピカ「さてね。君のところのリーダーがどう考えるのかは僕には分からないよ。いつだって、僕はカナデの考えは分からなかったから
さて、そろそろ行こう。君は君の世界に変えるべきだよ、ポチャ」
ポチャ「う、うん。そうだけど……」
(それで、いいのかな。もっと何か出来ることないのかな)



~あとがき~
この謎シリアスなゆるトークも次回でおさらばしたい!!

次回、あべこべな世界とお別れ(予定)!
そのとき、ポチャはピカ……もとい、ディルクに何を伝えるのか。

えーっと、あれっすね。ディルク=ポチャです。この世界のポチャのポジションにいるのがディルクだってだけなんですけど。なんでとか理由は聞いちゃいけない……これを欠いたきっかけも大したことないんだから……!!

特に話したいこと……いや、これを考えたきっかけとか話したいことはあるけど、これの最終回にでも話しますわ。はい。

ではでは!

空と海 第202話

~前回までのあらすじ~
流血、暴力表現、その他過激表現等々にご注意を。
ということで、前回からスカイメンバーの暗躍をご覧になっているわけですね!
ソル「そうですね。暗躍なんてそんな格好いいものではないですが」
コン「……はっ! 久しぶりの出番!! わーい! でっばーん!」
チル「うふ♪」
普段、全くピックアップされない面々なので、ここで活躍の場を書ければと!
では、始めます!


大まかではあるが、ピカから聞かされたものを二人に伝えた。チルには概ね理解してもらえたらしいが、コンはひたすらに首を傾げていた。
「ふふっ♪ つまり、敵の本拠地で大暴れをしてこいということですよ」
チルのこの一言で、コンは難しい話を投げた。こくこくと頷き、オッケーと大きな声で了承した。
「こいつの将来が心配で仕方ないよ」
「ソルさん。行きましょう。のんびりしているよりは、向かった方がよいと思います。ここから少し距離がありますから……」
「そうですね。行きましょう。場所の把握は」
「問題ありませんわ。三十分で到着します」
ソルとコンはチルの背中に乗り、チルが大きな翼を広げると空へと飛び立ったのだ。

「ヴァンガルの基本情報はぺラップさん達に言った通りなんだけど、他は知らないんだよ」
「調べてる途中だったの? ソルにしては準備不足だねー?」
「この件に関しては、僕じゃなくてピカさんがメインに動いてて、情報共有が間に合わなかった」
空での移動はソルもコンも大してすることがない。そのため、こうなった状況整理と共に、敵の情報などの共有をしていた。この話は参加はしていなくとも、チルも聞いている。
「んー……じゃ、なんで、ピカは一人でやってたの?? いつも、そんなことしないのに?」
「いや、結構してる」
「はい。していますね」
「まっじー!? うーむむ。あたしの知らないピカがいるー!!」
「コンが子供だから知られたくないだけだと思うけどな。……チルさん、ここまでどうですか?」
「子供とはなんじゃー!!」
ぽかぽかとパンチをしてくるコンを無視し、チルに意見を求める。こういった情報をチルに話すことをピカはしない。だからこそ、第三者の意見が聞けて、別視点からのアプローチが出来る。
「そうですね。ヴァンガルの裏には大きな組織が動いているのは確かです。それが何なのかは、行ってみれば分かると思いますが……分からないのは、ピカさんの求める情報ですかね?」
「そこですね。……行って集めてこいとは言われたんですが、重点的にこれをとは言われてませんから。……そして、最終的には殲滅。全員殺してこいってことですから」
「いっつも、ピカとポチャばっかりだったもんね! こーゆー、ちまなさ……ん? ちぐな??」
「血腥い」
「そ! ちまなぐさい!」
「なまぐさい、な? 言えてないぞ。……裏の仕事はほとんど、僕達に回してこなかったから。今回も、本来ならピカさん自身で行くつもりだったみたいだし」
「しかし、こうして頼ってくれたのは嬉しいことですわ♪ 不謹慎ですが、心踊っていますもの」
「僕もそう思いますよ。……コン、頼りにしているから」
「ん! まっかしてー!」
裏の仕事はピカとポチャの担当だと決められたように、メンバーに回さないようになっていた。とはいえ、全くなかったわけではない。ソルの主な仕事が情報収集というもので、場合によっては危険と隣り合わせの仕事であるためだ。時にある組織に侵入して、そのまま全滅させることもあった。コンが子供だからという外されなかった理由は、そこにある。ソルと共に修羅場を潜り抜けているからこそ、必要不可欠な存在なのだ。対して、フィフィはまだこのような仕事があることは知らせていない。幼い彼が知るには早すぎるのだ。
「一度、分かっていることを整理すると……ヴァンガル自体、大きな組織ではないが、大きな組織の傘下にいる。今回の騒動を起こしたのはヴァンガルである可能性が高い。そして、その裏には巨大組織がいる。……ん? それが分かっていて、ピカさんは殲滅しろと?」
「どゆことー? 悪い人にはお仕置きしなきゃじゃん? 何もまちがってないよ」
「裏が誰なのか分からないのに、全員殺す指示はおかしい。……聞き出す必要がないってことだ。でも、組織の中に特定出来る情報があるとは限らないのは、ピカさんだって分かっているはずなのに」
コンはソルの話を聞いても、大して理解出来なかったらしい。頭の上にはてなマークを浮かべているらしかった。それを気にすることなく、ソルの思考は進んでいく。
「……ピカさんは、どこの組織が裏にいるのか知っている? となれば、必要なのはどこの組織の傘下なのかじゃない。……もっと別の何か」
「ソルさん。着きましたよ。あれが敵の本拠地です」
チルに呼び掛けられたことで、一度、思考がストップした。上から覗きこむと、小さな宿のような長方形の建物が見える。高さはそこまであるとは思えないし、広さもない。本当に小さな組織が今回の混乱を招いている。
「……もしかすると、ヴァンガルは利用されただけなんだろうか」
「りよー?」
「簡単に言えば、捨て駒。後ろに巨大な組織があるって言っただろう? その組織に捨てられたってこと」
「協力ではなく、ですか。……後ろの組織は何がしたいんでしょうね」
「それこそ、入れば分かると思います。……なるほど。ピカさんの知りたいものはそれか。今回の騒動の本来の目的を探ればいい。あとは、それに対する対処法か」
「おー? あたしはなにすればいーの?」
「とりあえず、何もするな。チルさん」
「はい。人のいる空間のみ、操ります。数分で終わりますわ」
チルはポチャ同様、“あやつり”の一種を扱うことが出来る。空の国では空気を操る。一概にこれが出来るとは言いにくいものだが、普段は空気というよりは風を操ることが多い。その場の空気を乱し、風の刃を作り出して攻撃したり、空気自体を固めて人を受け止めるクッションにしたりなど。
そして、今回行うのは敵の殲滅。大雑把に言ってしまえば、敵のいる空間の空気を奪い、真空状態にしてしまう。そうなれば、呼吸困難に陥り、数分で死に至る。離れすぎると扱えないが、今は敵の本拠地の上空である。それくらいは容易いというものであった。
チルの目が薄緑色に変化し、その瞳が怪しく光る。集中して、中にどれだけの人がいるのか空気の流れを読み取っていく。
「そこまで多くないですね。……では」
「コン」
「はーい! 出入口、“ふういん”しちゃうっ!」
本来、自分の覚えている技と同じ技を“ふういん”するものだが、それを応用した。コンが考える自分と同じ思考、考えを“ふういん”してしまうのだ。つまり、逃げるという思考を封じてしまう。
ここまでしておいて、ソルはなんだか酷い殺し方をしているなと片隅で考える。まあ、実行しているのは、彼ではないのだが。
チルの能力が発動してすぐに家が騒がしくなったのを感じたが、すぐにそれは収まる。酸素が回らなくなり、意識を失ったのだろう。もう少しすれば窒息する。それくらいの頃合いを見計らい、中に侵入するかとぼんやりと考えていた。



~あとがき~
ポチャもポチャだけど、チルもチルでした。

次回、まだまだ続きます。このトリオ!

この三人、ピカがいないとソルがピカの代わりに色々考える役割を請け負います。元々、色々考えるタイプなんですけどね。なので、ピカがポチャの次に頼る相手かもしれません。もしかしたら、ポチャ以上に頼ってるかも?(笑)

ピカはどんな組織が後ろにいるのかなんてのは分かっているらしいですね。
そして、これを通して読んでいる人には、二度三度と出た情報が出てくる(敵の目的とかそんな感じの)と思いますが、確認だと思ってお付き合いくださいませ。

ではでは!

はじまりのソラ 7ー8

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊をモチーフにしています。原作のイメージが壊れる可能性があるため、苦手な方はブラウザバックだぞ!
ってことで、単なるダンジョン攻略が思わぬ方向に……なぜこうなった。
ピカ「私らが聞きたいよ!?」
ポチャ「ほんとだよー……変な展開に巻き込まれるぼく達の身にもなってよー」
まあまあ、なんとかなるよ!
では、始めるよ!


~7-8 ギルド遠征、重なる謎~


遠くの方から声が聞こえてくる。声や音、匂いは分かるけれど、目の前だけは真っ黒で何も見えない。目隠しをされている……わけでもなさそうなのに。どういうことなのか。……そもそも、私はどうなった? ポチャとビッパを離脱させたことは覚えている。その先が曖昧で時間の感覚すら危うい。どれだけの時間が経ったのか。体内時計には自信あるけれど、こうも視覚からの情報がないと判断しにくい。気絶なんかさせられていれば、体内時計も関係ない気もしてきた。
仕方がないから、耳を澄ますことにした。不用心に声なんか出したら、危険かもしれない。今は自分の置かれた状況把握に努めるべきだ。
「……は…………か?」
「残りは……で……」
声が遠すぎる。もう少し、こっち寄ってくれ~……
「ま……だ。…………なんて、滅多に……からな」
願いが通じたのか、少しだけ聞き取れるような位置に動いてくれたらしい。これで全部聞こえるかな。
「あのピカチュウが持っていたバッグ、目ぼしいもんは特になかったっす。探検隊っぽいけど、バッジもノーマルランク。新米っすかねぇ?」
「新米にしてはあの動き……仲間を切り離した判断はそれ以上に思うけど。ボスがどう思うかじゃないか?」
私の話か……声を聞く限り、相手は二人の男。この場から感じる気配も二人だけ。……最低でも三人しかいないってことになる。なんだ、こいつら。お尋ね者? ボスとか言ってるし、何らかの組織の人?
声の反響具合から、私が顔を向けている方角に二人がいる。じゃあ、適当に寝返りでも打って、背を向けておこう。見えるようになったとき、目が合っちゃいましたなんて笑えないからね。
ころんと寝返りを打ち、手を自分の顔に近づける。この行為で分かったのは、両手は縛られていない。足の拘束もなし。……舐めてんのか? いや、しかし、視界は封じられているため、これだけでも十分な拘束力はある。ここからどうするか。そっと目元を触ってみても、布なんかが巻かれている感触もない。となれば、何らかの道具の効果か。視界を奪うような効果のある何か。それなら、待っていれば効果が切れるはず。それを待つ……? しかし、その間に何もしてこない保障はない。
どうしようかと考えていると、草の揺れる音が聞こえる。……ってことは、ここ『ツノやま』じゃないのか。そんな気はしてたけど。
複数の足音が聞こえ、同時に何人かの人が流れ込むように入ってきた。どこか慌てた感じがするけれど、何かあったのか。
「おい! 誰か近づいてくるぞ! このピカチュウの仲間じゃないのか!?」
「仲間? どんなやつだ」
足音から、ここに来るまで大した時間はかかっていない。出口が近いのか。そして、ここは自然に囲まれていてその音も聞こえる。地下ではない。そして、窓がある。……話し声を聞いている中で草の音が聞こえるくらいだ。窓は近くにあって、しかも開いていると見ていい。そして、敵側は予定外のことでパニック状態。声の位置からして、私の方は向いていないと見た。こっちに向かっている人は少なくとも、こいつらの仲間ではない。運がよければポチャやギルドの仲間の可能性もゼロではない。これだけあれば……これだけの情報があれば、問題ない。そして、少しだけ集中してみれば、攻撃手段だって封じられていないことも確認出来た。
……いける。
「に~げよっと……!」
勢いよく飛び起き、近くの壁に手をついた。そして真上にジャンプすると、案の定、窓枠に手をかけることが出来た。
「おいっ!? あいつ、逃げる気だぞ!?」
「視界奪ったから、逃げるわけないって決めつけてるあんたらが悪い! じゃあね!」
窓も開いていることを確認し、躊躇いもなく飛び降りた。バッグとバッジは取りに来るか諦めるかの二択だな。取りに来るなら、ポチャと合流してバッジの反応を追えばいい。諦めるなら、何かいい言い訳を考えておかなくては。
「いった……流石に綺麗に着地とはいかないか。……大丈夫。動ける」
敵の声が遠くなる方向に逃げて、相手をまけば何とかなるだろうか。
見えないから、とりあえず敵から離れられるようにと走った。何度か木にぶつかったため、恐らく森の中にいるんだろうなという適当な予測が立つ。見えていれば、死角になるような場所を探して身を隠すのだけれど、それが出来ないのが痛い。
「ふぎゃっ!? ご、ごめんなさい!」
考え事をしながら走っていたせいか、人の気配に気がつけずにぶつかってしまったらしい。尻餅をつきながらも、ぺこりと頭を下げた。姿が見えないから、何とも言えないけれど、敵ではないと思う。多分。
「いや、避けなかったこちらも悪かった。……大丈夫か?」
声質からして、男の人か。音の聞こえ方は少し上からだし、私よりは背が高い可能性がある。……仲間ではないのは残念だけれど、この人からは敵意を感じない。もう少し会話を進めてみるか。
「は、はい……あの、あなたは私のことを捕まえますか? 何か変なことしてきますか!?」
「は、はあ? そんな趣味ないぞ。そもそも初対面でそれはない。……というか、焦点が合っていないな。お前、目が見えてない?」
「さっきまで変な人達に捕まってて、それで何かされたのかと。目以外は至って健康です」
「波乱万丈な人生だな」
「それはもう……はい」
踏み込んでみてもいいけれど、それはプライバシーに反する。敵ではないようだし、これ以上、知らない人を巻き込みたくはない。適当に言って別れるか。
「えと、私、逃げなくちゃ。あなたのことを巻き込むわけにもいかないから。ぶつかってしまって、本当にごめんなさい。それじゃ……んっ!?」
別れるつもりだったけれど、それは叶わなかった。ひょいっと持ち上げられ、どこかに移動しているらしい。理解するよりも、彼が話しかけてきた。
「遠くの方で誰かを探している声が複数聞こえた。お前の言う、敵かもしれない。ここで素直に別れてもいいが、放っておくのも目覚めが悪い」
「え、えーっと? つまり、助けてくれるの?」
「そういうことさ。奴らを撃退しよう」
……おぉっと。変なことになってきたな?



~あとがき~
遠征とはこれいかに。

次回、ピカを助けた名もなき彼(?)の実力は!?

こんなことになるなんて思ってなかったの。何かちょーっとした事件にでも巻き込まれればいいさなんて思ってただけなんです。わざとだけど、悪気はないんです。ごめんなさい。
ってことで、もう少しお付き合いくださいね……

ピカの目が見えていないので、助けてくれた人が誰なのか分からない状態です。彼とは言ったけれど、女の人かもしれないです。ギルドの仲間ではないことは確かですけれど。

ではでは!

雑談的な。 その27

学校始まってるのに連続投稿しております。これに関しましては、ただの気紛れですね!←

あとはまあ、単純に生存報告(?)ですね……
昨日の台風、風が強くて家の窓ガラス割れたらどうしようとか思いながら寝ました。途中、起きることなく爆睡でしたね。((←え
つまるところ、私は無事です。いやでも、ぶっちゃけ、今までの中で一番危ないなと思いました。はい。
まだ風も強い地域もあると思いますが、外出の際はお気をつけて!
また、新しい台風誕生してるけど、今年はなんなんだろうね。台風祭り……?

H/K

何の話をしようかなって思ったときに、真っ先に思い付くのはやっぱりポケモンの話なんですよね。ということで、ポケモンの話を。
Let's Go!ピカチュウとLet's Go!イーブイの話ですね。あー英語打つの面倒くさい!
ピカブイでいいか!? これでいいか! 省略形はLPLEらしいけど。どっちでもいいか。とりあえず、この話をね。

これ、どっちにようかうおーってなってたんですよね。んでもって、予約しました。ピカチュウの方を。はい。ピカチュウの方を。本体つきの4万くらいするあれを、予約しました~! ポケモンやるためだけに買います! ありがとう!!
いや、イーブイとめっちゃ悩みましたよ。イーブイも肩に乗せたい。一緒におしゃれしたい。っていうか、イーブイ可愛い辛い。みたいな。
でも、同時にピカチュウも好きだし、XYからずっとお仲間にしてきた相棒みたいなやつじゃん。しかも、肩に乗せるとか夢じゃん。肩に乗せたらサトシになれるよ。やるわ。
みたいな感じでピカチュウにしました。
……今でも、イーブイがいいなと思う気持ちはある。浮気しそうな自分を押し殺しているところです。なんかもう、両方ほしい……(´・ω・`)

ええっと、システムはポケGO寄りなので、本来のポケモン本編ではないのかなと思っている私です。バトルはあるけど、レベル上げが面倒かなーって思います。トレーナー戦以外だと、わざわざゲットしなきゃ経験値貰えないシステムなんだよね。ボール消費激しそう。主人公のお金、大丈夫かな。大丈夫かな!?
伝説のポケモン相手はバトルしてからゲットチャンスあるみたいなので、それはあれだ。レイドバトル参加して、チャンスを得る……ポケGOシステムですね。これも。

まあ、このLPLEの発売を機に、再度、ポケGOを入れ直したんですよ。というのも、ポケGOは家の近くにポケストップがないのと、私の性格(THE 引きこもり体質)が相まって、やってなかったんです。ほぼほぼね。初期も初期にさようならしてしまったのです……
そして、また始めました。投げる練習と出来れば連動させて連れていきたいという願望のために。あの綺麗な画質で色んなポケモンが見られるのではという願望のために。ピカチュウの方では出ないポケモンもこっちで補えるかなっていうのも理由の一つです。そんな願望のために再開させたのです。
アカウントは残しておいたので、前回のデータを引き継いでます。いやぁ……ひっさしぶりにやりましたけど、楽しいですね。なんだあれ。あんなに楽しかったっけ。え、マジか。
というか、過去の私、イーブイを5匹ほど捕まえてたんだけど、初期も初期に5匹て。イーブイマニアか。怖いぞ。

私がインドアすぎて……お家大好き人間のせいで、ポケGOのために外には出ませんが、ちょっとずつポケモンをゲットしております。
発売前にイーブイブラッキーにしてやりますよ。ふっふっふー……(。-∀-)
(趣旨変わってる)

H/K

趣味全開の話しかしてませんが、まだまだ行きます。

ちょっと前にアディショナルメモリーが公開されました。カゲプロの曲です。これ聴いてて、私がカゲプロと会ったのは中学の頃だったなぁなんて思いまして。時間が経つのは早いものです。(遠い目)
じんさんの曲、やっぱりかっこよくて、しづさんの絵もかっこよくて……好きだなーって思いました。じんさんいわく、エモい曲だそうなので、聴いてみようね!!←

失想ワアドからキャラそのものの心情を描いていて、これからも少しずつそんな曲が増えるのかなって思ってます。これは増えたらいいなっていう希望かな。うん。
アニメ、小説は完結してますし、漫画ももうそろそろ終わりそうなので、本当に彼らのお話は終演に向かうのかなって。いやでも、カゲロウデイズの性質上、そんなこともないか……
私的には紆余曲折ありつつも、アニメはハッピーエンドなのかなぁと思います。そんな感じの終わりだった……はずだ!←
というか、一つの物語で色んなエンドがあるの、面白いと思いました。純粋に。

H/K

さーて! 毎回恒例の! 小説の話を!
実は思いの外忙しくて、どれもこれも中途半端になっております。悲しい(´・ω・`)
いや、言うほどあれだけど、夜に帰ることが増えてしまい、小説を書くかーと向かい合ってたら眠くなって……みたいにしんでます。お休み…(。-ω-)zzz
書けてないのによく出せてるなって思いますが、あれですよ。夏休みに書いたストックが残ってるだけですね。はい。学校始まってからは作品の完成スピードは完全に落ちてます。悲しい(´・ω・`)
ですが、まあ、月一は守れる……というか、ここまで週一投稿出来てるので、これからも続けられるように頑張ります。出なかったら察して! そういうことだから!

今年中には夏祭り編、終わらせたいね……あの子らの夏、長すぎて可愛そうになってくるもの(汗)
他の作品も同様ですけれどね。ここじゃなくて、鈴鳴はほぼ月一更新やし……あっちもやりたいなぁ……



ではでは、次の更新は……なんだろうね。今週の土日は予定が入ってるので、投稿するか謎ですが、小説……かな。空と海なのか、番外編なのかはたまた小説ですらない、関係ないものなのか……書いてる本人ですら見当はつきませんが! まあ、出てたらそのときはよろしくお願いします~♪

ではでは! 閲覧ありがとうございました!

未熟な新芽が華開くとき

~前回までのあらすじ~
ないですね! 出来れば、ヴァルツ視点の『幼き騎士は何思う?』を読んでいただきたい! それらのネタバレを含みますので!
今回からはもえぎ視点です! 大丈夫かな?
もえぎ「あ、あ、あぁぁぁぁ~……!!」
ヴァルツ「お、おい……急にうずくまるな。どうした? いや、粗方、予想は出来るが」
もえぎ「わ、わたっ……私、そんな重荷、耐えられ……ふえぇぇぇ」
ヴァルツ「諦めろ」
もえぎ「あうぅぅぅ」
ってことで、簡単なプロフィール紹介を入れてから、始めまっしょい。


~人物紹介~
もえぎ(リーフィア・♀)
セイバーギルド所属の隊員でヴァルツのパートナー。過去にヴァルツに助けられた経験を持つ。内向的な性格で、コミュニケーションに若干の弊害があるものの、心優しい少女。

ヴァルツ(ブラッキー・♂)
セイバーギルド所属の隊員でもえぎのパートナー。二つの神器を所有し、ギルドトップクラスの実力者だが、身体的な問題を抱えている。そのため、戦闘参加を頻繁に行わない。クールで自分を顧みない性格。

トリス(♂寄り)
ヴァルツが所有する神器の一つ。普段は細剣であるが、どのようにも姿を変えられる能力を持ち、攻撃力はずば抜けている。楽観的でおちゃらけた性格。しかし、ときに冷淡な一面も見せる。

マリー(♀寄り)
ヴァルツが所有する神器の一つ。姿は短剣。情報収集の力を持ち、どちからといえば、後方支援型の能力。ヴァルツのことを溺愛し、誰にでも優しいが、トリスのことは嫌っている。


まろ(ロコン・♀)
セイバーギルド所属の隊員。ヴァルツの後輩でもえぎの先輩。普段は薬品開発等を行う。その関係上、ヴァルツの健康面のサポートをしている。もえぎのよき話し相手。明るい性格でムードメーカー。

~~

じっと見つめられ、思わず目を逸らしちゃいました。逸らしちゃ駄目なのは分かっているつもりなのですが、つい体が反応してしまいます。
「あのねぇ、お嬢ちゃん。こんな無茶な要求が通ると本当に思っているの? こっちも好きで突っぱねる訳じゃないんだけどねぇ」
「で、でも、こちらも……その、お仕事なので、お願いを聞いてもらわないと……えと、その。あの、実力行使、しないと……はい」
自分もビックリするようなか細い声で反論してみますが、これも相手の神経を逆撫でしてしまったみたいです。何も言わなくても、直接見なくても、相手がイライラしているのが分かりました。そのイライラも分かります。だって、これが一時間以上も続いているのですから。申し訳なさと自分の力不足を痛感して、小さくなるように体を縮こませます。すると、後ろの方から溜め息が聞こえ、私と相手を隔てる机に紙が置かれました。頭をあげると、ヴァルさんが呆れた表情で相手を見ています。埒が明かないと思ったようで、割って入ったのでしょう。
「長く反論するのもいいが、こちらも暇ではない。難しいことを言っているつもりもないのだが? お互い、時間を無駄にするのも得策ではないだろう」
「つっても、いきなり来て、お前らんとこにやる金を増やせってのは……」
「最近、稼いでいるだろう。こちらが知らないとでも? ここで断ってもいいが、そのときはこちらでお前らの組織を潰すだけだ。どうする?」
「……っ! わーったよ……こっちもあんたらを敵に回したくないんでな」
渋々、ヴァルさんが差し出した紙に相手が署名をすると、私へ返してくれます。ちゃんと確認して、不備がないことをしっかりとチェック。
……うん。大丈夫……なはず。
「大丈夫、です。ヴァルさん」
「……だ、そうだ。これで滞納なんかしていたら、実力行使をさせてもらう。それでも態度が改善しないのなら、潰すのみだ。他へ逃げてもいいが、それ相応の制裁を覚悟することだな。……それでは、失礼します」
ヴァルさんが部屋を退出し、その後を慌てて追いかけました。入口近くで待っていてくれて、私が追い付くのを見ると、再び歩き始めました。隣に並んでヴァルさんに話しかけます。
「ヴァルさん、あの、ありがとうございました……それに、ごめんなさい。私、一人で出来なくて」
「あ? あぁ……いいよ。この仕事はふぃーには荷が重いから。それより、今日はどうする? ギルド行くかこのまま帰るか」
空を見れば、オレンジ色に染まっています。日が短くなっているこの頃です。これからすぐに日が沈むのでしょう。目線をヴァルさんに戻します。
「あ、えと……もう、戻るのも遅いですし、帰りたい……って、思っています……お夕飯、作らないとですし! 当番、私ですから」
「夕飯ねぇ……ふりかけご飯?」
「違いますよぅ……ヴァルさんの意地悪……」
「ははっ。悪い。冗談だ。……行くぞ」
「……はい! ヴァルさん」

何から話せばいいのか迷いますが、一つ一つ話していこうと思います。私の名前はもえぎと言います。現在、セイバーギルドで一隊員として働き、ヴァルさんのパートナーをやらせてもらっています。
私がギルドに入ったのは、十五歳の頃。この大陸では十五になると、いわゆる、大人の事情というものを教えられます。ここでは悪いことも合法であるとして扱われるので、悪い人達が堂々と表を歩ける……そんな制度を採用しています。それでも、野放しにするのはよくない。よくないから、野放しにしないために、ギルドが一括管理をしているのです。それが、この大陸で最大にして唯一のギルド……セイバーギルドなのです。
セイバーギルドは危ないこともたくさんするので、入るために適性があるかテストをし、入った後もランク分けをするためにテストを定期的にしています。私は真ん中くらいのランクですが、ヴァルさんは一番上のランク。ランクの数は大体、十くらいに分けられていたと思います。……多分……はい。
えぇっと、私とヴァルさんは子供の頃、一度会っていました。ほんの少しの間でしたが、ヴァルさんは私に優しくしてくれたことを覚えています。十五になってから聞かされたのですが、ヴァルさんがこの辺で有名な名家の人であったという話……そのヴァルさんがギルドで働いていること等。幼い頃、変な人に襲われ、どこかの森に連れていかれたときもヴァルさんが助けてくれたこと。それもこのとき、初めて聞きました。……あぁ、この話はヴァルさん本人から聞かされた気がします。
えと、その……私がセイバーギルドに入った理由は、恩返し……です。助けてくれたヴァルさんがいるギルドで働けば、ヴァルさんの手助け出来るかもしれない……そんな気持ちだけで入りました。色々あって、ヴァルさんが私をパートナーに選んでくれ、それもあってか、一緒に住んでいて、今に至ります。……ギルドに入って一年くらい経ったのでしょうか。時は早いものです。

お家はそこまで広くありませんが、二人で暮らすには十分すぎるくらいの広さがあります。二人の個室もありますから、プライベート空間もバッチリです。施設暮らしだった私にとって、これが初めての一人部屋でした。ちょっぴり嬉しいのは内緒です。
「ただいま……です」
「はい。お帰り……っ…けほっ」
「あ、あの! ごめんなさい! 私が連れ出したので……大丈夫ですか? どこか、変なところとか……!」
「んんっ。……大丈夫。バッグ放り投げたら思いの外、埃が舞っただけだから」
確かにヴァルさんのバッグが床に投げられていました。最近、忙しくてお掃除出来ていないから、埃が貯まってしまったみたいです。よかったですけれど……体調悪くなったのかと。
「あれだけで体調を崩す訳がないだろう。心配性もいい加減にしておけ」
「あう」
今日のお仕事は少し悪いことをしている組織から、お金を徴収するお仕事でした。セイバーギルドは組織の管理をしているので、ある程度大目に見ると太鼓判を押す代わりにお金を要求しているのです。そのお金を回収するのも隊員の役目。役目なのですが、私、そういうのが苦手で、お休みだったヴァルさんがついてきてくれたのです。……本当はゆっくり休んでほしかったんですけど、お仕事出来なかったなんてなったら、今日以上の負担をヴァルさんにかけてしまうかもしれません。
どっちに転んでも、迷惑しかかけてない。……本当に、嫌になります……
「ふぃー? 玄関に突っ立っていないで早く入れ。夕飯、作るんだろう?」
「あ、は、はいっ! 今、行きますっ」
被っていた帽子を取ると、買ってきた食材を手に持ち、玄関を上がる。そのままの足でキッチンへと入ると、近くにあったエプロンを身につけます。帽子はリビングにあるコート掛けに引っ掻けておきました。ヴァルさんのキャスケットも同じように掛けてありました。すでにくつろぎモードのヴァルさんはお仕事の資料……ではなく、趣味で集めてる本を読んでいます。そんなヴァルさんに話しかけました。
「今日、夜は冷え込むみたいですから、お鍋、作りますね」
「いいよ。任せる」
本から顔をあげることはなく、ぶっきらぼうに答えました。いつものヴァルさんなので、私は気にしません。ちょっと遅めのお夕飯かもしれませんが、なるべく早く、作り終えないと!



~あとがき~
もえぎ視点。ですます調は読みにくいかもですが、お付き合いください……というか、ほとんど書かないので、なんとか読みやすいように試行錯誤しつつ頑張ります。

次回、ご飯食べます。あとはなんだろ。事件の導入的な?

ここでこいつら何歳だよって思われると思いますが、細かくは考えてません。もえぎは大体、十六~十七ですね。そうなると、ヴァルツは二十二、三になるかな? 多分。
空と海ではもう少し時間が経つので、また一、二歳上になりますね。

ここで大まかにもえぎ達の住む大陸についての説明を入れました。いつか設定として、まとめたいと思いますが、エルフーンのエルンがまとめる大陸はこんな感じですね。悪いことしてもいいけど、お金は寄越せよ。みたいな制度があるのが特徴。まあ、やっていいよなんて言ってますが、悪いことにも限度がありますし、ある程度の規約はあります。それは紹介出来るときにしますね。

今回は説明回でしたので、何か聞きたいことが遠慮なくどうぞ! 分かりにくいのって絶対にあるし!

ではでは!

はじまりのソラ 7ー7

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊の物語を元にしております。原作のイメージが崩れる恐れがあるので、苦手な方はバック!
前回は『えんがわのいわば』をクリアしたところです。今回から『ツノやま』に挑むど!!
ピカ「あのさ」
はい。
ピカ「自分で言うのもあれなんだけど、私の自問自答の場面は必要?」
何度も出てくるってことはそれだけ気になってるし、ジレンマみたいなものです。仕方ないね! これからも出てくるよ!
ピカ(いつも勢いで書いてるのが原因なのでは)
は~い! 始めますよ!!


~7‐7 ギルド遠征、重なる謎~


浅い眠りから目を覚ますと、空が白み始めていた。もう夜が明けたらしい。寝たような気がしないけれど、時間は平等に訪れるもの。仕方ない。起きよう。
体を起こし、昨日、夜空を見ながら寝てしまったことを思い出した。ポチャ達から少しだけ離れたところで眠ってしまった。失敗したな……とはいえ、二人ともまだ起きていないから、問題ない。これがポチャに知れれば、心配をかけてしまう。それは面倒だし、気をつけなければ。
「ま、こういうのはバレなきゃ、やってないのと同じだから。……おーい、二人とも朝だよ~?」
「うぅ……も、もう、朝でゲスか……?」
「一応ね。今のうちに目を覚まして、軽く運動しておかないと、ダンジョンで怪我するよ。今日は『ツノやま』突破してベースキャンプに到着しないと」
「そう……でゲスよね……」
起きる意思はあるみたいだけど、なかなか覚醒するには至らないようだ。ポチャに至っては全く起きる気配がない。このまま自然に起きるのを待っていたら、日が暮れてしまう。こうなれば、奥の手だ。
「“十万ボルト”」
「うわあぁぁぁっ!!??」
「ぎゃあぁぁぁ!! 何するでゲスゥ~!?」
半強制的に電撃を浴びせて起こすしかないね。許せ。恨むなら自分の寝起きの悪さを恨め。
一日の始まりを電撃から始めることになったポチャは、少し不服そうにしているものの、自分が起きないのが悪いことを悟っている。そのため、文句を言うことはなかった。朝ごはんを食べて、三人で軽く準備運動をする。
「この山を突破すれば、ベースキャンプは目の前だよ。頑張ってこ~」
「……はーい」
明らかにテンションが低いけれど気にしない気にしな~い♪
「よし! 準備おっけ! 二人とも覚悟はいい? 山登りの時間だよ」
「ピカ、本当に朝強いよね。羨ましいよ」
準備運動等々をこなしても、ポチャはまだ眠そうにしていた。朝が弱いポチャにこんな時間からダンジョン攻略に参加させるのは、罪悪感がないわけではない。が、だからといって、こんなところに置いておくわけにもいかない。
「ポチャが極端に弱いだけじゃない? ダンジョンに入れば嫌でも覚醒するよ」
「……うん。そうだよね。ごめん。行こっか」
眠そうにしてても、問題ないだろう。昨日と同じように進めば、難なく突破出来るはず。私の予想が正しければ、だけれど。

予想通り、着実に『ツノやま』の奥地まで進んでいく。何事もなく、問題なく、だ。
それがそうもいかなくなったのは、後半に差し掛かり、もうすぐ終わるだろうと思い始めた頃。ダンジョン内がガラリと雰囲気が変わったのだ。何がとはいえないけれど、抽象的な言葉を使うなら、場の空気のような、そんな感じ。
「なんか、このフロアだけ嫌な感じがする」
「なんだろうね? 殺気立ってる……?」
「前にも似たようなことあったよね。カラナクシ軍団の。あれっぽい?」
「言われると似てるかも。……でも、あれは部屋の一部がそうだっただけで、全体的にそうじゃなかったよね? 今回は全体的に嫌な雰囲気だ」
「まるでボス戦前みたいでゲスね」
ビッパの何気ない一言がピタリと当てはまった気がした。そうか。全体的にピリピリしていて、肌に伝わるこの緊張感はそれか……?
「何かいるってことか」
「ひえぇっ!?」
「どうする? って言っても、ここを抜けなきゃ先には進めないけれど」
「警戒しながら進むしかない。ポチャ、ビッパ。離れないように気をつけて」
二人は小さく頷いた。私も二人に頷き返すと、一歩足を踏み出した。ゆっくり着実に歩を進めていき、奥へと進んでいく。何かあるわけではないけれど、警戒するに越したことはない。
ここは山と言っても岩山の類いで、森に囲まれているわけではない。見張らしはいい方だと思う。敵が隠れるような場所もない。だから、何かあればすぐに気がつける……と思うんだけれど。
そう考えていると、正面から何かが飛んできた。私が避けるのは簡単だが、そうすると後方にいる二人にも何かあるかもしれない。となれば、出来ることは一つだけだ。
私は素早くバッグからワープのタネを二つ取り出すと、正面の敵ではなく、後ろの二人に向かって投げた。咄嗟のことでポチャもビッパも避けられないだろう。
「ピカ!?」
「バッジで場所の確認すればすぐに合流出来る!」
それを言うと、二人はどこかにワープしてしまう。そこまで広いフロアではなかった。大丈夫。二人のタイプ相性も悪くなかった。……大丈夫だ。
それと同時に、私は目の前から飛んできた何かに見事、命中してしまった。

「いてっ! ピカ!?」
辺りを見回しても自分一人だけだった。ポチャはここがまだ見たことがない部屋だということを確認すると、ピカに言われた通り、バッジを起動させた。そして、マップ表示を出し、自分の位置、仲間の位置を把握する。
「……ぼくはここ。通路が見えないってことは三人でまだ来てないところ。……一番近い仲間と合流しなくっちゃ」
バッジを懐にしまうと通路を駆け抜け、いくつかの部屋を抜けると、ビッパと合流することが出来た。ビッパは動かずにじっとしていたらしく、忙しなく辺りを見回していた。そのため、ポチャの姿を見つけたときはパッと顔を明るくさせ、同時にホッとしたように駆け寄ってきた。
「ポチャー!! 無事だったゲスね! あっし、動くと迷いに迷いそうで……!」
「うん。それも一つの方法だよ。……ぼくは大丈夫……でも、ピカが」
「バッジは確認したでゲスか?」
「したよ。結構、離れたところにいるみたいだ。ピカ、なんで急にワープのタネなんか投げてきたんだろう?」
「何かあったゲスね……あっし達を遠ざけたい何かが……それがなんなのかは分からないゲス」
「とりあえず、ピカのところに行かなくちゃ! ねえ、そういえばさ、ビッパは敵の姿とか見た? 走るのに夢中だったんだけど、このフロアに来てから遭遇してないなって」
「そういえば……そうでゲスね。あっしも見てないでゲス。ここに来るまでは嫌と言うほど見たのに」
ポチャの頭にふつふつと嫌な思いが浮かぶ。もし、敵がピカに集中しているとしたら。普通なら、ダンジョン内の敵はどこにでもいて、平等に襲われる可能性がある。それが、ここでは一度も遭遇していない。なぜ、そうなるかまでは分からないが、ここは他とは違う何かを感じるのは確かなのだ。普通の常識なんて通じない何かがあるのかもしれない。
「待ってて、ピカ……すぐに行くからね!」



~あとがき~
遠征なのに遠征じゃない何かに巻き込まれてますね。

次回、ピカに一体何が……?
このパートなっがいなぁ……

本当はこんなに長くなる予定はありませんでした。さっさとベースキャンプ場に着いて、あれこれ話して、湖に行こうと思っていたので。まさかpart7まで続くなんてそんなこと……ねぇ?
もうね。二桁も夢じゃないですよ。はい。

ではでは!