satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第56話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で自由気まま好き勝手していく物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回までやっていた休日回ではユーリ達、ちょっぴり危険な探検とちょっとした家族風景をお見せしました。そして今回から、長い長い長編が幕を開けます。どれだけかかるのかさっぱりですが、最後までお付き合いくださいませ!
剣技大会編、トップバッターはいつもの彼女にお任せしましょう。


《L side》
いつも以上に忙しい生徒会室。人の出入りが激しく、どだばたしていた。お仕事したくありませ~んっと投げ出したい気持ちを抑えて、私も泣く泣くお仕事中だ。それくらい生徒会室が騒がしい……というか、学園全体が活気づいている。理由は一つ。新入生を迎えてから初めて行う恒例行事、『剣技大会』開催が迫っているのだ。
「会長さん! この書類は……」
「それは私が許可の判子押した! 実行委員君はここじゃなくて職員室に行け」
「フォース先輩、ここの数字なんですけど……これって、どうなってますか? 見つからなくって」
「大会経費として出て……の、前に申請貰ってねえ奴だな。どこの出店先?」
「副会長~! ポスター掲示箇所の再確認したいそうなのですが……」
「指定場所以外は駄目! それ以外で見つけたら問答無用ではがす。以上!」
……このように、騒がしいのです。いつも以上に。
剣技大会は生徒会だけではなく、剣技大会実行委員という団体が存在し、その委員会が大まかに進行してくれる……はずである。今回の生徒会としてのお仕事は、実行委員と協力して大会の運営が主である。運営とは言っても、主導するのは先生達だ。その手伝いだと思ってくれれば間違いはない。つまるところ、裏方仕事だ。
大会は文字通り、生徒達が試合形式で競い合うもので、ルールは毎年変化するものの、目的は変わらない。生徒全体の親睦を深める行事。……表向きには、だが。
実際は、たくさんの来賓の方々にアピールする場となっている。大きなギルドや教育機関、専門機関等のお偉い様がいらっしゃるために、将来のために自分を売り込むにはうってつけの場なのだ。二、三年……特に三年生は卒業後の進路もあり、参加傾向として、一年生よりも三年生が多い。まあ、試合ルールや上位入賞者へ贈られる賞品もろもろで変動はあるけれど。親睦うんぬんはどこへやら、である。
「ラルさん、この書類を見てもらってもいいですか? ここの項目を確認してもらいたくって」
「あぁ、うん。分かった。ありがと、ツバサちゃん。……って、なんかしょんぼりしてない?」
「う。……そう、見えますか?」
大量にある書類の仕分けをしてくれていたツバサちゃんは、先程から黙々と仕事をしてくれていた。いつもは笑顔で対応し、ほんわかした空気なのに、それが今日はない。ぶっちゃけここに来てから最初からなかったけれど、生徒会の仕事を手伝うようになって、ここまで忙しくなったのは初めてだからそれのせいかとも思ったのだ。が、普段の仕事ですら笑顔でこなすツバサちゃんが忙しいからという理由でしょんぼりするはずがない。もっと何か理由があるのでは、と。
「実はですね。今日の朝、お母さんに剣技大会の参加を止められちゃって」
「そうなの? する気満々だったよね?」
「はい。……私、『神の祝福』にかかってないので、大会中に何かあると危ないからって」
……神の、祝福?
私が聞き慣れない単語に首を傾げると、ツバサちゃんもこてんと愛らしく首を傾げた。
「ほえ? ラルさん、知りませんか? 魔法を使う人特有の風邪みたいなものなんですけれど」
……知っているような、知らないような……いや、知らないな。初めて聞いた……のか、単に覚えていないだけなのか。まあ、覚えていないのは知らないも同然である。
うんうん唸っていると、近くで当日の備品確認をしていたリリちゃんがこちらを振り向いた。
「会長様、『神の祝福』は魔力風邪とも呼ばれています。こちらの方が正式名称ですね♪」
「……風邪ってことは熱とかそういう?」
「はい。症状としては高熱、重度の咳等、結構重めなのですよ。先程、風邪と申しましたが、ウイルスから来るものではないので、誰かに感染するリスクはありません。また、一生に一度しかかからないのです」
魔法使用者限定で感染リスクがない。一生に一度しかかからないということは、魔力を扱う機能、魔素を魔力に変換する能力の成長過程に必要な行程だと捉えるべきなのだろう。なるほど。避けては通れない道という奴だ。
「リリアーナさんはいつ『神の祝福』を?」
「んーとね。中学二年生くらいだったから、十四歳……かな? ゆっちゃんは中学一年生……?」
「ほへ~……ユーリさん、早かったんですね? 魔力風邪って十二歳から十五歳の間に多いって」
「うん。ゆっちゃん、十三になってなかったかなぁ……ね!? ゆっちゃん!」
たまたま帰ってきたユーリ君に呼びかけるリリちゃん。その手には書類の束を持っていた。何の話なのか分かっていないらしく、彼は不思議そうな顔をしていた。ついでに投げ掛けられたものについての回答はない。そんなユーリ君にリリちゃんはふんふんと鼻を鳴らし、単語を叫ぶ。
「魔力風邪! 『神の祝福』!! 年!」
「……あぁ。その話になった経緯がよく分からないけれど、僕は中一に上がる少し前だね。……そっか。ツバサさんはまだなんですね?」
「はい。……ラルさん、魔力風邪が治った後は魔力な安定してより魔法が使いやすくなるんです♪ 高度な魔法も安定して使えて、数段レベルアップするんですよ~♪」
ふむふむ。やはり、おおよそ予想した通りで間違いないようだ。なんかこう……男の子とかにある成長痛的なそれなんだろう。
「ゆっちゃんもより凶暴化した~」
「そう? そんなことないよ」
「状態異常の! 範囲とか威力とか格段に変わってたよ!?」
「ユーリさんの場合は得意分野、デバフ系ですもんね。集団にはよく効きそうです」
「『神の祝福』後はかなり変化しましたよ。単体よりも複数の方が効率いいですから。……あ、会長、今回の大会の役員名簿が出来上がりましたので、お持ちしました。それと、こちらは来賓の方々のお名前と写真をまとめたものです」
ユーリ君はちょっと恐ろしいお話を適当に切り上げ、持っていた束を私に渡してきた。パラパラと捲っていけば、役員名簿なるものは、所属先と学年と名前が明記されている。
次に来賓の方々のリストをパラパラと捲る。が、私は対応する必要はないはずなので、覚える必要はない。あくまで、ざっと目を通しておけということなんだろう。何かあれば対策出来るように。まあ、当日は一応持っておこうか。
「役員に関しては、仕事の担当分けも明記しましたので、確認の程よろしくお願いしますね。何かあれば、すぐに修正します。また、大会へ参加する意思のある方は事前に申告してもらって、調整済みです」
「仕事が早い。ありがとうね」
ユーリ君にお礼を言うと、彼はにこりと笑って一礼をする。いやはや、働き者でいい子だな。この前の休日は色々あって少し驚いたけれど。
部屋を出ていこうとしていたユーリ君は何か思い出したのか、こちらを振り向いた。
「忘れてた。リリア」
「はぁい?」
「ここに来る途中でリア先生が捜してた」
「ふぁ!? ゆっちゃん、ありがと! 行ってくる! 会長様、失礼しますっ!」
慌ただしくぺこっと頭を下げ、ユーリ君の後に続けて出て行った。リリちゃんの担当は救護で、生徒会として責任者を任せている。いわゆる、バイトリーダーとかそんな立ち位置だ。事前にメンバー表は担当教員へと渡っているから、保健室の先生であるリアさんも把握済みだろう。
「リアさん、直接ここに来てもいいのに」
「先生ね、先生」
ようやく一段落したらしいティールからの突っ込みが飛んできた。私的にはその先生というものは聞き慣れないのだけれど。
リアさんこと、リア・フォルテ先生は高等部の養護教諭チンチラ族でクリーム色の髪を三つ編みにまとめている、ほんわかした人だ。年が近いのと、何かとお世話になっている関係で先生と呼ぶよりも「リアさん」と呼んでしまう。まあ、他の先生がいる場では気をつけるけど。……一部を除いて。
「……ラル、なんとなーく話聞いてたけど、ちゃんと勉強してよね」
「ほへー?」
「ツバサ達が教えてくれた魔力風邪。『神の祝福』については中等部でやったから」
「知らなぁい。……とまあ、それはさておき」
「置かないで欲しいな!?」
「そういうことなら、今回は仕方ないね。大会中に倒れたら大変だから」
読んでいた書類を机に置き、ツバサちゃんの頭を撫でた。まだ少し、元気のないツバサちゃんにどうしたものかと思案する。
「剣技大会は来年もあるんだから、焦らなくていいよ。今回は笑顔で、頑張ってる人を助けてあげよう? ツバサちゃんにしかできないことをやってあげてね」
「……そうですよね。はいっ! 私にできることを頑張りますね!」
うんうん。天使にはキラキラ笑顔が一番だよね。今日も可愛いわ。



~あとがき~
ここからどれだけかかるんでしょうかね。

次回、剣技大会前の準備編の続きです。
ここら辺はさらっと終わらせたいよね。さらっと。

今回の進め方について少し。
本文前に《〇 side》とあれば、そのキャラの一人称視点で進めていきます。今回で言うと、ラル視点です。で、何もなかった場合は三人称視点です。中心人物はいますが、一人称視点ではないので、キャラの心情や心で思っていること、考えていること等は出てこないかもしれません。いや、出すけど。多分。キャラクター口調で地の文は書きません。
今まで、《〇 side》明記がなければ、一人の視点で突き通すという決まりでやって来ましたが、剣技大会に関しては、このように進めて参りますので、ご理解の程、よろしくお願いします。

さて!! 新キャラさんのお名前が出てきましたね! もう少し後の予定でしたが、別の新キャラさんとか後から後から出てくるので、早めに出しておこうと、名前だけの登場です。
リアさんですね! リアさんは友人宅のキャラですが、本編の空と海にもゲスト出演しているので、分かる人には分かりますね……あのリアさんです。
説明を挟みましたが、リアさんはレイ学出身で、ラル達とは時期が被っていないものの、学園の先輩ですね。あまり接点のないラルとリアさんがどう仲良くなったのかは不明ですが、仲がいい方です。どれくらいかっていうと、ラルがリアさんを茶化しちゃうくらいには仲がいい。←は

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第55話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しくのんびり過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
イツキのおじいさまに捕まったユーリ。何させられるんですかね。
ユーリ「昔と同じですよ」
イツキ「俺、一生離れてやるって思ってたんだけどなぁ」
まあ、そこまで書きません。(ネタがない)
ユーリ「心の声が……」


ご指導よろしくなんて言ったけれど、思い描く厳しいものは何もなかった。少なくとも僕は。
道場から落ち着いた雰囲気のある庭園を眺められる……いわゆる、縁側で三十分くらい座禅をさせられていた。その後ろでリンドウさんと同じように袴に着替えたイツキが竹刀の素振りをしている。結構嫌々だった割には、太刀筋や姿勢なんかは流石だ。
「……ユリ坊や」
「はい」
「修行に終わりはないぞ。お前さんが好きな勉学と同じだの」
「……心得ておきます」
「うむ。明日も来なさい」
「じいちゃ……師匠! 明日からは大会関係で生徒会の仕事あるって言って……いえ、お伝えしたと思いますが……がぁっ!?」
スパァン!!……と、気持ちいいくらいのいい音が僕の後ろで響く。振り返らずとも何が起こったのかは理解できる。竹刀で思い切り叩かれた音だ。
僕は体ごと向きを変え、イツキとリンドウさんと向き合った。
「イツキの言う通り、来週末に行われる剣技大会の準備があります。僕達も参加するしないに限らず、準備に追われることでしょう。……ここへ来る時間が遅くなりますが、それを許していただけるなら、明日も来ます」
「よいよい。遅くとも待っておるよ、ユリ坊」
「恐縮です。先生」
リンドウさんは険しくも暖かみのある笑みを見せる。その隣ではイツキが滅茶苦茶嫌がっているけれど、きっとこれは昨日の罰だ。それにいい機会でもある。
「先生、お一つ伺っても?」
「なんだい」
「僕はまだ、強くなりますか?」
「もちろんさね。そこの馬鹿タレよりも見込みがあるからの。てめぇの子にしたいくらいさ」
「あはは。ありがとうございます」
馬鹿……イツキの方が剣の腕はあるのに。変わらず、身内にはとことん厳しい人だ。
「師匠! もうそろそろ、帰らせてやってください。一応、病み上がりですよ」
「ふむぅ。仕方ない……マリアさんにも悪いかね。ユリ坊、もう帰ってよい。残りはイツキにさせよう」
マリアは僕の母の名前だ。そういえば、ちゃんと話をしていないし、帰ってからしっかり謝っておかないと。……それはそれとして、イツキは僕の代わりまでやってくれるらしい。働き者だな。珍しく。
「うげっ!?……まあ、いいか」
そこまで気を使わなくても平気なんだけれど。ここはお言葉に甘えるかな。

まだまだお仕置きが終わらないイツキを置いて、僕は家路についた。家の前に待ち合わせでもしているのかぼうっと妹が立っていた。無視して入ってもいいけれど、声をかけずに入ると後々面倒そうなので、仕方なく話しかけた。
「……何してんの、アイ」
ツバサさんと大して年の変わらないアイこと、アリシャはむっと頬を膨らまして、いかにも不満ですって顔をしている。母さんから受け継いだ透き通った水色の髪の中に、僕とは違ったぴんと立った耳をぴこぴこ動かしている。
「にぃがいないから、待ってた」
「出掛けてたから。家の中で待てばいいのに」
「ケガして帰ってきたのに……?」
「それって関係ある? ほら、中に入れって」
「にぃ、わたし、心配したの」
自分勝手に振り回すアイが僕の心配なんてあり得ないとは思った。ほんの二、三年前は吹っ掛けられた喧嘩を買い、それに加えてリンドウさんのところで体術のトレーニングをしていたから、怪我は当たり前だった。そのときは心配一つされた記憶はない。けれど、病院沙汰は初めてのことではあったから、それなりに思ってくれていた……のかもしれない。
「……それはごめん」
「ぜんぜん、おきなかった」
「それは魔力の使いすぎ……って、アイ? 泣いてるの? 嘘だろ」
「にぃのばかぁぁ!」
どこで涙腺が崩壊したのか分からないが、完全に号泣し始める。いや、意味が分からない。こんな往来で泣かないでいただきたい。
泣きわめくアイを無理矢理家の中に押し込み、玄関を閉める。手を引いて、リビングへと向かった。その短い間も幼稚な罵倒が聞こえていたけれど、うるさいと一蹴はできなかった。心配をかけたのは事実だから。
「ただいま、母さん。なんかラムネとかお菓子ない? アイを落ち着かせたいんだけど」
「あら、お帰りなさい。あらあら、アイちゃんったら……我慢できなくなっちゃったのねぇ」
わんわん泣くアイをソファに座らせつつ、母さんの言葉に首を傾げた。我慢って何を。
「お兄ちゃんが病院に運ばれたって聞いてね。アイちゃん、とっても心配してたのよ? 夜中になってもお兄ちゃんの傍から離れないって言ってたの。あの人もね、心配してたわ。仕事放り出して病院来ちゃうくらいは」
「……あの父さんが?」
僕の父さんは魔術について研究している人だ。専門機関の研究所に泊まり込みで家にはほとんど帰ってこない。僕は父親と何か遊んだ記憶はないのだ。恐らく、おじさん……イツキのお父さんと遊んだ回数の方が絶対に多い。学校関係の行事だって、参加しない人なのに。
「もちろんよ。ね、ユーリ? 母さん、あなたのすることに反対はしないわ。……でも、ちゃあんとお家に帰ってきて。これだけは約束してね」
僕の頭を一撫でし、優しく抱き締める。実際は数秒間だったけれど、僕には長い時間に感じた。母さんが僕から離れると、控えめに服の裾を引っ張られる感覚がした。
「にぃ、いなくなったら、やだ」
ぐすぐすと涙まみれの顔で僕を見上げた。僕は苦笑を浮かべて、アイと目線の高さを合わせる。
「大袈裟だろ……にぃが強いの知ってるだろ」
「でも、きのうは、ずっと……っおきなくて……まえは、あんなのなかったんだよ」
「あ~……そう、ね」
「もう、やだぁ……にぃ、いないの、こわいぃ」
「いつもはどっか行けって蹴るくせに……」
「知らないっ!」
理不尽かよ……同年代のツバサさんの方が余程大人だ……少なくとも、僕と話しているときの、だけれど。実際のプライベートまではよく知らないから、比較対象としては不十分かもしれないが。
「ごめんごめん。もうあんなことにならないように気を付けるから……な?」
「きょう、いっしょにねる」
「……はぁ!? 冗談だろ」
「ねるのっ!!」
「まあ……蹴り飛ばさないなら好きにしてくれ」
くすくす小さく笑う母さんからアイの好きなラムネを受け取り、ぽいっと彼女の口に投げ込む。しゅわっと消える感触が好きらしく、いつの間にか、涙も引っ込み、大人しくソファに座り直した。
フォースさんの言った適任ってこういうことか。確かに、会長やフォースさんに叱られるのとはわけが違う。
「にぃ! ここっ!」
「はいはい……」
アイが自分の隣を必要以上に叩きまくっている。ここに座れってことなんだろう。
座って何するのかも謎だが、今日は言う通りにしてあげようか。



~あとがき~
私のオリキャラにしたら、ユーリ、イツキ、リリアーナは至極平和な家族構成。空と海のキャラを見ろ! 孤児だらけだ!!((

次回、ついに剣技大会編スタートです!
剣技大会は少し特殊な進め方になります。前からやっている視点入れ替わりと書き方も変えていきます。その、あれだ! つ、ついてきてくれよな!!

初期プロットから大幅に変更しました。ユーリが大怪我する描写もなかったし、家族を書くつもりもありませんでした。叱る役はフォースだったし、締めくくりはフォースとラルに出てきてもらう予定でした。何がこうなったのかさっぱりですが、まあ、これにて終わりです。
あ、でも、ユーリとイツキがリンドウにしごかれるのは前々からネタとしてはありました。剣技大会終わりとか、その辺かなとは思ってたんだけど、こんなに早く出てくるとは。
この流れで出てきた家族の名前を書いときましょう。ユーリ視点だったので、ユーリ宅の方々が多いですな。
マリア・ケイン(母)、アリシャ・ケイン(妹)ですね。父は出ず。パパ……ごめん。
イツキのところはリンドウ・カグラ(祖父)です。あと五人いるけど、未公開。
リリアーナのところは手つかずでした。
出てきてないってことは決まってないってことだ! 察して!! いや、決まっている人もいるけど、多分、出てこないんで覚えなくていいです……(笑)

ではでは!

空と海 第222話

~前回までのあらすじ~
ポチャ視点でピカと町中ぶらぶらしてまーす。
二度とないよ! ポチャ視点!!
ピカ「前回も似たようなこと聞いたわ」
ポチャ「というか、断言しなくてもよくない!?」
ピカ「こういうのはネタだから。本当はどうなるかなんて分からないからさ~? まあ、気楽に構えとけって」
ポチャ「う、うん……? あれ、これってそういう話だっけ?」
さあ……?
まあ、始めますよ!


二人でお店を見て回っているだけで、普段とそう変わらないんだけど、こういうのも悪くないかなって思う。仕事ばっかりじゃ詰まっちゃうし、たまにはいいかもしれない。……こんなことを彼女に言えば、確実に悪知恵を働かせて、あれこれ対策を練りそうだから絶対に言ってやらないけどね。
「お姉さん、これとこれ買うからおまけして~」
「あら、若いのにお上手ねぇ♪ あなた、可愛いし、おまけしちゃうわ~♪」
「わーい♪ お姉さん話がわかる人だね!」
ピカが話している相手……オニゴーリの店員なんだけど、どう見てもお姉さんなんかじゃない。ま、まあ、世界には色々な人がいるってことなのかな。……うん、きっとそういうことなんだ。深く突っ込まないでおこう。
「よっしゃ~♪ いい買い物だった!」
「そっか。よかったね」
お店から出てきたピカはおまけもしてもらって大満足だったらしい。そんな嬉しそうに笑うピカを見て、さっきのことは忘れてしまった方が幸せだ。その方がいい。よし。忘れる。
心の中で変な決意を固めていると、それを変に思ったピカがじっと見つめてきた。
「どしたの、ポチャ。なんか変だよ」
「ちょっと……でも、大したことないから大丈夫」
「ほーん……ま、いいけど」
少しだけ首を傾げたものの、これ以上は何も言わなかった。基本的にどうでもいいことは深く突っ込んでこないのがピカだ。どうでもいいこと、というよりは、興味ないことや大切ではないと判断したものに限るけど。
「……うわっ! こんなところでアイスとか売ってるし。寒いだけじゃん!」
きょろきょろとお店を物色していたピカが、アイスキャンディ屋を見つけるなり、寒気がしたのか肩を震わせた。
寒いとは言うけれど、一応、夏だし、アイスが売っていても問題はないとぼくは思う。ピカはそうは思っていないみたいだ。
「世間的にはまだ夏だから変ではないと思うよ。というか、美味しそうだけど」
「ああいうのは暖かいところで食べて!? 冬にアイスって言うけど、それは暖かい部屋に限定するでしょ?」
「……そう、なの?」
どちらかと言えば、寒い方が嬉しいぼくにとっては、暖かい部屋で食べるアイスのよさは分からない。別に寒くてもいいと思う……のは、常識ではないんだろうな。
「そうだよ!……いや、うん。ごめん。私もよく分かんないんだけども」
「じゃあ、なんだったのこのやり取り!?」
「ポチャが美味しそうとか言うから」
「え、ぼくのせい?」
「うん。ポチャのせい」
いや、絶対関係ないよね……? でもこのやり取りを続けても終わりが見えなくなりそうだ。ここで打ち止めにした方がよさそうだな。
ピカもぼくと同じことを考えていたようで、ふぅ、と息を吐いた。そして、こくっと小首を傾げる。
「まあ、いいや。ポチャ、食べる?」
この質問に今度はぼくが首を傾げる番だ。
「食べていいの?」
「食べたいなら、どうぞ」
「じゃあ、せっかくだし」
そんなぼくがチョイスしたのは言わずもがな、リンゴ味。これは譲れない。ちなみにピカはアイスキャンディ屋の近くにあった、カフェでホットコーヒーを買っていた。耐熱性の高い紙カップに入ったコーヒーを両手で持つピカは、ぼくを見るなり嫌そうな表情を浮かべた。
「うわぁ~……めっちゃ寒そう」
「寒くないよ! ピカが駄目なだけだろう?」
「言うねぇ……人には得手不得手があってだね」
「そうだね。ぼくが寒さに強くても、ピカは弱いもんね」
なんだか、この話題だと珍しくぼくがピカのことを言い負かせそうな雰囲気あるな……ちょっと試してみようと思っていると、それを悟ったのか、ピカから仕掛けてきた。
「そうだな。でもまあ、弱点的にはポチャの方が多いと思うよ? 一個一個言ってあげようか?」
あ、駄目だ。負けた。
「ダイジョーブデス、ゴメンナサイ」
「分かればいいよ~♪」
すぐに引いたぼくを見て、満足そうに頷くと、コーヒーを美味しそうに飲む。勝利の一杯って奴だろうか。
ぼくがピカに勝てると思えるのは、仕事を嫌がるピカを引っ張っているときだけだな……悲しい。
そりゃ、全体のスペックはピカの方が何倍も上だから仕方ないとは思うけど……なんだろう。それって男としてどうなんだろう。なんかこう……頼れる男の方がいいと思うんだけどなぁ。残念ながら、ぼくにその素質はなかったみたいだ。
そもそもの話、ピカに勝てる相手ってのも中々いないか。親方とかは勝ててる……のかな。あれは勝っているのか、謎だけど。
心底どうでもいいような物思いに更けていると、ピカが何かを思い出したような声を漏らした。
「あ。そーいえばさ、さっきカフェでテイクアウトを待ってたんだけど」
「うん? うん……それで?」
「そこで子供連れのお母さんを見たのよ。子供は多分、五歳とかそこら辺の」
時間帯的にも、そういった人達が訪れる時間帯なのかもしれない。けれど、いきなりそんな話をして、どうしたんだろう……? 気になることでもあったのかな。
「で、ポチャに聞きたいことあるんだけど」
「ん!? この流れで? いや、答えられることには答えるけども」
「ふと疑問にね、思ってさ。いや、大したことじゃないんだけども」
「そう言われると大したことに聞こえてくるから不思議だよね……疑問って?」
ピカはコーヒーを一口だけ飲んで、こちらをちらっと見た。ぼくも同じようにピカの方を見る。
「この国の結婚制度」
……んんんんんっ!?
いきなり何!? え、結婚!?


~あとがき~
いつもよりちょっと短いですけど、きりがいいんでここできりました。

次回、各国の制度の話。
つっても、結婚うんぬんの話だけどね!

実は、今回の話は結婚制度の話がしたかっただけです。なんでするのって感じですけど……まあ、察してくれよ。
……深い意味なんてないけども!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第54話

~attention~
『空と海』のキャラたちが学パロなif世界でわちゃる物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ようやく終わりが見えてきました。そして、一番長かった休日回。……ステラとツバサちゃんの仲良し大作戦もこれくらいだった気がする。
イツキ「ヤバい」
ユーリ「これ、ちょっとした長編ですよ」
この長さは中編かな……長編ってのはこのあとの剣技大会のことを言うんだよ!!??
ユーリ、イツキ「……あぁ~」


ふと気が付くと、見知らぬ地に立っていた。
いや、知らないというのは語弊がある。ここは小さい頃、いじめっ子達に呼び出された場所と風景が似ていた。どこだったかはあんまり覚えていないけれど、それは大して重要に思えなかった。
少年の僕は複数の上級生とどんぱちしている親友をぼうっと見ている。
そして、それを遠目に見ている今の僕。
夢か。と思うのに時間はかからなかった。昔の記憶を見ているのだと。
それなら、少年が次に出る一手も予想に難くない。当時の魔力が不安定な時期にしてはなかなか上手く出来た幻術でこう言うのだ。
「魔法が安定して使える年にもなったんだ。お前たちなんて簡単に倒せちゃう。……もしかしたら、即死魔法なんてものも簡単に出来るかも。呪文一つで死んじゃうんだって。見たコトないんだけどね。……うん。面白そうだから、お前らで試してみようかな」
断言するけれど、即死魔法なんて使える訳がないし、そもそも話、存在自体を知らない。けどまあ、創作の中ではさも当たり前に魔王とかが口々に言うもんだから、とりあえずそれっぽくしておけばもしかして……っていう浅い作戦だった。今にして思えばもっとやり方あるだろうとか思ったんだけれど、これはこれで上手くいき、知識の乏しい子供達はこれが出まかせだと疑いもせずに震え上がった。また、幻術の助けもあり、かなり雰囲気が出ていたらしく、僕の演技を本物だと捉えたいじめっ子達は泣きながらその場を去る。
この経験から、魔法は攻撃魔法だけじゃないと心から思ったし、知識はあるだけ自分を高め、助けるものであると自覚した。反対に別の手段で自分の身を守らねばとも思った。この時期から、本格的に剣道や体術の修行に打ち込むようになったんだったか。

「……ユ……ーリ。ユーリ」
「……んぇ?」
誰かに呼ばれて目を覚ますと、横向きに寝ていたのか壁しか見えない。が、この壁は自宅にある僕の部屋の壁だ。部屋の中がほのかに明るいから、日が出ている時間帯なんだろう。誰が後ろにいるのか確認するために振り返ろうとして、背中の鋭い痛みでその動作は中断される。情けないけれど、その痛みでこの前の出来事を─多分、昨日─思い出した。
あぁ、フォースさんに運ばれている間にそのまま寝ちゃったのか。
振り返るのを諦め、元の体勢に戻る。未だにひっそりと近づく眠気と懸命に戦いながら、小さく言葉を発する。
「……なぁに?」
「イツキくんが来てるんだけれど、起きれそう?」
今度ははっきりと聞こえた。僕の母親の声だ。言葉通り、訪問者が来たから僕を起こしに来たんだろう。起きれないことはないが、イツキだしな、と当人からすると失礼な考えがない訳ではない。しかし、昨日のこともある。顔くらいは見せてやった方がいいかもしれない。明日、学校で会うとはいえ、だ。
「行く……五分、待ってもらって。て、母さん」
出来る限り体が痛まないように気をつけながら体を起こした。正直、背中よりも魔力の使い過ぎの後遺症なのか、頭痛の方が酷い。意味もなく、こめかみ辺りをぐりぐりと押すような仕草をしつつ、ちらりと母さんを見る。僕とは違う、透き通ったような水色の髪と瞳はいつも通りの母さんに見えた。しかしまあ、こんな怪我して帰ってきた息子の心配をしていないはずもなく、表情には心配の色が出ていた。
「今、何時?」
「もうお昼過ぎよ。早く着替えていらっしゃいね」
おっと、約一日寝ていたのか。となると……この頭痛はあれだ。寝すぎた奴だ。
母さんが部屋から出て行ったのを確認すると、僕はベッドから降りる。そして、クローゼットを開け、着替えを引っ張り出した。
「昨日着てたのは……普通に考えれば捨てたんだろうなぁ。……いや、いいけどね。いいけど……ん?」
もぞもぞ着替えながら、あることを思い出した。僕、敵から奪った拳銃はどうしたんだったか。剣振り回してた敵に撃って……そこから……? 奪われないようにとベルトに引っ掻ける形で……
「持って、帰ってきた……気がする……えっ!? あれ、どこいった!?」
部屋を見渡しても、整頓された自分の見慣れた景色しかない。机の上に学校の図書館から借りてきた本が数冊積まれているくらいで、あとは全て僕の私物だ。場違いな拳銃なんて見当たらない。
最後まで一緒だったのは誰、なんだろう。寝ちゃってて、知らないんだけど……うわ。
「運んでくれたのはフォースさんだし、何か知ってるかも。……え。なんて聞くんだ、これ」
電子端末を手に取るものの、どう切り出していいのか分からない。分からないけれど、とりあえず、聞きたいことがあるとかなんとか言えば、察してくれるかも……多分?
「……あれ。連絡来てる」
今まさに連絡しようとしていた相手からメッセージが来ている。今日の日付で時間帯は朝。何の躊躇いもなく選択し、チャット画面を開く。そこには僕の知りたい情報が一言で記されていた。
『ユーリが持ってた銃は回収しといた』
そして、その下にもう一言。
『あれ、改造したら化ける。敵のくせにいいもん持ってんだな。使いたいならあげるよ』
「……改造て。銃をカスタマイズするってこと?」
これ、僕が欲しいですなんて言ったら、くれるのかな。……いらないって言ったら? フォースさんが使うのかな。うーん。まあ、駄目元で。
『興味があるので、銃の使い方を教えてくれますか』と打ち込み、画面を閉じる。次に、中途半端な着替えを終わらせた。上着のパーカーのポケットに端末を突っ込んで、ようやく部屋を出た。待たせているなら、家の中に通しているだろうか。リビング見て、いなかったら外に行こう。
リビングの扉を開けると、思った通り、イツキはソファの上に座っていた。昨日よりもラフな格好で、プルオーバーとジーパン姿。母さんが出したであろうオレンジジュースを飲んでいる。が、気になるのはそこじゃない。
「……イツキ?」
「んお。やっほ! ごめんな。病み上がりの家に来るのは気が引けたんだけどさ~」
「いや、それはいいんだけど……なんで怪我してんの? 帰る途中に何かあったのか?」
イツキの顔には絆創膏やガーゼが当ててあり、怪我しましたと言わんばかりの見た目である。少なくとも、あのダンジョンでは怪我一つなかったはずなので、その後、ダンジョンから出る辺りで何か不測の事態に巻き込まれたのだろうか。
「何もないよ。めっちゃ安全に何事もなくあそこからは出られたから。その後、フォース先輩にユーリ任せて帰った後……っすね」
「……おじさん?」
「と、じいちゃんと兄ちゃん姉ちゃんに」
これ、参加していないのはおばさんとおばあさんくらいなのでは。
「フォース先輩の適任者ってのが分かった。目の前にしないと気づかないのも馬鹿だったよ。リリィも両親にめちゃめちゃ絞られたみたい。……でさ、ユーリ、外出られる? じいちゃんが話したいらしいんだけど」
なるほどね。そういうこと。
でも、それでいくと、なぜ僕はイツキの家に出向くんだろう。……もしかして。
「……しばかれろと?」
「それはない! 少なくとも、俺みたいにはならないよ。なりそうなら、俺が守るし! んでも、無理にとは言わない。じいちゃんには俺から言っとく」
嫌なことを後回しにしても仕方ないしな。
「分かった。今から行こう。僕は平気だから。……母さん、行ってくるね。すぐに戻るけど、遅くなりそうなら連絡する」
「分かったわ。気を付けて行っておいで、ユーリ。……イツキくん、よろしく伝えておいてね」
「はい! しっかり伝えます。すんません、ユーリ借りてきますね!」
イツキは礼儀正しく一礼すると、僕と一緒に家を出る。僕の家からイツキの家はそこまで遠くない。大した会話もなく、すぐに目的地へと到着すると、イツキの家の玄関……ではなく、その横にある道場の入口へと向かった。イツキの一族が代々受け継いでいるものの一つで、ここでは剣道や柔道、空手等々の教室を開いている。僕も高校に上がるまでは毎日のように練習していた。イツキは今でも練習しているんだろうけれど。
「……ユーリ、ほんとごめん」
「それは何に対してのごめん? 思い当たる節が多くて見当つかない」
「あー……や、じいちゃんの言うだろうことに謝っとこうと思って」
何も聞いていないのにここで謝られても。
「話を聞いてから謝罪を受けるよ。……行こう」
ばつの悪そうな表情は変わらず、イツキは道場の扉を開く。入る前に一礼。
「失礼します!!」
二人で声を揃えて、一言。武道の世界は礼儀の世界……少なくとも、イツキの一家の流派はそうで、一つ一つの動作に気持ちを込めろと耳にタコができるくらい聞かされた。
中に入ると、畳の匂いと汗の臭い。……それを消すための芳香剤はおばさんが置いているのだろう。人工的な花の甘い匂いがする。そんな様々な匂い─これを感じ取ってるのは僕だけなんだろう─がする中で、奥の方に袴姿のイツキのおじいさん……リンドウさんが険しい顔をして鎮座していた。まとっている雰囲気が近づいてはならないと教えてくれているが、ここで立ち止まっていても怒号が飛んでくるだろう。覚悟を決めて話しかけるべきだ。
表には出さず、しかし、内心は緊張しまくりつつ、その場で頭を下げる。
「お久しぶりです、先生」
「あぁ……頭を上げて、そこに座りなさい。お前もだ、イツキ。……すまんね、ユリ坊よ。呼び出すのは悪いと思うたんだが、早く話をしたくてな」
「失礼します。……話、ですか」
一礼の後、言われた通りにリンドウさんの向かいに座る。僕の言葉にリンドウさんはゆっくりと頷いた。
「聡いお前のことだ。何のことだか、分かっているんじゃないかね」
「……昨日の件でしょうか」
「多くは問わん。うちの阿呆も迷惑をかけたようだしのぉ。……しかし、だ。ユリ坊」
ここまで聞いて、何を言いたいのか何となく察してきた。できれば外れて欲しいなと思いつつ、返事をする。
「はい。先生」
「なっとらんな」
「……仰る通りです。僕は昔のように鍛練に時間を割いておりません。その結果が今回の事態を招きました。何が悪かったのか理解しているつもりです。もちろん、先生のお考えも。……昔のようになさるつもりでしょう」
「ユーリ……!」
「イツキ。……大丈夫だから。先生、しばらくの間、ご指導の程、よろしくお願いします」
……って言わないと帰してくれないんだもん。リンドウ先生は。



~あとがき~
終わりませんでした。

次回、今度こそ! 終わる!! 終わるよ!!!
続きすぎててびっくりしてるよ。

ユーリの家族構成は両親と妹の四人家族。
イツキは大所帯ですね。祖父母、両親、兄、姉、イツキって感じです。七人かな?
リリアーナは三人です。両親とリリアーナ。
もしかしたら、増えたり減ったりするかもですが、そんなイメージですね。

やるよって言っていたユーリの回想も入れました。小学生があの台詞言ってるの相当ヤバイと思います。ヤバイ。まあ、彼は創作物の引用だと言っているので、普段何読んでんだよって話ですね。
図書部というのでお察しでしょうが、彼は子供の頃から読書家であります。部屋の描写はあまりしませんでしたが、本棚に囲まれ、勉強に使う参考書や小説、神話などの物語系の他にも、魔導書や学校の図書館から、一般生徒が借りられないような本を拝借していたりします。
関係ないけれど、イツキは日本家屋のめちゃめちゃ広い二階建ての家。フローリングよりも畳! みたいな部屋多めで、イツキ自身の部屋も畳にカーペット敷いてるみたいなのをご想像ください。彼はベッドじゃなくて敷き布団。部屋は散らかってるんじゃないかと。
リリアーナは西洋風のお屋敷住まいですね。ちょっとしたお嬢様なので、天蓋付きのベッドで綺麗に整頓されている……と思います。
あれ? ユーリの回想の話だったはずなのに、三人の部屋の話になってしまった……(笑)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第53話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で好き勝手繰り広げる物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
長かったユーリ、イツキ、リリアーナの物語も終わりが見えてきました。どんぱちばっかりでやっちゃいけない一線を越えた気分。
ユーリ「自覚してましたか」
まあ、ほんわか物語は相方……
ユーリ「前にも聞いた」


二人の上に乗ったまま……主にイツキに体重を乗っけていた。リリアは僕から抜け出して、素早く回復魔法をかけていた。ふんわりと暖かい空気に包まれる感覚と共にイツキが座って、尚且つ僕を庇うような体勢になる。
「ゆっちゃんっ……!」
リリアが今にも泣きそうな声で名前を呼ぶものだから、安心させたかったけれど体を動かそうにもイツキががっちり捕まえていて、動くに動けない。
「失敗した! これで終わりなんだって気が抜けて……ごめん、ユーリ。ごめん」
「……いっちゃん」
「リリィ、ユーリ治せる?」
「う、うん! 大丈夫。毒も何も塗ってないから、傷口塞げば……もうちょっとかかるから、待っててね。ゆっちゃん」
僕はいい加減、この体勢から抜け出したくて、イツキの背中を叩いた。それに気付いたイツキは少しだけ力を緩めて、ようやく、喋るだけの余裕が出来る。
「大袈裟……大丈夫だよ」
「大丈夫なわけないだろ。ちょっと黙ってろ」
……怒らせたかな。まあ、この状況、もう僕らの手には負えないんだけど。これで十分なんだ。……僕らの役目は終わり。
見えない攻撃を上手く受け流すイツキに感服しつつも、僕は複数の気配に混じって、別のものを感じていた。前者は言うまでもなく、敵の援軍。後者は僕が万が一のために考えていた最終手段だろう。結局、手を借りることになりそうだ。
「っだあぁぁっ!! 鬱陶しい!」
攻撃を防ぐことは出来ても、反撃に転じられず、苛立ちが表に出ている。僕を離せばもっとまともに戦えるとは思うけれど、それはしたくないらしい。個人的な意見としては、さっさと離れて欲しいけど。
何度かの攻防の末、イツキの手が止まる。困惑気味のイツキと、それを不思議そうに見つめるリリア。
「どうかしたの?」
「相手の攻撃、止まった。俺、何もしてないんだけど……?」
「思ったより早いかも……どんな風に対処したのか気になるけれど」
「んなもん、適当だよ。適当」
僕の疑問に答えた人物はいつの間に登ったのか、小屋の屋根の上で暇そうに僕らを見下ろしていた。学校でよく見るパーカー姿ではなく、地味なロングコート姿のフォースさんだ。
突然の登場にイツキもリリアも処理しきれず、呆然としていた。連絡のつかなかったはずの先輩が目の前にいるのだから、仕方がないのかもしれない。
「さて。さっさと終わらせますか」
何かを引っ張る動作をした後、屋根から飛び降り、見えない敵へとドロップキック。その攻撃で事切れたらしく、魔法あるいは技が解けて姿が可視化できた。
「先輩、なんで?」
「説明は後でしてやるよ。それとも、ユーリにでも聞けば?」
それだけを言い残すと、フォースさんはどこかへ行ってしまった。後ろから来ていた敵の増援の退治にでも行ったのだろうか。
「ゆっちゃん……?」
二人からの視線が痛い。先輩を待つ間、ずっと黙っているのも暇と言えば暇なので、僕から説明しておこう。
「……ここに入る前、ステラさん……中等部の後輩に連絡したんだ。彼女、ラルさん達と仲良かったから、もしかしたら連絡取れるかもって」
ステラさんには、簡単に状況の説明をしただけだったし、間に合うかまでは視野に入っていなかった。彼女がどのような手段を用いたのかさっぱりだけれど、まさかフォースさんが来るとは思っていなかった。僕的には警備団体的なやつをイメージをしていたんだけれど。
「なるほど……流石、ユーリ」
「元はと言えば、お前が勝手に突っ走るのが悪い」
「うー……ごめん」
「……い、一応、なんとか……応急処置は終わった、かな。でも、あんまり動かないでね。高度な治癒魔法は私、使えないから」
リリアの魔法のお陰で、痛みは大分引いた。これだけ頑張ってくれて感謝しかない。支えてくれていたイツキから離れ、リリアの頭をそっと撫でた。
「ありがとう、リリア」
「……もう、無茶しないでね」
「ん~……善処します?」
「今のゆっちゃん、会長様みたい」
うえ。あんな風にはなりたくないかなぁ……あの人はかなり無茶苦茶だから……なんて、本人目の前にして言えないけれど。仮に言ったとして、笑って流すか、笑いながら手が出るかの二択?
「さっきのユーリの言葉聞いてさ。……今、思い出した」
「ん?」
突然のイツキの言葉に思わず首を傾げた。リリアも思い当たる節がなく、僕と同じような動作をする。
「ガキんとき、ユーリが上級生に啖呵切ったやつ。あー……啖呵っていうか、脅しか?」
「あれは……脅しかな。多分」
「えっ!? ゆっちゃん、何したの!」
「ん~……上級生に目をつけられて、喧嘩吹っ掛けられて、イツキが果敢に攻めるけど、やられたんだよね」
「やられてねぇし! 元気だったし!」
そこそこへばってた気がするけれど……まあ、いい。イツキがやられていたかどうかなんて、どうでもいい話だ。
「そこに僕が幻術使って、相手を脅したの。僕の姿を大人に見せて、お前らよりも強くなったから、覚悟しろ~……みたいな」
「そんなに優しくなかったけどね。実際は色々言ってましたよ、ユーリさん」
はて……? そうでしたっけ。
幼かった僕が考えられる言葉を並べただけだ。普段から慣れ親しんできた創作物から、引用したに過ぎない。過激な表現も愛嬌だろう。子供の脅し文句と大人の脅し文句では迫力が違う。まあ、「お前ら覚悟しろよ~」なんて言い回しは使わなかったが。
「元気だな、お前ら」
僕達から離れてそこまで時間が経っていない気がするけれど、フォースさんが帰ってきた。目に見える範囲に怪我なんかは見られないけれど、この先輩の場合、無傷で全員倒してきたきたんだろうな。
「とりあえず、全員拘束完了。探検隊バッジ使って転送も終わっている」
「て、展開が早いっす……フォース先輩」
「何それ。褒め言葉?」
「めっちゃくちゃ、尊敬込めてます」
「あぁ、そう。……で、何してるのか、理解してるの?」
いつも以上に温度を感じない言葉。会長達に比べ、感情が表に出てこない人ではあるけれど、ここまでのはそうそう見ない。つまり、これは……かなり怒っていらっしゃる、のだろう。
「はい。……理解している……つもり、です」
僕の横で小さくなって受け答えしているイツキ。答えているのはイツキなんだけれど、リリアもなぜかその場で正座し、黙って話を聞いていた。反省してますという空気が出まくっている。
「じゃ、お前の友達が危ない目に遭って、何かあったら責任取れるんだな」
「責任……ですか」
「そう。責任。探検隊ってのは、チームで動く。つまり、責任は指揮を執るリーダーにある。今回の発端はお前だろ、イツキ」
「……はい」
「ユーリとリリアーナに何かあったら、責任はお前が取らなきゃなんない。意味、分かるな」
本格的な隊を組んでいる訳でも、フォースさんの言う本当のチームでもない僕らだけれど、この場ではそんなものは関係がない。子供だからと許されない。これは……僕達がやろうとしていたのは遊びでも何でもないのだ。
「あの、フォースさん……」
流石にイツキばかり責めるのも罪悪感があるので、恐る恐る、話に割って入ってみた。が、僕に向けられたのは冷たい視線だった。
「黙ってろ。……言っておくが、止めないお前らもほぼ同罪だ」
あ、はい……すいませんでした……
普通にこちらも対象だった。気まずい中に入らなくても順番回ってくるな、これ。
しかし、この後、フォースさんは小さくため息を漏らしただけで、他に何かを言うことはなかった。もっと何か言ってくるものだと思ったんだが。……なんて考えていたら、心を読んだみたいにフォースさんが答えてくれた。
「説教なんて、おれのキャラじゃないから。それに、この先は適任がいるってもんだろ。さっさとここを出るぞ」
適任……? 会長、とか?
「いや。もっとお前らを大切に思っている人達」
……えっと?
全くピンと来ていなくて、イツキとリリアを交互に見るけれど、二人も思い当たらないらしく、首を傾げている。
「ま、ユーリはその前に病院行きだけど。大人しく背負われろ」
はい……よろしくお願いします。
先輩の言葉を考える間もなく、僕はフォースさんにおんぶされる。身長はフォースさんの方が高いとはいえ、高校二年の男子をこうも軽々と背負えるんだな。鍛え方が違うのか、本職は違うと言うべきか。
フォースさんの後ろを黙ってついてくるイツキとリリアは小声で適任者について話しているらしいが、明確な答えは出てこないみたいだった。背負われていなければ、二人の会話に混ざるのだけれど、今の僕にそんな元気はないようで、ゆったりとしたまどろみに抗えず、気が付いたら眠ってしまっていた。



~あとがき~
助けてくれたのはフォースでした。イケメン。

次回、ユーリ達のお騒がせ騒動、終幕!(予定)
……無理な気がする(汗)

ユーリが連絡取れて、この事態……事件じゃないかもしれない状況でも気にせず(?)、駆け付けてくれる人なんて限られてますよね。ってことで、ステラ経由からのフォースが来てくれました。フォースでなくても、ラルやティールでもいいかなとは思いましたが、こいつでいいや的な適当さで選んでます。

前回……前々回? 辺りでユーリの回想の結末をさらりと書きました。ユーリが何をしたか、ですね。
あれだけではなんか物足りないというか、せっかくなので、次回にでも回想で詳しく語りますね。
要は私がやりたいだけという。

ではでは。

空と海 第221話

~前回までのあらすじ~
長かった夏祭り編がようやく終わりました! やったね!! ってことで、久し振りの日常。のんびりゆっくり流れに任せてお話をしていきますぞ。
今回はポチャ君視点でお送ります。なかなかないよ? ポチャ視点でやるとか。これが最後かもしれないよ!? 喜べ!
ポチャ「!?」
ピカ「何それ。ウケる」
ポチャ「えっ」
はっじまるよぉ~!


「せっかくだから、この辺見て回ろうよ。どうせ暇だろ~? はい、決定!」
夏祭りの一件から約一週間。溜まりに溜まった仕事を片付けるべく、各地を回っていた。そして、それもようやく一段落した。……のだが、彼女の一言で、仕事を終えたぼくらが基地へと帰る予定が変更された。まあ、こんなものは日常茶飯事であるし、驚きはしない。どういった気紛れなのかは知らないけれど、きっと気分なんだろう。今現在請け負った仕事も終わったし、問題はない。
そんな我らのリーダー、ピカはぼくの半歩前を歩いていた。いつもなら首に空色のスカーフをして、トレジャーバッグを肩にかけて、探検隊らしく、どこかのダンジョンへと出掛けている。が、今の彼女の姿は首に桜の花びらのような淡いピンクのマフラーをし、空色のスカーフはリボンのように左耳にしてあった。流石にトレジャーバッグは肩にかかったまま。どこかに置いておくわけにもいかないし、それは仕方がない。対するぼくも首に空色のスカーフはなく、右手に巻いてあった。
ちなみに、ピカがこんな格好をするときは完全にオフのときだけ。つまり、休みのときに外に出掛ける格好なのだ。それにしたって、マフラーはしないけれど。しかも、桜色……そんなの持っていたなんて聞いてないんだけれど。
「ねえ、ピカ? なんでマフラーなんてしているの? まだ秋にもなってないよ……?」
「秋になってなくても、ここら辺寒いんだもん! 聞けば、ここの夏はもう終わったらしいじゃん」
そう言いながら、ピカは首の巻いているマフラーを少しだけ上に上げて、口許を隠しながらこちらを見た。そして、ぼくはピカに言われて気がついた。そういえば、動くのが嫌になるくらいの暑さを感じない。ぼくにとっては丁度よいくらいだけれど、それはぼくが寒さに慣れているから。基地のあるトレジャータウンは温暖な地域だ。そして、寒さが苦手なピカにとってはこれも寒いのうちに入るようで。
「ふぅん……でも、言うほど寒いかな? ぼく的にはもう少し低くても……」
「あーあーあー! そんなことになったら死んじゃう! 永眠しますぅ~」
「永眠って」
冬眠じゃなくて、永眠なんだな、と思いつつ、そもそもピカチュウは冬眠なんかしないよな、と思い直す。
ピカは耳を下げ、両手で塞ぐような仕草をしながら、ぷくっと頬を膨らませていた。これ以上この話題の話はしたくないという意思の表れか。こういうところはなんだか、子供っぽい。
こんなの、ぼくくらいにしか見せないなぁ……なんだか、嬉しくなってきちゃう。
「ごめんごめん。冗談だよ。だから、怒らないで」
「別に怒ってないけど。でも、次その話したら、麻痺状態にして、その辺に置いてく」
「それを怒ってるって言わないで何て言うの!?」
「何て言うんだろーねぇ♪」
これまた子供っぽい、いたずらっ子のような笑顔を見せて、くるりと前を向いてしまった。

夏が来る少し前、ぼくはピカに自分の気持ちを伝えた。本当ならもっと前に言えたらよかったんだけど、ぼくの性格が災いして、あとピカが天然なのか作戦なのか定かではないが、全くぼくに興味を示さなかったから、タイミングが掴めなかった。
ううん、きっとこれはただの言い訳だ。単純に怖かったのだ。彼女の隣にいていいのか、分からなかったから。難しいことを何でもないようにやってしまうピカがぼくの誇らしいパートナーで、親友であった。一番近くで見られて、支えられて嬉しく思う自分もいた。
だからこそ、怖い。
チームのリーダーとして、前を歩くピカがぼくのことなんて待ってくれないような気がした。待っててくれたとして、それはピカの邪魔なんじゃないかと、そんな風に思ってしまった。
置いていかれるのが嫌だったんだ。
だから、必死でついていきたくて。
ぼくが守ってあげるって言えるようになりたくて。
でも、そんな強さなんて持ち合わせていなくて。
強くなるまでは、何も言わない。気持ちは伝えてないんだと決めて。
……そんな言い訳をして、ぼくはずっと探検隊のパートナー同士、親友でいることに満足してしまって。
いつの間にか、一歩後ろでいることがピカの幸せだと思い込んでいた。それが違うと思い知ったのは、不思議なピカチュウと会ったときだ。ピカにどことなく似ている彼女はフォースと関わりがあって、そのときはお互いすれ違っていた。だからかもしれない。伝えなきゃいけないと思わされたんだ。
……色々言ったけど、結論的に言うと、ぼくとピカは友人よりももっと深い関係になったわけだ。なっただけで、他に行動を起こした訳じゃないし、いつも通りで何も変わりない。ぼくにとって、恋人同士になった事実だけで精一杯なのだ。
そういえば、ピカはそこんところどう思っているんだろうか。

今回、訪れたのはスノウレイタウンというところ。ぼくらが住むトレジャータウンより北にあって、夏が短く、冬が長い地域の一つ。大陸はトレジャータウンとスノウレイタウンは同じだけど、こうもがらりと気候が変わるのが面白い。まあ、単純に、大陸が広いのかもしれないんだけど。
この辺に来たのも、依頼があって来ただけだった。ピカが嫌う遠出になったけど、嫌とも言えないし、言わせない圧力をかけつつ、難なく依頼を完遂してきた。で、寄り道をすることになったわけ。
ぼくの隣でゆっくりと歩きながら街を観察しているピカは楽しそうだ。
「トレジャータウンとは違った雰囲気のある街ね」
「そうだね。……気候的にも、草タイプがほとんどいないんだね。寒いから当たり前か」
「氷タイプとか水タイプ多めで、街の雰囲気もそれに合わせてるって感じ。……こういうの、私、結構好きだなぁ」
白を基調とした全体的に静かな街だ。いつも賑やかで、ぽかぽかしているトレジャータウンとは真逆と言っていいかもしれない。だからといって、活気がないわけではなく、人もそれなりに多い。
「地域ごとに雰囲気違って、造りも違って、見てて面白いよねっ♪」
わぁ……ピカがそんなことを言うとは。
なんてことを考えていたら、そのことが顔に出ていたらしく、じとっとした目で覗きこんできた。
「なぁにぃ? 変なこと言ったぁ?」
「ううん。ピカからそんな言葉を聞く日が来るなんて思わなかったから」
「馬鹿にすんなよ~? 興味くらいあんだぞ~」
「どっちかっていうと、ピカって引きこもりじゃない……? なんか変な感じする」
「いやいや。引きこもりなら探検隊とかアクティブなことしないから! ってか結局、変だって言ってるじゃん! フォローしようとか、隠そうって思わないの!?」
「そう言うってことは、ぼくの考えてたこと分かってたんでしょ? 隠す必要なくない?」
「あはっ♪ まあねぇ~」
隠したところで、結局ピカの口から「こう思ってたくせに」なんて言われるんだから、意味ないんだよね。……なんてことを言うと、また何か言われるから黙っておこう。



~あとがき~
ポチャ視点だとなんか色々脱線しそうです。
なんでやねん。

次回、ピカとポチャがうろうろする。多分。

実はこれ、お祭り編の執筆途中で書いています。本来なら順番通りに書いているんですけどね。ネタがね、ふっとね、来たもんだからね!!
というか、バトルが嫌になったから反動ですね。仕方ないね。

ピカはマフラーとか依頼先ですることは普段しないです。理由は単純。邪魔だから。よっぽど寒くなければ、いつものスカーフ姿ですね。
でも今しているのは、仕事終わってお休み気分で気が抜けているからです。あとちょっと寒いから。
寒さが苦手ってのは、本編のどこにも言ってない気がします。ピカは寒いの苦手です。それ関連の話ははじソラの方でやると思います。こっちでは……もうやらないかな……多分(笑)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第52話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界できゃっほいわっほい遊ぶ物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック。
前回、吹っ切れた(?)ユーリの決死の魔法が炸裂なるかー!! みたいなところで終わりました。魔法による攻撃ができない彼が何をするのか~って感じですね。
うーむ。あれを吹っ切れたと言うべきなのかは悩ましいところですな。
ユーリ「吹っ切れた訳ではないですけどね」
あら、そう? じゃあ、何て言うべきなの?
ユーリ「……何でしょう。安全装置を外した?」
大丈夫か、それ……(汗)


小屋の入口方面へと戻ってくると、後ろに隠れていたはずのリリアが前に出て敵と魔法のぶつけ合いを繰り広げていた。必要最低限の魔法しか展開はしていないものの、相手の注意を惹き付けてくれていたのは一目瞭然だ。
僕に気付いたリリアは、ちらりとこちらを見ると、全てを理解したのだろう。小さく頷き、魔法攻撃を続けた。
「……理解者がいるって楽」
僕は僕にできることを。
その場で何度か屈伸運動をし、短く息を吐いた。今からやろうとしているのは、どこか間違えたとしてもやり直しなんて出来ない。チャンスは一度きりだ。
「よし。……やるか」
「……ゆっくん」
「何?」
未だに戸惑いの色が拭えないイツキが僕の隣に立つ。何か言いたそうではあるが、口から出たのは僕の考えを探るようなものではなかった。
「どうなるのか想像できないから、これだけ聞くね。俺はどうすればいい? さっき言った通り、突撃?」
「いや。三人とも小屋から追い出す。出てきたところを峰打ちでもして無力化してくれ」
「おっけー……今は敵から拝借した武器もあるし、十秒くれれば確実に決める」
まあ、それくらいの時間はあるかな。どう転ぶのか全く想像つかないけれど。
僕は目を閉じて、イメージを膨らませる。想像力が試されるけど、魔法なんて想像力の塊みたいなものだ。
「対象は立て籠る三人……範囲は変わらず、小屋周辺で囲むように発動させる」
溜め込んでいた力を全て解放し、見えざる敵にぶつける。その瞬間、急激に魔力を消費したせいで体から力が抜け、その場に崩れるように倒れてしまった。イツキが慌てて支えようとしてくれるけれど、僕はその手を払った。
「僕はいいから、行け! 出てくるぞ!」
「っ! 分かった!……けど、何したのさぁ!?」
後で教えてやるから、さっさと行け。
魔力消費は激しいものの、完全に枯渇させたわけではないため、意識を失うことはない。上手く力の入らない体を何とかして起こし、小屋の入口を見る。三人は何かに追われるような形で飛び出してきた。あの様子を見る限り、僕の魔法は大成功だろう。つまり、冷静な判断は出来ないはず。
「ゆっちゃん! 大丈夫!?」
「ん。……大丈夫、だよ。リリア」
「そんなに魔力使わなくてもよかったのに!」
イツキと入れ違いになるような形でこちらへ駆け寄り、問答無用で抱きついてきた。ぎゅうぎゅう締め付けてくるのを退かしたい気持ちはあるが、心配だったからこその行動なのも分かっているから無下にも出来なかった。
回復魔法では魔力の回復はできない。基本的には時間に任せるしか方法がないのだ。そのため、魔法使用者の魔力とは生命線とも言い換えられる。戦いの途中で魔力がなくなれば、お荷物でしかないのだから。まあ、魔力がなくなったところで死にはしない。回復速度に個人差はあれど、ある程度寝れば問題はないからね。
イツキは宣言通り、数秒で三人を黙らせたようで、その場でまとめて拘束。そして、最初に気絶させた三人と一緒にぐるぐる巻きにすると、目にも止まらぬ早さでこちらへと近寄ってきた。
「早いね、イツキ。いつもあれくらいのスピードで、仕事も終わらせてくれればいいのに」
「んなことより、何したんだ、お前ぇ!? あの三人? ワケわかんないこと言ってたぞ? もう許してくれとか何とか」
「許して? でも、命乞いされる程、私達追い詰めてなかったよね。ゆっちゃんが魔法かけたのは分かるけれど、どんなのかけたの?」
「幻術……? に近い何か?」
「なぜ疑問系。かけたのユーリじゃん」
そうなんだけどさ。
むぎゅむぎゅしてくるリリアを宥め、どうにかハグ地獄から抜け出す。どう説明したものかと考えながら口を開いた。
「僕がやったのは相手が心の底から恐怖を感じる対象物を見せる魔法、かな。悪夢とかに近い……一種の状態異常? どの分類になるかは僕にも分からないな」
「つまり、怖い化け物に襲われる夢を見せたってこと?」
「ちょっと違う。……例えば、イツキが怖いと思うものとリリアの怖いと思うものは違うだろ?」
僕の質問に二人はこくこくと頷く。
何が一番怖いかという漠然とした質問をされたとき、ある人は幽霊が怖いと言い、またある人は激怒した親が怖いと言うのと同じだ。中には人やものではなく、何らかの事象を答える人もいるだろう。恐怖を感じる対象は人それぞれであり、ばらつきがあるのだ。
「相手の真相心理に眠る恐怖の対象を具現化……いや、幻か。幻を見せたの。だから、あの三人は本当に怖い……その場から逃げ出したいと思うくらいの恐怖を見せられたわけ」
人の心理に語りかける魔法は難しい。人によってはかかる、かからないの違いも出てきてしまうし、完璧に読み取れなければ、失敗に終わる。通常の幻術なら、僕自身の描くものを出せばいい。それこそ、イツキの言った化け物をその場に出現させるなんてのも簡単だ。が、今回はそれでは駄目だと思った。相手の経験値を知らない……どんなものが効くのか分からなかったから。より深く底のものを引っ張り出す必要があると思ったのだ。
「へぇ~……何見たんだろな?」
「さあ? 三人ともバラバラだと思うし、どんなものだったのかまでは僕にも分からないよ。起きたら聞いてみれば」
「ゆっちゃん、それ、結構凄い魔法、だよね? そもそも、人の心に関わるなんて高度な魔法だよ? 人の意識はそう簡単に魔法でどうこうなるものじゃないもん。幻を見せるとか麻痺させるとか……そんな次元じゃない」
「そうだけど、もうどんな式で組み上げたのかも忘れちゃった」
あのときは頭の中に浮かんだアイデアをどうにかこうにか形にはしたが、無駄もあり、どこか足りないはずだ。なんせ、結果がたった三人であれだけの魔力消費を伴うというものになったんだから。そりゃあ、現実と夢を混同させるくらいのものを作ったつもりで、最大限ではあったけれども。使うにしても改良はいるだろう。
「ま、いい感じになったらイツキで実験するよ。使い道は無限大」
「にゃにおう!?」
「悪夢を見せる魔法……かぁ」
うーん。悪夢を見せたつもりはないけれど。この話はここから出た後にしようかな。
「イツキ、リリア。あの六人を連れてここを出よう。長居は無用ってやつだよ」
「そうだね! あ、小屋の中のやつ、持っていく? 証拠にはなるよね?」
「所持するのはまずい。僕らも共犯だと思われる可能性が低いなりにも存在する。……あそこにあったって証言だけすればいい」
これ以上面倒にはしたくはないというのが本音なんだけれど。僕達の立ち位置は、たまたま巻き込まれた一般人でなくてはならない。下手なことまで知る必要はないんだ。
「ふぅ……最終手段、用意したけどいらな……?」
二人があの六人をどうするか相談をしている間、微かに敵意を感じ、辺りを見回した。ここは小さくてもダンジョン内だから、モンスターがいても不思議ではない。しかし、そんな野性的で単純な敵意ではない……気がする。明確な敵意、殺気に近い。
そう感じた瞬間、言葉よりも先に体が動いていた。二人に飛び付くような形で覆い被さり、ちらりと後ろを振り返る。何も見えないけれど、空気の流れが若干変わっているところがある。
それが刃物による抜刀からの斬撃であるというのは、背中から伝わる嫌な不快感とイツキとリリアの反応から理解せざるを得なかった。



~あとがき~
描写してないからセーフ。(これが答え)

次回、終わりムードからのどんでん返し。三人の運命とは~!
残り一、二話くらいで終わると思う。

魔法使用者と技使用者の有利差は多分、魔法使用者に軍配が上がると思います。ほら、属性縛りはあるけど、色々使えるじゃん!? 使えそうじゃん? まあ、差はありますけれど。攻撃魔法が使える人は結構、強いと思いますよ。いや、技は技で利点はあります。属性の縛りは緩いですし、エネルギー切れはないですし……って私は解釈してます。魔法を使えないラルやティール、フォースの三人は理不尽なまでに強くしている自覚はある。本編でも強いですしね。特にお前だよ、フォース……(笑)
そうじゃないイツキには限界があるわけです。また、サポートメインの魔法のみを扱うユーリも同じ立場な訳で。そんな二人がどこまでやれるのかなって私の中での挑戦でもありました。リリアは攻撃出来ますが、今回はノータッチです。そもそも、バトル得意設定ではないんで。
今度、バトル描写するときは、魔法ばんばか使いたいと思いまーす。誰が適任……ツバサちゃんとかかな? 誰でもいいけど無双じゃ、無双。((

ではでは。