satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第177話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどったんばったんしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ギルド内探索中にツバサちゃんの兄、ツルギ君の襲撃を受けてしまうラル。彼女は楽しそうです。
今回もその続きでラルVSツルギ戦。参ります。多分、こんなに丁寧なのは今回だけじゃないかなと……このあとは……そのときの気分によるね。
ラル「これは適当に流される可能性」
ツルギ「えーー!? なんで!」
場面が進まないからです。
ツルギ「ラルのせいだな……!」
ラル「え!? なぜ!?」


《L side》
ツルギ君は真っ直ぐに立ち向かい、刀を振りかざす。太刀筋は悪くないが、素直なその攻撃を受けきれないはずもなく。
私は片手で雷姫を操り、軽く受け流していく。水が自然に流れるように、何も感じさせないように、淡々と受け流す。
「くそっ……!」
それでも、少年は諦めることを知らないのか、果敢にも何度か打ち合う。攻撃はツルギ君、防御は私。他人から見れば、防戦一方なのは私だが、焦っているのは彼の方だ。何度も攻撃を仕掛けているのに、軽々と防がれてしまっているから、気持ちにも焦りが生まれ、それが表情にも出ている。……さて、そろそろ仕掛けるか。
次に繰り出されたツルギ君の攻撃を受け流さず、しっかりと受け止めて、彼との鍔迫り合いとなる。雷姫と少年の刀が触れ合った瞬間、短く指示を出した。
「やれ、雷姫」
「……っ!!」
私の雷姫はただの刀ではない。雷の力を司る妖刀だ。
バチンッと眩い光を放ち、雷姫から紅い電撃を繰り出す。ヒットしていれば、麻痺効果もあるのだが、ツルギ君は直撃する前に直感的に察知したのだろう。大きく後ろに飛び、雷姫の電撃から逃れる。
『む。威力を軽くしてしまったせいで届かないな』
「いや……牽制の意味合いしかなかったから、あれで十分」
『……なるほど』
ここまでやれば、いい加減敵わないと諦めるのが懸命だと思うのだが、まだまだ元気な少年は立ち向かう気満々だ。
再び、真っ直ぐに飛び出し、正面からの攻撃を仕掛けてきた。
「えー? それ以外の戦略が見た……お?」
突っ込んできていたと思ったツルギ君が消えた。幻術の類いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
……しかし、まだだ。こんなもんで私に勝てるなんて思ったら大間違いだ。これでも私は、探検隊を率いるリーダーなのだから。
「甘い!」
「わっ!? なんで!?」
私の視界を外れ、脇からの攻撃、すなわち、死角からの奇襲をしたかったのだろうが、まだ気配が隠しきれていない。これでは、不意打ちにもなりはしない。
私は素早く体の向きを変え、ツルギ君の斬撃を受けきる。そして、力任せに凪ぎ払った。男女とはいえ、相手は中学一年の年齢で私は高校三年で、現役の探検隊。力負けなどするはずもなかった。
「うわぁぁ!?」
地面にごろごろっと転がり、少し行ったところで大の字になって止まる。そのまま寝てればいいのに、バネのように飛び起きて、こちらを睨み付ける。
おやおや、まだやるのかな。うーん。私の中では一段落つけたつもりなんだけれど。……仕方ない。やる気なら、とことん付き合ってあげようか。
……なんて思っていたとき。
「まだまだぁ……! うわぁっ!? リ、リラン!?」
ツルギ君がこちらに走り出そうとした瞬間、リランが勢いよく走り出してきて、彼に飛び付いた。せっかく立ち上がったのに、リランのせいで再び地面にばたーんと倒れてしまった。
どうやら、勝負はここまでらしい。
ツルギ君の方にはツバサちゃんとアラシ君、私の方にはティールとしーくんが近寄ってきた。
「もう少しやり方、あったんじゃない?」
「手加減はするなというイグお兄ちゃんの教えがあったから……つい?」
「え、そんなのあったっけ」
あったんだよ。多分。
「ラル、だいじょぶ?」
「うん。お互い、本気じゃないからね。それにツルギ君だって、ここがどこで、私達が何のために来ているのか、知らないなんてないと思うし」
しかし、あの動きは十二歳にしてはなかなかだった。魔法よりも武器を使った戦い方は、とても分かりやすいものだったけれど。きっとそれは、子供っぽい性格が表に出ているせいなのだろう。
「ありゃあ、成長すると化けますわ……怖い怖い」
「そうは言うけど……ぼくも君が怖いよ?」
ほん? 何故?
「……まだまだ全力で応戦する気満々なところとかね」
そりゃあ、ねぇ。雷姫の能力を一つも引き出してないからね。まだまだ余裕ですよ。
きっとこの二週間、あの勇敢なる勇者様の挑戦を何度も受けるのだと思うとワクワクしてくるじゃない?
「戦闘狂め」
「そんなことは。ほら、あれだよ。私がイグさんやリアさんにこのやろーって立ち向かうのとおんなじ気持ち」
「それはツルギ側が思ってるんじゃ」
……あり? 言われてみるとそうだな。うん、じゃあ、戦闘狂ってことでいいや。
私は雷姫の鞘を出現させ、それに雷姫を納めるとベルトに帯刀させる。するつもりはなかったのだけれど、今後、ツルギ君の襲撃があるのか分かったもんじゃない。これからは、ギルド内でも雷姫装備しておこう。
私が雷姫を消さなかったのを見て、ティールもスイちゃんとセツちゃんをそのままに、ツバサちゃん達のところへ近づく。
リランに襲撃されていたツルギ少年だったけれど、アラシ君が救出済みらしく、今は元気に兄妹喧嘩中。
「もうっ! なんでいきなりあんなことするの!?」
「だって、ラルに勝つためには上からの奇襲が一番かなって思ったんだもん」
「そこじゃないよ! ラルさんに襲いかかったことを言ってるの! 危ないでしょ!?」
「僕はまだ認めてないもん! あの誘惑魔がツバサの傍にいてもいいなんて思ってないもん!!」
「何、変なこと言ってるの!? ツルギのバカ!!」
「なぬー!? バカって言って方がバカなんだぞ、ツバサの分らず屋!」
……私、まだ誘惑魔認定受けてたのかぁ。
私の隣で笑う相棒の背中を思い切り叩いて黙らせると、しーくんが服の裾を引っ張ってきた。
「ん? どうかしたの?」
「んとね、ゆーわくってなぁに?」
んっ!?
「……わ、私にも分かんないなぁ」
「ほわ。そーなの? ねー? ティール?」
「ご、ごめん。ぼくも上手く説明できないかなぁ……?」
「ありゃあ。そーなのねー」
子供の純粋な質問に逃げてしまってすみません。ですが、これに答えてしまうと、なんかややこしくなりそうなので……黙秘権使わせてください。すみません……!
私のことで喧嘩する双子達は、大変愛らしいのだけれど、そんな二人に狙いを定める一匹のお犬様が。
「うぅ~……わふーーーん!!」
「うわぁぁ!?」
「きゃあぁっ!」
我慢できなーい! とでも言うように元気よく飛び付いたリランは喧嘩する双子の間に割って入る。突然のことで、二人とも反応できずに仲良く押し倒されてしまう。
「あっ!? おい、リラン!? やめろってば!」
「わぁ。喧嘩両成敗ってやつ……?」
「ち、違うんじゃない?」
飛び付いたリランをアラシ君が慌てて引き剥がし、ツバサちゃんとツルギ君を助け出す。リラン的には遊びたかっただけで、喧嘩を止めるつもりはなかったのかもしれない。
「あ、いたいた。ツルギが飛び降りたって聞いて来てみれば……なるほど。ラルさん達が来ていたんですね」
「若ぁぁ!! お客人にあんなことしないでくださいよ! バレて怒られるの俺なんすよ!?」
「お父さん!」
「あ、ヒデだ」
黒髪の狐族で双子の父、アルフォースさんとヒデと呼ばれた、茶色の短髪で私と同じ、人族の男性がこちらへと近寄ってきた。アルフォースさんはのんびりしているけれど、ヒデさんはツルギ君に駆け寄ってきて、アワアワしている。そんなヒデさんにツルギ君は、慌てる様子もなければ、詫びる素振りもない。
「お久しぶりです、ヒデさん♪」
「あ、おひさし……ってお嬢!? お嬢も来てたんすか!?」
どうやら、ヒデさん、ツルギ君しか見えてなかったようで、ツバサちゃんの姿を見るなりビックリしていた。
「ほえ?……ツルギ、私が来ること言ってなかったの?」
「言おうと思ったときにラルを見つけちゃって……うん。言ってないや」
ここでのヒデさんの扱いというか、運命というか……これで見えた気がする。できるなら、私のそれは外れるといいなと思う。
……この人、振り回され体質だろ。



~あとがき~
あー! 楽しかった!!

次回、ようやくギルド『明けの明星』の親方さんのところへ……!
出てくるかは保証できん(汗)

ツバサちゃんが怒るのは珍しいので、ノリノリで書いてしまいました。ラルはそれを見て、「私のために怒ってる天使まじ天使」見たいになってると思います。まあ、今回はなる前に、誘惑魔発言に苦笑してましたけどね。まだ有効だったのか、それ。
プロットいただいたとき、久しぶりに目にして笑いました。出たよ、例のあだ名! となりました。ツルギ君だけだよ。そういうの。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第176話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、明けの明星へと入りました。まだまだのほほん展開ですね!
今回は……なんだろうね。わからん。
ラル「いい加減、場面ががらっと! 変われよ!!」
起承転結の転ですか。どうだろうね。つか、ここで転きたら、あかんやろ。
ラル「……確かに」


《L side》
食堂でお昼をすませたものの、まだルーメンさんとは会えないだろうというツバサちゃんの予測に従い、これからどうするかを話し合う。
仮に私達を探しに来る方がいたとき、うろうろするよりも一ヶ所にずっといた方が良心的ではある。しかし、せっかく普段入らないようなギルドへと来たのだ。歩いてみたい気もする。
「ボク、たんけんしたーい!」
「え、ちょ、雫……?」
お。いいこと言うね、しーくん。
「ラルまで!?」
「じゃあ、ギルドの中、歩いてみましょう♪」
「えぇ……?」
戸惑うティールは放置だ。そんなティールに無言で肩を叩くアラシ君。「ドンマイ」とでも言うように。
私達は食堂を出て、内部をよく知るツバサちゃん先頭にギルド探検開始した。
とはいえ、部外者の私達が入れるところなんて限られている。そのため、ツバサちゃんが案内してくれたのは、訓練所だった。
大きく開けた中庭を訓練の場としても使っているらしく、今もグループになって、指南を受けている探検隊達がちらほらいる。その中で、訓練している人達を備え付けのベンチで眺めたり、それすらも見もせずに談笑したりする人達もいた。
「ここはルー爺の意向もあって、ギルドメンバーじゃない人達でも使えるようになってんだと。まあ、自由な特訓場みたいな感じかな?」
「じいじが後輩の育成に役立てたいって言って解放してる場所なんですよ~♪ 誰でも気軽に先輩さんの指導を受けられる場所をって」
二人の説明から、ルーメンさんの後輩を育てたいという思いが見えてきた。大きなギルドでもあるし、仕事をするだけでなく、人材育成も兼ねているのだろう。
「ダンジョンは時として危険な場所に変わっちまうからな。こういう下積みも必要なんだろ」
危険な場所……か。
つい最近、あの話をしたからだろうか。初めて、ベヒーモスと対峙したあの瞬間がフラッシュバックする。何年も前の話で、怪我の後遺症だって何もないはずなのに、ずきんと体が痛む。
「……なんて、こんなことは兄貴の指導受けてる二人には分かるか」
「まあね。経験のある人からの指導って貴重だからなぁ……癖とか意外と自分じゃ分かんないし。ぼくも直すのに結構苦労し……ラル?」
ティールに呼び掛けられて、現実に引き戻された。そこには、どこか不安そうにこちらを見つめる相棒がいた。
あれは思いの外、苦い経験だったのだろう。つい最近まで忘れていたけれど、そりゃあ、死にかけた経験なんて、そう簡単に忘れられるはずがない。かといって、今でもベヒーモス相手に震え上がる私ではないが。
「ごめん。なんでもないよ。……で、イグさんの鬼みたいな指導の話?」
こんなことでティールに心配かけるわけにはいかない。実際、感傷に浸っていただけで、なんでもないのだ。
話は聞こえていたので、適当に茶化しておく。
「えーっと……た、確かに厳しい人だけど、鬼は言い過ぎじゃないかな?」
「他人の兄貴を鬼呼ばわりかよ……間違ってはないけど」
「アラシ、実のお兄さんだよね。否定してあげよう?」
「鬼教官みたいなのも、兄貴の優しさだって知ってるからな。……一応」
そうは言うが、どこか複雑な表情のアラシ君。彼も色々な洗礼を受けてきたのだろう。私やティールと同じで。
「ふふ♪ この前、剣術部の練習で吹き飛ばされてたもんね? ダイナミックお出迎えの件、忘れてないよ」
「なっ!? それはお前が道場突撃してきたせいで……!」
それもあるけれど、油断してたってのもあるんじゃなかったっけ?
「ぐっ……!」
「こら。後輩いじめやめろ、大人気ない」
ティールにぽこんと軽く小突かれ、アラシ君いじりは強制終了させられた。
ちぇ。嘘じゃないのに~……
「君だって、イグさんに一撃ノックアウトされて、吹き飛ばされるでしょ」
「はぁ!? いつの話だよ!? 中学の話だろ! 今でも一撃ノックアウトしてるみたいな言い方するな! しないわ!」
意地悪な笑顔浮かべやがって~!
「イグ兄、とっても強いですからね!」
「りゅ? ラル、イグお兄ちゃんにばーんってされるの?」
「ま、毎回じゃないよ。……今の勝率はコンビで五、六割。ソロで四割かな……? でも、あっちは本気じゃないんだよな。腹立つ~」
「半分はこてんぱんじゃねぇか」
うっせ! いつかこっちがこてんぱんにしてやるんだよ!!
「偉大な先輩相手にそれはどうなのかなぁ」
いーや! 絶対に倒す! そんときはお前と一緒だよ!
「え、ぼくもなの? 共犯?」
そう。共犯だ……うん? 別に悪いことしてないし、そういう言い方はやめた方がいいのかな。……なんてね。今はここにいないお兄さんの話はどうでもいいんだけれど。
あちこちで師弟愛─よき上下関係とも言う─を見かける、ほのぼのとした雰囲気の中……私は一瞬だけ敵意を感じる。
もちろん、ほのぼのとしたと言ったけれど、ここでやっていることはバトルの指導である。敵意を感じるのは変ではない……が。
たまたま通りかかった私に向けられる敵意なんて、そう感じるものではないだろう。
私はツバサちゃん達から少しだけ離れ、上を見上げる。この敵意はどこからだろう。一瞬だけしか感じられなかったけれど、探れるだろうか?
いや。探る必要なんてない……かもしれない。
「? ラルさん?」
「……待って。行かない方がいい」
私に駆け寄ろうとするツバサちゃんをティールが引き留める。流石、私のパートナーだ。現状を理解していなくても、私の纏う雰囲気で察してくれた。
「来い、雷姫」
赤い火花を散らしながら愛刀を出現させ、軽く振るう。刀身に帯びていた電流を振り払い、そっと構える。
私なら。四方を見渡せる視界のいいこの場所で奇襲を仕掛けるとしたら、どこから第一波を仕掛けるだろう。
「ふふ。……みぃつけた」
上から降ってくる殺気……と言うには、幼稚だし、稚拙。そんな殺気に似た嫉妬の気配に思わず笑みが溢れる。
「やっあぁぁぁあ!!! 覚悟しろぉぉ!!」
「わ、若ぁぁぁぁ!!!???」
刀を振りかざし、血気盛んな白狐の少年の雄叫びと共に、男性の戸惑いを帯びた叫びも上から降ってきた。しかし、今の私にそんなのはどうでもよい。
「やだぁ♪ バレバレなんですけどぉ~♪ そんなところもかっわいいな~?」
頭上からの攻撃はこちらが気づいてしまえば、対処はしやすいものだ。空中戦の心得があるのなら話は別だが、愚直に突っ込んできたとあれば、少し飛び退くだけで避けられるからだ。とはいえ、飛び退いて避けてしまうとこちらの反撃は何手も後になる。
そのため、私は体を少しだけずらして、刀による攻撃は雷姫を上手く使い、受け流した。そして、間髪入れずに斬りかかるものの、少年は大きく飛び退いて、直撃を回避した。
「がるるっ!」
「あは。あのときの約束通りに、私だけを狙ってくれてありがとうね、ツルギ君?」
ツバサちゃんにそっくりな白狐の男の子は臨戦態勢のまま、会話をするつもりもなさそうである。突然現れたツルギ君に、他の皆様の反応はそれぞれ違ったもので……
「ツルギ!? なんでラルさんに襲いかかってるの!?」
「前の様子からなんとなく想像してたし、話には聞いてたけど……やっぱ、こうなるのかぁ」
「! あんあんっ♪」
「ツバサお姉ちゃんのそっくりさんだー!」
「双子のお兄さんなんだよ、雫。だからよく似てるの」
こんな感じ。
さて、妹のツバサちゃんの制止を無視して、今にも飛びかかろうとしている兄、ツルギ君。どうやら、もう少し遊んであげないといけないらしい。
「パートナーとして一応聞くけど、加勢は~?」
「必要ない!」
「了解」
それでも、何かあったときのためだろう。ティールは、スイちゃんとセツちゃんを呼び出し、腰に装備している。とはいえ、余程のことがない限りは手は出してこないだろう。
「あの奇襲とも呼べないあれで終わりですか、ツルギお兄さん?」
「うがぁぁ!! んなわけないだろ! 覚悟しろ、ラルのバカー!!」
君に馬鹿呼ばわりされるほど、付き合いないと思うんだけれど……まあ、いいか。憎い相手ほど、燃えるってやつなんだろうな。かっわいい♪



~あとがき~
のんびり案内されるのもいいけど、こうしたどたばた展開か来ると楽しくなりますね。

次回、ラルVSツルギ!
とか、懐かしいキャラの登場とか、新キャラ登場とか色々あります。多分。

今のラルやティールがベヒーモスさんにやられるわけないんですが、苦い思い出としては二人の中に根付いてます。一生、忘れることができない記憶ってやつですね。
そして、どうでもいいけど、イグVSスカイの模擬戦勝率も大してよくないです。ラル単体だとなおさらです(笑)
これは経験の差ですね。お互い、全力でやってないと思いますが。
多分、イグVSティールの方がまだ勝率よさそう。勝手な想像です。
ちなみに、スカイVSシリウス戦は実現しないまま、シリウスが解散してます。でもまあ、解散してなくても勝てるはずもないかなと。一割、二割じゃね?←

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第175話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界を楽しむ物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、エクラ城付近まで来て、お城がケアル家の持ち物という事実が発覚したり、アラシ君が騎士団メンバー兼次期団長ってのがラルにバレたり色々ありました。
アラシ「……」
今回はようやく、中に入れるかな?


《L side》
門を潜り、ようやく城の前までくると私達は馬車を降りる。周りには私達だけでなく、何らかの理由でここを訪れた人々が行き来していた。同業者もいれば、何らかの商談で訪問しに来た人、単純に観光目的で訪れた人達もいる。本当に目的は様々と言ったところだろうか。
「明けの明星って、探検隊、商人ギルドとして有名だけど、他にも事業起こしてるんだったよね……?」
ほう? うちのカフェ経営とかトレーニング室貸出とかと似たようなものかな。
「そうですよ。その一つとしてお城の見学や宿泊を行ってます♪」
宿泊……城内に泊まるってことか。いやぁ、それはちょっと恐れ多いような?
いや……二、三年前にティールの実家、泊まったことあるな。それと似たようなもの……それよりもホテル感強いと思えば、こちらの方が幾分かましなのだろうか。気分的な問題で。
ここで、メアリーさんとは一旦お別れ─全員の荷物を運んだり、別のお仕事があるらしい─し、私達五人で城内に入ると、やはり元が城なだけに十分すぎる程の広さがある。いわゆる、エントランスだった場所なのだろう。今は受付カウンターと変貌しているようだが。
「基本的に城の一般見学は見物料があるんだが、ルー爺のギルドメンバーであれば、無料で見ることができるぞ。今回、依頼を受けるラル達も希望すれば、無料で見せてくれるんじゃないか?」
マジで!? せっかく来たんだもん。中の見学してみたいよね。よし。あとで頼も……
何度も引き合いに出してしまうが、ティールの住む城、王宮とは雰囲気がまるで違う。ティールの家は綺麗で華やかさがあった。しかし、こちらはきらびやかな雰囲気もなく、落ち着いた歴史のあるお城って感じ。
入口でこれだ。見学コースもそれ以上の感動があるのではないだろうか。
仕事放り出して観光したい……よくよく考えたら、私ら学生最後の夏休みだよ? なんで仕事してるんだろう……最後くらい遊びたくない? 学生の思い出作ろうぜー! いえーい! ってなんでならなかったんだろ。これがなかったとしても、仕事行ってたよな、私……謎すぎる。
「ラル? どうかした?」
急に静かになった私を心配してくれたのか、ティールが私の顔を覗きこみながら問いかける。その質問に対して、あれこれ言いたいことは見つかるものの、一言ですむのなら、これしかない。
「仕事したくないなぁって」
「なんだ。いつものか」
いつもので片付けるな。いつもので。
「あそこの受付でギルドに用があるのか、見学なのか、泊まりたいとかを答えるんです。さ! 私達も行きましょう~♪」
当たり前ではあるが、ブルーになっている私なんて気にもせず、ツバサちゃんは受付の列に並ぶ。それに続くようにアラシ君やリラン、しーくんも並んだ。うだうだしても仕方ないので、私達もそれに倣う。
私達の前にも並んでいる人はいるものの、受付担当者の手際がよいのだろうか。進み具合はほぼ一定で、このスピードならばすぐに順番が回ってくるはずだ。
待つこと数分。受付の順番が回ってきた。
ツバサちゃんのおじいさんがやっているギルドだ。彼女を知らないはずもなく、受付の人……茜色の髪を肩くらいの長さで切り揃え、バレッタでハーフアップにまとめた女性だ。その女性はツバサちゃんとアラシ君を見るなり、パッと顔を一段と明るくさせた。
「やだー! お嬢じゃないですか~♪ それにアラシくんも! おっひさー!」
「こんにちは、ヒノさん!」
「うっす。お久しぶりっすね、ヒノさん。相変わらずのようで」
「うふふ。まあね!」
年齢的にはイグさん達よりも年上だろう。となると、私達よりも上かな。
「夏休みなので帰ってきたんですよ。ヒノさん、じいじとお父さん、いますか?」
「親方も旦那もギルドにいますよ! ですが、親方は今、商談中でお会いできるのはお昼過ぎになりそうです」
今はちょうど、お昼時。もう数時間は会えなさそうである。まあ、急ぎではないと思うし、あちらも日にち指定してきてるのだ。今日中に会えはするだろう。
「……ところで、お嬢。後ろの方々が例の?」
「あ、そうですよ! 今回、お仕事を引き受けてくれたスカイの皆さんです♪」
例の、とはどういう意味なのか。私達はどう周知のされているのか等々聞きたくなるものの、そんな長話すると、後ろに並んでいる人達にも迷惑だ。ここはぐっと堪え、私は会釈する。
「初めまして。探検隊スカイのリーダー、ラルと申します。今回はこちらの親方様の依頼で参りました」
「はい。お話は親方とアルフォースの旦那から伺ってます。私は明けの明星のギルドメンバーのヒノ・フォーブルです。普段はこうして受付の仕事をしていて……それ以外だとお嬢にいやさ……こほん。メアリーかお嬢といると思います! 何かあれば遠慮なく言ってくださいっ」
……今、癒されって言った? ツバサちゃんで癒されてるって? 聞き間違いか?
「それで、お嬢! 今回はギルドに向かうということで?」
「はいっ♪ お願いします」
ヒノさんは、誤魔化すように話を元に戻し、ツバサちゃんも素直に頷く。目的はそれだったけれど、そんなことよりも、癒され発言が気になるんだけど!?
「君と同じ人種なんじゃない?」
「やめろ。冷めた目で見るな。天使に癒しを求めるのは普通なの。自然の摂理なの」
「自然の摂理、ねぇ」
「てんし?」
うん? なんでもないよー? さ、行こっか、しーくん!
「こっちの右側がじいじのギルドに続く通路になっています♪ 反対側はお城の見学エリアなので、間違えないように気を付けてくださいね♪ 造りが似ていますので」
ツバサちゃんがガイドさんばりにきちんと指を指しながら教えてくれる。城の内部ら似たような風景が続いてしまうから、こうして教えてくれるとありがたい。見学エリアは道順とか表示があるだろうけれど、ギルド内部に続く方はいちいち、示してくれるはずもない。慣れない内は、一人歩きしたくないものだ。
ギルドへと続く道を歩きながら、ツバサちゃんは明るい笑顔でこちらを振り向く。
「まだじいじとは会えませんし、お昼ご飯にしましょう♪ ここの食堂、安くて美味しいって評判なんですよ?」
美味しいはともかく、お金持ち言う「安い」は信用できる安いなのだろうか。……しかしまあ、利用するのはツバサお嬢様のように裕福な方々だけでなく、私達みたいな普通の方々もいるはず。となれば、普通の感覚で食べられるはずである。
「! あんあんっ!」
美味しいご飯に釣られたのか、ずっと大人しくしていたリランが元気よく吠える。心なしか尻尾も元気よく振っているような。
「あ~……リラン、ここの料理、えらい気に入ってるっぽいんだよな。……多分、そのせいでテンション高い」
なんと現金なやつめ。獣ってこんなんばっかだな。いつかのぽんたも、ご飯目当てで媚売ってたし。……リランの場合、媚売っているわけじゃないけれど、美味しいご飯に喜ぶ辺り、野性動物と大差ない。
他愛ない話をしている間に、ギルド内にあるという食堂へとたどり着いた。
食堂内はかなりの広さがあり、学校の体育館みたいである。一度にたくさんのメンバー達が利用できるようになのか、これでもかとたくさんのテーブルと椅子が並んでいるため、昼時にも関わらず、空席もちらほらみえる。そして、壁際には掲示板があり、そこにあるのは依頼書なのだろう。ここから仕事を選び、自分にあった仕事を引き受けるのだ。
「にぎやか! ひと、たぁくさんだ!」
「えへへ。そうだね♪ ここのはなんでも美味しいから、好きなの食べて大丈夫だよ~♪」
「うん! ラルー! おにくたべーる!」
しーくん、肉食だなぁ……いいけどさ。
各自、好きなものを頼み、適当に昼をすませることに。そして、ツバサちゃんの言う通り、大変お安かったし、美味しかった。重労働な部隊向きなのか、量もそこそこ増やせるっぽかったが。まあ、初めての場所でそんなの頼む勇者ではないんだけれど。



~あとがき~
とりあえずご飯食べたけど、食堂で何か事件があるわけじゃない。

次回、もう少しギルド内を探索します。
ギルド内と言うか、城内部というか。

ようやく馬車から降りて、ギルドに到着しました。よかった。よかった。
そして、新キャラさんのヒノさんです。相方曰く、イグさんよりも年上の女性とのこと。今回はちらっとしか出てこなかったけど、このあとも出番があるのか……?

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第174話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
馬車に揺られながら、ギルド明けの明星を目指す一行。
進んでいるようで、未だに移動中なので、まあ、そこまでですよ。今回で場面動けばいいけどな。馬車から降りるとか?


《L side》
スプランドゥールの話や、『癒しの女神の祈り』の話をしている間に、馬車はスプランドゥールへと近づいていたらしい。
遠目から見えるスプランドゥールの街並みは、和風と洋風が上手く合わさったような雰囲気だった。
石煉瓦で綺麗に整えられている歩道、賑やかな市場、煉瓦作りの建物の他に、街の雰囲気にあった和を思わせる屋敷のような趣ある建物が多い。統一感のある街並みに、しーくんはキラキラと目を輝かせていた。
「やっぱ、色ががらっと変わるねぇ……んお、あれが噂のお城が見えてきた。……ま、ティールの実家よりは小さいか。流石に」
「あの、ぼくの実家を比較対象にしないでくれない……?」
ごめーん♪ 私の身近にあるお城はティールの家なので、つい、ね。
このスプランドゥールを象徴するとも言えるあのお城は、『旧エクラ城』と呼ばれ、観光地としても有名だったはずだ。私もティールも近くまで行ったことはないが、この街を訪れる度、一度は目にしていた。今回は、見る機会、あるだろうか。せっかく長期滞在するのだから、じっくり見てみたいものだけれど。
「あの噴水広場の近くにあるあの像が、癒しの女神様と呼ばれてた『ミルティア』様だよ♪」
「ほわ!? どれどれー!?」
ほう。この国を治めていたらしい女神様の登場だ~
……というか、銅像まであるってことは、いよいよ、全てが本当なのではないかと思い始めてくるぞ……? いや、考え始めると止まらなくなる。今はやめておこう。
馬車は街の中心部分と思われる噴水広場へと差し掛かる。そこには、ツバサちゃんの言う通り、女性の銅像が建てられていた。槍を持ち、目を固く閉じて祈りを捧げる女神像である。
よく観察してみると、着色はないものの、ミルティア様の容姿は、左頬に星のアザがあり、腰まで伸びている長い髪。そして、人族の見た目ではあるものの、背中には天使のような羽があり、それが特徴的だ。
……? なんだ? この感じ。
「ラル……? どうかしたの?」
「あ、ううん。なんでも……」
あの女神、どこかで見た気がする。いや、本人様を見たとかではなくて、既視感とでも言うべきなのだろうか。いや、誰かに似てる……のか?
くそ、このモヤモヤは気持ち悪いやつだ。どうしよう!? 解消できない! 気持ち悪い! 誰か助けて、ヘルプ!!
……駄目だ。考えても私の中での答えが出てこない。い、今は気のせいで片付けておこうかな……悔しいけど。
「めがみさま、きれーだったね!」
「そうだね~♪」
「おい。もうすぐ、ルー爺のギルドにつくぞ」
「そだね! じいじのギルド、もうちょっとでつくからね、雫くん」
「はーいっ!」
ほん……?
つくぞと言われても、近くにギルドみたいな大きな施設じみた建物は見えてこない。今、大きく見えているのはお城だけ……ん? お城、だけ?
「……あの、アラシ? 一応、聞くけど……ギルドって」
ティールも私と同じような予測を立てたらしいが、念のためにと目の前のアラシ君に問いかける。そんな私とティールを交互に見たアラシ君は、少し驚いたような戸惑いを見せつつも、
「え……? ルー爺のギルドはあの城……今は観光地兼ギルド『明けの明星』だけど……しら、なかった?」
と教えてくれた。
もちろん、予測はしていても、行ったこともなければ、この事実を知りもしない私とティールは、馬車の中で驚愕したことは言うまでもない。
エクラ城は今現在、王族とかいなくても、歴史的に重要な建物のはず。それをギルドの拠点として活用するなど、あり得るだろうか。あり得るというか、ありなのか否か。
……いやね? あり得てるけどもだ。今、目の前でな!?
「例えるなら、ティールん家がギルドやってるようなもんだろ……? うそぉ」
ティール、おやかただ!!」
「親方……? あー、うん……もう、いいや。……ルーメンさんの凄さは前から伝わってたけど、本当に何者なんだい?」
「じいじがというよりも、昔からなんですよ。経緯は分からないんですが、うちの所有物らしくって。えーっと、昔、ミルティア様に仕えていていたとか……?」
神様にお仕え……ねぇ?
「それは、ツバサのご先祖様……ケアル家がってこと?」
「みたいです。でも、私も詳しくは知らないんです」
直系に当たるであろう、ツバサちゃんが知らないのなら、部外者である私達も知るはずもない。理事長……セラさんなら、何か知っているかもしれないけれど。
あとはまあ、神様サイドに聞くしかないのかな……くっそう。なんで、今回、フォース君いないんだ……! いろよ!?
ここにはいないお兄ちゃんを心で罵りつつ、馬車はお城の門前までやってきた。流石に勝手にお邪魔しますよーと通り抜けることはできないようで、馬車は一旦止まり、門番さんとメアリーさんがお話ししているらしい。
ギルドだし、一般人も出入り可能だと思うが、怪しい人物がいないかどうかを確認しているのだろう。フェアリーギルドはその辺の警備、甘々なんだけれど。誰でもウェルカーム精神だもの。ま、大切な書類とか情報とかのセキュリティはきちんとしている。
「……ちょっと出てくる。すぐ戻るわ」
「わかった! いってらっしゃい、アラシ!」
メアリーさんと門番さんの会話をなんとなく聞いていたらしいアラシ君─流石、獣人……ということなのだろうか?─が小さくため息をついたあと、馬車の扉を開けて出ていく。
そんなアラシ君を窓から盗み見る。しーくんも気になったみたいで、私の真似っこをした。これは、張り込みの刑事になった気持ちである。
しかしまあ、こんなことをしても会話が聞こえてくるわけではないのだ。私の耳はふっつーの耳。別に特殊能力を持った何かではない。
こちらに背を向けたアラシ君が何を言っているのか分からないものの、門番さんはこちら側を向いている。アラシ君に対する態度や読唇術でどうにかなるかな?
二人の門番さんはアラシ君を見るなり、ピンッと背筋を伸ばし、敬礼。そして、口の動きから、「アラシ様もいらしたのですね」と言っているらしかった。
ん。……様?
「ねえ、ツバサちゃん。なんであの門番さんはアラシ君を敬うというか……上の人として話してるの?」
「ほえ? イグ兄から聞いてませんか?」
いつの間にか寝てしまっているリランを膝の上に乗せ、優しく撫でていたツバサちゃんか首を傾げる。そんなツバサちゃんの問いに私達は首を横に振る。
「ここの門番さん……近衛騎士団なんですけど、イグ兄とアラシのお父さんが団長さんなんです」
ふうん。しかし、それとアラシ君に敬意を払う理由とは。上司の息子だから?
「それもなくはなさそうですけど、一番はアラシが次期騎士団長だからだと思いますよ~♪」
「アラシが!?」
「だんちょー? だんちょーて、すごいのー?」
「うん♪ あの騎士さん達を引っ張ってくリーダーだよ。そうだなぁ……ラルさんみたいな人のことかな?」
「ほわー! アラシお兄ちゃんすごいねー!」
なるほど? この前の大会のリュウ君の紹介はあながち間違いではないのか。なるほどぉ?
私が隠さずにやにやしているのが見えたのだろう。ティールが呆れたようにため息をつく。
「ラル~? 変なこと考えてないよね?」
「いーや? まーったく!」
ただ、ちょっぴりの悪戯心が揺れ動いているだけだよ。安心したまえ~?
このあとに起こることは予測しただろうが、ティールは困ったように笑うだけで、これ以上の詮索はしてこなかった。
それから少しして、門番さん達との話を終わらせたアラシ君が再び、馬車の中へと戻ってきた。元々座っていた席に戻ると、私の視線に気づいたのか訝しげにこちらを見る。もしかしたら、嫌な予感でもしたのかもしれない。もしそうならば、その勘は的中しているのだろう。
「おっかえり~♪ 未来の騎士団長様」
「……ちょっと待て。なんでそれをラルが知ってるんだよ? あっ!? ツバサ、お前……!」
「だって、イグ兄から聞いてると思ったんだもん」
「いやいやいや!? だからって話していいことにはならなくてだな……」
「アラシお兄ちゃん、きしさま! かっこいーね!」
邪推な考えを持つ私とは違い、しーくんは単純に「騎士!? かっこいい!」と思っているからこその、発言であり、純粋な感心だ。キラキラしたその瞳を無下にできるはずもなく、アラシ君も例外なくのようで。
「え、いや……あのな?」
無垢な少年からの感想に、どう返答しようか決めかねているらしかった。そんなことないと言ってしまうか、矛先を私やティールとか……別に向けるなりすればいいのに。そんな風に戸惑っているところを見てしまったら、追撃してしまいたくなるのが常である。
「そーなんだよ。しーくん。アラシお兄ちゃんはね、ツバサお姉ちゃんを守る騎士様なんだよ?」
「ラル!? お前!」
「ツバサお姉ちゃんを?」
「そう。ツバサちゃんの『knight』様なのよ~♪ おとぎ話でお姫様を守る騎士さん、いるでしょ? アラシ君はツバサちゃんというお姫様を守るknightなの~♪」
「えーっと……ごめん。ちょっといいかな、ラル? なぜ、ネイティブ発言なの?」
単純明快。かっこいいから。
「きゃー! 姫を守る騎士様~♪ かっこいいー!」
「こんの……調子に乗るなよ、ラルー!!」
顔を真っ赤にさせて反論しているけれど、反論とも呼べないそれは、私の心に響くものはない。
にしし。いやぁ~……よきかなよきかなー!



~あとがき~
馬車から降りたのは、アラシ君だけでした。そしてまた、戻ってくると……おかしいな?

次回、ギルド潜入!
……潜入じゃないか。訪問? 見学……違うな。なんだろう。まあ、いいや。突撃します←

ギルド『明けの明星』はお城がギルドの本拠地です。ヤバイね?? ファンタジーファンタジーしてるぜ!!
ちなみに、フェアリーギルドはでっかい建物です。イメージは市役所←
市役所は言い過ぎか。なんと言いますか、ファンタジー感なく、近代的なイメージです。ギルドだよ! という主張の激しい建物ではないという感じ。
ゆーて、中に入ると、掲示板に依頼書ぺったぺた貼ってますし、武装した人達が闊歩してるんでしょうけども。ファンタジー感は……ないよなあ…と思います。はい。プリンが拘らなさそう。

ではでは。

空と海 第237話

~前回までのあらすじ~
無理矢理まとめ回始めてます。
キアがオーシャンの仲間になり、ピカの提案により、ライブが運営する図書館へ住むことになりました。
そんなこんなで、今回はまた少し時間が経ってます。仲間になった日の夜ですね。


フォースは夜の海岸を黙って歩く。じゃくじゃくと砂と砂が擦れる音と、寄せては引いていく波の音だけが彼を包んでいた。
周りに誰もいないのを確認すると、どこからか取り出した結晶を無造作に空に放り投げた。月明かりに照らされ、光を乱反射させながら、結晶もまた、自ら光を放っていく。
結晶が砂浜にざくっと突き刺さると、魔法陣が展開され、光のスクリーンを創り出した。
「よう。久し振り」
『そうだな。お前から連絡してくるのは何年ぶりだろうか?』
そのスクリーンに写し出されたピカチュウは右目を包帯で覆い、使いもしないだろう煙管を片手で弄んでいた。どこかフォースを挑発するようににやりと笑う。
その挑発にフォースは乗っかることにした。理由は一つ。そういう気分だったからだ。
「したくてしてる訳じゃねぇし。つか、まだくたばってねぇのかよ、イオ」
イオと呼ばれたピカチュウは一瞬だけきょとんとしつつも、再び楽しそうに笑う。
『ははっ♪ 残念ながら。“代替わり”はまだ先らしい』
「はよ代われ。数百年前からお前だろ。三代目はいつになるんだよ。百年後?」
『ごもっともな意見だ。だが、初代が代わることを許してくれなくてな。まだしばらくは“イオ”のままだよ。……それで? 用件は』
世間話をするような空気から一転、声のトーンが一つ落ちる。フォースもそれに合わせて、悪ふざけをやめ、本題を切り出した。
「……お前の世界の住人を見つけた。が、帰るつもりはないらしい。心がそう言ってる」
『そうか。お前がそういうなら、真実なんだろうな。……確か、天空魔法の星使い……だったか? 俺の専門外だが』
「そーですか。魔法なんておれの常識を越える代物だ。何でも一緒」
イオの住む世界は、フォース達のいる世界とは別物だ。所謂、平行世界と呼ぶべきなのだろう。平行世界同士は密に関係し、どこかにズレが生じると、他の世界でも何かが起こる。普段は干渉し合うことのないのだが、世界を揺るがすような大きな『何か』には、どの世界でも何らかの異変が現れる。だからといって、何ができるわけではない。
イオの世界は魔法が常識の世界。そして、アイトが操る力も魔法の一つだ。つまり、アイトが本来いるべき場所は、こちらではなく、別世界ということだ。
とはいえ、本人に戻る意思がないため、フォースもどうにかするつもりはなかった。例え、イオと連絡手段を持ち、仲介者として役割を果たせる立場にいたとしてもだ。過干渉である必要はないし、元々、フォースには関係のない話である。
「言いたかったのはそれだけ。お前から何かあれば聞く。聞くだけしかしないけどな」
『相変わらず、偏屈だな? まあ、いいが。とはいえ、こちらから特筆すべき事はない。……なんて、言えたらよかったんだがな』
「そうなるだろうな。こちらの世界でも異変が出始めている。そっちにも影響がないわけがねぇ」
『大したことはないんだがな。うるさい羽虫が増えた程度の変化だ。……そちらの世界で問題が生じているのだろう?』
「そうなんじゃないの? おれには関係ないけど」
『ご謙遜を。渦中にいるくせに』
イオは創造の魔法を操る。ある意味、フォースと似たような力を持つ。占いや未来予知なんかは専門外のはずだが、時折、ぴたりと物事を言い当てる。
顔に出したつもりはないフォースだが、イオは何を見て判断したのか、すくすくと小さく笑う。
『変わったな。お前は』
「は?」
『俺の体感だけど、刺々しさがなくなった気がするよ。いい人に巡り会えたのか?』
イオの指摘は間違っていない。イブやチコに始まり、ピカやポチャ、ギルドのメンバーやトレジャータウンの人達。ここに来てから関り合いを持つようになった人々の存在はある。知らず知らずのうちに、過去の自分からどこか変わった。そうさせた、一番の原因は─フォースにとってはかなり認めたくはないが─ピカの存在が大きい。彼女に会っていなかったら、今でもウィルや鈴流と会えてなかったからだ。
そんな事情をイオに話すのは嫌だった。だから、フォースはいつも通り、ぶっきらぼうに答えることにした。
「何寝惚けたこと言ってんだ。はっ倒すぞ」
『おっと怖い。力を司る神に仕えるお前に勝てるわけがないんだから、よしてくれ』
「よく言う……一番、戦闘経験があるくせに」
『それこそ、お前に言われたくはない』
「あっそ。お褒めいただき光栄でございまーす」
『フォース』
「今度はなんだよ」
『やられるなよ。それと、仮に大きな何かが動いているのだとしたら……きっと、あいつも動くんだろ?』
凛として冷静に話していた創造の長は、ただの青年に戻り、困ったように笑った。
『勝手な願いだけど、コスモ……いや、ピカを頼む。俺はあいつに助けられたから。……本当なら、俺が助けに行ってやりたいけど、できないからな。お前に頼むことにするよ』
「……おれがそいつと関り合いがあるって? どこでそんな話を」
イオにピカとの関わりを話したことはない。そもそも、イブの制御者としてこちらに来てから、連絡を取ったのもこれが初めてなのだ。だから、イオがフォースとピカの関係を知る機会なんてあるはずがない。
『お前んとこの神様がこの前、メロエッタ様に仰っていた。俺はその又聞きで知った』
「マスター……! マジで一回、死ね!」
『そう言ってやるなよ。……そういうわけだ。頼んだぞ』
「だぁれが引き受けるか、そんな話!!」
『引き受けるよ。お前もピカに絆された一人だろ? あいつには人を惹き付ける何かがあるんだ。影響されないわけがない。お前が変わったのも、ピカの存在が大きい……違うか?』
初めから、というよりは、変わったと感じたときからイオは知っていたのだろう。知られたくもない関係性を推察したのだ。そして、全否定しようにも、全て本当のこと。そのため、フォースは何も言えなかった。そんな彼が珍しいのか、イオは心から楽しそうに声を上げて笑った。
『……じゃあな、フォース。今度、連絡するときは俺……“イオ”じゃないといいな?』
「もっと可愛げのあるやつと話したいねぇ……! じゃあな!」
イオとの通信を切り、フォースは結晶を拾い上げる。結晶はフォースの手の中できらきらと輝いていた。夜空に瞬く星のように、幾重にも。
「……イオによろしくされなくったって」
そのあとに続く言葉は宙に消え、呟いた本人すら届くことはなかった。



~あとがき~
短いけど、終わり。

次回、海からの来訪者。
本編パートではない。何が言いたいかわかるね? 何でもない話だ!!←

大切なお知らせです。
この空海、次回からまた不定期更新(多分、月一)に戻ります。なんでって?
ストックが! 心もとないからだよ!!(泣)
いい感じに終わりが見えたら、また定期更新に戻します。はい……!

皆様、覚えてますでしょうか!!(二回目)
私の手掛けるポケモン二次小説、『Fantasy world』より、イオ君です! ひっさしぶりぃー!! とはいえ、F.Wと空海では時系列がずれるんですよね。ちょびっとだけ。
なので、F.Wの話があって、空海があってって感じです。これで、F.Wで何かあってもイオの無事は保証されると言うことだな。他? 知らん((
イオとピカの関係はあちらで……って言いたいけど、全く手をつけてないんだよな(汗)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第173話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ケアル邸を出発しました。馬車移動のメンバー達。のんびり(?)旅のスタートですね。
ラル「私達……仕事、なんだよなぁ」
ティール「そ、そうだね」
ラル「果たして、のんびりできるのか」
ティール「観光できるといいね」
どうでしょうね。相方の裁量によりますかね。
ラル、ティール「ですよね~」


《L side》
馬車の中は広く、私達五人が座っていてもまだ余裕がある。ちなみに、メアリーさんは中ではなく、馬を操る先導者さんの隣にいるらしい。エデンさんはどういう手段でついてきているのかさっぱりだが、少なくとも、ここにはいない。何らかの移動方法があるのだろう。凡人の私には理解できない何かがあるのだ。
「ね、ラル~? スプランドゥールってどんなとこー?」
ガタゴトと馬車に揺られながら、しーくんは首を傾げる。私達の拠点はフェアリーギルドで、それ以外はあまり訪れない。だから、しーくんの疑問も最もではある。
「ん? あー……隣街とはいえ、正直なところ、よく知らないんだよねぇ、私。スプランドゥールも、ギルド『明けの明星』も。ティールは?」
「ぼくも似たようなもんだよ。ま、ラルよりは詳しいと思うけども」
ま、そうだろうねぇ~……
「? そうなのか? あそこ、探検隊とか多いし、ラル達は知ってるもんだと思ってた」
「道具の調達で寄ることはあっても、観光はないかな。基本、バッジで現地行っちゃうし。あっても、中間地点くらいの認識だよ。……明けの明星にも寄ったことないよな?」
ないね。
ツバサちゃんの取り出したスノードーム型の魔法具のおかげで、馬車の中も快適な室温に保たれているからか、ティールも元気である。
なんでも、その魔法具もおじいさんのギルドが開発したものだとか。どういう原理なのか大変興味深いのだが、魔法が絡んでるとなると、お手上げである。私は基本、科学の人間なので。
「スプランドゥールは冒険者の街って呼ばれるんだって。ダンジョンに向かうような冒険者や探検隊、救助隊なんかがたくさんここを拠点に構えてるらしいよ。売ってるものもそれに特化してるし」
「ま、街がそれに適してるってことなんだねぇ……?」
「ラル、分かってるの……?」
わかってる。だいじょーぶ。
「ルー爺は陸の国を治めるお偉いさんの一人で、街も『明けの明星』が取り仕切ってんだ」
一体、どんな人なのだろう。
今回の仕事をするにあたって、情報収集はしたつもりだ。しかし、調査を頼まれたダンジョンや護衛をするという夏祭りに関すること等、仕事中心に調べたため、街の概要なんかは深く調べなかったのだ。よく知るであろうツバサちゃん達が一緒だからいいか、みたいな気持ちがあったのもある。
冒険者の街の他にも……えっと、『始まりの地』とも呼ばれてるよね?」
なんでそんなに呼び方あるの、あの街は……しかし、始まりの地はどこかで聞いた気がする。多分、歴史かなんかの授業で。
ティールの言葉にツバサちゃんはこくんと頷いた。
「そうみたいですね~♪」
「ま、陸の国は王権主義国でもないのに、スプランドゥールには城があるからだろ。そう呼ばれるのも無理はないっつーか」
ティールの祖国やクラウの祖国は王権主義。王様が土地を治める国だ。だから、国のトップは王様である。現在の海の王はティールのお父さんのブライトさん。そして、空の王はクラウのお父さんのルフトさんだ。
そして、この陸の国はどうしているのかと言うと、各地に領主というか、リーダーみたいな人がいる。そのリーダー達ががそれぞれの地域を治めている。私達の地域はプリン親方である。恐ろしいことに。
だからまあ、治める人によって地域の色が出やすくもある。例えば、明るくなんでも自由なプリン親方らしく、私達の暮らす街は様々な施設やもの、人達が住んでいる、とかね。探検隊や救助隊、運び屋、商人……はたまた、そこで暮らす人々もたくさんなのも、「みーんな、友達!」精神の親方の人柄が出ていると言ってもいい。
「はじまり……?」
「しーくんも一回は絵本とかで読んだことありそうだけど……ちょっと待ってね?」
ポケットから端末を取り出し、始まりの地についての記述を探す。そして、出てきた内容をしーくんに聞かせてあげる。

─これは昔々のお話です。とある国は、大変荒れていました。そこは水も草も枯れ果て、食べ物だってありません。人々はいつもお腹を空かせ、苦しんでいました。
そんな荒れ地に一人の女神様が降り立ちました。女神様は遥か高くお空に住むお方だったのです。
女神様は地上で暮らす人々が大好きでした。そんな大好きな人たちが苦しむ姿を見て、自然が苦しむ姿を見て、助けに来たと言います。
女神様が祈りを一つ捧げると、大地は緑を取り戻します。祈りを二つ捧げると、きれいな水が、三つ捧げると、美味しそうな果物が出てくるではありませんか。
女神様の不思議な力で助かった人々は女神様を『癒しの女神』様と敬い、荒れ果てた国の再興を誓います。一致団結した人々の手で、一つの大きな国が出来上がったのです。
その様子を見守っていた女神様は大変喜び、お空の国には帰らず、人々と暮らすようになりました。そして、女神様はその国の王となり、子を育み、幸せな時間と国の行く末を長く長く見守り続けました。
ところがある日、事件が起こりました。女神様がもたらした光を人々が使いすぎてしまい、豊かになったはずの土地が再び枯れ始めたのです。
それに気づいた人々は、減ってしまった光をどうにかして守ろうとしましたが、一向によくなる気配はありません。
やがて、守りたい気持ちが争いへと変わってしまいました。ほんの少しの光を自分のものにするために、人々は争い始めたのです。
やがて、豊かな自然は争いによってなくなり、関係のない人々の命すら奪ってしまったのです。
女神様は大変悲しみました。そして、この争いは女神様の国すらも飲み込んでしまうと。大好きな人々が暮らし、大好きな家族すらも消えてしまうのではと思ったのです。
女神様は考え、言いました。
「自らの命を使い、この争いを止めましょう」と。
女神様は大好きで大切な人々を守るため、光になることを選んだのです。光となって消えてしまった女神様は、国中に光をもたらし、争いを収めました。
残された女神様の家族は、国と女神様の優しい心を受け継いで、人々を導いていきました。
もう二度と、争いが起きないように─

これが、絵本とか児童書で語られる始まりの地について……『癒しの女神様の祈り』の大まかな内容である。
よくある悲しい話にも聞こえるが、要するに無駄な争いは何も生まない、とか、自然や命は大切にしよう、とか、そういった教訓を教えるための教育本のようなものだ。
「ラルさん、読み聞かせお上手ですね!」
それは多分、たまにしーくんに聞かせているからかな? そこまで褒められたものではないと思うけれど。
「これ、昔の史実を元にしてるんだろ? となると」
とある国はここ、陸の国。祈りは魔法、光は……魔素、だろうか。ならば、お空の国は……
「あ! ふぉ…」
「はぁい! しーくん、そこはお口チャック!」
駄目だよ? フォースお兄ちゃんとか言っちゃアカンから!! あっぶね。
「……?」
アラシ君とツバサちゃんが首を傾げた。その疑問にはお答えできないので、私とティールは曖昧に微笑んでおく。そして、ティールと頭をぶつけるんじゃないかってくらいまで近づいた。
こほん。
お空の国は、フォース君やウィルさん達の住む、天界なのだろう。つまり、この癒しの女神は神様の一人だった。この国を救ったのは、神様……となるが。
「あり得ると思う?」
声を潜め、ティールに問いかける。幸いにも、馬車の走る音でツバサちゃん達には私の声は、聞こえていないみたいだ。ティールも同じように声を潜めた。
「どうだろう。全部を素直に受け取るべきなのかは判断できないかな。だって、ねぇ?」
そう、だよね。全てを受け入れるとなると、癒しの女神はこの国のために命を落としたものの、その子孫が意思を受け継ぎ、この国に根付いたということになる。それは流石に……信じがたい話である。
もちろん、神の存在は信じる。すぐ近くにいるし、それで信じられませんなんて、通じるものでもない。だからまあ、この国を神が助けたのは、本当なのではないかとは思う。
案外、ここでウィルさんに聞いてみれば、「あ! その話かー! なっつー!!」とか言い始め、真相を教えてくれるかもしれない。フォース君も「あぁ……その話な~」とか言い出しそうだ。だって、生命の神様に、力の神様の使いだ。真相を知っていてもおかしくはない。
はたまた、期待を裏切って、「それ、作り話」と断言するかもしれない。それはまた、夢のない話だけれど。
「……まあ、今は判断できないね。事実を元にしてるけど、これは創作物だし」
「今は半分作り話っていう認識でいいんじゃないかな。きっと、今回の仕事には影響ないだろ。ウィルさんやフォースに急いで聞く必要もないと思う」
そうだね。よし、この話は終わりだ。
「ひそひそ話は終わりか?」
「ま、まあね~……と、ともかく! しーくん、始まりの地ってのは、天界から一人の神が舞い降りたとされる土地のこと……って授業で習った気がするよ。ってことは、スプランドゥールはさっきの絵本にある国のモデルってことだね」
「スプランドゥールは、めがみさまのくに?」
まあ、平たく言えば、かな。
きっと今は、その女神様はいないんだろうけれど。



~あとがき~
スプランドゥールについてのお話でした。

次回、スプランドゥールに到着!
……できたらいいなって。うん。

ラルやティールが天界をどこまで知っているかという件について。
まあ、あるってことは知ってるし、沢山の神々の暮らす世界だってことも知ってますね。ただ、空海と違って知り合いは少ない。
他制御者やファウスと会って話したことはないですし、アルフさんに関しては名前すら知らないですが、転生の神様ってのがいるのは知ってます。ウィル伝いで。
深く関わるのは、ウィルやフォースだけかなぁ……ま、ラルは湖の守り神と仲良さそうな気がしますが。この辺は深く考えてませんので、適当に流してくれればよいです。
さて、一般人の認識として、神を信じる信じないは個人の裁量によると思います。当たり前だけど。信仰心のあるなしは人それぞれって感じっすな~

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第172話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ケアル邸に到着して、すぐに寛ぎ始める男子二人でした。
さてさて、今回もケアル邸からお送りしますよー!


《L side》
ひんやりしていて気持ちいいシーツのせいで、自宅以上にのんびりし始めるティールと、予想以上の部屋の広さに興奮気味なしーくん。
そして、そんな二人に頭を抱える私。
「……すみません。うちの二人が」
「大丈夫ですよ。お外、暑いですもん。ここの室温、あんまり下げてないんですけど」
これから外に出るからだろう。急激な温度変化は体に悪いし、不調の原因にもなる。その判断は正しいと思うが、それと人様の家でだらだらしていいことにはならない。
アラシ君が自分の飲み物を一口飲み、首を傾げた。
「普段からきちっとしてるティールが珍しいな?」
「暑いの駄目なんすよ、私の相棒は」
「そ、そんなんで仕事は成り立つのか……?」
「大丈夫。その辺は調整できるから……涼めるときに涼むのが一番だよ~」
アラシ君の疑問にものんびり答えるティールにアラシ君は少し心配そうである。彼も一応はプロなので、そのときになれば、かっちりスイッチを切り替えてくれる……と思う。
「ラルさん、その子が雫くん、ですか? じいじの話にあった……?」
「あぁ、うん。……そうだった。今回が初対面だもんね。しーくん、こっちおいで。お兄ちゃん達にご挨拶」
「うんっ!」
ソファに座らず、サロンのあちこちを見て回っていたしーくんがぱーっと駆け寄ってきて、三人に向かってペコッと頭を下げる。
「雫です! よろしくおねがいしますっ!」
礼儀正しく挨拶をするしーくんを数秒だけ見つめる三人。ちらちらとお互いアイコンタクトを交わしたものの、すぐにいつもの明るい笑顔を見せた。
「よろしくね。私はツバサ。で、こっちがアラシと、レオン……それから、リランだよ」
「今日から二週間、よろしくな?」
「よっろしくー……ま、諸事情あって、俺は最初の一週間いないけど~」
「あうあうっ!」
人懐っこいリランはもうしーくんを気に入ったのか、尻尾を振って、じゃれあっていた。流石にアラシ君やレオン君のときみたいな激しくさはないものの、しーくんに構ってアピールをしまくっている。
「まっちろドラゴン! よろしくねー!」
「あんっ♪」
しーくんを気に入ってくれて何より。
遊び始める一人と一匹は置いておいて、私はメアリーさんがいつの間にか運んでくれたミルクティー片手にツバサちゃんに話しかける。
「一緒に行くって話だけど、いつ出発するの?」
「んと、今、カルタム達が馬車に荷物を運んでいるので、それが終わり次第ですね」
「スプランドゥールって隣街とは言うけど、ここからだと距離があるよね。馬車とはいえ、時間がかかるんじゃない?」
ようやく暑さから多少の復活をしたティールが、全体重をかけていたソファから体を起こした。そして、目の前のアイスコーヒーを手に取る。
「あ、それは大丈夫です。途中にある大型移動魔法陣使って、ショートカットしますから。今から出ても、お昼前には到着します♪」
「ごほっ……ソ、ソウナンダァ……」
びっくりしすぎて思わずむせてしまう相棒。気持ち分かる。私もミルクティー飲んでたら、同じ反応をしていただろうから。
大型移動魔法陣とは、各地に点在する移動専用の魔法陣という、そのまんまの意味である。ただ、大きいし、魔法式が複雑とか、なんとかの理由で一回の利用には多額の使用料を支払う必要がある。少なくとも、一般人がほいほい使えるような額ではなかったはずだ。
だからまあ、私達が初めての場所に行こうとすると、バッジで行けるところまでワープして、近くのダンジョンを突破し、ショートカット……みたいな方法で長距離移動をする。これはこれで、裏技みたいな移動方法ではある。だって、一般人が探検隊バッジなんて持っているわけがないからだ。
なので、一般人が行きたければ、のんびり何泊かしつつの馬車移動か、運び屋にぴゅーっと運搬してもらうか、探検隊を護衛につけるか……という方法を取るしかないのである。
……お金持ちこっわい。
「ねー、レオンお兄ちゃん!」
「ん~?」
リランをわしゃわしゃしまくっていたしーくんが何か聞きたいことでもできたのか、レオン君の名前を呼ぶ。
「なんで、お兄ちゃん、せーふくなの? ラルたちといっしょ、いかないの?」
「あ~……それはねぇ」
この時期に制服であり、一週間というワードから何となく想像はつく。言い淀むレオン君に代わり、アラシ君が肩をすくめながら口を開いた。
「こいつ、赤点四つで補習なんだよ。本当なら夏休みなんだけど、成績悪すぎて、勉強しに行くんだってさ」
「おべんきょか。たいへんだ」
四つて……レオン君、ヤバイな?
しーくん的には、赤点四つのヤバさよりも、お勉強あるの大変だねという感想らしく、再びリランと遊び始める。しーくんの疑問は制服の理由であって、赤点四つはどうでもよいのだ。
しかし、同じ学校に通う私達はそれを聞き、「ふーん」と軽く流せなかった。私もティールも少しの呆れと同情を込めた表情を浮かべる。
「ちょちょ!? それをこんなところで言いますか、アラシさん!?」
ストレートに暴露されたレオン君は珍しく、慌てた様子でアラシ君に詰め寄る。しかし、アラシ君は冷めた表情で、レオン君を避ける。
「いやいや、すぐバレるし、隠す必要ないじゃん。つか、お前が悪いんだろ? 夏祭りじゃ仕事あるのにさ」
「な、夏祭りまでには補習終わるし……大丈夫だろ?」
「ったりめーだ、馬鹿! 追加で補習受けたりしたら、俺に怒られるんじゃなくて、ルー爺に叱られるんだかんな!? 分かってんのか!?」
「わ、わかってる……それは何としても回避しなきゃいけない案件だからな……!」
補習のラストに確認テストとやらがある。これに合格しなければ、もう一週間お勉強頑張ろうね、という不名誉なお手紙をいただく羽目になるのだ。そうなってしまえば、スプランドゥールで行われる夏祭りには到底間に合わない。地元であるお祭りではないのだ。ちょっと行ってくるね! で行ける距離ではないし、行ったところで、次の日の補習にも間に合わない。
「参考までに聞かせてもらいたいんだけど、レオンが赤点取った教科ってなんだい?」
これを聞いて、なんの参考にするのかは分からないけれど、まあ、きっとただの興味本位でティールが質問をする。これに答えたのはレオン君……ではなく、ツバサちゃんだ。
「えっと……一般教養のやつですね。『外国語』に『数学』……あとは『近代歴史学』に『科学』です」
「うわ。全部、一年生共通の教養科目じゃん……」
ティール、その哀れみの目をやめろ!!」
あらら? 歴史に詳しそうなレオン君が歴史学を落とすとは。考古学研究部所属なのに。
「ラル、考えてみろよ。歴史は歴史でも、近代だぞ? レオンが好きなのは考古学だ」
「……近代に遺跡は出てこない?」
「そゆこと。レオンが赤点取って当然の科目ってことだ」
「なっ!? それは俺を馬鹿にしすぎだろ!? 俺だって真の実力を発揮すれば、赤点回避なんてちょちょいのちょいだってーの!」
「……ほー? じゃあ、その実力とやらを解放すれば、今後の赤点はないと?」
にやりと皮肉混じりに聞くアラシ君に、レオン君はうっと言葉につまり、そっと視線を外して明後日の方向を見る。この行動の意味は、「それは保証できません」の意味だろう。それを察したらしいアラシ君も、これには盛大なため息をついた。
ここで、コンコンっとノック音が聞こえ、扉が開けられる。ケアル家に仕えるカルタムさんがそっと入室し、恭しく頭を下げた。
「お嬢様、出発の準備が完了しました」
「分かった。じゃ、そろそろ行きましょうか♪ ま、まあ、レオンは学校……だけどね」
「くそー! 赤点めー!!」
「お前が取ったんだろ。……自業自得じゃねぇか」
どうやら、今回の旅前半戦は、レオン君抜きとなるらしい。ムードメーカーみたいに明るい彼がいないのも新鮮かもしれないな。
後半戦は……来れるといいね。レオン君……?
「そういえば、ラルさん達のお荷物は?」
「あぁ、荷台じゃなくて手持ちで入れるよ。あれしかないし」
二週間分の量とは思えないバッグの大きさではあるけれど、この世界には異次元収納の機能のついたバッグがあってだね……そういうことです。
私達三人の荷物はそれぞれが持ち─しーくんのはティールが持ってくれているけれど─、ツバサちゃん達と玄関ホールへと向かう。
今回の同行者には、メアリーさんと姿を見せないエデンさんがいるらしい。カルタムさんや他のメイドさん達はお留守番だそうな。まあ、あちらはあちらでお世話係がいるのかもしれないし、大勢の執事さんやメイドさんを連れ歩く必要もないのだろう。
「メアリー、お嬢様を頼みましたよ」
「はい! お任せください、カルタム様!」
「リランも。利口にしているのですよ」
「わふっ!」
もふもふよ中型犬姿のリランが元気よく吠える。が、利口にするという約束が守られるかはちょっと分からないけれども。
カルタムさんやメイドさん達、補習組のレオン君に見送られ、私達は馬車に乗り込んだ。そして、目的地であるスプランドゥールへと向かうのだった。



~あとがき~
いざ、出発!

次回、スプランドゥールへ向かう馬車の中であれこれ話します。

今回、前半戦はレオン君不在です。
彼の代わりに雫がいる感じですよ。あっち行けば、他にも人はいるし……なんとかなるやろ!
とはいえ、明るくアラシ君を茶化してくれるレオン君がいないのは、個人的に寂しいなと思います。アラシ君視点、楽でいいかもしれませんが(笑)
……レオン君が復活できるかは今後の展開次第ですね!

ではでは。